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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10L
管理番号 1328861
審判番号 不服2014-25011  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-05 
確定日 2017-06-07 
事件の表示 特願2012-263597「高周波数領域の符号化及び復号化の方法並びに装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月 4日出願公開、特開2013- 61671〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2008年2月29日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2007年4月30日 韓国(KR))を国際出願日として出願した特願2010-506031号の一部を平成24年11月30日に新たな出願としたものであって、平成26年1月6日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年7月14日付けで手続補正がなされたが、同年7月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月5日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされた。
その後、当審の平成27年10月8日付け拒絶理由通知に対する応答時、平成28年4月13日付けで手続補正がなされ、さらに当審の平成28年5月31日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時、同年12月7日付けで手続補正がなされたものである。

2.当審の拒絶の理由
当審において平成28年5月31日付けで通知した拒絶理由は、
「本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていない。」
というものであって、具体的には以下のような記載不備に関する指摘事項を含むものである。

(1)指摘事項1として
「請求項1において、『前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記検出された主要な周波数成分が含まれたバンドと前記検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対して相異なる処理を行う段階とを含み、前記相異なる処理を行う段階は、前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記検出された主要な周波数成分が含まれたバンドについて、前記検出された主要な周波数成分を符号化する・・』とあり、
(a)検出された主要な周波数成分が含まれたバンドと検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対して相異なる処理を行うとあるが、検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対しはどのような処理(符号化)が行われるものであるのかが不明であり、『相異なる処理』とすることの技術的意義も明らかでなく、
(b)さらに、上記記載によれば、検出された主要な周波数成分が含まれたバンドについては、検出された主要な周波数成分を符号化するのみでよいようにも解されるが、発明の詳細な説明には、検出された主要な周波数成分を符号化するのみでよいとする記載はなく、また、そもそも検出された主要な周波数成分を符号化するのみでは、復号装置において、検出された主要な周波数成分が含まれたバンドを適切に復元できないものと解され、上記記載のみでは『符号化方法』として不完全なものであるといえる。
これらの点において、請求項1に係る発明は技術的にみて明確なものでないとともに、発明の詳細な説明に記載されたものとも認められない。」

(2)指摘事項2として
「請求項3において、『既設定の周波数より高い領域のうち、既設定の基準によって検出して符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドと含まれていないバンドに対して相異なる処理を行う段階と、・・・・前記相異なる処理を行う段階は、前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドについて、前記符号化された主要な周波数成分を復号化する・・』とあるが、上記1.と同様に、
(a)既設定の基準によって検出して符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドと含まれていないバンドに対して相異なる処理を行うとあるが、符号化された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対しはどのような処理(復号化)が行われるものであるのかが不明であり、『相異なる処理』とすることの技術的意義も明らかでなく、
(b)さらに、上記記載によれば、符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドについては、符号化された主要な周波数成分を復号化するのみでよいようにも解されるが、発明の詳細な説明には、符号化された主要な周波数成分を復号化するのみでよいとする記載はなく、また、そもそも符号化された主要な周波数成分を復号化するのみでは、主要な周波数成分が含まれたバンドを適切に復元できないものと解され、上記記載のみでは『復号化方法』として不完全なものであるといえる。
これらの点において、請求項3に係る発明は技術的にみて明確なものでないとともに、発明の詳細な説明に記載されたものとも認められない。」

3.本願特許請求の範囲について
当審の平成28年5月31日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時に提出された平成28年12月7日付け手続補正書に記載した特許請求の範囲は、次のとおりである。
「【請求項1】
音声または音楽信号を既設定の周波数より低い領域の信号と既設定の周波数より高い領域の信号に分割する段階と、
前記既設定の周波数より低い領域の信号を符号化する段階と、
前記既設定の周波数より高い領域の信号について、既設定の基準によって、主要な周波数成分を検出する段階と、
前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記検出された主要な周波数成分が含まれたバンドと前記検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対して相異なる処理を行う段階とを含み、
前記相異なる処理を行う段階は、前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記検出された主要な周波数成分が含まれたバンドについて、前記検出された主要な周波数成分とエネルギーに基づき符号化処理を行い、前記検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、前記既設定の周波数より低い領域の信号に基づき符号化処理を行うことを特徴とする音声または音楽信号の符号化方法。
【請求項2】
既設定の周波数より低い領域の符号化された信号を復号化する段階と、
既設定の周波数より高い領域のうち、既設定の基準によって検出して符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドと含まれていないバンドに対して相異なる処理を行う段階と、
前記既設定の周波数より低い領域の復号化された結果と前記既設定の周波数より高い領域の処理結果とを合成する段階とを含み、
前記相異なる処理を行う段階は、前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドについて、前記符号化された主要な周波数成分とエネルギーに基づき復号化処理を行い、前記符号化された主要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、前記既設定の周波数より低い領域の符号化された周波数成分に基づき復号化処理を行うことを特徴とする音声または音楽信号の復号化方法。」

4.当審の判断
(1)指摘事項1に関して
上記「2.(1)」に記載したとおりの指摘に対して、請求人は平成28年12月7日付け意見書において、
「請求項1の指摘に対して、補正後の請求項1に記載の『前記検出された主要な周波数成分が含まれたバンドと前記検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対して相異なる処理を行う段階』を『前記検出された主要な周波数成分が含まれたバンドについて、前記検出された主要な周波数成分とエネルギーに基づき符号化処理を行い、前記検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、前記既設定の周波数より低い領域の信号に基づき符号化処理を行う』というように、相異なる処理に対応する箇所を具体的に記載しました。この補正により、検出された主要な周波数成分が含まれたバンドと含まれていないバンドに対する符号化処理が明確に理解できるものと思料します。・・・・これらの補正により、補正後の請求項の記載は明確であり、発明の詳細な説明に記載されているものと思料します。」などと述べている。

しかしながら、特に、検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対する符号化処理について、補正後の請求項1の「・・前記検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、前記既設定の周波数より低い領域の信号に基づき符号化処理を行う・・」なる記載では、既設定の周波数より低い領域の信号にどのように基づいて行うのか、発明の詳細な説明の記載を参照しても不明であり、依然として、検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対してどのような符号化処理が行われるものであるのかが技術的にみて明らかでない。
また、請求人が補正の根拠として挙げている明細書の段落【0020】には「・・重要な周波数成分が検出されていないバンドを復元するために、高周波数信号を符号化する。・・」と記載され、さらに、例えば段落【0025】には「帯域幅拡張符号化部135は、低周波数信号を利用し、周波数成分検出部115で検出された周波数成分が含まれていないバンドを復元するために、信号を符号化する。帯域幅拡張符号化部135で信号を符号化するにおいて、低周波数信号を利用して高周波数信号を復号化できる情報を生成して符号化する。」と記載されており、発明の詳細な説明には、検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対する符号化処理について、低周波数信号(既設定の周波数より低い領域の信号)を利用して高周波数信号(既設定の周波数より高い領域の信号)を復元するための情報(通常、高周波数信号のバンド毎のゲイン情報あるいはエンベロープ情報)を符号化することが記載されているといえるものの、少なくとも補正後の請求項1に記載のように「前記既設定の周波数より低い領域の信号に基づき」行うことは記載されていない。

したがって、依然として指摘事項1のうちの(a)に関する記載不備は解消しておらず、請求項1に係る発明は、技術的にみて明確なものでないとともに、発明の詳細な説明に記載されたものとも認められない。

(2)指摘事項2に関して
上記「2.(2)」に記載したとおりの指摘に対して、請求人は平成28年12月7日付け意見書において、
「請求項3の指摘に対して、補正後の請求項2に記載の『既設定の周波数より高い領域のうち、既設定の基準によって検出して符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドと含まれていないバンドに対して相異なる処理を行う段階』を『前記既設定の周波数より高い領域のうち、前記符号化された主要な周波数成分が含まれたバンドについて、前記符号化された主要な周波数成分とエネルギーに基づき復号化処理を行い、前記符号化された主要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、前記既設定の周波数より低い領域の符号化された周波数成分に基づき復号化処理を行う』というように、相異なる処理に対応する箇所を具体的に記載しました。この補正により、主要な周波数成分が含まれたバンドと含まれていないバンドに対する復号化処理が明確に理解できるものと思料します。・・・・これらの補正により、補正後の請求項の記載は明確であり、発明の詳細な説明に記載されているものと思料します。」などと述べている。

しかしながら、特に、検出された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対する復号化処理について、補正後の請求項2(補正前の請求項3に対応)の「・・前記符号化された主要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、前記既設定の周波数より低い領域の符号化された周波数成分に基づき復号化処理を行う・・」なる記載では、既設定の周波数より低い領域の符号化された周波数成分のみに基づいて復号化処理するものであるかのように解されるところ、既設定の周波数より低い領域の符号化された周波数成分にどのように基づいて行うのかが不明であり、依然として、符号化された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対してどのような復号化処理が行われるものであるのかが技術的にみて明らかでない。
また、請求人が補正の根拠として挙げている明細書の段落【0031】には単に「・・また、重要な周波数成分が含まれていないバンドの場合、高周波数信号復号化部210は、低周波数信号を利用し、高周波数信号を復号化する。・・」と記載されているものの、例えば段落【0038】には「帯域幅拡張復号化部240は、低周波数信号復号化部205で復号化された低周波数信号を利用し、高周波数信号のうち、周波数成分復号化部215で復号化された周波数成分を含まないバンドを復元するための信号を復号化する。」と記載されており、技術常識も考慮すると、発明の詳細な説明には、符号化された主要な周波数成分が含まれていないバンドに対する復号化処理について、符号化された低周波数信号を利用して高周波数信号を復元するための情報(通常、高周波数信号のバンド毎のゲイン情報あるいはエンベロープ情報)を復号化し、そして、復号化された低周波数信号を利用して高周波数信号の各バンドを復元することが記載されているといえ、少なくとも上述したように「前記既設定の周波数より低い領域の復号化された周波数成分」のみに基づき行うことは記載されていない。

したがって、依然として指摘事項2のうちの(a)に関する記載不備は解消しておらず、請求項2に係る発明は、技術的にみて明確なものでないとともに、発明の詳細な説明に記載されたものとも認められない。

5.むすび
以上のとおり、本件出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号・第2号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-06 
結審通知日 2017-01-10 
審決日 2017-01-23 
出願番号 特願2012-263597(P2012-263597)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (G10L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五貫 昭一  
特許庁審判長 森川 幸俊
特許庁審判官 酒井 朋広
井上 信一
発明の名称 高周波数領域の符号化及び復号化の方法並びに装置  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  

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