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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B24B
管理番号 1329086
異議申立番号 異議2017-700139  
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-16 
確定日 2017-05-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第5970287号発明「研磨布」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第5970287号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5970287号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は,平成24年8月2日に特許出願され,平成28年7月15日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許に対し,特許異議申立人小柳恵子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2.本件特許発明
特許第5970287号の請求項1ないし3の特許に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
成膜用基材上に発泡用溶液を1300g/m^(2)以上塗布し,その塗布した成膜用基材を水系凝固液中に浸漬して凝固成分を凝固させた後,成膜用基材を剥離し,シート状樹脂発泡体を形成する工程と,前記シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満となる面まで,成膜基材面より切削する工程とを含むことを特徴とする研磨布の製造方法。
【請求項2】
湿式凝固法によるシート状樹脂発泡体を用いる研磨布において,前記シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満で,かつシート状樹脂発泡体の銀面表面の裏面に平均径150μm以下の研削による発泡の開孔を有することを特徴とする研磨布。
【請求項3】
前記シート状樹脂発泡体の銀面表面からの深さ100μmにおける断面の発泡径が平均30μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の研磨布。」
(以下,各請求項に係る発明を「特許発明1」などという。)

3.申立理由の概要及び甲号証
申立人は,証拠として甲第1ないし5号証(以下,各甲号証を「甲1」などという。)を提出し,特許発明1ないし3は,甲1に記載された発明に,甲2ないし5に記載された構成を適用することで容易に発明できたものであり,特許発明1ないし3についての特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,取り消すべきものである旨を主張している。
そして,申立人が提出した各甲号証は,以下のとおりである。
甲1:特開2006-247807号公報
甲2:特開平7-207052号公報
甲3:特開2005-335028号公報
甲4:特開2009-101504号公報
甲5:特開2005-34971号公報

4.甲号証の記載
(1)甲1の記載事項及び甲1発明
ア.「【0001】
本発明は研磨布及び研磨布の製造方法に係り,特に,多数の発泡が内部に形成された軟質プラスチックシートを有する研磨布及び該研磨布の製造方法に関する。」

イ.「【0015】
ポリウレタンシート2の内部には,ポリウレタンシート2の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面略三角状の多数の発泡3が形成されている。発泡3の空間体積は,研磨面P側の大きさが,研磨面Pの裏面側より小さく形成されている。発泡3同士の間のポリウレタン樹脂中には,発泡3より小さな空間体積を有する図示を省略した発泡が形成されている。発泡3及び図示を省略した発泡は,図示しない連通孔で立体網目状につながっている。研磨面Pの裏面側がバフ処理されているため,発泡3及び図示を省略した発泡の一部が裏面側の表面で開孔している。研磨面P側はドレッシング処理されているため,発泡3が略均一な開孔径で開孔している。」

ウ.「【0017】
(研磨パッドの製造)
研磨パッド1は,図2に示す各工程を経て製造される。まず,準備工程では,ポリウレタン樹脂,ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N-ジメチルホルムアミド(以下,DMFと略記する。)及び添加剤を混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。ポリウレタン樹脂には,ポリエステル系,ポリエーテル系,ポリカーボネート系等の樹脂から選択して用い,例えば,ポリウレタン樹脂が30%となるようにDMFに溶解させる。添加剤としては,発泡3の大きさや量(個数)を制御するためのカーボンブラック等の顔料,発泡を促進させる親水性活性剤及びポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させる疎水性活性剤等を用いることができる。得られた溶液を濾過することで凝集塊等を除去した後,真空下で脱泡してポリウレタン樹脂溶液を得る。
【0018】
塗布工程,凝固再生工程及び洗浄・乾燥工程では,準備工程で得られたポリウレタン樹脂溶液を成膜基材に連続的に塗布し,水系凝固液に浸漬することでポリウレタン樹脂を凝固再生させ,洗浄後乾燥させてポリウレタンシート2を得る。塗布工程,凝固再生工程及び洗浄・乾燥工程は,図3に示す成膜装置で連続して実行される。」

エ.「【0026】
裏面バフ処理工程では,乾燥後のポリウレタンシート2の裏面側(成膜基材43側)がバフ処理される。図4(A)に示すように,巻取ローラ42に巻き取られたポリウレタンシート2は成膜基材43のPET製フィルム上に形成されている。成膜時にはポリウレタンシート2の厚さにバラツキが生じるため,スキン層4の表面P0には凹凸が形成されている。成膜基材43を剥離した後,図4(B)に示すように,表面P0に,平坦な表面を有する圧接ローラ65の表面を圧接することで,表面P0が平坦となり,ポリウレタンシート2の裏面Q0側に凹凸が出現する。裏面Q0側に出現した凹凸がバフ処理で除去される。本例では,連続的に製造されたポリウレタンシート2が帯状のため,表面P0に圧接ローラ65を圧接しながら,裏面Q0側が連続的にバフ処理される。これにより,ポリウレタンシート2は,図4(C)に示すように,裏面Q0側のバフ処理で略平坦な裏面Qが形成されて厚さのバラツキが解消される。なお,図4(C)では説明をわかりやすくするために表面P0及び裏面Qを平坦に示しているが,ポリウレタンシート2の単体では両面共にポリウレタンシート2の厚さが一様となる凹凸を呈している。」

オ.甲1発明
以上の記載事項を,技術常識をふまえて整理すると,甲1には,次の発明が記載されているということができる。
「成膜基材上にポリウレタン樹脂溶液を塗布し,その塗布した成膜基材を水系凝固液に浸漬してポリウレタン樹脂を凝固再生させた後,成膜基材を剥離し,ポリウレタンシートを形成する工程と,前記ポリウレタンシートの裏面側に出現した凹凸が除去されるまで,前記ポリウレタンシートを裏面よりバフ処理する工程とを含む研磨布の製造方法。」(以下「甲1発明」という。)

(2)甲2の記載事項
ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタン樹脂系多孔質複合体及びポリウレタン樹脂に関する。詳しくは,合成皮革,人工皮革等に適したポリウレタン樹脂系多孔質複合体及び該多孔質複合体に適したポリウレタン樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】・・・(中略)・・・
【0004】また,耐久性,耐薬品性に優れたシリコンウェハーまたはガラス向けのスェード様研磨布としてポリヘキサメチレンカーボネートポリオールを使用したポリウレタン樹脂も提案されている(特開平4-101782号公報)。この方法では,支持体面で垂直で微細な紡錘状気孔のものが得られるが,その孔径は3?20μmであって,孔径3?10μm程度のものと10?20μmのものがそれぞれ数十から数百で集合体を形成しており,色むらの発生が著しいという問題があった。」

イ.「【0008】本発明に用いられる支持体としてはポリエステル,ナイロン,アクリル等の合成繊維,木綿,羊毛,絹,麻等の天然繊維,ビスコース人絹,ベンベルグ人絹,セルロースアセテート等の再生繊維からつくられた織布,不織布,編布などであり,これらの基布は用途により適宜選択することができる。支持体上には湿式法によりポリウレタン樹脂系多孔質膜が設けられる。ポリウレタン樹脂系湿式多孔質膜における気孔の形状はほぼ円筒状であって円筒の軸は支持体に対しておおよそ垂直である。円筒状気孔はポリウレタン樹脂からなる側面隔壁部分で互に隣接しており,ポリウレタン樹脂からなる底面隔壁部分で支持体と隣接している。
【0009】円筒状気孔としては,その孔径よりもその高さのほうが大きいものであり,たて長のスポンジ構造あるいは紡錘状,円錐状と称する構造のものも含み,水平断面は好ましくはおおよそ円形であるが,楕円等の形状のものをも含むものである。円筒状気孔の大きさとしては支持体に対して水平な断面がほぼ円形で平均孔径が20?150μm,好ましくは30?60μmである。楕円の場合の孔径は長径と短径の平均値を指す。孔径は色むらや風合い等の物性に大きく影響し,重要な因子と言える。また,孔径分布は狭い方が好ましく,一般に大きな孔径を持つ多孔質複合体ほど孔径分布が狭くなる傾向にある。
【0010】また,気孔部の高さはポリウレタン樹脂の膜厚に依存するが,30?600μmの範囲がクッション性や柔軟性の物性の点から好ましく,より好ましくは100?400μmである。本発明のポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体における支持体に対する水平断面での,ポリウレタン樹脂系多孔質膜の断面積合計に対する,上記円筒状気孔の断面積の合計の割合(気孔の断面積割合)は,通常50?97%程度であり,好ましくは70?95程度%であり,最も好ましくは75?93%程度である。
【0011】これらの値より大きくなると膜の強度が低下しやすくなり,又,これらの値より小さくなるとクッション性が低下すると共に,風合がかたくなりやすい。典型的なポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体の例としては図1?3に示す構造のものである。図1は表面を研削していないスムースタイプの断面である。図2及び図3は表面を研削して,スキン層を除去したものでスエード調となる。
【0012】本発明におけるポリウレタン樹脂系湿式多孔質膜としては,湿式法により支持体上に形成されたポリウレタン樹脂系多孔質膜であって,本発明で用いられる湿式法は,特に限定されるものではなく,従来公知の方法が採用できるが,例えば,必要に応じて前処理された支持体にポリウレタン樹脂溶液を塗布または含浸し,次いで,必要に応じて水蒸気に接触させた後,水または水と有機溶媒との混合溶媒に浸漬して凝固させ,更に,大量の水で洗浄して乾燥する方法等がある。
【0013】この場合のポリウレタン樹脂溶液は用途に応じて,光安定剤,界面活性剤,難燃剤等の種々の公知の樹脂添加剤などを添加することができる。特に衣料用途では染色が重要であるが,この場合には通常の染色方法が採用できる。例えば,多孔質複合体を製造後に染料により染色する方法や,支持体に塗布する樹脂溶液中に染料や顔料を配合する方法等が挙げられる。特に好ましい方法として塗布溶液中にマスターバッチ法等により顔料を配合する方法がある。この方法では多孔質複合体の耐久性,色あせ等の問題が少ないため好ましい。この場合の顔料の配合量は例えば全樹脂分に対して0.1?10重量%の範囲が好ましい。」

ウ.「【0027】得られた複合体の支持体を剥離後,多孔質膜を切断し,その断面を顕微鏡による観察の結果,表面に2μmの無孔膜(表面スキン層)を有し,その下に高さ260μm,平均孔径60μmの円筒状の多孔質構造の膜を有するものであった。また,該複合体の表面スキン層を研削し,スエード調の複合体として,同様の顕微鏡による観察の結果を表-1にまとめて示した。」

エ.「【0034】
【発明の効果】本発明によって得られるポリウレタン樹脂系多孔質複合体は孔径が比較的均一な円筒状の微多孔質膜で形成されており,外観上均質で柔軟であり,色むらの発生がなく,耐加水分解性,耐久性にも優れている。本発明の多孔質複合体は均質な湿式膜(スムースタイプ)及びその表面を研削して得られる色調,柔軟性に優れたスエード調の合成皮革,人工皮革等に適しており,高級品の用途に極めて有用であり,また,スポーツ関連の用途にも適した材料である。また,本発明のポリウレタン樹脂は上記複合体の原料として有用であり,また,その耐加水分解性から一般のポリウレタン樹脂の用途にも有用である。」

(3)甲5の記載事項
ア.「【0001】
本発明は,研磨パッドやバックパッドに用いられる研磨シートに関するものであり,特に,液晶ガラス,ガラスディスク,フォトマスク,シリコンウエハー,CCDカバーグラス等の電子部品用表面精密研磨,或いは,ガラス,アルミディスクのテクスチャー,CMP(chemical mechanical polishing)等に適した研磨シートに関する。」

イ.「【0005】
本発明者らは,気孔構造が極性溶媒可溶性高分子材料のゲル化点に依存することに着目し,従来の研磨パッド内の縦長ハニカム状マクロ気孔をミクロ気孔化して,均質化することにより,前記諸精度を向上させ得ると共に,高研磨レート,高寿命等の研磨特性の向上も達成できることを見出し,本発明の完成に至った。」

ウ.「【0023】
また,多孔層の空隙率は0.3?0.8であることが好ましい。空隙率が0.3未満であると圧縮率が低くなり過ぎ,被研磨物との密着性が悪くなる。空隙率が0.8を超えると開口率が大となるので,研磨精度,耐久性,ライフの低下が生じ易い。ここで,空隙率
とは,多孔層の厚さと単位面積当たりの重量から求められる嵩比重及び文献・カタログ値から算出された真比重を用い,次式から算出された値である;
空隙率=1-(嵩比重/真比重)」

5.判断
(1)特許発明1について
ア.特許発明1と甲1発明との対比
特許発明1と甲1発明とを対比すると,甲1発明の「成膜基材」が特許発明1の「成膜用基材」に相当することは明らかであり,以下同様に,「ポリウレタン樹脂溶液」が「発泡用溶液」に相当し,「ポリウレタン樹脂を凝固再生」させることが「凝固成分を凝固」させることに相当し,「ポリウレタンシート」が「シート状樹脂発泡体」に相当し,「裏面よりバフ処理する」ことが「成膜基材面より切削する」ことに相当する。
そうすると,特許発明1と甲1発明は,以下の点で一致及び相違する。

<一致点>
「成膜用基材上に発泡用溶液を塗布し,その塗布した成膜用基材を水系凝固液中に浸漬して凝固成分を凝固させた後,成膜用基材を剥離し,シート状樹脂発泡体を形成する工程と,成膜基材面より切削する工程とを含む
研磨布の製造方法。」

<相違点1>
成膜用基材上に発泡用溶液を塗布するにあたり,特許発明1は,「1300g/m^(2)以上」塗布するのに対して,甲1発明は,どの程度塗布するのか不明な点。

<相違点2>
特許発明1の切削工程は,「前記シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満となる面まで」切削するのに対して,甲1発明の切削工程は,「前記ポリウレタンシートの裏面側に出現した凹凸が除去されるまで」切削する点。

イ.相違点2について
事案に鑑み,まず相違点2について検討する。
(ア)特許発明1において,相違点2に係る構成を採用することの技術的な意義は,湿式凝固法により製造された樹脂発泡体を用いた研磨布では,研磨布の銀面側と成膜基材面側での発泡体の形状や空隙が異なることから,圧縮変形量も異なることになり,研磨布の摩耗量が場所により異なるという課題に対して,空孔率の高い成膜基材面を研削して,発泡が均一に揃っている領域を研磨面として使用し,研磨布の摩耗が均一に進むようにすることであると解される(特許明細書の段落【0012】ないし【0024】)。
(イ)これを前提に,まず甲2について検討すると,甲2には,ポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体の断面積に対する気孔の断面積の割合を,50?97%程度とすること(甲2の段落【0010】),すなわち空孔率を0.5以上0.6未満とする事項が開示されているものの,空孔率を所定値にする手段として,ポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体の成膜基材面側を切削したものではない。
また,そもそも,甲2のポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体は,合成皮革や人工皮革に用いられるもの(甲2の段落【0001】)であって,気孔の割合を50?97%とすることで,外観上均質で柔軟であり,色むらの発生がなく,耐加水分解性,耐久性にも優れる効果が得られる(甲2の段落【0034】)ところ,そのような柔軟性や耐久性は,合成皮革や人工皮革として要求される柔軟性や耐久性であって,甲1発明のような研磨布として要求される柔軟性や耐久性と同一視することはできない。
申立人は,甲2の段落【0004】に,従来技術としてスェード様研磨布が示され,ポリウレタンシートを研磨布として用いることが周知であることから,甲2のポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体を研磨布として適用することは,当業者が容易に想到できると主張している。
しかし,甲2の段落【0004】の記載は,スェード様研磨布としてのポリウレタン樹脂の技術を,合成皮革や人工皮革としてのポリウレタン樹脂に適用することの可能性を示唆するにすぎず,合成皮革や人工皮革としてのポリウレタン樹脂の技術を,スェード様研磨布としてのポリウレタン樹脂に適用する動機付けを示唆したものではない。また,ポリウレタンシートを研磨布として用いることが周知であるとしても,甲2には,ポリウレタン樹脂系湿式多孔質複合体を合成皮革や人工皮革に適したものとすることが明記されているのであるから,甲2に接した当業者が,甲2の事項を甲1発明に適用しようと試みるとはいえない。
(ウ)次に,甲5について検討すると,甲5には,研磨シートに関して,「多孔層の空隙率は0.3?0.8であることが好ましい」(甲5の段落【0023】)との記載はあるものの,甲5でいう「空隙率」は,「空隙率=1-(嵩比重/真比重)」で定義されるものであって,特許発明1の空孔率とは異なるから,仮に甲1発明に甲5の技術を適用しても,「シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満」となるとは必ずしもいえない。
(エ)以上のとおりであるから,上記相違点2に係る構成は,甲2や甲5に係る事項に基づいて,当業者が容易に想到できたものとはいえない。
また,他の甲3及び4を参照しても,上記相違点2に係る構成について,記載も示唆もなく,当業者が容易に想到できたものとはいえない。

ウ.特許発明1についてのむすび
相違点2について,当業者が容易に想到できたものとはいえない以上,相違点1について検討するまでもなく,特許発明1は,甲1発明に,甲2ないし5に記載された構成を適用することで容易に発明できたものであるということはできない。

(2)特許発明2及び3について
特許発明2は,「研磨布」という物の発明であるが,特許発明1における「前記シート状樹脂発泡体の銀面表面と平行な面すべての空孔率(開孔面積/総面積)が0.6未満」という事項と同じ事項を含んでいるから,上記(1)イ.に説示する理由と同様の理由により,当該事項について,当業者が容易に想到できたものということはできない。
したがって,特許発明2は,甲1に記載された発明に,甲2ないし5に記載された構成を適用することで容易に発明できたものであるということはできない。
また,特許発明3は,特許発明2を引用する発明であるから,特許発明3は,甲1に記載された発明に,甲2ないし5に記載された構成を適用することで容易に発明できたものであるということはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから,特許異議の申立ての理由及び証拠によっては,請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-05-18 
出願番号 特願2012-171838(P2012-171838)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B24B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 須中 栄治  
特許庁審判長 西村 泰英
特許庁審判官 刈間 宏信
渡邊 真
登録日 2016-07-15 
登録番号 特許第5970287号(P5970287)
権利者 株式会社FILWEL
発明の名称 研磨布  
代理人 西澤 利夫  
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