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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1328957
審判番号 不服2016-19056  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-20 
確定日 2017-06-27 
事件の表示 特願2013-208319「ゲーム装置、ゲームシステム、コンピュータ、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月16日出願公開、特開2015- 70952、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月3日に出願したものであって、平成28年3月11日付けで手続補正がされ、同年9月12日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月20日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成28年9月12日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 1?5、13?16
・引用文献等 1、2
(審決注:「請求項16」は、「請求項15」の誤記。)

・請求項 6、7、9?12
・引用文献等 1?3

請求項8に係る発明は、拒絶の理由を発見しない。

<引用文献等一覧>
1.特開2007-260012号公報
2.特開2013-13672号公報
3.特開2005-319175号公報


第3 平成28年12月20日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)から下記(2)へと補正することを含むものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるゲーム装置であって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該操作の開始から終了まで検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始から終了までの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の終了時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記指示内容決定部は、
前記操作対象オブジェクトが前記受手対象オブジェクトと所定の関係性を有するとき、前記指示内容を、当該関係性をも考慮して決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記操作対象選択部によって操作対象オブジェクトが選択された場合に、
前記表示制御部は、
前記第2候補オブジェクトを、当該操作対象オブジェクトの関係性が識別可能となるように表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記第1候補オブジェクトのオブジェクトごとに、予め1以上の指示内容と前記指示内容の軌跡パターンとが対応付けられており、
前記操作対象選択部によって操作対象オブジェクトが選択されたとき、
前記表示制御部は、
当該操作対象オブジェクトに対応付けられた前記指示内容の軌跡パターンを前記表示領域に表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
当該操作対象オブジェクトに対応付けられた前記指示内容の軌跡パターンを所定の基準に基づいて選択して表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
予め1以上の指示内容と、前記指示内容に対応する軌跡パターンとが設定されており、
前記指示内容決定部は、
前記操作検出部によって検出された入力操作の開始から終了までの移動軌跡と、前記指示内容の一の軌跡パターンとの類似度に応じて、前記指示内容を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記指示内容決定部は、 前記操作検出部によって検出された入力操作の開始から終了までの移動軌跡のうち、前記表示領域における第3領域における移動軌跡に基づいて前記指示内容を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、
前記第3領域のサイズを、所定の条件に基づいて変動させる
ことを特徴とする請求項7に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記受手対象選択部は、
前記操作対象オブジェクトと所定の関係にある第2候補オブジェクトについては、選択を制限する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項10】
前記第1候補オブジェクトのオブジェクトごとに遊技情報が対応付けられており、
前記指示内容決定部は、前記操作対象選択部によって操作対象オブジェクトが選択された場合に、当該操作対象オブジェクトの遊技情報に応じて前記指示内容を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項11】
前記操作検出部は、前記入力デバイスに対する入力操作が複数であるか否かを判別し、
前記操作検出部によって入力操作が複数であると判別された場合、
前記操作対象選択部は、複数の操作対象オブジェクトを当該複数の入力操作の開始時における位置情報の各々に基づいて選択し、
前記指示内容決定部は、複数の操作対象オブジェクトの各々に対する指示内容を、当該複数の入力操作に基づいた移動軌跡の各々に基づいて決定し、
前記受手対象選択部は、1以上の受手対象オブジェクトを、当該複数の入力操作の終了時における位置情報の各々に基づいて選択する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項12】
前記入力操作が複数であると判別された場合に、当該複数の入力操作の各々に基づいて同じ受手対象オブジェクトが選択されたとき、
前記指示内容決定部は、
前記選択された各々の操作対象オブジェクトに対する指示内容を、変更する
ことを特徴とする請求項11に記載のゲーム装置。
【請求項13】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるゲームシステムであって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該操作の開始から終了まで検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始から終了までの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の終了時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
を有することを特徴とするゲームシステム。
【請求項14】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるコンピュータであって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該操作の開始から終了まで検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始から終了までの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の終了時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
を有することを特徴とするコンピュータ。
【請求項15】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるコンピュータを、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該操作の開始から終了まで検出する操作検出部、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作の開始から終了までの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作の終了時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部、および、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部、
として機能させるプログラム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるゲーム装置であって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記指示内容決定部は、
前記操作対象オブジェクトが前記受手対象オブジェクトと所定の関係性を有するとき、前記指示内容を、当該関係性をも考慮して決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記操作対象選択部によって操作対象オブジェクトが選択された場合に、
前記表示制御部は、
前記第2候補オブジェクトを、当該操作対象オブジェクトの関係性が識別可能となるように表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記第1候補オブジェクトのオブジェクトごとに、予め1以上の指示内容と前記指示内容の軌跡パターンとが対応付けられており、
前記操作対象選択部によって操作対象オブジェクトが選択されたとき、
前記表示制御部は、
当該操作対象オブジェクトに対応付けられた前記指示内容の軌跡パターンを前記表示領域に表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
当該操作対象オブジェクトに対応付けられた前記指示内容の軌跡パターンを所定の基準に基づいて選択して表示させる
ことを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
予め1以上の指示内容と、前記指示内容に対応する軌跡パターンとが設定されており、
前記指示内容決定部は、
前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの移動軌跡と、前記指示内容の一の軌跡パターンとの類似度に応じて、前記指示内容を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記指示内容決定部は、 前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの移動軌跡のうち、前記表示領域における第3領域における移動軌跡に基づいて前記指示内容を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、
前記第3領域のサイズを、所定の条件に基づいて変動させる
ことを特徴とする請求項7に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記受手対象選択部は、
前記操作対象オブジェクトと所定の関係にある第2候補オブジェクトについては、選択を制限する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項10】
前記第1候補オブジェクトのオブジェクトごとに遊技情報が対応付けられており、
前記指示内容決定部は、前記操作対象選択部によって操作対象オブジェクトが選択された場合に、当該操作対象オブジェクトの遊技情報に応じて前記指示内容を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項11】
前記操作検出部は、前記入力デバイスに対する入力操作が複数であるか否かを判別し、
前記操作検出部によって入力操作が複数であると判別された場合、
前記操作対象選択部は、複数の操作対象オブジェクトを当該複数の入力操作のタッチオン時における位置情報の各々に基づいて選択し、
前記指示内容決定部は、複数の操作対象オブジェクトの各々に対する指示内容を、当該複数の入力操作に基づいた移動軌跡の各々に基づいて決定し、
前記受手対象選択部は、1以上の受手対象オブジェクトを、当該複数の入力操作のタッチオフ時における位置情報の各々に基づいて選択する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項12】
前記入力操作が複数であると判別された場合に、当該複数の入力操作の各々に基づいて同じ受手対象オブジェクトが選択されたとき、
前記指示内容決定部は、
前記選択された各々の操作対象オブジェクトに対する指示内容を、変更する
ことを特徴とする請求項11に記載のゲーム装置。
【請求項13】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるゲームシステムであって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
を有することを特徴とするゲームシステム。
【請求項14】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるコンピュータであって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
を有することを特徴とするコンピュータ。
【請求項15】
表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるコンピュータを、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部、
前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部、および、
前記受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部と、
として機能させるプログラム。」(下線は平成28年12月20日付けの手続補正書のとおり。)

2 補正の適否
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1、13?15の「操作検出部」に関して、「当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部」と具体的に特定し、請求項1、13?15の「操作対象選択部」に関して、「前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部」と具体的に特定し、請求項1、13?15の「指示内容決定部」に関して、「前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部」と具体的に特定し、請求項1、13?15の「受手対象選択部」に関して、「前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部」と具体的に特定し、請求項6及び請求項7の「移動軌跡」に関して、「タッチオンからタッチオフまでの移動軌跡」と具体的に特定し、請求項11の「操作対象選択部」に関して、「操作対象選択部は、複数の操作対象オブジェクトを当該複数の入力操作のタッチオン時における位置情報の各々に基づいて選択し」と具体的に特定し、請求項11の「受手対象選択部」に関して、「受手対象選択部は、1以上の受手対象オブジェクトを、当該複数の入力操作のタッチオフ時における位置情報の各々に基づいて選択する」と具体的に特定したものであるから、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、特許法第17条の2第3項乃至第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1乃至15に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明
本願請求項1乃至15係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明15」という。)は、平成28年12月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項15に記載された事項により特定される、上記「第3 1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」に記載したとおりのものと認める。


第5 引用刊行物等
(1)刊行物1
本願の出願日前の平成19年10月11日に頒布された特開2007-260012号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
ア「【請求項14】
複数のキャラクタで構成されるプレーヤチーム及び敵チームが戦闘するゲームを実行するゲーム装置であって、
前記プレーヤチームの各キャラクタそれぞれを表す識別画像と前記敵チームの各キャラクタそれぞれを表す識別画像とを表示するキャラ画像表示制御手段と、
プレーヤによる所定の基準キャラ選択操作に従って、前記プレーヤチーム及び/又は敵チームを構成するキャラクタの中から基準キャラクタを択一的に選択する基準キャラ選択手段と、
前記選択された基準キャラクタと、当該基準キャラクタの相手チームのキャラクタとの戦闘相性を、前記各キャラクタそれぞれに予め設定されている既定パラメータに基づいて判定する戦闘相性判定手段と、
前記戦闘相性判定手段により判定された戦闘相性に従って、前記キャラ画像表示制御手段によって表示制御された前記基準キャラクタの識別画像と当該基準キャラクタの相手チームのキャラクタの識別画像間に所定の表示体を表示することで、前記基準キャラクタを基準とする戦闘相性を表示する戦闘相性表示制御手段と、
プレーヤの操作入力に従って、前記プレーヤチームの攻撃として、前記プレーヤチームを構成するキャラクタの中から攻撃キャラクタを、前記敵チームを構成するキャラクタの中から攻撃対象キャラクタを指定するプレーヤ攻撃指定手段と、
前記敵チームの攻撃として、前記敵チームを構成するキャラクタの中から攻撃キャラクタを、前記プレーヤチームを構成するキャラクタの中から攻撃対象キャラクタを決定する敵キャラ攻撃決定手段と、
前記各キャラクタそれぞれに予め設定されている既定パラメータと、前記プレーヤ攻撃指定手段により指定された前記プレーヤチームの攻撃と、前記敵キャラ攻撃決定手段により決定された前記敵チームの攻撃とに基づいて前記各キャラクタの戦闘を制御するキャラ戦闘制御手段と、
を備えたゲーム装置。」
イ「【0040】
また、携帯型ゲーム装置1000は、CPUやICメモリ類を搭載した制御ユニット14、外部機器とデータ通信を行うための通信装置16、カートリッジ30の読取装置等を内蔵する。制御ユニット14に搭載されたCPUは、ICメモリやカートリッジ30から読み出したプログラムやデータ、タッチパネル110により検出されたタッチ操作位置、操作ボタン5から入力される操作信号等に基づいて種々のゲーム処理を実行し、ゲーム画面の画像信号及びゲーム音の音信号を生成する。そして、生成した画像信号をディスプレイ1A,1Bに出力してゲーム画面を表示させるとともに、音信号をスピーカ3に出力してゲーム音を出力させる。プレーヤは、ディスプレイ1A,1Bに表示されるゲーム画面を見ながら、操作ボタン5を操作或いはディスプレイ1B上をタッチ操作して戦闘ゲームを楽しむ。
【0041】
ここで、タッチパネル110のタッチ操作を次のように定義する。即ち、タッチパネル110にスタイラスペン20等を当接させる操作のことを「タップイン」といい、当接させているスタイラスペン20等をタッチパネル110から離す操作を「タップアウト」という。また、タップイン操作の後、タッチパネル110に対する当接状態を維持したままでスタイラスペン20等を移動させる摺動操作のことを「スライド操作」という。

【0045】
また、同図(b)によれば、ディスプレイ1Bには、プレーヤが各プレーヤキャラクタの攻撃対象のキャラクタを選択するための画面(攻撃対象選択画面)が表示されている。攻撃対象選択画面には、プレーヤキャラクタPC1?PC3及び敵キャラクタEC1?EC3それぞれについて、該キャラクタを表すキャラ画像CP1?CP3及びキャラ画像CP11?CP13(以 下、包括的に「キャラ画像CP」という)と、属性PRと、現在の体力値HPとが表示されている。また、画面右側には、プレーヤチームと敵チームとの戦闘開始を指示する戦闘開始アイコンIC1と、戦闘相性の表示モードを指定する表示相性アイコンIC2とが表示されている。」
ウ「【0063】
また、図7(a)に示すように、プレーヤキャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP1?CP3をタッチしたまま、敵キャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP11?CP13の何れかの位置までスライド操作してタップアウト(いわゆる「ドラッグ・アンド・ドロップ」に相当する操作)すると、タップアウトした位置のキャラ画像CP11?CP13の敵キャラクタが、プレーヤキャラクタの攻撃対象のキャラクタとして決定される。そして、同図(b)に示すように、表示されていた相性表示体OBが消去され、該当する基準キャラクタのキャラ画像CP(基準キャラ画像)と攻撃対象キャラクタのキャラ画像CP(攻撃対象キャラ画像)との間に、攻撃対象として決定されたことを示す攻撃ラインLNが表示される。
【0064】
即ち、同図(a)は、キャラ画像CP3をタッチしたまま、キャラ画像CP12の位置までスライド操作し、タップアウトした場合であり、敵キャラクタEC2がプレーヤキャラクタPC3の攻撃対象として決定される。そして、同図(b)に示すように、キャラ画像CP3,CP12を結ぶ攻撃ラインLNが表示される。」
エ 上記イ、図1及び図2(b)より、タッチパネルからなるディスプレイであって、2以上のプレーヤキャラクタを上部の領域に、2以上の敵キャラクタを下部の領域に、表示し、これらからなるゲーム画面を表示したディスプレイが看取できる。
オ 上記ウ及び図7(a)より、プレーヤキャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP1?CP3の何れかをタッチしたまま、敵キャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP11?CP13の何れかの位置までスライド操作することが看取できる。

そうすると、上記ア乃至オの記載事項から、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「タッチパネルからなるディスプレイにより検出されたタッチ操作位置、操作ボタンから入力される操作信号等に基づいて種々のゲーム処理を実行し、ゲーム画面の画像信号及びゲーム音の音信号を生成し、
複数のキャラクタで構成されるプレーヤチーム及び敵チームが戦闘するゲームを実行するゲーム装置であって、
前記プレーヤチームの各キャラクタそれぞれを表す識別画像と前記敵チームの各キャラクタそれぞれを表す識別画像とを、2以上のプレーヤキャラクタを上部の領域に、2以上の敵キャラクタを下部の領域に、表示し、これらからなるゲーム画面をディスプレイに表示するキャラ画像表示制御手段と、
プレーヤによる所定の基準キャラ選択操作に従って、前記プレーヤチーム及び/又は敵チームを構成するキャラクタの中から基準キャラクタを択一的に選択する基準キャラ選択手段と、
前記選択された基準キャラクタと、当該基準キャラクタの相手チームのキャラクタとの戦闘相性を、前記各キャラクタそれぞれに予め設定されている既定パラメータに基づいて判定する戦闘相性判定手段と、
前記戦闘相性判定手段により判定された戦闘相性に従って、前記キャラ画像表示制御手段によって表示制御された前記基準キャラクタの識別画像と当該基準キャラクタの相手チームのキャラクタの識別画像間に所定の表示体を表示することで、前記基準キャラクタを基準とする戦闘相性を表示する戦闘相性表示制御手段と、
プレーヤの操作入力に従って、前記プレーヤチームの攻撃として、前記プレーヤチームを構成するキャラクタの中から攻撃キャラクタを、前記敵チームを構成するキャラクタの中から攻撃対象キャラクタを指定するプレーヤ攻撃指定手段と、
前記敵チームの攻撃として、前記敵チームを構成するキャラクタの中から攻撃キャラクタを、前記プレーヤチームを構成するキャラクタの中から攻撃対象キャラクタを決定する敵キャラ攻撃決定手段と、
前記各キャラクタそれぞれに予め設定されている既定パラメータと、前記プレーヤ攻撃指定手段により指定された前記プレーヤチームの攻撃と、前記敵キャラ攻撃決定手段により決定された前記敵チームの攻撃とに基づいて前記各キャラクタの戦闘を制御するキャラ戦闘制御手段と、
を備えたゲーム装置であって、
プレーヤキャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP1?CP3の何れかをタッチしたまま、敵キャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP11?CP13の何れかの位置までスライド操作してタップアウト(いわゆる「ドラッグ・アンド・ドロップ」に相当する操作)すると、タップアウトした位置のキャラ画像CP11?CP13の敵キャラクタが、プレーヤキャラクタの攻撃対象のキャラクタとして決定される、ゲーム装置。」

(2)刊行物2
本願の出願日前の平成25年1月24日に頒布された特開2013-13672号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
ア「【請求項1】
ユーザの動作から所定の移動操作を検知する検知部、
前記検知された移動操作の軌跡の長さもしくは速度から、対象情報に対する操作量を取得する操作量取得部、
前記取得された操作量に基づいて、前記対象情報を変化させる変化部、
前記変化後の対象情報に基づいて、画面に表示すべき表示情報を取得する表示情報取得部、
前記取得された表示情報を前記画面に表示する表示部
を備え、
前記操作量取得部は、
(a)前記検知された移動操作の軌跡と、当該検知された移動操作の直前に検知された移動操作の軌跡とが、類似しない場合、前記検知された移動操作の軌跡の長さもしくは速度にあらかじめ対応付けられる既定値を前記操作量として取得し、
(b)前記検知された移動操作の軌跡と、当該検知された移動操作の直前に検知された移動操作の軌跡とが、類似する場合、前記検知された移動操作の軌跡の長さもしくは速度にあらかじめ対応付けられる既定値より大きい値を前記操作量として取得する
ことを特徴とする情報表示装置。

【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報表示装置であって、
前記検知部は、前記画面に対する前記ユーザの接触の有無から、前記画面に対する前記ユーザのなぞり動作を取得し、当該取得されたなぞり動作を前記移動操作とする
ことを特徴とする情報表示装置。」
イ「【0037】
また、本発明の情報表示装置において、検知部は、画面に対するユーザの接触の有無から、当該画面に対する当該ユーザのなぞり動作を取得し、当該取得されたなぞり動作を移動操作とすることができる。
【0038】
つまり、本発明においては、画面としてタッチスクリーンを採用することができる。この場合、ユーザは、この画面上に指先やタッチペンのペン先などを接触させた状態で移動させる。一方、検知部は、画面上における、指先やペン先などが接触している位置(以下、「タッチ位置」という。)を所定周期毎に監視することにより、なぞり操作を検知する。ここで、なぞり操作とは、例えば、ユーザの指先やタッチペンのペン先が画面上に接している状態で、指先やペン先が画面上を移動する操作のことをいう。なお、タッチ位置は、例えば、画面上における直交座標で表される。また、なぞり操作は、例えば、タッチ位置とこのタッチ位置の検知時刻との組の集合により表される。」
ウ「【0163】
ここで、ユーザは、味方キャラクタ901に敵キャラクタ902を攻撃させたい場合、攻撃の種類に対応付けられている軌跡を描くように、タッチスクリーン108に対してなぞり操作を行う。なお、最新のなぞり操作が検知されてから所定の猶予期間が経過するまでの間、タッチスクリーン108には、この最新のなぞり操作の軌跡を表す軌跡画像920が表示される。

【0166】
なぞり操作の軌跡は、味方キャラクタ901に攻撃を出させるためにユーザが実行すべきなぞり操作の軌跡である。」
エ 上記イより、「なぞり動作」と「なぞり操作」は、共通の概念であることは明らかである。

そうすると、上記ア乃至エの記載事項から、刊行物2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「ユーザの動作から所定の移動操作を検知する検知部、
前記検知された移動操作の軌跡の長さもしくは速度から、対象情報に対する操作量を取得する操作量取得部、
前記取得された操作量に基づいて、前記対象情報を変化させる変化部、
前記変化後の対象情報に基づいて、画面に表示すべき表示情報を取得する表示情報取得部、
前記取得された表示情報を前記画面に表示する表示部
を備え、
前記操作量取得部は、
(a)前記検知された移動操作の軌跡と、当該検知された移動操作の直前に検知された移動操作の軌跡とが、類似しない場合、前記検知された移動操作の軌跡の長さもしくは速度にあらかじめ対応付けられる既定値を前記操作量として取得し、
(b)前記検知された移動操作の軌跡と、当該検知された移動操作の直前に検知された移動操作の軌跡とが、類似する場合、前記検知された移動操作の軌跡の長さもしくは速度にあらかじめ対応付けられる既定値より大きい値を前記操作量として取得する、情報表示装置であって、
前記検知部は、前記画面に対する前記ユーザの接触の有無から、前記画面に対する前記ユーザのなぞり動作を取得し、当該取得されたなぞり動作を前記移動操作とし、
ユーザは、味方キャラクタに敵キャラクタを攻撃させたい場合、攻撃の種類に対応付けられている軌跡を描くように、タッチスクリーンに対してなぞり動作を行い、味方キャラクタに攻撃を出させる、情報表示装置。」

(3)刊行物3
本願の出願日前の平成17年11月17日に頒布された特開2005-319175号公報(以下「刊行物3」という。)には、以下の記載がある。
ア「【請求項1】
ゲーム画像を表示するためのディスプレイと、
プレーヤが操作入力を行うためのタッチパネルディスプレイと、
前記タッチパネルディスプレイにプレーヤにより描かれた軌跡形状と、コマンドに割り当てられたコマンド割り当て形状とのマッチング処理を行って、コマンドの認識処理を行うコマンド認識部と、
コマンド入力の制限時間をカウントするカウント部と、
前記制限時間内に認識されたコマンドにより指定されるアクションイベントを発生するイベント発生部と、
アクションイベントが発生した場合に、発生したアクションイベントの画像を前記ディスプレイに表示する制御を行う表示制御部と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。

【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記コマンド認識部が、
前記軌跡形状と前記コマンド割り当て形状との類似度を演算し、
前記イベント発生部が、
前記軌跡形状と前記コマンド割り当て形状との類似度が高いほど、コマンドにより発生するアクションイベントにおける攻撃力パラメータ値、防御力パラメータ値及び回復力パラメータ値の少なくとも1つを大きくすることを特徴とするゲーム装置。」
イ「【0068】
2.1 タッチパネルディスプレイによるコマンド入力
本実施形態により実現されるゲームでは、タッチパネルディスプレイに魔法コマンドの形状を描き、描かれた魔法コマンドでシューティングを行って敵を倒すことでゲームが進行する。例えばプレーヤが図3(A)のような軌跡形状をタッチパネルディスプレイ191に指やペンで描き、この軌跡形状が、特定の魔法コマンドに割り当てられるコマンド割
り当て形状にマッチング(一致)すると、その魔法コマンドの入力が認識される。具体的には、ディスプレイ190のプレーヤキャラクタPCHの前に魔法弾の画像が現れ、魔法が受理されたことを表示する。この時、例えば魔法が決定したことを音などで知らせてもよい。そしてその魔法の攻撃アクションが発生し、図3(B)に示すように、プレーヤキャラクタPCHが発射した魔法弾がターゲットオブジェクトTOBにヒットしている様子を示す画像がディスプレイ190に表示される。」
ウ「【0085】
また例えば図3(A)のようにコマンドを入力した後、図7(A)のような線分形状を複数回描いた場合に、攻撃(或いは防御、回復)アクションが複数回行われるようにしてもよい。即ち連続弾が飛ぶようにする。この場合、軌跡形状とコマンド割り当て形状との類似度(一致の正確性)に基づいて、攻撃アクションの発生回数(発生可能回数)を制御してもよい。例えば、類似度が高いほど、より多くの回数の攻撃アクションが発動できるようにする。このようにすることで、類似度が高くなるように正確に描くことの効果的な動機づけを、プレーヤに与えることができる。


そうすると、上記ア乃至ウの記載事項から、刊行物3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。

「ゲーム画像を表示するためのディスプレイと、
プレーヤが操作入力を行うためのタッチパネルディスプレイと、
前記タッチパネルディスプレイにプレーヤにより描かれた軌跡形状と、コマンドに割り当てられたコマンド割り当て形状とのマッチング処理を行って、コマンドの認識処理を行うコマンド認識部と、
コマンド入力の制限時間をカウントするカウント部と、
前記制限時間内に認識されたコマンドにより指定されるアクションイベントを発生するイベント発生部と、
アクションイベントが発生した場合に、発生したアクションイベントの画像を前記ディスプレイに表示する制御を行う表示制御部と、
を含むゲーム装置であって、
前記コマンド認識部が、
前記軌跡形状と前記コマンド割り当て形状との類似度を演算し、
前記イベント発生部が、
前記軌跡形状と前記コマンド割り当て形状との類似度が高いほど、コマンドにより発生するアクションイベントにおける攻撃力パラメータ値、防御力パラメータ値及び回復力パラメータ値の少なくとも1つを大きくする、ゲーム装置。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
そこで、本願発明1と引用発明1とを対比すると、
ア 後者の「画面」、「タッチ操作」、「ゲーム装置」、「上部の領域」、「2以上のプレーヤキャラクタ」、「下部の領域」、「2以上の敵キャラクタ」、「キャラ画像表示制御手段」、「タッチ」、「タップアウト」、「プレーヤキャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP1?CP3の何れか」、及び「敵キャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP11?CP13の何れか」は、それぞれ、前者の「表示画面」、「入力操作」、「ゲーム装置」、「第1領域」、「操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクト」、「第2領域」、「受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクト」、「表示制御部」、「タッチオン」、「タッチオフ」、「第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクト」、及び「第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクト」に相当する。
イ 後者の「タッチパネル」は、「タッチ操作」を検出するものであるから、「表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイス」といえ、後者の「ゲーム装置」は、「タッチパネル」を備えるものであるから、「入力デバイスへの入力操作を受け付けるゲーム装置」といえる。
ウ 後者の「ディスプレイ」は、「2以上のプレーヤキャラクタを上部の領域に、2以上の敵キャラクタを下部の領域に、表示し、これらからなるゲーム画面」を表示したものであるから、「表示領域」といえる。
エ 後者は、「プレーヤキャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP1?CP3の何れかをタッチしたまま、敵キャラクタのキャラ画像CPであるキャラ画像CP11?CP13の何れかの位置までスライド操作してタップアウト(いわゆる「ドラッグ・アンド・ドロップ」に相当する操作)すると、タップアウトした位置のキャラ画像CP11?CP13の敵キャラクタが、プレーヤキャラクタの攻撃対象のキャラクタとして決定される」ものであって、「入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部」、「第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部」、及び「第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部」を備えるといえる。

したがって、両者は、
「表示画面上における位置を指定することが可能な入力デバイスへの入力操作を受け付けるゲーム装置であって、
表示領域のうち、第1領域に、操作対象の候補となる2以上の第1候補オブジェクトを表示させるとともに、第2領域に、受手対象の候補となる2以上の第2候補オブジェクトを表示させる表示制御部と、
前記入力デバイスに対して入力操作された位置情報を、当該入力操作のタッチオンからタッチオフまで連続して検出する操作検出部と、
前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部と、
前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部と、
を有するゲーム装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明1が、「操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部」、及び「受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部」を備えるのに対し、引用発明1は、そのようなものを備えていない点。

(2)判断
上記相違点について以下検討する。
引用発明2の「味方キャラクタ」、「攻撃の種類」、「検知部」、及び「敵キャラクタ」は、それぞれ、本願発明1の「操作対象オブジェクト」、「指示内容」、「操作検出部」、「受手対象オブジェクト」に相当する。
引用発明2の「検知部」は、「画面に対する前記ユーザの接触の有無から、前記画面に対する前記ユーザのなぞり動作を取得し、当該取得されたなぞり動作を前記移動操作と」し、「移動操作の軌跡」を検知しているものであるから、引用発明2の「検知された移動操作の軌跡」は、「操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡」といえる。
引用発明2の「攻撃の種類」には「軌跡」が対応付けられ、「攻撃させたい場合」には、その「軌跡を描くように、タッチスクリーンに対してなぞり動作を行う」ものであるから、「移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部」を備えるといえる。
そして、「攻撃の種類に対応付けられている軌跡を描くように、タッチスクリーンに対してなぞり動作を行い、味方キャラクタに攻撃を出させる」ものであるから、「受手対象オブジェクトに対して前記指示内容に基づく影響を与える実行部」を有するといえる。
そうすると、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明2に示されているといえる。
しかし、本願明細書に、「【0005】 しかしながら、キャラクタm1?m5が配置された領域と、キャラクタn1?n4が配置された領域とは互いに離れているので、ユーザは、同図の(b)で示されるように、指等によってキャラクタm1?m5のいずれか(図ではm4)を指定する操作Pと、キャラクタn1?n4のいずれか(図ではn3)を指定する操作Qとを個別に実行する必要がある。さらに、コマンドの種別を選択する場合には、1以上の攻撃の種別から、用いる攻撃の種別を別途指定する操作が必要となる。 【0006】 このように、上記ゲームにおいて1つの指示を決定するために、複数の候補のなかから指定する操作を複数回繰り返す必要があり、ユーザに対して、操作の煩わしさを与えてしまうという問題があった。」と記載されているように、本願発明は、複数の候補のなかから指定する操作を複数回繰り返す、という操作の煩わしさを解決する課題としていることから、本願発明1の「前記第1候補オブジェクトのうちの操作対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオン時における位置情報に基づいて選択する操作対象選択部」、「前記操作対象オブジェクトに対する指示内容を、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオンからタッチオフまでの一部又は全部の移動軌跡に基づいて決定する指示内容決定部」、及び「前記第2候補オブジェクトのうちの受手対象オブジェクトを、前記操作検出部によって検出された入力操作のタッチオフ時における位置情報に基づいて選択する受手対象選択部」との発明特定事項は、一体不可分の発明特定事項といえる。
そうすると、原審の拒絶査定で提示された刊行物1及び刊行物2のいずれにも、上記一体不可分の発明特定事項は示されていないし、設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項をふくむ一体不可分の発明特定事項により、「本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、複数の候補のなかから指定する操作を、簡単に済ませることができる技術を提供することにある。」(【0006】参照。)という作用効果を奏するものである。

なお、原審で提示された刊行物3を見ても、上記相違点に係る本願補正発明1の発明特定事項は記載されていない。

したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2 本願発明2乃至本願発明12について
本願発明2乃至本願発明12は、本願発明1の発明特定事項に加えて、更なる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「1 (2)」と同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明13乃至本願発明15について
本願発明13乃至本願発明15は、それぞれ、本願発明1の「ゲーム装置」を、「ゲームシステム」、「コンピュータ」、及び「プログラム」としたものであって、実質的に、本願発明1と相違しないから、上記「1 (2)」と同様の理由により、引用発明1、及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。。


第7 原査定について
本願発明1は、上記「第6 1 (2)」のとおり、当業者が引用発明1、及び引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

また、本願発明2乃至本願発明12は、本願発明1の発明特定事項に加えて、更なる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「第6 1 (2)」と同様の理由により、引用発明1、引用発明2、及び引用発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

また、本願発明13乃至本願発明15は、それぞれ、本願補正発明1の「ゲーム装置」を、「ゲームシステム」、「コンピュータ」、及び「プログラム」としたものであって、実質的に、本願発明1と相違しないから、上記「第6 1 (2)」と同様の理由により、引用発明1、及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-12 
出願番号 特願2013-208319(P2013-208319)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宇佐田 健二  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
発明の名称 ゲーム装置、ゲームシステム、コンピュータ、およびプログラム  
代理人 大林 章  
代理人 高橋 太朗  
代理人 高田 聖一  

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