ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
---|---|
管理番号 | 1328247 |
審判番号 | 不服2015-19163 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-10-23 |
確定日 | 2017-05-08 |
事件の表示 | 特願2012-238946「セル再選択の方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月31日出願公開、特開2013- 21735〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、2008年12月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年1月2日、米国)を国際出願日とする特願2010-541528号の一部を2012年10月30日に分割した出願であって、その経緯は下記のとおりである。 平成25年11月27日 拒絶理由の通知 平成26年 6月 3日付け 手続補正 平成26年11月12日 最後の拒絶理由の通知 平成27年 2月18日付け 手続補正 平成27年 6月15日 平成27年 2月18日付け手続補正の却下及び拒絶査定 平成27年10月23日付け 拒絶査定不服審判の請求と手続補正 平成28年 7月12日 平成27年10月23日付け手続補正の却下及び最後の拒絶理由の通知 平成28年10月13日付け 手続補正 2.平成28年10月13日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年10月13日付けの手続補正を却下する。 [理由] 平成28年10月13日付けの手続補正(以下「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1は、平成26年6月3日付けの手続補正により補正された 「無線送受信ユニット(WTRU)によりセルを変更するための方法であって、 ソースセルに隣接するセルにおいて測定を実行し、前記ソースセルに対する隣接セル測定結果を示す報告を送信すること、 前記ソースセルから、前記WTRUが前記ソースセルではないターゲットセルへ変更すべきことを示すメッセージを受信すること、および 前記受信したメッセージに応答して、 メディアアクセス制御(MAC)をリセットし、 前記ソースセルに関連付けられた無線ネットワーク端末識別子(RNTI)の使用をやめて、 前記ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信すること を備えたことを特徴とする方法。」(以下「補正前発明」という。) から 「無線送受信ユニット(WTRU)により実行される方法であって、 ソースセルに隣接するセルにおいて測定を実行すること、 前記測定から得られる情報を前記ソースセルへ送信すること、 前記ソースセルを介して、前記ソースセルではないターゲットセルを介して前記WTRUが通信すべきことを示すメッセージを受信すること、および 前記受信したメッセージに応答して、 メディアアクセス制御(MAC)をリセットし、 前記ソースセルに関連付けられたE-DCH無線ネットワーク一時識別子(E-RNTI)を消去し、 無線ネットワーク制御装置から前記ターゲットセルを介して、前記ターゲットセルに関連付けられたE-RNTIを受信し、および、 前記受信したE-RNTIを使用して、前記ターゲットセルを介して通信すること、 を備えたことを特徴とする方法。」(以下「補正後発明」という。) に補正された。 2-1.特許法第17条の2第3項について 補正後発明は、「前記ソースセルを介して、前記ソースセルではないターゲットセルを介して前記WTRUが通信すべきことを示すメッセージを受信する」ことを構成要件としているから、「ネットワーク支援によるセル再選択」を前提としているものと認められる。 そして、「ネットワーク支援によるセル再選択方法」に関しては、明細書【0065】-【0070】に記載されており、具体的なセル再選択方法の詳細としては、 「【0066】 ネットワークは、代替においてノードBから取得された測定値に基づいてセル再選択を開始できる。セル再選択に対する条件を満たす場合、ネットワークは、WTRUをターゲットセルにおけるCELL_DCHへ移動させるか、またはWTRUをターゲットセルにおけるCELL_FACHのままにするかを判断できる。本代替において、WTRUは、CELL_FACHのままである。ネットワークは、RRCメッセージを、WTRUに対するソースセル中に送信する。WTRUは、RRCメッセージの受信に応答して、ソースセルにおける送信を停止して、ソースセルにおけるDL E-DCHチャネルの監視を中止する。次に、E-DCHリソースを、例えばパワーランプアップ手順を使用して、ターゲットセルにおいて再度獲得する。次に、WTRUは、RRCメッセージにおいてMAC-es/eリセットインジケータを送信することによって、MAC-es/eエンティティおよび/またはHARQ処理をリセットして、MAC-es/eのフルリセット手順(すなわち、HARQのフラッシュおよびTSNのゼロリセット)を実行する。 【0067】 さらに、MAC-es/eエンティティを、リオーダーするために使用されるTSNを変えることなしにHARQバッファーをフラッシュのみする特別なリセットを実行することによってリセットすることができる。HARQバッファーにあるMAC-e PDUは、ある上位レイヤープロトコルからの再送信を必要とするであろう。特別なリセットを、ハンドオーバーをオーダーするRRCメッセージのうちの1つにおける特別なビットとして表示できるか、またはCELL_FACHにおけるE-DCHを使用するWTRUに対してセル再選択手順において指定できる。例えば、E-DCHを使用するWTRUは、WTRUがCELL_FACHまたはCELL_PCHにある間にセル再選択が生じるたびごとに特別なリセットを実行する。SRNS再配置がセル再選択とともに生じる場合、WTRUは、MAC-e/esのフルリセットを実行する必要がある。」 と記載されているように、本願明細書には、ネットワークがRRCメッセージをWTRUに対するソースセル中に送信すると、WTRUがRRCメッセージの受信に応答して、 (1)ソースセルにおける送信を停止 (2)ソースセルにおけるDL E-DCHチャネルの監視を中止 (3)E-DCHリソースをターゲットセルにおいて再度獲得 (4)MAC-es/eエンティティのフルリセットを実行 の4つを実行することが記載されているだけであって、E-RNTIについては何ら記載されていない。 「ソースセルに関連付けられたE-DCH無線ネットワーク一時識別子(E-RNTI)を消去」することと、「無線ネットワーク制御装置から前記ターゲットセルを介して、前記ターゲットセルに関連付けられたE-RNTIを受信」することについては、明細書【0021】と【0032】-【0033】に、 「【0021】 本開示の方法によると、WTRU20は、セル再選択の判断をするために内部測定を使用する。図3は、ターゲットセルがCELL_FACHの状態において選択されるときにWTRU20が使用できる方法についての信号図である。セル再選択を実行すると決定すると、WTRU20は、ソースノードB22からの送受信を中止して、CRNC26がWTRU20に割り当てた変数のE-RNTIを消去する。」 「【0032】 SRNC28は、CRNC26からメッセージを受信すると、CELL_FACHの状態において使用するための新しいE-RNTIを含んでいるCELL_UPDATE_CONFIRMメッセージ206、207を生成する。本メッセージを、ネットワークが使用して、E-DCHリソースを割り当てることができる。あるいはまた、あらゆるE-DCHリソースを、WTRU20が追加のトラフィックを送信する必要があるときに実行されるプリアンブル・パワー・ランプアップの後にターゲットノードB22が割り当てる。 【0033】 CELL_UPDATE_CONFIRMメッセージ207を受信すると、WTRU20は、のちのアップリンクアクセスにおいて使用するために新しいE-RNTIを格納する。」 と記載されているものの、これらの処理は、「WTRU」がセル再選択を実行することを決定する方法における処理であって、ネットワーク支援によるセル再選択方法における処理ではない。 明細書【0079】には、「本発明の特徴および要素を、特定の組み合わせにおいて説明したが、それぞれの特徴または要素を、他の特徴および要素を用いずに単独において、または他の特徴および要素の有無にかかわらずさまざまな組み合わせにおいて使用することができる。」と記載されているものの、具体的な組合せ方法について記載されていないから、「ネットワーク支援によるセル再選択方法」において該処理を行うことが記載されていると認めることはできない。 また、平成28年10月13日付けの意見書においても何ら主張していない。 したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものでない。 上記によれば、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2-2.特許法第17条の2第5項について また、本件補正は、「WTRUによりセルを変更するための方法」である補正前発明を「WTRUにより実行される方法」に変更することを含むものであるから、補正後発明は、「セルを変更するため」以外の「実行」も含むものである。 また、本件補正は、測定を実行した後に送信する対象として、補正前発明の「ソースセルに対する隣接セル測定結果を示す報告」から、「測定から得られる情報」に変更することを含むものであるから、補正後発明は、「測定結果」以外の「測定から得られる情報」を送信することを含むものである。 また、本件補正は、「ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信する」代わりに、「無線ネットワーク制御装置から前記ターゲットセルを介して、前記ターゲットセルに関連付けられたE-RNTIを受信」して、「受信したE-RNTIを使用して、前記ターゲットセルを介して通信する」ことを含むものであるから、補正後発明は、「ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信する」以外の方法によりターゲットセルを介して通信することを含むものである。 よって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮ではない。 また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明でないことも明らかである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2-3.小括 本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項に規定する要件を満たしていないから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明 平成28年10月13日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年6月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「無線送受信ユニット(WTRU)によりセルを変更するための方法であって、 ソースセルに隣接するセルにおいて測定を実行し、前記ソースセルに対する隣接セル測定結果を示す報告を送信すること、 前記ソースセルから、前記WTRUが前記ソースセルではないターゲットセルへ変更すべきことを示すメッセージを受信すること、および 前記受信したメッセージに応答して、 メディアアクセス制御(MAC)をリセットし、 前記ソースセルに関連付けられた無線ネットワーク端末識別子(RNTI)の使用をやめて、 前記ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信すること を備えたことを特徴とする方法。」 4.明細書の記載 本願発明は、「前記ソースセルから、前記WTRUが前記ソースセルではないターゲットセルへ変更すべきことを示すメッセージを受信する」ことを構成要件としているから、「ネットワーク支援によるセル再選択」を前提としているものと認められる。 「2.平成28年10月13日付けの手続補正についての補正却下の決定」に記載したように、「ネットワーク支援によるセル再選択方法」に関しては、明細書【0065】-【0070】に記載されており、具体的なセル再選択方法の詳細としては、ネットワークがRRCメッセージをWTRUに対するソースセル中に送信すると、WTRUがRRCメッセージの受信に応答して、 (1)ソースセルにおける送信を停止 (2)ソースセルにおけるDL E-DCHチャネルの監視を中止 (3)E-DCHリソースをターゲットセルにおいて再度獲得 (4)MAC-es/eエンティティのフルリセットを実行 の4つを実行することが記載されているだけであって、RNTIについては何ら記載されていない。 そして、「ソースセルに関連付けられた無線ネットワーク端末識別子(RNTI)の使用をやめ」ることと、「ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信すること」については、明細書【0021】と【0024】に、 「【0021】 本開示の方法によると、WTRU20は、セル再選択の判断をするために内部測定を使用する。図3は、ターゲットセルがCELL_FACHの状態において選択されるときにWTRU20が使用できる方法についての信号図である。セル再選択を実行すると決定すると、WTRU20は、ソースノードB22からの送受信を中止して、CRNC26がWTRU20に割り当てた変数のE-RNTIを消去する。」 「【0024】 次に、WTRU20は、報知制御チャネル202においてターゲットノードB22からシステム情報ブロックを受信する。E-DCHの情報要素(IE)(本明細書においてE-DCHシステム情報という)がターゲットセルのシステム情報ブロック(SIB)において報知される場合、WTRU20は、報知されるE-DCH RACHプリアンブルシーケンスを使用して、ターゲットセルにおいて新しいプリアンブル・ランプアップ・フェーズを開始する。このE-DCHのシステム情報の存在により、セルがCELL_FACHにおいてE-DCHをサポートすることをWTRU20へ示す。従って、E-RACHアクセスを、共通の、共有の、またはランダム選択のWTRU IDを使用して達成することができる。」 と記載されているものの、これらの処理は、「WTRU」がセル再選択を実行することを決定する方法における処理であって、ネットワーク支援によるセル再選択方法における処理ではない。 明細書【0079】には、「本発明の特徴および要素を、特定の組み合わせにおいて説明したが、それぞれの特徴または要素を、他の特徴および要素を用いずに単独において、または他の特徴および要素の有無にかかわらずさまざまな組み合わせにおいて使用することができる。」と記載されているものの、具体的な組合せ方法について記載されておらず、平成28年10月13日付けの意見書においても何ら主張していない。 したがって、本願発明のように「前記ソースセルから、前記WTRUが前記ソースセルではないターゲットセルへ変更すべきことを示すメッセージを受信する」場合において、「ソースセルに関連付けられた無線ネットワーク端末識別子(RNTI)の使用をやめ」ることと、「ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信すること」については、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されていない。 したがって、平成26年6月3日付けの手続補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 同様に、本願発明のように「前記ソースセルから、前記WTRUが前記ソースセルではないターゲットセルへ変更すべきことを示すメッセージを受信する」場合において、「ソースセルに関連付けられた無線ネットワーク端末識別子(RNTI)の使用をやめ」ることと、「ターゲットセルにランダムアクセスプリアンブルを送信すること」については、発明の詳細な説明に記載されていない。 したがって、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 5.まとめ 以上のとおり、本願の特許請求の範囲についてした平成26年6月3日付けの補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 また、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-11-21 |
結審通知日 | 2016-11-30 |
審決日 | 2016-12-15 |
出願番号 | 特願2012-238946(P2012-238946) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
WZ
(H04W)
P 1 8・ 537- WZ (H04W) P 1 8・ 57- WZ (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 古市 徹 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
山本 章裕 吉田 隆之 |
発明の名称 | セル再選択の方法および装置 |
代理人 | 長門 侃二 |