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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10K
管理番号 1328811
審判番号 不服2015-22246  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-17 
確定日 2017-05-31 
事件の表示 特願2012-517610「処理方法、コンピュータプログラム及びモバイルメディアデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成23年1月13日国際公開、WO2011/005458、平成24年12月10日国内公表、特表2012-531628〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)6月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年6月24日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成25年6月5日付けで手続補正がなされ、平成26年1月9日付けで拒絶理由が通知され、同年4月18日付けで手続補正がなされ、同年11月28日付けで拒絶理由が通知され、平成27年2月27日付けで手続補正がなされたが、平成27年8月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月17日付けで拒絶査定不服の審判が請求され、同時に手続補正がなされた。
その後、当審において平成28年8月24日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年11月25日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし17に係る発明は、平成28年11月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。

「【請求項1】
モバイルメディアデバイスが実行する処理方法であって、
複数の放送チャンネルを経由して受信した複数のオーディオコンテンツをユーザーに出力し、該ユーザーに出力された複数のオーディオコンテンツに関連する表示可能なメタデータを記憶するステップと、
前記受信した複数のオーディオコンテンツのうち以前にユーザーに出力されたオーディオコンテンツを説明するメタデータと該オーディオコンテンツが送信された放送チャンネルとをともに表示するユーザーインターフェースを、カーソルを移動させることが可能な1つの領域の中で、前記モバイルメディアデバイスの表示デバイスにより放送チャンネル毎にグループ化して表示するステップと、
特定の前記オーディオコンテンツを説明するメタデータを、前記1つの領域の中で前記カーソルを用いて選択し、ネットワーク接続を経由して前記特定のオーディオコンテンツを購入するための処理を開始するステップと
を有する処理方法。」

第3 引用発明
1.引用文献1
当審の拒絶理由に引用された特開2001-298430号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「【0002】
【従来の技術】図2に、FM文字多重放送を受信する従来のFM文字多重放送受信機を示す。FM文字多重放送受信機100は、FM文字多重放送対応のラジオであり、文字表示部102と、コマンドキー104、メニューキー106、決定キー108とを備えている。
【0003】FM文字多重放送受信機100の使用者は、それぞれのキーを操作することによって交通情報や天気情報、番組情報等の所望の情報を選局・決定を行うことによりその情報を音声で得ることができるのに加えて、文字表示部102に表示される文字情報を得ることができる。特に、音楽番組が選局された場合には、番組中で放送されている楽曲名の文字情報が提供されていることがあり、ユーザーはその楽曲に関する情報を得ることができる。一方、FM文字多重放送装置が送信するFM信号は、文字情報等の文字多重信号の符号化の階層構造として、図3Aに示すようなセグメント階層を持っている。そして、セグメントデータ62には、データの内容である交通情報や天気情報、番組情報、楽曲名等が含まれており、セグメントヘッダ60には、そのようなセグメントデータの内容等を規定するセグメント識別情報等が含まれている。
【0004】また、そのようなFM放送等のメディアを通じて音楽を聴いたユーザーがその音楽を再現するためのデータを購入したいと希望した場合に、その購入手段の新しい選択肢の一つとして、インターネット等を利用して音楽データの配信を受けるという音楽配信システムがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、従来のFM文字多重放送受信機100によってFM文字多重放送による音楽番組を聴いたユーザーがその聴いている楽曲の購入を希望する場合には、文字表示部102に表示される楽曲名の情報等を一旦記憶しなければならないという手間が必要である。
【0006】つまり、FM文字多重放送における楽曲名の情報は、CD等の購入や音楽配信システムを利用して音楽データの配信を受ける際の判断材料として利用することができるが、実際の購入段階と直接結びつくものではなく、その情報の記憶をもとにして、ユーザー側で所望のCDを探したり、インターネット上で音楽データの配信元の検索を行ったり、音楽雑誌等の他のメディアを参照する等といった手間が必要である。
【0007】特に、音楽配信システムの利用にあっては、ブラウザ等を用いて所望のデータを検索する必要があるから、熟練度の低いユーザーでは目的の音楽データの配信元にたどり着くまでに検索を何度も繰り返すことになり、購入段階に至るまでの手間がより大きな負担となる。
【0008】この発明は、上記のような問題に鑑みて、文字多重放送を利用するユーザーが、音楽配信システムを介して所望の音楽データを迅速に取得することができる通信端末と、その放送を行う送信装置とを提供することを目的とする。」
(2)「【0012】(2)この発明の受信蓄積装置は、放送信号を受信する受信部と、受信部によって受信された放送信号から音声信号を復調する音声信号復調部と、音声信号復調部によって復調された音声信号を出力する音声出力部と、受信部によって受信された放送信号から文字信号を復調する文字信号復調部と、文字信号復調部によって復調された文字信号を出力する表示部と、ネットワークに接続するための接続手段と、ネットワークを介してデータを取得するための取得手段と、取得手段によって取得されたデータを蓄積する蓄積部と、を備えており、前記文字信号復調部は、ネットワークにおける音楽データの配信元の接続先を示す接続先情報が文字信号中に含まれているか否かを判断する接続先情報有無判断手段と、接続先情報有無判断手段が文字信号中に接続先情報が含まれていると判断した場合には接続先情報および音楽データを示す音楽データ指示情報とを蓄積部に蓄積する接続先情報蓄積手段と、蓄積部に蓄積された接続先情報および音楽データ指示情報のうち少なくとも楽曲名の一覧を表示部に表示する蓄積音楽データ指示情報表示手段と、前記一覧から使用者によって選択された楽曲名に対応する接続先情報を接続手段に送って前記音楽データの配信元に接続させ前記楽曲名に対応する音楽データを取得手段によって取得して蓄積部に蓄積する取得制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0013】これにより、使用者が音楽を聴いた後や直接聴いていなかった場合であっても、取得を希望する楽曲名を選択することによって音楽データを迅速に取得できる。したがって、音楽を聴いている間に受信蓄積装置を操作するという手間が必要ない。また、取得可能な音楽データの選択の幅が広げられることになるのであるから、より使用者の要望に合致した音楽データを取得できることになる。」
(3)「【0017】
【発明の実施の形態】(1)本発明の一実施形態によるシステムコンポと、そのコンポに含まれるチューナーおよび通信機能付きHDDレコーダの構成
本発明に係る受信蓄積装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1Aに、この発明の一実施形態による、受信蓄積装置としてのチューナーおよび通信機能付きHDDレコーダ(ハードディスクレコーダ)を備えたシステムコンポを示す。なお、HDDレコーダとは、記録媒体としての磁気ディスクに音楽データを記録するものである。このシステムコンポは、チューナー10と、通信機能付きHDDレコーダ12、アンプ16、CD-MDスロット18、スピーカー14とを備えている。」
(4)「【0018】チューナー10は、FM文字多重放送装置8からのFM文字多重放送を受信可能であり、ユーザーは、スピーカー14を介してその放送内容(音声)を聴くことができる。また、通信機能付きHDDレコーダ12は、インターネット20に接続可能であり、インターネット20を経由して音楽データの配信元であるダウンロードサーバ6が接続される。
【0019】また、チューナー10におけるFM文字多重信号の復調にかかわる部分および通信機能付きHDDレコーダ12のブロック図を図1Bに示す。チューナー10の構成は従来のFM文字多重放送受信機とほぼ同様であり、受信部としてのFM信号受信部34と、文字信号復調部としての文字多重信号復調部38、CPU36、表示部としての表示・操作部32の他に、通信機能付きHDDレコーダ12と配信データに関する情報の送受信を行うインターフェース40を備えている。通信機能付きHDDレコーダ12は、チューナー10と配信データに関する情報の送受信を行うインターフェース48と、ネットワーク接続ソフトウェア42、CPU46、蓄積部としての記憶装置44、インターネットに接続するための、接続手段としてのネットワークインターフェース50を備えている。」
(5)「【0021】従来のFM文字多重放送の音楽番組等のセグメントデータ62には、データの内容である楽曲名や歌手名が含まれており、セグメントヘッダ60には、そのようなセグメントデータの内容等を規定するセグメント識別情報等が含まれている。そして、このセグメント識別情報の情報内容には未定義の領域がある。
【0022】本発明の実施形態においては、そのセグメントヘッダ60の未定義の領域に、インターネットによる音楽データの配信を行っている音楽データ配信元のURLと、配信を行っているか否か、配信に要する時間、配信費用等の、音楽配信に関する情報の情報領域を作成し、セグメントデータ62としてそれらのデータを入れる。そして、音楽番組の放送時には、FM文字多重放送装置8は、音楽信号と、その楽曲名と音楽配信に関する情報を含めた文字多重信号とを、FM信号として送出する。」
(6)「【0025】したがって、以上のステップにより、音楽番組のFM信号を受信したチューナー10は、その音楽信号に対応する楽曲の、音楽データの配信を行っている音楽データ配信元のURLと、配信を行っているか否か、配信に要する時間、配信費用等の、音楽配信に関する情報を得ることになる。」
(7)「【0027】(3)FM文字多重放送により受信した情報に基づいて音楽データの配信を受ける場合の処理
図4に、上記で説明したシステムコンポが、FM文字多重放送装置8のFM信号を受信した情報に基づいて音楽データの配信を受ける場合の処理を示す。
【0028】FM文字多重放送装置8は、FM文字多重放送により音楽番組を放送する(ステップS1)。これを受信するチューナー10は(ステップS2)、その放送される楽曲に対応する音楽配信データの復調を図3Bで説明したステップによって行う(ステップS3)。そして、配信データを復調するごとにCPU36の制御によって音楽配信に関する情報を表示・操作部32に表示するとともに、そのデータをインターフェース40を介して通信機能付きHDDレコーダ12に送信する(ステップS4)。そして、この配信データをインターフェース48により受信した通信機能付きHDDレコーダ12は、記憶装置44にそのデータを記録して蓄積する(ステップS5)。」
(8)「【0029】システムコンポのユーザーは、放送された楽曲の購入を希望する場合には、図5に示すようなチューナー10の表示・操作部32のディスプレイを参照することによりその楽曲の配信情報を確認した後、購入希望の楽曲の選択の操作を行う(ステップS6)。なお、上記のように、蓄積された音楽配信に関する情報を確認した後ではなく、現在放送中の楽曲の音楽配信に関する情報を確認してその楽曲の放送中に購入希望の操作を行ってもよい。」
(9)「【0030】次に、ユーザーから購入希望の操作を受けた通信機能付きHDDレコーダ12は、CPU46の制御によってネットワーク接続ソフトウェア42を起動し、ネットワークインターフェース50を介することによって、配信データに含まれている、音楽データ配信元ダウンロードサーバ6のURLに対して接続するとともに、音楽データのダウンロードを要求するためのダウンロード情報の送信を行う(ステップS7)。
【0031】ダウンロード情報の送信を受けたダウンロードサーバ6は、インターネット20を介することによって、選択された音楽データの配信を通信機能付きHDDレコーダ12に対して行う(ステップS8)。そして、通信機能付きHDDレコーダ12が、その音楽データを記憶装置44に記憶することによってダウンロードが完了する(ステップS9)。ダウンロードが完了すると、音楽データの購入についての課金処理等が行われることになる。」
(10)「【0034】(4)本実施形態における効果
以上のようなチューナー10と通信機能付きHDDレコーダ12を構成することにより、ユーザーが楽曲を聴いてその音楽データの購入を希望した場合には、その音楽データを迅速かつ確実に購入できる。したがって、楽曲を聴いてから購入段階に至るまでにその楽曲名等を記憶したり、音楽データを別にネットワーク上で検索等を行うという負担がかからない。
【0035】また、音楽データの購入に際しては、表示・操作部32に表示された情報に基づいて購入の要否を選択するという簡単な操作入力をするだけであり、その楽曲名をキーボードで入力等することを要しない。したがって、チューナー10や通信機能付きHDDレコーダ12に複雑な操作・入力部が備えられている必要はないので、装置としてはシンプルな構成を採用することができる。
【0036】そして、そのようなユーザーの負担が軽減されることから、文字多重放送の受信や音楽データの購入を積極的に行うユーザーの数が増加することにつながり、結果として、FM文字多重放送の放送や音楽データの配信を行う側の事業を活性化するという効果をもたらす可能性がある。」
(11)「【0042】また、本実施形態においては、受信蓄積装置としてチューナー10と通信機能付きHDDレコーダ12を示したが、これに限定されるものではない。例えば、FM放送受信機であるチューナー自体にインターネットに接続可能な通信機能等を備えてよい。また、HDDレコーダに代えて、フラッシュメモリーやCD-Rなどの記録媒体を使用してもよい。」

また、引用文献1には、図5として次の図面が記載されている。


ア.上記(1)によれば、従来のFM文字多重放送受信機では、ユーザーが聴いている楽曲の購入を希望する場合には、楽曲名の情報等をユーザーが一旦記憶しなければならないという手間が必要であるという問題や、音楽配信システムを利用してその楽曲の音楽データを購入する際には、上記情報の上記記憶をもとにして配信元の検索を行う手間が必要であるという問題があることが記載されており、さらに、それらの問題を解決し、所望の音楽データを迅速に取得することができるようにすることを目的とすることが記載されている。
イ.上記(3)によれば、受信蓄積装置の一実施形態として、チューナー10および通信機能付きHDDレコーダ12を備えたシステムコンポが記載されている。
ウ.上記(4)によれば、チューナー10はFM文字多重放送を受信可能であり、ユーザーは、スピーカー14を介してその放送内容を聴くことができる。そして、上記(1)によれば、音楽番組が放送されている場合は、楽曲をユーザーが聴くことができる、すなわち、受信した楽曲がユーザーに出力される。
エ.上記(4)によれば、チューナー10の構成は従来のFM文字多重放送受信機とほぼ同様であるが、上記(1)の【0003】には、従来のFM文字多重放送受信機において、「選局」を行うことが記載されている。そして、FM放送が複数の放送チャンネルで行われており、チューナーで「選局」を行うことによって特定の放送チャネルの放送を受信することは技術常識であるから、チューナー10も、複数の放送チャネルに対して選局を行うことによって特定の放送チャンネルの放送を受信するものであることは、当業者にとって自明のことである。また、音楽番組が複数の放送チャンネルで放送されることも一般的によく知られたことである。
オ.上記(1)(特に【0003】)及び(5)によれば、FM文字多重放送の音楽番組のセグメントデータ62には、番組中で放送されている楽曲名と音楽配信に関する情報が含まれている。そして、音楽配信に関する情報として、インターネットによる音楽データの配信を行っている音楽データ配信元のURLと、配信を行っているか否か、配信に要する時間、配信費用等が挙げられている。
カ.上記(6)及び(7)によれば、音楽番組を受信したチューナー10は、放送される楽曲の音楽配信に関する情報を得て、表示・操作部32に表示するとともに、そのデータをインターフェース40を介して通信機能付きHDDレコーダ12に送信し、このデータを受信した通信機能付きHDDレコーダ12は、記憶装置44にそのデータを記録して蓄積する。
ここで、上記音楽配信に関する情報とともに音楽番組のセグメントデータ62に含まれる「楽曲名」については、チューナー10から通信機能付きHDDレコーダ12に送信し、記憶装置44に記録して蓄積することは明記されていないが、楽曲購入のためのディスプレイである図5には「曲名」の欄に「“ABC”」や「“DEFG”」という楽曲名が表示されていることからみて、音楽配信に関する情報だけでなく、楽曲名もチューナー10から通信機能付きHDDレコーダ12に送信され、記憶装置44に記録して蓄積されていることは明らかである。
キ.上記(8)によれば、ユーザーは、放送された楽曲の購入を希望する場合には、図5に示すようなチューナー10の表示・操作部32のディスプレイを参照することによりその楽曲の配信情報を確認した後、購入希望の楽曲の選択の操作を行う。ここで、図5を参照すると、「“ABC”」や「“DEFG”」という楽曲名の一覧や、「URL」や「料金」のような音楽配信に関する情報が単一のディスプレイ内に表示されている。
また、上記(2)に「蓄積部に蓄積された接続先情報および音楽データ指示情報のうち少なくとも楽曲名の一覧を表示部に表示する蓄積音楽データ指示情報表示手段」とあるように、上記ディスプレイ中の楽曲名や音楽配信に関する情報は上記カで説示した記憶装置44に蓄積されたものである。したがって、図5に示される上記ディスプレイ中の楽曲名や音楽配信に関する情報は、チューナー10で受信され、ユーザーに出力された楽曲についてのものである。
さらに、ユーザーは、図5のディスプレイを参照して購入希望の楽曲の選択の操作を行うが、図5において、「選択」という表示の下にある黒色に塗り潰された三角形と、「YES」という表示の上にある黒色に塗り潰された三角形は、いずれも「カーソル」であるとともに、「選択」という表示の下にあるカーソルは上下に、「YES」という表示の上にあるカーソルは左右に移動可能であることは当業者にとって自明である。したがって、上記ディスプレイ内はカーソルを移動させることが可能であり、購入希望の楽曲の選択の操作には、当該移動可能なカーソルが用いられる。
ク.上記(9)によれば、ユーザーから購入希望の操作を受けた通信機能付きHDDレコーダ12は、配信データに含まれている、音楽データ配信元ダウンロードサーバ6のURLに対して接続するとともに、音楽データのダウンロードを要求するためのダウンロード情報の送信を行う。そして、ダウンロード情報の送信を受けたダウンロードサーバ6は、インターネット20を介することによって、選択された音楽データの配信を通信機能付きHDDレコーダ12に対して行い、通信機能付きHDDレコーダ12が、その音楽データを記憶装置44に記憶することによってダウンロードが完了し、音楽データの購入についての課金処理等が行われる。
したがって、ユーザーが図5のディスプレイを参照して購入希望の楽曲の選択の操作を行うと、通信機能付きHDDレコーダ12は、音楽データ配信元ダウンロードサーバ6のURLに対して接続するとともに、音楽データのダウンロードを要求するためのダウンロード情報の送信を行う。
ケ.上記(10)によれば、上記ウないしクのように構成され動作するシステムコンポは、楽曲を聴いてから購入段階に至るまでに、その楽曲名等を記憶したり、音楽データを別にネットワーク上で検索等を行うという負担がかからないという効果を奏する。
コ.上記(11)によれば、受信蓄積装置は、チューナー10と通信機能付きHDDレコーダ12を備えたシステムコンポに限定されるものではない。

したがって、上記(1)ないし(11)の記載事項及び図面並びに上記アないしコを総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「チューナー10および通信機能付きHDDレコーダ12を備えたシステムコンポが実行する処理方法であって、
複数の放送チャンネルを経由して受信した複数の楽曲をユーザーに出力し、該ユーザーに出力された複数の楽曲の楽曲名及び音楽配信に関する情報を記憶するステップと、
前記受信した複数の楽曲のうち以前にユーザーに出力された楽曲の楽曲名の一覧を表示するとともに、カーソルを移動させることが可能なディスプレイを、前記チューナー10の表示・操作部32により表示するステップと、
特定の前記楽曲の楽曲名を、前記ディスプレイの中で前記カーソルを用いて選択し、前記特定の楽曲の音楽データ配信元ダウンロードサーバ6のURLに対して接続するとともに、前記特定の楽曲の音楽データのダウンロードを要求するためのダウンロード情報の送信を行うステップと
を有する処理方法。」

2.引用文献2
当審の拒絶理由に引用された国際公開第2006/067871号(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)
(1)「[0061] 図2において、本発明に係る放送受信装置は、概略直方体状のケーシング1内に構成されている。ケーシング1内には、放送を受信するための外部に突出したアンテナ3,操作の補助のための案内、受信情報/受信データ等をユーザに報知するための液晶パネル等を利用した表示部2,ユーザが指示を入力するために操作する種々の操作ボタンを有する操作部4,データ通信用のスロット5,ヘッドフォン(又はイアフォン)を接続するためのヘッドフォンジャック6等が備えられている。なお、ヘッドフォンジャック6にヘッドフォンを接続する場合には、ヘッドフォンに接続されたプラグ6Pがヘッドフォンジャック6に挿入される。
(2)「[0063] 操作部4には、録音(コンテンツ、即ち楽曲データの記録)をユーザが指示するための「REC」ボタン43、録音又は再生の停止をユーザが指示するための「STOP」ボタン44、表示部2上でカーソル2Cを上下左右方向に移動させるための十字キー41、「決定」であることをユーザが指示することによりカーソル2Cで指定した動作を実行させるための「SET」ボタン42等が備えられている。なお、図2には表示部2にメニュー画面が表示されている状態が示されている。このメニュー画面では詳細は後述するが、「放送受信」、「放送局サーチ」、「再生リスト」、「ダウンロード」が選択可能である。また、表示部2をいわゆるタッチパネル方式に構成すれば、操作部4の各種ボタン、キーを削減することが可能になると共に、ユーザにとっての操作を容易にすることが可能になる。
[0064] なお、以下の本発明に係る放送受信装置に関する説明においては、放送コンテンツとは放送を受信することにより得られるコンテンツ(楽曲データ)のことである。また、コンテンツ情報とはたとえば文字多重信号 (文字多重データ)により得られる楽曲データに付属する種々の情報 (たとえば、その楽曲のジャンル,曲名,演奏者,作者等と、そのコンテンツを受信した放送局に関する情報等)である。また、ダウンロードコンテンツとは、データ通信部5を通じてコンピュータから受信した、即ちダウンロードした楽曲データのことであり、この場合のコンテンツ情報とは楽曲データに付随する種々の情報 (たとえば、その楽曲のジャンル,曲名,演奏者,作者等)である。従って、ダウンロードコンテンツのコンテンツ情報には放送局に関する情報は含まれない。」
(3)「[0084] 受信中の放送が文字多重放送でない場合(ステップS35でNO)、MPU13は選択された放送局 (受信中の放送局)の付随情報を放送局情報テーブル12から読み出して表示制御部18の制御により表示部2に表示させる (ステップS36)。一方、受信中の放送が文字多重放送である場合 (ステップS35でYES)、MPU13は受信中の放送を文字多重信号復調部11に復調させることにより、受信中の放送局の付随情報及び受信中のコンテンツのコンテンツ情報(曲名等)を文字情報化し、表示制御部18の制御により図7の模式図に示すように表示部2に表示させる(ステップS37)。
(4)「[0099](再生モードの処理手順)
次に、上述のようにしてHD15Hに記録された各音楽データの再生の際の処理手順(再生モード)について説明する。ユーザが図2の表示部2に表示されているメニュー画面の「再生リスト」を十字キー41の操作で選択して「SET」ボタン42で指定すると、HD15Hに記録されている楽曲データそれぞれのコンテンツ情報が表示部2に一覧表示される。但し、上述のようにユーザが表示部2に表示されている「再生リスト」を指定した場合、後述するように表示部2には「放送局別再生リスト」、「ダウンロード再生リスト」、「ジャンル別再生リスト(放送局 +ダウンロード)」が表示されるので、ユーザが更にそれらの内のいずれかを上述同様にして選択して指定する。
[0100] 以下、図11のMPU13による「再生モード」の際の処理手順を示すフローチャートを参照して説明する。メニュー画面を表示している状態でMPU13はユーザによる操作入力の有無を監視しており(ステップS71でNO)、操作入力があると(ステップS71でYES)、「再生リスト」の指示であるか否かを判断する(ステップS72)。「再生リスト」の指示でなかった場合は(ステップS72でNO)、MPU13は指示された他の処理を実行し(ステップS73)、ステップS71へ処理を戻す。
[0101] 入力された指示が「再生リスト」の指示であった場合(ステップS72でYES)、上述したようにMPU13は「放送局別再生リスト」、「ダウンロード再生リスト」、「ジャンル別再生リスト(放送局+ダウンロード)」の表示を図12(a)の模式図に示すように表示部2に行ない、上述同様にしてユーザの選択指示を受け付ける。
[0102] ユーザがたとえば「放送局別再生リスト」を指示した場合、MPU13はHD15Hに記録されている全ての音楽データの内から、放送局の放送を受信して記録した楽曲データのコンテンツ情報を表示部2に一覧表示する(ステップS74)。図12(b)はその際の表示部2の表示状態を示す模式図である。この例では、放送局別のそれぞれの放送局の放送を受信してHD15Hに記録されている楽曲データのコンテンツ情報(図示例では曲名のみ)がグループ化されて表示される。
(中略)
[0103] なお図12(b)に示されている例では、個々の楽曲が記録された際に放送を受信した放送局名と、コンテンツ情報としての曲名とがそれぞれ表示されている。また図12(c)に示されている例では、一つのジャンル(クラシック)を表示部2の画面に表示しているが、複数のジャンルの曲名を一覧表示することも可能である。また、曲名の後の「/」の後に「ソース」として放送局名が表示されている場合は放送コンテンツを記録したことを意味している。また、「作者」として人名(又はバンド,ユニット名)が表示されている場合はコンピュータからダウンロードコンテンツであることを意味している。但し、その他にキャラクタ,アイコン等を用いてこれらの情報を更に容易にユーザに認識可能にさせるようにしてもよい。」
(5)「[0111] 更に本発明に係る放送受信装置によれば、コンピュータからダウンロードした楽曲データと放送局から受信して記録した楽曲データとを一括して表示させたり、それぞれのソース別に表示させたり、又はジャンル別に表示させたりすることができるので使い勝手が向上する。また、放送を受信しての楽曲の記録及びコンピュータからのダウンロード、更にそれらの楽曲を再生する機能をも有するにも拘わらず、少ない操作ボタンで操作が可能になるので小型化が図れる。」

ア.上記(1)によれば、放送受信装置は表示部2を備えている。
イ.上記(2)及び(3)によれば、放送受信装置は、文字多重放送を受信した場合、コンテンツである楽曲データに加えて、コンテンツ情報として曲名及びそのコンテンツを受信した放送局に関する情報等を得ることができる。
ウ.上記(4)によれば、ユーザが表示部2に表示されているメニュー画面(図2)の「再生リスト」を選択し指定した際に表示される画面(図12(a))において「放送局別再生リスト」を選択し指定した場合、図12(b)のように曲名と放送局名とが放送局毎にグループ化して表示される。
エ.上記(5)によれば、上記ウで説示したように表示させることによって、ユーザの使い勝手が向上する。

したがって、上記(1)ないし(5)の記載事項及び図面並びに上記アないしエを総合勘案すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

「放送受信装置において、ユーザに楽曲を選択させるために曲名を表示部に一覧表示する際に、曲名と受信した放送局名とを放送局毎にグループ化して表示すること。」

第4 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
1.引用発明1おける「楽曲」は、音楽番組の放送内容であるから、本願発明における「オーディオコンテンツ」に相当する。
2.引用発明1における「楽曲名及び音楽配信に関する情報」は、楽曲についての付加的なデータであるから、本願発明における「メタデータ」に相当する。特に、上記「楽曲名」は楽曲を「説明するメタデータ」に相当する。
さらに、引用発明1における上記楽曲名及び上記音楽配信に関する情報は、図5に示されるように、チューナー10の表示・操作部32に表示されているから、「表示可能な」ものでもある。
3.引用発明1における「表示・操作部32」は、本願発明における「表示デバイス」に相当する。
4.引用発明1における「前記受信した複数の楽曲のうち以前にユーザーに出力された楽曲の楽曲名の一覧を表示するとともに、カーソルを移動させることが可能なディスプレイ」は、チューナー10の表示・操作部32に表示されることによって、ユーザーが楽曲の配信情報を確認したり、その確認後に購入希望の楽曲の選択の操作を行うためのものであるから、「ユーザーインターフェース」であるということができる。また、上記ディスプレイは、カーソルを移動させることが可能な点や、表示デバイスに単一の画面すなわち一つの領域として表示される点で、本願発明の「ユーザーインターフェース」と共通している。
5.引用発明1における音楽データ配信元ダウンロードサーバ6に対する接続や、特定の楽曲の音楽データのダウンロードは、インターネットを介して行われるから、引用発明1においても本願発明と同様に「ネットワーク接続を経由して」処理を行っている。
6.上記「第3 引用発明」の「1.ク」において説示したように、引用発明1における「前記特定の楽曲の音楽データ配信元ダウンロードサーバ6のURLに対して接続するとともに、前記特定の楽曲の音楽データのダウンロードを要求するためのダウンロード情報の送信を行う」という処理の後に、音楽データのダウンロード及び課金処理が行われるから、引用発明1における上記処理は、楽曲を「購入するための処理を開始する」ために行うものである。

そうすると、本願発明と引用発明1とは、
「複数の放送チャンネルを経由して受信した複数のオーディオコンテンツをユーザーに出力し、該ユーザーに出力された複数のオーディオコンテンツに関連する表示可能なメタデータを記憶するステップと、
前記受信した複数のオーディオコンテンツのうち以前にユーザーに出力されたオーディオコンテンツを説明するメタデータを表示するユーザーインターフェースを、カーソルを移動させることが可能な1つの領域の中で、表示デバイスにより表示するステップと、
特定の前記オーディオコンテンツを説明するメタデータを、前記1つの領域の中で前記カーソルを用いて選択し、ネットワーク接続を経由して前記特定のオーディオコンテンツを購入するための処理を開始するステップと
を有する処理方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
ユーザーインターフェースが、本願発明においては、受信した複数のオーディオコンテンツのうち以前にユーザーに出力されたオーディオコンテンツを説明するメタデータと該オーディオコンテンツが送信された放送チャンネルとをともに表示するものであって、かつ、放送チャンネル毎にグループ化して表示するものであるのに対して、引用発明1においては、前記受信した複数のオーディオコンテンツのうち以前にユーザーに出力されたオーディオコンテンツを説明するメタデータを表示するものであるが、該オーディオコンテンツが送信された放送チャンネルは表示しておらず、かつ、放送局毎にグループ化して表示していない点。

[相違点2]
本願発明は「モバイルメディアデバイス」が実行する処理方法であるのに対して、引用発明1は「チューナー及び通信機能付きHDDレコーダーを備えたシステムコンポ」が実行する処理方法である点。

第5 判断
1.相違点について
相違点1について検討すると、引用発明1と引用発明2は、文字多重放送を受信する装置に関連する技術である点で技術分野が共通する。また、引用発明1も引用発明2も、ユーザーに負担がかからないようにするという点で解決しようとする課題も共通する。したがって、引用発明1において、ユーザーインターフェースの使い勝手を向上させるために、引用発明2のように、曲名と受信した放送局名とを放送局毎にグループ化して表示するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
次に相違点2について検討すると、一般的に言って、システムコンポは室内等に据え置いて使用するものであるが、上記「第3 引用発明」の「1.コ」で説示したように、引用文献1にはシステムコンポに限定されるものではない旨の記載があり、かつ、文字多重放送を受信可能なチューナー、通信機能、並びに記録媒体を備えたデバイスとして、ポータブル音楽プレーヤーやカーオーディオ装置といったモバイルメディアデバイスは、例えば、引用文献2([0002]-[0008]、[0060]-[0069])、及び、当審の拒絶理由において周知技術を示す文献として引用された特開2004-193726号公報(【0030】-【0037】)に記載されているように周知であるから、引用発明1において、システムコンポに代えてモバイルメディアデバイスが実行するようにすることは、当業者にとって格別の技術的困難性を伴うことではない。
そして、本願発明の効果も、引用発明1及び引用発明2並びに周知技術の効果に基づいて当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別のものとはいえない。

2.審判請求人の主張について
審判請求人は、平成28年11月25日付け意見書において、
「引用文献2では、オーディオコンテンツ自体を記録しているので、そのオーディオコンテンツのメタデータを使って、オーディオコンテンツを購入する必要はありません。「ユーザーに出力された複数のオーディオコンテンツに関連する表示可能なメタデータを記憶」し、別途、オーディオコンテンツを購入するようなことは、引用文献2において想定されていません。」
と主張している。
しかしながら、引用発明2は、ユーザーが楽曲を選択する際の使い勝手を向上させるための発明であり、楽曲の選択がなされる前後の処理の内容によって、引用発明2の内容や効果が変わるものではないから、引用文献2において審判請求人が主張するような想定がなされていないからといって、引用発明2を引用発明1と組み合わることができないとはいえない。
したがって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-12-26 
結審通知日 2017-01-04 
審決日 2017-01-17 
出願番号 特願2012-517610(P2012-517610)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G10K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 雅博  
特許庁審判長 森川 幸俊
特許庁審判官 國分 直樹
井上 信一
発明の名称 処理方法、コンピュータプログラム及びモバイルメディアデバイス  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 大貫 進介  

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