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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B29C 審判 全部申し立て 2項進歩性 B29C 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B29C |
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管理番号 | 1329039 |
異議申立番号 | 異議2016-700713 |
総通号数 | 211 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-07-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-08-09 |
確定日 | 2017-04-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5856149号発明「多層高分子フィルムを製造するためのフィードブロック」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5856149号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 特許第5856149号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯等 特許第5856149号(設定登録時の請求項の数は2。以下、「本件特許」という。)は、2011年4月25日(パリ条約による優先権主張 2010年5月7日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2013-509108号に係るものであって、平成27年12月18日に設定登録された。 特許異議申立人 岡林茂(以下、単に「異議申立人」という。)は、平成28年8月9日、本件特許の請求項1ないし2に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。 当審において、平成28年11月14日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は、平成29年2月8日付けで、訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)及び意見書を提出したので、異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人は、同年3月15日付け(受理日:同月16日)で意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項ア及びイである。なお、下線については訂正箇所に合議体が付したものである。 訂正事項ア 訂正前の特許請求の範囲の請求項1として 「フィードブロックであって、 第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、第1パケット創出装置であって、前記第1の複数の層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含む、第1パケット創出装置と、 第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、前記第1パケット創出装置とは別個の第2パケット創出装置であって、前記第2の複数の層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1パケット創出装置が、前記第1個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成され、前記第2パケット創出装置が、前記第2個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成される、第2パケット創出装置と、 前記第1パケットと前記第2パケットとを結合するように構成される、パケット結合装置であって、前記パケット結合装置は、 前記第1パケット創出装置から前記第1パケットを受け取る第1チャネルと、 前記第2パケット創出装置から前記第2パケットを受け取る第2チャネルと、を含み、 前記第1チャネル及び前記第2チャネルが、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成される、パケット結合装置と、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを作り出すように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを作り出すように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含む、フィードブロック。」 とあるのを 「フィードブロックであって、 第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、第1パケット創出装置であって、前記第1の複数の層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含む、第1パケット創出装置と、 第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、前記第1パケット創出装置とは分離した別個の第2パケット創出装置であって、前記第2の複数の層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1パケット創出装置が、前記第1個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成され、前記第2パケット創出装置が、前記第2個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成される、第2パケット創出装置と、 前記第1パケットと前記第2パケットとを結合するように構成される、パケット結合装置であって、前記パケット結合装置は、 前記第1パケット創出装置から前記第1パケットを受け取る第1チャネルと、 前記第2パケット創出装置から前記第2パケットを受け取る第2チャネルと、を含み、 前記第1チャネル及び前記第2チャネルが、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成される、パケット結合装置と、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを作り出すように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを作り出すように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含み、 前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置を前記第2パケット創出装置から熱的に分離するように構成されており、 前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第1熱的同調機構、及び前記第2パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第2熱的同調機構を更に含み、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される、フィードブロック。」 に訂正する。 訂正事項イ 訂正前の特許請求の範囲の請求項2として 「多層物品を製造するための方法であって、前記方法は、 第1パケット創出装置を介して、第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第1の複数の高分子層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含むことと、 前記第1パケット創出装置とは別個の第2パケット創出装置を介して、第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第2の複数の高分子層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1個別高分子層が、互いにほぼ同時に形成され、前記第2個別高分子層が、互いに同時に形成されることと、 パケット結合区域を介して、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合し、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層フローストリームを形成することと、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを形成するように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを形成するように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含む、方法。」 とあるのを 「多層物品を製造するための方法であって、前記方法は、 第1パケット創出装置を介して、第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第1の複数の高分子層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含むことと、 前記第1パケット創出装置とは分離した別個の第2パケット創出装置を介して、第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第2の複数の高分子層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1個別高分子層が、互いにほぼ同時に形成され、前記第2個別高分子層が、互いに同時に形成されることと、 パケット結合区域を介して、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合し、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層フローストリームを形成することと、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを形成するように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを形成するように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含み、 前記第1パケット創出装置が前記第2パケット創出装置から熱的に分離されており、 前記第1パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第1熱的同調機構が提供され、前記第2パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第2熱的同調機構が提供され、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される、方法。」 に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正の目的について ア 訂正事項アは、訂正前の請求項1では、第1パケット創出装置と第2パケット創出装置との関係に関し、「別個の」とのみ特定していたものを、「分離した」とさらに特定し、かつ、「フィードブロックが、前記第1パケット創出装置を前記第2パケット創出装置から熱的に分離するように構成されており」、かつ、「フィードブロックが、前記第1パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第1熱的同調機構、及び前記第2パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第2熱的同調機構を更に含み、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される」ことを特定するものであるから、当該訂正事項アは、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであるといえる。 イ 訂正事項イは、訂正前の請求項2では、第1パケット創出装置と第2パケット創出装置との関係に関し、「別個の」とのみ特定していたものを、「分離した」とさらに特定し、かつ、「第1パケット創出装置を前記第2パケット創出装置から熱的に分離されており」、かつ、「第1パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第1熱的同調機構が提供され、第2パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第2熱的同調機構が提供され、少なくとも1つの第1熱的同調機構が、第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、少なくとも1つの第2熱的同調機構が、第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される」ことを特定するものであるから、当該訂正事項イは、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであるといえる。 (2) 新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項ア及びイについては、例えば願書に添付した明細書の【0046】【0064】【0147】及び図2A、図2Bに記載がある。そして、上記訂正事項ア及びイは、第1パケット創出装置と第2パケット創出装置との関係をさらに特定するとともに、第1パケット創出装置及び第2パケット創出装置の具体的な構成を特定することで減縮しているのであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明2」という。)は、平成29年3月16日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定される以下に記載のとおりのものである。 「【請求項1】 フィードブロックであって、 第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、第1パケット創出装置であって、前記第1の複数の層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含む、第1パケット創出装置と、 第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、前記第1パケット創出装置とは分離した別個の第2パケット創出装置であって、前記第2の複数の層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1パケット創出装置が、前記第1個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成され、前記第2パケット創出装置が、前記第2個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成される、第2パケット創出装置と、 前記第1パケットと前記第2パケットとを結合するように構成される、パケット結合装置であって、前記パケット結合装置は、 前記第1パケット創出装置から前記第1パケットを受け取る第1チャネルと、 前記第2パケット創出装置から前記第2パケットを受け取る第2チャネルと、を含み、 前記第1チャネル及び前記第2チャネルが、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成される、パケット結合装置と、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを作り出すように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを作り出すように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含み、 前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置を前記第2パケット創出装置から熱的に分離するように構成されており、 前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第1熱的同調機構、及び前記第2パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第2熱的同調機構を更に含み、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される、フィードブロック。 【請求項2】 多層物品を製造するための方法であって、前記方法は、 第1パケット創出装置を介して、第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第1の複数の高分子層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含むことと、 前記第1パケット創出装置とは分離した別個の第2パケット創出装置を介して、第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第2の複数の高分子層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1個別高分子層が、互いにほぼ同時に形成され、前記第2個別高分子層が、互いに同時に形成されることと、 パケット結合区域を介して、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合し、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層フローストリームを形成することと、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを形成するように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを形成するように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含み、 前記第1パケット創出装置が前記第2パケット創出装置から熱的に分離されており、 前記第1パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第1熱的同調機構が提供され、前記第2パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第2熱的同調機構が提供され、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される、方法。」 第4 取消理由の概要 平成28年11月14日付けで通知した取消理由は、本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、本件特許の優先日前に頒布された下記の刊行物に記載された発明であって特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない(以下、「取消理由1」という。)、又は本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(以下、「取消理由2」という。)というものである。 刊行物:国際公開第2005/115719号(異議申立書の証拠方法である甲第1号証。以下、単に「甲1」という。) 第5 合議体の判断 当合議体は、以下述べるように、上記取消理由1及び2には理由はないと判断する。 1 甲1の記載事項 本件特許の優先日前に頒布されたことが明らかな刊行物である甲1には、以下の事項が記載されている。 ア 「少なくとも2つの液体流を層状に合流させる液体流の合流装置であって、 (a)前記各液体流のそれぞれが通過する多数のスリットが設けられた要素Aと、 (b)前記各液体流が前記多数のスリットを通過することより形成される多数の層状の液体流が所定の順序で層状に合流し、第1の層状液体流を形成する第1の合流部が設けられた要素Bとを有し、 (c)前記要素Aが、それぞれ独立して2つ以上存在し、かつ、前記要素Bがそれぞれ独立して2つ以上存在し、 (d)前記液体流の合流装置に供給される前記各液体流を受け入れ、前記各要素Aに前記各液体流を供給する液溜部が設けられた要素Cを有し、かつ、 (e)前記各要素Bにて形成された前記各第1の層状液体流が所定の順序で層状に合流し、第2の層状液体流を形成する第2の合流部が設けられた要素Dを有してなる液体流の合流装置。」(特許請求の範囲の請求項1) イ 「本発明の液体流の合流装置において、隣り合う前記要素Aの間に、前記要素Cが配置されて いることが好ましい。」(段落[0012]) ウ 「本発明の液体流の合流装置の一実施態様が、図1乃至図3に示される。本発明の液体流の合流装置1は、液体流供給装置2、第1の合流形成装置3、および、第2の合流形成装置4からなる。図3に、第1の合流形成装置3を分解し、各部品を順次展開した状態が示される。 第1の合流形成装置3は、両端に端板11a、11bを有する。この態様においては、端板11aと端板11bとは、鏡面対象に同じ構造を有している。以下において、端板11aおよび端板11bを、端板11と総称する場合がある。 第1の合流形成装置3において、端板11aと端板11bとの間に、第1板12a、第2板13a、第3板12b、第4板13b、および、第5板12cが、この順に、端板11aから端板11bに向かって、配列されている。この配列方向は、図1において、Y軸方向で示される。この態様においては、第2板13aと第4板13bとは、同じ構造を有し、第1板12a、第3板12bおよび第5板12cとは、それぞれ同じ構造を有している。 また、第1の合流形成装置3において、第2板13aと第4板13bとが、鏡面対象に同じ構造を有しているような態様であってもよい。 これらの板が、端板11aの背面と第1板12aの前面、第1板12aの背面と第2板13a の前面、第2板13aの背面と第3板12bの前面、第3板12bの背面と第4板13bの前面、第4板13bの背面と第5板12cの前面、および、第5板12cの背面と端板11bの前面とがこの順に接合することにより、組み立てられて、第1の合流形成装置3が形成されている。それぞれの板の接合部分には、必要に応じて、液体漏れを防ぐ手段が設けられる。図1において、Y軸方向に各板の面を見たとき、手前側が前面、後ろ側が背面とされている。図4は、第1板12aの正面図である。図5は、図4におけるS1?S1矢視断面図である。第1板12aは、その頂部に液体流導入開口21を有し、かつ、開口21から拡開された空間からなる液溜分22を有する。なお、以下において、第1板12a、第3板12bおよび第5板12cを、液体流導入板12と総称する場合がある。 図6は、第2板13aの正面図である。図7は、図6におけるS2?S2矢視断面図、ならびに、図8は、図6におけるS3?S3矢視断面図である。第2板13aの内側の上部に、多数のスリット隔壁31が間隔をおいて設けられている。隣り合うスリット隔壁31の間には、第2板13aの前面力も背面に貫通するスリット32が、形成されている。多数のスリット隔壁31と多数のスリット32とから、スリット部33が、形成されている。この態様においては、多数のスリット32は、2種類のスリット、すなわち、スリット32aからなる第1のスリット群とスリット32bからなる第2のスリット群とからなる。 第1のスリット群を形成するスリット32aの縦断面形状が、図7に示される。第2のスリ ット群を形成するスリット32bの縦断面形状が、図8に示される。図7および図8に示されるように、スリット32aの稜線 34aと、各スリット32bの稜線34bとは、第2板13aの厚み方向(図7および図8におけるY軸方向)に対して、傾斜している。稜線34aの傾斜方向と稜線34bの傾斜方向は、互いに逆方向となっている。第4板13bは、上述の通り、この態様においては、第2板13aと同じ構造を有する。なお、以下において、第2板13aと第4板13bを、スリット板13と総称する場合がある。 3枚の液体流導入板12 (第1板12a、第3板12b、第5板12c)と2枚のスリット板13(第2板13a、第2板13b)とが交互に積層された状態における図6のS2?S2矢視方向と同じ矢視方向の断面図が、図9に示される。同じ積層状態における図6のS3?S3矢視方向と同じ矢視方向の断面図が図10に示される。 図9および図10において、各液体流導入板12における液溜部22の底面23の液体流導入板12の底辺BLからの高さ方向の位置は、稜線34aの上端部41aと下端部42aとの間に位置するとともに、稜線34bの上端部41bと下端部42bとの間に位置する。 この配置により、図9において、液溜部22から、稜線34aの上端部41a側を通り、第1の液体流51aが、第2板13aのスリット32aへと流入するが、稜線34aの下端部42a側からは、スリット32aが封鎖された状態となっているため、第1の液体流51aは、第4板13bのスリット32aへと流入しない。一方、図9および図10において、液溜部22から、稜線34aの上端部41a側を通り、第2の液体流51bが、第4板13bのスリット32aへと流入するが、稜線34aの下端部42a側からは、スリット32aが封鎖された状態となっているため、第2の液体流51bは、第2板13aのスリット32aへと流入しない。 更に、この配置により、図10において、液溜部22から、稜線34bの上端部41b側を通り、第1の液体流51aが、第4板13bのスリット32bへと流入するが、稜線34bの下端部42b側からは、スリット32bが封鎖された状態となっているため、第1の液体流51aは、第2板13aのスリット32bへと流入しない。一方、図9および図10において、液溜部22から、稜線34bの上端部41b側を通り、第2の液体流51bが、第2板13aのスリット32bへと流入が、稜線34bの下端部42b側からは、スリット32bが封鎖された状態となっているため、第2の液体流51bは、第4板13bのスリット32bへと流入しない。 かくして、図9において、第3板12bの第1の液体流51aが供給される液溜部22から、第1の液体流51aが、第2板13aのスリット32aへと流入する。更に、第5板12cの第2の液体流51bが供給される液溜部22から、第2の液体流51bが、第4板13bのスリツト32aへと流入する。一方、図10において、第3板12bの第1の液体流51aが供給される液溜部22から、第1の液体流51aが、第4板13bのスリット32bへと流入する。更に、第1板12aの第2の液体流51bが供給される液溜部22から、第2の液体流51bが、第2板13aのスリット32bへと流入する。 この態様においては、スリット板13は、スリット部33の下方に、更に、第1の層状液体流を形成する第1の合流部61を有する。スリット部33の各スリットを通過することにより形成された層状の各液体流51a、51bは、層状の形態が維持された状態で、第1の合流部61において、合流する。この合流により、層状液体流51が形成される。層状液体流51は、スリット板13の底辺BLに設けられている第1の合流部出口62から、次に続く液体流路へと流出する。かくして、第1の合流形成装置3により、少なくとも2つの層状液体流51が形成される。 ここで、端板11、液体導入板12、スリット板13などに用いられる材料は、従来の液体流の合流装置の部品を形成する材料として用いられる鉄などの金属、ステンレス鋼などの合金、あるいは、熱的、寸法精度的に問題がない場合は樹脂などである。 特に、強度、加工適性、寸法精度、耐熱性、耐腐食性の点でステンレス鋼が好適である。」(段落[0033]?[0044]) エ 「図13に、別の態様の第1の合流形成装置3aにおける要素A、要素Bおよび要素Cを形成する各板を、図3の場合と同様に、順次展開した状態が示される。この態様における第1の合流形成装置3aは、端板11a、第1板12a、第2板13a、第3板12b、第4板13b、第5板12c、第6板13c、第7板12d、第8板13d、第9板12e、および、端板11bとからなる。第2板13a、第4板13b、第6板13c、および、第8板13dには、それぞれ、要素Aと要素Bとが形成されている。すなわち、第1の合流形成装置3aにおいては、要素Aは、それぞれ独立して4個存在し、要素Bは、それぞれ独立して4個存在する。また、第1板12a、第3板12b、第5板12c、第7板12d、および、第9板12eには、それぞれ、要素Cが形成されている。これら板の組立は、図3の態様の場合と同様に行われる。」(段落[0052]) オ 「図13に示された第1の合流形成装置3aを用いた場合の層状液体流が形成される状態が、図11および図12の場合と同様に、図14および図15に示される。第1の合流形成装置3aにて、第1の層状液体流91、第2の層状液体流92、第3の層状液体流93、および、第4の層状液体流94が形成される。形成されたそれぞれの層状液体流は、流路91aおよび91b、流路92aおよび92b、流路93aおよび93b、ならびに、流路94aおよび94bをそれぞれ流れ、第2の合流部96に至る。第2の合流部96において、各層状液体流は、合流し、合成層状液体流95を形成する。」(段落[0053]) カ 「本発明によれば、層厚みが、各スリットの形状、特に、スリット間隙および/またはスリット長さの調整により、制御可能であり、かつ、要素Aを2つ以上独立して有しているため、従来は不可能であった非常に多い層数においても、任意の層構成の設計が可能である。」(段落[0058]) キ 「図16の態様では、スリット板の各スリットの長さが全て同じため、あるスリットとその隣りのスリットへの要素Cの液溜部力の液体流の流入を選択的に行わせるために、第2板113aおよび第4板113bが、要素Cを形成する第1板112aと要素Aを形成する第3板114aとの間に設けられている。」(段落[0071]) ク 「第2の合流部が設けられた要素Dの例は、既に、図11において、第2の合流形成装置4として、あるいは、図14において、第2の合流形成装置4aとして、示されている。」(段落[0076]) ケ 「本発明の液体流の合流装置において、隣り合う要素Aの間に、1つの要素Cが配置され、1つの要素Cから2つの要素Aに液体流が供給されるようにされることが好ましい。この例は、図3あるいは図13における第1板12a、第2板13aおよび第3板12 bの組み合わせに見ることが出来る。また、図16における第1板112a、第2板113a、第3板114a、第4板113bおよび第5板112bの組み合わせに見ることが出来る。このようにすることにより、第1の合流形成装置3の小型化が図られる。」(段落[0082]) コ 「隣り合う要素Aの間に、2つの要素Cが存在すると、1つの要素Cと1つの要素Aとが一対一に対応することになり、無駄な流路構成となる。」(段落[0083]) サ 「 」(図1?18) 2 甲1に記載された発明 甲1の特にその特許請求の範囲の請求項1の記載から、以下の発明(以下、「甲1発明A」という。)が記載されていると認める。 「[1] 少なくとも2つの液体流を層状に合流させる液体流の合流装置であって、 (a)前記各液体流のそれぞれが通過する多数のスリットが設けられた要素Aと、 (b)前記各液体流が前記多数のスリットを通過することより形成される多数の層状の液体流が所定の順序で層状に合流し、第1の層状液体流を形成する第1の合流部が設けられた要素Bとを有し、 (c)前記要素Aが、それぞれ独立して2つ以上存在し、かつ、前記要素Bがそれぞれ独立して2つ以上存在し、 (d)前記液体流の合流装置に供給される前記各液体流を受け入れ、前記各要素Aに前記各液体流を供給する液溜部が設けられた要素Cを有し、かつ、 (e)前記各要素Bにて形成された前記各第1の層状液体流が所定の順序で層状に合流し、第2の層状液体流を形成する第2の合流部が設けられた要素Dを有してなる液体流の合流装置。」 また、上記甲1発明Aに関する具体的な記載からみて、以下の方法の発明(以下、「甲1発明B」という。)も記載されていると認める。 「[1] 少なくとも2つの液体流を層状に合流させるための方法であって、前記方法は、 (a)前記各液体流のそれぞれが通過する多数のスリットが設けられた要素Aと、 (b)前記各液体流が前記多数のスリットを通過することより形成される多数の層状の液体流が所定の順序で層状に合流し、第1の層状液体流を形成する第1の合流部が設けられた要素Bとを有し、 (c)前記要素Aが、それぞれ独立して2つ以上存在し、かつ、前記要素Bがそれぞれ独立して2つ以上存在し、 (d)前記液体流の合流装置に供給される前記各液体流を受け入れ、前記各要素Aに前記各液体流を供給する液溜部が設けられた要素Cを有し、かつ、 (e)前記各要素Bにて形成された前記各第1の層状液体流が所定の順序で層状に合流し、第2の層状液体流を形成する第2の合流部が設けられた要素Dを有してなる、液体流を合流させるための方法。」 さらに、甲1発明Aの第1の合流装置として図13、図14に記載のものを用いた発明として、以下の発明(以下、「甲1発明C」が記載されていると認める。 「[1] 少なくとも2つの液体流を層状に合流させる液体流の合流装置であって、 (a)前記各液体流のそれぞれが通過する多数のスリットが設けられた要素Aと、 (b)前記各液体流が前記多数のスリットを通過することより形成される多数の層状の液体流が所定の順序で層状に合流し、第1の層状液体流を形成する第1の合流部が設けられた要素Bとを有し、 (c)前記要素Aが、それぞれ独立して4つ存在し、かつ、前記要素Bがそれぞれ独立して4つ存在し、 (d)前記液体流の合流装置に供給される前記各液体流を受け入れ、前記各要素Aに前記各液体流を供給する液溜部が設けられた要素Cを有し、 かつ、第1の層状液体流は、液体流が液体供給配管73、74から要素Cの液体流供給ポートに供給され、要素Cの液溜部22を通過して要素Aの多数のスリット32を経て要素Bの合流部61を通過して形成されており、 (e)前記各要素Bにて形成された前記各第1の層状液体流が所定の順序で層状に合流し、第2の層状液体流を形成する第2の合流部が設けられた要素Dを有してなる液体流の合流装置。」 加えて、上記甲1発明Cに関する具体的な記載からみて、以下の方法の発明(以下、「甲1発明D」という。)も記載されていると認める。 「[1] 少なくとも2つの液体流を層状に合流させるための方法であって、前記方法は、 (a)前記各液体流のそれぞれが通過する多数のスリットが設けられた要素Aと、 (b)前記各液体流が前記多数のスリットを通過することより形成される多数の層状の液体流が所定の順序で層状に合流し、第1の層状液体流を形成する第1の合流部が設けられた要素Bとを有し、 (c)前記要素Aが、それぞれ独立して4つ存在し、かつ、前記要素Bがそれぞれ独立して4つ存在し、 (d)前記液体流の合流装置に供給される前記各液体流を受け入れ、前記各要素Aに前記各液体流を供給する液溜部が設けられた要素Cを有し、 かつ、第1の層状液体流は、液体流が液体供給配管73、74から要素Cの液体流供給ポートに供給され、要素Cの液溜部22を通過して要素Aの多数のスリット32を経て第2板における要素Bの合流部61を通過して形成されており、 (e)前記各要素Bにて形成された前記各第1の層状液体流が所定の順序で層状に合流し、第2の層状液体流を形成する第2の合流部が設けられた要素Dを有してなる、液体流を合流させるための方法。」 3 本件発明1と甲1発明Aとの対比・判断 本件発明1と甲1発明Aとを対比する。 甲1発明Aの「要素A」と「要素B」と「要素C」とを合わせた「液体流の合流装置」が、本件発明1の「フィードブロック」に相当する。 甲1発明Aの独立して存在する要素Aと要素Bのうちの一つずつを組み合わせたものにより形成された第1の層状液体流が、本件発明1における「第1の複数の高分子層を含む第1パケット」に相当し、当該第1の層状液体流を形成する具体的な装置部分である要素Aと要素Bと要素Cを合わせたものが、本件発明1における「第1パケット創出装置」に相当する。 そして、上記の第1の層状液体流を形成する要素Aと要素Bとは独立した要素Aと要素Bのうちの一つずつを組み合わせたものにより形成された別の第1の層状液体流が、本件発明1における「第2の複数の高分子層を含む第2パケット」に相当し、甲1発明Aのこれらの第1の層状液体流は、上記甲1の摘示からみて、少なくとも4つの個別高分子層を含むものといえる。 また、同じく上記甲1の摘示からみて、甲1発明Aの第1の層状液体流と前者と異なる別の第1の層状液体流とは、互いにほぼ同時に形成するように構成されているといえる。 甲1発明Aの「要素D」は、本件発明1における「パケット結合装置」に相当する。 甲1発明Aの「要素D」についての上記甲1の摘示から、甲1発明Aの要素Dにおいても、要素Bからの第1の層状液体流(第1パケット)を受け取る流路(第1チャネル)と、別の要素Bからの第1の層状液体流(第2パケット)を受け取る流路(第2チャネル)と、を含み、前2つの流路(第1チャネル及び前記第2チャネル)が、前記2つの第1の層状液体流(第1パケットと第2パケット)とを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成されているといえる。 甲1発明Aの「要素Aに前記各液体流を供給する液溜部が設けられた要素C」には液体流が供給されているから、甲1発明Aの要素Cまで液体流を供する部分が、本件発明1における「第1の複数のフローチャンネル」に相当する。 本件発明1の「スロット」とは、通常「溝、細長い小さな穴」を意味するから、甲1発明Aの第1の層状液体流を形成する具体的な装置部分である要素Aと要素Bと要素Cを合わせたもののなかの「スリット」が、本件発明1の「第1の複数のスロット」に相当し、前記のものとは別の第1の層状液体流を形成する要素Aと要素Bと要素Cを合わせたものにおける「スリット」が、本件発明1の「第2の複数のスロット」に相当する。 加えて、甲1発明Aの第1の層状液体流を形成する具体的な装置部分である要素Aと要素Bと要素Cを合わせたものでの「合流部」は、甲1の図6における要素Bの合流部(61)の形状からみて、本件発明1における「第1の圧縮区域」に相当する。また、前記の第1の層状液体流とは別の第1の層状液体流を形成する要素Aと要素Bと要素Cを合わせたものでの「合流部」は、本願発明1における「第2の圧縮区域」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明Aとは、 「フィードブロックであって、 第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、前記フィードブロック内で形成する、第1パケット創出装置であって、前記第1の複数の層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含む、第1パケット創出装置と、 第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、前記フィードブロック内で形成する、前記第1パケット創出装置とは別個の第2パケット創出装置であって、前記第2の複数の層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1パケット創出装置が、前記第1個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成され、前記第2パケット創出装置が、前記第2個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成される、第2パケット創出装置と、 前記第1パケットと前記第2パケットとを結合するように構成される、パケット結合装置であって、前記パケット結合装置は、 前記第1パケット創出装置から前記第1パケットを受け取る第1チャネルと、 前記第2パケット創出装置から前記第2パケットを受け取る第2チャネルと、を含み、 前記第1チャネル及び前記第2チャネルが、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成される、パケット結合装置と、を含み、 前記第1パケット創出装置が、前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを作り出すように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを作り出すように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含む、フィードブロック。」の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点1> フィードブロック内で形成されている第1の複数の高分子層を形成するパケット創出装置と第2の複数の高分子層を形成するパケット創出装置に関して、本件発明1は、それぞれを「独立して」かつ「分離した別個の」と特定し、かつ、「フィードブロックが、第1パケット創出装置を第2パケット創出装置から熱的に分離するように構成されている」と特定するのに対して、甲1発明Aはこのような特定をしない点。 <相違点2> 第1及び第2のパケット創出装置に関して、本件発明1が「前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第1熱的同調機構、及び前記第2パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第2熱的同調機構を更に含み、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される」と特定するのに対して、甲1発明Aはこのような特定はない点。 <相違点3> パケット創出装置の複数の高分子層を有するパケットを作り出すように構成される構成要素に関して、本件発明1は「全て互いに流体連通し」と特定するとともに、その構成要素として「第1の複数の導管」を有するのに対して、甲1発明Aは、この点を特定しない点。 以下、相違点について検討する。 相違点1について 甲1発明Aは「要素Aが、それぞれ独立して2つ以上存在し、かつ、前記要素Bがそれぞれ独立して2つ以上存在」するものであって、かつ、「少なくとも2つの液体流」が存在するのであるから、要素A、要素B及び要素Cからなる液体流を形成する装置(パケット創出装置)の内の2つは独立しているといえる。 しかしながら、要素A、要素B及び要素Cからなる液体流を形成する装置(パケット創出装置)において、要素A、要素B及び要素C、端板部材は連接して設けられなければ流体流を形成できないものであって、また、甲1には、熱的な分離について記載も示唆もなく、異議申立人が提示した甲2、参考資料1ないし参考資料8においても、パケット創出装置間を熱的に分離する点については記載も示唆もされていない。 そして、甲1発明Aにおいて、要素A、要素B及び要素Cからなる液体流を形成する装置(パケット創出装置)を熱的に分離しようとする動機も存在しない。 ところで、異議申立人は、平成29年3月15日付け(受理日:平成29年3月16日)意見書において、 「甲1発明Cにおいても、第1板12a(要素C)、第2板13a(要素A)、第3板12b(要素C)からなるパケット創出装置と、第7板12d(要素C)、第8板13d(要素A)、第9板12e(要素C)からなるパケット創出装置とにおいて、要素Cが共用されていないので、それぞれの創出装置間で、それぞれ作り出される1次パケットの層厚さプロファイルを実質的に互いに独立して制御したり同調したりすることができるし、また、それぞれ要素Aに流入する流入高分子の温度を異なるものにすることができる。よって、甲1発明Cにおける上記のそれぞれのパケット創出装置は、本件特許でいうところの熱的に分離されたものである。また、そもそも甲1発明Cにおいては、第1板12a、第2板13a、第3板12bからなる第1パケット創出装置と、第7板12d、第8板13d、第9板12eからなる第2パケット創出装置とが、両者の間に介在された第4板13b、第5板12c及び第6板13cによって、例えば1つのパケット創出装置の大きさと同程度の距離をもって物理的に分離されている。このような距離をもって物理的に分離されている以上、熱的にも分離されているといえる。」と主張する。 確かに、甲1には、「隣り合う要素Aの間に、2つの要素Cが存在すると、1つの要素Cと1つの要素Aとが一対一に対応することになり、無駄な流路構成となる。」(上記2のコ)との記載があり、甲1においては、要素C、A、Cの組み合わせが、別個にそれぞれ組み合わされた態様も記載されているといえるから、複数の液体流を形成する装置(パケット創出装置)が独立しているものが包含されているともいえる。 しかしながら、本件特許明細書において、「熱的に分離」とは、「実質的に、互いに熱的に分離することができる。図2Aに示すように、フィードブロック50は、第1パケット創出装置ハウジング57と第2パケット創出装置ハウジング59との間に提供される、分離区域86を含み得る。分離区域86は、第1パケット創出装置56と第2パケット創出装置58との間に、実質的な熱的分離を提供することができる。一部の実施形態では、分離区域86は、単に、第1パケット創出装置ハウジング57と第2パケット創出装置ハウジング59との間の、物理的な空隙スペースとすることができる。しかしながら、他の実施形態では、分離区域86は、上述のように、第1パケット創出装置56と第2パケット創出装置58との間に、適切な熱的分離を提供する、1種以上の材料を含み得る。いずれの場合にも、分離区域86の組成物(又は、区域86が物理的空隙スペースである実施形態では、組成物の欠如)及び/又は相対寸法は、第1パケット創出装置56と第2パケット創出装置58との間に、適切な量の熱的分離を提供するように設計することができ、このことにより、それぞれのパケット創出装置によって作り出される1次パケットの層厚さプロファイルを、実質的に互いに独立して制御又は「同調」することができるが、これは、少なくとも部分的には、分離区域86によって提供される相対的な熱的分離によるものである。」(本件特許明細書の段落【0064】)との記載からみて、互いに熱的に分離するように設計された分離区域(物理的空間スペース又は適切な熱的分離を提供する1種以上の材料からなるもの)を有さなければならないものであるから、甲1発明C及び甲1発明Aのパケット創出装置は、独立して設けられてはいても、熱的に分離しているとはいえない。 そして、本件発明1は、当該相違点1に係る構成を備えることにより、それぞれのパケット創出装置によって作り出される複数の1次パケットの層厚さプロファイルを、実質的に互いに独立して制御又は同調することができるといえる効果が奏されるものである。 以上のことから、相違点1について、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。 また、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1と甲1発明Aとは同一ではなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。 そして、相違点2及び3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明Aおよび周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4 本件発明1と甲1発明Cとの対比・判断 上記3での検討のとおりであって、それに加え、甲1発明Cの「液体流供給ポート」までの「液体流供給管(73、74)」が、本件発明1における「第1の複数の導管」及び「第2の複数の導管」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明Cとは、 「フィードブロックであって、 第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、前記フィードブロック内で形成する、第1パケット創出装置であって、前記第1の複数の層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含む、第1パケット創出装置と、 第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、前記フィードブロック内で形成する、前記第1パケット創出装置とは別個の第2パケット創出装置であって、前記第2の複数の層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1パケット創出装置が、前記第1個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成され、前記第2パケット創出装置が、前記第2個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成される、第2パケット創出装置と、 前記第1パケットと前記第2パケットとを結合するように構成される、パケット結合装置であって、前記パケット結合装置は、 前記第1パケット創出装置から前記第1パケットを受け取る第1チャネルと、 前記第2パケット創出装置から前記第2パケットを受け取る第2チャネルと、を含み、 前記第1チャネル及び前記第2チャネルが、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成される、パケット結合装置と、を含み 前記第1パケット創出装置が、前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを作り出すように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを作り出すように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含む、フィードブロック。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点4> フィードブロック内で形成されている第1の複数の高分子層を形成するパケット創出装置と第2の複数の高分子層を形成するパケット創出装置に関して、本件発明1は、それぞれを「独立して」かつ「分離した別個の」と特定し、かつ、「フィードブロックが、第1パケット創出装置を第2パケット創出装置から熱的に分離するように構成されている」と特定するのに対して、甲1発明Cはこのような特定をしない点。 <相違点5> パケット創出装置に関して、本件発明1が「前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第1熱的同調機構、及び前記第2パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第2熱的同調機構を更に含み、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される」と特定するのに対して、甲1発明Cはこのような特定はない点。 <相違点6> パケット創出装置の複数の高分子層を有するパケットを作り出すように構成される構成要素に関して、本件発明1は「全て互いに流体連通し」と特定するのに対して、甲1発明Cは、この点を特定しない点。 以下、相違点について検討する。 相違点4について 相違点4は、上記3における相違点1と同じであって、相違点4は実質的な相違点であるから、本件発明1と甲1発明Cとは同一ではなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではない。 そして、上記3での検討のとおり、当業者が容易に想到し得たこととは認められないから、相違点5及び6について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明Cおよび周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 5 本件発明2と甲1発明Bとの対比・判断 本件発明2と甲1発明Bとを対比すると、上記3での検討のとおりであって、以下の点で相違し、その余の点で一致している。 <相違点7> 第1パケット創出装置と第2パケット創出装置に関して、本件発明2は、それぞれを「独立して」かつ「分離した別個」と特定し、かつ、「第1パケット創出装置が第2パケット創出装置から熱的に分離されており」と特定するのに対して、甲1発明Bはこのような特定はない点。 <相違点8> 第1及び第2のパケット創出装置に関して、本件発明2が「前記第1パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第1熱的同調機構が提供され、前記第2パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第2熱的同調機構が提供され、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される」と特定するのに対して、甲1発明Aはこのような特定はない点。 <相違点9> パケット創出装置の複数の高分子層を有するパケットを作り出すように構成される構成要素に関して、本件発明2は「全て互いに流体連通し」と特定するとともに、その構成要素として「第1の複数の導管」を有するのに対して、甲1発明Cは、この点を特定しない点。 以下、相違点について検討する。 相違点7について 相違点7は、上記3における相違点1と同じであって、相違点7は実質的な相違点であるから、本件発明2と甲1発明Bとは同一ではなく、本件発明2は、甲1に記載された発明ではない。 そして、上記3での検討のとおり、当業者が容易に想到し得たこととは認められないから、相違点8及び9について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明Bおよび周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 6 本件発明2と甲1発明Dとの対比・判断 本件発明2と甲1発明Dとを対比すると、上記3での検討のとおりであって、以下の点で相違し、その余の点で一致している。 <相違点10> 第1パケット創出装置と第2パケット創出装置に関して、本件発明2は、それぞれを「独立して」かつ「分離した別個」と特定し、かつ、「第1パケット創出装置が第2パケット創出装置から熱的に分離されており」と特定するのに対して、甲1発明Dはこのような特定はない点。 <相違点11> 第1及び第2のパケット創出装置に関して、本件発明2が「前記第1パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第1熱的同調機構が提供され、前記第2パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第2熱的同調機構が提供され、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を供給するように構成される」と特定するのに対して、甲1発明Dはこのような特定はない点。 <相違点12> パケット創出装置の複数の高分子層を有するパケットを作り出すように構成される構成要素に関して、本件発明2は「全て互いに流体連通し」と特定するのに対して、甲1発明Dは、この点を特定しない点。 以下、相違点について検討する。 相違点10について 相違点10は、上記3における相違点1と同じであって、相違点10は実質的な相違点であるから、本件発明2と甲1発明Dとは同一ではなく、本件発明2は、甲1に記載された発明ではない。 そして、上記3での検討のとおり、当業者が容易に想到し得たこととは認められないから、相違点11及び12について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明Dおよび周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 8 小括 以上のとおり、本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、上記取消理由1及び2には理由がない。 第6 異議申立人の主張するその他の取消理由について 1 その他の新規性及び進歩性について 異議申立人が提出した甲1、2及び参考資料1ないし8のいずれの証拠においても、本件発明1又は2における第1パケット創出装置と第2パケット創出装置に関して、熱的に分離されていることについての具体的な記載はなく、そのように構成することで、それぞれのパケット創出装置によって作り出される複数の1次パケットの層厚さプロファイルを、実質的に互いに独立して制御又は同調することができることは記載も示唆もされていないから、第1パケット創出装置と第2パケット創出装置を熱的に分離させることが想到容易とは認められず、当該証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 2 特許法第36条第6項第2号(明確性要件)について (1) 異議申立人は、本件発明1及び2の「他のパケット創出装置」の記載は、如何なるものであるかについて記載がないから明確でない旨主張するが、それ以前に記載のパケット創出装置と異なるパケット創出装置であることは明らかであって、「他のパケット創出装置」の記載は明確であるから、異議申立人の主張は採用できない。 (2) 異議申立人は、本件発明1及び2の「独立」は、その定義が不明確である旨主張するが、「独立」という日本語が意味することは明らかであって、本件発明1又は2においての「独立」が不明確であるとまではいえないから、異議申立人の主張は採用できない。 (3) 異議申立人は、本件発明1及び2の「別個」は、その定義が不明確である旨主張するが、「別個」という日本語が意味することは明らかであって、本件発明1又は2においての「別個」が不明確であるとまではいえないから、異議申立人の主張は採用できない。 3 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について 異議申立人は、本件発明1及び2の「パケット創出装置の近位」は、本件特許の発明の詳細な説明において、技術的な裏付けをするのに十分な説明がされているものではないから、サポート要件を満足していない旨主張するが、この出願の出願時の当業者において、発明の詳細な説明の段落[0046]、[0079]、図2A、図2B、図4A、図5A、図6A?図6Lの記載をみれば、本件発明1及び2の「近位」は、発明の詳細な説明において説明されているといえるから、異議申立人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、当審において通知した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 フィードブロックであって、 第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、第1パケット創出装置であって、前記第1の複数の層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含む、第1パケット創出装置と、 第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して、前記フィードブロック内で形成する、前記第1パケット創出装置とは分離した別個の第2パケット創出装置であって、前記第2の複数の層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1パケット創出装置が、前記第1個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成され、前記第2パケット創出装置が、前記第2個別高分子層を、互いにほぼ同時に形成するように構成される、第2パケット創出装置と、 前記第1パケットと前記第2パケットとを結合するように構成される、パケット結合装置であって、前記パケット結合装置は、 前記第1パケット創出装置から前記第1パケットを受け取る第1チャネルと、 前記第2パケット創出装置から前記第2パケットを受け取る第2チャネルと、を含み、 前記第1チャネル及び前記第2チャネルが、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合して、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層ストリームを形成するように構成される、パケット結合装置と、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを作り出すように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを作り出すように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含み、 前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置を前記第2パケット創出装置から熱的に分離するように構成されており、 前記フィードブロックが、前記第1パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第1熱的同調機構、及び前記第2パケット創出装置の近位の、少なくとも1つの第2熱的同調機構を更に含み、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を提供するように構成される、フィードブロック。 【請求項2】 多層物品を製造するための方法であって、前記方法は、 第1パケット創出装置を介して、第1の複数の高分子層を含む第1パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第1の複数の高分子層が、少なくとも4つの第1個別高分子層を含むことと、 前記第1パケット創出装置とは分離した別個の第2パケット創出装置を介して、第2の複数の高分子層を含む第2パケットを、他のパケット創出装置とは独立して形成することであって、前記第2の複数の高分子層が、少なくとも4つの第2個別高分子層を含み、前記第1個別高分子層が、互いにほぼ同時に形成され、前記第2個別高分子層が、互いに同時に形成されることと、 パケット結合区域を介して、前記第1パケットと前記第2パケットとを結合し、前記第1の複数の高分子層及び第2の複数の高分子層を含む、多層フローストリームを形成することと、を含み、 前記第1パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第1の複数の高分子層を有する前記第1パケットを形成するように構成される、第1の複数のフローチャネル、第1の複数の導管、第1の複数のスロット、及び第1の圧縮区域を含み、 前記第2パケット創出装置が、全て互いに流体連通し、かつ前記第2の複数の高分子層を有する前記第2パケットを形成するように構成される、第2の複数のフローチャネル、第2の複数の導管、第2の複数のスロット、及び第2の圧縮区域を含み、 前記第1パケット創出装置が前記第2パケット創出装置から熱的に分離されており、 前記第1パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第1熱的同調機構が提供され、前記第2パケット創出装置の近位に少なくとも1つの第2熱的同調機構が提供され、前記少なくとも1つの第1熱的同調機構が、前記第1パケット創出装置の第1部分に、選択的に熱を提供するように構成され、前記少なくとも1つの第2熱的同調機構が、前記第2パケット創出装置の第2部分に、選択的に熱を提供するように構成される、方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-03-31 |
出願番号 | 特願2013-509108(P2013-509108) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(B29C)
P 1 651・ 113- YAA (B29C) P 1 651・ 121- YAA (B29C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山本 雄一 |
特許庁審判長 |
加藤 友也 |
特許庁審判官 |
大島 祥吾 守安 智 |
登録日 | 2015-12-18 |
登録番号 | 特許第5856149号(P5856149) |
権利者 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー |
発明の名称 | 多層高分子フィルムを製造するためのフィードブロック |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 出野 知 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 蛯谷 厚志 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 蛯谷 厚志 |
代理人 | 胡田 尚則 |
代理人 | 出野 知 |
代理人 | 胡田 尚則 |
代理人 | 高橋 正俊 |
代理人 | 高橋 正俊 |
代理人 | 青木 篤 |