• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1328257
審判番号 不服2016-4807  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-01 
確定日 2017-05-08 
事件の表示 特願2012-239010「ホイルトラップおよびこのホイルトラップを有する光源装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月15日出願公開、特開2014- 90070〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成24年10月30日の出願であって、平成27年7月29日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年9月29日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月28日付けで拒絶査定がなされ、同査定の謄本は平成28年1月5日に請求人に送達された。これに対して、同年4月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において、同年11月8日付けで拒絶理由を通知し(同年同月15日発送)、応答期間内である平成29年1月13日に意見書及び手続補正書が提出されたところである。

2 本願発明
この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年1月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
光源と、該光源から放射される光を集光する集光ミラーの間に配置され、主軸から放射状に伸びる複数のホイルを備え、上記光は通過するが上記光源からのデブリは捕捉するホイルトラップにおいて、
上記ホイルトラップは、同心円状に配置された内部リング、外部リング、および上記内部リングと外部リングの間にあって当該内部リング、外部リングと同心円状に配置された中間リングを備え、
上記複数のホイルは、上記内部リングと中間リングにより区分される内側領域に配置される複数の内側ホイルと、中間リングと外部リングにより区分される外側領域に配置される外側ホイルとに分割され、
上記複数の外側ホイルの一部より、内側ホイルの厚みが厚く、上記複数の外側ホイルの枚数が上記複数の内側ホイルの枚数より多い
ことを特徴とするホイルトラップ。」

3 引用文献
(1)引用文献1
ア 当審において通知した拒絶の理由に引用された特開2006-319328号公報(以下「引用文献1」という。)には,次の事項が図面とともに記載されている。なお、下線は当審で付与したものである。
(a)「【0001】
本発明は、プラズマに基づく短波長放射線源におけるデブリの抑制のための方法および装置に関し、この方法および装置では、プラズマから放出され、真空室にある短波長放射線は、短波長放射線が集光光学系に達する前に、少なくとも1つの機械的なフィルタ構造を備えたデブリフィルタを通過するように向けられる。本発明は、半導体リソグラフィ用のEUV源に用いられることが好ましい。」

(b)「【0052】
図2に示されているように、適切に改変された基本構造(DE102 37 901 B3号明細書に基づく)は、各ブレード43によって投じられる影が最小となるように、(略点状の)放射線源(プラズマ1)に対して向けられる薄いブレード43(フォイル)からなる装置を備える。ブレード構造42が、プラズマ1から放出され、次に偏向または減速されるデブリ粒子に関する凝結(接着)する可能性を提供する大きな面を有することは、デブリフィルタ4の有効性に関して不可欠である。
【0053】
一般性を制限することなく、本発明を実現するために、用いられるデブリフィルタ構造42では、図2において平面図および側面図で示されているように、きわめて薄い(厚さ約100μm)ブレード43が(集光光学系3の)光軸31に対して半径方向に向けられる。このブレード構造42は、光源(たとえばZピンチプラズマ)がフィルタの対称軸(集光撮像の光軸31と同一)に沿って一定の拡がりを有する場合には、さらなるシャドーイングを生じないことから、特に望ましい。
【0054】
外側円錐面として形成される少数の支持リング44によって、デブリフィルタ4の外側領域により大量のブレード43を挿入することができ(たとえば、外側領域で360個のブレード43またはさらに外側に位置する1組の支持リングでは720個ものブレード43に比べて、内側領域では180個のブレード43)、その結果、フィルタ深さl(=ブレード長さ)およびブレード間隔の比(この比はデブリの抑制では重要である)はまた、外側領域で大きく保たれる。フィルタ長さlに関して約40?150mmの値が選択され、ブレード43の間隔に関しては約1mmが好ましい。これは、隣接するブレード43の間の約1/2?2°の角度に対応する。」

(c)「【図2】



イ 以上のことから、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「プラズマから放出され、真空室にある短波長放射線は、短波長放射線が集光光学系に達する前に、デブリフィルタを通過するように向けられる半導体リソグラフィ用のEUV源に用いられるデブリフィルタであって、
デブリフィルタ構造42は、ブレード43が(集光光学系3の)光軸31に対して半径方向に向けられ、
外側円錐面として形成される複数の支持リング44によって、デブリフィルタ4の外側領域に内側領域より大量のブレード43を挿入する
デブリフィルタ。」

(2)引用文献2
ア 当審において通知した拒絶の理由に引用された特表2009-537981号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与したものである。
(a)「【請求項1】
EUV放射システム中で使用するための回転可能汚染障壁であって、前記汚染障壁がEUV放射源から生じる汚染物質を捕捉するための複数の緊密にパッキングされたブレードを備え、前記ブレードが前記汚染障壁の中心回転軸に対して放射状に配向され、前記汚染障壁は前記中心回転軸に対して内側区分と外側区分とに区分される、回転可能汚染障壁。」

(b)「【0026】・・・(途中省略)・・・障壁の別の名称は、(回転可能)ホイルトラップである。」

(c)「【0035】・・・本発明の一実施形態において、内側区分の円周周囲のホイルの数は、外側シャフトの円周周囲のホイルの数より少ない。例えば、より高密度のブレード構造体を、外側区分8上に配置するほうが簡単な場合がある。また、ブレード厚さは様々でよく、例えば、より薄い厚さのブレードを備えるブレード構造体を、外側区分8に与えるほうが簡単な場合がある。」

イ 以上のことから、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「EUV放射システムで使用される回転可能なホイルトラップ(回転可能汚染障壁)において、
ホイルトラップは、中心回転軸に対して放射状に配向された複数のブレードを備え、
中心回転軸に対して内側区分と外側区分に区分され、
内側区分のホイルの数が、外側区分のホイルの数より少なく、
より薄い厚さのブレードを備えるブレード構造体を、外側区分に与えるほうが簡単な場合がある。」

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「プラズマ」、「プラズマから放出され、真空室にある短波長放射線」、「集光光学系」、「ブレード」及び「デブリフィルタ」は、それぞれ本願発明の「光源」、「光源から放射される光」、「集光ミラー」、「ホイル」及び「ホイルトラップ」に相当する。

引用発明の「外側円錐面として形成される複数の支持リング44によって、デブリフィルタ4の外側領域に内側領域より大量のブレード43を挿入する」ことにおいて、「外側領域の外側の支持リング」、「外側領域と内側領域の間の支持リング」及び「内側領域の内側の支持リング」が、それぞれ本願発明の「外部リング」、「中間リング」及び「内部リング」に相当し、引用発明の「外側領域に内側領域より大量のブレード43を挿入する」ことは、本願発明の「上記複数の外側ホイルの枚数が上記複数の内側ホイルの枚数より多い」ことに相当する。

(2)一致点
以上の相当関係から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。

「光源と、該光源から放射される光を集光する集光ミラーの間に配置され、主軸から放射状に伸びる複数のホイルを備え、上記光は通過するが上記光源からのデブリは捕捉するホイルトラップにおいて、
上記ホイルトラップは、同心円状に配置された内部リング、外部リング、および上記内部リングと外部リングの間にあって当該内部リング、外部リングと同心円状に配置された中間リングを備え、
上記複数のホイルは、上記内部リングと中間リングにより区分される内側領域に配置される複数の内側ホイルと、中間リングと外部リングにより区分される外側領域に配置される複数の外側ホイルとに分割され、
上記複数の外側ホイルの枚数が上記複数の内側ホイルの枚数より多い
ことを特徴とするホイルトラップ。」

(3)相違点
本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。

本願発明は、「上記複数の外側ホイルの一部より、内側ホイルの厚みが厚」いのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

5 当審の判断
(1)引用文献2には、「EUV放射システムで使用される回転可能なホイルトラップ(回転可能汚染障壁)であって、ホイルトラップは、中心回転軸に対して放射状に配向された複数のブレードを備え、中心回転軸に対して内側区分と外側区分に区分され、内側区分のホイルの数が、外側区分のホイルの数より少なくより薄い厚さのブレードを備えるブレード構造体を、外側区分に与えるほうが簡単な場合がある。」との技術事項が記載されている。また、段落0035には、ブレードの厚さに関して以下の記載がある。
「本発明の一実施形態において、内側区分の円周周囲のホイルの数は、外側シャフトの円周周囲のホイルの数より少ない。例えば、より高密度のブレード構造体を、外側区分8上に配置するほうが簡単な場合がある。また、ブレード厚さは様々でよく、例えば、より薄い厚さのブレードを備えるブレード構造体を、外側区分8に与えるほうが簡単な場合がある。」
この記載は、「本発明の一実施形態において、内側区分の円周周囲のホイルの数は、外側シャフトの円周周囲のホイルの数より少ない。」との記載の後に「例えば」として、「高密度のブレード構造体を、外側区分8上に配置する」構成、「より薄い厚さのブレードを備えるブレード構造体を、外側区分8に与える」構成が記載されているものである。
つまり、「内側区分の円周周囲のホイルの数」<「外側シャフトの円周周囲のホイルの数」の構成の例の一つとして、「内側区分のブレードの厚さ」>「外側区分のブレードの厚さ」の構成が挙げられているものである。
一方、「デブリフィルタ4の外側領域に内側領域より大量のブレード43を挿入するデブリフィルタ」である引用発明は、「内側領域のブレードの数」<「外側領域のブレードの数」の構成を備える発明である。
引用文献2に記載されている「内側区分の円周周囲のホイルの数」<「外側シャフトの円周周囲のホイルの数」の構成と、引用発明の「内側領域のブレードの数」<「外側領域のブレードの数」の構成とは、ホイルトラップの形式として、回転式であるか固定式であるかにかかわらず共通する構成であり、異なる形式のものであっても共通する構成に関して相互に技術を転用することは一般に行われていること、また、引用文献2に記載された技術事項の「より薄い厚さのブレードを備えるブレード構造体を、外側区分に与えるほうが簡単な場合がある」ことを踏まえると、引用発明において、簡単な構成にするという一般的な課題を解決すべく、引用文献2に記載された「内側区分の円周周囲のホイルの数」<「外側シャフトの円周周囲のホイルの数」の構成の例として挙げられている「内側区分のブレードの厚さ」>「外側区分のブレードの厚さ」の構成を、引用発明の「内側領域のブレードの数」<「外側領域のブレードの数」の構成において採用し、「外側領域」のブレードより「内側領域」のブレードの厚みを厚くすることは当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)平成29年1月13日付け意見書の主張について
審判請求人は、意見書において、「引用文献1の固定式のホイルトラップにおいて、回転を前提とする(引用文献2の)ホイルトラップの技術を用いる動機は無く、」「引用文献1において、上記引用文献2の記載に基づき、外側ホイルの一部より、内側ホイルの厚みを厚くすることは、」「現実的でない」と主張している。
しかしながら、上記(1)に記載のとおり、引用文献2に記載されている「内側区分の円周周囲のホイルの数」<「外側シャフトの円周周囲のホイルの数」の構成と、引用発明の「内側領域のブレードの数」<「外側領域のブレードの数」の構成とは、ホイルトラップの形式として、回転式であるか固定式であるかにかかわらず共通する構成であるから、引用文献2に記載された「内側区分の円周周囲のホイルの数」<「外側シャフトの円周周囲のホイルの数」の構成の例として挙げられている「内側区分のブレードの厚さ」>「外側区分のブレードの厚さ」の構成は、審判請求人が主張するような「回転を前提とするホイルトラップの技術」ではない。
そして、回転式と固定式で共通する構成に関して相互に技術を転用することに困難性は見いだせないから、固定式の引用発明に、回転式の引用文献2に記載された技術事項を適用することは、「現実的でない」こととはいえない。
よって、審判請求人の意見書での前記主張は採用することができない。

(3)小活
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明において検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-24 
結審通知日 2017-02-28 
審決日 2017-03-22 
出願番号 特願2012-239010(P2012-239010)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松岡 智也田口 孝明  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 森 竜介
松川 直樹
発明の名称 ホイルトラップおよびこのホイルトラップを有する光源装置  
代理人 長澤 俊一郎  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ