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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H04N 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H04N 審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 H04N |
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管理番号 | 1327882 |
異議申立番号 | 異議2016-700277 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-04-06 |
確定日 | 2017-04-03 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5791159号発明「向上された特殊再生機能のためのシステムおよび方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5791159号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、〔11-20〕について、訂正することを認める。 特許第5791159号の請求項1ないし20に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第5791159号の請求項1?20に係る特許についての出願は、2006年(平成18年)12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年2月28日、米国)を国際出願日とする出願である特願2008-557225号の一部を平成21年12月14日に新たな特許出願とした特願2009-283489号の一部を、更に平成25年5月9日に新たに特許出願したものであって、平成27年8月14日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人岡本敏夫により特許異議の申立てがされ、平成28年5月25日付けで取消理由が通知され、平成28年8月29日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人岡本敏夫から平成28年10月11日付けで意見書が提出され、平成28年11月15日付けで取消理由が通知され、平成29年2月20日に意見書が提出されたものである。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のア、イのとおりである。 (下線は訂正箇所を示す。) ア 請求項1?10に係る訂正 (ア)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「前記転送バーに関連付けられたユーザ入力」とあるのを「前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力」に訂正する。 (イ)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1において、「前記現在の再生位置とは異なる再生位置」とあるのを「前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置」に訂正する。 (ウ)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (エ)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項3において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (オ)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6において、「前記現在の再生位置よりも後の再生位置」とあるのを「前記現在の再生位置よりも後の前記他の再生位置」に訂正する。 (カ)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項8において、「ストリームをキャッシュすることにより、前記受信されたストリーム内の前記識別された広告をスキップすること」とあるのを「前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をキャッシュしないことによって前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をスキップするようにストリームをキャッシュすること」に訂正する。 (キ)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項9において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (ク)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項10において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 イ 請求項11?20に係る訂正 (ア)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項11において、「前記転送バーに関連付けられたユーザ入力」とあるのを「前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力」に訂正する。 (イ)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項11において、「前記現在の再生位置とは異なる再生位置」とあるのを「前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置」に訂正する。 (ウ)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項11において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (エ)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項11において、「前記ビデオの前記現在の再生位置の前記インジケータを格納する手段」とあるのを「前記ビデオの前記現在の再生位置の前記インジケータをメモリ内に格納する手段」に訂正する。 (オ)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (カ)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項16において、「前記現在の再生位置よりも後の再生位置」とあるのを「前記現在の再生位置よりも後の前記他の再生位置」に訂正する。 (キ)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項18において、「ストリームをキャッシュすることにより、前記受信されたストリーム内の前記識別された広告をスキップする手段」とあるのを「前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をキャッシュしないことによって前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をスキップするようにストリームをキャッシュする手段」に訂正する。 (ク)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項19において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (ケ)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項20において、「前記再生位置」とあるのを「前記他の再生位置」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 請求項1?10に係る訂正 (ア)訂正事項1 明細書の発明の詳細な説明の段落【0042】?【0043】には、 「図6は、拡張転送制御バー内の逆方向および順方向バッファの視覚表現の別の例示的ディスプレイを示す。画面600は、ユーザが視聴している映像602および拡張転送制御バー610を含む。拡張転送制御バー610は、映像の開始時間612および終了時間614、ユーザのために現在の再生位置を示すカーソル620、ならびに逆方向バッファ632および順方向バッファ634の表現を含む。また、拡張転送制御バー610は、逆方向プレビュー画像624および順方向プレビュー画像628にそれぞれ付随する、逆方向カーソル622および順方向カーソル626を含む。特に、逆方向プレビュー画像624は、逆方向カーソル622の位置に対応し、順方向プレビュー画像628は、順方向カーソル626の位置に対応してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、特殊再生クライアントに、複数の逆方向および順方向カーソルならびに付随するプレビュー画像を表示させてもよい。 いくつかの実施形態では、逆方向および順方向カーソルは、特殊再生クライアントが現在キャッシュしている、逆方向および順方向ストリームのフレームに対応してもよい。別様に、逆方向および順方向カーソルは、ユーザの特殊再生要求(例えば、プレビュー画像624または628の巻き戻しまたは早送り)に対応してもよい。特殊再生クライアントは、プレビュー画像624および628の一方または両方を自動的に表示してもよく、あるいはユーザは、プレビュー画像の表示を要求してもよい。ユーザが再生を所望するプレビュー画像624または628内の映像の一部をユーザが識別している場合、ユーザは、フル画面でプレビュー画像表示し、選択されたプレビュー画像の再生部分の映像を再生してもよい。」 と記載され、図6を参酌すると、ユーザの特殊再生要求が巻き戻しカーソルや早送りカーソルに対応すること、特殊再生要求が巻き戻しカーソルまたは早送りカーソルを転送バーに沿った任意の位置にナビゲートするために用いられることが記載されていると認められる。 したがって、「前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力」は、明細書に記載されているものと認められる。 訂正事項1の訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において「ユーザ入力」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (イ)訂正事項2、3 訂正事項2、3は、特許請求の範囲の請求項1における「再生位置」を訂正事項1における「他の再生位置」に整合させることを目的とする。従って、訂正事項2、3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2、3は、訂正事項1と同様に、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ)訂正事項4 訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項3における「再生位置」を訂正事項1における「他の再生位置」に整合させることを目的とする。従って、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4は、訂正事項1と同様に、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (エ)訂正事項5 訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項6における「再生位置」を訂正事項1、4における「他の再生位置」に整合させることを目的とする。従って、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5は、訂正事項1、4と同様に、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (オ)訂正事項6 訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項8において、「ストリームをキャッシュすることにより、前記受信されたストリーム内の前記識別された広告をスキップする」が、どのように広告をスキップするのか明瞭でない記載であるのを、ストリームをキャッシュする際に、「識別された広告をキャッシュしない」ことによって「識別された広告をスキップすること」が達成されることを明確にすることを目的とするものであって、訂正事項6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項6は、明細書の発明の詳細な説明の段落【0044】に記載されており、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (カ)訂正事項7 訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項9における「再生位置」を訂正事項1における「他の再生位置」に整合させることを目的とする。従って、訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項7は、訂正事項1と同様に、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (キ)訂正事項8 訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項10における「再生位置」を訂正事項1における「他の再生位置」に整合させることを目的とする。従って、訂正事項8は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項8は、訂正事項1と同様に、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ク)一群の請求項 請求項2?10は、請求項1を直接又は間接的に引用しているから、請求項1?10は一群の請求項である。 したがって、訂正事項1?8は、一群の請求項に対して請求されたものである。 イ 請求項11?20に係る訂正 (ア)訂正事項9?11 特許請求の範囲の請求項1に係る発明と請求項10に係る発明とは、カテゴリーが異なる発明であって、請求項10に係る訂正である訂正事項9?11は、請求項1に係る訂正である訂正事項1?3に対応する。 したがって、訂正事項9?11は、訂正事項1?3と同じ理由で、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (イ)訂正事項12 訂正事項12は、特許請求の範囲の請求項11において、「前記ビデオの前記現在の再生位置の前記インジケータをメモリ内に格納する」ことを明確にすることを目的とする。従って、訂正事項4は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項12による訂正は、少なくとも、本件特許明細書の段落【0018】、段落【0035】?【0036】、段落【0039】?【0042】および図2の記載によってサポートされ、新規事項の追加に該当しない。 (ウ)訂正事項13?17 特許請求の範囲の請求項3、6、8?10に係る発明と請求項13、16、18?20に係る発明とは、カテゴリーが異なる発明であって、請求項13に係る訂正である訂正事項13は、請求項3に係る訂正である訂正事項4に、請求項16に係る訂正である訂正事項14は、請求項6に係る訂正である訂正事項5に、請求項18に係る訂正である訂正事項15は、請求項8に係る訂正である訂正事項6に、請求項19に係る訂正である訂正事項16は、請求項9に係る訂正である訂正事項7に、請求項20に係る訂正である訂正事項17は、請求項10に係る訂正である訂正事項8に、それぞれ対応する。 したがって、訂正事項13?17は、訂正事項4?8と同じ理由で、特許請求の範囲の減縮又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (エ)一群の請求項 請求項11?20は、請求項11を直接又は間接的に引用しているから、請求項11?20は一群の請求項である。 したがって、訂正事項9?17は、一群の請求項に対して請求されたものである。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1?20について訂正を認める。 3 特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?20に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1?20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下訂正請求項1?20に係る発明を「本件発明1」?「本件発明20」という。)。 「 【請求項1】 表示のためのビデオを生成することと、 前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成することであって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む、ことと、 前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信することと、 前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示することであって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される、ことと を含む、方法。 【請求項2】 前記ビデオの前記画像は、ビデオを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記画像に関連付けられた前記他の再生位置は、前記現在の再生位置よりも後の再生位置に対応する、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記現在の再生位置の前に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む巻き戻しストリームを受信することと、 巻き戻しバッファ内に前記受信された巻き戻しストリームをキャッシュすることと、 表示のために、前記現在の再生位置の前の再生位置に関連付けられた巻き戻しカーソルを生成することと をさらに含む、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記ビデオは、ビデオオンデマンドソースから受信される、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記現在の再生位置の後に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む早送りストリームを受信することと、 早送りバッファ内に前記受信された早送りストリームをキャッシュすることと、 表示のために、前記現在の再生位置よりも後の前記他の再生位置に関連付けられた早送りカーソルを生成することと をさらに含む、請求項3に記載の方法。 【請求項7】 前記早送りカーソルは、前記キャッシュされた早送りストリームの現在のフレームに関連付けられる、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 ビデオストリームを受信することと、 前記受信されたビデオストリーム内の広告を識別することと、 前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をキャッシュしないことによって前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をスキップするようにストリームをキャッシュすることと をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記画像のユーザ選択を受信することと、 前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生することと をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記画像のユーザ選択を受信したことに応答して、フル画面で前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生することをさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 表示のためのビデオを生成する手段と、 前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成する手段であって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む、手段と、 前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信する手段と、 前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示する手段であって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される、手段と、 前記ビデオの前記現在の再生位置の前記インジケータをメモリ内に格納する手段と を含む、システム。 【請求項12】 前記ビデオの前記画像は、ビデオを含む、請求項11に記載のシステム。 【請求項13】 前記画像に関連付けられた前記他の再生位置は、前記現在の再生位置よりも後の再生位置に対応する、請求項11に記載のシステム。 【請求項14】 前記現在の再生位置の前に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む巻き戻しストリームを受信する手段と、 巻き戻しバッファ内に前記受信された巻き戻しストリームをキャッシュする手段と、 表示のために、前記現在の再生位置の前の再生位置に関連付けられた巻き戻しカーソルを生成する手段と をさらに含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項15】 前記ビデオは、ビデオオンデマンドソースから受信される、請求項11に記載のシステム。 【請求項16】 前記現在の再生位置の後に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む早送りストリームを受信する手段と、 早送りバッファ内に前記受信された早送りストリームをキャッシュする手段と、 表示のために、前記現在の再生位置よりも後の前記他の再生位置に関連付けられた早送りカーソルを生成する手段と をさらに含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項17】 前記早送りカーソルは、前記キャッシュされた早送りストリームの現在のフレームに関連付けられる、請求項16に記載のシステム。 【請求項18】 ビデオストリームを受信する手段と、 前記受信されたビデオストリーム内の広告を識別する手段と、前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をキャシュしないことによって前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をスキップするようにストリームをキャッシュする手段と をさらに含む、請求項11に記載のシステム。 【請求項19】 前記画像のユーザ選択を受信する手段と、 前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生する手段と をさらに含む、請求項11に記載のシステム。 【請求項20】 前記画像のユーザ選択を受信したことに応答して、フル画面で前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生する手段をさらに含む、請求項11に記載のシステム。」 本件発明1を分説すると次のとおりである。 (本件発明1) 「(A)表示のためのビデオを生成することと、 (B)前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成することであって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む、ことと、 (C)前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信することと、 (D)前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示することであって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される、ことと (E)を含む、方法。」 ただし、(A)?(E)は当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。 (2)取消理由の概要 本件特許1?3、5、8?10、11?13、15、18?20に対して平成28年11月15日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許1?3、5、8?10、11?13、15、18?20は、甲第2号証に記載された発明、甲第4号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許1?3、5、8?10、11?13、15、18?20は、取り消されるべきものである。 (3)甲号証の記載 ア 甲第2号証 (ア)甲第2号証の記載 甲第2号証(特開2005-101994号公報)には、「データ再生装置およびデータ再生方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0001】 本発明は、データ再生装置およびデータ再生方法に関し、特に、映像や文書のようなコンテンツを含むデータのデータ再生装置およびデータ再生方法に関する。」 「【0004】 ここには以下のような問題点がある。 ユーザは、シーンジャンプや頭出しを行う際、再生を開始したい位置へポインタがゆっくりと移動してくるまで、十字ボタン又はスティックを長々と押し続けて待たなければならない。すなわち、軽快に動作すべきデジタルAV機器の操作性が著しく損なわれる。 これを改善するために、十字ボタン又はスティックを操作する時間に応じてポインタの移動速度を加速させるようにすると、待ち時間は短縮されるが、ユーザが希望する再生位置にポインタを停止させずらくなる。すなわち、かえって操作性が更に損なわれることになる。 パソコンで使用されているマウスやトラックボールのようなポインティングデバイスを使用し、タイムバーの任意の位置をユーザに指示してもらう方法も可能である。しかし、ポインティングデバイスの設置面積や設置環境の制限、操作性の問題から、これらをリモコンに代わってデジタルAV機器で採用するのは難しい。」 「【0009】 従って、本発明の目的は、コンテンツの再生開始位置の指示操作の自由度を減らすことなく、簡単な操作で再生開始位置を指示できるデータ再生装置およびデータ再生方法を提供することである。」 「【0047】 まず、本発明のデータ再生装置を適用したデジタルビデオ再生装置の実施の形態の構成について、添付図面を参照して説明する。 図1は、本発明のデジタルビデオ再生装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。デジタルビデオ再生装置1は、HDDやDVDに画像を録画し、録画された画像を再生するデジタルAV機器である。付属のリモコン3により動作を指示することが可能である。デジタルビデオ再生装置1は、ソフトウエアとしての録画部21、再生部22、分割部23を具備する。そして、各種のディスプレイ(例示:プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ:テレビジョン受像機になっているものを含む)に例示される表示装置2に接続されている。デジタルビデオ再生装置1から出力される映像データは、表示装置2の表示画面に表示される。 【0048】 録画部21は、外部入力端子から入力されるデータについて、所定の処理(例示:MPEGに関する画像処理及び音声処理)の実行後に、内蔵するHDDやDVD駆動部にセットされたDVDに映像データとして格納する。あるいは、内蔵するDVD駆動部で操作されるDVDを、所定の処理の実行後に、内蔵するHDDに格納する。 再生部22は、HDDやDVD駆動部のDVDに格納された映像データを所定の処理(例示:MPEGに関する画像処理及び音声処理)の実行後に、表示用映像データとして表示装置2へ出力する。 分割部23は、リモコンからの指示に基づいて、タイムバー(後述)に関するデータとしてのタイムバーデータを生成し、再生部22へ出力する。再生部22は、表示用映像データにタイムバーデータを含ませて表示装置2へ出力する。タイムバーデータは、タイムバーとして表示装置2の表示画面に表示される。」 「【0053】 図4は、表示装置の画面上に表示されるタイムバーを示す図である。分割部23で生成されるタイムバーデータは、図に示すタイムバーを表示する。タイムバー15は、タイムバー本体11、分割線12、ポインタアイコン13及び再生位置アイコン14を含む。更に、小画面16を有していても良い。表示装置2の表示画面20で再生される動画(映像データ)における再生位置を表示する。タイムバー15は、以下の特徴を有する。 (a)タイムバー本体11は、一方の端(図中、左端)が現在再生されている動画の開始点を示し、他方の端(図中、右端)が動画の終了点を示す。すなわち、タイムバー本体11は、その動画の全表示時間を示す。 (b)再生位置アイコン14は、現在再生中の動画の再生位置を示す。 (c)タイムバー本体11には、任意の分割数で等間隔に分割線12が割り当てられている。分割線12の各位置は、その動画の全表示時間をその分割数で分割したときの各時間に対応する。 (d)タイムバー本体11の分割数は、例えばリモコンの上下ボタン操作により、ユーザが任意に増減させることが出来る。 (e)タイムバー本体11には、シーンジャンプ先を指示するポインタアイコン13が表示されている。ポインタアイコン13は、タイムバー本体11の分割線12上における任意の一つの位置を指示する。 (f)ポインタアイコン13は、例えばリモコンの左右ボタン操作により、ユーザがタイムバー本体11上の分割線12を飛び飛びに移動させることが出来る。 (g)ユーザは、任意の分割線12までポインタアイコン13を移動させる。そして、例えばリモコンの決定ボタン操作により、任意の分割線12を指定する。それにより、簡単にシーンジャンプ先を決定する(その分割線12に対応する動画の位置へジャンプする)ことが出来る。 (h)小画面16は、ポインタアイコン13の位置の映像を表示し、内容を確認できるようにする。 【0054】 タイムバーは、映像データに含まれる時間データに基づいて生成される。 タイムバー本体11は、一つの映像データにおける全体を再生する時間(再生時間)を示す。例えば、120分の映像データであれば、タイムバー本体11は、一方の端から他方の端までで120分の映像データを示している。その場合、先頭の映像データと最後の映像データとに含まれる時間データに基づいて120分であると決定する。 再生位置アイコン14は、タイムバー本体11における現在再生中の位置を示す。前述の例では、時間データを参照すると現在再生中の位置が開始から36分目であるとすれば、タイムバー本体11の120分と現在位置36分とに基づいて、右端から3/10の位置に表示される。 分割線12は、予め設定された分割数に基づいて、タイムバー本体11を分割した位置に表示される。予め設定された分割数は、分割部23にプログラムされているか、又は、HDD7に書き換え可能に格納されている。前述の例では、例えば8分割が選択された場合、各分割線12は、0分(左端)、15分(1本目)、30分(2本目)、45分(3本目)、60分(4本目)、75分(5本目)、90分(6本目)、105分(7本目)、120分(右端)となる。 ポインタアイコン13は、分割線12のうちの再生位置アイコン14に最も近い位置に表示される。前述の例では、現在再生中の動画の位置が36分で8分割が選択された場合、2本目の位置にポインタアイコン13が表示される。そして、4本目の分割線が選択された場合、タイムバー本体11の時間的長さ(120分)と分割線12の数(8本)と、ポインタアイコン13のある分割線12の位置(4番目)に基づいて、右端から120分×4/8=60分の時間データを有する位置の動画が選択される。 格納されている一連のファイルデータの大きさに基づいて生成される。ポインタアイコン13は、この形に限定されるものではなく、例えば、分割線12の色を変えて表示するポインタアイコン13’のようにしても良い。その場合、ポインタアイコン13’が遮る画面の領域が少なくてすむ。 小画面16は、ポインタアイコン13の近傍に表示され、ポインタアイコン13の位置に対応する映像を表示する小さな画面である。その映像は、ポインタアイコン13の位置に対応する動画の一フレーム(静止画)や、フレームを間引きした短時間(例示:3秒)の動画、通常の短時間の動画に例示される。フレームジャンプ先の映像が簡単に確認できる。 【0055】 図5は、表示装置の画面上に表示されるタイムバーにおける分割数の増減操作を示す図である。 一番下の表示画面20-1において、動画が再生されているが、タイムバーは、表示されていない。 そこで、ユーザが、リモコン3の上方向キー32aを押すとタイムバーが表示される(図5中、下から2番目の表示画面20-2)。この段階では、タイムバー本体11及び再生位置アイコン14のみが表示され、分割線12、及びポインタアイコン13は表示されない。 続いて、もう一度リモコン3の上方向キー32aを押すと、タイムバー本体11及び再生位置アイコン14に加えて、分割線12及びポインタアイコン13が表示される(図5中、下から2番目の表示画面20-3)。この場合、タイムバー本体11を4分割した分割線12が表示される。ポインタアイコン13は、再生位置アイコン14から一番近い位置に表示される。このとき、小画面16を表示する設定にしていれば、インタアイコン13の近傍に小画面16も同時に表示される。 更に、もう一度リモコン3の上方向キー32aを押すと、タイムバー本体11を8分割した分割線12が表示される(図5中、下から2番目の表示画面20-4)。このようにして、例えば、タイムバー本体11を最大32分割した分割線12まで用意すれば、上方向キー32aを押すことで、「表示なし→4分割→8分割→16分割→32分割」と分割を変更することが出来る。 上記とは逆に、下方向キー32bを押すと、分割線12の数を「32分割→16分割→8分割→4分割→表示なし」と変更することが出来る。 分割数の決定は、決定キー34を押すことで行う。決定後にまた変更したい場合には、再び、上方向キー32aや下方向キー32bを押す。 【0056】 図6は、表示装置の画面上に表示されるタイムバーにおけるシーンジャンプの操作を示す図である。ここでは、表示画面20において、分割数が8のタイムバーが表示されている。 ユーザが、リモコンの右方向キー33aを一度押すと、図中のa1で示すように、ポインタアイコン13は、最初の位置から一つだけ右の分割線12上へジャンプ(移動)する。もう一度右方向キー33aを押すと、図中のa2で示すように、ポインタアイコン13は、更に一つだけ右の分割線12上へジャンプ(移動)する。同様に、ユーザが、リモコンの左方向キー33bを一度押すと、図中のb1で示すように、ポインタアイコン13は、最初の位置から一つだけ左の分割線12上へジャンプ(移動)する。もう一度左方向キー33bを押すと、図中のb2で示すように、ポインタアイコン13は、更に一つだけ左の分割線12上へジャンプ(移動)する。 このとき、図示していないが、小画面16も同時に移動してもよいし、表示画面20の一定の位置にあり、ポインタアイコン13の位置に応じて表示内容だけ変更しても良い。 分割線12のない位置へ移動することは出来ない。ポインタアイコン13による位置の決定は、決定キー34を押すことで行う。それにより、ポインタアイコン13が指し示す位置にシーンジャンプ(移動)し、その位置から動画を再生し始める。 【0057】 次に、本発明のデータ再生装置を適用したデジタルビデオ再生装置の実施の形態の動作(本発明のデータ再生方法を適用したデジタルビデオ再生方法)について、添付図面を参照して説明する。 図7は、本発明のデジタルビデオ再生装置の実施の形態の動作を示すフロー図である。 (1)ステップS1:ユーザが、直接又はリモコンでデジタルビデオ再生装置1(再生部22)を操作し、表示装置2の表示画面20に動画を表示する。 (2)ステップS2:リモコン3は、ユーザにより、タイムバーを表示する操作を受ける。例えば、上方向キー32aを押す操作を受ける。 (3)ステップS3:リモコン3は、デジタルビデオ再生装置1へ上方向キー信号を出力する。 (4)ステップS4:デジタルビデオ再生装置1の分割部23は、先頭の映像データと最後の映像データとに含まれる時間データに基づいてタイムバー本体11を生成する。同時に、現在再生中の動画の時間データを参照して、現在再生中の動画の位置としての現在位置アイコン14を生成する。そして、再生部22は、タイムバー本体11及び現在位置アイコン14を含めて表示画面20に動画を表示する。 (5)ステップS5:リモコン3は、ユーザにより、分割数12を表示/変更する操作を受ける。例えば、上方向キー32a/下方向キー32bを押す操作を受ける。 (6)ステップS6:リモコン3は、デジタルビデオ再生装置1へ上方向キー信号/下方向キー信号を出力する。 (7)ステップS7:デジタルビデオ再生装置1の分割部23は、上方向キー信号/下方向キー信号に対応して予め設定された分割数(図5を参照)を読み出し、タイムバー本体11に対応させて分割線12を生成する。同時に、現在再生中の動画の位置に最も近い分割線12の位置に、ポインタアイコン13を生成する。そして、再生部22は、分割線12、ポインタアイコン13、タイムバー本体11及び現在位置アイコン14を含めて表示画面20に動画を表示する。 ユーザの操作により、ステップS5?S7は繰り返される。 (8)ステップS8:リモコン3は、ユーザにより、分割数を決定する操作を受ける。例えば、決定キー34を押す操作を受ける。 (9)ステップS9:リモコン3は、デジタルビデオ再生装置1へ決定キー信号を出力する。 (10)ステップS10:分割部23は、分割数を決定し、分割線12を固定する。再生部22は、固定された分割線12、ポインタアイコン13、タイムバー本体11及び現在位置アイコン14を含めて表示画面20に動画を表示している。 (11)ステップS11:リモコン3は、ユーザにより、ポインタアイコンで、移動(シーンジャンプ)する位置を指定す操作を受ける。例えば、右方向キー33a/左方向キー33bを押す操作を受ける。 (12)ステップS12:リモコン3は、デジタルビデオ再生装置1へ右方向キー信号/左方向キー信号を出力する。 (13)ステップS13:分割部23は、ポインタアイコン23の位置を変更する。再生部22は、変更されたポインタアイコン13、分割線12、タイムバー本体11及び現在位置アイコン14を含めて表示画面20に動画を表示する。 ユーザの操作により、ステップS11?S13は繰り返される。 (14)ステップS14:リモコン3は、ユーザにより、ポインタアイコン23の位置を決定する操作を受ける。例えば、決定キー34を押す操作を受ける。 (15)ステップS15:リモコン3は、デジタルビデオ再生装置1へ決定キー信号を出力する。 (16)ステップS16:分割部23は、ポインタアイコン23の位置の決定により、移動(シーンジャンプ)する位置を決定する。すなわち、ポインタアイコン23のある分割線12の位置と、分割線12の数と、タイムバー本体11の時間的な長さとに基づいて、移動(シーンジャンプ)する位置としての時間データを決定する。 (17)ステップS17:再生部23は、移動(シーンジャンプ)する位置としての時間データを有する位置を確定する。そして、表示画面20に、その位置の動画から再生する。 【0058】 再生する動画がMPEGデータの場合、再生位置がシステム(プログラム)クロックリファレンスの位置に対応していない場合には、若干の時間(0.5秒以内)だけ表示される動画が乱れる場合がある。それに対処するためには、動画を再生する前に以下のようなタイムテーブルを生成しておく。 【0059】 図8は、タイムテーブルの一例を示す表である。タイムテーブル40は、基準時間41とアドレス42と画像データ43とを関連付けている。ここで、基準時間41は、上述の時間データに対応し、MPEGデータにおけるシステム(プログラム)クロックリファレンスである。全ての動画のフレームに存在するのではなく、概ね0.5秒以下ごとのフレームに割り当てられている。ここでは、時間:分:秒:百分の1秒、で示している。アドレス42は、基準時間42に対応する各動画のデータが格納されているHDDやDVD上の位置を示す。画像データ43は、再生する動画のうちの基準時間41の位置の一フレームの画像データである。数秒程度の動画を示す画像データ(フレームを間引きしているものを含む)でも良い。 【0060】 上記の動作におけるステップS1の際、動画を再生する直前に、動画の映像データを走査し、図8のようなテーブルを作成し、例えばRAM5に格納しておく。 そして、ステップS13において、まず、ポインタアイコン13の操作に応じて、ポインタアイコン13の位置に対応する基準時間41を計算する。次に、タイムテーブル40から基準時間41に対応する画像データ43を取り出す。そして、タイムバーデータにその画像データ43を載せて出力する。そうすることで、タイムバー15に小画面16を表示することができる。 加えて、ステップS17において、移動(シーンジャンプ)する位置を決定するために使用する時間データとして、図8の基準時間41を用いる。時間データの位置を基準時間41の中から確定した後、対応するアドレス42の位置の動画から表示画面20で再生する。例えば、図8の場合、シーンジャンプする位置が3/8の位置とすると、基準時間41として、00:45:00:00(=(02:00:00:00-00:00:00:00)×3/8)に最も近いものを選択する。そして、移動(シーンジャンプ)する位置は、対応するアドレス42となる。」 「【0064】 本発明により、シーンジャンプを行うときの、ジャンプ先を指定する速度を向上することが可能となる。従来のシーンジャンプ先指定方法では、ジャンプ先ポインタアイコンが滑らかに移動するため、ジャンプした居場所にアイコンが移動していくまでの長い間、リモコンのボタンを押し続けねばならなかった。本発明の方式では、分割線ごとにポインタアイコンが移動するため、すばやいジャンプ位置の指定が可能となる。」 「【0066】 本発明により、ジャンプ先位置の指定精度を可変にすることができる。本発明では、ジャンプ先として分割線のみを指定する。それにより、大きく分割して、再生位置を大雑把に指定することや、小さく分割して再生位置を細かく指定することを容易に実行することが可能である。」 「【0068】 本発明により、ポインタアイコン移動時の画面表示を書き換える処理を軽減することができる。従来のジャンプ先指定方法では、タイムバー上をジャンプ先ポインタアイコンが滑らかに移動するため、必然的にポインタアイコンの再描画が多発する。そのため、画面表示を書き換える回数が非常に多くなる。本発明の方法では、ポインタアイコンを分割線の指定に用いるため、タイムバー上を滑らかに移動する必要が無い。結果として画面表示を書き換える回数が減り、処理が軽減される。」 「【0082】 図12は、タイムバーを備える静止画表示装置である。静止画表示装置70は、電子データの複数の静止画を連続して表示する、いわゆるスライドショーを行う。PDA(Personal Digital Assistant)や静止画表示機能のついたAV機器に例示される。 【0083】 静止画表示装置70は、表示画面75に、タイムバー本体11c、分割線12c、ポインタアイコン13c、再生位置アイコン14c、小画面16cが表示される。操作は、静止画表示装置70上の十字ボタン71(上方向キー72a、下方向キー72b、右方向キー73a、左方向キー73b、決定キー74)で行う。小画面16bには、ジャンプ先の静止画が表示される。動画の場合のような時間データではなく、例えば静止画の枚数を示すデータを用いるほかは、動作は上述の通りなのでその説明を省略する。」 「【図4】 」 「【図12】 」 (イ)甲第2号証に記載された発明 甲第2号証には、データ再生方法が記載され、以下の構成を含む。 段落【0001】、【0047】によると、『映像データを再生して表示する』。 段落【0048】、【0053】、図4によると、『タイムバーデータを生成し、表示用映像データにタイムバーデータを含ませて表示装置へ出力して、動画と共に表示画面にタイムバーを表示することであって、タイムバーは、現在再生中の動画の再生位置を示す再生位置アイコンを含む』。 段落【0053】によると、『タイムバーに含まれるポインタアイコンを移動させるリモコンの左右ボタン操作で、任意の分割線までポインタアイコンを移動させる』。 段落【0054】、【0057】、【0083】、図4、図12によると、『表示画面に動画を表示して、リモコンは、ユーザによりポインタアイコンの移動位置を指定する操作を受けると、タイムバー本体および現在位置アイコンの再生位置に対応する動画と共に、現在位置アイコンの再生位置とは異なるポインタアイコンの位置に対応する映像の小画面を表示することであって、小画面は、現在位置アイコンの再生位置に対応して表示画面に表示される動画とは表示位置及び表示サイズが異なる』。 以上より、甲第2号証には次の発明が記載されていると認められる。以下この発明を甲2発明という。 (甲2発明) (2a)映像データを再生して表示し、 (2b)タイムバーデータを生成し、表示用映像データにタイムバーデータを含ませて表示装置へ出力して、動画と共に表示画面にタイムバーを表示することであって、タイムバーは、現在再生中の動画の再生位置を示す再生位置アイコンを含み、 (2c)タイムバーに含まれるポインタアイコンを移動させるリモコンの左右ボタン操作で、任意の分割線までポインタアイコンを移動させ、 (2d)表示画面に動画を表示して、リモコンは、ユーザによりポインタアイコンの移動位置を指定する操作を受けると、タイムバー本体および現在位置アイコンの再生位置に対応する動画と共に、現在位置アイコンの再生位置とは異なるポインタアイコンの位置に対応する映像の小画面を表示することであって、小画面は、現在位置アイコンの再生位置に対応して表示画面に表示される動画とは表示位置及び表示サイズが異なる、 (2e)方法。 ((2a)?(2e)は、甲2発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成2a」等という。) イ 甲第4号証 甲第4号証(特開2005-33534号公報)には、「録画装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0113】 これらの録画機112、録画機113、録画機114、録画機115は、例えば放送局110から放送された番組を受信し、その番組を録画することができる。 【0114】 この放送も、例えば図1では衛星放送を想定して描いているが、必ずしも衛星放送に限るものではなく、地上放送でも構わないし、アナログ放送でもデジタル放送でも構わない。 (略) 【0116】 又、例えばCATV放送等であっても構わないし、インターネットを経由して配信されるような、放送であっても構わないし、その他各種ネットワークを使って放送或いは配信されるものであっても構わないし、オンデマンド方式(VOD)で配信されるような、放送であっても構わない。」 上記記載によると、甲第4号証には、『オンデマンド方式で配信される放送を受信して録画する』技術が記載されている。 ウ 甲第5号証 甲第5号証(特開平11-185317号公報)には、「ディジタルデータ記録再生方法および装置、ディジタルデータ記録方法および装置、ディジタルデータ再生方法および装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「【0056】[2]放送受信時にコマーシャル部分を特定してスキップ記録する方式 次に、放送番組の記録時にコマーシャル部分をスキップして記録することによって、コマーシャルスキップを実現する方式について説明する。 【0057】図3は、キュー情報を用いて、ディジタル放送のトランスポートストリームに挿入されたコマーシャル部分をスキップして記録する動作を示している。 【0058】受信手段は、放送番組を受信してその全内容をモニタし、キュー情報102を抽出することによりイン点およびアウト点を調べる。そして、イン点からアウト点までのコマーシャル部分CMでは、記録装置の記録動作を停止してコマーシャル部分CMが記録媒体に記録されないように制御される。 【0059】この手法によれば、記録媒体にはコマーシャル部分CMが記録されずに本放送部分A、および本放送部分A’のみが続けて記録されるため、再生時に特別な動作を行う必要がなく、図3(c)のような再生データが得られる。これにより、通常の再生動作によってコマーシャルスキップが実現される。 【0060】図4は、上述したコマーシャルスキップ方式を実現するためのディジタルデータ記録再生装置の構成例を示している。 【0061】放送局から送られて受信回路30で受信された受信ストリームは、VTR装置などのテープドライブ31に供給されると共に、キュー情報検出回路32にも供給される。キュー情報検出回路32は、受信ストリーム中のキュー情報を検出し、検出されたキュー情報からコマーシャル部分のイン点とアウト点を調べ、そのコマーシャル部分をスキップして記録するように、記録制御信号によりテープドライブ31の動作が制御される。このような制御方法として、最も単純には検出されたイン点とアウト点の間だけ記録動作を停止するようにすればよい。 【0062】(略) 【0063】 これにより、磁気テープ35には、コマーシャル部分CMが記録されずに本放送部分A、および本放送部分A’のみが続けて記録されるため、通常の連続的な再生動作によってコマーシャルスキップが実現される。 【0064】このように、ディジタル放送のストリームを受信しながら、そのストリームに含まれるキュー情報を検出し、検出されたキュー情報からコマーシャルのイン点アウト点を調べることにより、コマーシャルの部分をスキップして記録媒体に記録するようにすることができる。」 上記記載によると、甲第5号証には、『コマーシャルをスキップして放送番組を記録する』技術が記載されている。 (4)対比・判断 ア 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 (ア)構成要件Aと構成2aとを対比する。 甲2発明は、「映像データを再生して表示」するから、「表示のためのビデオを生成する」ことは明らかである。 したがって、本件発明1と甲2発明とは、「表示のためのビデオを生成する」ことで一致する。 (イ)構成要件Bと構成2bとを対比する。 甲2発明の「タイムバー」は、本件発明1の「転送バー」に相当し、甲2発明の「現在再生中の動画の再生位置を示す再生位置アイコン」は、本件発明1の「前記ビデオの現在の再生位置のインジケータ」に相当する。 甲2発明の「タイムバー」は、「動画」とともに表示される。 したがって、本件発明1と甲2発明とは、「前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成することであって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む」ことで一致する。 (ウ)構成要件Cと構成2c、2dとを対比する。 甲2発明は、「タイムバーに含まれるポインタアイコンを移動させるリモコンの左右ボタン操作で、任意の分割線までポインタアイコンを移動させ、」「リモコンは、ユーザによりポインタアイコンの移動位置を指定する操作を受ける」から、「前記転送バー上の他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信する」ことで、本件発明1と共通する。 しかしながら、「他の再生位置」が、本件発明1においては「任意の時点における再生位置」であるのに対し、甲2発明においては、「任意の時点における再生位置」ではなく、任意の分割線における再生位置である点で相違する。 (エ)構成要件Dと構成2dとを対比する。 甲2発明の「表示画面に動画を表示して、リモコンは、ユーザによりポインタアイコンの移動位置を指定する操作を受けると、タイムバー本体および現在位置アイコンの再生位置に対応する動画と共に、現在位置アイコンの再生位置とは異なるポインタアイコンの位置に対応する映像の小画面を表示すること」は、「前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示する」ことといえる。 しかしながら、「他の再生位置」が、本件発明1においては、「任意の時点における」他の再生位置であるのに対し、甲2発明においては、「任意の時点における」他の再生位置ではなく、「任意の分割線における」他の再生位置である点で相違する。この相違点は、上記(ウ)の相違と同じである。 また、甲2発明の「小画面は、現在位置アイコンの再生位置に対応して表示画面に表示される動画とは表示位置及び表示サイズが異なる」ことは、「前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される」ことといえる。 したがって、本件発明1と甲2発明とは、「前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示することであって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される」ことで共通する。 しかしながら、「前記他の再生位置」が相違する点は、上記(ウ)のとおりである。 (オ)構成要件Eと構成2eとは、「方法」として一致する。 (カ)以上まとめると、本件発明1と甲2発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 表示のためのビデオを生成することと、 前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成することであって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む、ことと、 前記転送バー上の他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信することと、 前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示することであって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される、ことと を含む、方法。 (相違点) 「他の再生位置」が、本件発明1においては「任意の時点における再生位置」であるのに対し、甲2発明においては、「任意の時点における再生位置」ではなく、任意の分割線における再生位置である点 イ 判断 甲2発明の「任意の分割線における再生位置」を、「任意の時点における再生位置」にすることができるか検討する。 甲第2号証の段落【0053】には、「(d)タイムバー本体11の分割数は、例えばリモコンの上下ボタン操作により、ユーザが任意に増減させることが出来る。」と記載され、段落【0066】には、「本発明により、ジャンプ先位置の指定精度を可変にすることができる。本発明では、ジャンプ先として分割線のみを指定する。それにより、大きく分割して、再生位置を大雑把に指定することや、小さく分割して再生位置を細かく指定することを容易に実行することが可能である。」と記載されていることを考慮すると、分割線を増やすこと、すなわち、分割数を多くすることは想定され、非常に多くすることも想定される。 しかしながら、甲2発明の「任意の分割線における再生位置」を、「任意の時点における再生位置」にすることは、困難であると認められる。その理由は次のとおりである。 甲第2号証の段落【0064】には、「従来のシーンジャンプ先指定方法では、ジャンプ先ポインタアイコンが滑らかに移動するため、ジャンプした居場所にアイコンが移動していくまでの長い間、リモコンのボタンを押し続けねばならなかった。本発明の方式では、分割線ごとにポインタアイコンが移動するため、すばやいジャンプ位置の指定が可能となる。」と記載され、段落【0068】には、「従来のジャンプ先指定方法では、タイムバー上をジャンプ先ポインタアイコンが滑らかに移動するため、必然的にポインタアイコンの再描画が多発する。そのため、画面表示を書き換える回数が非常に多くなる。本発明の方法では、ポインタアイコンを分割線の指定に用いるため、タイムバー上を滑らかに移動する必要が無い。結果として画面表示を書き換える回数が減り、処理が軽減される。」と記載されており、甲2発明は、ジャンプ先ポインタアイコンが滑らかに移動する、すなわち、分割線ごとではなく無段階に移動する、従来のものから、ジャンプ先ポインタアイコンが分割線毎に移動するようにするものである。 したがって、無段階に移動可能であった従来の技術において、すばやいジャンプ位置を指定可能にするために、分割線ごとの移動を可能にした甲2発明を、従来の技術のように無段階に移動可能にする動機付けは、甲第2号証には開示されていない。 また、甲第4号証、甲第5号証に記載された技術をみても、甲2発明における「任意の分割線における再生位置」を「任意の時点における再生位置」にする動機付けはない。 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明に基づいて、当業者が容易になし得るものではない。 本件発明2?3、5、8?10は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用するから、本件発明1と同じ理由で、甲2発明に基づいて、当業者が容易になし得るものではない。 本件発明11は、本件発明1とカテゴリーが異なる発明であるから、本件発明1と同様な理由で、甲2発明に基づいて、当業者が容易になし得るものではない。 本件発明12?13、15、18?20は、請求項11の記載を直接又は間接的に引用するから、本件発明11と同じ理由で、甲2発明に基づいて、当業者が容易になし得るものではない。 (5)特許異議申立理由について 特許異議申立人は、本件発明1?7、9、10は、甲第1号証に記載された発明であり、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明と甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得、本件発明8は、甲第1号証に記載された発明と甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得、本件発明11?20は、本件発明1?10とカテゴリが異なる発明であるから、本件発明1?10と同様であると主張し、 特許異議申立人は、本件発明1?4、6、7、9、10は、甲第2号証に記載された発明であり、本件発明5は、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得、本件発明8は、甲第2号証に記載された発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得、本件発明11?20は、本件発明1?10とカテゴリが異なる発明であるから、本件発明1?10と同様であると主張し、 特許異議申立人は、請求項1?11について明確性要件を満たさず、請求項4、8、11については、サポート要件・実施可能要件を満たさず、請求項12?20は、実質的に請求項2?10と同一なので、請求項2?10と同様な記載不備があると主張する。 それぞれについて以下検討する。 ア 甲第1号証に記載された発明に基づく新規性、進歩性の欠如 (ア)甲号証の記載 (ア-1)甲第1号証 (ア-1-1)甲第1号証の記載 甲第1号証(特開2002-185917号公報)には、「ビデオデータを提供する方法およびビデオインデックス付けのためのデバイス」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【要約】 【課題】 ビデオあるいは他のデータストリームの位置にアクセスし、探すことを目的とする。 【解決手段】 ジャンプすることができる位置を示すタイムラインに、多数のビデオスナップショットが表示されるシステムが提供される。サーバに対して低解像接続を開き、進行方向のビデオセグメントを受信し、これを要約して、スナップショットを選択する。スナップショットは、ユーザがタイムラインの位置を選択する参照フレームあるいはより高い解像ビデオの位置にリンクされ、表示される。後方のビデオセグメントは、低解像接続、あるいは予め再生されたビデオから同様に要約されてもよい。ビデオが進行するにつれて、新しい進行方向のビデオセグメントが受信され、新しいビデオスナップショットが、再生されるビデオに非常に接近して表示される。」 「【0028】ビデオストリーム315の現在のプレイバック位置の後のポイントでビデオインデックス付けを実行するために、デバイス320は、ビデオストリーム315のルックアヘッドデータの送信のために第2の接続310を開く。デバイス320は、要約されるルックアヘッドデータ315を受信し、キーフレームは、本発明による表示を行い、ビデオストリーム315の現在のプレイバック位置の前後のポイントにインデックスビデオを有するためにデバイス320によって選択され、利用される。プレイバックされるビデオを含むユーザインタフェースは、ディスプレイデバイス330上に表示される。」 「【0030】図4は、コマンド325によって呼び出され、デバイス320で実行するビデオアプリケーションによってディスプレイデバイス330に表示されたビデオのような、ビデオのプレイバック中の本発明の実施形態のスクリーンショットである。ビデオ400は、ビデオアプリケーションによって再生されるビデオデータストリームの現在のプレイバック位置を表示する。ビデオ制御装置410(休止/プレイボタン)およびスライドバー415は、現在のプレイバック位置のユーザ制御およびユーザ移動を可能にする。他の実施形態は、ステップおよび/またはスキップバックおよびフォワードの機能、高速早送り、高速巻き戻し、開始に進む、終了に進む、次のインデックス付ポイントへジャンプする、最後のインデックス付ポイントへジャンプする、およびビデオプレイバックデバイスに関連されてもよい任意の他の種類の制御を含んでいる。スライドバー415は、ビデオにおける他のポイントと一致しているビデオの近似位置を示すタイミングマークを有するタイムライン(例えば、0:00..33:30)とともに表示される。代替的に、タイムラインで表示される全ビデオセグメントの代わりに、ビデオの任意の選択部はタイムラインで表示されてもよい。 【0031】 黒くされた部分420は、ビデオの現在のプレイバック位置に非常に接近してビデオ内のフレームあるいは位置のセットを示す。黒くされた部分420は、現在のビデオプレイバック位置を示すより正確なポイント425のインジケータを含む。本例では、黒くされた部分に対応するプレイバックビデオの位置/フレームは、約14:56から18:22までの時間を示す。ビデオのこの部分は、要約され、キーフレームは選択されている(ここでのキーフレームは、ビデオの位置を参照するためにスナップ画像として利用するフレームを決定するための任意の方法を使用する選択フレームと呼ばれる)。要約されたビデオの選択および選択されたキーフレームは、ビデオあるいは1つあるいはそれ以上のルックアヘッド/ルックビハインドチャネルを介して受信されたビデオデータの受信された全ビデオチャネルのいずれかから生じた。ルックアヘッド/ルックビハインドチャネルは参照だけのためのスナップ画像を発生するために使用されるので、このようなチャネルは、ビデオが再生されている間、参照するのに必要とされるスナップ画像を迅速に発生するためにこのデータ高速転送を可能にする減少されたフレーム速度、解像あるいは他の品質を有する低帯域幅チャネルであることが好ましい。しかしながら、十分な帯域幅が可能である場合、ルックアヘッド/バックデータを検索するために、全解像接続が使用されてもよい。 【0032】スナップ画像1440、1445、1450、および1460は、プレイバックされるビデオのそれぞれのタイムフレームで画像を示し、本発明の一実施形態によれば、スライドバー415の位置によって示されるように現在のプレイバック位置425に非常に接近しているフレームとだけ関連している。しかしながら、本発明の他の実施形態は、プレイバックされるビデオのより広範囲の位置からプレイバックされるビデオのキーフレームあるいは他の関連フレームあるいは部分を選択できる。(例えば、一実施形態では、キーフレームは全ビデオクリップから選択されてもよい。)しかしながら、本発明者は、(例えば、現在精査中であるビデオのポイントにあまり関連しないプレイバックされているビデオの位置を示すために限られた空間を費やす代わりに、プレイバックされるビデオの現在の位置の周辺により詳細を与えることによって、)現在のプレイバック位置に非常に接近しているものからの選択フレームがビデオクリップをナビゲートするユーザのために意味があり、役に立つ情報を提供することを発見した。 【0033】一実施形態では、参照スナップは、ビデオのプレイバックの一般速度とペースを合わせる所定の間隔で更新される。例えば、更新が(略)20秒毎の間隔で生じる場合、現在のプレイバック位置に非常に接近している全ビデオデータは要約され、キーフレームは、選択され、新しいスナップは(略)この時間内にビデオプレイヤー上に再表示される。他の実施形態では、スナップの各々は、スナップ1440?1460のいずれかがいつでも他のキーフレームと置き換えられるように実時間および/または連続的に更新され、他のキーフレームは現在のプレイバック位置により関連するようになり、非常に接近している範囲内で生じる。もう一つの他の代替例では、低解像接続は、現在のプレイバック位置の前後で所定の間隔でプレイバック位置を連続して提供するために使用され、スナップは、現在のビデオプレイバック位置の近くにスナップを移動させる低解像である。」 「【0036】ステップ560は、ユーザからのタイムステップ要求を行う方法を示す。ユーザは、高速検出、巻き戻しあるいは他のタイムステップ動作(ステップ560)を実行し、ステップ530、540、および560は、ビデオ(あるいは他のデータストリーム)の新しい位置に対して繰り返される。したがって、ファスト・フォワードおよび/またはファスト・リワインド・データの再表示の開始は新しいビデオ位置に従って更新した。」 「【図4】 」 (ア-1-2)甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、ビデオデータを提供する方法が記載され、以下の構成を含む。 段落【0028】、【0030】によると、『再生されるビデオを表示する』。 段落【0030】、【0031】、図4によると、『ビデオと共に、タイムラインを表示することであって、タイムラインは、ビデオの現在の再生位置を示すポイントのインジケータを含む』。 【要約】、段落【0030】によると、『現在の再生位置の移動のため、スライドバーとともに表示されるタイムラインの位置をユーザが選択する』。 段落【0030】?【0033】、【0036】によると、『ビデオが再生されているときに、現在の再生位置の移動のため、スライドバーとともに表示されるタイムラインの位置をユーザが選択すると、スライドバー及び移動した現在の再生位置のビデオと共に、スナップ画像1440?1460を、移動した現在の再生位置の前後のフレーム(キーフレーム)に更新して表示することであって、スナップ画像1440?1460は、移動した現在の再生位置のビデオと表示位置及び表示サイズが異なる』。 以上より、甲第1号証には次の発明が記載されていると認められる。以下この発明を甲1発明という。 (甲1発明) (1a)再生されるビデオを表示し、 (1b)ビデオと共に、タイムラインを表示することであって、タイムラインは、ビデオの現在の再生位置を示すポイントのインジケータを含み、 (1c)現在の再生位置の移動のため、スライドバーとともに表示されるタイムラインの位置をユーザが選択し、 (1d)ビデオが再生されているときに、現在の再生位置の移動のため、スライドバーとともに表示されるタイムラインの位置をユーザが選択すると、スライドバー及び移動した現在の再生位置のビデオと共に、スナップ画像1440?1460を、移動した現在の再生位置の前後のフレーム(キーフレーム)に更新して表示することであって、スナップ画像1440?1460は、移動した現在の再生位置のビデオと表示位置及び表示サイズが異なる、 (1e)方法。 ((1a)?(1e)は、甲1発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成1a」等という。) (ア-2)甲第3号証 甲第3号証(特開2000-125260号公報)には、「動画像伝送サーバおよび同サーバを用いた動画像伝送システム並びに動画像伝送制御方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、クライアント端末に動画像ファイルをストリーミング再生させるための動画像伝送サーバおよび同サーバを用いた動画像伝送システム並びに動画像伝送制御方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、インターネットなどのネットワークを介して、動画像ファイルをサーバからクライアント端末に配信する技術が開発され始めている。このような動画像伝送システムにおいては、ストリーミング再生(またはストリーミング型データ転送)と称される技術が利用されている。ストリーミング再生とは、動画像ファイルの全データをクライアント端末に取り込んでから再生を始めるのではなく、データが届いたときにそのつどクライアント端末側で再生を行なうという形式である。」 「【0067】また、本実施形態ではネットワークとしてインターネットを想定して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本実施形態ではクライアント端末の数を3つに、サーバの数を1つにしているが、クライアント端末の数及びサーバの数はこれに限定されるものではない。さらに、本発明はビデオオンデマンドシステムなどの動画像伝送システムにも適用することができる。」 上記記載によると、甲第3号証には、『動画伝送サーバからクライアント端末へストリーミング再生による動画を配信するにあたり、ビデオオンデマンドシステムを適用する』技術が記載されている。 (イ)対比・判断 (イ-1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (イ-1-1)構成要件Aと構成1aとを対比する。 甲1発明は、「再生されるビデオを表示」するから、「表示のためのビデオを生成する」ことは明らかである。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「表示のためのビデオを生成する」ことで一致する。 (イ-1-2)構成要件Bと構成1bとを対比する。 甲1発明の「タイムライン」は、本件発明1の「転送バー」に相当し、甲1発明の「ビデオの現在の再生位置を示すポイントのインジケータ」は、本件発明1の「前記ビデオの現在の再生位置のインジケータ」に相当する。 甲1発明の「タイムライン」は、「ビデオ」とともに表示される。 したがって、本件発明1と甲2発明とは、「前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成することであって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む」ことで一致する。 (イ-1-3)構成要件Cと構成1cとを対比する。 甲1発明は、「現在の再生位置の移動のため、スライドバーとともに表示されるタイムラインの位置をユーザが選択」するから、「前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信する」ことで、本件発明1と一致する。 (イ-1-4)構成要件Dと構成1dとを対比する。 甲1発明の「ビデオが再生されているときに、現在の再生位置の移動のため、スライドバーとともに表示されるタイムラインの位置をユーザが選択すると、スライドバー及び移動した現在の再生位置のビデオと共に、スナップ画像1440?1460を、移動した現在の再生位置の前後のフレーム(キーフレーム)に更新して表示することであって、スナップ画像1440?1460は、移動した現在の再生位置のビデオと表示位置及び表示サイズが異なる」(下線は強調のため当審で付与した。)は、本件発明1と「前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示する」ことにおいて共通する。 しかしながら、「現在の再生位置」が、本件発明1においては、「前記現在の再生位置」であって、構成要件Cにおけるユーザ入力を受信する際の現在の再生位置であるのに対し、甲1発明においては、「移動した」現在の再生位置である点で相違する。 (イ-1-5)構成要件Eと構成2eとは、「方法」として一致する。 (イ-2)判断 上記(イ-1)のとおり、本件発明1と甲1発明とを対比すると、相違する点があり、本件発明1は、甲1発明ではない。 特許異議申立人は、本件発明1?7、9、10は甲1発明であると主張しているが、上記のとおりであるから、特許異議申立人の主張は採用できない。 特許異議申立人は、本件発明5は、甲1発明と甲第3号証に記載された発明の基づいて当業者が容易になし得たと主張するが、本件発明5は、請求項1を引用し、本件発明1と甲1発明の相違点は、甲第3号証には開示されておらず、当業者が容易になし得たものとは認められない。 また、特許異議申立人は、本件発明8は、甲1発明と甲第5号証に記載された発明の基づいて当業者が容易になし得たと主張するが、本件発明8は、請求項1を引用し、本件発明1と甲2発明の相違点は、甲第5号証には開示されておらず、当業者が容易になし得たものとは認められない。 本件発明11?20は、本件発明1?10とカテゴリが異なる発明であるから、本件発明1?10と同様である。 (ウ)甲1発明と異なる甲第1号証に記載された発明に基づく主張について 特許異議申立人は、異議申立書19?24頁において、「甲1発明’」に基づく新規性欠如の主張をしているので、検討する。 甲1発明’は、次のとおりである(特許異議申立書22頁)。 (甲1発明’) 甲1A:再生されるビデオを表示する。 甲1B:ビデオ400と共に、スライドバー415を表示することであって、スライドバー415は、ビデオ400の現在の再生位置を示すポイント425のインジケータを含む。 甲1C’:スナップ画像に関連する任意の位置のキーフレームを選択するため、スライドバー415とともに表示されるタイムラインを選択する。 甲1D’:ビデオ400が再生されているときに、スライドバー415とともに表示されるタイムラインを選択すると、スライドバー415及び現在の再生位置のビデオ400と共に、スナップ画像に、選択した位置のタイムラインに一致するポイントのキーフレームを選択して表示することであって、スナップ画像は、現在の再生位置のビデオ400と表示位置及び表示サイズが異なる。 甲1E’:甲1A?甲1D’を含む方法。 構成要件甲1D’が、甲第1号証に記載されているか検討する。 特許異議申立人は、根拠として、段落【0030】、【0032】、【0035】を挙げている。 段落【0030】、【0032】、【0035】の記載は次のとおりである(下線は当審で付与した。) 「【0030】 図4は、コマンド325によって呼び出され、デバイス320で実行するビデオアプリケーションによってディスプレイデバイス330に表示されたビデオのような、ビデオのプレイバック中の本発明の実施形態のスクリーンショットである。ビデオ400は、ビデオアプリケーションによって再生されるビデオデータストリームの現在のプレイバック位置を表示する。ビデオ制御装置410(休止/プレイボタン)およびスライドバー415は、現在のプレイバック位置のユーザ制御およびユーザ移動を可能にする。他の実施形態は、ステップおよび/またはスキップバックおよびフォワードの機能、高速早送り、高速巻き戻し、開始に進む、終了に進む、次のインデックス付ポイントへジャンプする、最後のインデックス付ポイントへジャンプする、およびビデオプレイバックデバイスに関連されてもよい任意の他の種類の制御を含んでいる。スライドバー415は、ビデオにおける他のポイントと一致しているビデオの近似位置を示すタイミングマークを有するタイムライン(例えば、0:00..33:30)とともに表示される。代替的に、タイムラインで表示される全ビデオセグメントの代わりに、ビデオの任意の選択部はタイムラインで表示されてもよい。」 「【0032】 スナップ画像1440、1445、1450、および1460は、プレイバックされるビデオのそれぞれのタイムフレームで画像を示し、本発明の一実施形態によれば、スライドバー415の位置によって示されるように現在のプレイバック位置425に非常に接近しているフレームとだけ関連している。しかしながら、本発明の他の実施形態は、プレイバックされるビデオのより広範囲の位置からプレイバックされるビデオのキーフレームあるいは他の関連フレームあるいは部分を選択できる。(例えば、一実施形態では、キーフレームは全ビデオクリップから選択されてもよい。)しかしながら、本発明者は、(例えば、現在精査中であるビデオのポイントにあまり関連しないプレイバックされているビデオの位置を示すために限られた空間を費やす代わりに、プレイバックされるビデオの現在の位置の周辺により詳細を与えることによって、)現在のプレイバック位置に非常に接近しているものからの選択フレームがビデオクリップをナビゲートするユーザのために意味があり、役に立つ情報を提供することを発見した。」 「【0035】 ステップ550で、タイムラインが表示される。(例えば、選択フレーム、キーフレームを含む)インデックスデータは、ビデオが進む時にタイムラインに関して表示される。ステップ530、540、および550は、ビデオのプレイバック位置に対して参照スナップフレームの流れを保持するように繰り返される。前述されるように、現在のプレイバック位置に非常に接近しているビデオのポイントからあるいは現在のプレイバック位置、あるいは任意の選択位置の前後の所定のポイントで選択されるスナップが選択されてもよい。」 段落【0032】の記載は、スナップ画像が、現在のプレイバック位置425に非常に接近したフレームだけに関連するものでなく、より広範囲の位置からプレイバックされるビデオのキーフレームを選択できることを意味している。 また、段落【0035】の記載は、選択フレーム、キーフレームを含むインデックスデータが、「現在のプレイバック位置に非常に接近しているビデオのポイントからあるいは現在のプレイバック位置、あるいは任意の選択位置の前後の所定のポイントで選択されるスナップが選択されてもよい」ことを意味している。 さらに、段落【0030】の記載は、タイムラインが全ビデオセグメントではなく、選択されたタイムラインで表示されてもよいことを意味している。 特許異議申立人は、「現在の再生位置を移動させることなく、キーフレーム(フレーム画像)を新たに選択することで、任意の位置のスナップ画像1440?1460を新たに表示する内容」が開示されている(特許異議申立書19頁19?21行)と主張しているが、上記のとおりであって、当該内容が開示されているとは認められず、甲第1号証には、構成要件1D’が記載されているとは認められない。 したがって、甲1発明’に基づく主張は採用できない。 イ 甲第2号証に記載された発明に基づく新規性、進歩性の欠如 特許異議申立人は、本件発明1?4、6、7、9、10は、甲2発明であり、本件発明5は、甲2発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものであり、本件発明8は、甲2発明及び甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものであると主張し、さらに、本件発明11?20は、本件発明1?10とカテゴリが異なる発明であるから、本件発明1?10と同様であると主張する。 しかしながら、異議申立人の主張は採用できない。理由は以下のとおりである。 本件発明1?3、5、8?10、11?13、15、18?20に対して、平成28年11月15日付けで通知された取消理由は、上記(2)のとおりであり、本件発明1?3、5、8?10、11?13、15、18?20について、異議申立人の主張が採用できない理由は、上記(4)を援用する。 取消理由が通知されていない本件発明4、6、7、14、16、17について検討する。 本件発明4、6、7は、本件発明1を間接的に引用し、本件発明1と甲2発明とを対比すると、上記(4)アのとおり、相違点があり、一致しないから、本件発明4、6、7は甲2発明ではない。 また、本件発明14、16、17は、本件発明4、6、7とカテゴリが異なる発明であるから、本件発明4、6、7と同様である。 ウ 記載不備 (ア)請求項1 特許異議申立人は、請求項1において、現在の再生位置とは異なる再生位置に関連付けられたビデオの画像がバッファリングすることまでは規定されていないので、請求項1の記載ぶりでは、現在の再生位置とは異なる再生位置に関連付けられたビデオの画像を何故表示できるのかが明確でないと主張する(特許異議申立書86頁)。 しかしながら、本件発明1は、「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、・・・前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示する」と規定しているのであって、この文言自体は明確である。そして、本件特許明細書の段落【0042】?【0047】及び図6において、上記規定について説明しており、記載不備とは認められない。 また、特許異議申立人は、請求項1において、「前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記現在の再生位置とは異なる再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示する」について、何故、上記のようなユーザ入力で、現在の再生位置とは異なる再生位置に関連付けられたビデオの画像の表示指示を、ユーザが入力できるのかが明確でないと主張する。 しかしながら、「ユーザ入力」自体は明確であり、本件特許明細書の段落【0043】に、ユーザの巻き戻し要求または早送り要求に対応してプレビュー画像を表示することが記載されており、記載不備とは認められない。 (イ)請求項2、3 特許異議申立人は、本件発明2、3は、本件発明1を引用し、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書88頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明2、3は明確である。 (ウ)請求項4 (ウ-1)明確性(その1) 特許異議申立人は、本件発明4は、本件発明1を引用するから、本件発明1と同様に明確でないと主張する(特許異議申立書89頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明4は明確である。 (ウ-2)明確性(その2) 特許異議申立人は、本件発明3では「現在の再生位置よりも”後”の再生位置」に限定したにもかかわらず、本件発明4では。「現在の再生位置の”前”の再生位置」を規定することから、両者の間で、現在の再生位置より「後」又は「前」という点で整合性が取れておらず、この点で本件発明4は明確でないと主張する(特許異議申立書89頁)。 しかしながら、本件発明4は本件特明3を引用しており、本件発明3においては「現在の再生位置よりも”後”の再生位置」について限定し、本件発明4においては「現在の再生位置の”前”の再生位置」を規定しているのであり、本件発明4は理解でき、明確でないとはいえない。 (ウ-3)サポート要件・実施可能要件 特許異議申立人は、本件発明4の「前記現在の再生位置の前に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む巻き戻しストリーム」は、本件特許明細書の記載に対して広すぎるので、この広すぎる部分について、サポート要件(特許法第36条第6項第1号)及び実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)が満たされないと主張する(特許異議申立書90頁)。 しかしながら、「前記現在の再生位置の前に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む巻き戻しストリーム」は、図6の632にあたることは明らかであり、サポートされており、当業者が実施できる程度に記載されていると認められる。 (エ)請求項5 特許異議申立人は、本件発明5は、本件発明1を引用し、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書92頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明5は明確である。 (オ)請求項6 (オ-1)明確性(その1) 特許異議申立人は、本件発明6は、本件発明1を引用し、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書92頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明6は明確である。 (オ-2)明確性(その2) 特許異議申立人は、本件発明6は、明確でないと主張する(特許異議申立書93頁)が、本件発明6は、請求項6の記載の文言どおりに理解でき、明確である。 (カ)請求項7 (カ-1)明確性(その1) 特許異議申立人は、本件発明7は、本件発明1を引用し、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書94頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明7は明確である。 (カ-2)明確性(その2) 特許異議申立人は、本件発明7は、明確でないと主張する(特許異議申立書94頁)が、本件発明7は、請求項7の記載の文言どおりに理解でき、明確である。 (キ)請求項8 (キ-1)明確性 特許異議申立人は、本件発明8は、本件発明1を引用し、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書94頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明8は明確である。 (キ-2)サポート要件・実施可能要件 本件発明8は、訂正され、上記2(2)ア(オ)のとおり、本件特許明細書の段落【0044】に記載されており、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明8を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていると認められる。 (ク)請求項9、10 特許異議申立人は、本件発明9、10は、本件発明1を引用し、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書95?96頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明9、10は明確である。 (ケ)請求項11 (ケ-1)明確性(その1) 特許異議申立人は、本件発明11は、本件発明1とカテゴリが相違するだけであって、本件発明1と同様に、明確でないと主張する(特許異議申立書96頁)が、本件発明1が明確であることは上記(ア)のとおりであるから、本件発明11は明確である。 (ケ-2)明確性(その2)、サポート要件・実施可能要件 本件発明11は、訂正され、上記2(2)イ(イ)のとおり、本件特許明細書の段落【0018】、段落【0035】?【0036】、段落【0039】?【0042】および図2の記載によってサポートされており、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明11を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていると認められる。 (コ)請求項12?20 特許異議申立人は、本件発明12?20は、いずれもシステムに係る発明であるが、内容的には上述した本件発明2?10と実質的に同一なので、本件発明2?10と同様な記載不備があると主張するが、記載不備がないのは上記のとおりであるから、特許異議申立人の主張は採用できない。。 4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?20に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 表示のためのビデオを生成することと、 前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成することであって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む、ことと、 前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信することと、 前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示することであって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される、ことと を含む、方法。 【請求項2】 前記ビデオの前記画像は、ビデオを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記画像に関連付けられた前記他の再生位置は、前記現在の再生位置よりも後の再生位置に対応する、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記現在の再生位置の前に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む巻き戻しストリームを受信することと、 巻き戻しバッファ内に前記受信された巻き戻しストリームをキャッシュすることと、 表示のために、前記現在の再生位置の前の再生位置に関連付けられた巻き戻しカーソルを生成することと をさらに含む、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記ビデオは、ビデオオンデマンドソースから受信される、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記現在の再生位置の後に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む早送りストリームを受信することと、 早送りバッファ内に前記受信された早送りストリームをキャッシュすることと、 表示のために、前記現在の再生位置よりも後の前記他の再生位置に関連付けられた早送りカーソルを生成することと をさらに含む、請求項3に記載の方法。 【請求項7】 前記早送りカーソルは、前記キャッシュされた早送りストリームの現在のフレームに関連付けられる、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 ビデオストリームを受信することと、 前記受信されたビデオストリーム内の広告を識別することと、 前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をキャシュしないことによって前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をスキップするようにストリームをキャッシュすることと をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記画像のユーザ選択を受信することと、 前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生することと をさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記画像のユーザ選択を受信したことに応答して、フル画面で前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生することをさらに含む、請求項1に記載の方法。 【請求項11】 表示のためのビデオを生成する手段と、 前記ビデオと共に表示するための転送バーを生成する手段であって、前記転送バーは、前記ビデオの現在の再生位置のインジケータを含む、手段と、 前記転送バー上の任意の時点における他の再生位置に関連付けられたユーザ入力を受信する手段と、 前記ビデオの再生の間に前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記転送バーおよび前記現在の再生位置に対応する前記ビデオと共に、前記現在の再生位置とは異なる任意の時点における前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの画像を表示する手段であって、前記他の再生位置に関連付けられた前記ビデオの前記画像は、前記現在の再生位置に対応する前記ビデオとは視覚的に区別される、手段と、 前記ビデオの前記現在の再生位置の前記インジケータをメモリ内に格納する手段と を含む、システム。 【請求項12】 前記ビデオの前記画像は、ビデオを含む、請求項11に記載のシステム。 【請求項13】 前記画像に関連付けられた前記他の再生位置は、前記現在の再生位置よりも後の再生位置に対応する、請求項11に記載のシステム。 【請求項14】 前記現在の再生位置の前に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む巻き戻しストリームを受信する手段と、 巻き戻しバッファ内に前記受信された巻き戻しストリームをキャッシュする手段と、 表示のために、前記現在の再生位置の前の再生位置に関連付けられた巻き戻しカーソルを生成する手段と をさらに含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項15】 前記ビデオは、ビデオオンデマンドソースから受信される、請求項11に記載のシステム。 【請求項16】 前記現在の再生位置の後に伝送される前記ビデオのコンテンツを含む早送りストリームを受信する手段と、 早送りバッファ内に前記受信された早送りストリームをキャッシュする手段と、 表示のために、前記現在の再生位置よりも後の前記他の再生位置に関連付けられた早送りカーソルを生成する手段と をさらに含む、請求項13に記載のシステム。 【請求項17】 前記早送りカーソルは、前記キャッシュされた早送りストリームの現在のフレームに関連付けられる、請求項16に記載のシステム。 【請求項18】 ビデオストリームを受信する手段と、 前記受信されたビデオストリーム内の広告を識別する手段と、前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をキャシュしないことによって前記受信されたビデオストリーム内の前記識別された広告をスキップするようにストリームをキャッシュする手段と をさらに含む、請求項11に記載のシステム。 【請求項19】 前記画像のユーザ選択を受信する手段と、 前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生する手段と をさらに含む、請求項11に記載のシステム。 【請求項20】 前記画像のユーザ選択を受信したことに応答して、フル画面で前記画像に関連付けられた前記他の再生位置から前記ビデオを再生する手段をさらに含む、請求項11に記載のシステム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-03-23 |
出願番号 | 特願2013-99478(P2013-99478) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(H04N)
P 1 651・ 113- YAA (H04N) P 1 651・ 121- YAA (H04N) P 1 651・ 537- YAA (H04N) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 古川 哲也 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 渡辺 努 |
登録日 | 2015-08-14 |
登録番号 | 特許第5791159号(P5791159) |
権利者 | ロヴィ ガイズ, インコーポレイテッド |
発明の名称 | 向上された特殊再生機能のためのシステムおよび方法 |
代理人 | 飯田 貴敏 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 飯田 貴敏 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 健策 |