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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02F |
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管理番号 | 1328768 |
審判番号 | 不服2016-9226 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-06-22 |
確定日 | 2017-06-20 |
事件の表示 | 特願2012- 73026「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 7日出願公開、特開2013-205544、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年3月28日の出願であって、平成27年9月11日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月12日付けで手続補正がされ、平成28年3月31日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月22日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年3月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-5に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項 1、4-5 ・引用文献等 1 引用文献1(特に、[0026]-[0034]、[0041]-[0046]、[図1]、[図4]-[図6])には、赤色フィルタ10R、緑色フィルタ10G、白色(無色)フィルタ10Wからなるカラーフィルタと、青色発光ダイオード2a、白色発光ダイオード2bとからなるエッジライト型バックライト4と、光学フィルムと、反射フィルムとからなる液晶表示装置であって、フィールドシーケンシャル駆動するものが記載されている。 ここで、青色発光ダイオードと白色発光ダイオードの設置数比は、それぞれのダイオードのピーク輝度や求めるホワイトバランス等によって、当業者が適宜設定するものであり、本願の請求項1に規定された程度とすることも何ら特別なことではない。 また、引用文献1には時分割表示(フィールドシーケンシャル駆動)することが記載されており、時分割表示ではRGBを時分割で表示しその時間的合成により白色を表示させるものである。してみれば、引用文献1において青色発光ダイオードと白色発光ダイオードの発光時間は重なることはない。 よって、本願の請求項1、4-5に係る発明は、引用文献1を基に当業者が容易になし得たものである。 ・請求項 2-3 ・引用文献等 1 本願の請求項2-3に記載された事項は、周知技術または設計事項程度のことに過ぎない。 よって、本願の請求項2-3に係る発明は、引用文献1を基に当業者が容易になし得たものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1:国際公開第2012/029701号 第3 本願発明 本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成27年11月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 バックライト装置と、液晶表示パネルと、を有する液晶表示装置であって、 前記バックライト装置は、光源と、導光板とを有し、 前記液晶表示パネルは、カラーフィルタ基板と、表示用アレイ基板とを有し、 前記カラーフィルタ基板は、少なくとも赤色着色層と、緑色着色層と、クリア層とを有し、 前記導光板は、光入射面と光射出面を有し、 前記光源は、前記光入射面に光が導入されるように配置されるとともに、当該光源は、白色光を発する白色発光部と、青色光を発する青色発光部とを有し、 前記白色発光部は、第1発光素子と第1封止体とを有し構成されており、前記青色発光部は、第2発光素子と第2封止体とを有し構成されており、 前記白色発光部のベースとなる第1発光素子の設置数をSw、前記青色発光部のベースとなる第2発光素子の設置数をSbとした場合、Sb=(0.3?0.7)Swに設定されており、 前記液晶表示装置はフィールドシーケンシャル方式で駆動され、フィールドシーケンシャル方式による色表示手法を可能とするための制御回路部を備え、前記白色発光部から発光される時間帯と、前記青色発光部から発光される時間帯とが、重なることなく区分されて操作されることを特徴とする液晶表示装置。」 なお、本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献1の記載事項、引用発明等 1 引用文献1の記載事項について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「[0026] 図1に示すように、液晶表示装置1は、バックライト4と、そのバックライト4の光射出面側に配置される液晶パネル5とを有している。液晶表示装置1は、液晶パネル5を駆動する駆動ユニット(図示せず)をさらに有している。なお、図1においては、液晶表示装置1の構成の概略を示すために、液晶表示装置1の一部の図示を省略している。 [0027] 液晶パネル5は、液晶セルが規則的に配置された液晶層(図示せず)と、液晶層の表示面側(液晶セルに入射した光が射出される側の面)に配置されたカラーフィルタ(10R,10G,10W)を有している。液晶パネル5では、液晶層の各液晶セルに選択的に電界を印加して分子配列を変え、光の透過量をコントロールしている。また、カラーフィルタを透過する光を選択することによって、液晶パネル5の表面上に文字、図形、画像等を表示する。 [0028] 以下、液晶パネル5のカラーフィルタについて説明する。カラーフィルタは、赤色光成分の光を透過する赤色フィルタ10Rと、緑色光成分の光を透過する緑色フィルタ10Gと、すべての可視光を透過する白色(無色)フィルタ10Wとで構成され、液晶パネル5の内部に配置されている。」 「[0033] バックライト4は、液晶パネル5の背面から、液晶パネル5の全面に光を照射する照明装置であり、液晶パネル5の画像表示面と略同一形状の光射出面を有する。本実施形態に係るバックライト4は、図1に示すように、光源(2a,2b)、および導光板3を有している。バックライト4では、光源からの光は導光板3の内部へ進入し、導光板3内で多重反射をして、導光板3の液晶パネル5側の面から射出される。この際、バックライト4は、導光板3から射出された光を集光して液晶パネル5を照射する光学フィルム(図示せず)と、導光板3から液晶パネル5とは反対側に漏れ出た光を導光板3に戻すための反射フィルム(図示せず)とを有している。 [0034] 以下、バックライト4の光源について説明する。バックライト4の光源は、少なくとも1つの青色発光ダイオード(青色LED)2aと、少なくとも1つの白色発光ダイオード(白色LED)2bとで構成される。本実施形態に係る白色LED2bとして、3つのタイプの発光ダイオードが適用可能である。1つは、青色LEDの表面に蛍光物質を塗布したものであり、もう1つは、近紫外LEDの表面に蛍光物質を塗布したものであり、そしてもう1つは、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを組み合わせたものである。」 「[0038] ところで、青色LED2aおよび白色LED2bの配置比率は、青色LED2aと白色LED2bとの青色成分の強度が同じである場合、1:1であることが好ましい。ただし、上記の青色LED2aおよび白色LED2bの配置比率はあくまでも一例であり、該配置比率に特に限定はなく、青色LED2aおよび白色LED2bはそれぞれ少なくとも1つ配置されていれば良い。 [0039] また、青色LED2aおよび白色LED2bは、導光板3の光射出面と光入射面とを結ぶ面(すなわち導光板3の側面)に沿って配列され、エッジライト型のバックライト4を構成することが好ましい。これによれば、光源(2a,2b)からの光の利用効率が高く、またバックライト4を軽量化することが可能である。ただし、バックライト4は、エッジライト型に限定されるわけではなく、青色LED2aおよび白色LED2bを液晶パネル5の背面側の直下に配列した直下型であっても良い。 [0040] (バックライト4および液晶パネル5の駆動) 上述したように、本実施形態に係る液晶パネル5では、カラーフィルタとして赤色フィルタ10Rと緑色フィルタ10Gと白色フィルタ10Wとを備えている。また、本実施形態に係るバックライト4は、光源として青色LED2aと白色LED2bとを備えている。 [0041] 上記の構成に基づけば、液晶表示装置1における各色の点灯方法は以下のとおりになる。まず、青色の点灯方法について図4を参照して説明する。図4は、液晶表示装置1における青色点灯時の光の透過を示す概略図である。 [0042] 図4に示すように、青色点灯時には、図示しないLEDドライバが青色LED2aのみを点灯するように制御ユニット(図示せず)が制御する。また、同時に、図示しない駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10Wのみを透過するように液晶パネル5を制御する。これによって、青色LED2aから射出された光は、白色フィルタ10Wを透過し、液晶パネル5から射出される。より具体的には、白色フィルタ10Wは、光の透過率が100%に近いため、青色LED2aからの光をそのまま透過させる。結果、液晶表示装置1では青色が点灯されている。 [0043] 次に、緑色の点灯方法について図5を参照して説明する。図5は、液晶表示装置1における緑色点灯時の光の透過を示す概略図である。 [0044] 図5に示すように、緑色点灯時には、図示しないLEDドライバが白色LED2bのみを点灯するように制御ユニット(図示せず)が制御する。また、同時に、図示しない駆動ユニットが、バックライト4からの光が緑色フィルタ10Gのみを透過するように液晶パネル5を制御する。これによって、白色LED2bから射出された光は、緑色フィルタ10Gを通過し、液晶パネル5から射出される。より具体的には、緑色フィルタ10Gは、白色LED2bから射出された光のうち、緑色光成分の光を透過させるが、緑色フィルタ10Gは透過する光の一部を吸収してしまうため、緑色光成分の光の一部のみを透過させる。結果、液晶表示装置1では緑色が点灯されている。 [0045] 続いて、赤色の点灯方法について図6を参照して説明する。図6は、液晶表示装置1における赤色点灯時の光の透過を示す概略図である。 [0046] 図6に示すように、赤色点灯時には、図示しないLEDドライバが白色LED2bのみを点灯するように制御ユニット(図示せず)が制御する。また、同時に、図示しない駆動ユニットが、バックライト4からの光が赤色フィルタ10Rのみを透過するように液晶パネル5を制御する。これによって、白色LED2bから射出された光は、赤色フィルタ10Rを通過し、液晶パネル5から射出される。より具体的には、赤色フィルタ10Rは、白色LED2bから射出された光のうち、赤色光成分の光を透過させるが、赤色フィルタ10Rは、透過する光の一部を吸収してしまうため、赤色光成分の光の一部のみを透過させる。結果、液晶表示装置1では赤色が点灯されている。 [0047] 最後に、白色の点灯方法について図7を参照して説明する。図7は、液晶表示装置1における白色点灯時の光の透過を示す概略図である。 [0048] 図7に示すように、白色点灯時には、図示しないLEDドライバが青色LED2aおよび白色LED2bを点灯するように制御ユニット(図示せず)が制御する。また、同時に、図示しない駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10W、緑色フィルタ10G、および赤色フィルタ10Rを透過するように液晶パネル5を制御する。これによって、青色LED2aおよび白色LED2bから射出された光(具体的には、導光板3内で混色された光)は、各色のカラーフィルタを通過し、液晶パネル5から射出される。より具体的には、白色フィルタ10Wは、光の透過率がほぼ100%であるため、青色LED2aおよび白色LED2bから射出された光をそのまま透過させる。これに対して、緑色フィルタ10Gは、透過する光の一部を吸収してしまうので、青色LED2aおよび白色LED2bから射出された光のうち、緑色光成分の光の一部のみを透過させる。同様に、赤色フィルタ10Rは、透過する光の一部を吸収してしまうので、青色LED2aおよび白色LED2bから射出された光のうち、赤色光成分の光の一部のみを透過させる。結果、液晶表示装置1では白色が点灯されている。」 「[0050] これに対して、本実施形態に係る液晶表示装置1では、青色フィルタの代わりに白色フィルタ10Wを用いているので、青色LED2aおよび白色LED2bから射出された光は白色フィルタ10Wをそのまま透過する。したがって、白色フィルタ10Wでは、吸収による光量損失が少ないため、液晶表示装置1から射出される光量が多い。故に、本実施形態に係る液晶表示装置1は、従来の液晶表示装置と比較してバックライト4からの光の利用効率が高く、液晶表示装置1の輝度を高めることができる。また、本実施形態によれば、カラーフィルタによる光量吸収を減らすことができるので、液晶表示装置1における消費電力の削減を実現できる。」 「[0054] また、本実施形態に係る液晶表示装置1では、青色LED2aおよび白色LED2bの利用により、白色表示も可能となっている。そのため、液晶表示装置1の輝度の向上を図ることができる。 [0055] なお、液晶表示装置1の発色方法としては、上記の各色の点灯方法を連続で行う時間分割表示を採用しても良いし、上記の各色の点灯方法を同時に行う空間分割表示を採用しても良く、発色方法に特に限定はない。」 「[図4] [図5] [図6] [図7] 」 2 引用発明 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「液晶表示装置1は、バックライト4と、そのバックライト4の光射出面側に配置される液晶パネル5とを有し、 液晶パネル5は、液晶層と、液晶層の表示面側に配置されたカラーフィルタ(10R,10G,10W)を有し、 カラーフィルタは、赤色光成分の光を透過する赤色フィルタ10Rと、緑色光成分の光を透過する緑色フィルタ10Gと、すべての可視光を透過する白色(無色)フィルタ10Wとで構成され、 バックライト4は、光源(2a,2b)、および導光板3を有し、バックライト4では、光源からの光は導光板3の内部へ進入し、導光板3内で多重反射をして、導光板3の液晶パネル5側の面から射出され、 バックライト4の光源は、少なくとも1つの青色発光ダイオード(青色LED)2aと、少なくとも1つの白色発光ダイオード(白色LED)2bとで構成され、 青色点灯時には、LEDドライバが青色LED2aのみを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10Wのみを透過するように液晶パネル5を制御し、 緑色点灯時には、LEDドライバが白色LED2bのみを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が緑色フィルタ10Gのみを透過するように液晶パネル5を制御し、 赤色点灯時には、LEDドライバが白色LED2bのみを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が赤色フィルタ10Rのみを透過するように液晶パネル5を制御し、 白色点灯時には、LEDドライバが青色LED2aおよび白色LED2bを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10W、緑色フィルタ10G、および赤色フィルタ10Rを透過するように液晶パネル5を制御する 液晶表示装置1。」 また、引用文献1には、段落[0038]に「青色LED2aおよび白色LED2bの配置比率は、青色LED2aと白色LED2bとの青色成分の強度が同じである場合、1:1であることが好ましい。ただし、上記の青色LED2aおよび白色LED2bの配置比率はあくまでも一例であり、該配置比率に特に限定はない。」との技術事項が記載され、段落[0055]に「液晶表示装置1の発色方法としては、上記の各色の点灯方法を連続で行う時間分割表示を採用しても良いし、上記の各色の点灯方法を同時に行う空間分割表示を採用しても良く、発色方法に特に限定はない。」との技術事項が記載されている。 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明における「液晶表示装置1」、「バックライト4」、「液晶パネル5」、「導光板3」、「カラーフィルタ」、「液晶層」は、それぞれ本願発明1における「液晶表示装置」、「バックライト装置」、「液晶表示パネル」、「導光板」、「カラーフィルタ基板」、「表示用アレイ基板」に相当する。 イ 引用発明の「液晶表示装置1は、バックライト4と、そのバックライト4の光射出面側に配置される液晶パネル5とを有し」ているから、引用発明の「液晶表示装置1」は、本願発明1の「バックライト装置と、液晶表示パネルと、を有する液晶表示装置」に相当する。 ウ 引用発明の「バックライト4は、光源(2a,2b)、および導光板3を有し」ていることは、本願発明1の「前記バックライト装置は、光源と、導光板とを有し」ていることに相当する。 エ 引用発明の「液晶パネル5は、液晶層と、液晶層の表示面側に配置されたカラーフィルタ(10R,10G,10W)を有し」ていることは、本願発明1の「前記液晶表示パネルは、カラーフィルタ基板と、表示用アレイ基板とを有し」ていることに相当する。 オ 引用発明の「赤色フィルタ10R」、「緑色フィルタ10G」及び「すべての可視光を透過する白色(無色)フィルタ10W」は、本願発明1の「赤色着色層」、「緑色着色層」及び「クリア層」にそれぞれ相当し、引用発明の「カラーフィルタは、赤色光成分の光を透過する赤色フィルタ10Rと、緑色光成分の光を透過する緑色フィルタ10Gと、すべての可視光を透過する白色(無色)フィルタ10Wとで構成され」ていることは、本願発明1の「前記カラーフィルタ基板は、少なくとも赤色着色層と、緑色着色層と、クリア層とを有し」ていることに相当する。 カ 引用発明において、「バックライト4では、光源からの光は導光板3の内部へ進入し、導光板3内で多重反射をして、導光板3の液晶パネル5側の面から射出され」るから、引用発明の「導光板3」は、本願発明1の「前記導光板は、光入射面と光射出面を有し」ている構成を備えているといえる。 また、引用発明の「光源からの光は導光板3の内部へ進入」することは、本願発明1の「前記光源は、前記光入射面に光が導入されるように配置される」構成を備えているといえる。 キ 引用発明の「バックライト4の光源は、少なくとも1つの青色発光ダイオード(青色LED)2aと、少なくとも1つの白色発光ダイオード(白色LED)2bとで構成され」ることは、本願発明1の「当該光源は、白色光を発する白色発光部と、青色光を発する青色発光部とを有し」ていることに相当する。 ク したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、及び各相違点があるといえる。 (一致点) 「 バックライト装置と、液晶表示パネルと、を有する液晶表示装置であって、 前記バックライト装置は、光源と、導光板とを有し、 前記液晶表示パネルは、カラーフィルタ基板と、表示用アレイ基板とを有し、 前記カラーフィルタ基板は、少なくとも赤色着色層と、緑色着色層と、クリア層とを有し、 前記導光板は、光入射面と光射出面を有し、 前記光源は、前記光入射面に光が導入されるように配置されるとともに、当該光源は、白色光を発する白色発光部と、青色光を発する青色発光部とを有する、 液晶表示装置。」 (相違点1) 本願発明1の「前記白色発光部は、第1発光素子と第1封止体とを有し構成されており、前記青色発光部は、第2発光素子と第2封止体とを有し構成されて」いるのに対し、引用発明は「青色発光ダイオード(青色LED)2a」と、「白色発光ダイオード(白色LED)2b」が封止体を有し構成されていることが特定されていない点。 (相違点2) 本願発明1は「前記白色発光部のベースとなる第1発光素子の設置数をSw、前記青色発光部のベースとなる第2発光素子の設置数をSbとした場合、Sb=(0.3?0.7)Swに設定されて」いるのに対し、引用発明は「バックライト4の光源は、少なくとも1つの青色発光ダイオード(青色LED)2aと、少なくとも1つの白色発光ダイオード(白色LED)2bとで構成され」ているものの、それぞれのLEDの数が前記「Sb=(0.3?0.7)Sw」に設定されていることが特定されていない点。 (相違点3) 本願発明1は「前記液晶表示装置はフィールドシーケンシャル方式で駆動され、フィールドシーケンシャル方式による色表示手法を可能とするための制御回路部を備え、前記白色発光部から発光される時間帯と、前記青色発光部から発光される時間帯とが、重なることなく区分されて操作される」のに対し、引用発明の「制御ユニット」及び「駆動ユニット」は、そのような制御をしていない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点3について検討する。 引用発明は「青色点灯時には、LEDドライバが青色LED2aのみを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10Wのみを透過するように液晶パネル5を制御し、 緑色点灯時には、LEDドライバが白色LED2bのみを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が緑色フィルタ10Gのみを透過するように液晶パネル5を制御し、 赤色点灯時には、LEDドライバが白色LED2bのみを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が赤色フィルタ10Rのみを透過するように液晶パネル5を制御し、 白色点灯時には、LEDドライバが青色LED2aおよび白色LED2bを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10W、緑色フィルタ10G、および赤色フィルタ10Rを透過するように液晶パネル5を制御する」ものである。 また、引用文献1には、「液晶表示装置1の発色方法としては、上記の各色の点灯方法を連続で行う時間分割表示を採用しても良いし、上記の各色の点灯方法を同時に行う空間分割表示を採用しても良く、発色方法に特に限定はない。」との技術事項が記載されている。 ここで、「上記の各色の点灯方法を連続で行う時間分割表示を採用」した場合の「上記各色の点灯」とは、「青色点灯」、「緑色点灯」、「赤色点灯」及び「白色点灯」であり、それぞれの色を時間分割して表示することを意味するものと解される。 してみると、青色点灯時には、青色LED2aのみを点灯し、緑色点灯時には、白色LED2bのみを点灯し、赤色点灯時には、白色LED2bのみを点灯するから、青色、緑色、赤色の各色点灯時においては、相違点3に係る「前記白色発光部から発光される時間帯と、前記青色発光部から発光される時間帯とが、重なることなく区分されて操作される」構成となるものの、「白色点灯時には、LEDドライバが青色LED2aおよび白色LED2bを点灯するように制御ユニットが制御し、同時に、駆動ユニットが、バックライト4からの光が白色フィルタ10W、緑色フィルタ10G、および赤色フィルタ10Rを透過するように液晶パネル5を制御する」ものであるから、白色点灯時がある以上、相違点3に係る「前記白色発光部から発光される時間帯と、前記青色発光部から発光される時間帯とが、重なることなく区分されて操作される」構成とはならない。 また、引用文献1の段落[0054]に「本実施形態に係る液晶表示装置1では、青色LED2aおよび白色LED2bの利用により、白色表示も可能となっている。そのため、液晶表示装置1の輝度の向上を図ることができる。」と記載され、段落[0050]に「青色フィルタの代わりに白色フィルタ10Wを用いているので、青色LED2aおよび白色LED2bから射出された光は白色フィルタ10Wをそのまま透過する。」と記載されている。これらの記載から、青色LED2aおよび白色LED2bを点灯と、白色フィルタ10W、緑色フィルタ10G、および赤色フィルタ10Rの透過の制御を時間分割したとしても、白色表示の際に、青色LED2aから射出された光だけでなく白色LED2bから射出された光も白色フィルタ10Wをそのまま透過することにより輝度の向上を図るものであり、同じ白色フィルタ10Wを透過する光を点灯する青色LED2a及び白色LED2bを、時間帯が異なるように点灯制御すると輝度の向上を図ることができなくなるから、そのような点灯制御は、引用文献1の記載から導くことができるとはいえない。 よって、本願発明1の相違点3に係る構成は、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に想到し得たものとはいえない。 したがって、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2-5について 本願発明2-5も、本願発明1の相違点3に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1-5は、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-06-07 |
出願番号 | 特願2012-73026(P2012-73026) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G02F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 森江 健蔵 |
特許庁審判長 |
恩田 春香 |
特許庁審判官 |
近藤 幸浩 森 竜介 |
発明の名称 | 液晶表示装置 |
代理人 | 太田 昌孝 |
代理人 | 米田 潤三 |