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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C12N
管理番号 1328738
審判番号 不服2014-12392  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-27 
確定日 2017-05-29 
事件の表示 特願2010-539780「豚サーコウイルスに対してブタを免疫化するための方法および組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 7月 9日国際公開、WO2009/085912、平成23年 3月10日国内公表、特表2011-507522〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成20年12月18日(パリ条約による優先権主張 2007年12月21日、米国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1?12に係る発明は、平成28年9月29日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】病原性2B型豚サーコウイルス由来のORF2タンパク質をコードする、少なくとも1つの単離された核酸分子、および薬学的に許容できるアジュバントを含む、病原性PCV2の感染に対してブタを防御するために用いる免疫原性組成物であって、前記ORF2タンパク質は配列番号9又は10の核酸配列によりコードされる、前記免疫原性組成物。」

2.当審における拒絶理由
一方、当審において平成28年3月28日付けで通知した拒絶理由の概要は、補正前の請求項6?14に係る発明は、本願優先日前に頒布された刊行物である引用文献1?7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.引用文献の記載事項
当審の拒絶理由で引用文献7として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2005/0238662号明細書(以下、「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている(英語で記載されているため、日本語訳で摘記する。下線は合議体による。)。

ア.「本発明は、豚サーコウイルスB型のゲノムのヌクレオチド配列あるいはその相同体または断片、および薬学的または獣医学的に許容できる担体を含む、ワクチン組成物に関する。本発明の一態様において、ヌクレオチド配列は、配列番号15、配列番号19、配列番号23または配列番号25あるいはそれらの相同体または断片から選択される。本発明の別の態様において、相同体は、配列番号15、配列番号19、配列番号23または配列番号25に対して少なくとも80%の配列同一性を有する。さらに、別の態様において、ワクチンはさらにアジュバントを含む。」([0021])

イ.「さらに、本発明は、以下の化合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする、免疫原性および/またはワクチン組成物を目的とする。:
配列番号23、配列番号25のヌクレオチド配列、あるいはそれらの断片または相同体の一つ」([0302]?[0303])

ウ.「B型PWDサーコウイルス(PCVB)のクローニング、配列決定および特徴付け
配列表の配列番号24、配列番号26および配列番号28のアミノ酸配列は、それぞれ、B型PWDサーコウイルスのゲノムの(+)方向鎖の配列番号15の配列または(-)方向鎖の配列番号19の核酸配列から決定された3オープンリーディングフレーム、REPタンパク質に関する配列番号23(ORF1)、配列番号25(ORF2)および配列番号27(ORF3)の核酸配列によりコードされるタンパク質の配列を表す。」([0427]?[0430])

エ.「実施例5 PWDサーコウイルス配列の核酸フラグメントから産生されるワクチン組成物の防御効果の証明
・・・・・・・・・・・・
これらの結果は、本発明のPWDサーコウイルス、特にB型の核酸配列の核酸断片、および/またはこれらの核酸断片によってコードされる組換えタンパク質から調製されるワクチン組成物によって提供される、PWDまたはFPWの原因の主要因子である本発明のPWDサーコウイルスの感染に対して子豚の効果的な防御を証明する。
特に、これらの結果は、本発明のPWDサーコウイルスのORF1およびORF2によりコードされるタンパク質が、PWDサーコウイルスの感染を妨げる効果的な防御反応を誘導する免疫原性タンパク質であることを示す。」([0442]?[0499])

オ.「実施例8 豚サーコウイルスB型(PCV-B)のORF2タンパク質により与えられる、離乳後多臓器消耗症候群(PMWS)からの豚の防御
・・・・・・・・・・・・
豚におけるPCV-BのORF2またはPCV-BのORF1の発現は、PCV-Bサーコウイルスのチャレンジ後の体重及び体温発達で評価される顕著な強化された防御レベルをもたらした。これらの結果は、図14および15に要約される。」([0525]?[0539])

当審の拒絶理由で引用文献3として引用した、本願優先日前に頒布された刊行物であるCan.Vet.J.(2007.Aug.)Vol.48,No.8,p.811-819(以下、「引用文献3」という。)には、「カナダの豚における豚サーコウイルス2b遺伝子型(PCV-2b)の出願」の表題の下、病原性2B型豚サーコウイルス(PCV-2b)に該当する、PCV-2のFMV05-6507株が記載されており、そのゲノム配列のアクセッション番号がDQ220730であることが記載されている(表題及び表1)。

当審の拒絶理由で引用文献4として引用した、本願優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったPorcine circovirus 2 strain FMV05-6507, complete genome.,[online],GenBank,2006年9月30日,Accession No: DQ220730,[検索日]平成28年3月22日,URL,http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/78172582/(以下、「引用文献4」という。)には、引用文献3に記載されているFMV05-6507株のゲノム配列であるDQ220730の核酸配列とORF2タンパク質のアミノ酸配列、および該アミノ酸配列が1033?1734位の核酸配列でコードされることが記載されている。

上記記載事項ア.?オ.によると、引用文献7には、「B型豚サーコウイルス由来のORF2タンパク質をコードする核酸分子、および薬学的に許容できるアジュバントを含む、B型PWDサーコウイルスの感染に対してブタを防御するために用いる免疫原性組成物であって、前記ORF2タンパク質は配列番号25の核酸配列によりコードされる、前記免疫原性組成物。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「PWDサーコウイルス」は、PWDという疾患に関連する病原性の豚サーコウイルスであることは上記記載事項エ.から明らかであり、また、PCV2が病原性の豚サーコウイルスであることは、本願優先日前周知事項である(例えば、特表2005-511075号公報の【0008】参照)から、引用発明の「B型豚サーコウイルス」、「B型PWDサーコウイルス」は、本願発明の「病原性2B型豚サーコウイルス」、「病原性PCV2」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「病原性2B型豚サーコウイルス由来のORF2タンパク質をコードする、少なくとも1つの単離された核酸分子、および薬学的に許容できるアジュバントを含む、病原性PCV2の感染に対してブタを防御するために用いる免疫原性組成物。」である点で一致し、本願発明は、ORF2タンパク質が配列番号9又は10の核酸配列によりコードされるのに対し、引用発明は、ORF2タンパク質が配列番号25の核酸配列によりコードされるである点で相違する。

5.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用文献4に記載のFMV05-6507株のORF2タンパク質をコードする核酸配列は、本願の配列番号9の塩基配列と同一の塩基配列である。
引用文献7には、免疫原性組成物に用いるORF2タンパク質として、配列番号25の核酸配列の相同体によりコードされるものを使用することができることが記載されており(上記記載事項ア.、イ.)、また、引用文献7に記載のORF2の核酸配列の相補配列と引用文献4に記載のORF2の核酸配列は、極めて高い配列同一性(99%)を有するので、引用発明の免疫原性組成物において、配列番号25の核酸配列の代わりに、引用文献4に記載のORF2の核酸配列を用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願発明のORF2タンパク質のアミノ酸配列は、引用文献7に記載のORF2タンパク質のアミノ酸配列と3アミノ酸のみが異なるだけで、それ以外は同一のアミノ酸配列を有するものであり、また、引用文献4に記載のORF2タンパク質のアミノ酸配列とは同一であるから、本願発明のORF2タンパク質が、引用文献7、4に記載されているORF2タンパク質に比べて格別顕著な効果を奏するとは認められない。

6.審判請求人の主張
審判請求人は、平成28年9月29日付け意見書及び同年10月3日付け上申書において、ニッツェル氏の宣誓書を添付資料(1)として提出して、「当業者は、新たな、病原性PCV2の感染に対してブタを防御するために用いる免疫原性組成物を想到する動機付けが全くなかった」、「本願発明前、新たなPCV株を単離し、この株に基づく新たなワクチンを開発するという動機付けは全くなかった」と主張しているが、引用文献7は、新たな「PCV2b株」に基づくワクチンを開示しているから、審判請求人の上記主張は採用できない。また、引用文献7以外にも、例えば、中国特許出願公開第1749397号明細書においても、新たなPCV株(「PCV2b株」に相当する。)に基づくワクチンを開示しており、審判請求人の上記主張は採用できない。
また、審判請求人は、平成26年6月27日付け審判請求書において、参考資料1を提出して、「本件発明は、PCV2サブタイプの両方に対して、優れた保護免疫及び交叉保護免疫を誘導するという顕著な効果を発揮するものであ」ると主張しているが、参考資料1は、本願出願後何年も経過して発表された文献であり、その記載内容は本願明細書には具体的に記載されていない特定のキメラウイルスPCV1-2bを用いて行われた実験であって、その実験結果に基づく参考資料1の記載内容を参酌することはできない。また、仮に参酌するとしても、引用文献7には、本願発明のORF2タンパク質と3アミノ酸のみが異なるだけで、それ以外は同一のアミノ酸配列を有するORF2タンパク質に基づく免疫原性組成物が記載されているから、本願発明の免疫原性組成物が、引用文献7に記載されている免疫原性組成物に比べて格別顕著な効果を奏するとは認められず、また、本願発明のORF2タンパク質と引用文献4に記載のORF2タンパク質とは同一のアミノ酸配列を有するから、引用文献4に記載のORF2の核酸配列を免疫原性組成物に用いれば当然に生じる効果であって、本願発明に特有の効果であるとはいえない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、引用文献7、3及び4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-27 
結審通知日 2017-01-04 
審決日 2017-01-17 
出願番号 特願2010-539780(P2010-539780)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 太田 雄三小倉 梢  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 山本 匡子
高堀 栄二
発明の名称 豚サーコウイルスに対してブタを免疫化するための方法および組成物  
代理人 小林 泰  
代理人 鶴喰 寿孝  
代理人 泉谷 玲子  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
代理人 竹内 茂雄  
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