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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1328559 |
審判番号 | 不服2015-22695 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-12-25 |
確定日 | 2017-05-24 |
事件の表示 | 特願2013- 11621「撮像装置、記録制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月20日出願公開、特開2013-123249〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年12月28日を出願日とする特願2010-293007号の特許出願の一部を、平成25年1月25日に新たな特許出願とした特願2013-11621号であって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成25年12月20日 拒絶理由通知 :平成26年10月20日(起案日) 手続補正 :平成27年 1月 9日 拒絶査定 :平成27年 8月26日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成27年12月25日 手続補正 :平成27年12月25日 拒絶理由(当審・最初) :平成28年 9月 8日(起案日) 手続補正 :平成28年12月 1日 第2 本願発明 本願の請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年12月1日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。((A)ないし(I)は当審が付与した。以下、構成要件(A)、構成要件(B)・・などという。) 【請求項5】 (A)画像を記録させる記録制御方法において、 (B)撮像手段により逐次撮像されている被写体の一部に対応する画像と、当該被写体の記録指示のための指標画像とを表示手段に表示させるよう制御する第1の表示制御ステップと、 (C)前記表示手段に表示された指標画像と逐次撮像されている前記被写体の画像とが重なったか否かを判断する重なり判断ステップと、 (D)前記重なり判断ステップにより指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったと判断されると、当該重なり判断ステップによる再度の判断処理を動作させない状態で計時を行う計時ステップと、 (E)前記計時手段による計時時間を表す計時状態画像を前記表示手段に表示させる第2の表示制御ステップと、 (F)前記計時ステップにより計時時間が所定の時間を経過したか否かを判断する時間判断ステップと、 (G)前記時間判断ステップにより計時時間が前記所定の時間を経過したと判断されると、当該被写体が含まれる画像を記録手段に記録させるように制御する記録制御ステップと、 を含み、 (H)前記重なり判断ステップは、 (H1)前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる、 (H2)及び前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する (I)ことを特徴とする記録制御方法。 第3 刊行物の記載事項 (1)刊行物1の記載 当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2007-74296号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 【0001】 本発明は、セルフタイマによる自動撮影機能を有するカメラを制御するクレードル装置及びその制御方法、前記クレードル装置にネットワーク経由で接続したビューワ装置及びその制御方法、並びにこれら制御方法を実現するための制御プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 デジタルカメラをコンピュータに接続してリモート撮影したり、撮影した画像をコンピュータに転送して管理したりすることが一般に行われている。 【0003】 一方、近年、画像処理を用いて手や腕の位置及び関節角度の推定を行う、いわゆるジェスチャー認識が広く研究されている。また、簡単な画像処理による動き検出や動作推定をゲームに応用する技術としては、例えば特許文献1に開示されている。 【0004】 通常、デジタルカメラにおいては、セルフタイマを用いた撮影機能が搭載され、タイマの開始タイミングを遠隔から制御するためには、赤外線リモコンなどを使用するのが一般的である。しかし、リモコンを手元に用意する必要がある上、リモコンを紛失する危険も高い。そこで、前述したジェスチャー認識等の画像認識、或いは音声認識による操作は、上記したリモコンの欠点を克服するものとして注目されている。 【特許文献1】特開平11-53563号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、画像認識や音声認識の認識処理を行うためにはコンピュータの高い処理能力が必要であり、デジタルカメラ内蔵の組み込みコンピュータ単体でこれを行うことは困難であった。 【0006】 本発明は上記従来の問題点に鑑み、カメラのセルフタイマを遠隔から制御するに際し、リモコンなどの遠隔操作装置がない場合にも、セルフタイマによる自動撮影を容易に行うことができるクレードル装置及びその制御方法、ビューワ装置及びその制御方法、並びに制御プログラムを提供することを目的とする。 【0011】 [第1の実施の形態] <システム構成> 図1は、本発明の第1の実施の形態に係るクレードル装置を含むシステムの構成を示す模式図である。 【0012】 このシステムは、カメラ100、クレードル装置200、及びビューワ300,310から構成され、クレードル装置200とビューワ300、310はネットワーク500を通じて互いに通信可能である。カメラ100は、例えばUSB(Universal Serial Bus)を通じて、外部からの制御可能である。即ち、クレードル装置200からカメラ100に対して、ズーム、焦点、露出及びシャッタースピードなどのカメラパラメータの変更や、レリーズ動作、画像の取り出しや削除などのカメラ100の制御を行うための制御命令を発することができる。 【0013】 クレードル装置200は、パン・チルト雲台240と本体250から成り、本体250上には操作ボタン213が配置される。パン・チルト雲台240上にはカメラ100を装着することが可能であり、カメラ100の装着検知と固定を行うために、不図示のロック機構がある。カメラ100の装着が完了すると、カメラ100には、雲台240に付属のコネクタを通じてクレードル装置200から電力が供給される。また制御信号もコネクタを通じて送受信される。 【0014】 また、ビューワ300、310の形態は、コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話などを想定している。1つのクレードル装置に対して複数のビューワを同時に接続することも可能である。 【0033】 <第1の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影の概要> 本実施の形態では、クレードル装置200は、デジタルカメラ100からのファインダ画像を受け取り、この画像を用いてクレードル装置200内のソフトウェアにより動き検知タイマ撮影を行う。ここで、ファインダ画像とは、デジタルカメラ100によって現在撮像されているリアルタイム画像を示す。即ち、クレードル装置200は、クレードル装置200に接続されたカメラ100に向けて手を振るなどのユーザの動きを検知し、この動きを検知したときに、セルフタイマ撮影を始動する。これによって、リモコンを使用することなく簡単な動作によりカメラのセルフタイマ撮影制御を行う。 【0034】 次に、本実施の形態における動き検知タイマ撮影の概要について、図4を参照して説明する。 【0035】 図4は、第1の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影時の状態遷移図である。 【0036】 同図に示すように、遷移するモードは、定常モード410、タイマ停止モード420、タイマ動作モード420、及び撮影モード440の4つのモードを有する。定常モード410では、ユーザからの動き検知タイマ撮影の指示を待つ。ユーザによってクレードル装置200上のボタン213の押下がなされ、ビューワ300,310からの要求があると、タイマ停止モード420へ移行する。このタイマ停止モード420では動き検知処理を開始する。 【0037】 動き検知の方法としては動き積算量による方法がある。この方法は、過去nフレームに亘って隣接フレーム間差分の結果を積算する。そして積算量が一定値以上となった場合に、「動き有り」とする方法である。なお、差分領域は画像全体を対象に行う方法や中央部分を対象に行う方法がある。また、差分演算の対象は、画素の明度やブロックの中間明度、或いはJPEGのDCT係数などがあるが、本実施の形態ではこれら特定の差分方法に依存するものではない。 【0038】 この他の動き検知方法としては、各フレームにおいてフレーム間差分を行い、その差分量が予め定めた値を超えた場合にそのフレームは「動き有り」とし、「動き有り」のフレームが一定時間以上連続した場合に動き検知状態とする手法がある。この一定時間を動き継続時間と呼ぶ。この手法のうち差分量にJPEGのDCT係数を用いた方法は特開2003-219424号公報に開示されている。 【0039】 タイマ停止モード420において、手を振るなどの「動き」を検知すると(図4のT1)、セルフタイマを開始してタイマ動作モード430へ移行する。そして、タイマ時間経過後に(T2)撮影モード440へ移行して撮影を行い、撮影終了後(T3)は、再び定常モード410へ戻る。 【0053】 [第2の実施の形態] 第2の実施の形態では、ビューワ300又は310側で動き検知タイマ撮影を行い、クレードル装置200に対しては撮影要求のみを行う方式について説明する。また、ビューワ300又は310は画面上に動き検知やタイマの状態を表示する。この場合、クレードル装置200に設置されたカメラ100とビューワ300又は310が共にユーザの方を向く設定が基本となる。 【0054】 <第2の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影の概要> 図7は、第2の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影時の状態遷移図であり、本実施の形態の動き検知タイマ撮影は、ビューワ300又は310内のアプリケーションによって実行される。 【0055】 前述した第1の実施の形態と状態は同一であるが、遷移処理が次のように異なる。即ち、1つはタイマ動作モード430において動きを検知した場合にはタイマ停止モード420へ戻ることであり(図7のT4)、もう1つはタイマ停止モード420からタイマ動作モード430への移行時に動き検知量を一旦クリアすることである。 【0056】 なお、本実施の形態における動き検知処理は、第1の実施の形態で述べたフレーム間差分から得た動き積算量を用いることにする。 【0057】 <第2の実施の形態におけるビューワの画面例> 図8(a)?(d)は、第2の実施の形態におけるビューワ300又は310のGUIによる画面例を示す模式図である。 【0058】 図8(a)は、静止画撮影アプリケーションによって実行されるファインダ画面を示し、ファインダ画面内の画像800として動画が表示されている。今、ユーザからの指示により動き検知タイマ撮影機能が開始され、定常モード410からタイマ停止モード420へと移行したところである。この時、画面上には動き積算量表示部810が表示される。 【0059】 図8(b)?(d)は、状態遷移と動き積算量表示部810の変化の関係を示している。図8(b)では、タイマ停止モード420であり、ここで表示部810にはインジケータ811が表示され、動き積算量の変化に応じて高さが変化する。ユーザがカメラ100の前で手を振るなどして動きを生じさせると動き積算量が所定の値に達し、インジケータ811が頂点まで達する。この時、タイマ動作モード430へ移行し、インジケータ811の値はクリアされ、図8(c)に示すように、表示部810上部にタイマアイコン821と撮影までの残り時間822が表示される。 【0060】 タイマ動作モード430においても、タイマ停止モード420と同様に動き検知処理は動作し続け、図8(d)に示すような状態になる。インジケータ813の色や柄はモードに合わせて変更する。この時に再度大きな動きを発生させインジケータが頂点の状態に達すると、タイマ停止モード420に戻る(図7のT4参照)。このとき、セルフタイマは停止し、タイマアイコン821や残り時間表示822は消去し、インジケータの色や柄も図8(b)の状態に戻る。 【0061】 タイマ動作モード430中に動きを検知することがなければ、タイマ時間経過後(図7のT2)に撮影モード440へ移行して静止画撮影を行う。この場合、ビューワ300又は310からクレードル装置200に対して静止画撮影要求を発する。これを受けたクレードル装置200はカメラ100に対して静止画撮影命令を送信する。 【0062】 <第2の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影の処理手順> 次に、本実施の形態における動き検知タイマ撮影の処理手順について、図9及び図10を参照して説明する。 【0063】 図9及び図10は、第2の実施の形態における動き検知タイマ撮影の具体的な処理手順を示すフローチャートであり、図9はそのメインプロセスを示し、図10は画像処理プロセス(サブプロセス)を示している。この処理手順は、ビューワ300又は310内のアプリケーションによって実行され、本発明に関係する動き検知処理とタイマ処理の部分についてのみ説明する。具体的には、メインプロセスは、画像取得やタイマイベントの処理が行われ、サブプロセスである画像処理プロセスは、画像の要求や取得、動き検知処理が行われる。 【0064】 メインプロセス及び画像処理プロセスの開始時は、ユーザから動き検知タイマ撮影の指示が発行されて、定常モード410からタイマ停止モード420への移行がなされた状態にある。 【0065】 初めに画像処理プロセスでは、まずステップS940で画像を取得し、次のステップS941で動き検知用の画像処理を行う。この処理は第1の実施の形態で既に説明したフレーム間差分処理である。さらにステップS942に進んで動き積算量を求める。そして、ステップS943では、メインプロセス向けに画像取得イベントを発行して、ステップS940に戻って、次の画像をクレードル装置200経由でカメラ100から取得する。 【0066】 次に、メインプロセスについて説明する。 【0067】 メインプロセスでは、ステップS904でイベントの発生を検知すると、続くステップS905においてそのイベントが画像取得イベントであるかどうかを判別する。画像取得イベントである場合には、ステップS906で動き積算量が閾値以上であるかどうかを判別する。動き積算量が閾値未満である場合にはステップS911へ進んで、インジケータの表示を更新して次のイベントを待つ。 【0068】 前記ステップS906で動き積算量が閾値以上の場合には、動きを検知したことになるので、ステップS907に進んで、タイマ停止モード420であるかどうか判別する。タイマ停止モード420である場合には、ステップS908へ進んで撮影タイマを起動し、ステップS909でタイマ動作モード430へ移行する。そしてステップS910で動き積算量をクリアし、ステップS911でインジケータ表示も変更する。その後、ステップS904へ戻って次のイベントを待つ。 【0069】 また、前記ステップS907においてタイマ停止モード420でない場合は、タイマ動作モード430において動きを検知した場合に相当するため、ステップS912へ進んでタイマ停止モード420へ移行する。その後ステップS910以下の処理を行う。 【0070】 一方、前記ステップS905で画像取得イベントでないと判別された場合には、ステップS920に進んでタイマイベントであるかどうかを判別する。このイベントはセルフタイマが動作しているときに一定間隔ごとに発せられるものである。タイマイベントである場合は、ステップS921へ進んでタイマ時間が経過したかどうかを判別する。タイマ時間が経過していない場合にはステップS925へ進んでタイマアイコンや残り時間表示のGUIを更新する。 【0071】 タイマ時間が経過した場合には、ステップS922へ進んでクレードル装置200に対して静止画撮影要求を発する。静止画の撮影を終了すると次のステップS923で動き積算量をクリアし、さらにステップS924でタイマ停止モード420へと移行する。そして、ステップS925でタイマGUIの更新を行う。ステップS924からステップS925に進んだ場合は、タイマアイコン及び残り時間表示を消去し、ステップS904へ戻って次のイベントを待つ。 【0080】 タイマ停止モード2(1030)では、モード中の最大動き積算量の表示として、図12(c)に示すようなピーク表示1114が現われる。タイマ停止モード2では、動き検知処理の出力結果として、この間の最大動き積算量を記録する。ここで、動き積算量が閾値を下回った場合にタイマ動作モード1040へ遷移してタイマが開始され、図12(d)のようにタイマと残り時間1116を表示する。但し、この際に動き積算量は一旦クリアされる。 【0091】 [第4の実施の形態] 第4の実施の形態では、ビューワ300又は310側で動き検知タイマ撮影を行う場合において、撮影画像上に複数の動き検知領域を設けて、その内の特定の領域で検知した動きを基にして、タイマの開始及び終了を制御する例について説明する。 【0092】 <第4の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影の概要> 図14は、第4の実施の形態に係るファインダ画面例を示す画面図である。 【0093】 同図に示すように、撮影画像上には、複数の動き検知領域1410,1420が設けてある。その内の領域1410で動きを検知した場合にはタイマを開始し、別の領域1420で動きを検知した場合にはタイマを停止する。動き積算量表示1430は、上記第2及び第3の実施の形態と同じものである。 【0094】 図15は、第4の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影時の状態遷移図であり、本実施の形態の動き検知タイマ撮影は、ビューワ300又は310内のアプリケーションによって実行される。 【0095】 定常モード1310でユーザから動き検知タイマ撮影の指示があると、タイマ停止モード1320へ移行し、動き検知を開始する。但し、動き検知に使用する領域は特定の領域(タイマ開始領域1410)に限定され、それ以外の領域で動きが発生しても動き検知量に加算されることはない。タイマ開始時に使用される領域において動き検知積算量が増加し、閾値以上になると「動き有り」と判断し(T21)、タイマ動作モード1330へ移行する。このとき一旦動き積算量はクリアされて0になる。 【0096】 タイマ動作モード1330ではタイマを起動し、タイマ時間が経過するのを待つ(T22)。動き検知機能はこの間も動作を続ける。但し、今度はタイマ停止用の動き検知領域1420のみを使用し、それ以外の領域において動きが発生しても検知しない。もし動き積算量が一定の閾値以上になった場合には、タイマをキャンセルし、タイマ停止モード1320へ移行する(T22)。このときも動き積算量はクリアして“0”にする。タイマ時間が過ぎた場合には(T23)撮影モード1340へ移行して撮影を行い、撮影が終了すれば(T24)定常モード1310に戻る。 【0097】 <第4の実施の形態に係る動き検知タイマ撮影の処理手順> 次に、本実施の形態における動き検知タイマ撮影の処理手順について、図16を参照して説明する。 【0098】 図16は、第4の実施の形態における動き検知タイマ撮影の具体的な処理手順を示すフローチャートであり、上記第2の実施の形態で用いた図9及び図10において、画像取得イベントに関する部分(点線のW部分)のみを説明したものである。タイマイベントに関する処理や、画像処理プロセスに関する処理は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。 【0099】 まずステップS1505において、画像取得イベントであると判別された場合は、ステップS1506へ進んで、タイマ停止モード1320であるかどうかを判別する。タイマ停止モード1320である場合には、さらにステップS1507へ進み、タイマ開始領域1410で動き積算量が閾値Th以上であるかどうかを判別する。もしそうでない場合には、ステップS1511に進んでインジケータなどのGUIを更新して次のイベント処理へ進む。 【0100】 前記ステップS1507において、タイマ開始領域1410で動き積算量が閾値以上であった場合には、ステップS1508へ進んで撮影タイマを起動する。次のステップS1509では、タイマ開始領域1410及びタイマ停止領域1420の動き積算量をクリアし、ステップS1510へ進んでタイマ動作モード1330へと移行する。最後にステップS1511でGUIを変更して次のイベント待ちを行う。 【0101】 一方、前記ステップS1506でタイマ停止モード1320ではない場合は、ステップS1512へ進んで、タイマ動作モード1330であるか否かを判別する。もしそうである場合には、さらにステップS1513へ進んでタイマ停止領域1420での動き積算量が予め定めた閾値Th以上であるかどうかを判別する。閾値Th以上である場合には、ステップS1514へ進んで撮影タイマを停止し、さらにステップS1515でタイマ開始領域とタイマ停止領域1420の動き積算量をクリアして“0”にする。そして、ステップS1516でタイマ停止モード1320へ移行後、ステップS1511でGUIを更新して次のイベントを待つ。 【0102】 なお、ステップS1512とステップS1513の判別処理が否定の判別結果となった場合には、ステップS1511へ進んでGUIの更新後次のイベントを待つ。 (2)刊行物2の記載 当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2006-235771号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 【0001】 本発明は、電子機器の遠隔操作装置に関し、特に撮影装置により撮影される操作者の画像に基づいて操作信号を生成するものに関する。 【背景技術】 【0002】 撮影装置により撮影される操作者の画像からハンドジェスチャ(手の動き)を検出し、検出した手の動きに応じた制御を行うジェスチャ認識システムが、特許文献1に示されている。このシステムでは、所定のハンドジェスチャの存在及び空間内の位置に応じてジェスチャ信号が生成され、ジェスチャ信号に応じて、スクリーン上にハンドアイコンが表示される。スクリーン上には、機械制御アイコンも表示され、ハンドアイコンが機械制御アイコンと重なったときに、該当する機械制御信号が生成される。 【0009】 次にこの画像表示装置の動作を説明する。まず操作者11は、図2に示すように表示装置9を視聴している状態から、遠隔操作を行いたい場合、手を振るなどのジェスチャを行い、図3に示すような操作モードに入る。この時、撮影装置1から入力された映像を1フレーム遅延器2と差分器20によってフレーム差分をとり、動き検出器3によって動き座標を検出し、ジェスチャ判別器17によってジェスチャ判別を行い、モード切替信号18を発生させる。一方、撮影装置1から入力された映像は、左右反転器5によって左右反転処理をされ、オンスクリーン装置7により操作用のアイコン13が重畳されるとともに、視聴信号10と同時に表示できるように処理がおこなわれる。モード切替信号18により、スイッチ8を視聴信号10から重畳信号21に切り替えると、図2に示す視聴信号10の画面から、図3に示すように処理画面21に切り替わり、操作モードとなる。この操作モードの状態で、操作者11は、目的の操作アイコン13に触るようにジェスチャを行うことで、目的の操作を行うことができる。撮影装置の映像は左右反転されているため、操作者は、鏡に映った自分を見ているように直感的にアイコンに触るジェスチャを行うことが可能である。また、しばらくジェスチャを行わないことによって、操作モードから通常モードに戻る。 【0017】 (第2の実施形態) 図6は、本発明の第2の実施形態にかかる遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。この装置は、制御信号発生器9から出力される制御信号(操作信号)19を他の電子機器に供給して制御する場合に適用される。図6に示される装置は、図1に示される構成から、スイッチ8を削除し、制御信号19を外部に出力するように構成されている。 【0018】 本実施形態では、通常モードと操作モードを切り替える必要はなく、常に操作モードであり、表示装置9には、操作者とアイコンが表示されており、操作者は、アイコンを触るジェスチャを行うだけで操作したい機器の制御が可能である。 【0019】 図7にこれを応用した具体的な例を示す。対面撮影が可能なビデオカメラ等に本発明の遠隔操作装置を内蔵し、制御信号19を赤外線発信装置22より発信することによって、赤外線受信機能を持つ機器を制御することが可能である。当然、制御信号19を発信する装置は、赤外線発信装置以外に、無線発信装置による発信でもよい。あるいは、直接ワイヤ接続することによって、制御信号19を供給するようにしてもよい。 (3)刊行物3の記載 当審における拒絶の理由の通知において引用された特開2010-28446号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。 【0001】 本発明は、撮像装置、撮像方法及びプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 セルフ撮影を行なう際に、被写体側で自ら予め定められているジェスチャーを行なうことによって、撮影のタイミングのみならず、カメラのパン、チルト、ズームなどの動作を指示する技術が考えられている。(例えば、特許文献1) 【特許文献1】特開2005-051472号公報 【0044】 図4は、このデジタルカメラ10でシーンプログラム機能の1つとして用意されたセルフシャッタモードでの動作処理内容を示す。同処理内容は、制御部16がプログラムメモリ18に記憶されている動作プログラムを読出してメインメモリ17に保持させた上で実行する。この場合、デジタルカメラ10は予め三脚等に固定して載置されており、レンズ光学系11による その当初には、所定のフレームレート、例えば30[フレーム/秒]で連続的に撮影を行ない、その撮影画像をバッファメモリ14に順次保持した上で表示部15により表示を行なう、所謂スルー画像の入力と表示の動作を開始させることで、表示部15によるモニタ表示を実行させる(ステップS101)。 【0045】 このスルー画像の表示状態において、画像認識部33がプログラムメモリ18に記憶される人の手の外観形状の特徴情報を用い、バッファメモリ14に保持される画像データ中に類似度の高い特徴情報を検出することで(ステップS102)、スルー画像中から被撮影者の一対の手が検出されたか否かを判断する(ステップS103)。 【0046】 ここで、一対の手が検出されなかった場合には、上記ステップS102の検出処理に戻る。以後、ステップS102,S103の処理を繰返し実行することで、スルー画像中から撮影範囲を指定するための一対の手の形状が検出されるのを待機する。 【0047】 しかして、上記ステップS103で一対の手の形状が検出されたと判断した場合、次いで画像データ中でその手の形状部分が略静止しているか否かを、バッファメモリ14に記憶した前回のフレーム分の画像データ中の手の形状部分の位置と比較することで判断する(ステップS104)。 【0048】 ここで、前回のフレームと今回のフレームとで手の形状部分の位置が異なり、略静止していないと判断した場合には、再び上記ステップS102からの処理に戻る。 【0049】 また、ステップS104で画像データ中の手の形状部分が略静止していると判断した場合には、次いでその時間のカウントを開始した上で(ステップS105)、そのカウント値が所定の時間、例えば0.5[秒]を経過したか否かを判断する(ステップS106)。 【0050】 ここで、所定の時間が結果していないと判断した場合は上記ステップS104からの静止判断に戻り、以後略静止している時間が所定のカウント値となるのを待機する。 【0051】 こうして手の形状部分が略静止している時間をカウントしている過程で、手の形状部分の略静止が解かれた場合、上記ステップS104でそれを判断し、上記ステップS102からの処理に戻る。 【0052】 また、手の形状部分が所定時間連続して略静止した場合、上記ステップS106でそれを判断し、画像データ中の一対の手で指定される画像生成範囲を算出して決定する(ステップS107)。 【0059】 上記のように画像形成範囲を決定すると、次いで決定した旨の通知を、例えば音声処理部24によりスピーカ部31で所定のビープ音を拡声出力することにより報知する(ステップS108)。 【0060】 そして、この報知状態が所定時間、例えば2[秒]経過したか否かを判断し(ステップS109)、経過していなければ上記ステップS108に戻る。 こうして画像生成範囲と決定信号とを所定時間報知し、該所定時間が経過したと判断すると、次いで決定した画像生成範囲が撮影可能な最大倍率まで、レンズ光学系11中のズームレンズを光軸に沿って移動させ、光学ズーム処理を実行する(ステップS110)。 【0063】 このように画像生成範囲FRに合わせてズーム倍率を上げ、その時点で設定されている画像サイズ(構成画素数)に対して画像生成範囲FRの画像サイズ(構成画素数)を最大限に設定した状態から、さらにAF処理及びAE処理を実行する(ステップS111,S112)。 【0064】 このとき、AF処理及びAE処理はいずれも撮影範囲全体、あるいはその時点での撮影範囲の中心位置に基づいて行なうのではなく、画像生成範囲FRに限定し、例えば画像生成範囲FRの中心位置、あるいは画像生成範囲FR中で顔認識等を行なうことができればその認識結果に基づいた位置に応じてスポットAF処理及びスポットAE処理を行なうこととしてもよい。 【0065】 上記AF処理及びAE処理の実行後、画像生成範囲FRでの適正な合焦位置及び露出に基づいてあらためて撮影処理を実行する(ステップS113)。そして、バッファメモリ14に保持される、撮影により得た画像データに対して、上記画像生成範囲FRのみを切出すトリミング処理を実行する(ステップS114)。 【0066】 図7は、このトリミング処理により切出した画像生成範囲FRの画像データを例示するものである。 次いで、トリミング処理により切出した画像生成範囲に対して画素加算処理による拡大処理を施して所定の画像サイズの画像データを得る(ステップS115)。 図8は、上記拡大処理により得た画像データIM'を例示するものである。こうして所定のアスペクト比、例えば縦3:横4に基づいて補正した画像生成範囲FRの画像を画像データとして取得することができる。 【0067】 その後、拡大処理により取得した画像データをあらためて圧縮伸長処理部34でデータ圧縮してデータファイル化した上でメモリカード29に記録する(ステップS116)。以上でセルフシャッタモードでの撮影から記録に至る一連の処理を完了し、再び次の撮影に備えるべく上記ステップS101からの処理に戻る。 第4 刊行物に記載された発明 以上の記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、刊行物1発明という。)が記載されている。 (4-1)刊行物1の【0001】には「本発明は、セルフタイマによる自動撮影機能を有するカメラを制御するクレードル装置及びその制御方法、前記クレードル装置にネットワーク経由で接続したビューワ装置及びその制御方法、並びにこれら制御方法を実現するための制御プログラムに関する。」と記載されている。 したがって、刊行物1に記載された発明は「カメラとクレードル装置とビューワ装置と」を有しこれらを制御する方法に関する発明が開示されているといえる。 また、刊行物1の【0006】には、「本発明は上記従来の問題点に鑑み、カメラのセルフタイマを遠隔から制御するに際し、リモコンなどの遠隔操作装置がない場合にも、セルフタイマによる自動撮影を容易に行うことができるクレードル装置及びその制御方法、ビューワ装置及びその制御方法、並びに制御プログラムを提供することを目的とする。」と記載されているから、刊行物1に記載された制御方法は「セルフタイマによる自動撮影を容易に行う」ための制御方法であるといえる。 以上のことから、刊行物1には「カメラとクレードル装置とビューワ装置とを有し、セルフタイマによる自動撮影を容易に行う制御方法」が開示されていることが理解できる。 (4-2)まず、刊行物1に記載された「第1の実施の形態」について検討する。 「第1の実施の形態」では、【0035】、【0036】の記載によれば、動き検知タイマ撮影時の状態遷移として、定常モード410から開始し、ユーザによってクレードル装置200上のボタン213の押下がなされ、ビューワ300,310からの要求があると、タイマ停止モード420へ移行し、動き検知処理を開始し、タイマ停止モード420において、「動き」を検知すると、セルフタイマを開始してタイマ動作モード430へ移行し、タイマ時間経過後に(T2)撮影モード440へ移行して撮影を行い、撮影終了後(T3)は、再び定常モード410へ戻る、構成が開示されている。 上記「動き検知処理」は、【0033】-【0039】の記載によれば、「クレードル装置200は、デジタルカメラ100からのファインダ画像を受け取り、この画像を用いてクレードル装置200内のソフトウェアにより動き検知タイマ撮影を行う。ここで、ファインダ画像とは、デジタルカメラ100によって現在撮像されているリアルタイム画像を示す。」、「クレードル装置200は、クレードル装置200に接続されたカメラ100に向けて手を振るなどのユーザの動きを検知し」、「過去nフレームに亘って隣接フレーム間差分の結果を積算する。そして積算量が一定値以上となった場合に、「動き有り」とする」、「各フレームにおいてフレーム間差分を行い、その差分量が予め定めた値を超えた場合にそのフレームは「動き有り」とし、「動き有り」のフレームが一定時間以上連続した場合に動き検知状態とする」とあるから、クレードル装置は、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像を受け取ると、リアルタイム画像のフレーム画像を分析することで動き検出を行っている。 以上のことから、刊行物1に記載された制御方法の「第1の実施の形態」では、 (1a)定常モードから開始し、 (1b)ユーザによってクレードル装置200上のボタン213の押下がなされ、ビューワ300,310からの要求を受けることで、タイマ停止モードへ移行し、 (1c)タイマ停止モードでは、動き検知処理を開始し、 (1c1)上記動き検出処理は、クレードル装置が、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像を受け取ると、クレードル装置にてリアルタイム画像のフレーム画像を分析することで動き検出を行うことであり、 (1d)「動き」を検知すると、セルフタイマを開始してタイマ動作モードへ移行し、 (1e)タイマ動作モードにてタイマ時間経過後に撮影モードへ移行し、 (1f)撮影モードにて撮影を行い、撮影終了後は、再び定常モードへ戻る (1g)制御方法。 が開示されている。((1a)ないし(1g)は当審において付与し、以下「構成要件(1a)」等として引用する。) (4-3)つぎに、刊行物1に記載された「第2の実施の形態」について検討する。 刊行物1の【0055】には「前述した第1の実施の形態と状態は同一であるが、遷移処理が次のように異なる。即ち、1つはタイマ動作モード430において動きを検知した場合にはタイマ停止モード420へ戻ることであり(図7のT4)、もう1つはタイマ停止モード420からタイマ動作モード430への移行時に動き検知量を一旦クリアすることである。」と記載されている。上記【0053】の記載、および、第1の実施の形態の状態遷移を表す図4と第2の実施の形態の状態遷移を表す図7との対比によれば、「第2の実施の形態」は、「第1の実施の形態」における各モードと各モード間の移行については、少なくとも同様の構成を有し(第2の実施の形態では、さらに、「タイマ動作モード430において動きを検知した場合にはタイマ停止モード420へ戻ること」と「タイマ停止モード420からタイマ動作モード430への移行時に動き検知量を一旦クリアすること」とを有している)ていることが明らかであるから、構成要件(1c1)を除いて、構成要件(1a)ないし構成要件(1g)を有しているといえる。 また、刊行物1の「第2の実施の形態」における「動き検知処理」については、【0054】-【0071】の記載によれば、上記処理手順はビューワ装置において実行されるものであり、ビューワは(画像処理プロセスにて)画像を取得しているが、上記取得している画像は、ファインダ画像(すなわち、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像)であることは明らかであり、特に【0058】の「図8(a)は、静止画撮影アプリケーションによって実行されるファインダ画面を示し、ファインダ画面内の画像800として動画が表示されている。今、ユーザからの指示により動き検知タイマ撮影機能が開始され、定常モード410からタイマ停止モード420へと移行したところである。この時、画面上には動き積算量表示部810が表示される。」の記載によれば、ビューワはファインダ画像をタイマ停止モードの状態から表示している。また、タイマ動作モード時には、表示部にタイマアイコンと撮影までの残り時間を表示することも記載されている。 以上のことから、刊行物1に記載された「第2の実施の形態」では、構成要件(1c1)を除いて、構成要件(1a)ないし構成要件(1g)を有していることに加えて、上記タイマ停止モードの状態から、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像を表示していること、上記構成要件(1c1)について、ビューワ装置が、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像を受け取ると、ビューワ装置にてリアルタイム画像のフレーム画像を分析することで動き検出を行うこと、構成要件(1e)に関して、タイマ動作モード時に表示部に、上記リアルタイム画像に加えてタイマアイコンと撮影までの残り時間も表示することが開示されている。 (4-4)つぎに、刊行物1に記載された「第4の実施の形態」について検討する。 刊行物1の【0091】には「第4の実施の形態では、ビューワ300又は310側で動き検知タイマ撮影を行う場合において、撮影画像上に複数の動き検知領域を設けて、その内の特定の領域で検知した動きを基にして、タイマの開始及び終了を制御する例について説明する。」と記載されている。上記撮影画像の(特定の領域で検知した)動きを検知しているから、撮影画像は、第2の実施の形態で検討した、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像であることは明らかである、 当該記載において、「ビューワ300又は310側で動き検知タイマ撮影を行う場合」とは、「第2の実施の形態」であるから、「第4の実施の形態」は、「第2の実施の形態」において、タイマの開始及び終了を制御する構成を変更したものであるといえる。 「第4の実施の形態」において、【0094】-【0096】の記載をみると、処理は、ビューワにおいて行われるものであって、定常モードでユーザから動き検知タイマ撮影の指示があると、タイマ停止モードへ移行し、動き検知を開始し、動き検知積算量が増加し、閾値以上になると「動き有り」と判断し、タイマ動作モードへ移行し、タイマ動作モードではタイマを起動し、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行して撮影を行い、撮影が終了すれば定常モードに戻ることが開示されているから、構成要件(1c1)を除いて、構成要件(1a)ないし構成要件(1g)を有していて、(4-2)で検討した、「第2の実施の形態」でさらに備える構成も備えているといえる。 上記「第1の実施の形態」、「第2の実施の形態」が備える構成に加えて、「第4の実施の形態」は、【0091】-【0102】の記載によれば、以下の3つの構成を備えていることが開示されている。 「i)撮影画像上には、複数の動き検知領域1410,1420が設けられ、ビューワに表示されていること、上記複数の動き検知領域の表示は、以下にある、タイマ停止モード、タイマ動作モードの動き検知において必要であることは明白であるから、少なくとも、タイマ停止モード、タイマ動作モードにおいてなされていること ii)タイマ停止モードにおける動き検知処理は、ビューワに表示されている動き検知領域のうちの一方(タイマ開始領域1410)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断し、タイマ動作モードへ移行すること iii)タイマ動作モードにて、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行して撮影を行うこと、および、上記経過を待つ間もビューワに表示されている動き検知領域のうちの他方の領域(タイマ停止用の動き検知領域1420)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断し、タイマをキャンセルし、タイマ停止モードへ移行すること」 (4-5)まとめ 以上まとめると、刊行物1発明として、以下のとおりのものを認定することができる。((a)ないし(h)は当審において付与し、以下「構成要件(a)」等として引用する。) (a)カメラとクレードル装置とビューワ装置とを有し、セルフタイマによる自動撮影を容易に行う、ビューワの制御方法であって、 (b)定常モードから開始し、 (c)ユーザによってクレードル装置200上のボタン213の押下がなされ、ビューワ300,310からの要求を受けることで、タイマ停止モードへ移行し、タイマ停止モードの状態で、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像を表示し、 (d)少なくとも、タイマ停止モードとタイマ動作モードにて、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像上に、複数の動き検知領域1410,1420が設けられ、上記リアルタイム画像と複数の動き検知領域とをビューワに表示し、 (e)タイマ停止モードでは、動き検知処理を開始し、 (e1)タイマ停止モードにおける動き検知処理は、ビューワに表示されている動き検知領域のうちの一方(タイマ開始領域1410)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断することで動き検出を行うことであり、 (e2)「動き」を検知すると、セルフタイマを開始してタイマ動作モード430へ移行し、 (f)タイマ動作モードの動作として、 (f1)タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行し、 (f2)上記経過を待つ間もビューワに表示されている動き検知領域のうちの他方の領域(タイマ停止用の動き検知領域1420)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断し、タイマをキャンセルし、タイマ停止モードへ移行し、 (f3)タイマ動作モード時に表示部に、上記リアルタイム画像に加えてタイマアイコンと撮影までの残り時間も表示し、 (g)撮影モードにて撮影を行い、撮影終了後は、再び定常モードへ戻る、 (h)制御方法。 第5 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 (5-1)本願発明の構成要件(A)と刊行物1発明の構成要件(a)とを対比する。 刊行物1発明の「セルフタイマによる自動撮影を容易に行う、ビューワの制御方法」における、セルフタイマによって自動撮影するものは「画像」であって、撮影した画像は記録させることが普通であるから、刊行物1発明のビューワの制御方法は、「画像を記録させる記録制御方法」といえるから、刊行物1発明は構成要件(A)を有している。 (5-2)本願発明の構成要件(B)と刊行物1発明の構成要件(d)とを対比する。 刊行物1発明のビューワに表示される「デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像」は、「撮像手段により逐次撮像されている被写体の画像」であり、上記動き検知領域にて動きが検出される処理は、刊行物1の【0033】の記載によれば「手を振るなどのユーザの動きを検知」とあるから、被写体のうちの一部分の画像の変化から動きを検知しているといえる。したがって、上記検知に用いられる「デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像」は、被写体のうちの一部の画像であるといえる。 また、刊行物1発明のビューワに表示される「動き検知領域」は、上記被写体の一部が当該領域内で変化する(動きが検知される)ことで、構成要件(e)から構成要件(f)に遷移し、撮影処理に移行する処理の段階が進行するから、「記録指示のための指標画像」といえる。 以上のことから、刊行物1発明の構成要件(d)は、構成要件(d)が行っている「ビューワに表示する」という制御を行っている表示制御ステップといえ「撮像手段により逐次撮像されている被写体の一部に対応する画像と、当該被写体の記録指示のための指標画像とを表示手段に表示させるよう制御する第1の表示制御ステップ」(構成要件(B))を含んでいるといえる。 (5-3)本願発明の構成要件(C)と刊行物1発明の構成要件(e1)とを対比する。 刊行物1発明では、動きの検出として、「ビューワに表示されている動き検知領域のうちの一方(タイマ開始領域1410)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断」している。 上記「動き検知領域のうちの一方(タイマ開始領域1410)」は、表示手段に表示された指標画像であり、当該領域内で動きを検知することは、指標画像と逐次撮像されている前記被写体の画像とが所定の関係となったか否かを判断している点で、本願発明の判断ステップと共通する。 もっとも、「所定の関係となったか否か」の判断が、本願発明では「重なったか否かを判断する重なり判断ステップ」であるのに対し、刊行物1発明では、『当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断ステップ』である点で相違する。 (5-4)本願発明の構成要件(D)と刊行物1発明の構成要件(e2)、(f)、(f1)、(f2)とを対比する。 刊行物1発明の『「動き」を検知すると、セルフタイマを開始してタイマ動作モードへ移行』する処理の、『「動き」を検知する』ことは、本願発明の「重なり判断ステップ」と指標画像と逐次撮像されている前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったことを判断している点で対応することは、上記(5-2)、(5-3)で検討したとおりである。 そして、刊行物1発明では、『「動き」を検知すると、セルフタイマを開始してタイマ動作モードへ移行し(構成要件(e2))』、「タイマ動作モードの動作として(構成要件(f))」、「タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行し(構成要件(f1))」、「上記経過を待つ間もビューワに表示されている動き検知領域のうちの他方の領域(タイマ停止用の動き検知領域1420)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断し、タイマをキャンセルし、タイマ停止モード1320へ移行し(構成要件(f2))」の構成を有している。 上記構成のうち、「タイマ時間が経過するのを待ち」の構成は、「計時を行う計時ステップ」といえるから、刊行物1発明の上記構成要件を総合すると『前記指標画像と逐次撮像されている前記被写体の画像とが所定の関係となったことを判断すると、計時を行う計時ステップ』である点で、本願発明と対応している。 ここで、刊行物1発明では、「上記経過を待つ間」、すなわち、計時ステップの間、構成要件(f2)の処理も行っているので、この点について検討する。 本願発明では、「当該重なり判断ステップによる再度の判断処理を動作させない状態で計時を行う計時ステップ」であって、「当該重なり判断ステップ」は、構成要件(C)にある、「前記表示手段に表示された指標画像と逐次撮像されている前記被写体の画像とが重なったか否かを判断する重なり判断ステップ」のことであるから、計時ステップの間、構成要件(C)にある判断ステップによる判断を行っていないことを特定している。 これに対して、刊行物1発明では、上記計時ステップ構成要件(f2)の処理も行っているが、当該処理は、『上記経過を待つ間もビューワに表示されている動き検知領域のうちの他方の領域(タイマ停止用の動き検知領域1420)に限定して、当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断』しているから、動き検知領域が、構成要件(e1)における動き検知領域と異なるものであり、本願発明の構成要件(C)と対比した、構成要件(e1)の判断とは異なることは明白である。 したがって、刊行物1発明の構成要件(f2)は、刊行物1発明の構成要件(e1)とは異なるのであるから、構成要件(e1)の判断処理を行っていないということができ、「当該動き判断ステップによる再度の判断処理を動作させない状態で計時を行う計時ステップ」といえる。 以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは、「指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったことを判断すると、当該(前記被写体の画像とが所定の関係となったことを判断する)判断ステップによる再度の判断処理を動作させない状態で計時を行う計時ステップ」の点で共通する。 もっとも、上記判断ステップが、本願発明では「指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かを判断する重なり判断ステップ」であるのに対し、刊行物1発明では、『当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断ステップ』である点で相違することは、上記(5-3)と同様である。 (5-5)本願発明の構成要件(E)と刊行物1発明の構成要件(f3)とを対比する。 刊行物1発明では、「タイマ動作モード時に表示部に、上記リアルタイム画像に加えてタイマアイコンと撮影までの残り時間も表示し」ている。 上記「撮影までの残り時間」は、「前記計時手段による計時時間を表す計時状態画像」といえるから、当該表示を行うステップを有している。 したがって、刊行物1発明は、本願発明の構成要件(E)を含んでいる。 (5-6)本願発明の構成要件(F)と刊行物1発明の構成要件(f)、(f1)とを対比する。 刊行物1発明では、「タイマ動作モードの動作として、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行し」ている。上記タイマが経過するのを待つ間が、計時ステップといえることは、上記(5-4)で検討したとおりである。 そして、「タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合」とは上記計時ステップにおいて、タイマ時間が過ぎたか否かを判断し、過ぎた場合のことであるから、上記判断をすることは「所定の時間を経過したか否かを判断する時間判断ステップ」といえる。 したがって、刊行物1発明は、本願発明の構成要件(F)を含んでいる。 (5-7)本願発明の構成要件(G)と刊行物1発明の構成要件(f)、(f1)、(g)とを対比する。 刊行物1発明では、「タイマ動作モードの動作として、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行し、撮影モードにて撮影を行い、撮影終了後は、再び定常モードへ戻る」構成を有している。 上記「タイマ動作モードの動作として、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合」は、本願発明の「前記時間判断ステップにより計時時間が前記所定の時間を経過したと判断される」ことに相当することは、上記(5-6)の検討からも明白である。 そして、「タイマ時間が過ぎた場合には撮影モード1340へ移行し、撮影モードにて撮影を行」うことに関して、刊行物1発明において、当該撮影が、「セルフタイマによる自動撮影」(【0001】)を前提としていることからみて、動きの検出対象となるユーザ(当該被写体)を撮影し記録することも含むことは、当業者には明らかである。 してみると、刊行物1発明の「撮影モードへ移行し、撮影モードにて撮影を行」うことは、本願発明の「所定の時間を経過したと判断されると、当該被写体が含まれる画像を記録手段に記録させる」ことに相当することは当業者にとって普通に想定できることである。 したがって、刊行物1発明は、上記撮影を行う(画像を記録手段に記録させる)ように制御する記録制御ステップを有しているから、本願発明の構成要件(G)を含んでいる。 (5-8)本願発明の構成要件(H)、(H1)、(H2)と刊行物1発明の構成要件(b)、(c)、(f)、(f1)、(g)とを対比する。 まず、本願発明の構成要件(H)、(H1)、(H2)は、その記載をみると、 「(H)前記重なり判断ステップは、 (H1)前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる、 (H2)及び前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する」 であるから、重なり判断ステップが、「前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し」、「再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」、「前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する」処理を行っていると捉えることができる。 一方発明の詳細な説明には、以下のとおりの記載がある。 【0051】 ステップS1において、指標重畳画像生成部61は、撮像部22から逐次出力される撮像画像(例えば図3のユーザ像Uが写った撮像画像)のデータに対して、指標記憶部81に記憶されている指標(図3のアイコンir等)の画像データを重畳することで、指標重畳画像のデータを生成する。 【0052】 ステップS2において、表示制御部71は、ステップS1の処理でデータとして生成された指標重畳画像を表示部21に表示させる。 【0053】 ステップS3において、重なり判断部72は、ステップS1の処理で生成された指標重畳画像のデータについて、被写体像の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が指標(図3のアイコンir等)に重なったか否かを判定する。 【0054】 例えば図3(A)の指標重畳画像P1のように、指標重畳画像において被写体像の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が指標(図3のアイコンir等)に重なっていない場合、ステップS3においてNOであると判定されて、処理はステップS1に戻され、それ以降の処理が繰り返される。 即ち、スルー画像として逐次表示が変更される指標重畳画像において、被写体の一部が指標に重なるまでの間、ステップS1乃至S3のループ処理が繰り返し実行されて、遠隔撮像合図による撮像処理は待機状態となる。 【0055】 その後、例えば図3(B)の指標重畳画像P2のように、被写体像の一部(例えば図3のユーザ像Uの手像h)が指標(図3のアイコンir等)に重なると、ステップS3においてYESであると判定されて、処理はステップS4に進む。 【0056】 ステップS4において、カウントダウン部73は、計時部47による計時の動作を開始させる。即ち、カウントダウン部73によるカウントダウンの動作が開始され、図3のアイコンirがカウントダウンの数字(残りの秒等を示すカウント)に変更された画像が逐次表示される。 このように、スルー画像に重畳される画像がアイコンir等の指標からカウントダウンの数字に変更された画像、即ちカウントダウンの数字が重畳されたスルー画像を、以下「計時状態表示画像」と呼ぶ。 ステップS5において、カウントダウン部73は、計時部47による計時時間が所定時間(閾値として予め設定された時間)を経過したか否かを判定する。 計時時間が所定時間を経過していない場合、ステップS5においてNOであると判定されて、処理は再びステップS5に戻される。即ち、計時時間が所定時間を経過するまでの間、ステップS5の判定処理が繰り返して実行されて、カウントダウンの動作が進むことになる。 なお、この間、図示はしないが、計時状態表示画像が表示部21に表示されることによって、カウントダウンの途中経過がユーザに報知される。この場合、報知を受けたユーザは、後どれぐらいでカウントダウンが終了するのかを容易に認識できるので、ポーズの準備等を適切に行うことができる。 その後、計時時間が所定時間を経過した場合、ステップS5においてYESであると判定されて、カウントダウンの終了がカウントダウン部73から記録制御部74に通知されて、処理はステップS6に進む。 【0057】 ステップS6において、記録制御部74は、撮像部22から出力された撮像画像のデータ、より正確には、その後必要に応じて画像処理部44による画像処理が適宜施された撮像画像のデータを、記録用の画像データとしてリムーバブルメディア52に記録させる。 【0058】 ステップS7において、記録制御部74は、撮像終了の指示があったか否かを判定する。 撮像終了の指示がない場合、ステップS7においてNOであると判定されて、処理はステップS1に戻される。即ち、撮像終了の指示があるまでの間、ステップS1乃至S7の処理が繰り返し行われる。 このようにして、ユーザは、撮像終了の指示を行うまでの間、手を指標にかざすようなハンドジェスチャ操作を繰り返すことで、所望のシャッタタイミングで撮像された撮像画像のデータを何回でも記録させることができる。 その後、例えばユーザが操作部48に対して所定の操作を行うことで、撮像終了の指示をした場合、ステップS7においてYESであると判定されて、遠隔撮像合図による撮像処理は終了となる。 以上の記載によれば、前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると(その後、記録用の画像データとしてリムーバブルメディア52に記録させ:ステップ6)、(さらに記録後、撮像終了の指示がない限り)ステップ1に戻ることにより、「前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し」、「再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」の処理が行われ、「前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する」処理がなされているのであって、重なり判断ステップそれ自体が、「前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し」、「再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」、「前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する」の処理を行っているわけではないから、本願発明の上記(H)、(H1)、(H2)の構成は、発明の詳細な説明の記載を参酌して、 『前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断され(記録用の画像データとしてリムーバブルメディア52に記録させ:ステップ6、記録後、撮影終了の処理が無い限り)ると、ステップ1に戻ることにより、「前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し(ステップ1)」、「再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる(ステップ2)」の処理が行われること、 前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断され(記録用の画像データとしてリムーバブルメディア52に記録させ:ステップ6、記録後、撮影終了の処理が無い限り)ると、(ステップ1、ステップ2の処理を行った後)前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する、 ことで、前記重なり判断ステップは再開される』 ことを特定しているものとして、以下、刊行物1発明と対比する。 上記「前記重なり判断ステップ」は、先に検討したとおり、前記(表示手段に表示された指標画像と逐次撮像されている前記被写体の画像とが所定の関係となったか否かを判断する)判断ステップである点で、本願発明と刊行物1発明とは対応し、この「前記判断ステップ」が、本願発明では「重なったか否かを判断する重なり判断ステップ」であるのに対し、刊行物1発明では、『当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断ステップ』である点で相違することは、先に検討したとおりである。 刊行物1発明では、「タイマ動作モードの動作として、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合には撮影モードへ移行し、撮影モードにて撮影を行い、撮影終了後は、再び定常モードへ戻る」構成を有している。 上記「タイマ動作モードの動作として、タイマ時間が経過するのを待ち、タイマ時間が過ぎた場合」が、本願発明の「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると」に相当することは、先に検討したとおりである。 上記判断の後、刊行物1発明では、「撮影モードへ移行し、撮影モードにて撮影を行い、撮影終了後は、再び定常モードへ戻る」構成である。 上記定常モードでは、定常モードからタイマ停止モードに移行するためには、ユーザ操作が必要(構成要件(b)、構成要件(c))であり、タイマ停止モードに移行すると、デジタルカメラ100から現在撮像されているリアルタイム画像を表示し(構成要件(c))ているから、刊行物1発明では「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、ユーザ操作を経てから、リアルタイム画像を表示し」ている。 また、上記表示されるリアルタイム画像に関して、刊行物1発明では、画角に関する調整を行う構成を有していないから画角は変化しておらず、上記表示されるリアルタイム画像は、「前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像」である。 したがって、本願発明と刊行物1発明とは、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」点で、共通する。 もっとも、上記「計時時間が所定の時間を経過したと判断された後」の構成が、本願発明では、上記「計時時間が所定の時間を経過したと判断されると」であるのに対し、刊行物1発明では、「計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、ユーザ操作を経てから」である点で相違する。 また、刊行物1発明のタイマ停止モードへの移行については、上記リアルタイム画像の表示と同様「計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、ユーザ操作を経てから」であることは先の検討より明らかである。 そして、上記「タイマ停止モード」では、本願発明の「前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったか否かの判断処理」を行っていることは先の検討のとおりであるから、刊行物1発明は「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったか否かの判断処理を再開」している点で、本願発明の構成要件(H2)と共通する。 もっとも、上記「所定の時間を経過したと判断された後、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったか否かの判断処理を再開」する構成に関して、本願発明では、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開」しているのに対し、刊行物1発明では、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記指標画像領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断処理をユーザ操作を経てから再開」している点で相違する。 (5-9)本願発明の構成要件(I)と刊行物1発明の構成要件(h)とを対比する。 刊行物1発明の「制御方法」は、その処理の過程で、撮影した画像を記録していることは明白であるから、記録制御方法ということができる。 したがって、刊行物1発明の構成要件(h)は本願発明の構成要件(I)と相違がない。 (5-10)まとめ(一致点・相違点) 以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。 (一致点) 画像を記録させる記録制御方法において、 撮像手段により逐次撮像されている被写体の一部に対応する画像と、当該被写体の記録指示のための指標画像とを表示手段に表示させるよう制御する第1の表示制御ステップと、 前記表示手段に表示された指標画像と逐次撮像されている前記被写体の画像とが所定の関係となったか否かを判断する判断ステップと、 前記判断ステップにより指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったことを判断されると、当該(前記被写体の一部画像とが所定の関係となったことを判断する)判断ステップによる再度の判断処理を動作させない状態で計時を行う計時ステップと、 前記計時手段による計時時間を表す計時状態画像を前記表示手段に表示させる第2の表示制御ステップと、 前記計時ステップにより計時時間が所定の時間を経過したか否かを判断する時間判断ステップと、 前記時間判断ステップにより計時時間が前記所定の時間を経過したと判断されると、当該被写体が含まれる画像を記録手段に記録させるように制御する記録制御ステップと、 を含み、 前記判断ステップは、 前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる、 及び前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理を再開する ことを特徴とする記録制御方法。 相違点1 「所定の関係となったか否か」の判断が、本願発明では「重なったか否かを判断する重なり判断ステップ」であるのに対し、刊行物1発明では、『当該領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断ステップ』である点 相違点2 上記「計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」の構成が、本願発明では、上記「計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」であるのに対し、刊行物1発明では、「計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、ユーザ操作を経てから、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させる」である点 相違点3 「所定の時間を経過したと判断された後、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったか否かの判断処理を再開」する構成に関して、本願発明では、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開」しているのに対し、刊行物1発明では、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、前記指標画像領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断処理をユーザ操作を経てから再開」している点 第6 判断 上記相違点について検討する。 上記相違点3のうち、 「所定の時間を経過したと判断された後、・・・判断処理を再開」する構成に関して、本願発明では、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、・・・ユーザによる操作無しで再開」しているのに対し、刊行物1発明では、「前記時間判断ステップにより計時時間が所定の時間を経過したと判断された後、・・・ユーザ操作を経てから再開、する点に関しては、結局、記録制御ステップの後、本願発明では、ユーザによる操作なしで、再度、表示ステップ、重なり判断ステップが開始されるのに対して、刊行物1発明では、刊行物1発明ではユーザによる操作を経てから、再度、表示ステップ、判断ステップが開始されるという相違点であるから、相違点2と共に検討する。 また、同相違点3のうち、 「前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが所定の関係となったか否かの判断処理」の構成に関して、本願発明では、「前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理」であるのに対し、刊行物1発明では「前記指標画像領域内で検知された動き検知積算量が閾値以上になると「動き有り」と判断する動き検知判断処理」であるとの相違点は、相違点1と同じであるから、相違点1で判断する。 (相違点1について) 撮影操作のような電子機器を遠隔で操作するため、操作者が、自身の姿と操作用アイコンとを表示した表示部を見ながら、目的のアイコンに触るようにジェスチャを行うことで、目的の操作を行うことができるようにすることは、上記刊行物2に記載されている。 ここで、操作者が、自身の姿と操作用アイコンとを表示した表示部を見ながら、目的のアイコンに触ることは、上記自身の姿の一部(手)の画像とアイコンの画像とが重なることを意味するから、上記刊行物2の記載に触れた当業者であれば、刊行物1発明に当該構成を採用し、相違点1の構成とすることは容易に為し得たことである。 (相違点2について) 相違点2は、結局、定常モード、タイマ停止モード、タイマ動作モード、撮影モードの順に処理が移行する刊行物1発明において、1回の撮影が終了すると、定常モードに移行するため、再度の撮影に際しては、操作者の操作が必要であるのに対し、刊行物1発明では、1回の撮影が終了すると、当該操作が必要でない段階に移行する点で相違しているといえる。 この点について、刊行物1発明は、カメラと被写体とが離れた位置にありながら、被写体の操作により撮影を行うセルフタイマーモードにおいて、被写体の動きを検知して、撮影操作を行おうとするものであり(刊行物1の【0001】-【0006】等)、当該状況において、1回の撮影が終了した後、再撮影の指示を離れた位置にいたまま可能とすることは、当業者が普通に想起しえたことである。 そして、セルフタイマーモードで撮影を行う撮影装置において、1回の撮影が終了した後、再度の撮影を、離れた位置にいたまま可能とすることは、刊行物3に記載されており、刊行物1発明に当該構成を採用し、相違点2の構成とすることは当業者が容易に為し得たことである。 請求人は意見書(平成28年12月1日付け)にて、特に、刊行物1発明と刊行物3発明に記載された発明との組み合わせについて、 「特開2010?28446号公報(以下、引用文献3と称す。)には、手の形状部分を検出し、手の形状部分が静止している時間が所定時間を越えたら、その画像データ中の一対の手で指定される画像生成範囲を算出して決定する。次いで撮影して得た画像データに対して、画像生成範囲のみを切り出すトリミング処理を行う。次いでトリミング処理により切り出した画像生成範囲の画像データに対して拡大処理を行い、得た画像データを本記憶し、再び次の撮影に備えるべくステップ101からの処理に戻る。という構成が記載されております。つまり、引用文件3においては、撮影画像から手の形状部分を検出して、撮影画像中の画像生成範囲を一対の手で指定し、その指定された画像生成範囲の画像を記録するという構成であり、記録した画像生成範囲の画像と、手の形状部分の検出を行なっている時の撮影画像の画角は異なっています。 つまり、画像生成範囲の画像を本記録したあと、次の撮影に備えるべくステップ101からの処理に戻ったときに、撮影画角を本記録した画像よりも広げた上で手の形状部分の検出を行なうための撮影をしています。 対して補正後の請求項1は、「前記重なり判断手段は、前記時間判断手段により計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記記録手段に記録された前記被写体を含む画像と同一の画角で前記被写体の撮影を再開するように前記撮像手段を制御し、再開された撮影により得られた画像を前記表示手段に表示させるように前記第1の表示制御手段を制御する、及び前記時間判断手段により計時時間が所定の時間を経過したと判断されると、前記指標画像と前記被写体の一部に対応する画像とが重なったか否かの判断処理をユーザによる操作無しで再開する」という引用文献3には無い特徴的な構成を有しております。このような構成を有しますので、補正後の請求項1は、撮像終了の指示を行う迄の間、保存する画像の画角と撮影する画像の画角とを同一且つ固定した上で撮り直すことができるという引用文件3には無い特有の効果を奏します。」 と主張しているが、刊行物1発明では、画角の調整は必須ではなく、刊行物3に記載された、1回の撮影が終了した後、再度の撮影を行う処理に、ユーザの操作を伴うことなく移行する技術思想のみを抽出し、刊行物1発明に適用することは、当業者にとって普通に想起しえたことであり、また、刊行物1発明において、例えば、1回の撮影が終了した後、定常モードに移行する構成を、タイマ停止モードに移行する構成とすることで、当該技術思想を実現するための構成を創作することは、格別の創作力を必要とするともいえないから、刊行物1発明に刊行物3に記載された技術思想を適用し、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に為し得たことである。 したがって、上記各相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記各相違点に係る構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1、刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、残る請求項1ないし請求項4、請求項6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-02-02 |
結審通知日 | 2017-02-28 |
審決日 | 2017-03-14 |
出願番号 | 特願2013-11621(P2013-11621) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉川 康男 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
渡辺 努 渡邊 聡 |
発明の名称 | 撮像装置、記録制御方法及びプログラム |