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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1328223
審判番号 不服2016-3936  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-15 
確定日 2017-05-30 
事件の表示 特願2013-558576「携帯端末」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月22日国際公開、WO2013/121455、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年2月13日を国際出願日とする出願であって、平成27年5月12日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月13日付けで手続補正がされ、同年12月11日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年10月18日付けで当審から拒絶理由通知がされ、同年12月22日付けで手続補正がされ、平成29年2月9日付けで当審から最後の拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年4月17日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成27年12月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-23に係る発明は、以下の引用文献A-Hに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2004-317583号公報
B.特開平05-233995号公報
C.特開2008-116874号公報
D.特開2007-243919号公報
E.特開昭63-283271号公報
F.特開2012-011245号公報
G.特開2011-028619号公報
H.特開2002-055771号公報


第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由(平成29年2月9日付け最後の拒絶理由通知)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開平05-300147号公報
2.特開2010-271855号公報


第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成29年4月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示装置および他の携帯端末と通信可能な携帯端末であって、
前記携帯端末は前記表示装置および前記他の携帯端末とともに会議記録システムを構成するものであり、
表示部と、
ユーザからの指示を受付けるタッチパネルと、
前記表示装置と前記他の携帯端末のそれぞれとデータの送受信を行う送受信部と、
保存部と、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記タッチパネルへの線画入力に基づいて描画用線種データまたは消去用線種データを生成して前記送受信部が前記表示装置に送信するように制御し、該描画用線種データは図形を描画するためのデータであり、該消去用線種データは図形を消去するためのデータであり、該消去用線種データは前記表示装置において、前記表示装置が他の携帯端末から先に受信した描画用線種データに基づいて生成された図形の消去に用いられるデータであり、
前記制御部は、前記送受信部を介して、描画用線種データまたは消去用線種データを前記表示装置から受信した場合に、受信した前記描画用線種データまたは前記消去用線種データに基づいて描画または消去を行って生成した表示画像を前記表示部に表示し、
前記制御部は、
前記携帯端末が、前記会議記録システムが対象とする会議に最初から参加している携帯端末の場合には、前記送受信部を介して前記表示装置から受信した描画用線種データまたは消去用線種データを前記会議の最初から逐次前記保存部に保存することにより、一連の前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを前記会議の最初から時系列および前記会議の最初からの時間軸に対応付けられた時刻が把握できる形式で前記保存部に保存するように制御し、
前記携帯端末が、前記会議記録システムが対象とする会議の途中から参加した携帯端末の場合には、前記携帯端末が前記会議に参加する時点より前の時点の描画用線種データまたは消去用線種データを、前記会議の最初からの時系列および前記会議の最初からの時間軸に対応付けられた時刻が把握できる形式で、前記送受信部を介して前記表示装置から取得して前記保存部に保存し、その後に前記送受信部を介して前記表示装置から受信した描画用線種データまたは消去用線種データを逐次前記保存部に保存することにより、一連の前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを前記会議の最初から時系列および前記会議の最初からの時間軸に対応付けられた時刻が把握できる形式で前記保存部に保存するように制御し、
前記表示部に表示する表示画像を前記会議の最初からの時間軸における過去の所望の時刻の表示状態へ変化させるためのユーザ指示をユーザが前記タッチパネルを介して入力することが可能となるように、前記表示部が前記会議の最初からの時間軸を示す表示を行い、前記タッチパネルが該時間軸上の任意の時刻を指定するユーザ指示を受け付けているときに、前記表示部に表示する表示画像を、過去の所望の時刻の表示状態へ変化させるためのユーザ指示であって、該所望の時刻を指定するユーザ指示が前記タッチパネルに入力された場合に、前記制御部は、前記ユーザ指示に応じて、前記保存部に保存された前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを用いて、前記表示部に前記ユーザ指示の入力時点より過去であって前記会議の最初からの時系列のうち前記ユーザ指示により指定される時刻の時点の表示状態の表示画像を表示するように制御する
携帯端末。」


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)平成29年2月9日付けの最後の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(a)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、会議やプレゼンテーションを電子化し、それらの運営の効率をさらに高めるための電子式会議支援システムに関する。」(5頁7-8欄)

(b)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は大型モニタ1を操作する端末装置(パーソナルコンピュータ)は1台のみであったために、大型モニタに自分の資料を表示したり、その場で意見等を入力、表示できる参加者は1時に1人に限られていた。このため、複数の参加者が同時に大型モニタに自分の意見を入力、表示することができなかった。従って、議論の時のように、複数の参加者が自分の意見を入力、表示することが必要とする場合には、会議支援システムが有効に機能しないという問題があった。
【0006】この発明の目的は、複数の端末と大型モニタとをローカルエリアネットワーク(LAN)で結ぶことにより、複数の会議参加者が各自の端末を操作して同時にリアルタイムに大型モニタに入力表示できるようにし、効率よく会議を運営できる会議支援システムを提供することである。
【0007】この発明の第1のアスペクトによれば、情報処理システムは、各々が、入力装置、表示装置、および他の情報処理装置との間のデータ通信を行う通信装置とを備えた複数の情報処理装置と;前記複数の情報処理装置の各通信装置との間でデータ通信を行うデータ通信路と;前記複数の情報処理装置のなかの任意の情報処理装置の入力装置で入力された情報を、リアルタイムにすべての情報処理装置に、前記データ通信路を介して伝送する手段と;前記伝送された情報を前記各情報処理装置の表示装置に表示する手段とで構成される。
【0008】この発明の第2のアスペクトによれば、情報処理システムは、各々が、入力装置、表示装置、および他の情報処理装置との間のデータ通信を行う通信装置とを備えた複数の情報処理装置と;表示装置、および他の情報処理装置との間のデータ通信を行う通信装置とを備えた情報表示装置と;前記複数の情報処理装置内の各通信装置、および前記情報表示装置内の通信装置との間のデータ通信を行うデータ通信路と;前記複数の情報処理装置の中の任意の情報処理装置の入力装置で入力された情報をリアルタイムにすべての情報処理装置、および情報表示装置に前記データ通信路を介して伝送する手段と;前記伝送された情報をリアルタイムに各情報処理装置の表示装置、および情報表示装置の表示装置に表示する手段とで構成される。」(5頁8欄-6頁9欄)

(c)「【0015】
【実施例】図1はこの発明の会議支援システムの一実施例を示すブロック図である。図1において、大型モニタ21は、各端末27、29、31、33、35により共有され共通の表示データを表示する。モニタコントローラ23は大型モニタ21をコントロールして各種データを表示させる機能とともに、local areanetwork(LAN)インターフェースを有して各端末とLAN回線25で接続され、LANに接続された各端末27、29、31、33、35を制御する機能を有している。各端末27、29、31、33、35は、一体型入力表示装置とLANインターフェースとからなる端末本体37と、一体型入力表示装置に対して座標を入力するペン39と、端末の文字入力装置であるキーボード41とを備えている。
【0016】図2は各端末の内部構成を示すブロック図である。
【0017】図2において、表示装置43は例えば液晶表示装置(LCD)で構成されている。LCD43はLCDコントローラ45と接続されている。LCDコントローラ45はビデオRAM(VRAM)47a、47b、47cにも接続され、VRAM47a、47b、47cのデータをLCD43に表示するように制御する。その際、LCDコントローラ45はVRAM47a、47b、47cのデータDATAI、DATAII,およびDATAIIIのうち、任意のデータを選択してその選択したデータのORのデータをLCD43に表示することができる。各VRAM47a、47b、47cはLCDの各1ドットがその1ビットに対応するようなビットマップメモリ方式である。VRAM47aは個別の端末専用のイメージデータ(個別データ)を保持する。VRAM47bは、大型モニタ21に表示されているイメージデータ(共通データ)を保持する。VRAM47cはあらかじめ用意された配布資料データを保持する。透明タブレット49はペン39の位置を検出する。透明タブレット49の方式は例えば静電結合方式であり、一体型入力装置を構成している。タブレットコントローラ51は透明タブレット49と、ペン39を制御してタブレット49にペン39の位置を検出させ、さらにタブレット49が検出したペン39の位置情報やスイッチのオン/オフ情報をCPU55に伝える。
【0018】ユーザはペン39によりタブレット49上の位置を指定する。また、ペン39はペン先とペン軸にスイッチをもち、そのオン/オフ情報をタブレットコントローラ51に供給する。ペン先の外観とペン先スイッチの構造を図5および図6に示す。
【0019】CPU55はプログラムに従い端末全体を制御する。メインメモリ(RAM)57は各種データおよびプログラムを格納し、CPU55によりアクセスされる。ROM59はCPU55を制御するためのプログラムや文字コードに対応するビットパターンなどの各種データを格納する読みだし専用の不揮発性メモリである。イメージデータバッファ61は各VRAM47a、47b、47cのデータを一時的に格納するためのRAMである。イメージデータバッファ61は各VRAM47a、47b、47cの3つ1組を1ページと見た場合、複数ページ分を保存できるだけの容量を有している。
【0020】イーサネットインターフェース63は、イーサネット回線に接続するためのLANインターフェースである。フロッピーディスクドライブ(FDD)53は各種データを書き込み/読みだしする補助記憶装置である。文字の入力はキーボード41を介して行われる。」(6頁10欄-7頁11欄)

(d)「【0022】図3は図2に示すLCDコントローラ45の詳細ブロック図である。図3に示すように、LCDコントローラ45は、ANDゲート65、67、69、ORゲート71、および表示回路73を有している。ANDゲート65、67、69の各一方の入力端子にはそれぞれVRAM47a、47b、47cからの表示データが供給され、他方の入力端子にはそれぞれVRAMのデータを表示するかしないかを選択する選択信号が供給される。すなわち、ANDゲート65の入力端子“1”の選択信号が供給された場合には、VRAM47aのデータがLCD43に表示される。同様に、ANDゲート67の入力端子に“1”の選択信号が供給された場合には、VRAM47bのデータ、ANDゲート69の入力端子に“1”の選択信号が供給された場合には、VRAM47cのデータがそれぞれLCD43に表示される。各ANDゲート65、67、69の出力はORゲート71に供給される。ORゲート71は、各ANDゲート65、67、69からのデータのORをとり、LCD43に出力する。従って、各ANDゲート65、67、69にそれぞれ“1”の選択信号が供給された場合には、各VRAM47a、47b、47cの表示データの合成データがLCD43に表示される。
【0023】図4はモニタコントローラ3の内部構成を示すブロック図である。
【0024】CRTコントローラ75はビデオRAM(VRAM)77a、77b、77cに接続され、VRAM77a、77b、77cのデータをCRTインターフェース74を介してモニタ21に表示するように制御する。CRTコントローラ75は図3に示すLCDコントローラと同様の内部構成を有する。CRTコントローラ75はVRAM77a、77b、77cのデータDATAI、DATAII,およびDATAIIIのうち、任意のデータを選択してその選択したデータのORのデータをモニタ21に表示することができる。各VRAM77a、77b、77cはCRTの各1ドットがその1ビットに対応するようなビットマップメモリ方式である。VRAM77aは個別の端末専用のイメージデータ(個別データ)を保持する。VRAM77bは、大型モニタ21に表示されているイメージデータ(共通データ)を保持する。VRAM77cはあらかじめ用意された配布資料データを保持する。CPU79はプログラムに従いモニタコントローラ23全体を制御する。RAM81は各種データおよびプログラムを格納し、CPU79によりアクセスされる。ROM83はCPU79を制御するためのプログラムや各種データを格納する読みだし専用の不揮発性メモリである。イメージデータバッファ85は各VRAM77a、77b、77cのデータを一時的に格納するためのRAMである。イメージデータバッファ85は各VRAM77a、77b、77cの3つ1組を1ページと見た場合、複数ページ分を保存できるだけの容量を有している。」(7頁11-12欄)

(e)「【0030】以下、上記会議の流れに従って、この発明の一実施例の動作を、図9乃至図18を参照して説明する。
(1)資料の配布(会議の開始)
(i)図1の端末27を使用する会議参加者が端末を操作して図2のFDD53からフロッピーディスクに用意してきた会議資料(イメージデータ)を図2のメインメモリ(RAM)57にロードする。
【0031】 ・・・中略・・・
【0032】 ・・・中略・・・
【0033】 ・・・中略・・・
【0034】 ・・・中略・・・
【0035】 ・・・中略・・・
【0036】上記説明では、端末27から会議資料のデータをロードし、配布したが、他の端末29、31、33、35から会議資料データをロードし、配布する場合でも動作は同様である。また、あらかじめ用意された、配布すべき会議資料が無い場合には、上記(i)のステップは必要無い。この場合、配布資料のVRAM77c、47cのデータはすべて“0”になる。
(2)会議中の動作
図9乃至図17のフローチャートにおいて、DISPLAY PUBLICフラッグは図2のメインメモリ57中にあり、個別データのVRAM47aがLCD43に表示されているとき、“1”、表示されていないとき、“0”となる。DISPLAY PRIVATEフラッグは図2のメインメモリ57中にあり、個別データのVRAM47aがLCD43に表示されているとき“1”、表示されていないとき“0”になる。入力モードフラッグは、図2のメインメモリ57中にあり、タブレット、キーボードからの入力データが共通データであるときは、“1”(=PUBLIC)、入力データが個別データであるときは、“0”(=PRIVATE)になる。入力データバッファは図2のメインメモリ57中にあり、タブレットやキーボードからの入力データを保存しておくバッファメモリである。
[1]表示画面の切り替え
<1>キーボードのPUBLIC(DISPLAY)キー105が押されると(ステップ129)、すでに共通データが表示されていれば(ステップ175)共通データ用のVRAM47bをLCD43に表示しないようにし、(ステップ179)、対応するLED117をOFFにする(ステップ181)。
【0037】共通データが表示されていなければ、共通データ用のVRAM47bをLCD43に表示するようにして(ステップ185)、対応するLED117をONにする。(ステップ187)
<2>キーボード11上のPRIVATE(DISPLAY)キー107が押された場合(ステップ131)、<1>と同様に、すでに個別データが表示されていれば(ステップ189)、個別データ用のVRAM47aをLCD43に表示しないようにし(ステップ193)、対応するLED119をOFFにする。(ステップ195)また、個別データが表示されていなければ、個別データ用のVRAM47aの内容をLCD43に表示するようにして、(ステップ199)対応するLEDをオンにする。(ステップ201)
[2]入力モードの切り替え
<1>キーボード11上のPUBLIC(WRITE)キー109が押されると(ステップ133)、共通データ入力モードになり(ステップ203)、LED121を点灯する。(ステップ205)さらに、共通データをLCD43に表示する(ステップ183ないし187)
<2>キーボード11上のPRIVATE(WRITE)キー111が押されると(ステップ135)、個別データ入力モードになり、(図15のステップ207)LED123を点灯する。さらに個別データをLCD43に表示する。(ステップ197-201)
[3]表示データの入力、表示
キーボード41から文字が入力された場合(図9のステップ127)、あるいはタブレット49から座標データが入力された場合(図10のステップ141)、それらの文字コードデータあるいは座標データはメインメモリ57の入力データバッファに保存される。(ステップ137、147、149、151)(タブレットからの座標データは、そのときのペン先スイッチ91およびペン軸スイッチ93の状態によって、筆跡データ(ペン先スイッチオン)、消しゴムデータ(ペン軸スイッチオン)、カーソルデータ(ペン先スイッチ、ペン軸スイッチともにオフ)に分かれる(ステップ143、145)
<1>共通データ入力の場合
入力モードフラッグ=1(PUBLIC=1)の場合(ステップ153)
RAM57の入力データバッファに保存されている入力データはLANインターフェース63を通してモニタコントローラ23に送信される(ステップ167)。この送信処理は例えば、図示しない公知のタイマを用いて1秒間に数回タイマ割り込み信号を発生させる。CPU55はこのタイマ割り込み信号に応答して割り込み処理ルーチンを実行することにより、リアルタイムに入力データバッファ内の入力データをモニタコントローラ23に送信する。送信後、イメージデータバッファ61は再び空にされる。(ステップ157)
モニタコントローラ23ではステップ167で端末が送信したデータを受信(図18のステップ215)し、そのデータの内容に従って、共通データ表示用のVRAM77bの内容を更新する。(ステップ221)このとき、表示データが文字コードデータの場合、その文字コードに対応する文字のビットパターンをROM83から取り出し、カーソル位置に書き込む。表示データが座標データでかつ筆跡データの場合、その座標に相当するLCDまたはCRT上のドットに対応するVRAM77b上のビットを“1”にする。
【0038】表示データが座標データかつ消しゴムデータの場合、LCDまたはCRT上におけるその座標を中心とする一定の大きさの正方形の領域の内部に対応するVRAM上のビットをすべて“0”にする。表示データが座標データでかつカーソルデータの場合、これまで表示されていたカーソルを消去し、新たに表示データの座標位置にカーソルを表示する。カーソルの表示、消去は、VRAMに対してカーソルパターンデータ(“◆”マーク)をexclusive OR(XOR)することにより行う。モニタコントローラ23ではCRTコントローラ75の信号線(図3の信号線62に相当)は常に“1”であり、VRAM77bの内容(共通データ)が常に表示されている。
【0039】モニタコントローラ23は受信した表示データを全端末に対して、LANインターフェース87を介して送信する。(ステップ223)
各端末ではステップ223で送信された表示データを受信し(ステップ159)、そのデータに基づいて、共通データ表示用のVRAM47bの内容を更新する。このとき、表示データが文字コードデータの場合、CPU55はその文字コードに対応する文字のビットパターンをROM59から取り出し、カーソル位置に書き込む。表示データが座標データでかつ筆跡データの場合、その座標に相当するLCDまたはCRT上のドットに対応するVRAM47b上のビットを“1”にする。
【0040】 ・・・中略・・・
【0041】 ・・・中略・・・
【0042】各端末では、CPU55はステップ159で受信した配布資料データを配布資料表示用のVRAM47cに書き込み、さらに個別データ表示用のVRAM47a、共通データ表示用のVRAM47bを“0”でクリアする・
(3)会議の終了
会議が終了したら、各参加者は、図7に示すENDキー114を押す。ENDキー114の押下に応答してCPU55はVRAM47の内容をイメージデータバッファ61に書き込むとともに、イメージデータバッファ61の内容(イメージデータ)をFDD53によりFD書き込む。参加者はこのFDを会議資料、会議メモとする。」(8頁14欄-10頁18欄)

(2)上記(a)、(b)、(c)の段落【0015】、図1の記載によれば、引用文献1には、大型モニタ21をコントロールして各種データを表示させるモニタコントローラ23と複数の端末がLAN回線25で接続され、リアルタイムで大型モニタ21及び複数の端末に入力表示ができる会議支援システムにおける端末が、記載されている。
(3)上記(c)、図2の記載によれば、端末は、座標を入力するペン39と、液晶表示装置(LCD43)と、LCD43に接続されるLCDコントローラ45と、該LCDコントローラ45に接続されるビデオRAM(VRAM)47a、47b、47cと、ペン39の位置を検出する静電結合方式の透明タブレット49と、CPU55と、メインメモリ57と、イメージデータバッファ61と、LAN回線25に接続するためのイーサネットインターフェース63と、各種データを書き込み/読みだしする補助記憶装置であるフロッピーディスクドライブ(FDD)53と、を備えている。
(4)図2、図4、上記(c)、(d)の記載によれば、端末とモニタコントローラ23は、端末がタブレットコントローラ51を有している点を除いてほぼ同様な構成を有しており、上記(e)の段落【0039】に記載の「端末」での送信された表示データに基づく、共通データ表示用のVRAM47bの内容の更新は、段落【0037】、【0038】に記載される「モニタコントローラ23」での共通データ表示用のVRAM77bの内容の更新と同様に行われるものと認められる。
してみれば、引用文献1には、モニタコントローラ23は受信した表示データを全端末に対して、LANインターフェース87を介して送信し、各端末では送信された表示データを受信し、そのデータに基づいて、共通データ表示用のVRAM47bの内容を、表示データが座標データでかつ筆跡データの場合、その座標に相当するLCD上のドットに対応するVRAM47b上のビットを“1”にし、表示データが座標データかつ消しゴムデータの場合、LCD上におけるその座標を中心とする一定の大きさの正方形の領域の内部に対応するVRAM上のビットをすべて“0”に更新すること、が記載されているといえる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「大型モニタ21をコントロールして各種データを表示させるモニタコントローラ23と複数の端末がLAN回線25で接続され、リアルタイムで大型モニタ21及び複数の端末に入力表示ができる会議支援システムにおける端末であって、
端末は、座標を入力するペン39と、液晶表示装置(LCD43)と、LCD43に接続されるLCDコントローラ45と、該LCDコントローラ45に接続されるビデオRAM(VRAM)47a、47b、47cと、ペン39の位置を検出する静電結合方式の透明タブレット49と、CPU55と、メインメモリ57と、イメージデータバッファ61と、LAN回線25に接続するためのイーサネットインターフェース63と、各種データを書き込み/読みだしする補助記憶装置であるフロッピーディスクドライブ(FDD)53と、を備え、
前記VRAM47a、47b、47cはLCD43の各1ドットがその1ビットに対応するようなビットマップメモリ方式であり、前記VRAM47aは個別の端末専用のイメージデータ(個別データ)を保持し、前記VRAM47bは、大型モニタ21に表示されているイメージデータ(共通データ)を保持し、前記VRAM47cはあらかじめ用意された配布資料データを保持するものであり、
前記CPU55はプログラムに従い端末全体を制御するものであり、
前記イメージデータバッファ61は各VRAM47a、47b、47cのデータを一時的に格納するためのRAMであり、各VRAM47a、47b、47cの3つ1組を1ページと見た場合、複数ページ分を保存できるだけの容量を有するものであって、
前記タブレット49から座標データが入力された場合、座標データは前記メインメモリ57の入力データバッファに保存され、タブレットからの座標データは、そのときのペン先スイッチ91およびペン軸スイッチ93の状態によって、筆跡データ(ペン先スイッチオン)、消しゴムデータ(ペン軸スイッチオン)、カーソルデータ(ペン先スイッチ、ペン軸スイッチともにオフ)に分かれ、
タイマを用いて1秒間に数回タイマ割り込み信号を発生させ、前記CPU55はこのタイマ割り込み信号に応答して割り込み処理ルーチンを実行することにより、リアルタイムで前記RAM57の入力データバッファに保存されている表示データはLANインターフェース63を通してモニタコントローラ23に送信され、
前記モニタコントローラ23では、端末が送信した表示データを受信し、その表示データの内容に従って、共通データ表示用のVRAM77bの内容を、表示データが座標データでかつ筆跡データの場合、その座標に相当するCRT上のドットに対応するVRAM77b上のビットを“1”にし、表示データが座標データかつ消しゴムデータの場合、CRT上におけるその座標を中心とする一定の大きさの正方形の領域の内部に対応するVRAM上のビットをすべて“0”に更新し、
モニタコントローラ23は受信した表示データを全端末に対して、LANインターフェース87を介して送信し、各端末では送信された表示データを受信し、そのデータに基づいて、共通データ表示用のVRAM47bの内容を、表示データが座標データでかつ筆跡データの場合、その座標に相当するLCD上のドットに対応するVRAM47b上のビットを“1”にし、表示データが座標データかつ消しゴムデータの場合、LCD上におけるその座標を中心とする一定の大きさの正方形の領域の内部に対応するVRAM上のビットをすべて“0”に更新し、
会議が終了したら、各参加者は、ENDキー114を押し、ENDキー114の押下に応答してCPU55はVRAM47の内容をイメージデータバッファ61に書き込むとともに、イメージデータバッファ61の内容(イメージデータ)をFDD53によりFD書き込みする、
端末。」

2.引用文献2について
平成29年2月9日付けの最後の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(a)「【0034】
図4は、本発明の実施形態における描画システムのネットワーク構成の一例を示す図である。
図4に示した例では、複数の参加者のそれぞれが使用する描画処理装置1をクライアントと位置づけ、これらがネットワークでサーバ30に接続される。
各クライアントは、他のクライアントからの描画情報を受信した場合、この描画情報を当該描画情報の描画画面における描画対象領域の情報とともに描画情報格納部17に格納することで、当該描画情報を自装置により描画した描画情報に反映させる。
【0035】
サーバ30は、各クライアントからの描画情報を受け取って、他のクライアントに転送する。サーバ30は、描画情報を転送するとともに、この情報を描画する全描画情報表示画面を有して、ディスプレイや前のスクリーンに投影する。図4に示した例では、サーバ30は投影装置31により全描画情報表示画面をスクリーン32に投影する。」(8頁)

(b)「【0040】
また、サーバ30が投影する全描画情報表示画面や描画入力画面に、他のクライアントが開いている描画入力画面の位置、つまり描画領域を示す枠を表示したり、他者のペンまたはマウス位置、つまりマウスカーソル情報を表示したりしてもよい。
また、描画情報以外にペンの位置を送ることで描画したものを指示し、それを他者に伝えることもできる。さらに、これまでクライアント間で送りあった描画情報をサーバ30で格納しておき、参加者が途中参加した場合にそれらの情報を送って途中参加可能とすることもできる。
なお、ここではサーバ30を設けた例を挙げたが、サーバを設けずにクライアントだけで構成し、各クライアントがそれぞれ描画情報を送りあってもよい。」(9頁)


第6 本願発明1についての対比・判断
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(a)引用発明の「大型モニタ21」及び「モニタコントローラ23」は、本願発明1の「表示装置」に相当する。
また、引用発明の「端末」は、「大型モニタ21をコントロールして各種データを表示させるモニタコントローラ23と複数の端末がLAN回線25で接続され」通信可能な端末であって、携帯できるものを含んでいることは明らかであるから、引用発明の「端末」は、本願発明1の「表示装置および他の携帯端末と通信可能な携帯端末」に相当する。
さらに、引用発明では「大型モニタ21をコントロールして各種データを表示させるモニタコントローラ23と複数の端末がLAN回線25で接続され」「会議支援システム」を構成するものであるから、引用発明の「会議支援システム」は、本願発明1の「会議記録システム」に相当し、引用発明の「端末」は、本願発明1の「前記携帯端末は前記表示装置および前記他の携帯端末とともに会議記録システムを構成する」ものに含まれる。

(b)引用発明の「液晶表示装置(LCD43)」、「CPU55」は、本願発明1の「表示部」、「制御部」に相当する。
また、引用発明の「透明タブレット49」は、「位置を検出する静電結合方式」のものであり、「ペン39」でユーザが「座標を入力する」ものであるから、本願発明1の「ユーザからの指示を受付けるタッチパネル」に相当する。
さらに、引用発明の「イーサネットインターフェース63」は、「LAN回線25に接続するための」ものであるから、本願発明1の「前記表示装置と前記他の携帯端末のそれぞれとデータの送受信を行う送受信部」に相当する。
そして、引用発明の「フロッピーディスクドライブ(FDD)53」は、「各種データを書き込み/読みだしする補助記憶装置」であるから、本願発明1の「保存部」に相当する。

(c)引用発明の「筆跡データ」は、「その座標に相当するLCD上のドットに対応するVRAM77b上のビットを“1”」とするものであるから、引用発明の「筆跡データ」は、本願発明1の「描画用線種データは図形を描画するためのデータ」に相当する。
また、引用発明の「消しゴムデータ」は、「LCD上におけるその座標を中心とする一定の大きさの正方形の領域の内部に対応するVRAM上のビットをすべて“0”」とするものであって、さらに、引用発明では、「リアルタイム」で「表示データ」は「モニタコントローラ23」に送信され、「モニタコントローラ23は受信した表示データを全端末に対して、LANインターフェース87を介して送信し、各端末では送信された表示データを受信し、そのデータに基づいて、共通データ表示用のVRAM47bの内容を更新」するものであるから、引用発明の「消しゴムデータ」は、本願発明1の「消去用線種データは図形を消去するためのデータであり、該消去用線種データは前記表示装置において、前記表示装置が他の携帯端末から先に受信した描画用線種データに基づいて生成された図形の消去に用いられるデータ」に相当する。
そして、引用発明では「前記タブレット49から座標データが入力された場合、座標データは前記メインメモリ57の入力データバッファに保存」されるものであり、ここで「座標データ」には「筆跡データ」と「消しゴムデータ」があり、また、引用発明の「CPU55」は「端末全体を制御するものであ」るから、引用発明の前記「保存」は「CPU55」によって行われるものと認められ、さらに、引用発明の「CPU55」は「タイマ割り込み信号に応答して割り込み処理ルーチンを実行することにより、リアルタイムで前記RAM57の入力データバッファに保存されている入力データはLANインターフェース63を通してモニタコントローラ23に送信」するものであるから、引用発明の「CPU55」による前記「保存」及び前記「送信」は、本願発明1の「前記制御部は、前記タッチパネルへの線画入力に基づいて描画用線種データまたは消去用線種データを生成して前記送受信部が前記表示装置に送信するように制御し」に相当する。

(d)引用発明では「モニタコントローラ23は受信した表示データを全端末に対して、LANインターフェース87を介して送信し、各端末では送信された表示データを受信し、そのデータに基づいて、共通データ表示用のVRAM47bの内容を更新し、表示データが座標データでかつ筆跡データの場合、その座標に相当するLCD上のドットに対応するVRAM47b上のビットを“1”にし、表示データが座標データかつ消しゴムデータの場合、LCD上におけるその座標を中心とする一定の大きさの正方形の領域の内部に対応するVRAM上のビットをすべて“0”に更新する」ものであり、また、引用発明の「CPU55」は「端末全体を制御するものであ」るから、引用発明の前記「更新」は「CPU55」によって行われるものと認められることから、引用発明の「CPU55」による前記「更新」は、本願発明1の「前記制御部は、前記送受信部を介して、描画用線種データまたは消去用線種データを前記表示装置から受信した場合に、受信した前記描画用線種データまたは前記消去用線種データに基づいて描画または消去を行って生成した表示画像を前記表示部に表示」することに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「表示装置および他の携帯端末と通信可能な携帯端末であって、
前記携帯端末は前記表示装置および前記他の携帯端末とともに会議記録システムを構成するものであり、
表示部と、
ユーザからの指示を受付けるタッチパネルと、
前記表示装置と前記他の携帯端末のそれぞれとデータの送受信を行う送受信部と、
保存部と、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記タッチパネルへの線画入力に基づいて描画用線種データまたは消去用線種データを生成して前記送受信部が前記表示装置に送信するように制御し、該描画用線種データは図形を描画するためのデータであり、該消去用線種データは図形を消去するためのデータであり、該消去用線種データは前記表示装置において、前記表示装置が他の携帯端末から先に受信した描画用線種データに基づいて生成された図形の消去に用いられるデータであり、
前記制御部は、前記送受信部を介して、描画用線種データまたは消去用線種データを前記表示装置から受信した場合に、受信した前記描画用線種データまたは前記消去用線種データに基づいて描画または消去を行って生成した表示画像を前記表示部に表示する、
携帯端末。」

(相違点1)
上記「制御部」が、本願発明1では、「前記携帯端末が、前記会議記録システムが対象とする会議に最初から参加している携帯端末の場合には、前記送受信部を介して前記表示装置から受信した描画用線種データまたは消去用線種データを前記会議の最初から逐次前記保存部に保存することにより、一連の前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを前記会議の最初から時系列および前記会議の最初からの時間軸に対応付けられた時刻が把握できる形式で前記保存部に保存するように制御し」、さらに「前記携帯端末が、前記会議記録システムが対象とする会議の途中から参加した携帯端末の場合には、前記携帯端末が前記会議に参加する時点より前の時点の描画用線種データまたは消去用線種データを、前記会議の最初からの時系列および前記会議の最初からの時間軸に対応付けられた時刻が把握できる形式で、前記送受信部を介して前記表示装置から取得して前記保存部に保存し、その後に前記送受信部を介して前記表示装置から受信した描画用線種データまたは消去用線種データを逐次前記保存部に保存することにより、一連の前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを前記会議の最初から時系列および前記会議の最初からの時間軸に対応付けられた時刻が把握できる形式で前記保存部に保存するように制御」するのに対し、引用発明では「CPU55」は、そのような制御を行わない点。

(相違点2)
上記「制御部」が、本願発明1では、「前記表示部に表示する表示画像を前記会議の最初からの時間軸における過去の所望の時刻の表示状態へ変化させるためのユーザ指示をユーザが前記タッチパネルを介して入力することが可能となるように、前記表示部が前記会議の最初からの時間軸を示す表示を行い」、「前記タッチパネルが該時間軸上の任意の時刻を指定するユーザ指示を受け付けているときに、前記表示部に表示する表示画像を、過去の所望の時刻の表示状態へ変化させるためのユーザ指示であって、該所望の時刻を指定するユーザ指示が前記タッチパネルに入力された場合に、前記制御部は、前記ユーザ指示に応じて、前記保存部に保存された前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを用いて、前記表示部に前記ユーザ指示の入力時点より過去であって前記会議の最初からの時系列のうち前記ユーザ指示により指定される時刻の時点の表示状態の表示画像を表示するように制御する」のに対し、引用発明では「CPU55」は、そのような表示は行わないし、過去の所望の時刻の表示状態の表示画像の表示も行わない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の構成は、上記引用文献1及び引用文献2には記載されておらず、本願国際出願日前において周知技術であるともいえない。
また、時々刻々映像が変化する映像の再生機器において、最初からの時間軸を示す表示を行い、ユーザが時間軸上の任意の時刻を指定することで、指定された時刻の時点の映像の表示を行うことは周知技術と認められるが、本願発明における会議記録システムでの描写入力と同一技術分野とは認められず、また、会議システムにおいては、会議の最初からの流れが把握できれば十分であり、正確な時刻の指定を行う必要が一般的な課題であるとは認められないことから、引用発明において、該周知の技術を適用する動機付けが存在しない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定についての判断
平成29年4月17日付けの補正により、補正後の請求項1は、「前記表示部に表示する表示画像を前記会議の最初からの時間軸における過去の所望の時刻の表示状態へ変化させるためのユーザ指示をユーザが前記タッチパネルを介して入力することが可能となるように、前記表示部が前記会議の最初からの時間軸を示す表示を行い、前記タッチパネルが該時間軸上の任意の時刻を指定するユーザ指示を受け付けているときに、前記表示部に表示する表示画像を、過去の所望の時刻の表示状態へ変化させるためのユーザ指示であって、該所望の時刻を指定するユーザ指示が前記タッチパネルに入力された場合に、前記制御部は、前記ユーザ指示に応じて、前記保存部に保存された前記描画用線種データおよび前記消去用線種データを用いて、前記表示部に前記ユーザ指示の入力時点より過去であって前記会議の最初からの時系列のうち前記ユーザ指示により指定される時刻の時点の表示状態の表示画像を表示するように制御する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Hには記載されておらず、本願国際出願日前における周知技術でもないので、本願発明1は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Hに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-18 
出願番号 特願2013-558576(P2013-558576)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 稲葉 和生
山澤 宏
発明の名称 携帯端末  
代理人 筒井 大和  

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