ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
---|---|
管理番号 | 1328611 |
審判番号 | 不服2016-6805 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-09 |
確定日 | 2017-05-25 |
事件の表示 | 特願2014-518272「LEDモジュール、照明器具及びランプ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日国際公開、WO2013/179624〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯・本願発明 本願は、2013年5月24日(優先権主張2012年5月31日、2012年8月31日、2012年11月2日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成26年8月8日に特許協力条約第19条補正の写しが提出され、平成27年7月17日付けで拒絶理由通知が通知され、同年9月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月9日に拒絶査定不服審判が請求されたものであり、本願の請求項に係る発明は、平成27年9月28日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 配線部を有する不透光基板と、前記不透光基板の一表面側に第1接合部を介して接合されたサブマウント部材と、前記サブマウント部材における前記不透光基板側とは反対の一面側に第2接合部を介して接合されたLEDチップと、前記LEDチップと前記配線部とを電気的に接続したワイヤと、を備え、前記第1接合部および前記第2接合部が、前記LEDチップから放射される光を通すように構成され、前記サブマウント部材が、透光性部材であり、前記LEDチップが、n形半導体層、発光層およびp形半導体層を有するLED構造部を、前記発光層で発光する光に対して透明な基板の主表面側に備え、前記LED構造部よりも前記基板が前記透光性部材側に近くなるように配置されており、前記透光性部材の平面サイズが前記LEDチップの平面サイズよりも大きく、かつ、前記透光性部材が前記透光性部材内で前記LEDチップからの光を拡散させる光拡散性を有し、前記LEDチップの前記発光層から前記透光性部材側へ放射された光の一部が前記透光性部材内で拡散され、前記透光性部材の前記一面や側面から取り出されることを特徴とするLEDモジュール。」 2 引用例の記載と引用発明 (1)引用例1:特開2007-287713号公報 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の最先の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2007-287713号公報(以下「引用例1」という。)には、図とともに以下の記載がある(下線は、当審による。)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などの発光素子を用いた発光装置及びその製造方法に関する。」 イ 「【0017】 (第1の実施の形態) 先ず、第1の実施の形態として図1及び図2に示す発光装置1について説明する。 この発光装置1は、光源となる発光素子2と、この発光素子2が取り付けられたリードフレーム3とを備え、これらがパッケージ4内に配置された構造を有している。 【0018】 発光素子2は、図3に示すように、基板5上にn型半導体層6、発光層7及びp型半導体層8がこの順で積層されてなる化合物半導体によって形成されたLEDチップである。このうち、基板5には、例えばサファイアやSiC、GaPなどの透光性基板材料を用いることができる。…(略)… 【0019】 この発光素子2には、正極としてn型半導体層6に接続される第1の電極パッド9と、負極としてp型半導体層8に接続される第2の電極パッド10とが、それぞれリードフレーム3と対向する面(基板5)とは反対側に位置して設けられている。 …(略)… 【0020】 リードフレーム3は、図1及び図2に示すように、上述した発光素子2に外部からの電力を供給するためのものであり、第1の電極パッド9と接続される第1の電極リード11と、第2の電極パッド10と接続される第2の電極リード12とを有している。 …(略)… 【0024】 そして、この発光装置1では、マウント11c上に発光素子2が配置されると共に、第1の電極パッド9と第1の電極リード11の内側端子部11aとが第1のボンディングワイヤー14を介して電気的に接続されると共に、第2の電極パッド10と第2の電極リード12とが第2のボンディングワイヤー15を介して電気的に接続されている。 これら第1のボンディングワイヤー14及び第2のボンディングワイヤー15には、例えばAu線や、Al線、Cu線などを用いることができる。 【0025】 パッケージ4は、発光素子2が取り付けられたリードフレーム3を保持し、このパッケージ4内に配置された発光素子2を保護するためのものである。 具体的に、このパッケージ4は、リードフレーム3と共にモールド成形やインサート成形された樹脂やガラスなどからなる。このパッケージ4には、例えばポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ポリフタルアミド樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることができる。 【0026】 パッケージ4は、全体が略直方体状に形成されており、その上面中央部には、筒状の凹部4aが設けられている。この凹部4aからは、上述した発光素子2及び第1の電極リード11の内側端子部11a及び第2の電極リード12の内側端子部12aが露出している。また、この凹部4aは、発光素子2が発する光をリードフレーム3と対向する面とは反対側から効率良く取り出すため、その底面部から上面の開口部に向かって拡径されたリフレクター(放射面)形状を有している。 …(略)… 【0034】 次に、上記発光装置1の製造方法について説明する。 上記発光装置1を作製する際は、先ず、上記発光素子2を用意する。具体的に、この発光素子2は、上述した基板5上に、n型半導体層6、発光層7及びp型半導体層8を、例えばMOCVD(有機金属化学気相成長法)や、MBE(分子線エピタキシー法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)などを用いて順次積層した化合物半導体を作製した後に、n型半導体層6及びp型半導体層8上に、例えばフォトリソグラフィー技術やリフトオフ技術を用いて、第1の電極パッド9及び第2の電極パッド10を形成することによって作製することができる。 【0035】 また、上記発光装置1を作製する際は、図4及び図5に示すように、上記リードフレーム3となる部分3Aがマトリクス状に複数配列されたフレーム板金20を用意する。具体的に、このフレーム板金20は、上記第1の電極リード11及び上記第2の電極リード12となる部分の周囲を打ち抜くことによって、上記リードフレーム3となる部分3Aが複数連結された形状を有している。 【0036】 次に、図6及び図7に示すように、このフレーム板金20の上記リードフレーム3となる部分3Aに、それぞれ樹脂をモールド成形し、中央部に凹部4aを有するパッケージ4を形成する。また、このパッケージ4を成形した後に、上記第1の電極リード11の外側端子部11bとなる部分及び上記第2の電極リード12の外側端子部12bとなる部分を、それぞれパッケージ4の外形に沿って、このパッケージ4の側面部から底面部まで折り返す。」 ウ 「【0044】 (第2の実施の形態) 次に、第2の実施の形態として図9に示す発光装置30について説明する。 なお、以下の説明では、上記発光装置1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。 【0045】 この発光装置30は、第1のボンディングワイヤー14及び第2のボンディングワイヤー15によって支持された発光素子2を所定の高さHまで持ち上げる代わりに、この発光素子2とリードフレーム3との間にスペーサ31を配置した構成となっている。 このスペーサ31は、発光素子2が発する光を透過させる部材からなり、このような部材として、例えばガラスや、石英、サファイア、SiCなどを用いることができる。また、これら部材の中で、スペーサ31の屈折率が発光素子2の屈折率に近づくものを選定することが好ましい。 【0046】 また、スペーサ31の厚みHは、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光をリードフレーム3側で反射させるのに最も効率の良い高さ寸法に設定されている。具体的に、この厚みHは、発光素子2の厚みと同じか発光素子2の厚み以上に設定することが好ましい。また、パッケージ4の凹部4aに対して半分以上の高さが好ましく、上述したパッケージ4の凹部4aが形成する放射面の焦点に発光素子2を配置することが好ましい。なお、間隔Hの上限については、発光素子2がパッケージ4の凹部4aからはみ出さない程度とすることが好ましい。具体的に、この間隔Hは、0.1mm?0.6mmの範囲内であることが好ましい。 また、スペーサ31の平面形状は、発光素子2と同じかそれよりも大きい形状とすることができる。また、このスペーサ31には、発光素子2が発する光を拡散させるための加工を施してもよい。 【0047】 さらに、この発光装置30では、スペーサ31に蛍光体を含有させることによって、発光素子2が発する光とは異なる色の光を発光させることもできる。例えば青色LEDと黄色の蛍光体との組み合わせによって白色光を得ることができる。 【0048】 本発明を適用した発光装置30では、このようなスペーサ31を発光素子2とリードフレーム3との間に配置することで、発光素子2をリードフレーム3と対向する面とリードフレームとの間に間隔Hを設けて配置することができる。また、スペーサ31が発光素子2が発する光を透過させることから、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光を遮断することなくリードフレーム3側で大きく反射させることができる。 したがって、この発光装置30では、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光を有効に利用し、この発光素子2が発する光の利用効率を更に高めることが可能なことから、更なる高輝度化及び省電力化を図ることが可能である。 【0049】 次に、上記発光装置30の製造方法について説明する。 なお、上記発光装置1の製造方法と同様の部分については説明を省略するものとする。 上記発光装置30の製造方法では、上述した図6及び図7に示す工程の後に、フレーム板金20の各マウント部11cとなる上に上記スペーサ31を接着により固定する。具体的には、マウント部11cにディスペンサーなどにより接着剤(ペースト)を塗布した後に、この上にマウンターなどを用いてスペーサ31を配置し、接着剤を硬化させることによって、上記スペーサ31をリードフレーム3のマウント部11c上に固定することができる。接着剤(ペースト)としては、例えばシリコーン樹脂や、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。 【0050】 次に、上述した発光素子2をスペーサ31上にダイボンディングにより固定する。このダイボンディングには、接着剤(ペースト)として、例えばシリーコン樹脂や、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができる。また、銀フィラーやシリカなどの無機物又は有機物フィラーを含有した接着剤を用いてもよい。さらに、ガラスなどを用いて発光素子2をスペーサ31上に固定してもよい。なお、接着剤は、硬化後にワイヤーボンディングに影響を与えない程度の硬さを有することが好ましい。 【0051】 そして、この発光素子2がスペーサ31上に固定された状態から、ワイヤーボンディングにより上記第1のボンディングワイヤー14の一端を第1の電極パッド9に接合すると共に、第1のボンディングワイヤーの他端を第1の電極リード11の内側端子部11aに接合する。同様に、上記第2のボンディングワイヤー15の一端を第2の電極パッド10に接合すると共に、第2のボンディングワイヤー15の他端を第2の電極リード12の内側端子部12aに接合する。 これにより、第1の電極パッド9と第1の電極リード11の内側端子部11aとが第1のボンディングワイヤー14を介して電気的に接続されると共に、第2の電極パッド10と第2の電極リード12とが第2のボンディングワイヤー15を介して電気的に接続された状態となる。 【0052】 本発明を適用した発光装置30の製造方法では、上述したように、リードフレーム3上に発光素子2が発する光を透過させるスペーサ31を配置し、このスペーサ31上に発光素子2をダイボンディングにより固定した後に、第1のボンディングワイヤー14及び第2のボンディングワイヤー15を用いて第1の電極パッド9及び第2の電極パッド10と第1の電極リード11及び第2の電極リード12とをワイヤーボンディングする。これにより、発光素子2をリードフレーム3と対向する面とリードフレーム3との間に間隔Hを設けて配置することができる。 【0053】 したがって、この製造方法によれば、スペーサ31が発光素子2が発する光を透過させることから、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光を遮断することなくリードフレーム3側で大きく反射させることが可能な発光装置30を作製することができる。また、この製造方法によって作製された発光装置30では、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光を有効に利用し、この発光素子2が発する光の利用効率を更に高めることが可能なことから、更なる高輝度化及び省電力化を図ることが可能である。」 (2)引用発明 上記摘記事項「ウ」の段落【0044】を勘案すると、引用例1には、図9に示される「第2の実施形態」として、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「発光素子2と、この発光素子2が取り付けられたリードフレーム3とを備え、これらがパッケージ4内に配置された構造を有している発光装置30であって、 発光素子2は、透光性基板材料を用いた基板5上にn型半導体層6、発光層7及びp型半導体層8がこの順で積層されてなる化合物半導体によって形成されたLEDチップであり、 発光素子2には、正極としてn型半導体層6に接続される第1の電極パッド9と、負極としてp型半導体層8に接続される第2の電極パッド10とが、それぞれリードフレーム3と対向する面(基板5)とは反対側に位置して設けられており、 リードフレーム3は、第1の電極パッド9と接続される第1の電極リード11と、第2の電極パッド10と接続される第2の電極リード12とを有しており、 第1の電極パッド9と第1の電極リード11とが第1のボンディングワイヤー14を介して電気的に接続されると共に、第2の電極パッド10と第2の電極リード12とが第2のボンディングワイヤー15を介して電気的に接続されており、 パッケージ4は、発光素子2が取り付けられたリードフレーム3を保持し、 パッケージ4は、全体が略直方体状に形成されており、その上面中央部には、筒状でリフレクター(放射面)形状を有している凹部4aが設けられており、 発光素子2とリードフレーム3との間にスペーサ31を配置した構成であり、 スペーサ31は、発光素子2が発する光を透過させる部材からなり、 スペーサ31の平面形状は、発光素子2と同じかそれよりも大きい形状であり、 スペーサ31は、発光素子2が発する光を拡散させるための加工が施されたものであり、 当該発光装置30は、 リードフレーム3となる部分3Aが複数配列されたフレーム板金20の各マウント部11cとなる上に接着剤(ペースト)を塗布した後に、この上にスペーサ31を配置し、接着剤を硬化させることによって、上記スペーサ31をリードフレーム3のマウント部11c上に固定し、 次に、上述した発光素子2をスペーサ31上に接着剤を用いてダイボンディングにより固定することにより、製造され、 スペーサ31が発光素子2が発する光を透過させることから、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光を遮断することなくリードフレーム3側で大きく反射させることができる、発光装置30。」 3 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「発光素子」は、「透光性基板材料を用いた基板5上にn型半導体層6、発光層7及びp型半導体層8がこの順で積層されてなる化合物半導体によって形成されたLEDチップ」であるから、引用発明の「発光素子」、「透光性基板材料を用いた基板5」、「n型半導体層6」、「発光層7」及び「p型半導体層8」は、それぞれ本願発明の「LEDチップ」、「透明な基板」、「n形半導体層」、「発光層」及び「p形半導体層」に相当する。また、引用発明の「発光素子」における「n型半導体層6、発光層7及びp型半導体層8がこの順で積層されてなる化合物半導体」は、本願発明の「LED構造部」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「LEDチップ」を備え、「前記LEDチップが、n形半導体層、発光層およびp形半導体層を有するLED構造部を、前記発光層で発光する光に対して透明な基板の主表面側に備え」る点で一致する。 (2)ア 引用発明では、「リードフレーム3は、第1の電極パッド9と接続される第1の電極リード11と、第2の電極パッド10と接続される第2の電極リード12とを有しており、第1の電極パッド9と第1の電極リード11とが第1のボンディングワイヤー14を介して電気的に接続されると共に、第2の電極パッド10と第2の電極リード12とが第2のボンディングワイヤー15を介して電気的に接続されてお」るから、引用発明の「リードフレーム3」、「第1のボンディングワイヤー14」と「第2のボンディングワイヤー15」は、それぞれ本願発明の「配線部」、「ワイヤ」に相当する。 更に、引用発明の「第1の電極パッド9」と「第2の電極パッド10」は、いずれも「発光素子2」に設けられたものであるから、本願発明と引用発明とは、「前記LEDチップと前記配線部とを電気的に接続したワイヤ」を備える点で一致する。 イ 引用発明の「パッケージ4」は、「全体が略直方体状に形成されて」いるものであるから、本願発明の「不透光基板」と引用発明の「パッケージ4」は、「基板」である点で共通する。 更に、引用発明は、「発光素子2が取り付けられたリードフレーム3とを備え、これらがパッケージ4内に配置された構造を有して」おり、引用発明の「パッケージ4」は、「リードフレーム3を保持」するから、本願発明と引用発明とは、「配線部を有する基板」を備える点で一致する。 (3)引用発明では、「発光素子2とリードフレーム3との間にスペーサ31を配置した構成であり、スペーサ31は、発光素子2が発する光を透過させる部材からなり、スペーサ31の平面形状は、発光素子2と同じかそれよりも大きい形状であ」る。 したがって、引用発明の「スペーサ31」は本願発明の「サブマウント部材」に相当するとともに、本願発明と引用発明とは、「前記サブマウント部材が、透光性部材であり」、「前記透光性部材の平面サイズが前記LEDチップの平面サイズよりも大き」い点で一致する。 (4)ア 引用発明では、「リードフレーム3となる部分3Aが複数配列されたフレーム板金20の各マウント部11cとなる上に接着剤(ペースト)を塗布した後に、この上にスペーサ31を配置し、接着剤を硬化させることによって、上記スペーサ31をリードフレーム3のマウント部11c上に固定し、次に、上述した発光素子2をスペーサ31上に接着剤を用いてダイボンディングにより固定することにより、製造され」るものである。 したがって、引用発明の「各マウント部11cとなる上」の硬化された「接着剤」及び「スペーサ31」上の「接着剤」が、それぞれ本願発明の「第1接合部」及び「第2接合部」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記基板の一表面側に第1接合部を介して接合されたサブマウント部材と、前記サブマウント部材における前記基板側とは反対の一面側に第2接合部を介して接合されたLEDチップ」を備える点で一致する。 イ さらに、引用発明では、「発光素子2には、正極としてn型半導体層6に接続される第1の電極パッド9と、負極としてp型半導体層8に接続される第2の電極パッド10とが、それぞれリードフレーム3と対向する面(基板5)とは反対側に位置して設けられて」いるから、発光素子2の基板5側が「リードフレーム3と対向する」ことは明らかである。 また、引用発明において、「発光素子2とリードフレーム3との間にスペーサ31を配した構成」である。 したがって、引用発明では、「発光素子2をスペーサ31上」に「固定する」際に、発光素子2の基板5側をスペーサ31上にして固定するといえる。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記LED構造部よりも前記基板が前記透光性部材側に近くなるように配置されている」点で一致する。 (5)引用発明において、「『スペーサ31』上の『接着剤』」及び「『各マウント部11cとなる上』の硬化された『接着剤』」は、いずれも「発光素子2のリードフレーム3と対向する面」側のリードフレーム3との間にあるものであることは明らかであるとともに、引用発明は、「スペーサ31が発光素子2が発する光を透過させることから、発光素子2のリードフレーム3と対向する面側から放出される光を遮断することなくリードフレーム3側で大きく反射させることができる」ものであるから、引用発明において、これらの接着剤は、いずれも発光素子2が発する光を遮断することなく透過させるものであるといえる。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記第1接合部および前記第2接合部が、前記LEDチップから放射される光を通すように構成され」る点で一致する。 (6)引用発明において、発光装置30は発光素子2を備え、発光素子2はLEDチップであるから、本願発明と引用発明は、LED装置に係る発明である点で一致する。 以上をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「配線部を有する基板と、前記基板の一表面側に第1接合部を介して接合されたサブマウント部材と、前記サブマウント部材における前記基板側とは反対の一面側に第2接合部を介して接合されたLEDチップと、前記LEDチップと前記配線部とを電気的に接続したワイヤと、を備え、前記第1接合部および前記第2接合部が、前記LEDチップから放射される光を通すように構成され、前記サブマウント部材が、透光性部材であり、前記LEDチップが、n形半導体層、発光層およびp形半導体層を有するLED構造部を、前記発光層で発光する光に対して透明な基板の主表面側に備え、前記LED構造部よりも前記基板が前記透光性部材側に近くなるように配置されており、前記透光性部材の平面サイズが前記LEDチップの平面サイズよりも大きいLED装置。」 <相違点1> 基板について、 本願発明では、「不透光基板」であるのに対し、引用発明では、「パッケージ4」が、「不透光」のものであるとの特定はなされていない点。 <相違点2> 本願発明では、「前記サブマウント部材が、透光性部材であり」、「前記透光性部材が前記透光性部材内で前記LEDチップからの光を拡散させる光拡散性を有し、前記LEDチップの前記発光層から前記透光性部材側へ放射された光の一部が前記透光性部材内で拡散され、前記透光性部材の前記一面や側面から取り出される」ところ、「前記透光性部材の前記一面」とは、本願発明は、「前記サブマウント部材における前記不透光基板側とは反対の一面側に第2接合部を…」であるから、「透光性部材(サブマウント部材)の不透光基板側と反対側の面」を意味する。 すなわち、「透光性部材」について、本願発明では、「前記透光性部材が前記透光性部材内で前記LEDチップからの光を拡散させる光拡散性を有し、前記LEDチップの前記発光層から前記透光性部材側へ放射された光の一部が前記透光性部材内で拡散され、前記透光性部材の『不透光基板側と反対側の面』や側面から取り出される」ものである。 これに対し、引用発明では、「スペーサ31」(サブマウント部材)は、「発光素子2が発する光を拡散させるための加工が施されたもの」であるものの、「スペーサ31内で発光素子からの光を拡散させる光拡散性」を有し、「発光素子2から発する光」の一部が「スペーサ31内で拡散され、スペーサ31の一面(スペーサ31のパッケージ31と反対側の面である上面)や側面から取り出される」との特定はなされていない点。 <相違点3> 本願発明は、「LEDモジュール」に係る発明であるのに対し、引用発明では「発光装置30」が「モジュール」を構成するとは明示されていない点。 4 相違点についての当審の判断 (1)相違点1について ア LEDチップと、リフレクター形状の凹部が設けられたパッケージとを備えたLED装置において、パッケージとして、エポキシ樹脂などからなる白色樹脂により形成された不透光パッケージを用いることは、下記の周知例1、2に記載されているように、周知技術(以下「周知技術1」という。)である。 (ア)周知例1:特開2010-254919号公報 「【技術分野】 【0001】 本発明は、光半導体素子と蛍光体等の波長変換手段とを組み合わせた光半導体装置などに用いられる光反射用熱硬化性樹脂組成物、これを用いた光半導体素子搭載用基板及びその製造方法、並びに光半導体装置に関する。」 「【発明を実施するための形態】 【0027】 (光反射用熱硬化性樹脂組成物) 本実施形態の光反射用熱硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化触媒、及び(D)白色顔料を含み、(A)成分として、(B)硬化剤と互いに相溶であり、ポリオルガノシロキサン骨格と2つ以上のエポキシ基とを有する化合物((A1)成分)を含む。以下、各成分について説明する。」 「【0066】 (光半導体素子搭載用基板) 本発明の光半導体素子搭載用基板は、底面及び壁面から構成される凹部を有し、凹部の底面が光半導体素子搭載部(光半導体素子搭載領域)であり、凹部の壁面、すなわち凹部の内周側面の少なくとも一部が本発明の光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである。図1は、本発明の光半導体素子搭載用基板の一実施形態を示す斜視図である。光半導体素子搭載用基板110は、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105(第1の接続端子および第2の接続端子)と、金属配線105(第1の接続端子および第2の接続端子)間に設けられた絶縁性樹脂成形体103’と、リフレクター103とを備え、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105及び樹脂成形体103’とリフレクター103とから形成された凹部200を有している。この凹部200の底面は、Ni/Agめっき104が形成された金属配線105及び絶縁性樹脂成形体103’から構成され、凹部200の壁面はリフレクター103から構成されるものである。そして、リフレクター103及び絶縁性樹脂成形体103’が、上記本発明の光反射用熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる成形体である。」 (イ)周知例2:特開2004-253549号公報 「【0018】 【発明の実施の形態】 次に、高光出力型の発光ダイオード(LED)に適用した本発明による半導体発光装置及びその製法の実施の形態を図1?図14について説明する。 図1及び図2に示すように、本発明による発光ダイオードは、支持板(1)と、支持板(1)の主面(1a)に固定され且つ内部空洞(3a)が形成された樹脂製のリフレクタ(3)と、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内で支持板(1)の主面(1a)に固着された半導体発光素子としての発光ダイオードチップ(2)と、支持板(1)の周囲に配置され且つ発光ダイオードチップ(2)の電極に対し電気的に接続された複数の配線導体(4,5)と、リフレクタ(3)の外周部(3g)、支持板(1)の主面(1a)、配線導体(4,5)の内端部(4a,5a)を少なくとも封止する耐熱性の樹脂封止体(6)とを有する。リフレクタ(3)の内部空洞(3a)は、支持板(1)から離間する方向に向かって拡大する開口断面積を有する光反射性の傾斜面(3b)と、傾斜面(3b)の上方に形成された円筒面(3c)と、傾斜面(3b)と円筒面(3c)との間に形成された平坦面(3d)とを備えている。リフレクタ(3)内に埋設された導電性の中継部材(9)は、リフレクタ(3)の内部空洞(3a)内に露出し且つリード細線(8)により半導体発光素子(2)の電極に電気的に接続された内端部(9a)と、リフレクタ(3)の外周部(3g)からリフレクタ(3)の外側に露出し且つ配線導体(4,5)に電気的に接続される外端部(9b)とを備える。 【0019】 支持板(1)に固定され又は支持板(1)と一体に形成されるリフレクタ(3)は、非導電性材料により形成され、例えば、従来技術として示すリフレクタ(110)と同様に、白色粉末を配合した液晶ポリマー、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明、半透明又は不透明の樹脂により形成される。リフレクタ(3)は、図3?図5に示すように、中央部に円錐状の内部空洞(3a)を有し且つ全体的に略立方体に形成された本体部(3i)と、本体部(3i)の底面に沿って背面から外側に延伸する固定部(3j)と、本体部(3i)の正面から外側に延伸し且つ上面から下面の方向に傾斜する係合部(3e)とを備える。…(略)…」 イ また、上記2(1)イに摘記の引用例1の段落【0025】には、パッケージ4には、エポキシ樹脂などを用いることができる旨が記載されている。 引用発明の発光装置30は、「発光素子2と、この発光素子2が取り付けられたリードフレーム3とを備え、これらがパッケージ4内に配置された構造を有している発光装置30」であって、発光素子2は、「LEDチップであり」、「パッケージ4は、全体が略直方体状に形成されており、その上面中央部には、筒状でリフレクター(放射面)形状を有している凹部4aが設けられて」いるものであるから、引用発明において、上記周知技術1に基づき、パッケージ4として、不透光パッケージを採用することは当業者であれば適宜なし得たことである。 よって、引用発明において、上記周知技術1に基づき、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、当業者であれば容易になし得たことである。 (2)相違点2について ア LEDチップと、リフレクター形状の部材とを備えたLED装置において、LEDチップのマウント部材として、高い屈折率の粒子と混ぜることで、拡散反射特性がもたらせられたセラミックからなる物や、光拡散材を混ぜた樹脂材料からなる物を使用することは、下記の周知例3、4に記載されているように、周知技術(以下「周知技術2」という。)である。また、周知例4には、LEDチップ2から下方に放射される青色光Lはマウント9に達し、拡散され、「側面あるいは斜め上方に拡散光として放射する」旨が記載されている。 (ア)周知例3:特表2008-539576号公報 「【0041】 図5は、セラミックプレート315の形をとった本発明の第三の実施例を図示する。セラミックプレート315は、図2bで図示されるチャネル12に類似した、図5の断面に示される多くの細長いチャネル312を備える。セラミックプレート315は、LEDデバイス320のスラグ321に組み込まれる。ダイ326は、ダイ取り付け接着剤327を用いてセラミックプレート315に取り付けられる。LEDデバイス320は、更に、図3を参照して説明されるものと同様、接着剤322、熱拡散ボード323、及び、冷却用フランジ325を有する冷却器324を含む。セラミックプレート315は、ZrO_(2)等、高い屈折率の粒子と混ぜられた多結晶アルミニウムでできている。高い屈折率の粒子は、セラミックプレート315に拡散反射特性をもたらす。代案として、その上面を白いセラミックコーティング剤でコーティングすることが、上記特性をもたらす。更なる可能性は、陶性合金のセラミックプレート、すなわち、選択的に反射コーティングでコーティングされた、金属とセラミックとの合成物を製造することである。セラミックプレート315は、その上面に、セラミックウィング316、317が備えられ、それは、多結晶アルミニウムからできていてもよい。セラミックウィング316、317はまた、拡散反射特性を有し、それは、例えば、高い屈折率の粒子を混ぜたり、反射コーティングでコーティングしたり、或いは、制御された多孔率をセラミックウィング316、317に与えたりすることによって、提供され得る。 【0042】 動作中、光Lは、ダイ326から放たれる。図5に示されるように、その光の一部は、コリメータレンズ330を通って直接的に放たれる。しかしながら、その光の一部は、セラミックウィング316、317及び/又はセラミックプレート315で反射され、その後、コリメータレンズ330を介してアウトカプリングされる。このようにして、そのウィング316、317を持つセラミックプレート315は、LEDデバイス320からの光のアウトカプリングを改善するという目的を果たす。更に、図3を参照して説明される同様の方式に従って、チャネル312は、ヒートパイプ原理により、LEDデバイス320、特に、ダイ326を冷却する働きをし、ヒートシンク(図5では図示せず。)に熱を運ぶ働きをする。このようにして、スラグ312、ダイ326、ダイ取り付け接着剤327、ウィング316、317を有し、かつ、スラグ321に組み込まれるセラミックプレート315、及び、レンズ330は、一緒になって、LEDデバイス320の光学システムを形成し、セラミックプレート315は、その光学システムの一部を形成する。このようにして、図5に示されるセラミックプレート315は、LEDデバイス320から光をアウトカプリングすること、並びに、効率的な発光及び高出力LED適用における熱破壊のリスクの限定をもたらすために、LEDデバイス320及びダイ326を冷却することという二重の目的を果たす。 【0043】 当然のことながら、上述の実施例に対する多数の変形が、添付の特許請求の範囲内で可能である。 【0044】 例えば、ダイの両側の強烈な冷却を提供するために、図3及び図4に示されるようなダイの前に置かれたセラミックプレートと、図5に示されるようなダイの後ろにあるセラミックプレートとを組み合わせることが可能である。…(略)…」 (イ)周知例4:特開2004-207519号公報 「【0037】 図4は、本発明の第4の実施の形態に係るフェイスアップ接合型の発光装置を示し、LEDチップ20は、発光観測面側から順にp側電極2Gと、p型半導体層2Fと、n側電極2Eと、n型半導体層2Dと、AlNバッファ層2Cと、サファイア基板2Bとを備え、光拡散材9Aを混入されたマウント9によってカップ1Bの底面に接着固定されている。また、p側電極2Gとn側電極2Eには金線のボンディングワイヤ7が電気的に接続されており、n側電極2E側のボンディングワイヤ7はリードフレーム1Aと電気的に接続される。また、LEDチップ20の表面には図示しない保護膜が設けられている。その他、第1および第3の実施の形態と同一の構成を有する部分については同一の引用数字を付しているので、重複する説明を省略する。 【0038】 p側電極2Gは、Co/Au合金の導電性膜からなり、p型半導体層2Fの表面全体を覆うように設けられるとともに、多層2K内での発光に基づく青色光Lを半透過させる膜厚で形成されている。なお、p側電極2Gは、上記したCo/Au合金の他に、例えば、Rh、Au、Pt、Ag、Cu、Al、Ni、Co、Mg、Pd、V、Mn、Bi、Sn、又はRe等の金属又はこれらの合金を用いて形成することができる。中でも、Rh,Ptは、GaN系半導体から成る青色LEDの発光波長に対して高い反射効率を有するため、好適なp電極材料として用いることができる。また、異なる組成の層が積層された二層あるいは多層構造としても良い。また、側面方向への青色光の放射性に優れる材料を選択することが好ましい。 【0039】 マウント9は、扱いが容易で透光性を有するエポキシ樹脂等の樹脂材料を用いて形成されている。このマウント9に用いられる樹脂は、接着性を有すると共に、極めて小さいLEDチップ2の側面にせり上がった場合でも側面で各層間がショートしないよう絶縁性を有することが好ましい。 【0040】 このように構成された発光装置において、リードフレーム1Aおよび1Cに電圧を印加すると、LEDチップ2は多層2K内で面状に発光して波長450?480nmの青色光Lを放射する。 【0041】 p側電極2Gは、青色光Lを半透過させることによってLEDチップ2の上方に青色光Lを放射させる。青色光Lの一部は、蛍光体を励起することにより波長550?580nmの黄色光に波長変換される。この黄色光と青色光Lとが混合されることによって白色光が放射される。 【0042】 また、多層2K内から下方に放射される青色光Lはサファイア基板2Bを透過してマウント9に達する。マウント9は、混入された光拡散材9Aによって青色光Lを拡散し、側面あるいは斜め上方に拡散光として放射する。放射された拡散光は、カップ1Bの反射面で反射されて上方に放射される。 【0043】 カップ1Bで反射された青色光Lの一部は、光路上に配置される蛍光体を励起することにより黄色光に波長変換され、青色光Lと混合されることによって白色光を放射する。 【0044】 上記した第4の実施の形態によると、多層2K内から上方に放射された青色光Lをp側電極2Gで半透過させるとともに、多層2K内から下方に放射された青色光Lを光拡散材9Aを混入されたマウント9で拡散させるようにしたので、LEDチップ2の発光に基づく青色光Lを上方、斜め上方、および側面方向に効率良く拡散させることができる。特に、カップ1Bの底面付近に充分に青色光Lが行きわたることから、カップ1B内での波長変換効率がより向上して色むらのない白色光を得ることができる。」 イ 引用発明の発光装置30は、「発光素子2」を備え、発光素子2は、「LEDチップであり」、「上述した発光素子2をスペーサ31上に接着剤を用いてダイボンディングにより固定することにより、製造され」るものであるから、引用発明において、スペーサ31はLEDチップのマウント部材であるといえる。 更に、引用発明において、「スペーサ31の平面形状は、発光素子2と同じかそれよりも大きい形状であ」るから、引用発明のスペーサ31は、上方に露出された「一面」を有するといえる。 したがって、引用発明において、上記周知技術2に基づき、スペーサ31を、「発光素子2が発する光を拡散させるための加工が施されたもの」であるものに替えて、スペーサ31自体を光拡散性材料からなるものとすることは、当業者であれば適宜なし得たことであるとともに、周知技術2を用いることに伴い、周知例4に記載の技術と同様に、スペーサ31の側面及び上方に露出された一面から光が取り出されることは明らかである。 よって、引用発明において、スペーサ31が「スペーサ31内で発光素子からの光を拡散させる光拡散性」を有し、「発光素子2から発する光」の一部が「スペーサ31内で拡散され、スペーサ31の上方に露出された一面や側面から取り出される」ものとすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。 よって、引用発明において、上記周知技術2に基づき、相違点2に係る本願発明の構成を採用することは、当業者であれば容易になし得たことである。 (3)相違点3について 本願の明細書には、「LEDモジュール」または「モジュール」の用語について、その定義は説明されていない。 一方、「デジタル大辞泉」(http://dictionary.goo.ne.jp/jn/)によると、「モジュール【module】の意味」として、「3 電気機器やコンピュータ装置などの、構成要素の単位。独立の完成した機能をもち、交換や着脱が可能で、より大きなシステムに構成される。4 工業製品で、規格化された交換可能な部品。」と記載されている。 引用発明において、発光装置30は、「リードフレーム3」を備え、リードフレーム3は、「(発光素子2の)第1の電極パッド9と接続される第1の電極リード11と、(発光素子2の)第2の電極パッド10と接続される第2の電極リード12」とを有しているから、必要な電力の供給によって発光素子2から発する光を利用できるという、独立の完成した機能をもち、また、上記2(1)イに摘記の段落【0036】の「上記第1の電極リード11の外側他院支部11bとなる部分及び上記第2の電極リード12の外側端子部12bとなる部分を、それぞれパッケージ4の外形に沿って、このパッケージ4の側面部から底面部まで折り返す。」との記載を参照すれば、引用発明の発光装置30は、交換又は着脱が可能であるものと認められる。 したがって、引用発明において、発光装置30は「モジュール」を構成するものであるといえる。 以上のとおりであるから、相違点3は、実質的なものではない。 また、本願発明が奏する作用効果について、本願の明細書の段落【0026】には、「本発明のLEDモジュールにおいては、前記第1接合部および前記第2接合部が、前記LEDチップから放射される光を通すように構成され、前記サブマウント部材が、透光性部材であることにより、光取り出し効率を向上させることが可能となる。」と記載されている。 引用発明の半導体装置30も、「第1接合部(「『各マウント部11cとなる上』の硬化された『接着剤』」)および第2接合部(「『スペーサ31』上の『接着剤』」)が、LEDチップから放射される光を通すように構成され、サブマウント部材(スペーサ31)が、透光性部材である」ものであるから、本願発明が奏する作用効果についても、引用発明並びに周知技術1及び周知技術2から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとは認められない。 (4)判断についてのまとめ したがって、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 5 むすび 以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-03-17 |
結審通知日 | 2017-03-21 |
審決日 | 2017-04-11 |
出願番号 | 特願2014-518272(P2014-518272) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 謙仁、清水 靖記 |
特許庁審判長 |
河原 英雄 |
特許庁審判官 |
近藤 幸浩 恩田 春香 |
発明の名称 | LEDモジュール、照明器具及びランプ |
代理人 | 西川 惠清 |
代理人 | 仲石 晴樹 |
代理人 | 坂口 武 |
代理人 | 北出 英敏 |