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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01S
管理番号 1329426
審判番号 不服2016-3955  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-15 
確定日 2017-07-07 
事件の表示 特願2013-547563「地上ベースの測位ビーコンネットワーク、干渉を低減する方法、地上ベースの測位デバイス、及び地上ベースの測位ビーコン」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月 5日国際公開、WO2012/092099、平成26年 3月27日国内公表、特表2014-507638、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 出願の経緯
本願は、2011年12月22日(パリ条約による優先権主張 2010年12月30日、米国(以下、「最先の優先日」という。」)、2011年1月20日、米国、2011年4月5日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年1月16日付けで拒絶理由が通知され、平成27年6月17日付けで手続補正がなされたが、平成27年11月12日付けで拒絶査定がなされ(送達日:平成27年11月17日)、これに対し、平成28年3月15日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、当審において、平成28年12月2日付けで拒絶理由が通知され、平成29年5月1日付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1ないし22に係る発明は、平成29年5月1日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
地上受信機に信号を同時に送信するように構成される第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンであって、前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、該第1の地上ベースの測位ビーコン又は前記第2の地上ベースの測位ビーコンから前記地上受信機への前記送信との潜在的な干渉の識別に対応して、前記地上受信機への自身の送信を変更するように構成されるものである、第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンを備え、
前記潜在的な干渉がブロードキャストスロットごとに識別されるのに応じて、前記第1の地上ベースの測位ビーコン及び前記第2の地上ベースの測位ビーコンのそれぞれが、リアルタイムで、ブロードキャストスロットごとに、自身の最大電力レベルで送信すべきか又は自身の送信電力を低減すべきかを判断するように構成される、地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項2】
前記潜在的な干渉は、前記地上受信機への前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信と前記第2の地上ベースの測位ビーコンからの同時送信との間のものである、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項3】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、前記潜在的な干渉の前記識別に対応し自身の送信電力を低減するように構成される、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項4】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、前記潜在的な干渉の前記識別に対応して自身のアンテナパターンを変更するように構成される、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項5】
前記潜在的な干渉は前記第1の地上ベースの測位ビーコンの前記アンテナパターンと前記第2の地上ベースの測位ビーコンのアンテナパターンとの間のものである、請求項4に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項6】
前記潜在的な干渉の前記識別は、前記第1の地上ベースの測位ビーコンから前記地上受信機への前記送信の反射/回折を検出することを含む、請求項4に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項7】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、前記潜在的な干渉の前記識別に対応して自身の送信の帯域幅を変更するように構成される、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項8】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンの前記送信の前記帯域幅を変更することは、該帯域幅を、前記第2の地上ベースの測位ビーコンの前記送信の帯域幅と異なる帯域幅に変更することを含む、請求項7に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項9】
前記異なる帯域幅のそれぞれの周波数帯域は重なり合わない、請求項8に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項10】
前記潜在的な干渉の前記識別は、前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信が、前記地上受信機において前記第2の地上ベースの測位ビーコンからの前記同時送信と干渉するのに十分強力であると判断することを含む、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項11】
第1の地上ベースの測位ビーコンからの送信が、地上受信機において第2の地上ベースの測位ビーコンからの同時送信と干渉するのに十分強力であると判断するステップと、
前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信が、前記地上受信機において前記第2の地上ベースの測位ビーコンからの前記同時送信と干渉するのに十分強力であるという判断に応じて、前記第1の地上ベースの測位ビーコンから前記地上受信機への前記送信を変更するステップと、
を含み、
前記判断するステップは、地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われ、
前記変更するステップは、前記第2の地上ベースの測位ビーコンからの前記同時送信を変更することなしに干渉するのに十分強力である前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信を変更するステップを含む、地上ベースの測位ビーコンネットワークにおいて干渉を低減する方法。
【請求項12】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信を変更するステップは、送信電力、アンテナパターン、及び前記第1の地上ベースの測位ビーコンから前記地上受信機へ送信される信号の帯域幅のうちの少なくとも1つを変更するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記送信電力、前記アンテナパターン及び前記帯域幅のうちの少なくとも1つを変更することによって前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信を変更するステップの後、前記送信電力、前記アンテナパターン及び前記帯域幅のうちの異なる1つを変更することによって前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信を更に変更するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンからの前記送信を変更するステップは、高レベルの位置特定精度が好ましいという判断に応じて、前記第1の地上ベースの測位ビーコンから送信される前記信号の前記帯域幅を増大させるステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
地上受信機において1つ又は複数の僅かでない電力レベルで複数の地上ベースの測位ビーコンから同時の未変更の送信を受信するステップであって、前記地上ベースの測位ビーコンのうちの少なくとも1つからの未変更の送信は、前記地上受信機において前記地上ベースの測位ビーコンのうちの別の1つからの同時の未変更の送信と干渉するのに十分強力なものである、受信するステップと、
前記複数の地上ベースの測位ビーコンから前記同時の未変更の送信を受信するステップの後、前記未変更の送信との潜在的干渉の識別に対応して、前記地上受信機において前記1つ又は複数の僅かでない電力レベルで前記少なくとも1つの地上ベースの測位ビーコンから変更済みの送信を受信し、その間、前記地上受信機において前記1つ又は複数の僅かでない電力レベルで前記地上ベースの測位ビーコンのうちの前記別の1つから前記未変更の送信を同時に受信するステップと、
を含み、前記潜在的干渉の前記識別は、地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われる識別である、地上ベースの測位ビーコンネットワークにおいて干渉を低減する方法。
【請求項16】
前記変更済みの送信は、送信電力、アンテナパターン及び帯域幅のうちの少なくとも1つに関する前記未変更の送信との比較において変更される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1つ又は複数の僅かでない電力レベルで複数の地上ベースの測位ビーコンから同時の未変更の送信を受信するように構成される受信機であって、前記地上ベースの測位ビーコンのうちの少なくとも1つからの未変更の送信は、該受信機において前記地上ベースの測位ビーコンのうちの別の1つからの同時の未変更の送信と干渉するのに十分強力であり、該受信機は、前記未変更の送信との潜在的干渉の識別に対応して、前記1つ又は複数の僅かでない電力レベルで前記少なくとも1つの地上ベースの測位ビーコンから変更済みの送信を受信し処理し、その間、前記1つ又は複数の僅かでない電力レベルで前記地上ベースの測位ビーコンのうちの前記別の1つから前記未変更の送信を同時に受信し処理するように更に構成されるものである、受信機を備え、
前記潜在的干渉の前記識別は、地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われる識別である、地上ベースの測位デバイス。
【請求項18】
前記変更済みの送信は、送信電力、アンテナパターン及び帯域幅のうちの少なくとも1つに関する前記未変更の送信との比較において変更される、請求項17に記載の地上ベースの測位デバイス。
【請求項19】
未変更の送信を1つ又は複数の僅かでない電力レベルで地上ベースの測位受信機に送信するように構成されるアンテナであって、該アンテナからの前記未変更の送信は、1つ又は複数の他の地上ベースの測位ビーコンから前記地上ベースの測位受信機への同時の未変更の送信と干渉するのに十分強力であり、該アンテナは、前記1つ又は複数の他の地上ベースの測位ビーコンからの前記未変更の送信と同時に、該アンテナから前記地上ベースの測位受信機への前記未変更の送信との潜在的干渉の識別に対応して、変更済みの送信を前記1つ又は複数の僅かでない電力レベルで前記地上ベースの測位受信機に送信するように更に構成されるものである、アンテナを備え、
前記潜在的干渉の前記識別は、地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われる識別である、地上ベースの測位ビーコン。
【請求項20】
前記変更済みの送信は、送信電力、アンテナパターン及び帯域幅のうちの少なくとも1つに関する前記未変更の送信との比較において変更される、請求項19に記載の地上ベースの測位ビーコン。
【請求項21】
前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、前記潜在的な干渉の前記識別に対応して、自身の送信電力を1つ又は複数の僅かでない電力レベルに低減することにより、自身の送信を変更するように構成される、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。
【請求項22】
前記潜在的な干渉がブロードキャストスロットごとに識別されるのに応じて、前記第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンのそれぞれが、リアルタイムで、ブロードキャストスロットごとに、自身の最大電力レベルで送信すべきか又は自身の送信電力を1ワット又は1ワット未満の低さに低減すべきかを判断するように構成される、請求項1に記載の地上ベースの測位ビーコンネットワーク。」

第3 引用例
(引用例1)
本願の最先の優先日前に頒布された刊行物である、引用例1(Hongliang XU、Chuanrun ZHAI、Xin ZHANG、Yanhua ZHANG、Xingqun ZHAN、Low-cost GPS Pseudolite、CD-ROM Proceedings、International Symposium on GPS/GNSS 2008 in Tokyo 、2008、p.521?525)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
ア「Low-Cost pseudolite」(タイトル)(当審訳:低価格スードライト)

イ「GPS pseudolite is some kind of ground equipment that generates and transmits signal in space similar to GPS satellites. Pseudolites can be used to augment the GPS constellation, where signal is too weak or in-comprehensive. They can also be used to build an independent in-door positioning system without any satellite signals. Since 1976 pseudolite is firstly proposed by Harrington, several pseudolite architecture and applications are discussed and experimented. However, one of the most influencing obstacles of the implementation of PLs in ordinary civil application is the overall cost. Few companies provide off the shelf PL products, which are usually complex and expensive. In this paper, design and implementation of a low-cost pseudolite is discussed. The pseudolites can form an independent positioning system with medium precision. The pseudolite provides a friendly and seamless system. In this case, users don’t need to modify any hardware or firmware of the GPS receiver while using the pseudolite system, or they may be even not aware of entering the pseudolite coverage from the open air. Cost problem is also a critical point we are concerned in design. Cost of a single pseudolite is cut down to around US$150. That means the overall cost of a network with 10 pseudolites is less than US$ 2,000. This will make the pseudolite technology much more feasible and affordable. In this paper, hardware architecture of the pseudolite is discussed. A preferred dual frequency conversion structure is selected. The pseudolite utilizes a direct digital synthesizer (DDS) chip to generate a modulated IF, and then up-converted to L1 band. This DDS technology provides fine frequency tuning capability, and very low phase noise. A flexible RF backend of the pseudolite is designed. A variable gain amplifier (VGA) and a programmable attenuator together with an RF power detector form a closed-loop power control scheme. Thus RF output power can be set from -70 dBm to 10 dBm, with step of 2dB.
Precise power adjustment after installation in the field is a helpful assistant to pulsing technique in overcoming the near-far problem. Reference clock is one of the most important parts of the pseudolite. Varies oscillators/clocks are compared in this paper, and a receiver-grade TCXO is chosen. Frequency tuning technique is discussed. Test results of the pseudolite are demonstrated. Expected IF & RF signals are obtained. Reference clock is tuned in the test. According to the measurements of a SuperStarII GPS receiver, frequency error is reduced from -185 to -15.」(第521頁左欄第10行?同頁右欄第21行)(当審訳:GPスードライトは、GPS衛星に類似して、空間に電波を生成して、そして伝達する、ある種の地上の装置です。 スードライトは、電波があまりにも弱いか、あるいは認識できない場所で、GPSの配置を増大させるために使われることができます。それらは、人工衛星シグナルなしで、独立した屋内の測位システムを構築するために使われることができます。 1976にスードライトが最初にHarringtonによって提案されて以来、いくつかのスードライト・アーキテクチャと応用が論じられ、そして実験されています。 しかしながら、普通の民間の応用でのPLsの実装の大部分に影響を与えている障害の1つは、全体的なコストです。 ほとんど会社が、通常複雑で、そして高価なPL製品を、既製の製品として提供しません。 本紙では、低コストなスードライトの設計と実装とが論じられます。 スードライトは、中精度で、独立した測位システムを構成することができます。 スードライトは、フレンドリな、そして縫い目のないシステムを提供します。 この場合、ユーザーが、スードライトのシステムを使っている間に、GPS受信機のどんなハードウェアあるいはファームウェアも修正する必要がありませんし、あるいは、彼らは、戸外からスードライトの適用範囲に入ったことさえ気が付かないかもしれません。 コスト問題は、同じく、我々の設計に関わる、重大なポイントです。 スードライト単体のコストは、およそ150米ドルに減らされます。 それは、10の スードライトを用いたネットワークの全体的なコストが、2,000米ドル以下であることを意味します。 これはスードライトの技術をずっと実行可能で、そして手ごろにするでしょう。 本紙で、スードライトのハードウェア・アーキテクチャが論じられます。 望ましい二重の周波数変換構造が選択されます。 スードライトは、変調された IF を生成するために直接デジタルシンセサイザー(DDS)チップ使用し、そして、L1 バンドにアップ・コンバートされます。 このDDS技術は、素晴らしい周波数調整能力と非常に低い位相騒音を提供します。 スードライトの柔軟なRFバックエンドが設計されます。 可変ゲインアンプ(VGA)とプログラム可能な減衰器が、RFパワー検出器を共に、閉ループのパワー・コントロール・スキームを構成します。 それで RF 出力は、 2dB のステップで、10 dBm から -70dBm にセットが可能であり、 フィールドに設置した後の正確なパワー調整は、遠近問題を克服することにおけるパルス化技術の役に立つ補助(helpful assistant)です。 参照時計はスードライトの最も重要な部分の1つです。 発振器 / 時計の変化が本紙で比較され、そして受信等級の TCXO が選択されます。 周波数調整技術が論じられます。 スードライトのテスト結果が説明されます。 予想される IF & RF 信号が得られました。 参照時計は、テスト中に調整されます。 SuperStarII GPS受信機の測定によれば、周波数エラーは - 185から-15まで減少しています。)

ウ「As we all known, the biggest technical obstruction still lies on the near-far problem, especially when compatibility with actual satellite signals is wanted. This pseudolite provides us a possible approach solving the problem by fine adjusting power after installation. In this way, proper signal coverage with preferred power level may be built, and signal strength in a certain area will always fall in the valid range. More analysis and experiments on this issue are planned.
Conventional pulsing technique is still adopted to overcome near-far problem. Pulsing scheme of all pseudolites are synchronized, and the pulsing width can be adjusted with millisecond resolution.」(第523頁左下欄下から3行目?同頁右欄第10行)(当審訳:我々のすべてが知っているように、最大の技術的障害は遠近問題であって、特に実際の衛星信号との互換性が求められる場合です。 このスードライトは、我々に、設置の後の微細なパワー調整によってその問題を解決する、可能なアプローチを提供します。 このようにして、望ましいパワーレベルによって、適切な信号の到達範囲が形成され、そして、あるエリアの信号強度は、常に妥当な範囲に入るでしょう。 この問題に関するもっと多くの分析と実験が、計画されています。
典型的なパルス化技術が、今までどおり、遠近問題を克服するために採用されます。 パルス化スキームにおける全てのスードライトは同期化され、そして、パルス化幅はミリ秒の分解能で調整することができます。)

エ「In the pseudolite network, a reference receiver is used to monitor the frequency drift of every pseudolite's clock.」(第523頁右欄第30?31行)(当審訳:スードライト・ネットワークにおいて、全てのスードライトのクロックの周波数ドリフトをモニタするために、参照受信機が用いられます。)

よって、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1という。)が記載されていると認められる。
「GPSスードライトは、GPS衛星に類似して、空間に電波を生成して、そして伝達する、ある種の地上の装置であって、人工衛星シグナルなしで、独立した屋内の測位システムを構築するために使われることができ、また、スードライトは、中精度で、独立した測位システムを構成することができ、スードライトの適用範囲で、GPS受信機に測位システムを提供し、スードライトは、変調された IF を生成するために直接デジタルシンセサイザー(DDS)チップ使用し、そして、L1 バンドにアップ・コンバートされ、スードライトの柔軟なRFバックエンドが設計され、可変ゲインアンプ(VGA)とプログラム可能な減衰器が、RFパワー検出器を共に、閉ループのパワー・コントロール・スキームを構成し、それで RF 出力は、 2dB のステップで、10 dBm から -70dBm にセットが可能であり、設置の後の微細なパワー調整によって、望ましいパワーレベルによって、適切な信号の到達範囲が形成され、そして、あるエリアの信号強度は、常に妥当な範囲に入り、典型的なパルス化技術が、今までどおり、遠近問題を克服するために採用され、パルス化スキームにおける全てのスードライトは同期化される、スードライト・ネットワーク。」

(引用例2)
本願の最先の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、Edward Alan LeMaster、SELF-CALIBRATING PSEUDOLITE ARRAYS:THEORY AND EXPERIMENT、May 2002、オンライン、<URL:https://web.archive.org/web/20030427110323/http://sun-valley.stanford.edu/papers/LeMaster:2002.pdf>には、次の事項が記載されている。
「2.4.1 Synchronization
Pseudolite pulses may be either synchronized or unsynchronized. Unsynchronized pulses may overlap, and the resulting pulse interference reduces the ability of the receiver to track the signals and increases the measurement noise. In extreme cases with significant overlap,tracking lock may be lost altogether. With synchronized pulsing, on the other hand, an external clock is used to provide a unified time reference for the pseudolites. Each of the pseudolites is then given an allowed broadcast slot, and all other pseudolites are silent during this time.
Because synchronized pulsing is a true TDMA scheme, it offers many advantages. Since each pseudolite broadcasts only in its dedicated time slot, pulse interference between the different signals can frequently be eliminated altogether. The duration of each pseudolite pulse can be extended to the entire width of the slot, allowing for maximum correlation gain. If these slots are kept short, a large number of pseudolites can be used within the same geographic area. In addition, if the receiver is programmed to know when pseudolites are pulsing, it can turn off its correlator during times when no pulses are occurring. This is called pulse blanking, and increases the received S/I ratio by reducing the correlation with the background noise.
The primary disadvantage with synchronization is the more sophisticated infrastructure required to bring the external timing signal to the pseudolites, especially if these are distributed over a wide geographic area.」(第27頁第4?23行)(当審訳:2.4.1 同期化
スードライトパルスは、同期されているか、または非同期であるかも知れません。 非同期パルスは重なり合うかもしれず、そして結果として生じているパルス干渉は、受信機の信号追跡能力を減少させ、測定雑音を増加させます。 著しいオーバーラップを伴う極端なケースでは、追跡ロックがまったく失われるかもしれません。 同期パルス化を用いることで、外部クロックが、スードライトに統一された参照時間を提供するために使われます。 スードライトのそれぞれが、許可された放送スロットを与えられ、そして他のすべてのスードライトは、その時間の間、沈黙します。
同期パルス化は、本当の TDMAスキームであるから、それは多くの利点を提供します。 それぞれスードライトは、専用のタイムスロットの中だけで放送するので、異なった信号間のパルス干渉は、しばしばまったく削除されることができます。 それぞれのスードライトのパルスの持続時間は、スロットの幅全体に延長されることができ、最大の相関利得を可能にします。もしこれらのスロットが短い状態に保たれるなら、多数の スードライトを、同じ地理的なエリアの中で使うことができます。 加えて、もし受信機が、スードライトがいつパルス化されているか知っているようにプログラムされているなら、それは、パルスが生じていない時間に、その相関器を止めることができます。 これはパルス・ブランキング呼ばれ、そして、背景雑音との相関を減少させることで、受信機のS /I比を増加します。
同期化に伴う主要な不利益は、特に、これらが広範な地理的なエリアに分布されているなら、外部クロックをスードライトに持ってくるために、より洗練されたインフラが要求されることです。)

(引用例3)
本願の最先の優先日前に頒布された刊行物である、特開2008-211667号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0003】
しかしながら、この手法では、別基地局を使用することで基地局と端末の距離が離れてしまい消費電力が増大してしまうという問題がある。そもそも、基地局の追加などに追従して最適なサービスエリアを構築できていない事に問題があり、この手法は、最適なサービスエリアの構成について何ら解決するものではない。また、アンテナのチルト角の変更は、固定チルトの時はアンテナ交換・可変チルトの時は所定のオペレーションが必要であるが、実際に調整を行ったときは、該当エリアで電波測定(フィールドテスト)を行う事や運用実績の比較によってチルト角調整を検証することになる。また、基地局の追加の際は周辺環境も検討に入れる必要もあり、チルト角検証には大きな工数がかかる。また、このように周到に調整したアンテナチルト角であっても、基地局周辺の建造物(ビルなど)の出現や改築などによって電波伝搬環境は顕著に変動し、サービス中の基地局のチルト角の簡易な調整技法の開発が待たれている。特に、アダプティブアレイアンテナのようにアンテナウエイト(ビーム指向性)の調整によって、アンテナチルト角を電気的に調整できる場合には、調整自体は、アンテナウエイトを制御することで簡易に可能であるため、定期的にアンテナチルト角の調整を行うことが望ましい。」

第4 進歩性について
(請求項1に係る発明について)
(1)対比
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明における「GPS受信機に測位システムを提供」する「GPSスードライト」は、「地上の装置」であって、「人工衛星シグナルなしで、独立した屋内の測位システムを構築するために使われることができ、また、スードライトは、中精度で、独立した測位システムを構成することができ」るから、少なくとも、「空間に電波を生成して、そして伝達する」、「地上の装置」である複数の「スードライト」を備えていることは明らかである。
よって、その、「地上の装置」である複数の「スードライト」のうち、「地上の装置」である第1の「スードライト」及び「地上の装置」である第2の「スードライト」と、本願発明1における「地上受信機に信号を同時に送信するように構成される第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコン」とは、「地上受信機に信号を送信するように構成される第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコン」の点で共通する。

イ 引用発明1において、「 RF 出力は、 2dB のステップで、10 dBm から -70dBm にセットが可能である「スードライト」が、本願発明1における「前記地上受信機への自身の送信を変更するように構成されるものである、第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコン」に相当する。

ウ 引用発明1において、「GPSスードライト」が、「RF 出力は、 2dB のステップで、10 dBm から -70dBm にセットが可能であ」り、「設置の後の微細なパワー調整によって、望ましいパワーレベルによって、適切な信号の到達範囲が形成され」ることと、本願発明1における「前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、該第1の地上ベースの測位ビーコン又は前記第2の地上ベースの測位ビーコンから前記地上受信機への前記送信との潜在的な干渉の識別に対応して、前記地上受信機への自身の送信を変更するように構成されるものである、第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンを備え」ることとは、「前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、前記地上受信機への自身の送信を変更するように構成されるものである、第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンを備え」る点で共通する。

エ 引用発明1における、「地上の装置」により「独立した測位システムを構成する」「スードライト・ネットワーク」が、次の相違点は除いて、本願発明1における「地上ベースの測位ビーコンネットワーク」に相当する。

よって、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点、相違点を有するものと認められる。
(一致点)
「地上受信機に信号を送信するように構成される第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンであって、前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、前記地上受信機への自身の送信を変更するように構成されるものである、第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンを備える、地上ベースの測位ビーコンネットワーク。」

(相違点1)
本願発明1における、第1の地上ベースの測位ビーコン及び第2の地上ベースの測位ビーコンは、地上受信機に信号を「同時に」送信するように構成されているのに対し、引用発明1におけるGPSスードライトは、「典型的なパルス化技術が、今までどおり、遠近問題を克服するために採用され、パルス化スキームにおける全てのスードライトは同期化され」ている点(つまり、同時には送信されない点。)。

(相違点2)
本願発明1における、前記第1の地上ベースの測位ビーコンは、「該第1の地上ベースの測位ビーコン又は前記第2の地上ベースの測位ビーコンから前記地上受信機への前記送信との潜在的な干渉の識別に対応して、前記地上受信機への自身の送信を変更するように構成されるものである」のに対し、引用発明1における「GPSスードライト」は、「望ましいパワーレベルによって、適切な信号の到達範囲が形成され」るよう、設置の後の微細なパワー調整がなされる点。

(相違点3)
本願発明1では、「前記潜在的な干渉がブロードキャストスロットごとに識別されるのに応じて、前記第1の地上ベースの測位ビーコン及び前記第2の地上ベースの測位ビーコンのそれぞれが、リアルタイムで、ブロードキャストスロットごとに、自身の最大電力レベルで送信すべきか又は自身の送信電力を低減すべきかを判断するように構成される」のに対し、引用発明では、「パルス化スキームにおける全てのスードライトは同期化される」ものであるから、GPSスードライト間における潜在的な干渉がブロードキャストスロットごとに識別されることは、想定できない点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点1について検討する。
引用例2に記載された技術は、「スードライトパルスは」、「非同期であるかも知れ」ず、「非同期パルスは重なり合うかもしれず、そして結果として生じているパルス干渉は、受信機の信号追跡能力を減少させ、測定雑音を増加させ」、「著しいオーバーラップを伴う極端なケースでは、追跡ロックがまったく失われるかもしれ」ないため、「同期パルス化を用いることで、外部クロックが、スードライトに統一された参照時間を提供するために使われます。 スードライトのそれぞれが、許可された放送スロットを与えられ、そして他のすべてのスードライトは、その時間の間、沈黙し」、「同期パルス化は、本当の TDMAスキームであるから、それは多くの利点を提供し」、「それぞれスードライトは、専用のタイムスロットの中だけで放送するので、異なった信号間のパルス干渉は、しばしばまったく削除されることができ」る、というものである。
すると、引用例2に記載された技術は、スードライトパルスについて、非同期パルスを用いることに代え、同期パルス化を用い、「異なった信号間のパルス干渉」を「削除」ることを指向するものであるから、引用例2に記載された技術を考慮しても、引用発明1における(遠近問題を克服するために採用された)「同期化され」た「パルス化スキーム」を、敢えて「非同期パルス」とし、複数のGPSスードライトが、信号を「同時」に送信し、干渉を起こすようにすることは、当業者にとって動機付けられないことである。
また、引用例3にも、複数のGPSスードライトが信号を「同時」に送信するように構成することは、記載も示唆もされていない。

よって、引用例2、引用例3を考慮したとしても、引用発明1において、複数のGPSスードライトが、信号を「同時」に送信するようにし、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(3)まとめ
以上のとおり、相違点2、相違点3について判断するまでもなくも、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び周知の事項(引用例2、引用例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(請求項2?10、21、22に係る発明について)
請求項2?10、21、22に係る発明は、上記相違点1に係る本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知の事項(引用例2、引用例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(請求項11?14に係る発明について)
請求項11?14に係る発明は、上記相違点1に係る本願発明1と同様に「第1の地上ベースの測位ビーコンからの送信」が「地上受信機において第2の地上ベースの測位ビーコン」からの送信が「同時送信」であるとの構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知の事項(引用例2、引用例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(請求項15、16に係る発明について)
請求項15、16に係る発明は、上記相違点1に係る本願発明1と同様に、「複数の地上ベースの測位ビーコンから同時」の「送信を受信するように構成される受信機」との構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知の事項(引用例2、引用例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(請求項17、18に係る発明について)
請求項17、18に係る発明は、上記相違点1に係る本願発明1と同様に、「複数の地上ベースの測位ビーコンから同時」の「送信を受信するように構成される受信機」との構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知の事項(引用例2、引用例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(請求項19、20に係る発明について)
請求項19、20に係る発明は、上記相違点1に係る本願発明1と同様に、「地上ベースの測位受信機に送信するように構成されるアンテナ」であって、「該アンテナからの」「送信は、1つ又は複数の他の地上ベースの測位ビーコンから前記地上ベースの測位受信機への同時」の「送信」であるとの構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び周知の事項(引用例2、引用例3)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第5 原査定についての判断
ア 請求項1?10、21、22に係る発明について
原査定における引用文献1(特表2010-530176号公報)、引用文献2(特開2000-180527号公報)、及び、引用文献3(特表2010-529419号公報)(以下、「原査定における引用文献1?3」という。)には、平成28年3月15日付けの手続補正(以下、「審判請求時の補正」という。)に係る、「前記潜在的な干渉がブロードキャストスロットごとに識別されるのに応じて、前記第1の地上ベースの測位ビーコン及び前記第2の地上ベースの測位ビーコンのそれぞれが、リアルタイムで、ブロードキャストスロットごとに、自身の最大電力レベルで送信すべきか又は自身の送信電力を低減すべきかを判断する」点が記載されていない。また、この点は、本願の最先の優先日前における周知技術でもない。

イ 請求項11?14に係る発明について
原査定における引用文献1?3には、審判請求時の補正に係る、「第1の地上ベースの測位ビーコンからの送信が、地上受信機において第2の地上ベースの測位ビーコンからの同時送信と干渉するのに十分強力であると判断するステップ」が「地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われ」る点が記載されておらず、また、この点は、本願の最先の優先日前における周知技術でもない。

ウ 請求項15、16に係る発明について
原査定における引用文献1?3には、審判請求時の補正に係る、「複数の地上ベースの測位ビーコン」からの「送信との潜在的干渉の識別」が「地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われる識別である」点が記載されておらず、また、この点は、本願の最先の優先日前における周知技術でもない。

エ 請求項17、18に係る発明について
原査定における引用文献1?3には、審判請求時の補正に係る、「地上ベースの測位ビーコンのうちの別の1つからの」「送信との潜在的干渉の識別」が「地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われる」点が記載されておらず、また、この点は、本願の最先の優先日前における周知技術でもない。

オ 請求項19、20に係る発明について
原査定における引用文献1?3には、審判請求時の補正に係る、「前記1つ又は複数の他の地上ベースの測位ビーコンからの」「前記地上ベースの測位受信機への」「送信との潜在的干渉の識別」が「地上ベースの測位ビーコンネットワークのフィールド試験中に、及び/又はリアルタイムで行われる識別である」点が記載されておらず、また、この点は、本願の最先の優先日前における周知技術でもない。

カ したがって、本願の請求項1?22に係る発明は、当業者であっても、原査定における引用文献1?3に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-06-26 
出願番号 特願2013-547563(P2013-547563)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01S)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 説志目黒 大地  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 清水 稔
須原 宏光
発明の名称 地上ベースの測位ビーコンネットワーク、干渉を低減する方法、地上ベースの測位デバイス、及び地上ベースの測位ビーコン  
代理人 有原 幸一  
代理人 河村 英文  
代理人 松島 鉄男  
代理人 奥山 尚一  

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