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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1329586
審判番号 不服2016-6106  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-25 
確定日 2017-06-22 
事件の表示 特願2014- 496「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日出願公開、特開2015-128479〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成26年1月6日に特許出願されたものであって、平成27年5月8日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し同年7月6日付けで手続補正書が提出されたが平成28年1月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、当審において、平成29年1月31日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成29年4月5日付けで手続補正がされたものである。

2 本願発明
この出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成29年4月5日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
A 所定の特定遊技開始条件が成立することに基づいて行われる特定遊技を制御する特定遊技制御手段と、
B 前記特定遊技中に行われる特定遊技演出を制御する特定遊技演出制御手段と、
C 前記特定遊技中における遊技者への遊技価値の付与数を計数する計数手段と、
D 前記計数手段による計数値が基準値に達した旨の特定報知を制御する特定報知制御手段とを備え、
E 前記特定遊技中に、遊技者に有利な利益状態を1ラウンド又は複数ラウンド発生させるように構成した
遊技機において、
F 前記特定遊技演出は、前記特定遊技の終了を示すエンディング演出を含み、
G 前記特定遊技中に前記遊技価値が付与されたときに、前記計数値を更新する計数値更新処理と、その更新後の前記計数値が前記基準値に達している場合に前記特定報知を行う特定報知処理とを実行可能であり、
H 前記遊技価値が前記エンディング演出中に付与された場合には前記計数値更新処理の後に前記特定報知処理を実行しないことにより、前記特定報知を、そのエンディング演出中には行わず次の前記特定遊技中における前記遊技価値の付与時に行う
ことを特徴とする遊技機。」
(下線部は補正箇所を示す。A?Hは、本願発明を分説するために当審で付与した。)

3 当審の拒絶理由通知
当審の拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された特開2010-75436号公報に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 刊行物に記載された事項

(1)刊行物1に記載された発明
当審の拒絶理由で引用した本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-75436号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。

(1-ア)「【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る弾球遊技機の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。」

(1-イ)「【0028】
特別図柄表示装置38は、たとえば7セグを3桁に並べたものから構成される。遊技球が上始動口34または後述する下始動口35に入賞したことに伴い、所定の始動信号が発生される。この始動信号に基づき、主制御基板27(主演算処理装置:図4参照)において乱数抽選による大当り抽選が行なわれる。この抽選結果に応じて特別図柄(たとえば、図柄、数字、記号)を特別図柄表示装置38に変動表示させ、上記特別図柄変動表示ゲームを行うようになっている。特別図柄表示装置38が所定の停止表示態様(たとえば、3個の7セグが全て「7」表示状態)となった場合、すなわち上記抽選結果が「大当り」であった場合、開放扉42bを駆動させるための特別変動入賞装置ソレノイド42a(図4参照)が作動し、開放扉42bが開いて大入賞口40が開放され、通常の遊技状態(以下、「通常遊技」と称する)よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、特別変動入賞装置42の開放扉42bが、所定時間(たとえば29秒)開放して大入賞口40が開放されるか、または所定個数(たとえば10個)の遊技球が特別変動入賞装置42に入賞するまで(大入賞口センサ40a(図4参照)により所定個数の入賞球が検出されるまで)大入賞口40が開放され、その後、所定時間(たとえば2秒)開放扉42bが閉まり大入賞口40を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば最大15回(15ラウンド))繰り返されるようになっている。」

(1-ウ)「【0043】
また各入賞口に入賞したことを示す演出制御コマンドとして、入賞コマンドがある。この入賞コマンドには、上始動口34、下始動口35、大入賞口40、普通図柄始動口37、または一般入賞口43等への入賞球を検出した場合に、それぞれの入賞口に対応する入賞コマンドが所定のタイミングで送信される。」

(1-エ)「【0047】
演出制御基板24は主制御基板27から送信される演出制御コマンドを受けて、これに関連付けられた液晶制御コマンドを液晶制御基板25に送信する。たとえば、上記「特別図柄指定」コマンドや上記「特別図柄変動」コマンドを受けて、停止させる装飾図柄の抽選、予告演出の抽選、背景変化の抽選等を行い、その結果を、演出を現出させるためのコマンドに変更および追加して、映像の再生が必要なタイミングで液晶制御基板25に液晶制御コマンドを送信し、音や光の再生が必要なタイミングで音声コマンドや発光コマンドをLED基板や音響制御回路に送信する。原則的に、液晶制御CPUへのコマンド送信は、主制御CPUからのコマンドを受信した順序で行なわれる。」
【0048】
液晶制御基板25は、上記液晶制御コマンドを受けて液晶表示装置36を駆動制御し、画像による演出を実現している。また、液晶制御基板25のROM(画像ROM)には、画像を表示するための種々の画像データが記憶されており、また、演出出力全般の制御を担うVDP(Video Display Processor)が搭載されている。この液晶制御基板25は演出手段である液晶表示装置36を制御する演出制御手段として機能し、また液晶制御基板25は、液晶表示装置36に複数の装飾図柄を変動表示させ、その後に停止表示させる図柄表示制御手段としても機能する。なお、本実施形態では、演出制御基板24と液晶制御基板25とを別個の基板で遊技機に設けているが、これらの基板が担う機能を一体的に構成し、1つの基板に搭載しても良い。」

(1-オ)「【0052】
また大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドとして、特別図柄の停止後に送信される「大当り開始表示」コマンド、大入賞口40の開放時に送信される「開放表示」コマンド、大入賞口40の閉鎖時に送信される「開放インターバル表示」コマンド、最終ラウンドの大入賞口40の閉鎖後に開放インターバル表示コマンドの受信よりインターバル演出時間の経過後に送信される「大当り終了表示」コマンド、大当り終了後、大当り終了表示コマンドの受信より大当り終了演出時間経過後に送信される「遊技状態表示」コマンド等がある。」

(1-カ)「【0061】
次に、図5および図6を参照して、本実施形態のパチンコ遊技機1において主制御基板27側における処理内容について説明する。先ず、図5を参照して、主制御基板27の主制御CPUが遊技動作制御プログラムに従い実行する主制御側メイン処理について説明する。なお、図5および図6にて説明する処理内容は主制御CPUにより実行されるものであるが、説明の便宜上、処理を実行する主体を主制御基板27として説明する。」

(1-キ)「【0127】
図6に戻り、上記特別図柄管理処理(ステップS159)に次いで、特別変動入賞装置管理処理を実行する(ステップS160)。この特別変動入賞装置管理処理は、特別図柄管理処理(ステップS159)における大当りの当否抽選の結果に基づき、ソレノイド制御用の励磁制御信号を特別変動入賞装置ソレノイド42aに送信し、開放扉42bの一連の動作を制御するための処理である。この特別変動入賞装置管理処理は、前記大当り抽選手段により大当りが抽選されたことを条件として、大当りを発生させて大当り遊技を実行制御する大当り遊技制御手段に対応する。」

(1-ク)「【0173】
(1-1)大当り中
図19において、時刻t0?t3はSラウンド潜伏確変確定図柄(大当り遊技として特別変動入賞装置の作動回数(ラウンド数)が2回、大当り終了後に移行する特殊遊技として潜伏確変状態となる特別図柄:2ラウンド潜伏確変確定図柄)で大当り中の区間を示し、時刻t4?t7はRラウンド確変確定図柄(大当り遊技として特別変動入賞装置の作動回数が15回、大当り終了後に移行する特殊遊技として確変時短遊技状態となる特別図柄:15ラウンド確変確定図柄)で大当り中の区間を示し、時刻t8?t12はRラウンド非確変確定図柄(大当り遊技として特別変動入賞装置の作動回数が15回、大当り終了後に移行する特殊遊技として時短状態となる特別図柄:15ラウンド非確変確定図柄)で大当り中の区間を示す。これらの「大当り中」の区間は、それぞれ、大当りが発生した直後のインターバル区間である「大当り開始演出中」(15ラウンド確変確定図柄および15ラウンド非確変確定図柄で大当りの場合には「大当り開始演出中Ta(たとえば10秒)」、2ラウンド潜伏確変確定図柄で大当りの場合には「大当り開始演出中Ta’(たとえば5.9秒)」)と、特別変動入賞装置42の開放扉42bが所定回数(R回、S回)開閉動作する区間である「大当り遊技中」と、大当り遊技が終了した直後のインターバル区間である「大当り終了演出中」(15ラウンド確変確定図柄および15ラウンド非確変確定図柄で大当りの場合には「大当り終了演出中Tb(たとえば16.7秒)」、2ラウンド潜伏確変確定図柄で大当りの場合には「大当り終了演出中Tb’(たとえば3秒)」)との3つの区間からなる。各大当り中の基本的な動作は同じなので、代表的に時刻t4?t7の区間について説明する。」

(1-ケ)「【0179】
大当り遊技中は、最終ラウンドである第15回目の大入賞口40を閉鎖し(図19のt6)、一定時間が経過することで終了となる(図19のt7)。このとき、主制御基板27から「大当り終了表示」コマンドが送信され、これを演出制御基板24が受信し、これと同じコマンドを液晶制御基板25に送信して、同コマンドに対応する大当り終了演出が表示される。この大当り終了演出は所定の一定時間Tbだけなされ、所定時間Tbが経過すると大当り区間は終了となる(図19のt7、図14のS419?S422参照)。この大当り終了演出としては、たとえばロゴマークを液晶表示装置に表示させる、獲得球数情報(詳細は後述する)を表示させる、等がある。なお2ラウンドの大当り遊技が実行される大当り(以下、必要に応じて「2ラウンドの大当り」と称する)中での大当り遊技の動作は、特別変動入賞装置42の大入賞口40の開閉動作、大当り開始演出中期間、大当り終了演出中期間等が15ラウンドとなる大当り中での遊技の動作と異なる点を除き、その他はt5?t6の区間の同じ遊技の動作である。また本実施形態では、上記「大当り中」の区間は、「大当り開始演出中」と、「大当り遊技中」と、「大当り終了演出中」との3つの区間からなると説明したが、上記「大当り中」の区間は「大当り遊技中」の区間を含んでいれば良く、「大当り開始演出中」や「大当り終了演出中」の区間を含まなくても良い。」

(1-コ)「【0231】
そして、大当り遊技中の上記単位時間(6秒)の経過時点が到来する度に、その直前の単位時間(6秒)内に発射されると推定される打出球数(打出損失球数)を、小計打出球数(小計打出損失球数)として直前の記憶保持値である獲得球数Vから減算する減算処理(大当り遊技中減算処理:ステップS722?S723)と、大当り遊技中に各入賞口へ入賞したことによる賞球がある度に(入賞コマンドを受信する度に)、その賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算する加算処理(大当り遊技中加算処理:ステップS724?S725)とを行う。具体的には上始動口34および下始動口35では入賞球1個毎に3個の賞球が払い出され、一般入賞口43では入賞球1個毎に15個の賞球が払い出されるので、それらの賞球数を獲得球数Vに加算する。なお、普通図柄始動口37は、賞球が払い出される入賞口ではないので、賞球数「0」とするかもしくは除外して扱う。このステップS721?S725の処理は、大当り中に遊技者が前記入賞により獲得した獲得球数を計数する大当り中獲得球数計数手段に対応する。」

(1-サ)「【0248】
この場合、ステップS721の処理では、演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当りが発生した時点(t4)から大当り遊技中タイマを作動させ、大当り中の期間の計時動作を開始させる(ステップS721)。ここでの大当り遊技中タイマは、大当り中の計時動作を行うタイマとなる。
【0249】
そして、大当り中の単位時間(6秒)の経過時点が到来する度に、その直前の単位時間(6秒)内に発射されると推定される打出球数(打出損失球数)を、小計打出球数(小計打出損失球数)として直前の記憶保持値である獲得球数Vから減算する減算処理(ステップS722?S723)と、入賞コマンドを受信する度に、その賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算する加算処理(ステップS724?S725)とを行う。なお上記加算処理では、「大当り遊技中」に入賞コマンドを受信する度に、または「大当り中」に入賞コマンドを受信する度に、その賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算しても良い。」

(1-シ)「【0286】
図20に戻り、演出制御基板24は、上記大当り遊技中獲得球数計数処理または開放延長中獲得球数計数処理を終了すると、ステップS709の獲得球数表示条件判定処理に移行する。この獲得球数表示条件判定処理では、獲得球数の表示条件(獲得球数表示条件)が成立したか否かを判断している。獲得球数表示条件については特に制限はないが、遊技中を含めた適切な時期に遊技者に報知することが好ましい。したがってここでは、前提となる獲得球数表示条件の例として、2ラウンドの大当り中以外の期間で所定の表示条件が成立した場合に液晶表示装置36に表示する態様を挙げ、その所定の表示条件の例として(イ)15ラウンド大当り遊技終了を条件に表示、(ロ)所定個数を超えた場合に(所定個数を超える毎に)、その所定個数を2ラウンド大当り中以外の期間中で表示、(ハ)所定個数を超えた場合に(所定個数を超える毎に)、その所定個数を15ラウンド大当り遊技が終了したことを条件に表示、(ニ)2ラウンド大当り中以外の期間中にボタン操作で表示、(ホ)15ラウンド大当り遊技が終了したことを条件にボタン操作で表示、(ヘ)時短状態終了後にボタン操作で表示する、のいずれの獲得表示態様が指示されているのか、および、その指示された獲得表示態様において、あらかじめ設定されている個々の表示条件が成立したかを判断する。」
・・・
【0288】
演出制御基板24は、上記獲得表示条件が成立した場合、獲得球数表示用液晶データを設定し(図25?図30のステップS765、図32のステップS818およびS819)、獲得球数計数処理を終了する。この獲得球数表示用液晶データは、図17のステップS536において、液晶制御コマンドありと判断され、ステップS537にて液晶制御コマンドの一部として液晶制御基板25に送信される。なお、ここでは液晶表示装置36により獲得球数を報知する場合を示しているがこれに限らず、LEDや装飾ランプ45やスピーカ58等の他の演出手段を用いて獲得球数を報知する構成としても良い。」

(1-ス)「【0291】
液晶制御基板25は、上記獲得球数表示用液晶データを受信したか否かを常時監視している(ステップS901)。獲得球数表示用液晶データを受信した場合(ステップS901:YES)、液晶制御基板25は、液晶表示装置36の画面の所定の領域に、獲得した獲得球数を表示する獲得表示処理を行い、遊技者に獲得球数Vを報知する。これにより遊技者は大当り中(大当り遊技中)および連荘チャンス状態に獲得した総獲得球数を知ることができる。」

(1-セ)「【0310】
そして演出制御基板24は、ステップS782の処理の後、獲得球数表示用液晶データを設定し(ステップS765)、これにより獲得球数表示条件判定処理を終了する。この獲得球数表示用液晶データは、図17のステップS536において、液晶制御コマンドありと判断され、ステップS537にて液晶制御コマンドの一部として液晶制御基板25に送信され、獲得球数が画像表示される。
【0311】
図19では、一例として、15ラウンド非確変図柄での大当り中(t9?t10)の区間内の2/3程度(10ラウンドが終了した付近)で、獲得球数カウンタの数値が、最初のランク分け個数である2500個に達した場合を示している。そこで、この10ラウンドの終了時、獲得球数の報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を画面に表示する。」

上記記載事項(1-ア)?(1-セ)より、以下の事項が導かれる。

(1-ソ)段落【0127】には、「図6に戻り、上記特別図柄管理処理(ステップS159)に次いで、特別変動入賞装置管理処理を実行する(ステップS160)。・・・この特別変動入賞装置管理処理は、前記大当り抽選手段により大当りが抽選されたことを条件として、大当りを発生させて大当り遊技を実行制御する大当り遊技制御手段に対応する。 」と記載されている。
上記段落【0127】に記載の「前記大当り抽選手段により大当りが抽選されたことを条件として、大当りを発生させて大当り遊技を実行制御する大当り遊技制御手段に対応する」「特別変動入賞装置管理処理は」、図6で図示された「特別変動入賞装置管理処理」であり、上記段落【0061】の「図5および図6にて説明する処理内容は主制御CPUにより実行される・・・。」との記載事項により、段落【0127】において記載され、図6で図示された「特別変動入賞装置管理処理」は、主制御CPUにより実行されるといえる。
よって、上記段落【0061】、【0127】の記載事項及び図6の図示内容により、刊行物1には、大当り抽選手段により大当りが抽選されたことを条件として、実行される大当り遊技を制御する主制御CPUについて記載されていることは明らかである。

(1-タ)段落【0047】には、「演出制御基板24は主制御基板27から送信される演出制御コマンドを受けて、これに関連付けられた液晶制御コマンドを液晶制御基板25に送信する。」と記載され、段落【0048】には、「液晶制御基板25は、上記液晶制御コマンドを受けて液晶表示装置36を駆動制御し、画像による演出を実現している。」と記載され、段落【0052】には、「また大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドとして、特別図柄の停止後に送信される「大当り開始表示」コマンド、大入賞口40の開放時に送信される「開放表示」コマンド、大入賞口40の閉鎖時に送信される「開放インターバル表示」コマンド、最終ラウンドの大入賞口40の閉鎖後に開放インターバル表示コマンドの受信よりインターバル演出時間の経過後に送信される「大当り終了表示」コマンド、・・・等がある。」と記載されている。
したがって、上記段落【0047】、【0048】、【0052】の記載事項により、刊行物1には、大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを液晶制御基板25に送信する演出制御基板24について記載されているといえる。

(1-チ)段落【0231】には、「このステップS721?S725の処理は、大当り中に遊技者が前記入賞により獲得した獲得球数を計数する大当り中獲得球数計数手段に対応する。」と記載され、段落【0248】には、「この場合、ステップS721の処理では、演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当りが発生した時点(t4)から大当り遊技中タイマを作動させ、大当り中の期間の計時動作を開始させる(ステップS721)。ここでの大当り遊技中タイマは、大当り中の計時動作を行うタイマとなる。」と記載され、段落【0249】には、「そして、・・・入賞コマンドを受信する度に、その賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算する加算処理(ステップS724?S725)とを行う。」と記載されている。段落【0248】?【0249】の記載事項により、図21Aに図示された「S724」?「S725」は、「演出制御基板(演出制御CPU)24」により実行されるといえる。この「S724」?「S725」は上記段落【0231】に記載の大当り中に遊技者が前記入賞により獲得した獲得球数を計数する大当り中獲得球数計数手段に対応する「S721?S725」に含まれるといえる。
したがって、上記段落【0231】、【0248】?【0249】の記載事項及び図21Aの図示内容により、刊行物1には、大当り中に遊技者が入賞により獲得した獲得球数を計数する計数手段(演出制御基板24)が記載されているといえる。

(1-ツ)段落【0286】には「前提となる獲得球数表示条件の例として、2ラウンドの大当り中以外の期間で所定の表示条件が成立した場合に液晶表示装置36に表示する態様を挙げ、その所定の表示条件の例として・・・(ロ)所定個数を超えた場合に(所定個数を超える毎に)、その所定個数を2ラウンド大当り中以外の期間中で表示」と記載され、段落【0288】には、「演出制御基板24は、上記獲得表示条件が成立した場合、獲得球数表示用液晶データを設定し・・・液晶制御コマンドの一部として液晶制御基板25に送信される。なお、ここでは液晶表示装置36により獲得球数を報知する場合を示している」と記載され、段落【0291】には「液晶制御基板25は、・・・獲得球数表示用液晶データを受信した場合(ステップS901:YES)、液晶制御基板25は、液晶表示装置36の画面の所定の領域に、獲得した獲得球数を表示する獲得表示処理を行い、遊技者に獲得球数Vを報知する。」と記載され、段落【0310】には、「獲得球数表示用液晶データは、・・・液晶制御基板25に送信され、獲得球数が画像表示される。」と記載され、段落【0311】には、「獲得球数の報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を画面に表示する。」と記載されている。
上記【0286】、【0288】、【0291】、【0310】?【0311】の記載事項により、刊行物1には獲得球数が所定個数を超えた場合、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示する獲得表示処理を行う液晶制御基板25が記載されているといえる。

(1-テ)段落【0018】には、「以下、図面を参照しながら、本発明に係る弾球遊技機の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る弾球遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。」と記載され、段落【0028】には「開放扉42bが開いて大入賞口40が開放され、通常の遊技状態(以下、「通常遊技」と称する)よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、特別変動入賞装置42の開放扉42bが、所定時間(たとえば29秒)開放して大入賞口40が開放されるか、または所定個数(たとえば10個)の遊技球が特別変動入賞装置42に入賞するまで・・・大入賞口40が開放され、その後、所定時間(たとえば2秒)開放扉42bが閉まり大入賞口40を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば最大15回(15ラウンド))繰り返されるようになっている。」と記載されている。
上記段落【0018】、【0028】の記載事項により、刊行物1には、特別遊技状態(大当り遊技)では、大入賞口40が、所定時間または所定個数の遊技球が入賞するまで開放される、遊技者に有利な動作が所定回数(たとえば最大15回(15ラウンド))繰り返されるパチンコ遊技機が記載されているといえる。

(1-ト)段落【0048】には、「液晶制御基板25は、上記液晶制御コマンドを受けて液晶表示装置36を駆動制御し、画像による演出を実現している。」と記載され、段落【0052】には、「また大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドとして、・・・「大当り終了表示」コマンド、・・・等がある。」と記載され、段落【0179】には、「主制御基板27から「大当り終了表示」コマンドが送信され、これを演出制御基板24が受信し、これと同じコマンドを液晶制御基板25に送信して、同コマンドに対応する大当り終了演出が表示される。」と記載され、段落【0168】には、「液晶制御コマンドが有る場合(ステップS536:YES)、演出制御基板24は、液晶制御コマンドを、映像の再生が必要なタイミングで液晶制御基板25に送信する(ステップS537)。」と記載されている。
上記段落【0048】、【0052】、【0168】、【0179】の記載事項により、刊行物1には、演出制御基板24が大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを送信して実現する画像による演出には、大当り動作中の演出としての「大当り終了表示」コマンドによる大当り終了演出があることについて記載されていることは明らかである。

(1-ナ)段落【0043】には、「また各入賞口に入賞したことを示す演出制御コマンドとして、入賞コマンドがある。」と記載され、段落【0248】には「この場合、ステップS721の処理では、演出制御基板(演出制御CPU)24は、・・・」と記載され、段落【0249】には、「入賞コマンドを受信する度に、その賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算する加算処理(ステップS724?S725)とを行う。なお上記加算処理では、「大当り遊技中」に入賞コマンドを受信する度に、または「大当り中」に入賞コマンドを受信する度に、その賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算しても良い。 」と記載されている。
よって、上記段落【0043】、【0248】?【0249】の記載事項により、刊行物1には、演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信する度に賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数Vに加算する加算処理を行う点について記載されている。
また、(1-ツ)の認定事項により、液晶制御基板25により、獲得球数が所定個数を超えた場合、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示する獲得表示処理を行うといえる。
したがって、刊行物1には、演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信する度に賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理を行い、獲得球数が所定個数を超えた場合、液晶制御基板25は、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示することについて記載されていることは明らかである。

(1-ニ)段落【0173】には、「これらの「大当り中」の区間は、それぞれ、大当りが発生した直後のインターバル区間である「大当り開始演出中」・・・と、特別変動入賞装置42の開放扉42bが所定回数(R回、S回)開閉動作する区間である「大当り遊技中」と、大当り遊技が終了した直後のインターバル区間である「大当り終了演出中」・・・との3つの区間からなる。」と記載されているから、「大当り中」の区間は、「大当り終了演出中」を含むことは明らかである。
また、上記認定事項(1-ナ)により、刊行物1には、演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信する度に賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理を行い、獲得球数が所定個数を超えた場合、液晶制御基板25は、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示することが記載されているといえる。
よって、段落【0173】に記載事項により、「大当り終了演出中」が「大当り中」に含まれている限り、上記段落【0173】の記載事項及び上記認定事項(1-ナ)により、刊行物1には、演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り終了演出中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信すると賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理を行い、獲得球数が所定個数を超えた場合、液晶制御基板25は、報知情報として獲得球数画像の画面を表示することが記載されているといえる。

上記(1-ア)?(1-セ)の記載事項及び(1-ソ)?(1-ニ)の認定事項から、刊行物1には、遊技機に関し、以下の技術事項が記載されていると認められる。
「a 大当り抽選手段により大当りが抽選されたことを条件として、実行される大当り遊技を制御する主制御CPUと(上記認定事項(1-ソ))、
b 大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを液晶制御基板25に送信する演出制御基板24と(上記認定事項(1-タ))、
c 大当り中に遊技者が入賞により獲得した獲得球数を計数する計数手段(演出制御基板24)と(上記認定事項(1-チ))、
d 獲得球数が所定個数を超えた場合、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示する獲得表示処理を行う液晶制御基板25と(上記認定事項(1-ツ))、
e 特別遊技状態(大当り遊技)では、大入賞口40が、所定時間または所定個数の遊技球が入賞するまで開放される、遊技者に有利な動作が所定回数(たとえば最大15回(15ラウンド))繰り返されるパチンコ遊技機において(上記認定事項(1-テ))、
f 演出制御基板24が大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを送信して実現する画像による演出には、大当り動作中の演出としての「大当り終了表示」コマンドによる大当り終了演出があり(上記認定事項(1-ト))、
g 演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信する度に賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理を行い、獲得球数が所定個数を超えた場合、液晶制御基板25は、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示し(上記認定事項(1-ナ))、
h’演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り終了演出中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信すると賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理を行い、獲得球数が所定個数を超えた場合、液晶制御基板25は、報知情報として獲得球数画像の画面を表示する、パチンコ遊技機(上記認定事項(1-ニ)及び段落【0018】)。」

(2) 刊行物1に記載された事項
上記4(1)で示した刊行物1には、上記4で示した事項の他に、以下の事項についても記載されている。
(2-ア)「【0315】
(ハ)所定個数を超えた場合(所定個数を超える毎)、その所定個数を15ラウンド大当り遊技が終了したことを条件に表示(図28)
図19の(ハ)の白丸印(○印)は、15ラウンド大当り遊技が終了する毎に獲得球数カウンタに保持されている獲得球数があらかじめ定めた所定個数(ここでは2000個単位とする)を超えた場合に報知する形態の報知タイミング例を示したものである。ここでは、15ラウンド大当り遊技中が終了するまでにあらかじめ所定の報知単位でランク分けをした獲得球数を超えた場合に、t6?t7、t10?t12の区間にて、獲得球数カウンタに記憶保持されている獲得球数を表示することになる。具体的には、大当り終了演出区間Tbにおける演出中にて上記獲得球数を表示することになる。画像表示態様については、上述した(ロ)と同様である。
・・・
【0318】
ここで、図19の(ハ)が上記(ロ)と異なる点は、白丸印(○印)の位置が、上記(ロ)の場合のように大当り遊技中のt9?t10内にあるのではなく、大当り終了演出区間Tbのt10?t12上に在る点である。このことから分かるように、この例では、上記の獲得球数の積算値があらかじめ報知単位として定めた所定個数(2000個単位)を超えても、その時点で直ちには表示されず、大当り遊技中が終了した時点の到来を待って表示するものである。図19では、15ラウンド非確変確定図柄の大当り遊技中(t9?t10)の概ね5?6ラウンドが終了した付近で、獲得球数カウンタの積算値が1報知単位である2000個に達する。そこで、大当り遊技中が終了した時点(t10)の到来を待って、獲得球数の報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置の画面に表示する。
【0319】
なお、15ラウンド大当り中が終了したことを条件に、つまり大当り終了演出時間Tb経過後に送信される遊技状態表示コマンドを受信したことを条件に、上記獲得球数を画像表示しても良い。この場合、ステップS771の処理を15ラウンド大当り中が終了したか否かを判断する処理に置き換え、大当り中が終了したと判断した場合にステップS781の処理に移行する。図示はしていないが、報知タイミング(図19の(ロ)の白丸印(○印))は、大当りが終了した時刻t7、t12に、それぞれ獲得球数カウンタに記憶保持されている獲得球数を表示することになる。」

(2-イ)図19には、大当り終了演出時間Tbがt7に終了し、その後の期間には、「確変・時短状態中(t7?t8)」、「大当り開始演出中Ta(t8?t9)」、及び「大当り遊技中(t9?t10)」がある点について図示されている。よって、刊行物1には、大当り終了演出時間経過後の期間には、「確変・時短状態中(t7?t8)」、「大当り開始演出中Ta(t8?t9)」、及び「大当り遊技中(t9?t10)」がある点について記載されていることが明らかである。
したがって、上記段落【0315】、【0318】?【0319】の記載事項及び認定事項(2-イ)により、刊行物1には、獲得球数を超えた場合に、その時点で直ちには獲得球数の報知情報としての獲得球数画像を液晶表示装置の画面表示せず、大当り終了演出時間経過後に獲得球数の報知情報としての獲得球数画像を表示し、大当り終了演出時間経過後の期間には、「確変・時短状態中(t7?t8)」、「大当り開始演出中Ta(t8?t9)」、及び「大当り遊技中(t9?t10)」があること(以下、「刊行物1に記載された事項」という。)についても記載されていることが明らかである。

5 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比させる。なお、刊行物1発明のa?h’に対応して見出し(a)?(h)を付した。
(a)刊行物1発明の「大当り抽選手段により大当りが抽選されたこと」及び「大当り遊技」は、それぞれ、本願発明の「所定の特定遊技開始条件」及び「特定遊技」に相当する。
よって、刊行物1発明の「大当り抽選手段により大当りが抽選されたことを条件として、実行される大当り遊技を制御する主制御CPU」は本願発明の「所定の特定遊技開始条件が成立することに基づいて行われる特定遊技を制御する特定遊技制御手段」に相当する。

(b)刊行物1発明の「大当り動作」は、刊行物1発明の構成aにおける「大当り遊技」における動作を意味することは明らかであり、上記(a)により刊行物1発明の構成Aにおける「大当り遊技」は、本願発明の刊行物1発明の「特定遊技」に相当するから、刊行物1発明の「大当り動作中」は本願発明の「特定遊技中」に相当する。よって、刊行物1発明の「大当り動作中の演出」は本願発明の「前記特定遊技中に行われる特定遊技演出」に相当し、刊行物1発明の「大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを液晶制御基板25に送信する」ことは、本願発明の「前記特定遊技中に行われる特定遊技演出を制御する」機能を有している。
したがって、刊行物1発明の「大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを液晶制御基板25に送信する演出制御基板24」は本願発明の「前記特定遊技中に行われる特定遊技演出を制御する特定遊技演出制御手段」に相当する。

(c)刊行物1発明の「大当り中」は、刊行物1発明の構成Aにおける「大当り遊技」中を意味することは明らかである。また、上記(a)で検討したように、刊行物1発明の「大当り遊技」は本願発明の「特定遊技」に相当するから、刊行物1発明の「大当り中」は、本願発明の「特定遊技中」に相当する。そして、刊行物1発明の「遊技者が入賞により獲得した獲得球数」は本願発明の「遊技者への遊技価値の付与数」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「大当り中に遊技者が入賞により獲得した獲得球数を計数する」ことは本願発明の「前記特定遊技中における遊技者への遊技価値の付与数を計数する」ことに相当し、刊行物1発明の「大当り中に遊技者が入賞により獲得した獲得球数を計数する計数手段(演出制御基板24)」は、本願発明の「前記特定遊技中における遊技者への遊技価値の付与数を計数する計数手段」に相当する。

(d)上記(c)で検討したように、刊行物1発明の「獲得球数」は、「演出制御基板(演出制御CPU)24により計数されるものであり、「演出制御基板(演出制御CPU)24」は本願発明の「計数手段」に相当するから、刊行物1発明の「獲得球数」は本願発明の「前記計数手段による計数値」に相当する。また、刊行物1発明の「所定個数」は、本願発明の「基準値」に相当する。よって、刊行物1発明の「獲得球数が所定個数を超えた場合、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示」することは、本願発明の「前記計数手段による計数値が基準値に達した旨の特定報知」に相当する。そして、刊行物1発明の「獲得表示処理を行う」ことは、本願発明の「特定報知を制御する」機能を有する。
したがって、刊行物1発明の「獲得球数が所定個数を超えた場合、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示する獲得表示処理を行う液晶制御基板25」は、本願発明の「前記計数手段による計数値が基準値に達した旨の特定報知を制御する特定報知制御手段」に相当する。

(e)刊行物1発明の「特別遊技状態(大当り遊技)」は本願発明の「特定遊技」に相当し、刊行物1発明の「大入賞口40が、所定時間または所定個数の遊技球が入賞するまで開放される、遊技者に有利な動作」がなされることにより、本願発明の「遊技者に有利な利益状態」となっていることは明らかである。よって、刊行物1発明の「遊技者に有利な動作が所定回数(たとえば最大15回(15ラウンド))繰り返される」ことは、本願発明の「遊技者に有利な利益状態を1ラウンド又は複数ラウンド発生させる」ことに含まれる。
したがって、刊行物1発明の「特別遊技状態(大当り遊技)では、大入賞口40が、所定時間または所定個数の遊技球が入賞するまで開放される、遊技者に有利な動作が所定回数(たとえば最大15回(15ラウンド))繰り返されるパチンコ遊技機」は、本願発明の「前記特定遊技中に、遊技者に有利な利益状態を1ラウンド又は複数ラウンド発生させるように構成した遊技機」に相当する。

(f)刊行物1発明の「演出制御基板24が大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを送信して実現する画像による演出」は、本願発明の「特定遊技演出」に相当する。また、刊行物1発明の「大当り動作中の演出としての「大当り終了表示」コマンドによる大当り終了演出」は、本願発明の「前記特定遊技の終了を示すエンディング演出」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「演出制御基板24が大当り動作中の演出を指定する液晶制御コマンドを送信して実現する画像による演出には、大当り動作中の演出としての「大当り終了表示」コマンドによる大当り終了演出がある」ことは、本願発明の「前記特定遊技演出は、前記特定遊技の終了を示すエンディング演出を含」むことに相当する。

(g)刊行物1発明の「大当り中に各入賞口に入賞したこと」は、本願発明の「前記特定遊技中に前記遊技価値が付与され」ることに相当するから、刊行物1発明の「大当り中に各入賞口に入賞したことを示す入賞コマンドを受信する」ことは、「前記特定遊技中に前記遊技価値が付与されたとき」であることは明らかである。また、刊行物1発明の「賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理」は、本願発明の「計数値を更新する計数値更新処理」に相当する。
そして、刊行物1発明の「獲得球数が所定個数を超えた場合」は、加算処理による加算後の獲得球数が所定個数を超えた場合を意味することは明らかであるから、本願発明の「その更新後の前記計数値が前記基準値に達している場合」に相当する。また、刊行物1発明の「報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示する」 ことは、本願発明の「前記特定報知を行う特定報知処理」に相当する。
よって、刊行物1発明の「演出制御基板(演出制御CPU)24は、大当り中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信する度に賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理を行い、獲得球数が所定個数を超えた場合、液晶制御基板25は、報知情報として「おめでとう2000個獲得!」や「獲得数4000個突破!」等の獲得球数画像を液晶表示装置36の画面に表示する」ことは、本願発明の「前記特定遊技中に前記遊技価値が付与されたときに、前記計数値を更新する計数値更新処理と、その更新後の前記計数値が前記基準値に達している場合に前記特定報知を行う特定報知処理とを実行可能であ」ることに相当する。

(h)刊行物1発明において「各入賞口へ入賞」することは、本願発明の「遊技価値」が「付与」されることに相当するから、刊行物1発明において、「大当り終了演出中に各入賞口へ入賞したことを示す入賞コマンドを受信する」ことは、本願発明の「前記遊技価値が前記エンディング演出中に付与された場合」に相当することは明らかである。また、上記(g)で検討したように、刊行物1発明の「賞球数を直前の記憶保持値である獲得球数に加算する加算処理」は、本願発明の「計数値更新処理」に相当する。
したがって、本願発明と、刊行物1発明とは、「遊技価値がエンディング演出中に付与された場合には前記計数値更新処理を実行すること」で共通する。

(a)?(h)における検討事項により、本願発明と刊行物1発明とは、
「A 所定の特定遊技開始条件が成立することに基づいて行われる特定遊技を制御する特定遊技制御手段と、
B 前記特定遊技中に行われる特定遊技演出を制御する特定遊技演出制御手段と、
C 前記特定遊技中における遊技者への遊技価値の付与数を計数する計数手段と、
D 前記計数手段による計数値が基準値に達した旨の特定報知を制御する特定報知制御手段とを備え、
E 前記特定遊技中に、遊技者に有利な利益状態を1ラウンド又は複数ラウンド発生させるように構成した
遊技機において、
F 前記特定遊技演出は、前記特定遊技の終了を示すエンディング演出を含み、
G 前記特定遊技中に前記遊技価値が付与されたときに、前記計数値を更新する計数値更新処理と、その更新後の前記計数値が前記基準値に達している場合に前記特定報知を行う特定報知処理とを実行可能であり、
H’ 前記遊技価値が前記エンディング演出中に付与された場合には前記計数値更新処理を実行する
遊技機。」
で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
「前記遊技価値が前記エンディング演出中に付与された場合」に関して、本願発明では、「前記計数値更新処理の後に前記特定報知処理を実行しないことにより、前記特定報知を、そのエンディング演出中には行わず次の前記特定遊技中における前記遊技価値の付与時に行う」のに対して、刊行物1発明は、「獲得球数が所定個数を超えた場合液晶表示装置36により報知情報として獲得球数画像の画面が表示される」点。

6 判断
上記[相違点]について検討する。上記4(2)で「刊行物1に記載された事項」に示したように、刊行物1には、獲得球数を超えた場合に、その時点で直ちには獲得球数の報知情報としての獲得球数画像を液晶表示装置の画面表示せず、大当り終了演出時間経過後に表示に獲得球数の報知情報としての獲得球数画像を表示すること、また、大当り終了演出時間経過後の期間には、「確変・時短状態中(t7?t8)」、「大当り開始演出中Ta(t8?t9)」、及び「大当り遊技中(t9?t10)」がある点について記載されている。
そして、刊行物1に記載された事項によれば、大当り終了演出時間経過後に表示するということは、t7?t10中の期間、すなわち、図19(ロ)の「確変・時短状態中(t7?t8)」、「大当り開始演出中Ta(t8?t9)」、及び「大当り遊技中(t9?t10)」の間に「獲得球数」が所定個数を超えたことの表示をすると考えられる。
しかしながら、これらの期間のうち、「確変・時短状態中(t7?t8)」は確変・時短中の変動表示が行われ、「大当り開始演出中Ta(t8?t9)」は大当り開始の演出が行われる期間であるから、いずれも変動又は変化を伴う表示期間である。したがって、視認しやすいタイミングとして、「大当り遊技中(t9?t10)」の間に特定報知を行うようにすることは当業者が適宜選択し得ることである。
そして、刊行物1発明と、刊行物1に記載された事項とは、同じ刊行物に記載されたものである以上、刊行物1発明に、刊行物1に記載された事項を適用することは、当業者にとって容易である。
したがって、刊行物1発明の獲得球数画像の表示のうち、大当り終了演出時間に獲得球数が所定個数を超えた場合に行う表示を、刊行物1に記載された事項に基づいて、次の大当り遊技中の賞球獲得時に実行させること、すなわち、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、本願発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物1に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

そして、本願発明の作用効果も、刊行物1発明及び刊行物1に記載された事項から当業者が予測できる範囲のものである。

なお、請求人は、平成29年4月5日付け意見書において、
「(4)本願発明と刊行物1に記載の発明との対比
1)刊行物1には、所定期間中に獲得球数が所定個数を超えてもその時点では報知情報を表示せず、その表示タイミングを所定期間の経過時まで先送りする点について記載されております(段落0318,0319等)。この刊行物1に記載のような処理を行う場合、通常の報知情報の表示処理とは別に、先送りした報知情報の表示処理(例えば報知情報の先送りを記憶すると共に所定期間が経過したか否かを判定し、所定期間が経過した場合に報知情報を表示する処理)を実行する必要があり、処理が複雑になるという問題があります。
2)これに対し本願発明は、上記(3)h,iに示すように、特定遊技中に遊技価値が付与されたときに、計数値を更新する計数値更新処理と、その更新後の計数値が基準値に達している場合に特定報知を行う特定報知処理とを実行可能であり、遊技価値がエンディング演出中に付与された場合には計数値更新処理の後に特定報知処理を実行しないことにより、特定報知を、そのエンディング演出中には行わず次の特定遊技中における遊技価値の付与時に行うように構成されております。
このように本願発明では、計数値の更新と特定報知とを遊技価値の付与時に行うという処理手順を基本とし(上記(3)h)、遊技価値の付与がエンディング演出中に行われた場合は例外的に、計数値の更新は行うが特定報知は行わないことにより(上記(3)i)、刊行物1に記載の発明のように先送りした報知情報の表示処理を別途設けることなく、例えば遊技価値がエンディング演出中に付与されたか否かを判定し、付与された場合には特定報知処理を回避するという単純な判定処理を行うだけで、次の特定遊技中(における遊技価値の付与時)まで特定報知を先送りすることができるという格別の効果を奏するものです。」
と主張する。

請求人のこの主張について検討する。請求人は、刊行物1の段落【0318】、【0319】等の記載事項においては、「通常の報知情報の表示処理とは別に、先送りした報知情報の表示処理(例えば報知情報の先送りを記憶すると共に所定期間が経過したか否かを判定し、所定期間が経過した場合に報知情報を表示する処理)を実行する必要があり、処理が複雑になる」としているが、上記段落【0318】、【0319】等の記載は、大当り終了演出時間経過後に獲得球数の報知情報としての獲得球数画像を表示する制御に関するものの、請求人が複雑であると主張するような、設定された所定の期間が経過したか否かを判定する構成を必須とするものではない。
そして、上記4(1)で示した刊行物1発明における大当り終了演出時間に獲得球数が所定個数を超えた場合に行う表示に対して、刊行物1に記載された事項を適用して、大当り終了演出時間経過後とした場合に、次の大当り遊技中の賞球獲得時を契機として表示させることは「遊技価値がエンディング演出中に付与されたか否かを判定し、付与された場合には特定報知処理を回避するという単純な判定処理」を行うことも含めて、当業者が適宜選択し得ることである。
したがって、出願人のこの主張は採用できない。

7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2017-04-24 
結審通知日 2017-04-25 
審決日 2017-05-10 
出願番号 特願2014-496(P2014-496)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 洋行小林 英司  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 金田 理香
本郷 徹
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人谷藤特許事務所  
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