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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1328664
審判番号 不服2016-1703  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-04 
確定日 2017-06-13 
事件の表示 特願2012- 92887「エネルギー管理システム、エネルギー管理方法、プログラムおよびサーバ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月28日出願公開、特開2013-222293、請求項の数(35)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月16日の出願であって、平成27年5月27日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月24日付けで手続補正がなされ、同年10月29日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、平成28年2月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成29年1月16日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がなされ、平成29年3月21日付けで手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成27年10月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

[理由1]この出願の請求項1?46に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2005-341646号公報
2.特開2004-180440号公報
3.特開2004-274936号公報
4.特開2010-124644号公報
5.特開2002-288319号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

[理由1]この出願の請求項1?4、6?8、10?15、17?22、24?30、32、33、35に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2005-304118号公報
2.特開2010-169328号公報
3.特開2010-249608号公報
4.特開2012-5168号公報
5.特開2004-180440号公報
6.特開2009-240080号公報

[理由2]この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

・請求項1?35
請求項1に記載された「前記予測されたエネルギー需要量および発電量に基づいて、前記電気機器に係わるエネルギーを最適化すべく前記電気機器の動作に係わる稼働スケジュールを計算する計算部と、
前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記電気機器を制御するための制御情報を前記クライアント装置に送信する制御部」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
他の請求項も、同様の理由により、発明の詳細な説明に記載したものではない。

・請求項5、16
請求項5に記載された「前記制御部は、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信し、
前記インタフェース部は、前記制御部から送信された複数の制御情報のうち前記需要者により選択された制御情報に基づく制御を許可する」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
請求項16に記載された「前記制御することは、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信し、
前記反映させることは、前記クライアント装置から送信された複数の制御情報のうち前記需要者により選択された制御情報に基づく制御を許可する」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

・請求項9
請求項9に記載された「前記制御部は、前記計算された稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

・請求項23
請求項23に記載された「前記制御することは、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

・請求項31、34
請求項31に記載された「前記制御部は、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
また、請求項34に記載された「前記制御部は、前記計算された稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

[理由3]この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項13
請求項14を引用しているが、請求項12の誤記と認められる。

・請求項14
請求項14を引用しているが、請求項12の誤記と認められる。

第4 本願発明
本願の請求項1?35に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明35」という。)は、平成29年3月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?35に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

<本願発明1>
「複数のクライアント装置と、前記複数のクライアント装置と通信可能なサーバ装置とを具備するエネルギー管理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
配電網から電力を供給される需要者の電気機器に係わるデータを前記クライアント装置から取得する取得部と、
雲の移動予測を示す気象情報と、太陽光発電システムの特性をモデル化した太陽光発電モデルと、制御対象とする地域をメッシュ状に区切ってディジタルマップ化したマップデータとに基づいて、前記地域における前記太陽光発電システムの発電量を予測し、前記電気機器に係わるデータに基づいて前記電気機器のエネルギー需要量を予測する予測部と、
前記予測されたエネルギー需要量および発電量に基づいて、前記需要者におけるエネルギー収支を最適化すべく、前記需要者に備わる蓄電池の充放電スケジュール、または、前記需要者に備わる燃料電池の発電スケジュールの少なくともいずれか一方である稼働スケジュールを計算する計算部と、
前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記蓄電池または前記燃料電池の少なくともいずれか一方を制御するための制御情報を前記クライアント装置に送信する制御部と、
前記稼働スケジュールの計算の周期を前記需要者ごとに変更する変更部と、
前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段と
を備える、エネルギー管理システム。」

第5 当審拒絶理由について
1.特許法第29条第2項(理由1)について
(1)引用文献について
(1-1)引用文献1について
当審拒絶理由に引用された引用文献1(特開2005-304118号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0014】
エネルギーシステム11、12、・・・、1n(nは2以上)は各コミュニティ(地区、ビル等)に設置されており、エネルギー発生装置として太陽電池11と燃料電池12、エネルギー貯蔵装置として蓄電池13と蓄熱装置14、エネルギー負荷として電力負荷15と熱負荷16を含んでいる。太陽電池11、燃料電池12、蓄電池13、および電力負荷15は、電力線3により商用電源である電力系統2に接続され、また燃料電池12は熱配管17を通して貯湯槽等の蓄熱装置14と熱負荷16に接続されている。なお、エネルギー発生装置およびエネルギー貯蔵装置は以上に挙げたものに限定されるものではない。
【0015】
制御装置4は各エネルギーシステム11?1nに通信線5を介して接続され、エネルギー発生装置である燃料電池12およびエネルギー貯蔵装置である蓄電池13に接続された電力負荷15の負荷電力を計測し、一方気象予報やエネルギー価格、イベント等に関する情報をインターネット等から得て、これらの情報を用いて、太陽電池11の発電量、電力負荷15の需要、および熱負荷16である給湯需要を予測し、この予測結果を用いて燃料電池12と蓄電池13の最適運用計画、すなわち燃料電池12の発電、蓄電池13の充放電の指令スケジュールを作成し、発電量と充放電量の制御を行う。この指令スケジュールは例えば1日単位あるいは現時刻またはその所定時間経過後から24時間先まで作成され、所定の時間間隔毎、例えば1時間毎に随時更新される。
【0016】
制御装置4は上記の機能を果すために、通信部21と最適運用計画作成部22と最適探索情報格納部23と最適探索法則演算部24を有している。通信部21は気象予報やエネルギー価格、イベント等に関する情報をインターネットより取得し、最適運用計画作成部22に渡し、また最適運用計画作成部22で作成された指令スケジュールを通信線5を介して各エネルギーシステム11?1nの燃料電池12と蓄電池13に送信する。」

イ.「【0020】
まず、気象予報、売買電力価格情報等を通信部21で受信する(ステップ101)。次に、これらの情報を基に、現在の次の時間帯から24時間先までの電力、熱負荷の需要および太陽電池11の発電量を予測する(ステップ102)。次に、初期解である指令スケジュールを設定する(ステップ103)。この初期解は前回の探索で最適解として得られた指令スケジュールを用いて作成する。次に、指令スケジュールの解の集合を評価する(ステップ104)。本実施形態では、エネルギーコストを目的関数とし、この目的関数の値(評価値)が最小となるスケジュールを最適解とする。エネルギーコストは、電力コストや燃料コスト等からなる。電力コストは、エネルギー発生装置およびエネルギー貯蔵装置をスケジュール通りに運転したときの供給電力とエネルギー負荷の需要予測電力との差、および系統電力の価格から算出する。燃料コストは燃料電池12の効率特性、起動特性、応答特性等をモデル化し、発電電力目標パターンにおける発電電力に対する燃料流量から算出する。蓄電池13の充放電ロス、蓄熱装置14の放熱ロス等を考慮してそれらの入出力特性をモデル化し、その残容量を算出しておき、蓄電池13や貯湯槽のスケジュール期間における入出力量のバランスをとるために、蓄電量や貯湯量のスケジュール開始時と終了時の差分を充電コストや貯湯コストのペナルティー関数として目的関数に加算する。また、蓄電池13の過充電や過放電等は、制約条件として扱うか、同様にペナルティー関
数として加算してもよい。この評価結果に基づき、最適探索情報を最適探索情報格納部23に格納し、あるいは最適探索情報格納部23中の既存の情報と置き換える(ステップ105)。最適探索情報とは、最適探索の過程で評価した解(出力指令スケジュール)の評価値(目的関数の値)が良いものの情報であり、この解と評価値の他、後述するテーブルデータベースとして格納しておくこともできる。続いて、最適化手法を用いて次に評価するスケジュールを決定する(ステップ107)。最適化手法としては、タブーサーチや遺伝的アルゴリズム等のメタヒューリスティック手法を適用することができる。以上のステップ104、105、107を繰り返し、計算時間や繰り返し回数等による最適探索終了条件を満たすまでに得られた最良な評価値の解であるスケジュールに従い(ステップ106、108)、各エネルギーシステム11?1nの燃料電池12、蓄電池13の出力を指令する(ステップ109)。最適探索が一旦終了すると、最適探索情報格納部23内の最適探索情報の一部消去あるいはクリアを行う(ステップ110)。次に、予測情報の修正が有れば、修正を行なってステップ103に戻る(ステップ111、112)。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「複数のエネルギーシステム1nと、制御装置5とを備えたシステムにおいて、
エネルギーシステム1nは、
各コミュニティ(地区、ビル等)に設置され、太陽電池11と、燃料電池12、蓄電池13、蓄熱装置14、電力負荷15、熱負荷16を含み、太陽電池11、燃料電池12、蓄電池13、および電力負荷15は、電力線3により商用電源である電力系統2に接続され(【0014】)、
制御装置4は、
各エネルギーシステムに通信線5を介して接続され、
燃料電池12および蓄電池13に接続された電力負荷15の負荷電力を計測し、気象予報をインターネット等から得て、これらの情報を用いて、太陽電池11の発電量、電力負荷15の需要、および熱負荷16である給湯需要を予測し(【0015】)、
この予測結果を用いて、燃料電池12の発電、蓄電池13の充放電の指令スケジュールを作成し、発電量と充放電量の制御を行い、指令スケジュールは、1日単位あるいは現時刻またはその所定時間経過後から24時間先まで作成され、所定の時間間隔毎、例えば1時間毎に随時更新され(【0015】)、
制御装置4は、
上記の機能を果すために、通信部21と最適運用計画作成部22と最適探索情報格納部23と最適探索法則演算部24を有し、通信部21は気象予報やエネルギー価格、イベント等に関する情報をインターネットより取得し、最適運用計画作成部22に渡し、また最適運用計画作成部22で作成された指令スケジュールを通信線5を介して各エネルギーシステムの燃料電池12と蓄電池13に送信し(【0016】)、
上記指令スケジュールは、エネルギーコストの目的関数の値(評価値)が最小となるスケジュールにしたがって作成され、当該作成には、遺伝的アルゴリズム等の最適化手法が用いられ(【0020】)、
上記エネルギーコストは、電力コストと燃料コストからなり、電力コストは、エネルギー発生装置およびエネルギー貯蔵装置をスケジュール通りに運転したときの供給電力とエネルギー負荷の需要予測電力との差、および系統電力の価格から算出され、燃料コストは、燃料電池12の効率特性、起動特性、応答特性等をモデル化し、発電電力目標パターンにおける発電電力に対する燃料流量から算出される(【0020】)、システム。」

(1-2)引用文献2について
当審拒絶理由において引用された引用文献2(特開2010-169328号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0001】
本発明は、例えば家庭用のコージェネレーションシステムを効率よく運転するために、熱電併給装置及び蓄熱装置の最適な運転スケジュールを決定する運転制御支援方法、運転制御支援装置及び運転制御支援プログラムに関するものである。」

イ.「【0008】
しかしながら、特許文献1の技術により省エネルギー性の高い運転パターンを選択する際には、計算コストが膨大になるという問題がある。
例えば、24時間の運転計画期間に対して、30分の時間間隔ごとに機器の運転・停止状態の組み合わせを整数変数によって表すことにより運転パターンを作成すると、運転パターンの総数は機器1台について2の48乗(約280兆)にもなり、機器の数がn台の場合には2の(n×48)乗にもなる。」

ウ.「【0030】
運転スケジュール演算手段103は、負荷予測手段102から出力される電力負荷及び熱負荷の予測値、装置状態取得手段101から出力される現在の装置状態データ、並びに、演算条件データベース107から与えられた演算条件(演算周期、熱電併給装置10及び蓄熱装置20の特性データ、後述する制約条件など)を用い、後述する最適化演算プログラム203により最適化演算を行って混合整数線形計画問題を解くことにより、所定の目的関数及び制約条件を充足するような熱電併給装置10及び蓄熱装置20の運転・停止状態、電気出力値、熱出力値に関する運転スケジュールを決定する。
なお、上記最適化演算には、例えば遺伝的アルゴリズム、タブサーチ等を用いることができる。」

エ.「【0031】
・・・(中略)・・・
次に、目的関数は、燃料コストの最小化、一次エネルギー消費量の最小化、CO2排出量の最小化など、目的に応じて選択可能である。」

オ.「【0046】
さて、本実施形態では、運転スケジュール演算手段103が数式1の演算を行って運転スケジュールを決定するインターバルを、従来の如く例えば1時間ごと、30分ごとのように短時間で固定するのではなく、負荷予測手段102による電力負荷予測値、熱負荷予測値の負荷変動パターンに応じて変更する(インターバルを長くする)ようにした。・・・(中略)・・・
【0047】
ここでは、前述したように負荷予測手段103によって1時間ごとの電力負荷、熱負荷の各予測値が得られるものとし、これらのエネルギー負荷予測値を用いて最適な運転スケジュールを決定する場合を考える。
まず、本実施形態では、運転スケジュール演算手段103が運転スケジュールを決定するインターバルの初期値を1時間とした上で、電力負荷及び熱負荷の負荷変動パターンを考慮して前記インターバルを変更する(長くする)。」

カ.「【0050】
・・・(中略)・・・すなわち、例えば24個であったインターバルの数を7個に統合して減少させることができる。言い換えれば、個々のインターバルを長くすることができる。」

キ.「【0052】
・・・(中略)・・・
従って、混合整数線形計画問題を解くために運転スケジュール演算手段103が数式1の目的関数を演算する場合、インターバルのインデックスkを、例えば従来の24個から大幅に(例えば7個に)減少させることができ、これによって運転スケジュール演算に必要な計算量、計算時間、計算コストを著しく削減することができる。」

ク.「【0061】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
この第2実施形態は、図1の運転スケジュール演算手段103における、運転スケジュールを決定するためのインターバルの決定方法(期間分割方法)と最適な運転スケジュールの決定手順とを更に具体化したものである。」

ケ.「【0073】
上記のように、本実施形態によれば、エネルギー負荷予測値に基づいて負荷変動の小さい期間がひとまとまりになるように運転計画期間を複数期間に分割し、この分割後の期間では熱電併給装置及び蓄熱装置の運転・停止を抑制するように運転スケジュールを作成することができる。・・・(中略)・・・
更に、探索する運転パターンの総数は、(運転モード数)の(運転計画期間の分割数)乗である。ここで、運転モードが運転・停止である場合には運転モード数が2であり、運転計画期間が24時間の場合に2時間から2.5時間程度のインターバルで期間を分割したとすると、分割数は10程度である。よって、運転パターンの総数は2の約10乗、すなわち約1000通りであり、前述した特許文献1(約280兆)、特許文献2(約137万)と比べて著しく少なくなるので、計算量、計算コストを大幅に低減することができる。」

したがって、上記引用文献2には、第1実施形態に係る発明、第2実施形態に係る発明として、次の発明が記載されている。

<引用文献2の第1実施形態に係る発明>
「コージェネレーションシステムの運転スケジュールを決定する運転制御支援装置において(【0001】)、
省エネルギー性が最も高い運転パターンを所定の時間間隔ごとに作成すると、計算コストが膨大になるという問題を解決するために(【0008】)、
運転スケジュール演算手段103は、運転スケジュールを決定するインターバルを、1時間ごと、30分ごとのように短時間で固定するのではなく(【0046】)、インターバルの初期値を1時間とした上で(【0047】)、負荷予測手段102による電力負荷予測値、熱負荷予測値の負荷変動パターンに応じてインターバルを長くし(【0046】)、
運転スケジュール演算手段103は、負荷予測手段102から出力される電力負荷及び熱負荷の予測値や、熱電併給装置、蓄熱装置の特性データなどを用いて最適化演算し、運転スケジュールを決定するものであり、その最適化演算には、遺伝的アルゴリズムが用いられ(【0030】)、また、目的関数は、燃料コストの最小化などが選択可能であり(【0031】)、
これにより、インターバルの個数を減少させて、運転スケジュール演算に必要な計算量を削減する(【0052】)、運転制御支援装置。」

<引用文献2の第2実施形態に係る発明>
「コージェネレーションシステムの運転スケジュールを決定するためのインターバルの決定方法において(【0061】)、
省エネルギー性が最も高い運転パターンを所定の時間間隔ごとに作成すると、計算コストが膨大になるという問題があるため(【0008】)、
エネルギー負荷予測値に基づいて負荷変動の小さい期間がひとまとまりになるように運転計画期間を複数期間に分割し、この分割後の期間で運転スケジュールを作成し、インターバルの分割数を減らして、運転スケジュールの計算量を減らす(【0073】)、
インターバルの決定方法。」

(1-3)引用文献3について
当審拒絶理由において引用された引用文献3(特開2010-249608号公報)の段落【0026】?【0038】の記載からみて、引用文献3には、次の発明が記載されている。

<引用文献3記載の発明>
「発電能力DB31と、日射量受信部11と、気象データ受信部12と、日射量推定部13と、太陽光発電量算定部14と、太陽光発電量送信部15とを備え(【0026】)、
発電能力DB31は、地図上で区分けされた地域の識別情報と、当該地域の太陽光発電の設備に関する設備情報とを対応付けて記憶し(【0029】?【0031】)、
日射量受信部11は、所定時間ごとに、予め区分けされた地域における日射量データを受信し(【0032】)、
気象データ受信部12は、気象サーバから、雲の画像データ、各地点の温度、風力及び風向、天気予報等のデータを受信し(【0035】)、
日射量推定部13は、気象データの雲の画像データと、風力及び風向とに基づいて、予め区分けされた地域における雲の状況を予測し、その雲の状況から一定時間の日射量を推定し(【0037】)、
太陽光発電量算定部14は、
日射量推定部13が推定した日射量と、発電能力DB31に記憶した太陽光発電の設備情報(設置方位、設置角度等)とに基づいて、太陽光発電設備への日射量を算出し(【0038】)、
算出した太陽光発電設備への日射量と、発電能力DB31に記憶した太陽電池容量及び発電効率とに基づいて、設備ごとの太陽光発電の発電量を算出し(【0038】)、
算出した設備ごとの発電量を積算し、予め区分けされた地域ごとの太陽光発電の発電量を算定する(【0038】)、
太陽光発電状況予測装置。」

(1-4)引用文献4について
当審拒絶理由において引用された引用文献4(特開2012-5168号公報)の段落【0030】、【0036】、【0048】、【0073】の記載からみて、引用文献4には、次の発明が記載されている。

<引用文献4記載の発明>
「太陽光発電システム1と、蓄電池システム2と、充放電制御手段としてのホームサーバ3と、運転モード選択手段としてのモニタ4と、電力検出手段としてのCTセンサ5、15と、を含み(【0030】)、
ホームサーバ3は、ホームゲートウェイであり、ホームネットワーク100に接続された電気機器と通信するとともに、ホームネットワークとインターネット間の接続を行い、さらに、各電気機器の制御を行うサーバ機能を有し、インターネットを介してセンターサーバに接続され(【0036】)、
CTセンサが検出した負荷の消費電力量と太陽光発電システムの発電量とを取得し(【0048】)、消費電力量と発電電力量のデータをセンターサーバに送信する(【0073】)、
エネルギーマネジメントシステム。」

(1-5)引用文献5について
当審拒絶理由において引用された引用文献5(特開2004-180440号公報)には、次の技術的事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電力機器に電力供給するコジェネを運転スケジュールに基づいて制御するコジェネシステムの制御装置及びその制御方法に関する。」

イ.「【0044】
そして、図3のS6において、利用者の承認あるか否かを判断する。承認は、例えば、登録された家電機器D1?D8の使用パターン(図6参照)を予測対象日の光熱費予測や従来のシステムとの省エネ効果、経済効果とともにコントローラ17に表示し、利用者がその表示を確認して承認するか否かをコントローラ17に入力することにより行われる。利用者が承認する旨の意思表示を入力した場合や、使用パターン等が表示されてから所定時間(例えば、日付が変わるまでの時間)に何ら意思表示されない場合には、利用者により運転スケジュールが承認されたと判断して処理を終了し、運転スケジュールを確定させる。」

(1-6)引用文献6について
当審拒絶理由において引用された引用文献6(特開2009-240080号公報)には、次の技術的事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0001】
本発明は、エネルギーを供給するエネルギーシステムの運転計画を作成するための装置および方法に関する。」

イ.「【0025】
ここでは、太陽電池31については、発電量の制御をせずに天候や時間帯による発電量の変化をそのまま受け入れることとして、発生させるべき電力については燃料電池32、33に対してのみ運転計画を作成するものとする。また、運転計画の作成に際しては、電力負荷36のみならず熱負荷37も考慮することとする。
【0026】
したがって、図1に示したエネルギーシステムを前提とすると、運転計画作成装置10において、予測演算部12は、入力部11を介して入力した気象情報などの情報に基づいて、太陽電池31の発電量予測を行い、電力負荷36および熱負荷37の需要予測を行う。この予測には、データ蓄積部16に蓄積された過去の計測データを用いてもよい。データ蓄積部16には、エネルギー制御装置25を介して、エネルギーシステムにおける計測データが入力している。予測演算部12での予測結果は評価関数演算部13に送られる。評価関数演算部13は、予測演算部12での予測結果に基づき、燃料電池32、33および蓄電池34のモデルに基づいて評価値を演算する。これらのモデルにおいては、燃料電池や蓄電池の過去の入出力データ(データ蓄積部16に格納されている)を用いて、必要に応じて実モデルの入出力関数を更新してもよい。評価関数の例としては、一日あるいは一週間等の所定の期間におけるシステム全体のエネルギーコストや、システム全体から排出される二酸化炭素(CO2)排出量等が考えられ、エネルギーコストや二酸化炭素排出量を最小とする運転計画が最適な運転計画である。エネルギーコストなどの算出のために、エネルギー原単位情報も入力部11に与えられる。
【0027】
最適運転計画探索部14は、評価関数演算部13に対してこの評価関数演算を繰り返し実行させ、評価値が最適な運転計画を発見する。」

ウ.「【0029】
まず、ステップ41において入力部11により気象予報などの情報を受信し、ステップ42において、予測演算部12は、受信した気象予報などの情報とデータ蓄積部16に蓄積されている過去の計測データとを用いて、電力負荷および熱負荷の需要と太陽電池発電の予測値を算出する。」

(2)対比・判断
(2-1)本願発明1について
ア.対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

・引用発明の、各エネルギーシステムに通信線5を介して接続された「制御装置」と、本願発明1の「前記複数のクライアント装置と通信可能なサーバ装置」は、「通信可能なサーバ装置」の点で共通する。

・引用発明の「複数のエネルギーシステム1nと、制御装置5とを備えたシステム」と、本願発明1の「複数のクライアント装置と、前記複数のクライアント装置と通信可能なサーバ装置とを具備するエネルギー管理システム」は、「通信可能なサーバ装置を具備するエネルギー管理システム」の点で共通する。

・引用発明の制御装置は「燃料電池12および蓄電池13に接続された電力負荷15の負荷電力を計測」することから、需要者の電気機器に係わるデータを取得する取得部を有するといえる。
また、上記「電力負荷15」は、「電力線3により商用電源である電力系統2に接続され」ていることから、配電網から電力を供給される需要者の電気機器といえる。
したがって、引用発明の上記「燃料電池12および蓄電池13に接続された電力負荷15の負荷電力を計測」に係る構成と、本願発明1の「配電網から電力を供給される需要者の電気機器に係わるデータを前記クライアント装置から取得する取得部」は、「配電網から電力を供給される需要者の電気機器に係わるデータを取得する取得部」の点で共通する。

・引用発明の制御装置は「電力負荷15の負荷電力を計測し、気象予報をインターネット等から得て、これらの情報を用いて、太陽電池11の発電量、電力負荷15の需要、および熱負荷16である給湯需要を予測」することから、気象情報に基づいて太陽光発電システムの発電量を予測し、電気機器に係わるデータに基づいて電気機器のエネルギー需要量を予測するといえる。
したがって、引用発明の上記構成と、本願発明1の「雲の移動予測を示す気象情報と、太陽光発電システムの特性をモデル化した太陽光発電モデルと、制御対象とする地域をメッシュ状に区切ってディジタルマップ化したマップデータとに基づいて、前記地域における前記太陽光発電システムの発電量を予測し、前記電気機器に係わるデータに基づいて前記電気機器のエネルギー需要量を予測する予測部」は、「気象情報に基づいて、太陽光発電システムの発電量を予測し、前記電気機器に係わるデータに基づいて前記電気機器のエネルギー需要量を予測する予測部」の点で共通する。

・引用発明の制御装置に設けられた「最適運用計画作成部22」は、「この予測結果を用いて、燃料電池12の発電、蓄電池13の充放電の指令スケジュールを作成」するから、需要者に備わる蓄電池の充放電スケジュール、または、需要者に備わる燃料電池の発電スケジュールの少なくともいずれか一方である稼働スケジュールを計算する計算部であるといえる。
また、引用発明の指令スケジュールは、「エネルギーコストの目的関数の値(評価値)が最小となるスケジュールにしたがって作成され」ることから、需要者におけるエネルギー収支を最適化するものである。
したがって、引用発明における、予測結果を用いて、燃料電池12の発電、蓄電池13の充放電の指令スケジュールを作成する「最適運用計画作成部22」は、本願発明1の「前記予測されたエネルギー需要量および発電量に基づいて、前記需要者におけるエネルギー収支を最適化すべく、前記需要者に備わる蓄電池の充放電スケジュール、または、前記需要者に備わる燃料電池の発電スケジュールの少なくともいずれか一方である稼働スケジュールを計算する計算部」に相当する。

・引用発明の「最適運用計画作成部22で作成された指令スケジュールを通信線5を介して各エネルギーシステムの燃料電池12と蓄電池13に送信し」に係る構成と、本願発明1の「前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記蓄電池または前記燃料電池の少なくともいずれか一方を制御するための制御情報を前記クライアント装置に送信する制御部」は、「前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記蓄電池または前記燃料電池の少なくともいずれか一方を制御するための制御情報を送信する制御部」の点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「通信可能なサーバ装置を具備するエネルギー管理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
配電網から電力を供給される需要者の電気機器に係わるデータを取得する取得部と、
気象情報に基づいて、太陽光発電システムの発電量を予測し、前記電気機器に係わるデータに基づいて前記電気機器のエネルギー需要量を予測する予測部と、
前記予測されたエネルギー需要量および発電量に基づいて、前記需要者におけるエネルギー収支を最適化すべく、前記需要者に備わる蓄電池の充放電スケジュール、または、前記需要者に備わる燃料電池の発電スケジュールの少なくともいずれか一方である稼働スケジュールを計算する計算部と、
前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記蓄電池または前記燃料電池の少なくともいずれか一方を制御するための制御情報を送信する制御部と、
を備える、エネルギー管理システム。」

<相違点1>
本願発明1は「複数のクライアント装置」を備え、サーバ装置は「前記複数のクライアント装置」と通信可能であり、取得部は「前記クライアント装置」から電気機器に係わるデータを取得し、制御部は「前記クライアント装置」に制御情報を送信するのに対し、引用発明は、「複数のクライアント装置」を備えていない点。

<相違点2>
気象情報が、本願発明1では「雲の移動予測を示す」ものであるのに対し、引用発明では、「雲の移動予測を示す」ものではない点。

<相違点3>
太陽光発電システムの発電量の予測が、本願発明1では「太陽光発電システムの特性をモデル化した太陽光発電モデルと、制御対象とする地域をメッシュ状に区切ってディジタルマップ化したマップデータ」に基づくものであって、「前記地域における」予測であるのに対し、引用発明では、上記太陽光発電モデルと、制御対象とする地域をメッシュ状に区切ってディジタルマップ化したマップデータに基づくものではなく、前記地域における予測でもない点。

<相違点4>
本願発明1は「前記稼働スケジュールの計算の周期を前記需要者ごとに変更する変更部」を備えるのに対し、引用発明は、上記変更部を備えていない点。

<相違点5>
本願発明1は「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」を備えるのに対し、引用発明は上記手段を備えていない点。

イ.相違点についての判断
上記相違点5について先に検討すると、相違点5に係る本願発明1の「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」という構成は、上記引用文献1?6には記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2?4に記載された発明、引用文献5、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2-2)本願発明2?4、6?8、10、11について
本願発明2?4、6?8、10、11も、本願発明1の「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2?4に記載された発明、引用文献5、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2-3)本願発明12?15、17?19について
本願発明12は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」に対応する構成を備えており、さらに、本願発明13?15、17?19も、本願発明12の当該構成を備えているから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2?4に記載された発明、引用文献5、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2-4)本願発明20?22、24?26について
本願発明20は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」に対応する構成を備えており、さらに、本願発明21、22、24?26も、本願発明20の当該構成を備えているから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2?4に記載された発明、引用文献5、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2-5)本願発明27?30、32、33、35について
本願発明27は、本願発明1のサーバ装置に対応する発明であり、本願発明1の「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」と同一の構成を備えており、さらに、本願発明28?30、32、33、35も、本願発明1の上記手段と同一の構成を備えているから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2?4に記載された発明、引用文献5、6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.特許法第36条第6項第1号(理由2)について
(1)当審では、請求項1に記載された「前記予測されたエネルギー需要量および発電量に基づいて、前記電気機器に係わるエネルギーを最適化すべく前記電気機器の動作に係わる稼働スケジュールを計算する計算部と、
前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記電気機器を制御するための制御情報を前記クライアント装置に送信する制御部」は、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年3月21日付けの補正において、「前記予測されたエネルギー需要量および発電量に基づいて、前記需要者におけるエネルギー収支を最適化すべく、前記需要者に備わる蓄電池の充放電スケジュール、または、前記需要者に備わる燃料電池の発電スケジュールの少なくともいずれか一方である稼働スケジュールを計算する計算部と、
前記計算された稼働スケジュールに基づいて、前記蓄電池または前記燃料電池の少なくともいずれか一方を制御するための制御情報を前記クライアント装置に送信する制御部」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
また、他の請求項2?35も、同様の理由により、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、請求項1を引用する請求項2?11は、請求項1の上記補正により、この拒絶の理由は解消した。また、請求項12?35も、独立請求項である請求項12、20、27において、上記補正に対応する補正がなされた結果、この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では、請求項5に記載された「前記制御部は、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信し、
前記インタフェース部は、前記制御部から送信された複数の制御情報のうち前記需要者により選択された制御情報に基づく制御を許可する」が、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年3月21日付けの補正において、「前記制御部は、前記計算された複数の稼働スケジュールを前記クライアント装置に送信し、
前記インタフェース部は、前記制御部から送信された複数の稼働スケジュールのうち前記需要者により選択された稼働スケジュールに基づく制御を許可する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
また、請求項16に記載された「前記制御することは、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信し、
前記反映させることは、前記クライアント装置から送信された複数の制御情報のうち前記需要者により選択された制御情報に基づく制御を許可する」も、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、「前記制御することは、前記計算された複数の稼働スケジュールを前記クライアント装置に送信し、
前記反映させることは、前記クライアント装置から送信された複数の稼働スケジュールのうち前記需要者により選択された稼働スケジュールに基づく制御を許可する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(3)当審では、請求項9に記載された「前記制御部は、前記計算された稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」が、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年3月21日付けの補正において、「前記制御部は、前記計算された稼働スケジュールを前記クライアント装置に送信する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(4)当審では、請求項23に記載された「前記制御することは、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」が、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年3月21日付けの補正において、「前記制御することは、前記計算された複数の稼働スケジュールを前記クライアント装置に送信する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
(5)当審では、請求項31に記載された「前記制御部は、前記計算された複数の稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」が、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年3月21日付けの補正において、「前記制御部は、前記計算された複数の稼働スケジュールを前記クライアント装置に送信する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
また、請求項34に記載された「前記制御部は、前記計算された稼働スケジュールに基づく複数の制御情報を前記クライアント装置に送信する」が、発明の詳細な説明に記載したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、「前記制御部は、前記計算された稼働スケジュールを前記クライアント装置に送信する」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

3.特許法第36条第6項第2号(理由3)について
当審において、請求項13の引用請求項14は請求項12の誤記と認められ、また、請求項14の引用請求項14は請求項12の誤記と認められるとの拒絶の理由を通知ししているが、平成29年3月21日付けの補正において、いずれも、引用請求項を請求項12に補正した結果、この拒絶の理由は解消した。

第6 原査定についての判断
平成29年3月21日付けの補正により、補正後の請求項1?11、27?35は、「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」という技術的事項を有し、また、請求項12?26は「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる」という技術的事項を有するものとなった。
当該「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる手段」又は「前記地域のメッシュの組み合わせを変更して、最適制御に係わる地理的領域を時系列で動的に変化させる」は、原査定における引用文献1?5には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1?35は、当業者であっても、原査定における引用文献1?5に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-05-29 
出願番号 特願2012-92887(P2012-92887)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 537- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩田 徳彦  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 金子 幸一
貝塚 涼
発明の名称 エネルギー管理システム、エネルギー管理方法、プログラムおよびサーバ装置  
代理人 野河 信久  
代理人 峰 隆司  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 河野 直樹  
代理人 井上 正  

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