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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01B
管理番号 1328961
審判番号 不服2016-14693  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-30 
確定日 2017-06-27 
事件の表示 特願2012- 49019「電子ビーム画像取得装置および電子ビーム画像取得方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月19日出願公開、特開2013-185852、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成24年3月6日
拒絶査定: 平成28年8月5日(送達日:同年同月15日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成28年9月30日
手続補正: 平成28年9月30日
拒絶理由通知: 平成29年4月13日
(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年同月18日)
手続補正: 平成29年4月20日
意見書: 平成29年4月20日


第2 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、平成29年4月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
試料上に形成されたパターンの寸法を測長する画像を取得する電子ビーム画像取得装置において、
前記試料上に形成されたパターンについて、電子ビームを最大走査可能な最大走査領域中で、指定された任意の領域のみを走査する走査手段と、
前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定手段と、
前記走査領域設定手段で設定されたパターンの前記走査領域あるいは前記部分走査領域のみを、前記走査手段を制御して走査して走査領域画像あるいは部分走査領域画像を取得する画像取得手段と
を備えたことを特徴とする電子ビーム画像取得装置。
【請求項2】
前記走査手段は、1段あるいは2段の静電偏向器で構成したことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項3】
前記走査手段は電子ビームで最大走査可能な最大走査領域中で、任意の領域についてそれぞれ基準パターンの画像を取得して所定精度内であることの確認のメッセージを出力あるいは所定精度内でないときは補正あるいは所定精度内でないときはその旨のメッセージを出力することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項4】
前記走査領域あるいは前記部分走査領域の設定は前記試料上に形成されたパターンを設計した設計データ上で設定し、当該設定した設計データ上の設定した走査領域あるいは部分走査領域について、予め前記試料上の所定パターンを電子ビームで走査して取得した当該所定パターンであるグローバルアライメント画像をもとに設計データの位置座標とマスクの位置座標との関係を算出し、当該算出した関係をもとにステージを移動させて当該ステージ上に搭載した前記試料を所定の場所に移動させた状態で、前記画像取得手段によって走査領域画像あるいは部分走査領域画像を取得することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項5】
試料上に形成されたパターンに対応する設計データ上のパターンを画面上に表示し、当該画面上で画像取得のパターンが指定されたときに、当該指定されたパターンについてその走査領域画像あるいは部分走査領域画像を取得することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項6】
前記取得した走査領域画像あるいは部分走査領域画像をもとに、対向するエッジ間の距離あるいはエッジで囲まれた面積を算出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項7】
前記走査領域あるいは前記部分走査領域内の画像のエッジ部分を用いて電子ビームの焦点合わせを行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項8】
前記走査領域画像あるいは前記部分走査領域画像の同一場所の画像を蓄積した蓄積回数あるいは当該画像取得時の電子ビームのピクセル密度について、当該蓄積回数あるいは当該ピクセル密度のときの画像から求めたパターンのサイズの再現性が閾値よりも良いときに蓄積回数を少なく、あるいはピクセル密度を低く、あるいは両者を少なくまたは低く、してスループットを向上させ、一方、閾値よりも悪いときに蓄積回数を多く、あるいはピクセル密度を高く、あるいは両者を多くまたは高く、して再現性を向上させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の電子ビーム画像取得装置。
【請求項9】
試料上に形成されたパターンの寸法を測長する画像を取得する電子ビーム画像取得方法において、
前記試料上に形成されたパターンについて、電子ビームを最大走査可能な最大走査領域中で、指定された任意の領域のみを走査する走査手段を備え、
前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定ステップと、
前記走査領域設定ステップで設定されたパターンの前記走査領域あるいは前記部分走査領域のみを、前記走査手段を制御して走査して走査領域画像あるいは部分走査領域画像を取得する画像取得ステップと
を有することを特徴とする電子ビーム画像取得方法。」


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開昭53-106163号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

「本発明は、例えばICのマスクパターン等の微細な2点間の距離を精密に測定することのできる電子線測微計に関する。」(第1ページ左欄第19行?同右欄第1行)

「このように構成された測微計によれば被測定物7の電子線による広角度、つまり広範囲走査によって前記XYテーブル6上に設置された上記被測定物7の像を反射電子信号として検出することができる。この反射電子信号を前記信号選択回路12の切換制御によって低倍率モニタ13に供給することによって例えば第2図に示すような画像が表示される。第2図中斜線部Aは前記被測定物7の像を示している。この第2図に示される像から測定点a,bの位置を検出し、その位置情報を前記コントロール部16から入力することによって偏向制御信号が前記偏向制御装置15に入力される。この偏向制御信号の入力によって、上記偏向制御装置15から出力される走査掃引信号(偏向制御信号)が振幅範囲が狭くなる。即ち、静電偏向板3a,3b,4a,4bによる電子線の偏向範囲が狭くなり、前記被測定物7の特定された部位にのみ電子線が走査照射される。そしてこの狭範囲の走査された被測定物7の反射電子信号は前記信号選択回路12によって、今度は高倍率モニタ14に供給される。このモニタ14は前記低倍率モニタ13と同一画像面積を有し、上記狭範囲の反射電子信号による像が拡大されて表示される。」(第2ページ左下欄第13行?同右下欄第17行)

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ICのマスクパターン等の被測定物7の微細な2点間の距離を精密に測定するために、上記被測定物7の像を反射電子信号として検出することのできる電子線測微計において、
前記被測定物7の特定された部位にのみ電子線を走査照射する、偏向制御装置15及び静電偏向板3a,3b,4a,4bと、
この狭範囲の走査された被測定物7の反射電子信号が供給され、上記狭範囲の反射電子信号による像が拡大されて表示される高倍率モニタ14と
を有する電子線測微計。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された引用文献2(特開2007-139821号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0045】
図4は、本発明の動作説明フローチャート(電子光学系等のチェックを行いながら実マスク測定)を示す。
【0046】
図4において、S21は、マスク(1)、(2)の基準パターンの位置に合わせる。これは、レーザ干渉計3を用い、マスク(1)あるいはマスク(2)の基準パターンが画像上の例えば中心に来るように、メインステージ1を移動させる。
【0047】
S22は、画像を取得する。これは、メインステージ1上に搭載されたマスク(1)の画像(基準パターンを含む画像)を取得、およびサブステージ2上に搭載されたマスク(2)の画像(基準パターンを含む画像)を取得する。
【0048】
S23は、両者の画像パターンの重ね合わせを行い、その位置のシフト量を求める。これは、S22で取得したメインステージ1上に搭載したマスク(1)の基準パターンの画像と、サブステージ2上に搭載したマスク(2)の基準パターンの画像との重ね合わせを行い、その位置のシフト量を求める。ここでは、両者の基準パターンの画像のシフト量が、Sx1,Sy1とする。
【0049】
S24は、終了か判別する。これは、全ての基準パターンについてS21からS23の処理を終了したか判別する。YESの場合には、S25に進む。NOの場合には、S21に戻り繰り返す。
【0050】
S25は、S23で求めたシフト量を記憶する。
以上のS21からS5を、S29の一定時間毎又は作業領域が代わる毎などに実行することにより、メインステージ1上に搭載したマスク(1)の基準パターンと、サブステージ2上に搭載したマスク(2)の基準パターンとのシフト量を逐次測定することが可能となる。
【0051】
S26は、前回と比較する。これは、前回に記憶されたシフト量があればその記憶されたシフト量と、今回のシフト量とを比較する。前回の記憶されたシフト量がなければ当該S26はスキップする。
【0052】
S27は、シフト量は所定以内か判別する。これは、S26で前回と今回のシフト量を比較してその差が所定以内か判別する。YESの場合には、S28に進む。尚、前回と今回の差が所定以内であっても、最初のシフト量と比較して所定許容値を超えたときはS27でNOと判定し、S30でアラームを発して管理者に知らせる。一方、S27のNOの場合には、前回の差のシフト量が所定以上であったので、S30でアラームを発して管理者に知らせる。
【0053】
S28は、実パターン測定する。これは、既述した図4のS11からS16によって、マスク(1)、マスク(2)の重ねあわせなどの実パターン測定を行う。
【0054】
S29は、一定時間毎又は作業領域が変わるか判別する。YESの場合には、S21以降を実行する。NOの場合には、終了する。
【0055】
以上によって、一定時間毎又は作業領域が変わる毎などに、マスク(1)とマスク(2)の基準パターンの画像を比較しシフト量が所定以上のときにアラームを発生して管理者に知らせ、一方、シフト量が所定以下のときに実パターン測定(図4)を行うことにより、メインステージ1に搭載したマスク(1)上の基準パターンと、サブステージ2に搭載したマスク(2)上の基準パターンとのシフト量を所定以内であることを監視しつつマスク(1)とマスク(2)とのパターンなどの重ね合わせチェックなどを精度良好かつ再現性良好に行うことが可能となる。」

3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された引用文献3(国際公開第2007-102421号)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0040]まず、ユーザがCAD装置200の情報入力部202を介して、検査対象とする範囲を指定する。範囲の指定は、例えばCAD装置200に用意されている矩形の枠で指定し、指定された範囲は、測定ROI(Region Of Interest)と呼ぶ。情報入力部202は、CAD装置200に格納されているCADデータにおいて、ユーザが測定したい位置、範囲又はパターン形状の少なくとも1つを指定してよい。」

「[0052]自動焦点合わせは例えば次のようにして行う。対物レンズ4の励磁を段階的に変化させ、各段階ごとに試料の対象範囲を電子ビームを照射しながら走査する。検出器8 によって2次電子を検出し、各励磁状態ごとに検出信号力焦点合わせの程度を表す情報を求める。焦点合わせの程度を表す情報としては、変化量の絶対値の積算値 (合焦度)を用いる。例えば、試料上の全体のエッジ強度値を合計した値または平均値が合焦度として採用される。各励磁状態で得た合焦度を比較し、最大の合焦度のときの励磁状態を焦点が合った位置と判断する。なお、エッジ強度値は、例えば2次電子検出信号を基に得られる画像信号に微分フィルタをかけることによって得られる 」

4.引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開2012-28283号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0030】
取得したスコアは、一時的にマッチング結果(スコア)蓄積部404へ蓄積する。一方、最適化の対象が測長画像であった場合は、積算枚数によってコンタミやシュリンク量の変化によって測長値が変化する恐れがあるため、アクセプタンス以外にも測長値が管理値内に入っていることを確認する必要がある。そこで、積算枚数変換部402にて変換した画像のパターンマッチング実行部403への送信と並行して測長実行部405へ送信し、各積算枚数画像にて測長を実行することで測長値を取得し、測長結果を測長結果蓄積部406へ蓄積する。
【0031】
従って、マッチング結果蓄積部404及び測長結果蓄積部406に蓄積された結果を確認することで画像取得条件の一つである積算枚数を変更した場合のシミュレーションをすることが可能になる。これらの蓄積された情報からスコア平均値,スコアばらつき(3σ),測長平均値、及び測長再現性(3σ)を算出し、フィルタ部407にて算出結果から最適な積算枚数を自動判定し最適条件を決定する。」


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明における「ICのマスクパターン等の被測定物7の微細な2点間の距離を精密に測定するために、上記被測定物7の像を反射電子信号として検出することのできる電子線測微計」は、本願発明1における「試料上に形成されたパターンの寸法を測長する画像を取得する電子ビーム画像取得装置」に相当する。
また、引用発明における「前記被測定物7の特定された部位にのみ電子線を走査照射する、偏向制御装置15及び静電偏向板3a,3b,4a,4b」は、本願発明における「前記試料上に形成されたパターンについて、電子ビームを最大走査可能な最大走査領域中で、指定された任意の領域のみを走査する走査手段」に相当する。
次に、引用発明における「この狭範囲の走査された被測定物7の反射電子信号が供給され、上記狭範囲の反射電子信号による像が拡大されて表示される高倍率モニタ14」と、本願発明における「前記走査領域設定手段で設定されたパターンの前記走査領域あるいは前記部分走査領域のみを、前記走査手段を制御して走査して走査領域画像あるいは部分走査領域画像を取得する画像取得手段」とは、「前記指定された任意の領域のみを、前記走査手段を制御して走査して画像を取得する画像取得手段」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「試料上に形成されたパターンの寸法を測長する画像を取得する電子ビーム画像取得装置において、
前記試料上に形成されたパターンについて、電子ビームを最大走査可能な最大走査領域中で、指定された任意の領域のみを走査する走査手段と、
前記指定された任意の領域のみを、前記走査手段を制御して走査して画像を取得する画像取得手段と
を備えたことを特徴とする電子ビーム画像取得装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は「前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定手段」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点2)本願発明1の「画像取得手段」は「前記走査領域設定手段で設定されたパターンの前記走査領域あるいは前記部分走査領域のみを、前記走査手段を制御して走査して走査領域画像あるいは部分走査領域画像を取得する」とされているのに対し、引用発明においては取得、表示される画像の領域は「走査領域設定手段で設定された」ものではない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定手段」という構成は上記引用文献3には記載されていない。なお、上記引用文献3には、「ユーザがCAD装置200の情報入力部202を介して、検査対象とする範囲を指定する。・・・情報入力部202は、CAD装置200に格納されているCADデータにおいて、ユーザが測定したい位置、範囲又はパターン形状の少なくとも1つを指定してよい。」として、CADデータを利用して範囲指定を行うという技術的事項が記載されているものの、これも本願発明1のように「設計データ上で指定された位置を中心に、」「対向するエッジ部分を含んだ」領域を「自動設定する」ものではない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2ないし8について
本願の請求項2ないし8は本願請求項1を直接または間接的に引用しており、本願発明2ないし8も、本願発明1の「前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定手段」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定手段」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1ないし9に係る発明について、上記引用文献1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年4月20日付けの手続補正により補正された請求項1ないし9は、それぞれ「前記電子ビームで最大走査可能な最大走査領域内で、画像取得の指定された各パターンについて、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、走査する走査領域あるいは部分走査領域として自動設定する走査領域設定手段」という構成、もしくはそれに対応する構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1ないし9は、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由について
当審では、請求項1及び9の「・・・について、設計データ上で算出された当該画像取得の指定された各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年4月20日付けの補正において、当該記載が「・・・について、設計データ上で指定された位置を中心に、各パターンの測定対象の対向するエッジ部分を含んだ走査領域あるいは対向するエッジ部分をそれぞれ含んだそれぞれの部分走査領域を、」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし9は、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-12 
出願番号 特願2012-49019(P2012-49019)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01B)
P 1 8・ 537- WY (G01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岸 智史八木 智規  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 中塚 直樹
須原 宏光
発明の名称 電子ビーム画像取得装置および電子ビーム画像取得方法  
代理人 岡田 守弘  

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