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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B01D
管理番号 1327890
異議申立番号 異議2016-700241  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-23 
確定日 2017-03-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5784719号発明「ガススクラバー流体のための浄化設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5784719号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第5784719号の請求項1ないし17に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5784719号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?17に係る出願は、2011年6月15日を国際出願日とする特許出願(特願2013-517151号(優先権主張2010年7月2日 欧州特許庁(EP)))であって、平成27年7月31日にその特許の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成28年3月23日に特許異議申立人 齋藤慎二(以下、「申立人1」という。)により、また、同年同月24日に特許異議申立人 関根由美子(以下、「申立人2」という。)により、特許異議の申立てがされ、同年6月10日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年9月8日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、同年12月14日付けで申立人1より意見書(以下、「意見書1」という。)が、同日付けで申立人2より意見書(以下、「意見書2」という。)が、それぞれ提出されたものである。

第2 訂正の適否について
1.訂正の内容
本件訂正請求は、一群の請求項である請求項1?17について訂正を請求するものであり、その訂正の内容は、次のとおりである。(下線は、訂正箇所であり、特許権者が付したものである。)
(1)訂正事項1
請求項1に「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取るための手段と、」とあるのを、
「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、」と訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1に「前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から放出するための手段と、」とあるのを、
「前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段と、」と訂正する。

(3)訂正事項3
請求項10に「浄化されたスクラバー流体を前記スクラバー流体ループ(9)に、前記分離機入口(11,11’)に、または汚染されたスクラバー流体のためのタンクにそらすおよび/または戻すための手段」とあるのを、
「浄化されたスクラバー流体を、前記分離機入口(11,11’)に、または汚染されたスクラバー流体のためのタンクにそらすおよび/または戻すための手段」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取るための手段」について、訂正前の段落【0010】の記載に基づいて、「それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除く」との発明特定事項を直列的に付加するものであり、訂正前の請求項1に係る発明、及び、直接的または間接的にこれを引用する訂正前の請求項2?17に係る発明の減縮を図るものであるから、特許請求の範囲の減縮を図るものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1における「前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から放出するための手段」について、訂正前の段落【0008】、【0009】、【0014】、【0015】、【0035】、【0037】、【0038】、【0040】の記載に基づいて、「環境に」との発明特定事項を直列的に付加するものであり、訂正前の請求項1に係る発明、及び、直接的または間接的にこれを引用する訂正前の請求項2?17に係る発明の減縮を図るものであるから、特許請求の範囲の減縮を図るものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項10における「浄化されたスクラバー流体を前記スクラバー流体ループ(9)に、前記分離機入口(11,11’)に、または汚染されたスクラバー流体のためのタンクにそらすおよび/または戻すための手段」について、択一的記載の要素である「前記スクラバー流体ループ(9)に」を削除するものであるから、訂正前の請求項10に係る発明、及び、直接的または間接的にこれを引用する訂正前の請求項11?17に係る発明の減縮を図るものであるから、特許請求の範囲の減縮を図るものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同第4項、及び、同第9項において準用する第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1-17]について訂正することを認める。

第3 取消理由について
1.本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?17に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明17」という。また、これらの発明をまとめて「本件発明」ということがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1?17に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備であり、
前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するためのディスクスタック遠心分離機(12,12’)を備えており、その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えており、さらに、
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段と、
前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段と、
前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている浄化設備。
【請求項2】
前記分離機の前記ローター(13’)はさらに、前記汚染物質相を前記第二の分離機出口(17’)の方へ運ぶように前記ローターの回転速度とは異なる回転速度で駆動されるように構成されたコンベヤスクリュー(18)を取り囲んでいる、請求項1に記載の浄化設備。
【請求項3】
前記分離機は、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するために、完全に増した動作速度のあいだ、少なくとも4000Gの遠心力で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部にさらされるように構成されている、請求項2に記載の浄化設備。
【請求項4】
前記分離機は汚染物質相を得るように制御され、粒子の濃度は20?65重量パーセントである、請求項2または3に記載の浄化設備。
【請求項5】
前記分離機入口(11,11’)は気密タイプである、請求項1?4のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項6】
前記分離機入口に前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための前記手段は流量調整デバイスを備えている、請求項1?5のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項7】
前記分離機入口(11,11’)の上流で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部に凝集剤を追加するための手段(39)をさらに備えている、請求項1?6のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項8】
前記分離機入口(11,11’)の上流で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部に沈殿剤を追加するための手段をさらに備えている、請求項1?7のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項9】
前記スクラバー流体は水である、請求項1?8のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項10】
前記浄化設備は、前記浄化されたスクラバー流体の品質を制御するための手段(38)と、品質が所定レベルよりも低い場合に、浄化されたスクラバー流体を、前記分離機入口(11,11’)に、または汚染されたスクラバー流体のためのタンクにそらすおよび/または戻すための手段を備えている、請求項1?9のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項11】
前記浄化設備は、二以上のスクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取るための手段と、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段を備えている、請求項1?10のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項12】
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は流量調整デバイスを備えており、各スクラバー流体ループから前記分離機入口への前記汚染されたスクラバー流体の前記一部の流れを調整する、請求項11に記載の浄化設備。
【請求項13】
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は、他のディスクスタック遠心分離機(29)から汚染された相を受け取るように構成されており、それは、前記スクラバー流体ループ中の前記汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するように構成されている、請求項1?12のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項14】
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は、第二のバッファータンク(37)と流量調整デバイス好ましくはポンプまたはバルブを経
由して他のディスクスタック遠心分離機(29)から汚染された相を受け取るように構成されている、請求項13に記載の浄化設備。
【請求項15】
pHを6?8の範囲内に維持するように構成された、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部の酸性度を制御および/または調整するための手段をさらに備えている、請求項1?14のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項16】
ディーゼルエンジンのための排出ガス浄化設備であり、排出ガスのための入口を有しているガススクラバーと、前記排出ガスにスクラバー流体を供給するための湿潤デバイスと、汚染されたスクラバー流体を前記排出ガスから取り除くための小滴分離機と、請求項1?15のいずれか一つに記載の浄化設備に接続された、スクラバー流体をスクラバーに循環させるためのスクラバー流体ループを備えている、排出ガス浄化設備。
【請求項17】
排出ガススクラバー流体ループから抜き取られる汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離する請求項1?15のいずれか一つに記載の浄化設備中におけるディスクスタック遠心分離機の使用。」

2.取消理由の概要
訂正前の請求項1?17に係る特許に対して、平成28年6月10日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、下記のとおりである。

本件特許の請求項1?17に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物(甲号証として提出された公報)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、取り消すべきものである。



・甲第1号証?甲第7号証
(各々、申立人1が提出した甲第1号証?甲第7号証)
甲第1号証:特開平9-192440号公報
甲第2号証:特開平1-242160号公報
甲第3号証:特表平8-510161号公報
甲第4号証:特開2004-154694号公報
甲第5号証:特表2002-518159号公報
甲第6号証:特開平8-168630号公報
甲第7号証:特開平8-131764号公報

・甲第2-1号証?甲第2-3号証
(各々、申立人2が提出した甲第1号証?甲第3号証)
甲第2-1号証:特開2007-7581号公報
甲第2-2号証:特表2002-518159号公報(前記甲第5号証と同じもの)
甲第2-3号証:特開2004-41978号公報

・理由1:請求項1?17に対して、甲第1号証(主引例)と甲第2号証?甲第7号証
申立人1による特許異議申立書、特に、25頁下3行?31頁10行の記載を参照。ここで、甲1発明は、甲第1号証の【図1】に示された排ガス処理装置である。

・理由2:請求項1?17に対して、甲第6号証(主引例)と甲第1号証?甲第5号証、甲第7号証
申立人1による特許異議申立書、特に、31頁11行?34頁3行の記載を参照。ここで、甲6発明は、甲第6号証の【図3】に示された循環水の配管系統および循環水槽、ろ過装置である。

・理由3:請求項1?17に対して、甲第7号証(主引例)と甲第1号証?甲第6号証
申立人1による特許異議申立書、特に、34頁4行?36頁21行の記載を参照。ここで、甲7発明は、甲第7号証の【図5】に示された湿式排ガス処理装置である。

・理由4:甲第2-1号証(主引例)と甲第2-2号証?甲第2-3号証、さらに、甲第2号証?甲第7号証(周知例)
申立人2による特許異議申立書、特に、14頁8行?17頁23行の記載を参照。ここで、甲2-1発明(申立人2による特許異議申立書における「甲1発明」)は、甲第2-1号証の【図2】に示された排ガス処理装置である。

3.刊行物に記載された事項
(1)甲第1号証:特開平9-192440号公報
(1-1)甲第1号証には、次の記載がある。(なお、下線「 」は、当審が付したものである。また、「・・・」は、具体的な記載の省略を表す。下線及び「・・・」は、以下の(2)?(10)についても同様である。)
(甲1ア):
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関から排出される排ガスにばいじんの吸収液を噴霧するスプレー手段と、スプレーされた液を回収し酸化すると共に貯蔵し前記スプレー手段に循環する吸収液循環手段と、この吸収液循環手段の循環する吸収液のpHを測定し所定の値に維持するよう吸収剤を供給する吸収液供給手段と、前記吸収液循環手段より吸収液の一部を取り出し固体と液体に分離しこの液体を前記吸収液循環手段に戻す固体分離手段とを備えていることを特徴とする排ガス処理装置。」

(甲1イ):
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関から排出される排ガスのばいじんを処理する排ガス処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼル機関などの内燃機関からの排ガス中には細かい粒子が含まれている。この粒子とともにSO_(2)ガスも含まれている。これらのばいじんを除去するため、従来はフィルタ、サイクロン式集塵機、電気集塵機などが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような細かい粒子はフィルタやサイクロン式集塵機では充分に除去できない。フィルタの場合は目ずまりが生じ易く、これによる圧力損失の増加でエンジンの性能に悪影響を与える。また電気集塵機は大がかりな装置となるため、船舶などの輸送機器には適していない。また、このようにしてばいじんを除去した後、排ガスの一部を冷却し給気に加え給気の酸素濃度及び燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx)の発生を押さえる排ガス再循環システム(EGR)に供給する場合、排ガス温度を低下させて供給する必要がある。このため排ガス冷却器が必要になる。しかし、排ガスをある温度以下に冷却すると硫酸が凝縮し接触する部材を腐食させる。
【0004】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、内燃機関より排出される排ガスのばいじんを除去することを目的とする。またばいじん中のSOx等を除去することを目的とする。また処理した吸収液を循環使用することを目的とする。
・・・
【0006】内燃機関から排出される排ガスにばいじんの吸収液を噴霧することにより、排ガス中に含まれる細かな粒子は液滴に付着して排ガスより分離され、回収されて吸収液循環手段によりスプレー手段に送られ、スプレーされて回収する動作を繰り返す。一方固体分離手段は吸収液循環手段より回収された液の一部を取り出し、固体と液体を分離して固体を収集し液体は吸収液循環手段に戻す。吸収液供給手段はスプレー手段へ循環する吸収液のpHを測定し所定の値に維持するようばいじんの吸収液を供給する。また吸収液循環手段は排ガス中に含まれる二酸化硫黄(SO_(2))を吸収した回収液の酸化を促進し、硫酸塩にする。これにより吸収液はばいじんを吸収するのに適性な状態に保持される。また吸収液は循環し、固形物は分離して取り出されるので、廃棄物の処理が容易である。」

(甲1ウ):
「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態を示す。排ガス管1はディーゼル機関等の内燃機関からの排ガスを煙突等に導く。排ガス処理管2は排ガス管1の排ガスを分岐してばいじん処理を行う。ダンパー3は排ガス処理管2に流入する排ガスの流量を制御する。排ガス処理管2はU字形をしており、入口側垂直管2a内には吸収液を噴霧するスプレーノズル4が複数段設けられ各スプレーノズル4には止め弁5が設けられている。U字形の下部は循環タンク6に接続し、ばいじんを吸収した吸収液は回収され、排ガスと分離される。分離した排ガスは出口側垂直管2b内に設けられた液滴を分離するミストセパレータ7を通過しEGRに用いられる。
【0011】循環タンク6には循環ポンプ8が設けられ、回収した吸収液をスプレーノズル4に供給する。また循環タンク6内下部には空気吹き込み管9が設けられ、ブロワ10により空気を供給してスプレーされた吸収液に含まれる亜硫酸塩の酸化を促進する。循環ポンプ8の供給水の一部は脱水機11に送られ吸収液中の固形物を液体から分離し、固形物は回収固形物貯蔵タンク12に蓄積し、液体は循環タンク6に戻す。これにより吸収液はスプレーノズル4および脱水機11を循環する。
【0012】吸収液貯蔵タンク13には吸収液が貯蔵され、スプレーノズル4に供給される吸収液のpHをpHセンサ14で検出し、所定のpH値となるように吸収液調整弁15で吸収液を循環タンク6に供給する。吸収剤調合タンク16は吸収剤を貯蔵する吸収剤タンク17と脱水機11で分離した液体を調合して吸収液を生成し、吸収液貯蔵タンク13に供給する。また、脱水機11の分離した液体の一部を外部に排出する廃液ライン18が弁19を介して設けられている。
・・・
【0017】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明は、排ガスに吸収液を噴霧してばいじんと二硫化硫黄(SO_(2))を吸収し、ばいじんとSOxを固体として分離し、液体は循環させるので、効果的にばいじんを除去できかつ排出物の少ない装置とすることができる。またばいじんを除去された排ガスは冷却され腐食作用もないのでEGRの前処理装置として好適である。」

(甲1エ):





(1-2)甲1発明
ア 前記(甲1ア)?(甲1エ)によれば、甲第1号証の【図1】には、内燃機関より排出される排ガスのばいじんを除去すること、ばいじん中のSOx等を除去すること、及び、処理した吸収液を循環使用することを目的としてなされた装置として、内燃機関から排出される排ガスのばいじんと二酸化硫黄(SO_(2))(当審注;【0017】に記載された「二硫化硫黄(SO_(2))」は「二酸化硫黄(SO_(2))」の誤記であると認める(【0006】では正しく「二酸化硫黄(SO_(2))」と記載されている。)。)を処理する排ガス処理装置であって、スプレー手段であるスプレーノズル4と、吸収液循環手段である、循環ポンプ8が設けられた循環タンク6とを備えたループを吸収液が循環する構成を有し、循環ポンプ8が供給する吸収液の一部が抜き取られ、脱水機11に送られて吸収液中の固形物が分離され、固形物が分離された吸収液として循環タンク6に戻される構成とともに、脱水機11で分離された吸収液の一部が廃液ライン18によって外部に排出される構成を有するものが記載されていると認められる。

イ したがって、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているということができる。

「排出ガスのばいじんと二酸化硫黄(SO_(2))を吸収する吸収液の循環ループからの、ばいじんと二酸酸硫黄(SO_(2))を吸収した吸収液のための設備であり、前記吸収液循環ループからその一部を抜き取る手段と、前記一部からその吸収液中の固形物と吸収液とを分離するための脱水機を備えており、前記吸収液循環ループから抜き取った前記一部を前記脱水機に案内する手段と、前記脱水機により固形物が分離された吸収液の一部を前記脱水機から外部に放出するとともに、その残りの吸収液を循環タンクに戻す手段と、前記脱水機により分離された固形物を前記脱水機から回収する手段を備えている設備。」

(2)甲第2号証:特開平1-242160号公報
甲第2号証には、次の記載がある。
(甲2ア):
「実施例)
本発明を一実施例を示した図面に基づいて詳述する。
第1図は系統図、第2図は回転体半部の部分縮断面図である。1は回転体9を有する縦型の遠心分離機である。回転体9は軸心部で回転すべく支持され内部に多数の截頭円錐形状の分離板10が一定の間隙をもって積層されている。回転体9の周部には周部内壁に添って水圧で上下に摺動するスラッジ排出弁12により開閉されるスラッジ排出孔11が具備されている。2a、2bは固形物濃度の検出装置で原液供給流路7及び/又は分離液排出流路8に設けられる。上記検出装置2a、2bは、光電式、色度式、吸光度式等の液中固形物濃度を検出できるものであればよい。原液供給流路7には上記検出装置2aの上流側に原液Aの供給量を調節する流量調整弁3、下流側に遠心分離機1からの背圧を制御する背圧弁6が設けられている。・・・」(2頁右下欄下から11行?3頁左上欄8行)

(甲2イ):
「回転体9の分離室13外径部空隙に徐々に蓄積してきた固形物Bは、安全性や分離効率及び回転駆動部への負荷等から設定された許容位置まで蓄積されると、スラッジ排出弁12が開弁されスラッジ排出孔11から回転体9外へ排出される。上記固形物Bの蓄積量は、原液供給流路7に設けられた固形物濃度の検出装置2aにより原液中の固形物濃度を自動的に測定し、・・・分離液排出流路8に設けた検出装置2bを併用して、両者の検出値の差を積算することにより求められる。・・・」(3頁右上欄1行?12行)

(甲2ウ):





(3)甲第3号証:特表平8-510161号公報
甲第3号証には、次の記載がある。
(甲3ア):
「第1図に示す本発明による遠心分離機の部分は、固定リング3によって軸線方向に結合された下方部分1及び上方部分2を有するローターを有する。一例として示す遠心分離機の内側には軸線方向に可動なスライド弁4を有する。このスライド弁4は、上方部分2と共に分離室5を制限し、このスライド弁4は、作動中にロータで分離されて分離室の周囲に堆積した物質のための周囲出口開口部6に向かって環状の空隙を開閉するように配置されている。スライド弁4は、下方部分1と共に閉鎖室7を制限し、この閉鎖室7は、閉鎖液のために入口8及びスロットルを有する出口9を備えている。
分離室5の内側にはディストリビュータ11と上方部分2との間に多数の円錐形の分離ディスクからなるディスクスタック10が配置されている。上方部分2は上端に示す形状のような出口室12を形成し、出口室12には、この場合、中央溝13を通って分離室5から比較的軽い分離液が流れることができる。ローターの作動中に出口室12に存在する液体は、半径方向内側の自由液体面14を有する回転液本体を形成する。
出口室12を通って中央に、静止入口管15が延びており、ディストリビュータ11の内側に入口室16に開放している。入口管15の次に室内の軽い液体のために静止出口管17が配置されている。出口装置18は、入口管15の周りの室内に配置され、出口管17に接続されている。」(9頁25行?10頁15行)

(甲3イ):





(4)甲第4号証:特開2004-154694号公報
甲第4号証には、次の記載がある。
(甲4ア):
「【0027】
図1において、符番1は、図示しないケーシング内に、外周部にスラッジ排出孔13を有する回転胴11と回転胴11上部を覆蓋する回転体蓋部12から主になる回転体10を回転軸22に固定し、回転体10内に、截頭円錐形状の薄板からなる分離板14が回転体の軸方向に多数積層して形成された分離板群15およびスラッジ排出孔13を開閉する弁シリンダ16を装着している分離板型遠心分離機である。
【0028】
また、前記分離板型遠心分離機1は、回転体10の軸心位置に原液供給管17が挿入されて装着され、供給される原液を回転体10の分離室内に導入する案内筒20が原液供給管17と同心的に設けられ、分離板群15の間隙を上向流通した軽液を排出する軽液排出流路に具備される軽液排出インペラ18と、回転体10の最大径部に蓄積された重液および固形物の内の重液を排出する重液案内板21と回転体蓋12内壁とで形成された重液流路を経て、重液排出流路に具備される重液インペラ19と、軽液及び重液の排出を調整する調節板25が内設されている。
・・・
【0035】
分離された重液や固形物は、回転体10内の最大径部に蓄積され、軽液は分離板群15の間隙を上向流通して軽液排出流路に具備された軽液排出インペラ18により汲み出されて、軽液出口26から回転体10外に排出され、軽液排出流路cを経て清澄液槽3に貯留される。」

(甲4イ):





(5)甲第5号証:特表2002-518159号公報
甲第5号証には、次の記載がある。
(甲5ア):
「【特許請求の範囲】
【請求項1】中心軸(R)を有し、該中心軸のまわりを第1の速度で回転することができるロータ(1)と、前記ロータ(1)内に配置されており、前記第1の速度とは異なる第2の速度で前記中心軸(R)の周りを回転することができる螺旋状コンベヤ(2)と、前記ロータ(1)を前記第1の速度で回転させ、前記螺旋状コンベヤ(2)を前記第2の速度で回転させるように構成されている駆動装置とを含み、固体の粒子がそれよりも小さい密度を有する液体中に浮遊している液体の混合物から固体を分離する遠心分離機において、前記ロータ(1)は、前記ロータの中心軸がほぼ垂直に延びるように配置されたロータシャフト(5)を介して一端でのみ、回転可能に支持されており、前記ロータ(1)は、一端が前記ロータ内に延びている少なくとも1つの入口チャネル(22?24)の形態の前記混合物用の入口と、一端が前記ロータの外に延びている少なくとも1つの出口チャネル(12;66?68)の形態の分離された液体用の液体出口と、前記ロータの反対側の他端に位置している分離された固体用のスラッジ出口(13)とを有しており、前記ロータは、頂点に前記スラッジ出口(13)が位置している円錐状部分(6)を含んでおり、前記螺旋状コンベヤ(2)は、分離された固体を前記ロータの前記円錐状部分(6)を通して前記スラッジ出口(13)の方へ移送できるように構成されており、前記螺旋状コンベヤ(2)は、前記ロータシャフト(5)を通って軸方向に延びかつ前記駆動装置に連結されたコンベヤシャフト(8)を有するか、あるいはこのコンベヤシャフト(8)に接続されていることを特徴とする遠心分離機。」

(甲5イ):
「【0032】
図1?図3は、本発明の第1の実施形態を示している。遠心分離機は、垂直回転軸Rの周りをある速度で回転できるロータ1と、ロータ1内に配置され同じ回転軸Rの周りを回転できるが、ロータ1の回転速度とは異なる速度で回転する螺旋状コンベヤ2と、ロータ1および螺旋状コンベヤをそれぞれの速度で回転させるように構成されている駆動装置とを含んでいる。駆動装置は、1つまたは2つ以上のモータ(不図示)と、モータをロータ1および螺旋状コンベヤ2に連結する歯車装置とを備えている。」

(甲5ウ):













(6)甲第6号証:特開平8-168630号公報
(6-1)甲第6号証には、次の記載がある。
(甲6ア):
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダクトおよび/または集塵機および/または吸収塔に取り付けたスプレーノズルで、排ガスに、水および/または吸収液を噴霧することにより、排ガス中の有害物質や煤塵を除去する方法において、排ガス中の有害物質や煤塵を含み、循環使用される水および/または吸収液中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つために、前記水および/または液の一部をろ過し、再利用することを特徴とする循環水のろ過方法。」

(甲6イ):
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排ガス中の有害物質や煤塵(以下煤塵等という)を、ダクトおよび/または集塵機および/または吸収塔に取り付けたスプレーノズルで、排ガスに、水および/または吸収液を噴霧することにより除去する方法に係り、特に、排ガス中の有害物質や煤塵を含み、循環使用される水および/または吸収液(以下循環水という)中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つために、小型でかつ経済的に循環可能とする循環水のろ過方法に関する。
・・・
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の技術では、循環水配管中にろ過装置を設ける場合は、噴霧する循環水の全量をろ過装置で処理するため、循環水中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つために必要とされる固形物除去能力以上の大規模なろ過装置を設置せざるを得なかった。本発明は、ろ過装置の規模を縮小することで、建設費および運転費を抑え、かつ効率的に浮遊固形物を除去し、循環水の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つことにより、スプレーノズルの目詰まりを未然に防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に基づく湿式電気集塵機や洗浄集塵機の場合の循環水とろ過装置の概略系統を図3において説明する。本発明では、循環水を一時的に貯留しておくタンク5(以下、「循環水槽」と称する。)を設置し、そこに、集塵機1において捕集された排ガス2中の煤塵等にスプレーノズルで循環水3を噴霧し、洗い流されてきた循環水を一時的に貯めておき、再び循環水3として使用するが、その際、循環水の配管とは別のろ過装置4を循環する配管を設置し、浮遊固形物をここで除去することが有効である。
【0006】
【作用】従来の循環水のろ過方法では、循環水の全量をろ過するため、循環水の水量が多くなると大規模のろ過装置を設置する必要が生じる。それに対して、本発明の場合は、循環水の噴霧配管とは別に、ろ過専用の配管を設けているため、循環水中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つために必要な最小限の規模のろ過装置を設置することができ、上述の諸問題が解決され、また、循環水への補給水量は、排ガス中に噴霧することで蒸発する量に見合った最小限の量でよく、さらに、ろ過装置に万一のトラブルが生じた場合でも循環水の噴霧を停止することなく、ろ過装置を単独で点検することができることから、集塵機や吸収塔の安定した運転が得られる。」

(甲6ウ):





(6-2)甲6発明
ア 前記(甲6ア)?(甲6ウ)によれば、甲第6号証の【図3】には、循環水配管中にろ過装置を設ける従来技術に比し、ろ過装置の規模を縮小することで、建設費および運転費を抑え、かつ効率的に浮遊固形物を除去し、循環水の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つことにより、スプレーノズルの目詰まりを未然に防止することを目的としてなされた設備として、集塵機に取り付けたスプレーノズルで排ガスに噴霧され、排ガス中の有害物質や煤塵を除去して循環使用される循環水の中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つための設備であって、前記循環水の一部をろ過し、再利用する配管系統を有し、ろ過手段を有する配管系は、ろ過装置4から循環水槽5に戻る配管系であるとともに、ろ過装置4から循環水槽5に戻る配管系の一部に排水6として系外に排出する配管を備えている配管系である構成のものが示されていると認められる。

イ したがって、甲第6号証には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されているということができる。

「排ガス中の有害物質や煤塵を除去するための循環水によるループが形成された配管系統を有し、その循環水の中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つための設備であり、前記循環水の一部を配管系統から抜き取り、ろ過装置に導く配管と、ろ過装置において循環水中の浮遊固形物が分離され浄化された循環水を前記配管系統へ戻す配管と、前記配管系統へ戻す配管の途中に、浄化された循環水の一部を系外に排出する配管と、を備えた設備。」

(7)甲第7号証:特開平8-131764号公報
(7-1)甲第7号証には、次の記載がある。
(甲7ア):
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 硫黄酸化物(SOx)、煤塵、ホウ素成分、フッ素成分を含有する燃焼炉排ガスを除塵塔内循環吸収液にて吸収除塵するとともに、吸収除塵後の排ガスを吸収塔に導入し、排ガス中のSOxをSOx吸収液にて吸収する湿式排ガス処理方法において、燃焼炉への燃料供給量と供給燃料の性状分析結果とに基づき、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、ベリリウム(Be)およびその化合物のうちの1種以上の添加量を決定し、決定した添加量の前記金属またはその化合物を前記除塵塔内循環吸収液中に添加して循環吸収液中でのホウフッ化物イオン(BF_(4)^(-))の生成を抑制することを特徴とする湿式排ガス処理方法。
・・・
【請求項5】 排ガス中の煤塵、フッ素成分、ホウ素成分を水を循環吸収液として除去し、循環吸収液の一部を排水として処理する湿式排ガス処理方法において、循環吸収液のpHが2未満、温度が40?60℃である個所、または上記の条件に調整した個所に、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、ベリリウム(Be)およびその化合物のうちの1種以上を添加し、その後カルシウム等のアルカリ土類金属の化合物を添加することにより排水中のフッ素(F)処理をすることを特徴とする湿式排ガス処理方法。」

(甲7イ):
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式排ガス処理方法および装置に係り、特に排ガス中のSOx、煤塵、ボイラ燃料中に含まれる成分に起因するホウ素を低減する湿式排ガス脱硫装置等の排ガス処理装置から排出される排水の処理装置の容量を低減するのに好適な湿式排ガス処理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の排ガス脱硫装置の系統を図6に示す。ボイラ等からの排ガス1は入口煙道2により除塵塔3に導入され排ガス1中の煤塵や塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)等の酸性ガスが除去される。その後排ガスが除塵塔デミスタ4を通過する際に、排ガス1中の除塵塔循環吸収液ミストが除去される。それから、排ガスは吸収塔5に導入され、排ガス1中のSOxが吸収塔5内に設置されたスプレ段13を介して各スプレ段内の多数のスプレノズル14より噴霧される吸着剤の液滴と接触し、その部分でSOxは液滴表面で吸収される。ガスに同伴されるミストは吸収塔内上部に設けたミストエリミネータ6により除去され、清浄な排ガスは出口煙道7を経て、必要により再加熱されて図示していない煙突より排出される。
【0003】SOxの吸着剤である石灰石は石灰石スラリ8として石灰石スラリポンプ9により吸収塔循環タンク11にSOx吸収量に応じ石灰石スラリ流量調節弁10により供給される。吸収液は吸収塔循環ポンプ12により昇圧され吸収塔5内のスプレ段13に供給される。吸収塔5内で除去されたSOxは吸収液中のカルシウムと反応し、中間生成物として亜硫酸カルシウム(重亜硫酸カルシウムを含む)になり、吸収塔循環タンク11に供給される空気15により石膏に酸化され最終生成物(石膏)となる。その後、スラリは抜出しポンプ16により生成石膏量に応じて抜出流量調節弁17により石膏脱水設備18に送られ、粉体の石膏として回収され、分離された水は系内で再利用される。・・・
【0004】一方、除塵塔3で除去された煤塵は酸性ガスを吸収除去した除塵塔循環吸収液とともに除塵塔循環タンク19に落下する。除塵塔循環吸収液は除塵塔循環ポンプ20により昇圧され除塵塔3内に供給され、一部は不純物の濃縮を防ぐために脱硫排水流量調節弁21により排水処理設備22に脱硫排水として排出される。排水処理設備22では各成分に対して排出規準値以下となるように、排水処理薬品タンク23から排水処理薬品ポンプ24により薬品が添加され排水の処理が行われる。
・・・
【0007】本発明の目的は、アルミニウムおよびその化合物、またはそれらを含有する物質を、あらかじめ除塵塔循環タンク内に供給することにより、その一部が脱硫排水となる除塵塔循環吸収液中においてBF_(4)^(-)の生成を抑制すること、およびより効率のよい位置にアルミニウムおよびその化合物、またはそれらを含有する物質をF固定剤として最適量供給することにより、脱硫装置内で生成されるBF_(4)^(-)量を低減するとともに脱硫装置から排出されるBF_(4)^(-)量も低減すること、また排水処理設備側のユーティリティ、設備容量を低減することにある。・・・」

(甲7ウ):
「【0016】・・・なお、図1の実施例において、除塵塔循環タンク19から抜出され、排水処理設備22に排出された排水は、排水処理設備にて硫酸アルミニウム(Al_(2)(SO_(4))_(3))などのアルミニウム化合物を添加することによりBF_(4)^(-)を分解し、カルシウム化合物の添加とpH調整により、フッ素(F)を固形物の形に変換して処理排水中から分離することができる。図7に、排水処理設備22内の概略フローシートを示す。
【0017】本発明の他の実施例を図5に示す。本実施例は図1において液体でアルミニウムおよびその化合物、またはそれらを含有する物質を、ボイラ燃料性状分析結果の入力信号25とボイラ燃料供給量入力信号26を演算装置27に入力して算出した供給量を示す出力信号28により、除塵塔循環タンク薬品流量調節弁29を制御して除塵塔循環タンク19へ供給していたのに対し、該出力信号28により粉体供給フィーダ32の回転数を制御することにより、粉体サイロ31中の粉体30(アルミニウムおよびその化合物、またはそれらを含有する物質)を除塵塔循環タンク19に供給する場合の系統を示す。図7に、排水処理設備22内の概略フローシートを示す。」

(甲7エ):








【図7】




(7-2)甲7発明
ア 前記(甲7ア)?(甲7エ)によれば、甲第7号証の【図5】には、排ガス中のSOx、煤塵、ボイラ燃料中に含まれる成分に起因するホウ素を低減する湿式排ガス脱硫装置において、一部が脱硫排水となる除塵塔循環吸収液中でのBF_(4)^(-)の生成を抑制すること、および、脱硫装置内で生成されるBF_(4)^(-)量を低減するとともに脱硫装置から排出されるBF_(4)^(-)量も低減すること、また排水処理設備側のユーティリティ、設備容量を低減することを目的としてなされた設備として、硫黄酸化物(SOx)、煤塵、ホウ素成分、フッ素成分を含有する燃焼炉排ガスを除塵塔3内において循環吸収液にて吸収除塵するとともに、吸収除塵後の排ガスを吸収塔5に導入し、排ガス中のSOxをSOx吸収液にて吸収する湿式排ガス処理設備であって、前記循環吸収液は、前記除塵塔3を経て除塵塔循環タンク19に溜まり、除塵塔循環ポンプ20によって、再度、除塵塔3へ導かれるループを循環する吸収液であり、その一部が抜き取られて排水処理設備22へ導かれ、フッ素(F)が固形物の形に変換されて処理排水中から分離されて放流される構成であり、また、前記SOx吸収液は、前記吸収塔5においてスプレノズル14を経て吸収塔循環タンク11に溜まり、吸収塔循環ポンプ12によって、再度、スプレノズル14へ導かれるループを循環する吸収液であり、その一部が抜き取られて石膏脱水設備18へ導かれ、粉体の石膏として回収され、分離された水は系内で再利用される構成のものが示されていると認められる。

イ したがって、甲第7号証には、次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されているということができる。

「硫黄酸化物(SOx)、煤塵、ホウ素成分、フッ素成分を含有する燃焼炉排ガスを除塵塔3内において循環する吸収液にて吸収除塵し、吸収除塵後の前記排ガスを吸収塔5に導入し、循環するSOx吸収液にて前記排ガス中のSOxを吸収する湿式排ガス処理設備であって、前記循環する吸収液は、前記除塵塔3を経て除塵塔循環タンク19に溜まり、除塵塔循環ポンプ20によって、再度、除塵塔3へ導かれるループを循環する吸収液であり、その一部が抜き取られて排水処理設備22へ導かれ、フッ素(F)が固形物の形に変換されて処理排水中から分離されて放流される構成を有し、また、前記SOx吸収液は、前記吸収塔5においてスプレノズル14を経て吸収塔循環タンク11に溜まり、吸収塔循環ポンプ12によって、再度、スプレノズル14へ導かれるループを循環する吸収液であり、その一部が抜き取られて石膏脱水設備18へ導かれ、粉体の石膏が回収されるとともに、石膏脱水設備18によって石膏と分離された水が系内で再利用される構成を有するもの。」

(8)甲第2-1号証:特開2007-7581号公報
(8-1)甲第2-1号証には、次の記載がある。
(甲2-1ア):
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス中に含有される硫黄酸化物及び水銀を処理する排ガス処理装置において、前記硫黄酸化物を石灰吸収液で石膏として除去する脱硫装置と、前記石灰吸収液から石膏を分離しつつ脱水する脱水装置と、前記石膏中の水銀を溶解する水銀洗浄液を脱水装置内に供給する水銀洗浄液供給装置とを具備することを特徴とする排ガス処理装置。」

(甲2-1イ):
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石炭等の化石燃料を燃焼した排ガスを石灰石膏法により処理する際に、吸収液中に存在する水銀を除去して品位が高い石膏を提供できる排ガス処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば石炭などのような化石燃料を燃焼した際に発生する排ガス中には水銀が含有されている。一般に前記排ガス中の二酸化硫黄を石灰石膏法により吸収・分離されているが、排ガス中の水銀を塩化水銀として捕集する場合、前記塩化水銀は水溶性であるので前記吸収液中に存在することとなり、その結果、吸収液の石膏に付着することにより、石膏品位が低下する。そこで、液中での水銀の固定化が要望されている。」

(甲2-1ウ):
「【実施例1】
【0023】
本発明による実施例1に係る排ガス処理装置について、図面を参照して説明する。
図1は、実施例1に係る排ガス処理装置を示す概略図である。
図1に示すように、本実施例に係る排ガス処理装置10Aは、排ガス11中に含有される硫黄酸化物及び水銀を処理する排ガス処理装置において、硫黄酸化物(SO_(2))を石灰石、消石灰等の石灰吸収液(以下「石灰吸収液」という)12で石膏13として除去する脱硫装置20と、前記脱硫装置20から循環される石灰吸収液12を一部抜き出し、該石灰吸収液12から石膏13を分離しつつ脱水する脱水装置21と、前記石膏13中の水銀を溶解する水銀洗浄液22を脱水装置21内に供給する水銀洗浄液供給装置23とを具備するものである。
【0024】
ここで、前記脱硫装置20は、排ガス11に対向して石灰吸収液12を流下させる脱硫塔20aと、該脱硫塔20aから排出された石膏13を含む石灰吸収液12を貯留する吸収液槽15と、前記吸収液槽15からの石灰吸収液12を前記脱硫塔20a内に循環する吸収液循環ライン16とから構成されており、排ガス11を脱硫塔20aに導入して石灰吸収液12と接触させて脱硫することで、排ガスを浄化している。」
・・・
【0028】
本実施例では、前記吸収液循環ライン16からは循環する石膏13、HgCl_(2)を有する吸収液12を一部抜き出し、脱水装置21にて脱水する際に、前記脱水装置21内に水銀洗浄液供給装置23から供給される水銀洗浄液22により石膏13に付着している水銀を除去しており、これにより水銀フリーの石膏13としている。
・・・
【0029】
また、脱水装置21からの水銀洗浄液22を含む廃液24は廃液処理装置25において、水銀を除去して系外(例えば既存の排水処理設備)に放出される。
【0030】
このようにして、石灰吸収液12中の石膏13に付着している水銀を除去することができ、水銀フリーの石膏13を得ることができる。よって、本実施例によれば、水銀を石膏から容易に分離でき、石膏品位を高めることができる。」

(甲2-1エ):
「【実施例2】
【0031】
本発明による実施例2に係る排ガス処理装置について、図面を参照して説明する。
図2は、実施例2に係る排ガス処理装置を示す概略図である。なお、実施例1の排ガス処理装置の構成部材と同一の部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図2に示すように、本実施例に係る排ガス処理装置10Bは、排ガス11中に含有される硫黄酸化物及び水銀を処理する排ガス処理装置において、硫黄酸化物を石灰吸収液で除去する脱硫装置20と、前記石灰吸収液12に可溶性硫化塩溶液(AS)31を供給し、吸収液12中の水銀を固定化する可溶性硫化塩溶液供給装置32と、石灰吸収液12中の石膏を含む固体分33と液体分34とを分離する固液分離装置35と、前記石膏13を含む固体分33に残留している水銀を溶解する水銀洗浄液22を供給する水銀洗浄液供給装置23と、前記水銀洗浄液22により前記石膏13を含む固体分33を洗浄する洗浄装置36とを具備するものである。
【0032】
本実施例では、吸収液循環ライン16から一部抜出される石灰吸収液12に可溶性硫化塩溶液31を可溶性硫化塩溶液供給装置32から添加し、極低溶解度の硫化水銀(HgS)とし、石膏13に付着する水銀を除去するようにしている。
そして、可溶性硫化物添加後の石灰吸収液12について、固液分離装置35で固体分33と液体分34とに分離しており、石膏13を含む固体分33については水銀洗浄液22により洗浄装置36における洗浄の際に水銀洗浄液22によりさらに残留した水銀を除去するようにしている。
【0033】
ここで、前記可溶性硫化塩溶液(AS)31は、Na_(2)S水溶液、NaHS水溶液又はこれらの混合液を用いることができ、これにより石灰吸収液12中のHgCl_(2)をHgSとしている。
【0034】
また、前記洗浄装置36からの水銀洗浄液22を含む廃液24は廃液処理装置25において、水銀を除去して系外に放出される。この廃液処理装置25においては、前記固液分離装置35で分離した液体分34中の硫化水銀も除去するようにしている。
【0035】
このようにして、石灰吸収液12中の水銀を除去することができ、水銀フリーの石膏13を得ることができる。」

(甲2-1オ):







(8-2)甲2-1発明
ア 前記(甲2-1ア)?(甲2-1オ)によれば、甲第2-1号証の【図2】には、石炭等の化石燃料を燃焼した排ガスを石灰石膏法により処理する際に、石灰吸収液中に存在する水銀を除去して品位が高い石膏を提供することができる排ガス処理装置を構成することを目的として、「石灰吸収液12をポンプによって吸収液槽15から吸収液循環ライン16を介して脱硫塔20aに送り、硫黄酸化物及び水銀を含有する排ガスに接触させて前記吸収液槽15に戻す循環ループを備えた排ガス処理装置において、循環する石灰吸収液12を排ガスに接触させて前記硫黄酸化物を石膏として除去する脱硫装置20と、前記石灰吸収液12中の石膏を含む固体分33と液体分34とを分離する固液分離装置35と、前記固体分33を洗浄する洗浄装置36と、前記固体分33に残留している水銀を溶解する水銀洗浄液22を前記洗浄装置に供給する水銀洗浄液供給装置23と、前記液体分34と前記洗浄装置36から出る廃液24を処理する廃液処理装置25とを具備し、前記吸収液循環ライン16において前記石灰吸収液12は、その一部が抜き取られ、前記固液分離装置35に導かれ、そこで分離された液体分34が前記廃液処理装置25に導かれる一方で、前記固液分離装置35で分離された固体分33は、前記洗浄装置36へ導かれ、石膏以外の成分が水銀洗浄液22を含む廃液24として前記廃液処理装置25に導かれ、前記液体分34とともに、さらに水銀を除去する処理がなされてから、系外(例えば既存の排水処理設備)に放出される構成の排ガス処理装置」が記載されていると認められる。

イ したがって、甲第2-1号証には、次の発明(以下、「甲2-1発明」という。)が記載されているということができる。

「石灰吸収液12をポンプによって吸収液槽15から吸収液循環ライン16を介して脱硫塔20aに送り、硫黄酸化物及び水銀を含有する排ガスに接触させて前記吸収液槽15に戻す循環ループを備えた排ガス処理装置において、循環する石灰吸収液12を排ガスに接触させて前記硫黄酸化物を石膏として除去する脱硫装置20と、前記石灰吸収液12中の石膏を含む固体分33と液体分34とを分離する固液分離装置35と、前記固体分33を洗浄する洗浄装置36と、前記固体分33に残留している水銀を溶解する水銀洗浄液22を前記洗浄装置に供給する水銀洗浄液供給装置23と、前記液体分34と前記洗浄装置36から出る廃液24を処理する廃液処理装置25とを具備し、前記吸収液循環ライン16において前記石灰吸収液12は、その一部が抜き取られ、前記固液分離装置35に導かれ、そこで分離された液体分34が前記廃液処理装置25に導かれる一方で、前記固液分離装置35で分離された固体分33は、前記洗浄装置36へ導かれ、水銀洗浄液22で洗浄されて石膏13となるほか、石膏以外の成分が廃液24として前記廃液処理装置25に導かれ、前記液体分34とともに、さらに水銀を除去する処理がなされてから、系外(例えば既存の排水処理設備)に放出される構成の排ガス処理装置。」

(9)甲第2-2号証:特表2002-518159号公報(前記甲第5号証と同じ)
申立人2が提出した甲第2-2号証は、申立人1が提出した前記(5)の甲第5号証と同じ内容のものであり、前記(甲5ア)?(甲5ウ)の記載がある。

(10)甲第2-3号証:特開2004-41978号公報
甲第2-3号証には、次の記載がある。
(甲2-3ア):
「【特許請求の範囲】
・・・
【請求項2】
ダストを水に懸濁させてダスト中の水溶性成分を水に溶解させる第1の溶解槽と、該第1の溶解槽から排出されたダストと水からなるスラリーの固液分離を行う第1の遠心分離器と、該第1の遠心分離器から排出されたケークと水とを混合してケーク中の水溶性成分を水に溶解させる第2の溶解槽と、該第2の溶解槽から排出されたスラリーの固液分離を行う第2の遠心分離器と、前記第1の遠心分離器の分離水の一部、または前記第2の遠心分離器の分離水の一部の少なくとも一方を、前記第1の溶解槽または前記第2の溶解槽に戻す循環手段とを備えたことを特徴とするダスト水洗システム。」

(甲2-3イ):
「【0028】
ここで、遠心分離器4によるスラリーS2の固液分離動作について、図2を参照しながら説明する。
【0029】
供給されたスラリーS2は、スラリー供給路2fを通って胴部2cの均等分離装置2dに達すると、胴部2cの回転による遠心力によって円周方向に均等に分離される。そして、回転するスクリューコンベア2e内で固液分離が行われ、分離水は、スクリューコンベア2e内を上方に移動し、堰板2iを越え、分離水搬送路2jを通って分離水排出口2kから排出される。一方、ケークは、スクリューコンベア2e内を下方に移動し、内筒2bの下端部近傍において、洗浄水供給路2gから供給された洗浄水W6によって洗浄された後、ケーク排出口2hから排出される。」

(甲2-3ウ):





4.本件発明と引用発明との対比・判断
(1)本件発明と甲1発明との対比・判断
(1-1)本件発明1と甲1発明との対比・判断
(1-1-1)本件発明1と甲1発明との対比
ア 前記3.(1)によれば、甲1発明の「排出ガスのばいじんと二酸化硫黄(SO_(2))を吸収する吸収液の循環ループからの、ばいじんと二酸化硫黄(SO_(2))を吸収した吸収液のための設備」は、本件発明1の「排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備」に相当し、甲1発明の「前記吸収液循環ループからその一部を抜き取る手段」は、本件発明1の「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取」る手段に相当し、甲1発明の「前記一部からその吸収液中の固形物と吸収液とを分離するための脱水機」は、本件発明1の「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための分離機」に相当し、甲1発明の「前記吸収液循環ループから抜き取った前記一部を前記脱水機に案内する手段」は、本件発明1の「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段」に相当し、甲1発明の「前記脱水機により固形物が分離された吸収液の一部を前記脱水機から外部に放出するとともに、その残りの吸収液を循環タンクに戻す手段」のうちの「前記脱水機により固形物が分離された吸収液を前記脱水機から外部に放出する」手段は、本件発明1の「前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段」に相当し、甲1発明の「前記脱水機により分離された固形物を前記脱水機から回収する手段」は、本件発明1の「前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段」に相当する。

イ したがって、本件発明1と甲1発明は、次の点で相違し、その余の点で一致する。

(相違点1):
本件発明1の「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取」る手段は、「それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」であるから、その抜き取った一部の全てを処分するために取り除く手段であり、また、本件発明1の「分離機出口から環境に放出するための手段」は、抜き取って浄化した前記スクラバー流体の一部の全てを環境に放出する手段であり、いずれの手段も、スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取って浄化した後のスクラバー流体を再びスクラバー流体ループ(9)に戻して再利用する手段ではないのに対して、甲1発明は、浄化した後のスクラバー流体の一部をスクラバー流体ループに戻して再利用する手段である点。

(相違点2):
本件発明1の分離機は、「分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えた「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であるのに対して、甲1発明の分離機は、脱水機11である点。

(1-1-2)判断
ア 前記相違点1の容易想到性について検討する。
前記(甲1ア)及び(甲1イ)によれば、甲1発明は、脱水機によって分離された吸収液を吸収液循環手段に戻して、循環使用することを目的とする設備であるから、甲1発明において、脱水機によって分離された吸収液を吸収液循環手段に戻して再利用する手段、すなわち、浄化した後のスクラバー流体を再びスクラバー流体ループに戻して再利用する手段は、必要不可欠の構成要素であるということができる。そうすると、甲1発明において、あえてこの構成要素を除くこと、すなわち、相違点1に係る構成に至ることは、甲1発明の技術的意義を損なうことになるから、甲第1号証に接した当業者において、相違点1に係る構成に至るべく動機付けられることはないというべきである。そして、前記(甲2ア)?(甲7エ)によっても、技術常識によっても、この点を覆すことはできない。

イ そうすると、前記相違点2の容易想到性を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証?甲第7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

(1-2)本件発明2?17と甲1発明との対比・判断
本件発明2?17は、本件発明1を引用する関係にあるところ、その本件発明1は、前記(1-1)のとおり、甲1発明と甲第2号証?甲第7号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2?17も当業者が容易になし得たものではないということができる。

(2)本件発明と甲6発明との対比・判断
(2-1)本件発明1と甲6発明との対比・判断
(2-1-1)本件発明1と甲6発明との対比
ア 前記3.(6)によれば、甲6発明の「排ガス中の有害物質や煤塵を除去するための循環水によるループ」は、本件発明1の「排出ガススクラバー流体ループ(9)」に相当し、甲6発明の「循環水の中の浮遊固形物濃度を一定値以下に保つための設備」は、本件発明1の「汚染されたスクラバー流体のための浄化設備」に相当し、甲6発明の「循環水の一部を配管系統から抜き取り、」「浄化された循環水の一部を系外に排出する配管」は、本件発明1の「スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」及び「浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段」に相当し、甲6発明の「前記循環水の一部を配管系統から抜き取り、ろ過装置に導く配管」は、本件発明1の「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段」に相当する。

イ したがって、本件発明1と甲6発明は、次の点で相違し、その余の点で一致する。

(相違点3):
本件発明1の「前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取」る手段は、「それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段」、すなわち、その抜き取った一部の全てを処分するために取り除く手段であり、また、本件発明1の「分離機出口から環境に放出するための手段」は、抜き取って浄化した前記スクラバー流体の一部の全てを環境に放出する手段であり、いずれの手段も、スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取って浄化した後のスクラバー流体を再びスクラバー流体ループ(9)に戻して再利用する手段ではないのに対して、甲6発明の「循環水の一部を配管系統から抜き取」る手段は、「ろ過装置において循環水中の浮遊固形物が分離され浄化された循環水を前記配管系統へ戻す配管」を備え、その「配管の途中に、浄化された循環水の一部を系外に排出する配管」を備えた設備における手段、すなわち、浄化した後のスクラバー流体の一部を再びスクラバー流体ループ(9)に戻して再利用する手段である点。

(相違点4):
本件発明1の分離機は、「分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えた「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であるのに対して、甲6発明の分離機は、ろ過装置である点。

(相違点5):
本件発明1は、記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている浄化設備であるのに対して、甲6発明は、これに相当する手段を備えていることを特定していない点。

(2-1-2)判断
ア 前記相違点3の容易想到性について検討する。
前記(甲6ア)及び(甲6イ)によれば、甲6発明は、循環水の一部を抜き取って、ろ過装置によって浮遊固形物を分離して浄化した循環水を、再び循環水によるループに戻して循環水として利用することを前提とする設備であるから、甲6発明において、ろ過装置によって分離され浄化された循環水を循環水ループに戻して再利用する手段、すなわち、浄化した後のスクラバー流体を再びスクラバー流体ループに戻して再利用する手段は、必要不可欠の構成要素であるということができる。そうすると、甲6発明において、あえてこの構成要素を除くこと、すなわち、相違点3に係る構成に至ることは、甲6発明の技術的意義を損なうことになるから、甲第6号証に接した当業者において、相違点3に係る構成に至るべく動機付けられることはないというべきである。そして、前記(甲1ア)?(甲5ウ)及び(甲7ア)?(甲7エ)によっても、技術常識によっても、この点を覆すことはできない。

イ そうすると、前記相違点4及び5の容易想到性を検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明及び甲第1号証?甲第5号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

(2-2)本件発明2?17と甲6発明との対比・判断
本件発明2?17は、本件発明1を引用する関係にあるところ、その本件発明1は、前記(2-1)のとおり、甲6発明と甲第1号証?甲第5号証及び甲第7号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2?17も当業者が容易になし得たものではないということができる。

(3)本件発明と甲7発明との対比・判断
(3-1)本件発明1と甲7発明との対比・判断
(3-1-1)本件発明1と甲7発明との対比
ア 前記3.(7)によれば、甲7発明の「硫黄酸化物(SOx)、煤塵、ホウ素成分、フッ素成分を含有する燃焼炉排ガスを除塵塔3内において循環する吸収液にて吸収除塵」する「湿式排ガス処理設備であって、前記循環する吸収液は、前記除塵塔3を経て除塵塔循環タンク19に溜まり、除塵塔循環ポンプ20によって、再度、除塵塔3へ導かれるループを循環する吸収液であり、その一部が抜き取られて排水処理設備22へ導かれ、フッ素(F)が固形物の形に変換されて処理排水中から分離されて放流される構成を有」するものは、本件発明1の「排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備であり、前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための」分離手段を備えており、さらに、「前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離」手段の「入口に案内するための手段と、前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離」手段「から環境に放出するための手段とを備えている浄化設備」に相当する。

イ したがって、本件発明1と甲7発明は、次の点で相違し、その余の点で一致する。

(相違点6):
本件発明1の分離手段は、「分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えた「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であるのに対して、甲7発明の分離手段は、「フッ素(F)が固形物の形に変換されて処理排水中から分離されて放流される」「排水処理設備22」である点。

(相違点7):
本件発明1は、「前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている浄化設備」であるのに対して、甲7発明は、「フッ素(F)が固形物の形に変換されて処理排水中から分離され」ることを特定するにとどまり、「処理排水中から分離され」た固形物を回収する手段を備えていることまでは特定していない点。

(3-1-2)判断
ア 前記相違点6の容易想到性について検討する。
前記相違点6に関し、甲7発明は、「フッ素(F)が固形物の形に変換されて処理排水中から分離されて放流される」「排水処理設備22」を特定しているところ、前記(甲7イ)によれば、その目的は、「アルミニウムおよびその化合物、またはそれらを含有する物質を、あらかじめ除塵塔循環タンク内に供給することにより、その一部が脱硫排水となる除塵塔循環吸収液中においてBF_(4)^(-)の生成を抑制すること、およびより効率のよい位置にアルミニウムおよびその化合物、またはそれらを含有する物質をF固定剤として最適量供給することにより、脱硫装置内で生成されるBF_(4)^(-)量を低減するとともに脱硫装置から排出されるBF_(4)^(-)量も低減すること」であることが明らかであるから、甲7発明における「排水処理設備22」を、分離手段として周知ないし公知の遠心分離機に変更することは、前記目的に適うものでない限り、甲7発明の技術的意義を損なうものとして避けるべきことであるということができる。しかるところ、前記(甲1ア)?(甲6ウ)によっても、技術常識によっても、前記目的に適うものとしての遠心分離機が示されたものはない。したがって、甲第7号証に接した当業者において、前記相違点6に係る構成を想到することは容易ではないというべきである。

イ そうすると、前記相違点7の容易想到性を検討するまでもなく、本件発明1は、甲7発明及び甲第1号証?甲第6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

(3-2)本件発明2?17と甲7発明との対比・判断
本件発明2?17は、本件発明1を引用する関係にあるところ、その本件発明1は、前記(3-1)のとおり、甲7発明と甲第1号証?甲第6号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2?17も当業者が容易になし得たものではないということができる。

(4)本件発明と甲2-1発明との対比・判断
(4-1)本件発明1と甲2-1発明との対比・判断
(4-1-1)本件発明1と甲2-1発明との対比
ア 前記3.(8)によれば、甲2-1発明の「石灰吸収液12をポンプによって吸収液槽15から吸収液循環ライン16を介して脱硫塔20aに送り、硫黄酸化物」「を含有する排ガスに接触させて前記吸収液槽15に戻す循環ループを備えた排ガス処理装置において、循環する石灰吸収液12を排ガスに接触させて前記硫黄酸化物を石膏として除去する脱硫装置20と、前記石灰吸収液12中の石膏を含む固体分33と液体分34とを分離する固液分離装置35と、」「前記液体分34」「を処理する廃液処理装置25とを具備し、前記吸収液循環ライン16において前記石灰吸収液12は、その一部が抜き取られ、前記固液分離装置35に導かれ、そこで分離された液体分34が前記廃液処理装置25に導かれ」、「系外(例えば既存の排水処理設備)に放出される構成の排ガス処理装置」は、本件発明1の「排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備であり、前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するための」「分離機を備えており、」「さらに、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段と、前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段」「を備えている浄化設備」に相当する。

イ したがって、本件発明1と甲2-1発明は、次の点で相違し、その余の点で一致する。

(相違点8):
本件発明1の「環境に放出するための手段」は、「浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段」であるのに対して、甲2-1発明の「系外(例えば既存の排水処理設備)に放出される構成」は、固液分離装置35で分離された液体分34をそのまま系外に放出する手段ではなく、系外に放出する前に廃液処理装置25を介して、さらに水銀を除去する処理がなされてから、系外へ放出する手段である点。

(相違点9):
本件発明1の「回収するための手段」は、「前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段」であるのに対して、甲2-1発明の「固液分離装置35で分離された固体分33」は、そのまま回収の対象としての石膏13となるのではなく、「前記固体分33に残留している水銀を溶解する水銀洗浄液22」が供給される「洗浄装置36」を介して、水銀を除去する処理がなされてから、回収の対象としての石膏13となる点。

(相違点10):
本件発明1の分離機は、「分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えた「ディスクスタック遠心分離機(12,12’)」であるのに対して、甲2-1発明の分離手段は、単なる「固液分離装置」である点。

(4-1-2)判断
ア 前記相違点8と相違点9は、いずれも「水銀を除去する処理」に関連するので、相違点8の容易想到性と相違点9の容易想到性について、併せて検討する。
前記相違点8及び9に関し、前記3.(8-2)アによれば、甲2-1発明は、処理対象である排ガスが「硫黄酸化物及び水銀を含有する排ガス」であることを前提にして、石炭等の化石燃料を燃焼した排ガスを石灰石膏法により処理する際に、石灰吸収液中に存在する水銀を除去して品位が高い石膏を提供することができる排ガス処理装置を構成することを目的としてなされたものであるから、甲2-1発明において、「水銀を除去する処理」に係る構成は、必要不可欠の構成要素であるということができる。そうすると、甲2-1発明において、あえてこの構成要素を除くこと、すなわち、相違点8に関しては、「固液分離装置35で分離された液体分34をそのまま系外に放出する手段」とし、相違点9に関しては、「固液分離装置35で分離された固体分33をそのまま回収の対象としての石膏13と」して、相違点8及び9に係る構成に至ることは、甲2-1発明の技術的意義を損なうことになるから、甲第2-1号証に接した当業者において、相違点8及び9に係る構成に至るべく動機付けられることはないというべきである。そして、前記(甲2ア)?(甲7エ)及び前記(甲2-3ア)?(甲2-3ウ)によっても、技術常識によっても、この点を覆すことはできない。

イ そうすると、前記相違点10の容易想到性を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2-1発明及び甲第2-2号証?甲第2-3号証及び甲第2号証?甲第7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易になし得たものであるということはできない。

(4-2)本件発明2?17と甲7発明との対比・判断
本件発明2?17は、本件発明1を引用する関係にあるところ、その本件発明1は、前記(4-1)のとおり、甲2-1発明と甲第2-2号証?甲第2-3号証、甲第2号証?甲第7号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2?17も当業者が容易になし得たものではないということができる。

5.むすび
以上のとおり、本件発明は、各引用発明と甲第1号証?甲第7号証に記載された事項及び甲第2-1号証?甲第2-3号証に記載された事項並びに技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、本件発明に係る特許が、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるということはできない。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出ガススクラバー流体ループ(9)からの汚染されたスクラバー流体のための浄化設備であり、
前記スクラバー流体ループ(9)から汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取り、それにより、汚染されたスクラバー流体の前記一部を処分のためにスクラバー流体ループから取り除くための手段と、
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するためのディスクスタック遠心分離機(12,12’)を備えており、その分離機は、分離ディスク(15,15’)のスタックを備えた分離空間(14,14’)を取り囲んでいるローター(13,13’)と、前記分離空間の中へ延びている前記汚染されたスクラバー流体の前記一部のための分離機入口(11,11’)と、前記分離空間から延びている浄化されたスクラバー流体のための第一の分離機出口(16,16’)と、前記分離空間から延びている前記汚染物質相のための第二の分離機出口(17,17’)を備えており、さらに、
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段と、
前記浄化されたスクラバー流体を前記第一の分離機出口から環境に放出するための手段と、
前記汚染物質相を前記第二の分離機出口から回収するための手段を備えている浄化設備。
【請求項2】
前記分離機の前記ローター(13’)はさらに、前記汚染物質相を前記第二の分離機出口(17’)の方へ運ぶように前記ローターの回転速度とは異なる回転速度で駆動されるように構成されたコンベヤスクリュー(18)を取り囲んでいる、請求項1に記載の浄化設備。
【請求項3】
前記分離機は、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するために、完全に増した動作速度のあいだ、少なくとも4000Gの遠心力で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部にさらされるように構成されている、請求項2に記載の浄化設備。
【請求項4】
前記分離機は汚染物質相を得るように制御され、粒子の濃度は20?65重量パーセントである、請求項2または3に記載の浄化設備。
【請求項5】
前記分離機入口(11,11’)は気密タイプである、請求項1?4のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項6】
前記分離機入口に前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を案内するための前記手段は流量調整デバイスを備えている、請求項1?5のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項7】
前記分離機入口(11,11’)の上流で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部に凝集剤を追加するための手段(39)をさらに備えている、請求項1?6のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項8】
前記分離機入口(11,11’)の上流で前記汚染されたスクラバー流体の前記一部に沈殿剤を追加するための手段をさらに備えている、請求項1?7のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項9】
前記スクラバー流体は水である、請求項1?8のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項10】
前記浄化設備は、前記浄化されたスクラバー流体の品質を制御するための手段(38)と、品質が所定レベルよりも低い場合に、浄化されたスクラバー流体を、前記分離機入口(11,11’)に、または汚染されたスクラバー流体のためのタンクにそらすおよび/または戻すための手段を備えている、請求項1?9のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項11】
前記浄化設備は、二以上のスクラバー流体ループから汚染されたスクラバー流体の一部を抜き取るための手段と、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段を備えている、請求項1?10のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項12】
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は流量調整デバイスを備えており、各スクラバー流体ループから前記分離機入口への前記汚染されたスクラバー流体の前記一部の流れを調整する、請求項11に記載の浄化設備。
【請求項13】
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は、他のディスクスタック遠心分離機(29)から汚染された相を受け取るように構成されており、それは、前記スクラバー流体ループ中の前記汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離するように構成されている、請求項1?12のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項14】
前記汚染されたスクラバー流体の前記一部を前記分離機入口に案内するための手段は、第二のバッファータンク(37)と流量調整デバイス好ましくはポンプまたはバルブを経由して他のディスクスタック遠心分離機(29)から汚染された相を受け取るように構成されている、請求項13に記載の浄化設備。
【請求項15】
pHを6?8の範囲内に維持するように構成された、前記汚染されたスクラバー流体の前記一部の酸性度を制御および/または調整するための手段をさらに備えている、請求項1?14のいずれか一つに記載の浄化設備。
【請求項16】
ディーゼルエンジンのための排出ガス浄化設備であり、排出ガスのための入口を有しているガススクラバーと、前記排出ガスにスクラバー流体を供給するための湿潤デバイスと、汚染されたスクラバー流体を前記排出ガスから取り除くための小滴分離機と、請求項1?15のいずれか一つに記載の浄化設備に接続された、スクラバー流体をスクラバーに循環させるためのスクラバー流体ループを備えている、排出ガス浄化設備。
【請求項17】
排出ガススクラバー流体ループから抜き取られる汚染されたスクラバー流体から少なくとも汚染物質相と浄化されたスクラバー流体を分離する請求項1?15のいずれか一つに記載の浄化設備中におけるディスクスタック遠心分離機の使用。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-03-13 
出願番号 特願2013-517151(P2013-517151)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡谷 祐哉  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 板谷 一弘
永田 史泰
登録日 2015-07-31 
登録番号 特許第5784719号(P5784719)
権利者 アルファ・ラバル・コーポレイト・エービー
発明の名称 ガススクラバー流体のための浄化設備  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
代理人 砂川 克  
代理人 峰 隆司  
代理人 飯野 茂  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 峰 隆司  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 飯野 茂  
代理人 砂川 克  

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