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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47J
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47J
管理番号 1328549
審判番号 不服2015-7647  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-24 
確定日 2017-05-24 
事件の表示 特願2013-555646号「飲料機械の洗浄システム及び洗浄方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年1月24日国際公開,WO2013/012882,平成26年3月17日国内公表,特表2014-506525号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概略
本願に関する手続の経緯は,概ね以下のとおりである。
2012年 7月18日 国際出願(パリ条約による優先権主張外国庁
(平成24年 7月18日) 受理:2011年7月19日,米国)
平成26年 2月26日 拒絶理由通知書
平成26年 9月 4日 意見書及び手続補正書
平成26年12月16日 拒絶査定
平成27年 4月24日 拒絶査定不服審判請求書及び手続補正書
平成28年 4月18日 拒絶理由通知書
平成28年 7月 7日 意見書及び手続補正書
平成28年 8月 9日 拒絶理由通知書(最後)
平成28年11月11日 意見書及び手続補正書

第2 平成28年11月11日付けの手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成28年11月11日付けの手続補正書による補正を却下する。

[理由]
1 補正後の請求項1に係る発明
(1) 平成28年11月11日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲の請求項1は,
「【請求項1】
ハウジングと,
蒸気源と,
ミルクタンクと,
調製した飲料の分配吐出口と,
泡立てたミルクの分配吐出口と,
前記泡立てたミルクの分配吐出口と流体的に接続されたミルク泡立てユニットであって,前記蒸気源から蒸気を受け取る蒸気入り口,及び,前記ミルクタンクからミルクを受け取るミルク入り口を有し,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てることを特徴とするミルク泡立てユニットと,
前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第1の弁と,
前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第2の弁と,
前記第1の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第1の弁と電気的に接続された第1のスイッチと,
前記第2の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第2の弁と電気的に接続された第2のスイッチと,
を具備し,
前記第2の弁は,前記第1の弁とは独立に制御することができ,前記第2の操作スイッチの操作により前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆくことを特徴とし,
前記ミルクタンクは,取り外し可能であり,前記ハウジングに設けられたラッチと,前記ミルクタンクの頭部にあるラッチ受けスロットとにより,前記ハウジングに固定されることを特徴とする飲料調製機械。」
と補正された(なお,下線は,本件補正により補正された箇所を示す。)。

(2) 上記の請求項1に係る本件補正は,本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2の弁」に関し,「前記第2の弁は,前記第1の弁とは独立に制御することができ,前記第2の操作スイッチの操作により前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆくこと」を特定するものである。
本件補正前の請求項1の記載からすると,「第2の弁」とは,「前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な」ものであり,「前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第1の弁」とは「独立に制御することができ」,「前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆく」ものである。
そして,「第2のスイッチ」とは,このような「第2の弁」について,「前記第2の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第2の弁と電気的に接続された」ものであるから,「第2のスイッチ」の操作により「前記第1の弁とは独立に」,「前記第2の弁のみを開放状態に」することが可能であり,そのときには,「蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆくこと」は,その記載から明らかである。このような理解は,本願明細書の発明の詳細な説明の記載とも整合する。
ここで,本件補正後の請求項1における「前記第2の操作スイッチ」とは,どのスイッチを指すか必ずしも明確でないが,「第1のスイッチ」,「第2のスイッチ」以外にスイッチはなく,本願明細書にも「第2の操作スイッチ」に関する記載はないことからしても,請求項1の記載を総合的にみて,「第2のスイッチ」を指し,「前記第2の操作スイッチ」は「第2のスイッチ」であると認められる。
そうすると,本件補正の前後において,請求項1の記載は実質的に変わるところがないから,本件補正は,本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2の弁」に関し,何らかの事項を限定するものとは認められず,第2のスイッチの操作により第2の弁のみを開放状態にすることができることを明確にするものであると認められる(請求人も同旨主張している(平成28年11月11日付け意見書3頁下から4行?4頁4行)。)。
しかしながら,平成28年8月9日付けの拒絶理由通知書において,この点に関し,拒絶の理由を示していないから,本件補正は,特許法17条の2第5項4号の明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当しない。
また,本件補正は,誤記を訂正するものとも認められない。
よって,本件補正は,特許法17条の2第5項各号に掲げる事項のいずれを目的とするものでもないから,同項の規定に違反するものである。

(3) 仮に,本件補正が,「第2の弁」に関し,何らかの事項を限定するもので,本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であって,特許法17条の2第5項2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものとして,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について,以下に検討する。

2 引用例に記載された事項
(1) 引用例1
ア 平成28年8月9日付けの拒絶理由通知書の拒絶の理由に示された引用例1であり,本願優先日前に頒布された刊行物である,特許第2908072号公報には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】 蒸気処理されたミルクを含んだ飲物を自動的に準備し注入するための装置であって,
冷却された供給源からのミルクを空気と混合して,泡立てられ蒸気処理されたミルクの混合物を形成し,前記泡立てられ蒸気処理されたミルクの混合物の一定分量を供給するための,蒸気処理ミルク生成手段と,
蒸気処理されたミルクを含んだ飲物をユーザが選択することを可能にするためのユーザが操作する選択手段と,
前記蒸気処理ミルク生成手段および前記選択手段に結合され,前記選択手段に応答して自動的にその動作およびタイミングを制御するための制御手段とを含み,
前記蒸気処理ミルク生成手段が,
生の,液体のミルクの供給源を収納するように適合されたミルク供給源容器手段と,
前記ミルク供給源容器手段を,制御された冷却温度に維持するための冷却手段と,
ベンチュリ噴射器のどを含む,蒸気処理ミルクベンチュリアセンブリ手段と,
前記ミルク供給源容器手段が前記ベンチュリ噴射器のどと連通するように弁を選択的に開閉するための電気駆動のミルク弁手段と,
供給される蒸気を前記ベンチュリ噴射器のどの上流端に接続するようにされた電気的に制御可能な蒸気弁手段とを含み,
前記電気的に制御可能な蒸気弁手段および前記電気駆動のミルク弁手段の動作により,前記蒸気処理ミルクベンチュリアセンブリ手段内に蒸気を強制的に通し,前記ミルク供給源からのミルクがベンチュリ噴出によって前記ベンチュリ噴出器手段内に吸入され,それによって蒸気とミルクとが混合される,蒸気処理されたミルクを含んだ飲物を自動的に準備し注入するための装置。
【請求項2】 前記制御手段が,前記一定分量の泡立てられ蒸気処理されたミルクの混合物が供給された後,予め定められる時間の間,前記電気的に制御された蒸気弁手段を動作させ,前記蒸気処理ミルクベンチュリアセンブリ手段から,残留するミルクを除去する,請求項1に記載の装置。」
・「【0006】上記に述べられた困難さと,それらを満足いくように習得するために必要とされるレベルの技術とには,ミルクの安全性の問題が常に関係している。冷却されていないミルクは危険な細菌培養所床となるために,たとえわずかな量でも温められたミルクが機械の中に残されてはならない。したがって,ミルクは典型的には冷却された供給源からふたのないグラスまたは金属のビーカーに手で注がれ,蒸気ワンドによって取り扱われる。そしてふたのない容器およびワンドは,細菌の有害な蕃殖を防ぐために頻繁に徹底的に洗浄されるべきである。
【0007】これら問題および困難,ならびにそれとともに必然的にかかる費用とが,利益上のリスクおよびミルク処理のリスクをもたらし,それによってエスプレッソおよびそれに関連した飲物の普及を著しく妨げてきた。
【0008】それゆえに,この発明の目的は,先行技術のこれらの困難および制限を被らない完全に自動化されたエスプレッソのための装置を提供することである。」
・「【0018】
・・・以下に示され説明される自動化されたエスプレッソ機械20の一例は,図示しない一体構造のコンソールハウジングを含み,その中に抽出アセンブリ22が設けられる。・・・
【0019】抽出アセンブリ22はピストンまたはプランジャをさらに含む。このピストンは,ピストンキャリアとピストン自身との間に設けられた圧縮ばねおよびマイクロスイッチによって与えられる反力フィードバック信号によって制御された電動モータの動作によって,挽いた豆を予め定められた程度に圧縮する。予め定められた力によってこのように圧縮しながら,高温の抽出水が高圧で水加熱器容器34からソレノイド駆動の抽出水弁36を介して供給される。・・・
【0020】ソレノイド弁36を介して計測された高温抽出水は柔軟性のある圧力管路によってプランジャの内部に搬送され,そこからその小孔の多数形成された面を介してコーヒーパックの中に搬送される。抽出シリンダの基部もまたプランジャであり,抽出段階の間には通常固定され,加圧された抽出水によって強制されると,抽出された液体を通過させるような非常に細かい小孔のある本体を有しており,それから通路52を介して重力によって抽出された液体を飲用カップ54に噴出する。抽出段階の最後には,低い方のプランジャが上向きに駆動され,使い切ったコーヒーのかすの固りを廃物受容器56に放出する。その後清掃サイクルを実行するように抽出アセンブリをプログラムしてもよい。清掃サイクルでは,シリンダと有孔の両ピストンと管路52とに,弁36を介して勢いよく熱水を流す。洗浄水は廃棄物格子58を介して図示しない受容器内まで流れる。なお,このような清掃サイクルは通常はめったに利用されず,たとえば操作者の判断でプログラムしてもよい。湯出口弁76は茶または掃除の目的などのため,要求に応じて湯を供給する。
【0021】蒸気で処理されたミルクを含んだエスプレッソ飲料を製造するために,蒸気発生器容器70には,容器内の水をたとえば14プシのゲージ圧力すなわちおよそ1気圧でカ氏240度に熱するための電気加熱器72を備える。供給源48からの水が注入口のソレノイド駆動の弁74を介して与えられる。容器70の壁を貫通して固定されている機械的な安全リリーフ弁78は,不注意で蒸気圧がほぼ15プシを超過するときに蒸気を解放する。出口管路80は容器70からの生蒸気を,1対のソレノイド弁81,82のいずれかまたは両方を介して蒸気駆動されたベンチュリアセンブリ90に搬送する。ベンチュリアセンブリ90については図2の説明と関連して以下に説明する。しかし,ベンチュリは,全体の機能において,1)ベンチュリ内のオリフィス91を介して周囲の大気を,および2)ソレノイド弁96を介して冷却されたミルク供給源94内の液体のミルクを柔軟性のある出力管93から,引き入れる。蒸気弁81は蒸気弁82より少ない流量を有し,「ラテ」制御と考えることができる。一方より高い流量を有する後者は「カプチーノ」を準備すべきときに利用される。所望のときには,たとえば各々の給仕サイクルの掃除段階においてのように,双方ともが開かれて最大流量を与える。いずれの場合にも,ベンチュリの出力は,同じく発生器70からの蒸気によって駆動される渦ミキサー98と協働する。渦ミキサー98は,空気,蒸気,およびミルクのプログラムされた混合物を混ぜ合わせて泡状とし,この泡状の混合物はは蒸気処理ミルク管100を介して飲用カップ54に直接に注入される。冷却されたミルク供給源94は以下のように図3および図4の説明と関連してさらに詳細に説明するので,ここでは,この例においては,ミルク容器引出し110が断熱ハウジング112内にスライドするように設けられ,その表面の周囲に空気の通過する空間113が設けられるということに注意しておくだけで十分である。冷却機構はこの例においてはペルチェ効果(Peltier effect)装置117を使用してもよいが,その冷却機構は図示されるようにその「冷たい」表面がハウジングの内部に,その「熱い」表面が外側になるように配置される。空間113からの熱は,ハウジング内の1組の熱交換フィン116を介し,1組のペルチェ熱電気チップ117を介し,図示するように周囲の大気内に突出するように配置された1組の熱交換フィン118に搬送される。冷却された空洞部の中に設けられた小さな電動送風機120によってこの熱の流れを改良することができミルク供給94内の温度勾配を最小にすることができる。この電動送風機は,ミルク容器の周囲に少なくともフィン116を横切り空間113を通る小さな付加的な流れを強制的に起こすことによって自然の対流を助ける。同様に,電動送風機122が外部フィン118を横切る周囲の大気の流れを強制的に起こすことによって冷却機構の効果および効率を改良することができる。こうして除去された熱は送風機122によって,貯蔵された飲用カップ124を予熱しすぐに使用できる状態にするために飲用カップ124に向けて送ることができる。同様にして,湯沸し器34および蒸気発生器70の周囲からの余剰熱を電動送風機126,128によってそれぞれ除去してカップ貯蔵部に向けて送ることができる。
【0022】図2を参照すると,蒸気ベンチュリ90は本体140を有する。本体140は基本的に軸142を有する回転形であって,たとえばポリスルホンのような高密度の透明のプラスチックから形成されている。透明のプラスチック本体を用いているので,内部の通路を目で見ることができ,給仕サイクルの清掃段階の後に本体がきれいな状態であり,ミルクが全く残っていないということを確認することができる。入力端144に短いねじ切りボア145が設けられ,蒸気路80のねじ切り端部148が螺合される保持ショルダー146を形成する。ねじ切り端部148の内径は,好ましくはベンチュリテーパののど部分150の開始位置の,大径側端部149のそれと一致する。のど部分150の 小径側端部151は,出力端の短円筒形のど部分152と一致する。短円筒形のど部分152は,より大径の,噴射器のど円筒形部分154を形成する。噴射器のど部分の出力端部はテーパしたベンチュリ混合器のど部分158の小径側端部156に滑らかに連続的につながっている。のど部分158は大径側端部160に直線状に広がっていき,そこで円筒形の出力のど部分162に滑らかにつながる。後者ののど部分は,その終了部の外側表面164にねじ切りがされ,渦ミキサー98の外側の部分167のねじ切りされたメス結合部166と螺合される。ベンチュリの軸142は,好ましくは水平であるが,図示されるように渦の垂直軸に関してオフセットされており,そのため,ベンチュリから蒸気によって駆動された混合物が渦内に噴出されるとき,その混合物はかなり大きな接線方向の速度要素をもっており,渦の混ぜ合わせ作用を生ずる。ミキサは好ましくは,基本的には漏斗状の形状を有しており,上方の大径部分167内に蒸気による泡状のミルクの混合物が注入され,結果として生じる旋回動作によって渦状に混ぜ合わされる。最終的に形成された泡状の生成物は,漏斗形のミキサーの中央の底部168から排出され,蒸気処理ミルク管100の中に,さらにそこから飲用カップ54に向けて流される。
【0023】軸180に沿って整列され,軸142を横断し,噴射器のど部分154のほぼ中ほどで軸142と交差するようにしてミルク注入口装置96が設けられる。ミルク注入口装置96は,薄い壁で薄肉の円筒形部184を有する透明のプラスチック結合部182を含む。プラスチック結合部182はたとえば,ミルク供給管93の金属端部93瑤の外側端部186の内部のねじ切り部と係合する。円筒形部184に隣接して,径のより大きなカラー部188が形成されている。カラー部188は,管93瑤の端部に対する保持ショルダー190およびベンチュリ本体140の側部に形成された係合のための短円筒形ボア194内に嵌合する保持フランジ192を形成する。カラー部188の内方に,かつカラー部188に隣接して,結合部182はテーパー部195を有する。テーパー部195は,小径のオリフィス198内に端部を有する。オリフィス198はミルク弁座196を形成する。ミルク弁座196は,対向するプランジャ弁本体チップ200と協働してミルクオリフィス198を選択的に開閉する。ボア194に隣接してその内側のベンチュリ本体140内に円錐状の結合保持シート202が形成され,結合部182のテーパ部195と係合する。座202の周囲に,オリフィスと連続するように環状溝204が形成されている。この環状溝204は,結合部182のベンチュリ弁本体140への結合を気密および液密にするためのoリングシール206を保持するためのものである。1組の保持クリップ208を設け,oリングシール206を圧縮することによって結合部182を円錐形の座202と密着押圧するようにしてもよい。冷却アセンブリ94の断熱部材112は,ベンチュリ本体140から離れる方向の截頭円錐部を除去することにより円錐空間210を形成することで露出される。この空間210は,ベンチュリへのミルク経路全体にわたって冷たい風を循環させるための空間113(図1)の一部を構成する。ミルク流路93は,金属端部93以外の点では柔軟性があるが,この金属端部93瑤によって,ミルクがベンチュリに入るまでミルクの冷却が確実に行われる。
・・・
【0025】以下に説明する制御シーケンス動作に従ってソレノイドが電気的に作動すると,ソレノイド装着部227は破線242によって示される位置まで引き戻され,ばね232をさらに圧縮し弁ステム本体224および弁先端200を弁座196から引張って遠ざける。そのためベンチュリ噴射器154の低圧部へのミルクの流路198が開き,弁先端を破線244で示される位置まで後方に位置させることによって,本質的にのどから障害物がなくなった状態にする。
【0026】ベンチュリ装置の詳細構成の最後の部分として,大気オリフィス91は,ベンチュリ軸142を横切り,噴射器のど部分154のミルク噴射器機構の横軸180からわずかに下流において軸142と交差して形成されたボア91’である。
・・・
【0028】
・・・
ベンチュリアセンブリ90,ミルク弁96,蒸気弁81,82および渦ミキサ98の構造についての説明中の,現時点においては以下の点について注目することが重要である。すなわち,通常の動作の順序において,蒸気駆動されたベンチュリは弁96が開いているときにミルクを引き入れるように動作可能であり,その後ミルク弁が閉鎖され,一方で蒸気弁の1つまたは好ましくは両方が,カップ54までの給仕管100の全体を含むアセンブリの内部の,ミルクが接触する表面すべてを蒸気で洗浄するのに十分なだけの長さの時間だけ開状態に維持されるが,その結果生ずる,飲用カップへの蒸気の「オーバーフロー」は全く取るに足りないものである。」
・「【0046】図9に示される操作者の制御パネル(キーボード)342は,従来のタッチパネルタイプのものであって,従来型のバッファ回路(特に図示はしない)を介してキーボード入力を8進のトライステートバスインターフェース8-10に与えるように結合されているキーパッドを有している。トライステートバスインターフェース8-10は,バス8-2を介してマイクロプロセッサ8-1にキー状態を伝達する。制御パネル342上の入力キーはカフェ/デカフェ(caf/decaf )選択キー9-1,9-2と,シングル/ダブルラテ9-3,9-4と,シングル/ダブルカプチーノ9-5,9-6と,シングル/ダブルエスプレッソ9-7,9-8とを含む。飲物選択キーの右側では,1組のキー9-10ないし9-13が,清掃と,増量(好みに応じて多く注ぐこと)と,蒸気処理されたミルクのみと,お湯のみとをそれぞれ選択する。飲物および機能選択キーの下で中心に置かれているのは注入選択キー9-14であって,これを押すとマスタ制御装置が上記に示されたキーによって登録された飲物選択命令を実行する。」
・「【0063】図12はさらに,ユーザ操作ルーチンのプログラミングフロー図である。ブロック12-1からブロック12-20までがこのルーチンの詳細である。すなわち,ブロック12-2および12-3は,お湯,ミルクのみまたは蒸気のみのユーザ操作の詳細である。ブロック12-4および12-5は,清掃を要求するユーザ操作を示す。ブロック12-6および12-7は注入ユーザ操作を示す。ブロック12-8および12-9は飲物選択ユーザ操作を行なう。ブロック12-10および12-11は増量飲物ユーザ操作の詳細を示す。ブロック12-12および12-13は各種メニューユーザ操作を示す。ブロック12-14から12-16までが豆のタイプユーザ操作(カフェイン入りまたはカフェイン抜き)を行なう。」
・「【0067】図14は,ミルクのみプログラミングサイクルのフロー図であって,このフローによりこの装置は,蒸気処理されたミルクのみを与える。図14はブロック14-1から14-15からなっている。
【0068】図14に示されるように,ブロック14-1は蒸気1弁(蒸気弁81)を制御するソレノイドを活性化する。ブロック14-3はユーザメッセージ(ミルクのみ)を表示する。ブロック14-7はミルク弁ソレノイドを活性化する。ブロック14-10はミルク弁ソレノイドを非活性化させる。ブロック14-14は蒸気弁1ソレノイドを非活性化させる。
【0069】図15は,清掃/選択開始サイクルのフロー図である。図15はブロック15-1ないし15-24からなっている。すなわち,ブロック15-2は「装置清掃中」というメッセージを表示する。ブロック15-3は,グループモータ電源およびグループモータ前進リレーをオンにする。ブロック15-6に示されるように,このプロセスは以下のうちの1つが発生するまで続けられる。すなわち中位の赤外線の検出(位置センサ380),パックスイッチが開くこと,または予め定められた実行時間の経過,のいずれかである。上述したリレーはその後ブロック15-10で非活性化される(セット:パワーダウンフラグ)。
【0070】ブロック15-11,15-12および15-14は,抽出水弁および抽出水ポンプのためのリレーと,蒸気1弁(蒸気弁81)およびカプチーノ蒸気弁(蒸気弁82)のためのソレノイドを活性化する。ブロック15-15に示されるように予め指定された時間の経過後,蒸気1弁(蒸気弁81)およびカプチーノ蒸気弁(蒸気弁82)のためのソレノイドがブロック15-17で非活性化され,抽出水弁および抽出水ポンプのためのリレーがブロック15-18で非活性化される。
【0071】ブロック15-20では,グループモータ電源のためのリレーおよびグループモータ反転のためのリレーが活性化される。このプロセスは,ブロック15-21で,外側赤外線検出(位置センサ380)が発生するか,予め定められた時間が経過するまで続けられる。ブロック15-23は繰返しループである。次に,清掃サイクルは以下および第16図に示されるように「清掃完了」に進む。
【0072】図16は,清掃/選択完了サイクルのフロー図であり,ブロック16-1ないし16-7からなっている。もしブロック16-2でパワーダウンフラグがセットされていたときには,ブロック16-3ですべてのヒータが非活性化され熱制御が不能化される。ウォームスタートデータフラグがブロック16-4でクリアされプロセッサアドレスはブロック16-5で「0000」にリセットされる。」
・「【0086】図22は,ラテおよびカプチーノのためのミルク供給サイクルのフロー図である。図22はブロック22-1から22-14からなっている。選択された飲物のためのミルク供給時間が,その値のテーブルに基づいてブロック22-2で設定される。このテーブルの値は,セットアップ手続においてユーザによって調整できる。
【0087】ブロック22-3で,飲物のタイプ,すなわちラテかカプチーノかが選択される。ラテが選択されると,蒸気1弁(蒸気弁81)のソレノイドが活性化される。カプチーノが選択されると,カプチーノ蒸気弁(蒸気弁82)のソレノイドが活性化される。
【0088】ブロック22-4および22-5の後,制御はいずれもブロック22-6に進み,ミルク前蒸気遅延時間を経過する。ブロック22-7はミルク弁ソレノイドを活性化する。ブロック22-8はミルクオン遅延の時間経過を待つ。ブロック22-9では,ミルク弁ソレノイドが非活性化される。ブロック22-10では過蒸気遅延を経過させる。
【0089】ブロック22-11では,蒸気1弁(蒸気弁81)およびカプチーノ蒸気弁(蒸気弁82)のためのソレノイドが活性化される。ブロック22-12で,ミルク後の清掃のための遅延が実行される。蒸気1弁(蒸気弁81)およびカプチーノ蒸気弁(蒸気弁82)のためのソレノイドはブロック22-13で非活性化される。」
イ 上記の記載及び図面の記載からみて,引用例1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。
(引用発明1)
「コンソールハウジングと,
蒸気発生容器70と,
ミルク供給源94と,
抽出アセンブリ22に接続された通路52と,
蒸気処理ミルク管100と,
前記蒸気処理ミルク管100と流体的に接続されたベンチュリアセンブリ90であって,前記蒸気発生容器70から蒸気を受け取る蒸気入り口,及び,前記ミルク供給源94からミルクを受け取るミルク入り口を有し,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てるベンチュリアセンブリ90と,
前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ベンチュリアセンブリ90へのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能なミルク弁96と,
前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ベンチュリアセンブリ90への蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な蒸気弁81,82と,
前記ミルク弁96を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記ミルク弁96と電気的に接続されたシングル/ダブルラテキー9-3,9-4,シングル/ダブルカプチーノキー9-5,9-6,蒸気処理されたミルクのみキー9-12と,
清掃/選択開始サイクル15-1?15-24を開始するための清掃(掃除)キー9-10と,
を具備し,
前記蒸気弁81,82は,前記ミルク弁96とは独立に制御することができ,前記清掃(掃除)キー9-10の操作により前記蒸気弁81,82のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ベンチュリアセンブリ90を通って前記蒸気処理ミルク管100から出てゆく,
エスプレッソ機械20。」

(2) 引用例2
ア 平成28年8月9日付けの拒絶理由通知書の拒絶の理由に示された引用例2であり,本願優先日前に頒布された刊行物である,特開2006-280727号公報には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】
ミルクを保冷するミルク保冷庫と,蒸気を生成するボイラと,該ボイラにより生成された蒸気により前記ミルク保冷庫からミルクを吸引すると共に,空気を吸引し,当該吸引ミルクと吸引空気とを混合してミルクフォームを生成するミルカーとを備えたミルクフォーマーにおいて,
前記ミルカー内への前記吸引ミルクの供給を制御する制御手段を備え,
該制御手段は,前記ミルカー内への前記吸引ミルクの供給を停止し,前記蒸気のみを吐出するミルカー洗浄運転を実行することを特徴とするミルクフォーマー。
【請求項2】
前記ミルク保冷庫と前記ミルカーとを連結するミルク供給経路に,ミルクの流通を制御するミルク制御弁を備え,
前記制御手段は,前記ミルク制御弁によりミルクの流通を禁止し,前記ボイラにより蒸気を生成して前記ミルカー洗浄運転を実行することを特徴とする請求項1のミルクフォーマー。
・・・
【請求項7】
所定のミルカー洗浄指示手段を備え,
前記制御手段は,当該ミルカー洗浄指示手段の操作に基づき,前記ミルカー洗浄運転を実行することを特徴とする請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6のミルクフォーマー。」
・「【0005】
しかしながら,従来のミルクフォーマーでは,ミルクフォームの生成,排出後にミルカー内にミルクが少量付着した状態となる。そのため,次回のミルクフォームの生成までに,所定時間以上放置されると,空気中に存在する浮遊菌がミルカーに付着し,そこで増殖する問題がある。この場合には,次回のミルクフォームの生成時に,当該ミルクフォーム内に増殖した菌が混入することとなるため,生成はじめのミルクフォームを少量廃棄又は,当該ミルカーを分離して洗浄を行うなど衛生管理を行わなければならなかった。そのため,管理が煩雑となることから使用性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで,本発明は従来の技術的な課題を解決するために成されたものであり,衛生的にミルカーを管理し,上質のミルクフォームを形成することができるミルクフォーマー及び当該ミルクフォーマーを備えたコーヒー飲料製造装置を提供する。」
・「【0016】
本発明によれば,ミルクを保冷するミルク保冷庫と,蒸気を生成するボイラと,ボイラにより生成された蒸気によりミルク保冷庫からミルクを吸引すると共に,空気を吸引し,吸引ミルクと吸引空気とを混合してミルクフォームを生成するミルカーとを備えたミルクフォーマーにおいて,ミルカー内への吸引ミルクの供給を制御する制御手段を備え,制御手段は,ミルカー内への吸引ミルクの供給を停止し,蒸気のみを吐出するミルカー洗浄運転を実行することにより,ミルカー内にミルクを吐出させることなく蒸気のみを吐出させることで,当該蒸気によってミルカー内部に付着した残留ミルクを洗浄することが可能となる。
【0017】
特に,ミルカー内部には,高温の蒸気が吐出されることから,ミルカー内部の洗浄能力を向上させることができると共に,高温殺菌を行うことが可能となる。また,当該高温の蒸気によりミルカー自体が加熱されることとなるため,ミルカー内の乾燥を促進させることができ,より一層衛生的にミルカーを維持することができるようになる。
【0018】
また,請求項2の発明は,ミルク保冷庫とミルカーとを連結するミルク供給経路に,ミルクの流通を制御するミルク制御弁を備え,制御手段は,ミルク制御弁によりミルクの流通を禁止し,ボイラにより蒸気を生成してミルカー洗浄運転を実行することにより,ミルク制御弁の開閉制御により,容易にミルカー洗浄運転時におけるミルカーへのミルクの流入を停止させることができる。」
・「【0024】
また,請求項7の発明によれば,上記各発明において,所定のミルカー洗浄指示手段を備え,制御手段は,当該ミルカー洗浄指示手段の操作に基づき,ミルカー洗浄運転を実行することにより,任意にミルカー洗浄運転を実行することが可能となり,使用性が向上する。」
・「【0028】
本実施例は,例えばファーストフード店等の厨房やカウンターに設置される本発明のミルクフォーマー61を備えたコーヒー飲料製造装置1であり,向かって右側のドリップコーヒー抽出部1Aと,向かって左側のエスプレッソコーヒー抽出部1Bとが一体化されて本体6が構成されている。ドリップコーヒー抽出部1Aでは,コーヒー原料粉末に湯を散布することで抽出されたコーヒー液である散湯式コーヒー,即ち,ドリップコーヒーが製造されると共に,エスプレッソコーヒー抽出部1Bでは,コーヒー原料粉末に湯を加圧供給することで抽出されたコーヒー液である加圧抽出式コーヒー,即ち,エスプレッソコーヒーが製造される。
【0029】
このエスプレッソコーヒー抽出部1Bの前面中程には,エスプレッソのコーヒー液を排出するコーヒー液ノズル2と,ミルクフォームを排出するミルクフォームノズル3とを一体に備えたノズル部材4が設けられている。そして,このノズル部材4の下方には,抽出されたコーヒー液を受容するカップを載置するカップ支持台7が設けられている。尚,ノズル部材4は,上下に高さ調節可能に構成されている。また,エスプレッソコーヒー抽出部1Bの前面上部には排出する飲料の種類を選択等を行う複数の操作ボタン5・・・が設けられると共に,ノズル部材4の向かって右側にはコーヒー液の抽出に使用された残滓を受容し,前方に引出自在に設けられた残滓受容部8が設けられている。また,9はコーヒー豆を収容する豆貯蔵容器である。」
・「【0044】
次に,前記ミルクフォーマー61の構成について説明する。本実施例のミルクフォーマー61は,前記給水用湯タンク10から湯を取り出す湯供給配管62と,ミルクフォーム用電磁ポンプ63と,蒸気ボイラ64と,ミルカー65等を備えている。湯供給配管62は,一端が給水用湯タンク10内上部の湯中に開口すると共に,ミルクフォーム用電磁ポンプ63及び蒸気ボイラ64が順次介設されている。湯供給配管62の他端には,ミルカー65が接続される。また,ミルクフォーム用電磁ポンプ63と蒸気ボイラ64との間に位置する湯供給配管62には,分岐配管67が設けられ,当該分岐配管67には,所定圧力にて外部に開放する排水電磁弁68が設けられている。
【0045】
蒸気ボイラ64は電気ヒータを内蔵しており,給水用湯タンク10から湯供給配管62及びミルクフォーム用電磁ポンプ63を介して供給された湯を例えば約+170℃に加熱して蒸気を生成し,この蒸気をミルカー65へ供給するものである。また,蒸気ボイラ64には図示しない温度センサが設けられており,この温度センサの検出に基づいて設定した蒸気温度となるように制御装置20により温度制御が行われる。
【0046】
前記ミルカー65は,図5に示す如く略円筒状の本体71により構成されており,この本体71の側面には,中心よりも左右どちらか一方に偏重すると共に,当該本体71の内部に突出した吐出部72が一体に形成され,本体71の底面には,本体71内にて生成されたミルクフォームを排出する前記ミルクフォームノズル(排出部)3が一体に形成される。
【0047】
吐出部72は,左右に開口した略円筒状を呈しており,本体71に接続される側とは反対側の端部には,蒸気ボイラ64の下流側に位置する湯供給配管62の端部が蒸気ノズル74を介して接続される。この蒸気ノズル74は,内部に左右に連通した蒸気通路が形成され,一端には蒸気を吐出部72に吐出する小穴74Aが形成されると共に,側面には,吐出部72の内壁及び湯供給配管62との接続を密着するためOリング74Bが設けられている。
【0048】
吐出部72の下面には,吐出部72内部に連通したミルク吸込ノズル75が形成されていると共に,吐出部72の上面には,ミルク吸込ノズル75と対向する箇所に,同じく吐出部72内部に連通した空気吸込ノズル76が形成されている。
【0049】
ミルク吸込ノズル75には,一端が,ミルク保冷庫69に収納されるミルクパック69A内に挿入されるミルク吸引チューブ(ミルク供給経路)66が接続される。本実施例において当該ミルク吸引チューブ66は,可撓性材料にて構成されていると共に,外側から圧力を加えて潰すことにより,チューブ66内をミルクの流通を禁止可能とする所謂ピンチバルブにて構成されるミルク制御弁85が取り付けられている。
・・・
【0051】
空気吸込ノズル76には,空気吸込チューブ79が接続されると共に,この空気吸込チューブ79の他端開口には,空気吸込キャップ81が着脱自在に取り付けられる。この空気吸込キャップ81は,先端に小穴(小径孔)81Aが形成された筒状部材であり,この小穴81A周囲には,チューブ79側に対向する方向に突出した周壁81Bが形成されていると共に,先端近傍には,外方に突出したフランジ81Cが形成されている。これにより,空気吸込ノズル76は,一度に少量の空気を吸い込むことが可能となる。
・・・
【0053】
これにより,ミルクフォーマー61は,詳細は後述する如く蒸気ボイラ64で生成した蒸気をミルカー65に吐出することで旋回流起こし,ミルク吸引チューブ66からミルク保冷庫69にて保冷されたミルクパック69Aよりミルクを吸引し,これに空気を混合して泡立てられ,ミルクフォームノズル3からミルクフォームを吐出することが可能とされる。」
・「【0083】
(5)ミルクフォームの生成
そして,ミルクの供給が要求される飲料の飲料選択ボタン5が操作された場合には,上述した如くカップ等にエスプレッソコーヒー液の抽出を行っている際に,制御装置20により上述したミルクフォーマー61によりミルクフォームの生成を行う。
【0084】
即ち,前記制御装置20の出力により,ミルクフォーム用電磁ポンプ63が所定時間,例えば約10秒間,運転される。これにより,給水用湯タンク10内の湯が湯供給配管62内に排出され,排出された湯は蒸気ボイラ64に浸入する。ここで,給水用湯タンク10内に貯溜される湯の温度は,上記エスプレッソ抽出メカ13で用いるのに適した温度,例えば+97℃に設定されるため,蒸気ボイラ64には,この約100℃に近い温度の湯水が供給される。蒸気ボイラ64内に供給された湯は当該蒸気ボイラ64により,更に加熱され,ミルクフォームの生成に適した温度,例えば+170℃にまで昇温され蒸気とされる。蒸気ボイラ64からの蒸気の排出は,ミルクフォーム用電磁ポンプ63の運転終了後も,既に蒸気ボイラ64内に供給された湯水が蒸気に変換される例えば約7秒間,行われる。
【0085】
そして,蒸気ボイラ64により生成された蒸気は,湯供給配管62及び蒸気ノズル74を介してミルカー65の吐出部72内に噴射される。ここで,ミルク吸引チューブ66に設けられたミルク制御弁85は開放され,ミルクの流通が可能とされていることから,蒸気が吐出部72内のミルク吸込ノズル75及び空気吸込ノズル76の近傍を通過する際に,吐出部72内に負圧が生じ,ミルク吸込ノズル75からは,ミルクパック69A内のミルクがミルク吸引チューブ66を介して吐出部72内に吸い込まれ,空気吸込ノズル76からは,外部の空気が空気吸込キャップ81及び空気吸込チューブ79を介して吐出部72内に吸い込まれる。
【0086】
そして,吐出部72内を通過する蒸気によって吐出部72内に吸引されたミルク(吸引ミルク)と空気(吸引空気)は,吐出部72の内壁に沿ってミルカー65の本体71内に吐出される。そして,本体71内に吐出されたミルクと空気は,蒸気の圧力により,本体71内壁に沿って旋回する。この旋回により,ミルクと空気とが混合され,泡立てられた状態となり,本体71の底面に形成されたミルクフォームノズル3から吐出され,当該ノズル3の下方に載置されたカップなどに供給される。これにより,上述の如く抽出されたコーヒー液の上面に泡立てられたミルクが注がれることになる。
【0087】
(6)ミルカー洗浄運転
上述した如きミルクフォームの生成後,制御装置20は,ミルカー洗浄運転を実行する。即ち,制御装置20は,上記ミルクフォームの生成のため運転されたミルクフォーム用電磁ポンプ63の運転終了から所定の設定時間,例えば10秒経過後,ミルク制御弁85を閉鎖し,再度ミルクフォーム用電磁ポンプ63を例えば5秒間運転する。
【0088】
通常,ミルクフォームの生成を行う場合には,ミルク制御弁85が開放されていることから,蒸気ボイラ64から蒸気がミルカー65内に吐出されている間だけ,ミルクがミルクパック69A内からミルク吸引チューブ66を介して蒸気と共にミルカー65内に吐出される。その後,蒸気ボイラ64からの蒸気の吐出が終了した後は,吐出部72内に生じた負圧が解消されることから,ミルク吸引チューブ66内のミルクは自重によりミルクパック69A内に帰還する。本実施例では,ミルクフォーム用電磁ポンプ63が停止されてから,ミルク吸引チューブ66内のミルクがミルクパック69A内に帰還するまでに約10秒程度かかるため,ミルクフォームの生成のため運転されたミルクフォーム用電磁ポンプ63の運転終了から所定の設定時間を少なくとも10秒とする。
【0089】
ミルクがミルクパック69Aに帰還した状態で,制御装置20がミルク制御弁85を閉鎖し,再度ミルクフォーム用電磁ポンプ63を例えば5秒間運転することにより,給水用湯タンク10内の湯が湯供給配管62内に排出され,排出された湯は蒸気ボイラ64に浸入する。ここで,蒸気ボイラ64に供給された湯は,上記と同様に例えば+170℃にまで昇温され蒸気とされる。このように蒸気ボイラ64により生成された蒸気は,湯供給配管62及び蒸気ノズル74を介してミルカー65の吐出部72内に噴射される。
【0090】
ここで,ミルク吸引チューブ66に設けられたミルク制御弁85は閉鎖され,ミルクの流通が禁止とされていることから,蒸気が吐出部72内のミルク吸込ノズル75及び空気吸込ノズル76の近傍を通過し,吐出部72内に負圧が生じた場合であっても,ミルク吸込ノズル75からは,ミルクは吐出部72内に吸い込まれないこととなる。他方,空気吸込ノズル76からは,外部の空気が空気吸込キャップ81及び空気吸込チューブ79を介して吐出部72内に吸い込まれる。
【0091】
吐出部72内に吐出された蒸気は,吸引空気と共に,吐出部72の内壁に沿ってミルカー65の本体71内に吐出される。これにより,当該高温の蒸気によってミルカー65内を洗浄することが可能となる。そのため,本体71内に,前回生成したミルクフォームが残留若しくは,付着している場合であっても,ミルカー65の本体71内を蒸気にて洗浄することが可能となり,腐敗しやすいミルクが付着した場合であっても衛生状態を維持することができる。
【0092】
特に,吐出部72内に吐出される蒸気は,高温であることから,洗浄能力を向上させることができると共に,高温殺菌を行うことが可能となる。また,当該高温の蒸気によりミルカー65の本体71自体が加熱されることとなるため,本体71内の乾燥を促進させることができ,より一層衛生的に維持することができるようになる。
・・・
【0094】
なお,本実施例では,上述した如くピンチバルブにて構成されるミルク制御弁85を用いているが,これ以外にも図6に示すように,ミルク吸引チューブ66に直接電磁開閉弁86を介設することによりミルク吸引チューブ66内のミルクの流通制御を行っても良いものとする。ただし,この場合,電磁開閉弁86は,常閉弁であり,制御装置20に基づき通電されることで開閉するものである。
【0095】
そのため,ミルクフォームの生成時は,ミルクの流通を可能とするため,制御装置20により電磁開閉弁86を非通電とすることで,開放し,上述の如くミルカー洗浄運転を実行する場合には,上記実施例と同様に,ミルクフォームの生成のため運転されたミルクフォーム用電磁ポンプ63の運転終了から所定の設定時間,例えば10秒経過後,制御装置20により電磁開閉弁86を通電として電磁開閉弁86を閉鎖し,再度ミルクフォーム用電磁ポンプ63を例えば5秒間運転する。
【0096】
これによっても,ミルカー洗浄運転時にミルク吸引チューブ66に設けられたミルク制御弁86を閉鎖し,ミルクの流通が禁止とすることで,蒸気ボイラ64から供給された蒸気のみを,吐出部72の内壁に沿ってミルカー65の本体71内に吐出することが可能となる。これにより,当該高温の蒸気によってミルカー65内を洗浄することが可能となり,本体71内に,前回生成したミルクフォームが残留若しくは,付着している場合であっても,ミルカー65の本体71内を蒸気にて洗浄することが可能となり,腐敗しやすいミルクが付着した場合であっても衛生状態を維持することができる。」
・「【0107】
また,これ以外にも,コーヒー飲料製造装置1の本体6にミルカー洗浄運転を任意に指示するための図示しないミルカー洗浄スイッチ(ミルカー洗浄指示手段)を設け,当該スイッチの操作に基づき,任意にミルカーの洗浄運転を行っても良いものとする。これにより,上記実施例に加えて使用性が向上される。」
イ 上記の記載及び図面の記載からみて,引用例2には,次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
(引用発明2)
「本体6と,
蒸気ボイラ64と,
ミルク保冷庫69と,
コーヒー液ノズル2と,
ミルクフォームノズル3と,
前記ミルクフォームノズル3と流体的に接続されたミルカー65であって,前記蒸気ボイラ64から蒸気を受け取る蒸気ノズル74,及び,前記ミルク保冷庫69からミルクを受け取るミルク吸込ノズル75を有し,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てるミルカー65と,
前記ミルク吸込ノズル75に取り付けられ,前記ミルカー65へのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な電磁開閉弁86と,
前記蒸気ボイラ64の上流側に設けられ,前記ミルカー65への蒸気の流れを制御するために運転状態と停止状態との間で制御可能なミルクフォーム用電磁ポンプ63と,
前記電磁開閉弁86を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記電磁開閉弁86と電気的に接続された飲料選択ボタン5と,
前記ミルクフォーム用電磁ポンプ63を前記運転状態とし,ミルカー洗浄運転を指示するためのミルカー洗浄スイッチと,
を具備し,
前記ミルクフォーム用電磁ポンプ63は,前記電磁開閉弁86とは独立に制御することができ,前記ミルカー洗浄スイッチの操作により前記ミルクフォーム用電磁ポンプ63のみを運転状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルカー65を通って前記ミルクフォームノズル3から出てゆく,
コーヒー飲料製造装置1。」

(3) 引用例3
平成28年8月9日付けの拒絶理由通知書の拒絶の理由に示された引用例3であり,本願優先日前に頒布された刊行物である,米国特許第5473972号明細書には,以下の事項が図面とともに記載されている。
・「Cappucino maker 1 includes a milk container 25 carrying milk 27. Container 25 is secured to housing 2 by latch 23 and the latch-receiving slot 35 on container top 29. A milk delivery tube 31 is carried by top 29 and extends down into container 25. It carries a seal 33 at its upper end. The tube 31 is to deliver milk to a venturi frothing unit.」(当審による訳「カプチーノメーカー1は,ミルク27を保持するミルク容器25を備えている。容器25は,ラッチ23と容器頭部29にあるラッチ受けスロット35により,ハウジング2に固定される。ミルク供給管チューブ31は,頭部29で保持され,容器25内に下方に延びている。上端にはシール33が支持されている。チューブ31はミルクをベンチュリー泡立てユニットに供給する。」,2欄18?23行)
・「When one is finished using the cappucino maker, the milk container 25 can be removed from the unit by releasing latch 23. The container can them be placed in a refrigerator to preserve the milk. At the next time of use, the container can again be attached to the unit, with milk take up tube 31 connecting to the venturi milk inlet through seal 33. In the interim, the milk has been preserved from spoiling.」(「カプチーノメーカーを使い終えたとき,ラッチ23を解除することにより,ミルク容器25をユニットから取り外すことができる。そして,ミルクを貯蔵するために容器を冷蔵庫の中に入れることができる。次に使うときに,ミルク吸い上げチューブ31を,シール33を通してベンチュリーミルク入り口に接続させて,再び容器をユニットに設置することができる。その間,ミルクは腐敗から保護される。」,2欄47?53行)
・「In a modification of our invention seen in FIG. 7, the milk container 25 and the venturi unit are detachable as a unit. In this instance, steam line 61 in the housing is connected to steam connection 62 on the venturi system; and frothed milk connector 63 in the housing is connected to milk connection 65 on the venturi system. These connections are preferably of the quick-acting and self-closing type.」(「図7に示す本発明の変形例では,ミルク容器25とベンチュリ-ユニットが一つのユニットとして取り外し可能である。この例では,ハウジング内の蒸気ライン61は,ベンチュリーシステムの蒸気連結部62に連結され,ハウジング内の泡立てたミルク用コネクタ63は,ベンチュリーシステムのミルク連結部65に連結されている。これらの連結部は,即応形で自己封止形が好ましい。」,2欄54?60行)

3 対比及び判断
(1) まず,引用発明1との関連で検討する。
ア 本願補正発明と引用発明1とを,その有する機能に照らして対比してみるに,
(ア) 引用発明1の「コンソールハウジング」,「蒸気発生容器70」,「ミルク供給源94」,「抽出アセンブリ22に接続された通路52」,「蒸気処理ミルク管100」,「エスプレッソ機械20」は,それぞれ,本願補正発明の「ハウジング」,「蒸気源」,「ミルクタンク」,「調製した飲料の分配吐出口」,「泡立てたミルクの分配吐出口」,「飲料調製機械」に相当する。
(イ) 引用発明1の「ベンチュリアセンブリ90」は,「前記蒸気処理ミルク管100と流体的に接続され・・・,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てる」ものであるから,本願補正発明の「ミルク泡立てユニット」に相当し,引用発明1の「ベンチュリアセンブリ90」の「蒸気入り口」,「ミルク入り口」は,それぞれ,本願補正発明の「ミルク泡立てユニット」の「蒸気入り口」,「ミルク入り口」に相当する。
(ウ) 引用発明1の「ミルク弁96」は,「前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ベンチュリアセンブリ90へのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な」弁であるから,本願補正発明の「第1の弁」に相当し,引用発明1の「蒸気弁81,82」は,「前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ベンチュリアセンブリ90への蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な」弁であるから,本願補正発明の「第2の弁」に相当する。
(エ) 引用発明1の「シングル/ダブルラテキー9-3,9-4,シングル/ダブルカプチーノキー9-5,9-6,蒸気処理されたミルクのみキー9-12」は,「前記ミルク弁96を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記ミルク弁96と電気的に接続された」ものであるから,本願補正発明の「第1のスイッチ」に相当する。
(オ) 引用発明1における,清掃(掃除)キー9-10の操作により開始される清掃/選択開始サイクル15-1?15-24において,蒸気弁81,82が開放状態と閉止状態との間で制御されることから(ステップ15-12?15-17,図15),その意味において,引用発明1の「清掃(掃除)キー9-10」は,本願補正発明の「第2のスイッチ」及び「第2の操作スイッチ」に相当するといえる。
(カ) 引用発明1の「蒸気弁81,82」は,本願補正発明の「第2の弁」と同様に,「前記ミルク弁96とは独立に制御することができ」,本願補正発明において「前記第2の操作スイッチの操作により前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆく」のと同様に,引用発明1においても「前記清掃(掃除)キー9-10の操作により前記蒸気弁81,82のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ベンチュリアセンブリ90を通って前記蒸気処理ミルク管100から出てゆく」ものである。
(キ) そうすると,本願補正発明と引用発明1とは,次の点で一致し,相違する。
(一致点)
「ハウジングと,
蒸気源と,
ミルクタンクと,
調製した飲料の分配吐出口と,
泡立てたミルクの分配吐出口と,
前記泡立てたミルクの分配吐出口と流体的に接続されたミルク泡立てユニットであって,前記蒸気源から蒸気を受け取る蒸気入り口,及び,前記ミルクタンクからミルクを受け取るミルク入り口を有し,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てることを特徴とするミルク泡立てユニットと,
前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第1の弁と,
前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第2の弁と,
前記第1の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第1の弁と電気的に接続された第1のスイッチと,
前記第2の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第2の弁と電気的に接続された第2のスイッチと,
を具備し,
前記第2の弁は,前記第1の弁とは独立に制御することができ,前記第2の操作スイッチの操作により前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆく,
飲料調製機械。」
(相違点1)
本願補正発明は,「前記ミルクタンクは,取り外し可能であり,前記ハウジングに設けられたラッチと,前記ミルクタンクの頭部にあるラッチ受けスロットとにより,前記ハウジングに固定される」のに対し,引用発明1は,ミルク供給源94に関しそのように構成されていない点。
イ そこで,上記相違点1についてみるに,引用例3には,飲料調製機械に設けられる取り外し可能なミルクタンクであって,ハウジングに設けられたラッチと,前記ミルクタンクの頭部にあるラッチ受けスロットとにより,前記ハウジングに固定されるものが記載されており,このような構造とすることで,ミルクタンクを冷蔵庫に保存することが可能になる点,ミルクタンクとベンチュリーユニットとを一つのユニットとすることも可能になる点が記載されている(前記2(3))。
そして,引用発明1において,ミルクを保持し供給することが可能であれば,ミルク供給源として適宜の形式・構造のものを採用できることは技術的に明らかであるとともに,ミルクを冷却された状態で保存可能な構造は,引用発明1の目的にも沿うものである。
そうすると,引用例3に記載された点を,引用発明1に適用し,ミルク供給源94として,当該取り外し可能なミルクタンクを採用することは,当業者が容易に想到できた事項である。
ウ なお,請求人は,引用発明1の「清掃(掃除)キー9-10」の操作により,グループモータの前進15-3,調合水弁の起動15-11等の一連の動作の中で蒸気弁81,82を開閉するような構成となっており,蒸気弁81,82のみを開閉することができるようにはなっていない旨主張しているが(平成28年11月11日付け意見書),請求項1において,「第2のスイッチ」(「第2の操作スイッチ」)が,専ら第2の弁の開閉制御をするためのものであるとは特定されていない。
仮に,本願補正発明が有する「第2のスイッチ」(「第2の操作スイッチ」)が,専ら第2の弁の開閉制御をするためのものであるとしても,その点は,当業者にとって容易想到である。
すなわち,引用例1には,たとえわずかな量でも温められたミルクが機械の中に残されてはならないこと,細菌の有害な繁殖を防ぐために頻繁に徹底的に洗浄させるべきである旨記載されているとともに(【0006】),蒸気のみを要求する点が記載されており(【0063】,図12),引用例1には,蒸気弁81,82のみをキーにより開放操作することの示唆がある。
そして,引用発明2は,ベンチュリーを洗浄するために,スイッチ(ミルカー洗浄スイッチ)を別途設けられたものであるところ,これは当該スイッチの操作に基づき,任意にミルカーの洗浄を行うためのものである(【0107】)。
引用発明1の清掃/選択開始サイクル15-1?15-24における蒸気弁81,82の開閉制御は,ベンチュリアセンブリ90の清掃を企図したものであるから,引用発明1の目的に照らしても,引用発明2に係るベンチュリーを洗浄するためのスイッチを設ける点を適用し,専ら蒸気弁81,82の開閉制御をさせる清掃(掃除)キーを設けることは,当業者にとって格別困難なことではない。
また,飲料調製機械において,蒸気により,飲料容器の予熱や,液体の加熱,泡立てを行うことは広く知られ,技術常識であるところ(例えば,特開昭60-116316号公報4頁左下欄14行?右下欄1行,同頁右下欄20行?5頁5行,特開平6-189854号公報【0005】,【0040】,【0041】,【0061】,【0081】,【0082】参照。),引用発明2のミルカー洗浄スイッチのように,蒸気のみを流出させることで,飲料容器の予熱や,液体の加熱,泡立てを行うことができることは,当業者であれば容易に理解できる。他方,引用例1には,飲用カップを予熱する旨の記載もあるから(【0021】),引用発明1において,飲料容器の予熱等も行うことができることを併せ考慮して,専ら蒸気弁81,82の開閉制御をさせるキーを設けることも,当業者が容易に想到できた事項である。

(2) 次に,引用発明2との関連で検討する。
ア 本願補正発明と引用発明2とを,その有する機能に照らして対比してみるに,
(ア) 引用発明2の「本体6」,「蒸気ボイラ64」,「ミルク保冷庫69」,「コーヒー液ノズル2」,「ミルクフォームノズル3」,「コーヒー飲料製造装置1」は,それぞれ,本願補正発明の「ハウジング」,「蒸気源」,「ミルクタンク」,「調製した飲料の分配吐出口」,「泡立てたミルクの分配吐出口」,「飲料調製機械」に相当する。
(イ) 引用発明2の「ミルカー65」は,「前記ミルクフォームノズル3と流体的に接続され・・・,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てる」ものであるから,本願補正発明の「ミルク泡立てユニット」に相当し,引用発明2の「ミルカー65」の「蒸気ノズル74」,「ミルク吸込ノズル75」は,それぞれ,本願補正発明の「ミルク泡立てユニット」の「蒸気入り口」,「ミルク入り口」に相当する。
(ウ) 引用発明2の「電磁開閉弁86」は,「前記ミルク吸込ノズル75に取り付けられ,前記ミルカー65へのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な」弁であるから,本願補正発明の「第1の弁」に相当する。
(エ) 引用発明2の「ミルクフォーム用電磁ポンプ63」は,「前記ミルカー65への蒸気の流れを制御するために運転状態と停止状態との間で制御可能な」ものであるから,本願補正発明の「第2の弁」と,ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために作動状態と停止状態との間で制御可能な,蒸気の流れを制御する手段,である限りで一致する。
(オ) 引用発明2の「飲料選択ボタン5」は,「前記電磁開閉弁86を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記電磁開閉弁86と電気的に接続された」ものであるから,本願補正発明の「第1のスイッチ」に相当し,引用発明2の「ミルカー洗浄スイッチ」は,「前記ミルクフォーム用電磁ポンプ63を前記運転状態とし,ミルカー洗浄運転を指示するため」のものであるから,本願補正発明の「第2のスイッチ」と,蒸気の流れを制御する手段を作動状態と停止状態との間で手動で制御するために,前記蒸気の流れを制御する手段と電気的に接続されたスイッチである限りで一致する。
(カ) 引用発明2の「ミルクフォーム用電磁ポンプ63」は,本願補正発明の「第2の弁」と同様に,「前記電磁開閉弁86とは独立に制御することができ」,本願補正発明において「前記第2の操作スイッチの操作により前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆく」のと同様に,引用発明2においても「前記ミルカー洗浄スイッチの操作により前記ミルクフォーム用電磁ポンプ63のみを運転状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルカー65を通って前記ミルクフォームノズル3から出てゆく」ものである。
(キ) そうすると,本願補正発明と引用発明2とは,次の点で一致し,相違する。
(一致点)
「ハウジングと,
蒸気源と,
ミルクタンクと,
調製した飲料の分配吐出口と,
泡立てたミルクの分配吐出口と,
前記泡立てたミルクの分配吐出口と流体的に接続されたミルク泡立てユニットであって,前記蒸気源から蒸気を受け取る蒸気入り口,及び,前記ミルクタンクからミルクを受け取るミルク入り口を有し,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てることを特徴とするミルク泡立てユニットと,
前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第1の弁と,
前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために作動状態と停止状態との間で制御可能な,蒸気の流れを制御する手段と,
前記第1の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第1の弁と電気的に接続された第1のスイッチと,
前記蒸気の流れを制御する手段を前記作動状態と前記停止状態との間で手動で制御するために,前記蒸気の流れを制御する手段と電気的に接続された第2のスイッチと,
を具備し,
前記蒸気の流れを制御する手段は,前記第1の弁とは独立に制御することができ,前記第2の操作スイッチの操作により前記蒸気の流れを制御する手段のみを作動状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆく,
飲料調製機械。」
(相違点2の1)
本願補正発明は,蒸気の流れを制御する手段に関し,「前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第2の弁」を有し,「第2のスイッチ」が「前記第2の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するため」のものであるのに対し,引用発明2は,「前記蒸気ボイラ64の上流側に設けられ,前記ミルカー65への蒸気の流れを制御するために運転状態と停止状態との間で制御可能なミルクフォーム用電磁ポンプ63」を有し,「ミルカー洗浄スイッチ」が「前記ミルクフォーム用電磁ポンプ63を前記運転状態とし,ミルカー洗浄運転を指示するため」のものである点
(相違点2の2)
本願補正発明は,「前記ミルクタンクは,取り外し可能であり,前記ハウジングに設けられたラッチと,前記ミルクタンクの頭部にあるラッチ受けスロットとにより,前記ハウジングに固定される」のに対し,引用発明2は,ミルク保冷庫69はそのように構成されていない点。
イ(ア) そこで,まず,上記相違点2の1についてみるに,引用発明1は,蒸気弁81,82により蒸気の流れを制御するものであるところ,引用発明2において,ミルカー65への蒸気の供給・停止を制御できるものであれば適宜の手段を採用できることは技術的に明らかであるから,この点を引用発明2に適用し,ミルクフォーム用電磁ポンプ63によることに代え,弁により蒸気の流れを制御するようにし,「ミルカー洗浄スイッチ」により当該弁を制御するように構成することは,当業者にとって格別困難なことではない。
(イ) 次に,相違点2の2についてみるに,既に述べたとおり,引用例3には,ラッチ及びラッチ受けスロットを有する当該取り外し可能なミルクタンクが記載されている。
そして,引用発明2において,ミルクを供給可能であれば適宜の形式・構造のものを採用できることは技術的に明らかであるとともに,ミルクを冷却された状態で保存可能な構造は,引用発明2の目的にも沿うものである。
そうすると,引用例3に記載された点を,引用発明2に適用し,ミルク保冷庫69として,当該取り外し可能なミルクタンクを採用することは,当業者が容易に想到できた事項である。
(ウ) 既に述べたとおり,飲料調整機械において,蒸気により,飲料容器の予熱や,液体の加熱,泡立てを行うことは技術常識で,引用発明2のミルカー洗浄スイッチのように,蒸気のみを流出させることで,飲料容器の予熱や,液体の加熱,泡立てを行うことができることは,当業者であれば容易に理解できる。
よって,引用発明2の「ミルカー洗浄スイッチ」を,飲料容器の予熱等を行うことができるものとして設けることも,当業者が容易に想到できた事項である。

(3) 本願補正発明の奏する効果をみても,引用発明1,引用発明2及び引用例3に記載された事項から当業者が予測しうる範囲内のものである。
請求人は,本願補正発明は,第2のスイッチ(第2の操作スイッチ)を操作することにより,蒸気を分配吐出口の洗浄だけでなく,飲料容器の予熱,又は,ミルク容器内のものとは別の液体の加熱/泡立てにも用いることができる旨主張しているが(平成28年11月11日付け意見書),請求項1において,第2のスイッチ(第2の操作スイッチ)がそのような機能を発揮するためのスイッチであることは特定されていない。
そして,既に述べたように,技術常識に照らせば,引用発明2のミルカー洗浄スイッチのように,蒸気のみを流出させることで,飲料容器の予熱や,液体の加熱,泡立てといった機能を発揮しうることは,当業者であれば容易に理解できることであって,格別のことではなく,予測しうる範囲内のことである。

(4) そうすると,本願補正発明は,引用発明1,引用発明2及び引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5) 以上を総合すると,本願補正発明は,引用発明1,引用発明2及び引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する。

4 まとめ
以上のとおり,本件補正は,特許法17条の2第5項の規定に違反する,又は,同条6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,前記のとおり却下されたので,本願の請求項1?8に係る発明は,平成28月7月7日付けの手続補正書により補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであるが,そのうち,請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりである。
「【請求項1】
ハウジングと,
蒸気源と,
ミルクタンクと,
調製した飲料の分配吐出口と,
泡立てたミルクの分配吐出口と,
前記泡立てたミルクの分配吐出口と流体的に接続されたミルク泡立てユニットであって,前記蒸気源から蒸気を受け取る蒸気入り口,及び,前記ミルクタンクからミルクを受け取るミルク入り口を有し,前記ミルクと前記蒸気とを混合させミルクを泡立てることを特徴とするミルク泡立てユニットと,
前記ミルク入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへのミルクの流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第1の弁と,
前記蒸気入り口に取り付けられ,前記ミルク泡立てユニットへの蒸気の流れを制御するために開放状態と閉止状態との間で制御可能な第2の弁と,
前記第1の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第1の弁と電気的に接続された第1のスイッチと,
前記第2の弁を前記開放状態と前記閉止状態との間で手動で制御するために,前記第2の弁と電気的に接続された第2のスイッチと,
を具備し,
前記第2の弁は,前記第1の弁とは独立に制御することができ,前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆくことを特徴とし,
前記ミルクタンクは,取り外し可能であり,前記ハウジングに設けられたラッチと,前記ミルクタンクの頭部にあるラッチ受けスロットとにより,前記ハウジングに固定されることを特徴とする飲料調製機械。」

2 引用例に記載された事項
引用例に記載された事項は,前記第2・2のとおりである。

3 対比及び判断
本件補正の前後において,請求項1の記載は実質的に変わるところがなく,本願発明と本願補正発明とは実質的に同じものである。仮に,本願補正発明が,「第2の弁」に関し「前記第2の操作スイッチの操作により前記第2の弁のみを開放状態にしたとき,蒸気のみが前記ミルク泡立てユニットを通って前記ミルクの分配吐出口から出てゆく」ものであるとして限定したものであるとすると,本願発明はそのような限定を省き拡張したものである(前記第2・1)。
そうすると,本願発明と実質的に同じものである,又は,本願発明を特定するために必要な事項をすべて含み,さらに発明を特定するために必要な事項を減縮したものに相当する本願補正発明が,前記第2・3で検討したとおり,引用発明1,引用発明2及び引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願補正発明と実質的に同じものである,又は,本願補正発明に対し拡張した事項を有する本願発明が,同様の理由により,引用発明1,引用発明2及び引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであることは明らかである。

4 以上のとおり,本願発明(請求項1に係る発明)は,引用発明1,引用発明2及び引用例3に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。
そして,本願発明(請求項1に係る発明)が特許を受けることができない以上,本願の請求項2?8に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-21 
結審通知日 2016-12-27 
審決日 2017-01-11 
出願番号 特願2013-555646(P2013-555646)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47J)
P 1 8・ 575- WZ (A47J)
P 1 8・ 574- WZ (A47J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 侑以宮崎 賢司豊島 ひろみ  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 結城 健太郎
窪田 治彦
発明の名称 飲料機械の洗浄システム及び洗浄方法  
代理人 今井 千裕  
代理人 山崎 行造  
代理人 内藤 忠雄  
代理人 赤松 利昭  
代理人 尾首 亘聰  
代理人 奥谷 雅子  
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