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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04Q
管理番号 1327933
異議申立番号 異議2017-700155  
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-21 
確定日 2017-05-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第5975135号発明「制御システム」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5975135号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第5975135号の請求項1?7に係る特許についての出願は,平成27年3月31日に特許出願され,平成28年7月29日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許に対し,特許異議申立人 小山輝晃により特許異議の申立てがされたものである。


2 本件発明
特許第5975135号の請求項1?7の特許に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものである。


3 申立理由の概要
特許異議申立人 小山輝晃は,請求項1,3,4,5の特許に関し,主たる証拠として甲第1号証:米国特許出願公開第2012/0253521号明細書(以下「刊行物1」という。),従たる証拠として甲第2号証:国際公開第2014/024442号(以下「刊行物2」という。),周知の技術を示す証拠として甲第3号証:国際公開第2014/024443号(以下「刊行物3」という。),甲第4号証:特開2014-001907号公報(以下「刊行物4」という。),甲第5号証:特開2002-243249号公報(以下「刊行物5」という。)を提出し,請求項1,3,4,5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項1,3,4,5に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
また,請求項2の特許に関し,従たる証拠として刊行物2の外に更に甲第6号証:特開2015-017718号公報(以下「刊行物6」という。)を提出し,請求項2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項2に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
また,請求項6,7の特許に関し,従たる証拠として刊行物2の外に更に甲第7号証:特開2008-028477号公報(以下「刊行物7」という。)を提出し,請求項6,7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,請求項6,7に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。


4 刊行物の記載
(1)刊行物1の[0004],[0031],[0051]?[0057],[0064]?[0074],FIG.1?FIG.3,FIG.11?FIG.18の記載によれば,刊行物1には,
「それぞれの階の空調を行うためのものであり,それぞれ異なる室内機(312,324),室外機(314,326)及びシステムコントローラ(316,328)を有し,前記システムコントローラ(316,328)は双方向無線通信ルータ(332)を介して互いに通信し得る,複数のHVAC(heating, ventilation, and air conditioning )システム(304,308)と,
複数の前記システムコントローラ(316,328)のそれぞれと無線ネットワークを介して互いに通信可能である双方向無線通信ルータ(332)と,
インターネットを含む通信ネットワーク(132)に接続可能であり,かつ,前記インターネットを含む通信ネットワーク(132)を介して前記双方向無線通信ルータ(332)と通信可能であるスマートフォン(130)とを備えており,
前記複数のHVACシステム(304,308)は,協調状態操作(cooperative state of operation)において前記双方向無線通信ルータ(332)を介して前記システムコントローラ(316,328)のいずれかから送信された制御信号により制御されるHVAC制御システム。」の発明(以下,「刊行物1発明」という。)が記載されている。

(2)刊行物2の[0013],[0014],[0074],[0109],[0141]?[0152],図1,図9,図16の記載によれば,刊行物2には,「複数の家電機器(30-1?30-4)はルータ(20)を介してサーバ(10)から送信された制御信号により連携制御される。」という技術的事項が記載されている。

(3)刊行物3の[0014]?[0016],[0018]?[0020],[0022],[0025],[0027],図1の記載によれば,刊行物3には,「携帯端末16は住居24内でルータ装置26及びゲートウェイ装置18を介して家電機器と直接的に通信可能であり,かつ,携帯端末16は住居24外でインターネット20を経由してルータ装置26及びゲートウェイ装置18を介して家電機器と間接的に通信可能である。」という技術的事項が記載されている。

(4)刊行物4の【0018】?【0020】の記載によれば,刊行物4には,「同一の室内RIの床暖房装置を含む複数の暖房装置が連動運転するよう制御される。」という技術的事項が記載されている。

(5)刊行物5の【0022】,【0034】,【0036】,【0039】の記載によれば,刊行物5には,「複数台の空気調和装置が部屋毎に一括または連携してグループ制御される。」という技術的事項が記載されている。

(6)刊行物6の【0016】,【0017】,【0024】,【0116】?【0122】,【0132】,【0142】,図14,図15の記載によれば,刊行物6には,「同部屋内の複数の空調装置(ヒートポンプ空調装置(111),化石燃料暖房装置(112),床暖房装置(113)等)は,ある空調装置の動作状態に応じて他の空調装置が制御される。」という技術的事項が記載されている。

(7)刊行物7の【0013】,【0014】,【0016】,【0017】,【0021】,図1の記載によれば,刊行物7には,「ゲートウェイ14は,複数の家電機器(エアコン1(12a),エアコン2(12b)等)に関する情報を記憶する製品情報テーブル(20)を備え,前記製品情報テーブル(20)のエントリ数が上限まで達したときに,新たな家電機器が追加され製品情報テーブル(20)に新たなエントリが追加される際,前記情報製品テーブル(20)に記憶されている前記エントリのうち,登録時間の最も古いものを抹消する。」という技術的事項が記載されている。


5 判断
(1)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と刊行物1発明とを対比すると,刊行物1発明は,「同一の部屋の空調を行うためのものであり,それぞれ異なる室外機またはヒートポンプユニットを有し,直接に通信できない複数の機器」,「前記複数の機器は,前記中継手段を介して前記操作手段から送信された制御信号により連動制御される」なる構成を有していない点で,請求項1に係る発明と相違している。
この点は,刊行物2?7にも記載されていない。
したがって,請求項1に係る発明は,上記刊行物1発明及び刊行物2?7に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。

特許異議申立人は,
「甲1発明における「2階(330)」は本件特許発明1における「同一の部屋」に相当し,同様に「室外ユニット(314,326)」は「室外機またはヒートポンプユニット」に,「複数のシステムコントローラ(316,328)」は「複数の機器」に,「双方向無線通信ルータ(332)」は「中継手段」に,「通信ネットワーク(132)」は「公衆通信ネットワーク」に,「スマートフォンデバイス(130)」は「操作手段」に相当する。」(特許異議申立書33ページ3?9行),
「相違点1:「中継手段を介して送信された制御信号」について,本件特許発明1は「操作手段から送信された制御信号」であるが(構成D),甲1発明は明らかではない点。相違点2:「制御信号により(行われる)制御」について,本件特許発明1は「連動制御」であるが(構成D),甲1発明は明らかでない点。そこで,まず相違点1について検討する。複数の家電機器が,ルータ(中継装置)を介してサーバ(操作手段)から送信された制御信号により制御される構成は,甲第2号証に記載されている(上記甲2記載事項)。次に,相違点2について検討する。複数の家電機器が,制御信号により連動制御される構成は,甲第2号証に記載されている(上記甲2記載事項)。」(特許異議申立書33ページ21行?34ページ5行)
と主張する。
しかし,刊行物1に記載された「複数のシステムコントローラ(316,328)」はHVACシステムを制御するものであるが,実際に空調を行うのはHVACシステム(304,308)であって,「2階(330)」の空調を行うのはHVACシステム(308)のみである。そして,それぞれ異なる室外機を有するのはHVACシステム(304,308)であって,システムコントローラ(316,328)が室外機を有しているわけではない。また,特許異議申立人の上記認定によれば,連動制御される複数の機器は,HVACシステム(304,308)ではなく,「複数のシステムコントローラ(316,328)」ということになるが,スマートフォン(130)による「複数のシステムコントローラ(316,328)」に対する連動制御とは一体いかなるものか意味不明である。したがって,刊行物1発明の「複数のシステムコントローラ(316,328)」は,本件特許の請求項1に係る発明の「複数の機器」に相当しない。
また,刊行物1の[0069]の記載によれば,刊行物1発明のシステムコントローラ(316)とシステムコントローラ(328)は,協調状態操作において双方向無線通信ルータを介して同一の無線ネットワークに繋がり,相互に発見可能であり,互い通信可能であるから,「直接に通信できない」とはいえない。
また,刊行物1には,インターネットを含む通信ネットワーク(132)を介して双方向無線通信ルータと通信可能であるスマートフォン(130)が記載されているものの,スマートフォン(130)がどのような動作をなすのかについては一切明らかにしておらず,HVACシステム(304,308)の制御はシステムコントローラ(316,328)によりなされるものであってスマートフォン(130)によりなされるものでないから,「スマートフォンデバイス(130)」は,本件特許の請求項1に係る発明の「操作手段」に相当するとはいえない。
更に,刊行物1発明は,協調状態操作において,一方のHVACシステムのシステムコントローラは他方のHVACシステムのゾーンの制御/監視能力が追加されるものの,実際に空調を行うHVACシステム(304)及びHVACシステム(308)が協調して空調を行うわけではない。刊行物1の[0055]の記載によれば,刊行物1発明の協調状態操作は,HVACシステム(304)とHVACシステム(308)とをそれぞれ制御するために,ユーザがシステムコントローラ(316)とシステムコントローラ(328)の位置間を物理的に移動しなくてもよくなるという作用効果を為すものである。そして,HVACシステム(304),HVACシステム(308)は,それぞれ1階,2階の空調を行うものであって,同一の部屋の空調を行うものではないから,連動制御する動機付けも存在しない。このため,刊行物2?7に記載された技術的事項を考慮しても,スマートフォン(130)により,HVACシステム(304),HVACシステム(308)を制御することが容易となるに過ぎず,刊行物1発明において同一の部屋の空調を行う複数の機器を連動制御することを導出することはできない。
したがって,特許異議申立人の主張は理由がない。

(2)請求項2?7に係る発明について
請求項2?7に係る発明は,請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから,上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により,上記刊行物1に記載された発明及び刊行物2?7に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。
以上のとおり,請求項1?7に係る発明は,刊行物1に記載された発明及び刊行物2?7に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。


6 むすび
したがって,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-05-10 
出願番号 特願2015-73562(P2015-73562)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H04Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 正貴望月 章俊  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 菅原 道晴
山中 実
登録日 2016-07-29 
登録番号 特許第5975135号(P5975135)
権利者 ダイキン工業株式会社
発明の名称 制御システム  
代理人 特許業務法人梶・須原特許事務所  
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