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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない H04R
管理番号 1329739
審判番号 訂正2016-390156  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-12-02 
確定日 2017-06-19 
事件の表示 特許第4681698号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件特許第4681698号は、平成22年10月5日に出願され、平成23年2月10日に設定登録されたものである。
本件訂正審判は、平成28年12月1日(審判請求書に記載された日付)に請求され、平成29年2月27日(起案日)付けで当審において訂正拒絶理由を通知したところ、平成29年3月13日(意見書に記載された日付)付けで意見書が提出されたものである。

2.請求の要旨

本件訂正審判請求の要旨は、特許第4681698号の明細書、特許請求の範囲を審判請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるもので、その訂正事項は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され」と記載されているのを「該2つの導音管を通過した2つの音波が導音管の合流点で合成され」と訂正する。

(2)訂正事項2
明細書の段落【0038】に「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され」と記載されているのを「該2つの導音管を通過した2つの音波が導音管の合流点で合成され」と訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0053】に「再合成点」と記載されているのを「再合流点」と訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0063】に「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口付近の放音口で合成され」と記載されているのを「該2つの導音管を通過した2つの音波が導音管の合流点で合成され」と訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落【0066】に「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され」と記載されているのを「該2つの導音管を通過した2つの音波が導音管の合流点で合成され」と訂正する。

(6)訂正事項6
明細書の段落【0087】に「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され」と記載されているのを「該2つの導音管を通過した2つの音波が導音管の合流点で合成され」と訂正する。

(7)訂正事項7
明細書の段落【0110】に
P 導音管の分岐点
Q 導音管の合流点
を追加する。

ここで、本件特許第4681698号の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。
「【請求項1】
放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、
電気音響変換器から発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、
経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、
該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され、
該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制することを
特徴とする密閉型イヤホン。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、
該2つの導音管の経路差が該外耳道入口付近に位置する該密閉型イヤホンの放音口と該外耳道奥に位置する鼓膜との間隔にほぼ等しく、該放音口と該鼓膜の間に構成される両端閉管共振空間の第1次共振周波を抑圧することを特徴とする密閉型イヤホン
【請求項3】
請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、
該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部は2重の筒状部材からなり、
外側の第1の筒状部材の内側に嵌合(かんごう)する第2の筒状部材の外周に、螺旋状の溝が形成され、
該第2の筒状部材の内周面をなす直線状の経路である第1の導音管と
該第1の筒状部材の内周面と、該第2の筒状部材の外周に形成した該螺旋状の溝によって構成される経路である第2の導音管とを

備えることを特徴とする密閉型イヤホン。
【請求項4】
請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、
該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部において、
該電気音響変換器と該外耳道入口の間を直線状の経路で連結する第1の導音管と、
該電気音響変換器と該外耳道入口の間を折り返し状の経路で連結する第2の導音管とを備えることを特徴とする密閉型イヤホン。」

そして、審判請求書に添付された本件訂正後の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。
「【請求項1】放音部を外耳道入口に挿入して用いる密閉型イヤホンにおいて、電気音響変換器から発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を具備し、該電気音響変換器から発生し、該2つの導音管を通過した2つの音波が導音管の合流点で合成され、該2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制することを特徴とする密閉型イヤホン。
【請求項2】請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、該2つの導音管の経路差が該外耳道入口付近に位置する該密閉型イヤホンの放音口と該外耳道奥に位置する鼓膜との間隔にほぼ等しく、該放音口と該鼓膜の間に構成される両端閉管共振空間の第1次共振周波を抑圧することを特徴とする密閉型イヤホン

【請求項3】請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部は2重の筒状部材からなり、外側の第1の筒状部材の内側に嵌合(かんごう)する第2の筒状部材の外周に、螺旋状の溝が形成され、該第2の筒状部材の内周面をなす直線状の経路である第1の導音管と該第1の筒状部材の内周面と、該第2の筒状部材の外周に形成した該螺旋状の溝によって構成される経路である第2の導音管とを
備えることを特徴とする密閉型イヤホン。

【請求項4】請求項1に記載の密閉型イヤホンであって、該電気音響変換器から発生する音波を、該外耳道入口に伝達する該導音部において、該電気音響変換器と該外耳道入口の間を直線状の経路で連結する第1の導音管と、該電気音響変換器と該外耳道入口の間を折り返し状の経路で連結する第2の導音管とを備えることを特徴とする密閉型イヤホン。」

3.当審において通知した訂正拒絶理由の概要

特許明細書【0063】には「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口付近の放音口で合成され」との記載があり、特許明細書に記載された第1の実施例及び第2の実施例は、いずれも、2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口付近の放音口で合成されるものであるから、請求項1、【0038】、【0066】(第1の実施例)及び【0087】(第2の実施例)の「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され」との記載、及び【0063】の「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口付近の放音口で合成され」との記載が誤記であるとはいえない。
なお、図8(a)に導音部がその途中に合流点Qを有する旨の記載があるが、同図は本発明の異なる経路長を有する2つの導音管を有する密閉型イヤホンの概念図であり(【0050】)、2つの導波管の経路差を2分の1波長とする周波数の音圧を抑制する原理を説明するためのものであるとともに、第1の実施例及び第2の実施例は、いずれも、導音部がその途中に合流点Qを有するものではないから、図8(a)の記載を根拠に請求項1、【0038】、【0066】(第1の実施例)及び【0087】(第2の実施例)の「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口で合成され」との記載、及び【0063】の「該2つの導音管を通過した2つの音波が外耳道入口付近の放音口で合成され」との記載が誤記であるとはいえない。
したがって、訂正事項1、2、4、5及び6は、誤記の訂正を目的とするものとはいえない。

訂正事項1、2、4、5及び6は、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置について、「外耳道入口」若しくは「外耳道入口付近の放音口」から「導音管の合流点」に拡張するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。

【0063】の「外耳道入口の放音口」との記載は、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置についての記載として、明瞭でない記載とはいえない。請求項1、【0038】、【0066】及び【0087】の「外耳道入口」との記載も、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置についての記載として、「外耳道入口の放音口」を意味すると解するのが相当であって、これを「導音管の合流点」とすることが明瞭でない記載の釈明であるとはいえない。
したがって、訂正事項1、2、4、5及び6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。

訂正事項1、2、4、5及び6は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものではない。

以上のように、訂正事項1、2、4、5及び6は、特許法第126条(当審注:第1項)ただし書き第1号ないし第4号に掲げられたいずれの事項を目的とするものでもない。

4.当審の判断

特許法126条第1項ただし書第2号は、「誤記の訂正」を目的とする場合には明細書、特許請求の範囲又は図面を訂正することを認めている。ここでいう「誤記」というためには、訂正前の記載が誤りで訂正後の記載が正しいことが、当該明細書、特許請求の範囲又は図面の記載や当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)の技術常識などから明らかで、当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるという場合でなければならないものと解される(平成18年(行ケ)第10204号判決 第4 2 (1)参照)。

そこで、訂正事項1、2、4、5及び6が上記のような観点から「誤記の訂正」ということができるかどうかについて判断する。

訂正事項1、2、4、5及び6は、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置について、「外耳道入口」若しくは「外耳道入口付近の放音口」を「導音管の合流点」と訂正するものであるから、明細書に記載された「外耳道入口」若しくは「外耳道入口付近の放音口」と「導音管の合流点」との関係について検討する。
段落【0050】には、「図8(a)は本発明の異なる経路長を有する2つの導音管を有する密閉型イヤホンの概念図である。」との記載があり、段落【0050】、【0051】及び図8(a)には、「外耳道入口に挿入される放音口15」及び「合流点Q」が記載されている。
一方、図11(a)に示された「第1の実施例」の導音部と図8(a)に示された導音部とを対比すると、「第1の実施例」の導音部の構成は、図8(a)に示された導音部において、「合流点」の位置を「外耳道入口に挿入される放音口」に一致させたものであることが理解される。
また、「第2の実施例」の導音部を示す図12(a)を参照すると、「第2の実施例」の導音部も、図8(a)に示された導音部において、「合流点」の位置を「外耳道入口に挿入される放音口」に一致させたものであることが理解される。
したがって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明の導音部は、図8(a)に示された導音部のすべてを含むものではなく、図8(a)に示された導音部に含まれる「第1の実施例」及び「第2の実施例」の導音部のように、図8(a)に示された導音部において、「合流点」の位置を「外耳道入口に挿入される放音口」に一致させたもののみを含むと理解される。
すると、請求項1、【0038】、【0063】、【0066】及び【0087】における、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置についての、「外耳道入口」若しくは「外耳道入口付近の放音口」との記載がが「誤記」であるとはいえず、これらをより広い概念である「導音管の合流点」と当然理解すべきものであるともいえない。
したがって、訂正事項1、2、4、5及び6は、誤記の訂正を目的とするものとはいえない。

訂正事項1、2、4、5及び6は、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置について、「外耳道入口」若しくは「外耳道入口付近の放音口」から「導音管の合流点」に拡張するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。

また、【0063】の「外耳道入口の放音口」との記載は、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置についての記載として、明瞭でない記載とはいえない。請求項1、【0038】、【0066】及び【0087】の「外耳道入口」との記載も、2つの導音管を通過した2つの音波が合成される位置についての記載として、「外耳道入口の放音口」を意味すると解するのが相当であって、これを「導音管の合流点」とすることが明瞭でない記載の釈明であるとはいえない。
したがって、訂正事項1、2、4、5及び6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。

さらに、訂正事項1、2、4、5及び6は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものではない。

以上のように、訂正事項1、2、4、5及び6は、特許法第126条第1項ただし書き第1号ないし第4号に掲げられたいずれの事項を目的とするものでもない。

5.むすび

したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書きの規定に適合しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-04-19 
結審通知日 2017-04-24 
審決日 2017-05-09 
出願番号 特願2010-225588(P2010-225588)
審決分類 P 1 41・ 852- Z (H04R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 弘  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 関谷 隆一
森川 幸俊
登録日 2011-02-10 
登録番号 特許第4681698号(P4681698)
発明の名称 イヤホン  
代理人 加藤 孝雄  
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