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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04B
管理番号 1328512
審判番号 不服2016-7780  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-27 
確定日 2017-06-06 
事件の表示 特願2014- 96815「食品を製造するための装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開、特開2014-220814、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年5月8日(パリ条約による優先権主張 2013年5月10日 欧州特許庁)の外国語書面出願であって、平成27年7月31日付けで拒絶理由が通知され、同年10月22日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月16日付けで拒絶査定されたところ、同年5月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がされ、同年7月25日に前置報告がされ、同年9月12日に審判請求人から前置報告に対する上申がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年3月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.この出願の請求項1-17に係る発明は、下記引用文献1-7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2003-176021号公報
2.国際公開第2009/118856号
3.米国特許第05958030号明細書
4.特開2001-138916号公報
5.特開2010-23322号公報
6.特開2007-25762号公報
7.特開2009-132455号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって請求項1、10に、
「が有する充填機械および異なる付属装置に対応」(以下(あ)とする。)、
「前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、 デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させることができる」(以下(い)とする。)、
という事項を追加する補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるか、また、新規事項を追加するものではないかについて検討する。
まず、(あ)は、出願当初の明細書段落【0034】、【0036】に記載されている内容に依拠して、補正前の請求項1に記載された発明の「充填ライン(1)に関与する複数のデバイス(2、3、8)」を、「充填ライン(1)が有する充填機械および異なる付属装置に対応する複数のデバイス(2、3、8)」に変更する補正であり、請求項1の発明特定事項である「充填ラインと、複数のデバイスとの関与の態様」を概念的により下位の発明特定事項とする補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、当初明細書等に記載された事項であるから、新規事項を追加するものでもないといえる。また、(い)は、出願当初の明細書段落【0039】【0043】に記載されている内容に依拠して、補正前の請求項1に記載された発明に対して「前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させることができる」という事項を追加する補正であり、請求項1の発明特定事項である「送信機(4、4a)と受信機(5、5a)の動作」を、「前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させる」ことに限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、当初明細書等に記載された事項であるから、新規事項を追加するものでもないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-15に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、平成28年5月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
食品を製造するプロセスとしての充填ライン(1)が有する充填機械および異なる付属装置に対応する複数のデバイス(2、3、8)のうち2つのデバイス間で排他的にプロセス・データを無線伝送するための方法において、
前記複数のデバイス(2、3、8)のうち第1のデバイス(2)と第2のデバイス(3)との間のデータ通信は、前記第1のデバイス(2)が備える複数の送信機(4、4a)のうちの一つと前記第2のデバイス(3)が備える複数の受信機(5、5a)のうちの一つとの間が、前記複数の送信機(4、4a)のうちの他の一つと、前記複数の受信機(5、5a)のうちの他の一つとの間と干渉することなく排他的に行われ、および/または
前記第2のデバイス(3)が備える複数の送信機(5、5b)のうちの一つと、前記第1のデバイス(2)が備える複数の受信機(4、4b)のうちの一つとの間が、前記複数の送信機(5、5b)のうちの他の一つと、前記複数の受信機(4、4b)のうちの他の一つとの間と干渉することなく排他的に行われ、
前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、
デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させることができる、方法。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0028】図1?図3は、この発明の液晶パネルの搬送移載装置に係る搬送台車1を示しており、図1は平面図、図2は背面図、図3は側面図であり、図3には液晶パネル製造装置2を併記してある。搬送台車1の前面下部には連結部10が、上面には搬送部20が、該搬送部20の下方には昇降部30が、上面の前側部分には固定部40が配されている。また、搬送部20に液晶パネルを収納した搬送容器3が載置される。なお、液晶パネルの語には、液晶を注入されて未だ注入口が封止されていないものと、注入口が封止されたものとのいずれも含んでいる。
【0029】連結部10は、搬送台車1と液晶パネル製造装置2とを連結する機構である。図4及び図5はこの連結部10を示す一部省略平面図で、図4は未連結状態を、図5は連結状態を示している。液晶パネル製造装置2の前面には、搬送台車1の両端部に対向する位置のそれぞれにガイドレール21が設けられている。一方のガイドレール21の内側に隣接して通信用雌コネクタ22が、他方のガイドレール21の内側に隣接して用力出力コネクタ23がそれぞれ設けられている。これらコネクタ22、23の内側に隣接して、一対の位置決めブッシュ24が設けられている。そして、これら位置決めブッシュ24の間の中央部には適宜な幅員のクランプバー25が設けられている。
【0030】搬送台車1の前面両端部のそれぞれには、前記ガイドレール21に案内されるガイドブロック101 が設けられている。前記通信用雌コネクタ22に対向した部分には該コネクタ22と着脱可能な通信用雄コネクタ102 が設けられ、前記用力出力コネクタ23に対向した部分には該用力出力コネクタ23と着脱可能な用力入力コネクタ103 が設けられている。前記通信用雌コネクタ22と通信用雄コネクタ102 とが接続された状態で、搬送台車1の動作を制御するための情報など製造する液晶パネルに関する情報が、搬送台車1と液晶パネル製造装置2との間で交換される。また、用力出力コネクタ23と用力入力コネクタ103 とが接続された状態で、搬送台車1の後述する諸動作に必要な動力が液晶パネル製造装置2から供給されることになる。前記位置決めブッシュ24のそれぞれに対向した部分には、位置決めピン104 が設けられており、連結時に該位置決めピン104 が位置決めブッシュ24に挿入されるようにしてある。また、一方の位置決めピン104 の基端部には連結検出センサ104aが設けられており、搬送台車1と液晶パネル製造装置2との連結状態を検出し、連結信号を出力する。そして、前記クランプバー25の両端部が臨む位置には、クランプ爪105 が設けられている。このクランプ爪105 は、アクチュエータ105aの出力軸105bの先端部に嵌着されており、該アクチュエータ105aの作動による出力軸105bの回動によって、前記クランプバー25と係脱するようにしてある。」

ここで、「搬送台車1の動作を制御するための情報など製造する液晶パネルに関する情報」は液晶パネル製造装置のプロセス・データに相当すること、及び「情報が搬送台車1と液晶パネル製造装置2との間で交換される」ことは、搬送台車1と液晶パネル製造装置2との間でデータ通信されることに相当することは明らかである。また、雄コネクタと雌コネクタが接続された状態で情報が交換される場合、他の接続に対して該交換は干渉することなく排他的に行われることは当業者に自明であるから、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「液晶パネルを製造するプロセスとしての製造ラインが有する搬送台車および異なる液晶パネル製造装置に対応する複数のデバイスのうちの2つのデバイス間で排他的にプロセス・データを伝送するための方法において、前記複数のデバイスのうち第1のデバイスと第2のデバイスとの間のデータ通信は、前記第1のデバイスが備える通信用雄コネクタと前記第2のデバイスが備える通信用雌コネクタ間が接続された状態で、干渉することなく排他的に行われる、方法。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0026】【0046】及び図2の記載からみて、当該引用文献2には、「生産装置と台車間において、その一方に備えたタグリーダと他方に備えたICタグ間で、無線通信により情報の読み取り、書き込みが行われる。」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3のFig.1a?1d、Fig.3及び対応する明細書の記載からみて、当該引用文献3には、「シェルフに固定された複数の回路基板のうちの2つ回路基板間で排他的にデータを無線伝送するための方法において、複数の回路基板のうちの第1の回路基板と第2の回路基板間のデータ通信は、第1の回路基板が備える送信機と第2の回路基板が備える受信機との間で干渉することなく排他的に行われ、および/または、第2の回路基板が備える送信機と第1の回路基板が備える受信機との間で干渉することなく排他的に行われる、方法。」
という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の段落【0014】や図1の記載からみて、当該引用文献4には、「複数の車両間において無線通信によりデータ通信を行う際、中継器を有する1の車両が、一方の車両から受信した情報を他の車両に中継する方法。」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.その他の文献について
また、拒絶査定において新たに周知技術を示す文献として引用された引用文献5の段落【0006】?【0010】及び図3には「複数のアンテナを備えた画像形成装置において、各アンテナとRFIDタグ間の電波の混信を防止するために、アンテナとRFIDタグとの間の空間を取り囲むように磁性材料を配置することにより排他的な通信を可能とする技術」が記載され、引用文献6の段落【0079】?【0085】及び図6には「リーダライタが複数のRFIDタグの中の所望のRFIDタグと排他的に通信検査を行うために、所望のRFIDタグの位置のみに開口部を有する遮蔽マスクを用いる技術」が記載されている。
更に引用文献7の段落【0025】?【0029】及び図1には、「食品を製造するプロセスとしての充填ラインが有する充填機械およびコンテナ間でプロセス・データを無線伝送するための方法において、
前記充填機械とコンテナとの間のデータ通信は、前記充填機器が備えるデータ読み取り装置と前記コンテナが備えるRFIDチップとの間で行われる、方法。」
が記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「液晶パネルを製造するプロセスとしての製造ラインが有する搬送台車および異なる液晶パネル製造装置」は、「物を製造するプロセスとしての製造ラインが有する1の機器および異なる他の機器」という上位概念においてのみ、本願発明1の「食品を製造するプロセスとしての充填ラインが有する充填機械および異なる付属装置」に相当するといえ、また、引用発明の雄コネクタ、雌コネクタは、それぞれが対となってデータの送受信に用いられる送信側部材、受信側部材という上位概念において、本願発明1の送信機、受信機に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「物を製造するプロセスとしての製造ラインが有する1の機器とおよび異なる他の機器に対応する複数の機器のうちの2つのデバイス間で排他的にプロセス・データを伝送するための方法において、前記複数のデバイスのうち第1のデバイスと第2のデバイスとの間のデータ通信は、前記第1のデバイスが備える送信側部材と前記第2のデバイスが備える受信側部材間で、干渉することなく排他的に行われ、および/または
前記第2のデバイスが備える送信側部材と前記第1のデバイスが備える受信側部材間で、干渉することなく排他的に行われる、
方法。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は、食品を製造するプロセスとしての充填ラインが有する充填機械という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点2)本願発明1は無線伝送するための方法であり、送信側部材、受信側部材として無線信号の送信機、受信機を備えるのに対し、引用発明は単に雄コネクタ、雌コネクタを有するのみであり、また雌雄コネクタの接続を介して通信を行うことからすると有線伝送であると解される点。
(相違点3)本願発明1は、送信側部材、受信側部材としてデバイスが複数の送信機、および/または受信機を備えるのに対し、引用発明はデバイスが送信側部材、受信側部材を複数備えていない点。
(相違点4)本願発明1は、複数のデバイスのうち第1のデバイスと第2のデバイスとの間のデータ通信は、前記第1のデバイスが備える複数の送信機のうちの一つと前記第2のデバイスが備える複数の受信機のうちの一つとの間が、前記複数の送信機のうちの他の一つと、前記複数の受信機のうちの他の一つとの間と干渉することなく排他的に行われるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点5)本願発明1は、第2のデバイスの対応する受信機だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、第1のデバイスの送信機の送信電力が調整されるという構成を備えるのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。
(相違点6)本願発明1は、デバイスの複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させることができるのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み上記相違点5、6について検討すると、相違点5、6に係る本願発明の構成は、上記引用文献1-7の何れにも記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-9について
本願発明2-9は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の「前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、
デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させること」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3.本願発明10-15について
本願発明10-15は、本願発明1に対応する装置の発明であり、本願発明1の「前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、
デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させること」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1は「前記第2のデバイスの前記対応する受信機(5、5a)だけが、無線信号の電力が特に100mW未満である信号を受信するように、前記第1のデバイス(2)の前記送信機(4)の送信電力が調整され、
デバイス(2、3、8)の複数のペアを、同一の周波数範囲、特に同一の無線チャネルで作動させること」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-7に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-23 
出願番号 特願2014-96815(P2014-96815)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野元 久道  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 山本 章裕
矢頭 尚之
発明の名称 食品を製造するための装置および方法  
代理人 鷲田 公一  
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