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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05B
管理番号 1329804
審判番号 不服2014-22041  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-30 
確定日 2017-06-26 
事件の表示 特願2009-540561号「照明を制御するシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月19日国際公開、WO2008/070981、平成22年 5月20日国内公表、特表2010-517209号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、2007年12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年12月12日 カナダ、2007年5月3日 カナダ、2007年8月24日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、手続の経緯は次のとおりである。
平成24年 8月23日付け 拒絶理由通知
平成25年 2月28日 意見書・手続補正書の提出
同年 9月 5日付け 拒絶理由通知
平成26年 3月10日 意見書の提出
同年 6月25日付け 拒絶査定
同年10月30日 審判請求、手続補正書の提出
平成27年 1月28日付け 前置報告書
同年 3月23日 上申書の提出
同年 9月17日付け 拒絶理由通知
平成28年 3月24日 意見書・手続補正書の提出
同年 6月20日付け 拒絶理由通知
同年12月22日 意見書・手続補正書の提出

そして、本願の請求項1?22に係る発明は、平成28年12月22日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1及び13に係る発明(以下、「本願発明1及び13」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
1以上の発光素子からの光の発生を外部入力に応答して制御するシステムであって、
前記1以上の発光素子の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された前記外部入力を受信すると共に、該外部入力を前記外部照明制御プロトコルとは異なる、前記1以上の発光素子の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコルに従って変換する制御インターフェースモジュールであって、受信した前記外部入力の前記外部照明制御プロトコルが前記所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合、所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換える制御インターフェースモジュールと、
前記制御インターフェースモジュールに通信的にリンクされると共に前記1以上の発光素子に動作的にリンクされて、該1以上の発光素子を前記変換された入力に従って制御する光発生モジュールと、
を有するシステム。」
「【請求項13】
1以上の発光素子からの光の発生を外部入力に応答して制御する方法であって、
前記1以上の発光素子の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された前記外部入力を受信するステップと、
前記外部入力を前記外部照明制御プロトコルとは異なる、前記1以上の発光素子の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコルに従って変換するステップであって、受信した前記外部入力の前記外部照明制御プロトコルが前記所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合、所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換えるステップと、
前記1以上の発光素子からの光の発生を前記変換された入力に従って制御するステップと、
を有する方法。」

2.引用例に記載の事項及び引用発明
平成28年6月20日付けで当審において通知した拒絶理由で引用した、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平10-241865号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、下線は当審で付したものである。以下同様。
記載事項(1);
「【請求項1】 光源と、DMX512信号を送出する調光卓と、前記DMX512信号に応じて前記光源の光出力を制御する制御部とを備える照明装置において、
前記DMX512信号とは異なる専用信号を送出する専用コントローラと、前記調光卓及び前記専用コントローラと前記制御部とを接続する接続インターフェースとを備え、
前記接続インターフェースは、前記調光卓及び前記専用コントローラからの信号入力切換機能と、前記調光卓及び前記専用コントローラからの信号を低速な信号に変換して前記制御部へと送出する機能とを有するものであることを特徴とする照明装置。」
記載事項(2);
「【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は照明装置に関するものであり、更に詳しくは、宴会場など比較的大きな空間で演出照明などを行う照明装置に関する。」
記載事項(3);
「【0017】
【実施の形態】
(実施の形態1)本発明に係る第1の実施の形態のブロック構成図を図1に示す。
【0018】図9に示した従来例と異なる点は、DMX512信号よりも低速な専用信号を照明器具4内の制御部(以下、器具内ブロックと呼ぶ。)5へと送出する専用コントローラ1と、専用コントローラ1及び調光卓2と器具内ブロック5とを接続する接続インターフェース(以下、接続I/Fと呼ぶ。)3とを設けたことであり、その他の従来例と同一構成には同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0019】ここで接続I/F3は、専用コントローラ1からの専用信号と調光卓2からのDMX512信号との入力切換機能と、調光卓2からのDMX512信号を受信してDMX512信号より低速な信号に変換する機能とを有するものである。また、調光卓2からのDMX512信号は、接続I/F3で予め設定したチャンネルから所定の必要チャンネルのみを受信・解釈するものとする。照明器具4は、専用信号を受信・解釈して複数の光源6の点灯制御を行う器具内ブロック5と、複数の光源6とから構成される。
【0020】以下に動作を簡単に示す。専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されている場合、接続I/F3は単なる中継器として使用し、接続I/F3から器具内ブロック5へ専用信号をそのまま送出し、光源6を制御する。
【0021】調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、接続I/F3はDMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出し、光源6を制御する。
【0022】専用コントローラ1及び調光卓2のどちらからも信号が送出されていない場合、用途に応じて光源6の点滅を選択すればよく、例えば、事前に専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されており、その信号が途切れた場合は光源6を点灯させ、事前に調光卓2からのDMX512信号のみが送出されており、その信号が途切れた場合は光源6を消灯させる様にする。あるいは、事前に専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されており、その信号が途切れた場合は光源6を消灯させ、事前に調光卓2からのDMX512信号のみが送出されており、その信号が途切れた場合は光源6を点灯させる様にしてもよく、更に、どちらの場合でも光源6を消灯あるいは点灯させる様にしてもよい。
【0023】専用コントローラ1及び調光卓2のどちらからも信号が送出されている場合、原則して調光卓2からのDMX512信号を優先して処理する。但し、DMX512信号の所定のチャンネルに専用コントローラ1からの専用信号を優先する設定が行われている場合は、専用コントローラ1からの専用信号を優先して処理する。
【0024】なお、器具内ブロック5は、予め決められた所定の変化を行うモードと、それぞれの光源6を個別の調光量で点灯させるモードとを備えるものであり、前者のモードの場合はパターン情報のみを信号として伝達し、後者のモードの場合は調光卓2から所定の信号を送信することにより、その様な動作を可能としている。また、器具内ブロック5は照明器具4内に設けたが照明器具4の外でもよく、光源6の個数も幾らでもよく、更に、照明器具4の個数も任意で構わない。更にまた、専用コントローラ1及び接続I/F3の間の信号と接続I/F3及び器具内ブロック5の間の信号とは、同一でも異なるものでも構わない。
【0025】以上の様に構成したことにより、専用コントローラ1及び調光卓2の入力切換、入力信号遮断時の処理、光源6の一定パターン変化制御及び個別調光制御の切換などが可能となり、多彩な演出照明が可能となる。また、従来は調光盤より光源の数だけの配線が必要であったが、信号線の配線だけで可能となり、省配線、省施工が可能となる。」

以上の記載事項及び【図1】の記載からみて、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「専用コントローラ1から送出されるDMX512信号より低速な専用信号、または、調光卓2から送出されるDMX512信号に応じて、複数の光源6の点灯制御を行う器具内ブロック5を備える照明装置において、
専用コントローラ1及び調光卓2と複数の光源6が接続された器具内ブロック5とを接続する接続インターフェース3とを備え、
接続インターフェース3は、専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されている場合、単なる中継器として使用し、専用信号をそのまま器具内ブロック5へ送出し、調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出する機能を有し、
器具内ブロック5は、接続インターフェース3から送出された専用信号を受信・解釈して複数の光源6の点灯制御を行う、
照明装置。」

3.対比・判断
(1)本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。

引用発明の「複数の光源6」は、本願発明1の「1以上の発光素子」と、「1以上の光源」である限りにおいて一致する。

引用発明の「専用コントローラ1から送出されるDMX512信号より低速な専用信号、または、調光卓2から送出されるDMX512信号」は、複数の光源6の点灯制御を行うためのものであるので、本願発明1の1以上の発光素子からの光の発生に関わる「外部入力」に相当する。
また、引用発明の「専用信号」または「DMX512信号に応じて、複数の光源6の点灯制御を行う」ことは、本願発明1の「光の発生を外部入力に応答して制御する」ことに相当する。

引用発明の「照明装置」は、本願発明1の「システム」に相当する。

引用発明において、「接続インターフェース3」は「専用コントローラ1及び調光卓2」と接続されるものであるので、専用コントローラ1からの「専用信号」、調光卓2からの「DMX512信号」を受信するものといえる。
そして、引用発明においては、「接続インターフェース3」は、「専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されている場合」、すなわち「専用信号」のみを受信した場合には「単なる中継器として使用し、専用信号をそのまま器具内ブロック5へ送出」し、「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合」、すなわち「DMX512信号」のみを受信した場合には「DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出」するものであり、さらに、「器具内ブロック5」は「接続インターフェース3から送出された専用信号を受信・解釈して複数の光源6の点灯制御を行う」ものである。
引用発明の「専用信号」及び「DMX512信号」は、どちらも光源6の点灯制御を行うための信号であるが、「専用信号」は「DMX512信号より低速」であり、「DMX512信号」から「専用信号」に「変換」されるものでもあるので、そのような変換を要する両信号は、技術常識に照らして(例えば、特開平10-241866号公報の段落【0040】?【0041】、【0047】等を参照)、互換性のあるフォーマットではなく、異なるプロトコルからなるといえる。
そうすると、引用発明の「専用信号」のプロトコルは、「器具内ブロック5」において「複数の光源6の点灯制御」に用いられるものであるので、本願発明1の「1以上の発光素子の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコル」と、「1以上の光源の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコル」である限りにおいて一致する。
また、引用発明の「DMX512信号」は、「専用信号」とは異なるプロトコルの信号といえ、「接続インターフェース3」で「専用信号」に変換されるものであるので、本願発明1の「1以上の発光素子の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された外部入力」と、「1以上の光源の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された外部入力」である限りにおいて一致する。
そして、引用発明の「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出する機能を有し」た「接続インターフェース3」は、本願発明1の「外部照明制御プロトコルに従って構成された外部入力を受信すると共に、該外部入力を外部照明制御プロトコルとは異なる」、「所定の内部照明制御プロトコルに従って変換する制御インターフェースモジュール」に相当する。

上記エで述べたとおり、引用発明の「専用信号」と「DMX512信号」とは、互換性のあるフォーマットではなく、異なるプロトコルからなるといえる。
そうすると、引用発明の「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合」は、「接続インターフェース3」が「専用信号」とは互換性のないフォーマットの「DMX512信号」のみを受信している場合であるので、本願発明1の制御インターフェースモジュールが「受信した外部入力の外部照明制御プロトコルが所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合」に相当する。
また、引用発明の「専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されている場合、単なる中継器として使用し、専用信号をそのまま器具内ブロック5へ送出し、調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出する機能を有し」た「接続インターフェース3」は、「専用信号」のみを受信した場合と「DMX512信号」を受信した場合とで、それぞれの信号に応じた動作に切り換え、使用されるものといえる。
そうすると、引用発明の「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出する」「接続インターフェース3」は、本願発明1の「受信した外部入力の外部照明制御プロトコルが所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合、所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換える制御インターフェースモジュール」に相当する。

引用発明の「接続インターフェース3から送出された専用信号」は、DMX512信号を変換した専用信号を含むので、本願発明1の「変換された入力」に相当し、引用発明の「接続インターフェース3から送出された専用信号を受信・解釈して複数の光源6の点灯制御を行う」「器具内ブロック5」は、本願発明1の「該1以上の発光素子を変換された入力に従って制御する光発生モジュール」と、「該1以上の光源を変換された入力に従って制御する光発生モジュール」である限りにおいて一致し、引用発明の「器具内ブロック5」が「接続インターフェース3」と「複数の光源6」とに接続されることは、本願発明1の「光発生モジュール」が「制御インターフェースモジュールに通信的にリンクされると共に1以上の発光素子に動作的にリンクされ」ることと、「制御インターフェースモジュールに通信的にリンクされると共に1以上の光源に動作的にリンクされ」る限りにおいて一致する。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1〕
「1以上の光源からの光の発生を外部入力に応答して制御するシステムであって、
前記1以上の光源の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された前記外部入力を受信すると共に、該外部入力を前記外部照明制御プロトコルとは異なる、前記1以上の光源の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコルに従って変換する制御インターフェースモジュールであって、受信した前記外部入力の前記外部照明制御プロトコルが前記所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合、所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換える制御インターフェースモジュールと、
前記制御インターフェースモジュールに通信的にリンクされると共に前記1以上の光源に動作的にリンクされて、該1以上の光源を前記変換された入力に従って制御する光発生モジュールと、
を有するシステム。」
〔相違点1〕
光源に関して、本願発明1は「発光素子」と特定されているのに対して、引用発明はそのよう特定されていない点。

上記相違点1について検討する。
光源に、LEDのような発光素子を用いて調光制御、演色制御を行うことは、特に例示するまでもなく、本願の優先日前に周知の事項といえる。
そうしてみると、引用発明の光源を発光素子とし、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
そして、本願発明1の奏する作用効果を検討しても、引用発明及び周知の事項から、当業者が予測しうる範囲内のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本願発明13について
本願発明13と引用発明とを対比する。

引用発明の「複数の光源6」は、本願発明13の「1以上の発光素子」と、「1以上の光源」である限りにおいて一致する。

引用発明の「専用コントローラ1から送出されるDMX512信号より低速な専用信号、または、調光卓2から送出されるDMX512信号」は、複数の光源6の点灯制御を行うものであるので、本願発明13の1以上の発光素子からの光の発生に関わる「外部入力」に相当する。
また、引用発明の「専用信号」または「DMX512信号に応じて、複数の光源6の点灯制御を行う」ことは、本願発明13の「光の発生を外部入力に応答して制御する」ことに相当する。

引用発明において、「接続インターフェース3」は「専用コントローラ1及び調光卓2」と接続されるものであるので、専用コントローラ1からの「専用信号」、調光卓2からの「DMX512信号」を受信するものといえる。
そして、引用発明においては、「接続インターフェース3」は、「専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されている場合」、すなわち「専用信号」のみを受信した場合には「単なる中継器として使用し、専用信号をそのまま器具内ブロック5へ送出」し、「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合」、すなわち「DMX512信号」のみを受信した場合には「DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出」するものであり、さらに、「器具内ブロック5」は「接続インターフェース3から送出された専用信号を受信・解釈して複数の光源6の点灯制御を行う」ものである。
引用発明の「専用信号」及び「DMX512信号」は、どちらも光源6の点灯制御を行うための信号であるが、「専用信号」は「DMX512信号より低速」であり、DMX512信号から専用信号に「変換」されるものでもあり、そのような変換を要する両信号は、技術常識に照らして(例えば、特開平10-241866号公報の段落【0040】?【0041】、【0047】等を参照)、互換性のあるフォーマットではなく、異なるプロトコルからなるといえる。
そうすると、引用発明の「専用信号」のプロトコルは、「器具内ブロック5」において「複数の光源6の点灯制御」に用いられるものであるので、本願発明1の「1以上の発光素子の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコル」と、「1以上の光源の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコル」である限りにおいて一致する。
また、引用発明の「DMX512信号」は、「専用信号」とは異なるプロトコルの信号といえ、「接続インターフェース3」で「専用信号」に変換されるものであるので、本願発明1の「1以上の発光素子の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された外部入力」と、「1以上の光源の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された外部入力」である限りにおいて一致する。
そして、引用発明の「接続インターフェース3」が「DMX512信号」を受信することは、本願発明13の「外部入力を受信するステップ」に相当する。

引用発明の「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換」することは、本願発明13の「外部入力を外部照明制御プロトコルとは異なる、1以上の発光素子の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコルに従って変換するステップ」と、「外部入力を外部照明制御プロトコルとは異なる、1以上の光源の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコルに従って変換するステップ」である限りにおいて一致する。

上記ウで述べたとおり、引用発明の「専用信号」と「DMX512信号」とは、互換性のあるフォーマットではなく、異なるプロトコルからなるといえる。
そうすると、引用発明の「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合」は、「接続インターフェース3」が「専用信号」とは互換性のないフォーマットの「DMX512信号」のみを受信している場合であるので、本願発明13の制御インターフェースモジュールが「受信した外部入力の外部照明制御プロトコルが所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合」に相当する。
また、引用発明の「専用コントローラ1からの専用信号のみが送出されている場合、単なる中継器として使用し、専用信号をそのまま器具内ブロック5へ送出し、調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出する機能を有し」た「接続インターフェース3」は、「専用信号」のみを受信した場合と「DMX512信号」を受信した場合とで、それぞれの信号に応じた動作に切り換え、使用されるものといえる。
そうすると、引用発明の「接続インターフェース3」が「調光卓2からのDMX512信号のみが送出されている場合、DMX512信号を受信・解釈して専用信号に変換して器具内ブロック5へ送出する」ことは、本願発明13の「受信した外部入力の外部照明制御プロトコルが所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合、所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換えるステップ」に相当する。

引用発明の「接続インターフェース3から送出された専用信号」は、DMX512信号を変換した専用信号を含むので、本願発明13の「変換された入力」に相当し、引用発明の「接続インターフェース3から送出された専用信号に従って複数の光源6の点灯、消灯を制御する」ことは、本願発明13の「1以上の発光素子からの光の発生を変換された入力に従って制御するステップ」と、「1以上の光源からの光の発生を変換された入力に従って制御するステップ」である限りにおいて一致する。

引用発明の「照明装置」は、上記ウ?カで述べたとおり、本願発明13の「外部入力を受信するステップ」、「所定の内部照明制御プロトコルに従って変換するステップ」、「所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換えるステップ」及び「変換された入力に従って制御するステップ」とを有しているので、本願発明13のそれらのステップからなる「方法」を実施しているといえる。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2〕
「1以上の光源からの光の発生を外部入力に応答して制御する方法であって、
前記1以上の光源の光の発生を制御するための外部照明制御プロトコルに従って構成された前記外部入力を受信するステップと、
前記外部入力を前記外部照明制御プロトコルとは異なる、前記1以上の光源の光の発生を制御するための所定の内部照明制御プロトコルに従って変換するステップであって、受信した前記外部入力の前記外部照明制御プロトコルが前記所定の内部照明制御プロトコルと互換性のあるフォーマットでない場合、所定の照明制御プロトコルを使用するモードに切換えるステップと、
前記1以上の光源からの光の発生を前記変換された入力に従って制御するステップと、
を有する方法。」
〔相違点2〕
光源に関して、本願発明13は「発光素子」と特定されているのに対して、引用発明はそのよう特定されていない点。

上記相違点2について検討する。
光源に、LEDのような発光素子を用いて調光制御、演色制御を行うことは、特に例示するまでもなく、本願の優先日前に周知の事項といえる。
そうしてみると、引用発明の光源を発光素子とし、相違点2に係る本願発明13の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
そして、本願発明13の奏する作用効果を検討しても、引用発明及び周知の事項から、当業者が予測しうる範囲内のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本願発明13は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1及び13に係る発明(本願発明1及び13)は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-01-25 
結審通知日 2017-02-02 
審決日 2017-02-14 
出願番号 特願2009-540561(P2009-540561)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 光治  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 出口 昌哉
平田 信勝
発明の名称 照明を制御するシステム及び方法  
代理人 特許業務法人M&Sパートナーズ  

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