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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1329815 |
審判番号 | 不服2015-7048 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-04-15 |
確定日 | 2017-06-28 |
事件の表示 | 特願2013-511129「ビデオ・レコーダーまたはセットトップボックスSTBを通じて利用可能な放送番組のタグ付けされたリストの選択的表示」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月24日国際公開、WO2011/146039、平成25年 8月 8日国内公表、特表2013-531922〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯及び本願発明 1 手続の経緯 本件出願は、2010年(平成22年)5月17日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成26年 5月 1日:拒絶理由の通知 平成26年11月 6日:意見書 平成26年12月11日:拒絶査定 平成26年12月16日:拒絶査定の謄本の送達 平成27年 4月15日:拒絶査定不服審判の請求 平成28年 3月14日:拒絶理由の通知(当審) 平成28年 9月12日:手続補正 平成28年10月 3日:拒絶理由の通知(最後、当審) 平成28年12月26日:手続補正 2 平成28年10月3日付け拒絶理由の通知(最後)の概要 平成28年10月3日付け拒絶理由の通知(最後)は、概略、次のとおりである。 [拒絶の理由] この出願の請求項1?19に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2005-142904号公報 第2 補正却下の決定 平成28年12月26日付けの手続補正について次のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成28年12月26日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成28年12月26日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。 補正前の請求項1?19 「 【請求項1】 デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法であって: 家庭内のある位置を示すタグを用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階と; タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置のための前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階とを含む、 方法。 【請求項2】 前記DVRに以前に記録された番組を選択する段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記DVRによって記録されるようスケジュールされている番組を選択する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 【請求項4】 前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧から番組を選択する段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項5】 前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階が、その番組を制約されているものとしてタグ付けする段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項6】 前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階が、その番組を好ましいとしてタグ付けする段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項7】 タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階が、許可に応答して、タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含めることを含む、請求項1記載の方法。 【請求項8】 ユーザーから受領されるパスワードに応答して許可を生成する段階を含む、請求項7記載の方法。 【請求項9】 時刻に応答して許可を生成する段階を含む、請求項7記載の方法。 【請求項10】 タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階が: 前記タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置とは異なる位置にある表示装置については、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧から省くことを含む、 請求項1記載の方法。 【請求項11】 タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階が: タグ付けされた番組のみを、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に含めることを含む、 請求項1記載の方法。 【請求項12】 前記DVRがネットワーク・ベースのDVRである、請求項1記載の方法。 【請求項13】 前記DVRがゲートウェイ装置である、請求項1記載の方法。 【請求項14】 DVRシステムであって: 前記DVRを通じて利用可能となる番組コンテンツを受領する受領器と; 家庭内のある位置を示すタグを用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けし;タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置のための前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含めるよう構成された処理器と; 前記DVRを通じて利用可能な番組およびタグ付けされた番組の情報を記憶する記憶装置と; タグ付けされた番組を選択的に含む、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧を提供する出力インターフェースとを有する、 DVRシステム。 【請求項15】 前記出力インターフェースがさらに、ネットワーク接続を通じて受領器に接続するためのネットワーク接続機能を有する、請求項14記載のDVRシステム。 【請求項16】 ユーザーからの入力を受領する入力インターフェースをさらに有する、請求項14記載のDVRシステム。 【請求項17】 前記入力インターフェースがさらに、タグ付けされた番組を前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含めるための許可を受領するよう構成されている、請求項16記載のDVRシステム。 【請求項18】 処理器が、前記タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置とは異なる位置にある表示装置については、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧から省くよう構成されている、 請求項14記載のDVRシステム。 【請求項19】 前記処理器が、タグ付けされた番組のみを、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に含めるよう構成されている、 請求項14記載のDVRシステム。」 を、次のとおり補正後の請求項1?19に補正するものである。 「 【請求項1】 デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法であって: 家庭内のある位置を示すタグを用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階と; タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置に表示するための一覧であって前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階とを含む、 方法。 【請求項2】 前記DVRに以前に記録された番組を選択する段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記DVRによって記録されるようスケジュールされている番組を選択する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 【請求項4】 前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧から番組を選択する段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項5】 前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階が、その番組を制約されているものとしてタグ付けする段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項6】 前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階が、その番組を好ましいとしてタグ付けする段階を含む、請求項1記載の方法。 【請求項7】 タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階が、許可に応答して、タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含めることを含む、請求項1記載の方法。 【請求項8】 ユーザーから受領されるパスワードに応答して許可を生成する段階を含む、請求項7記載の方法。 【請求項9】 時刻に応答して許可を生成する段階を含む、請求項7記載の方法。 【請求項10】 タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階が: 前記タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置とは異なる位置にある表示装置については、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧から省くことを含む、 請求項1記載の方法。 【請求項11】 タグ付けされた番組を、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階が: タグ付けされた番組のみを、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に含めることを含む、 請求項1記載の方法。 【請求項12】 前記DVRがネットワーク・ベースのDVRである、請求項1記載の方法。 【請求項13】 前記DVRがゲートウェイ装置である、請求項1記載の方法。 【請求項14】 DVRシステムであって: 前記DVRを通じて利用可能となる番組コンテンツを受領する受領器と; 家庭内のある位置を示すタグを用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けし;タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置に表示するための一覧であって前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含めるよう構成された処理器と; 前記DVRを通じて利用可能な番組およびタグ付けされた番組の情報を記憶する記憶装置と; タグ付けされた番組を選択的に含む、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧を提供する出力インターフェースとを有する、 DVRシステム。 【請求項15】 前記出力インターフェースがさらに、ネットワーク接続を通じて受領器に接続するためのネットワーク接続機能を有する、請求項14記載のDVRシステム。 【請求項16】 ユーザーからの入力を受領する入力インターフェースをさらに有する、請求項14記載のDVRシステム。 【請求項17】 前記入力インターフェースがさらに、タグ付けされた番組を前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含めるための許可を受領するよう構成されている、請求項16記載のDVRシステム。 【請求項18】 処理器が、前記タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置とは異なる位置にある表示装置については、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧から省くよう構成されている、 請求項14記載のDVRシステム。 【請求項19】 前記処理器が、タグ付けされた番組のみを、前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に含めるよう構成されている、 請求項14記載のDVRシステム。」 (下線は補正箇所を示す。) 2 補正の適合性 (1)新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更、補正の目的 本件補正は、補正前の請求項1、14における「一覧」が「前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置」に「表示するための」一覧であることを限定するものである。 本件補正は、願書に最初に添付された明細書の段落【0040】等に基づくものであり、願書に最初に添付された明細書に記載された事項の範囲内である。 また、本件補正は、発明の特別な技術的特徴を変更する補正ではない。 さらに、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 (2)独立特許要件 上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。 (3)補正後発明 補正後の請求項1?19に係る発明のうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「補正後発明」という。)。 (補正後発明) 「(A)デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法であって: (B)家庭内のある位置を示すタグを用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階と; (C)タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置に表示するための一覧であって前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階と (D)を含む、方法。」 ((A)?(D)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。) (4)引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明 ア 引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-142904号公報(上記引用文献1、以下「引用文献1」という。)には、「番組受信装置、情報入力装置、サーバ装置、番組出力装置、及び録画再生情報送信装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。 「【0106】 次に、本実施の形態による番組出力装置の動作について、具体例を用いて説明する。ここで、番組情報格納部51が格納している番組情報は、図13で示すものであり、本実施の形態による番組出力装置は、PC(Personal Computer)であり、番組出力部60は、このPCに接続されたテレビ受像機(図示せず)に番組を出力するものとする。 【0107】 まず、番組時刻情報蓄積部56が番組情報と時刻情報を蓄積するまでの動作について説明する。 視聴予約(出力予約)を行うソフトウェア・プログラムをユーザが起動すると(ステップS401)、図17で示される表示がディスプレイ(図示せず)になされる。この表示において、ユーザは、番組情報とスケジュール枠について、所望の日付をマウスでダブルクリックすることにより選択する。ユーザが番組情報として2003年8月1日を選択し、スケジュール枠として2003年8月3日を選択したとする。すると、配置指示受付部55がその旨を受け付け、番組情報表示部52に対して、2003年8月1日の番組情報を表示するように指示し、スケジュール枠表示部54に対して、2003年8月3日のスケジュール枠を表示するように指示する。番組情報表示部52は、2003年8月1日の番組情報を番組情報格納部51から読み出してディスプレイに表示し、スケジュール枠表示部54は、2003年8月3日のスケジュール枠をディスプレイに表示する。その結果、図18の表示がディスプレイに表示される(ステップS402)。図18において、右側のウィンドー71により、2003年8月1日の番組情報が表示され、左側のウィンドー72により、2003年8月3日のスケジュール枠が表示されている。 【0108】 図19で示すように、ユーザがマウスを操作することにより、番組「ドラマ001」をスケジュール枠の9時から10時の間にドラッグ&ドロップする。すると、配置指示受付部55は、「ドラマ001」の番組情報を番組情報表示部52から受け取り、その番組情報と、「ドラマ001」が配置された時刻である「2003年8月3日9時0分」を示す時刻情報とを番組時刻情報蓄積部56に渡す(ステップS403)。その結果、番組時刻情報蓄積部56は、図14の1番目のレコードで示されるように、番組情報と時刻情報を蓄積する(ステップS404)。 【0109】 次に、番組を蓄積する動作について説明する。2003年8月1日において、21時直前になると、番組蓄積部59は、録画時刻が近づいたと判断し(ステップS405)、番組受信部58に4チャンネルの番組を受信させて、21時から番組受信部58が受信した放送番組の蓄積を開始する(ステップS406)。このときには、番組情報に対応する番組識別子「1001」に対応付けて放送番組のデータを蓄積する。番組蓄積部59は、蓄積の対象である番組の番組名「ドラマ001」を番組受信部58が受信した番組の映像データのヘッダから取得し、番組識別子に対応付けて、その番組名のMPEGデータを蓄積する。番組蓄積部59が蓄積した番組は、図15の1番目のレコードで示されるものとなる。その後、番組蓄積部59は、その番組が終了するまで(22:00まで)その番組を蓄積する。 【0110】 次に、番組を出力する動作について説明する。2003年8月3日において、9時直前になると、番組出力部60は、出力時刻が近づいたと判断し(ステップS407)、出力対象となる番組の番組識別子「1001」を番組時刻情報蓄積部56が蓄積した情報から取得し、その番組識別子「1001」に対応する番組のデータ「ドラマ001.mpg」を番組蓄積部59が蓄積した番組のデータから読み出して、9時に番組の出力を開始する(ステップS408)。このようにして、PCに接続されたテレビ受像機に番組「ドラマ001」が表示され、ユーザは、その番組を視聴することができる。また、番組出力部60は、出力している番組に対応する番組情報と時刻情報とを取得し、それらの情報を出力番組情報として出力番組蓄積部61に渡すと、出力番組情報は、その出力番組情報を蓄積する(ステップS409)。そのようにして蓄積された出力番組情報は、図16の1番目のレコードで示されるものとなる。その出力番組情報は、例えば、毎月1日の午前2時に、所定のサーバに対して出力番組出力部62によって送信され、そのサーバにおいて、ユーザの視聴傾向を分析するために用いられる。 【0111】 また、番組出力部60は、出力を開始した番組の番組情報と時刻情報を削除するように番組時刻蓄積部56に指示する。その結果、その番組情報と時刻情報が削除される(ステップS410)。 【0112】 以上のように、本実施の形態による番組出力装置によれば、1以上の番組情報を表示する番組情報表示部52と、スケジュール枠を表示するスケジュール枠表示部54と、スケジュール枠表示部54が表示したスケジュール枠に対して、番組情報表示部52が表示した番組情報を配置する指示を受け付ける配置指示受付部55と、配置指示受付部55が受け付けた指示により特定される番組情報と、その番組情報が配置されたスケジュール枠が示す時刻の情報である時刻情報とを対応付けて蓄積する番組時間情報蓄積部56と、番組受信部58が受信した番組であって、番組時間情報蓄積部56が蓄積した番組情報が示す番組を蓄積する番組蓄積部59と、番組時間情報蓄積部56が蓄積した時刻情報が示す時刻に、当該時刻情報に対応する番組情報が示す番組を番組蓄積部59が蓄積した番組から読み出して出力する番組出力部60とを備えたことで、ユーザは、簡便な方法により視聴予約(出力予約)を行うのみで、録画予約を自動的に行うことができ、ユーザが録画予約を行う作業を省略することができる。さらに、そのようにして録画された番組を、ユーザ所望の日時に計画的に視聴することができる。 【0113】 なお、配置指示受付部55がスケジュール枠に対する番組情報の配置の指示を受け付けるときに、番組を出力する対象となる機器ごとにその指示を受け付け、番組時刻情報蓄積部56は、その機器ごとに番組情報と時刻情報を蓄積し、さらに、番組出力部60は、その機器ごとに、番組の出力を行ってもよい。その場合には、配置指示受付部55が、番組を出力する対象となる機器ごとの機器識別子に対応付けて指示を受け付け、番組時刻情報蓄積部56がその機器識別子に対応付けて番組情報と時刻情報を蓄積し、番組出力部60が機器識別子で識別される機器に対して、対応する番組を出力する。 【0114】 具体的には、図20で示すように、リビングルームのディスプレイに出力する番組の視聴予約はウィンドー72で指定し、子供部屋のディスプレイに出力する番組の視聴予約はウィンドー73で指定する。その結果、番組時刻情報蓄積部56が蓄積した番組情報と時刻情報とは、図21で示すように、番組を出力する対象となる機器(図21ではディスプレイ)を示す情報に対応付けられる。ここで、ディスプレイの欄が「1」である場合には、リビングルームのディスプレイに出力することを意味し、ディスプレイの欄が「2」である場合には、子供部屋のディスプレイに出力することを意味する。番組出力部60は、このディスプレイの欄に応じて、番組をリビングルームのディスプレイや、子供部屋のディスプレイに出力する。 【0115】 このようにすることで、例えば、本実施の形態による番組出力装置がホームサーバである場合に、子供向けの番組は子供部屋のディスプレイに出力し、映画やニュースなどの番組はリビングルームのディスプレイに出力するというように、出力する対象となる機器を区別することができる。その結果、放送番組を一元管理しながら、各機器に相応しい番組の出力を行うことができる。 【0116】 また、本実施の形態では、番組時刻情報蓄積部56が蓄積する時刻情報には「年月日」の情報も含まれる場合について説明したが、例えば、番組が放送された同日に番組の出力を行うような場合等(例えば、19時から放送されるニュースを、23時から出力するような場合)には、時刻情報は年月日に関する情報を含まなくてもよい。 【0117】 また、本実施の形態では、番組の出力時刻の設定を行うことにより番組の録画予約も行う場合について説明したが、例えば、大容量の記録媒体を用いて、数か月程度の全放送番組を記録しておくことができる場合には、録画予約を行わず、その記録された番組の出力時刻の設定だけを行うようにしてもよい。」 「【図20】 」 「【図21】 」 イ 引用文献1に記載された発明 (ア)引用文献1に記載された「番組出力装置」は、(i)番組の視聴予約を行い、番組を出力するものであって、1以上の番組情報とスケジュール枠を表示し、表示したスケジュール枠に対して、番組情報を配置する指示を受け付け、受け付けた指示により特定される番組情報と、その番組情報が配置されたスケジュール枠が示す時刻の情報である時刻情報とを対応付けて番組時間情報蓄積部に蓄積し、(ii)番組受信部が受信した番組であって、番組時間情報蓄積部に蓄積した番組情報が示す番組を番組蓄積部に蓄積し、(iii)番組時間情報蓄積部が蓄積した時刻情報が示す時刻に、当該時刻情報に対応する番組情報が示す番組を番組蓄積部が蓄積した番組から読み出して出力する(段落【0012】、詳細は【0106】?【0110】)。 また、段落【0117】には、大容量記録媒体を用いて全放送番組を記録することが記載されている。 そして、段落【0113】には、「スケジュール枠に対する番組情報の配置の指示を受け付けるときに、番組を出力する対象となる機器ごとにその指示を受け付け、番組時刻情報蓄積部56は、その機器ごとに番組情報と時刻情報を蓄積」することが記載され、ここでの機器は、子供部屋のディスプレイ、リビングルームのディスプレイである(段落【0114】、【0115】)。番組出力装置における番組蓄積部は、放送番組のMPEGデータを蓄積する(段落【0109】)。 (イ)引用文献1に記載された、ディスプレイごとに、番組の視聴予約を行い、番組を蓄積し、視聴予約した時刻に当該ディスプレイに番組を出力する番組出力装置の動作を、方法の発明として認定する。 (イ-1)視聴予約 番組出力装置は、視聴予約として、ディスプレイごとに、「1以上の番組情報とスケジュール枠を表示し、表示したスケジュール枠に対して、番組情報を配置する指示を受け付け、受け付けた指示により特定される番組情報と、その番組情報が配置されたスケジュール枠が示す時刻の情報である時刻情報とを対応付けて番組時間情報蓄積部に蓄積」する(上記(ア)(i))から、番組出力装置の動作として、『ディスプレイごとに、時刻情報と番組情報とを対応付けて番組視聴予約する段階』があるといえる。 (イ-2)番組の蓄積 番組出力装置は、「番組受信部が受信した番組であって、番組時間情報蓄積部に蓄積した番組情報が示す番組を番組蓄積部に蓄積」する(上記(ア)(ii))から、番組出力装置の動作として、『番組を番組蓄積部に蓄積する段階』があるといえる。番組蓄積部は、『番組のMPEGデータを蓄積する』(上記(ア)段落【0109】)。 (イ-3)番組の出力 番組出力装置は、ディスプレイごとに、「番組時間情報蓄積部が蓄積した時刻情報が示す時刻に、当該時刻情報に対応する番組情報が示す番組を番組蓄積部が蓄積した番組から読み出して出力する」(上記(ア)(iii))から、『前記時刻情報が示す時刻に、当該ディスプレイに当該番組を出力する段階』があるといえる。 (ウ)また、番組を出力する対象となる機器ごとにその指示を受け付け、番組時刻情報蓄積部56は、その機器ごとに番組情報と時刻情報を蓄積する(段落【0113】)場合は、「図21で示すように、番組を出力する対象となる機器(図21ではディスプレイ)を示す情報に対応付けられる。ここで、ディスプレイの欄が「1」である場合には、リビングルームのディスプレイに出力することを意味し、ディスプレイの欄が「2」である場合には、子供部屋のディスプレイに出力することを意味する。」(段落【0114】)から、番組は家庭内にある位置を示す数字を用いて対応付けられている。 上記の「番組を出力する対象となる機器ごとにその指示を受け付け、番組時刻情報蓄積部56は、その機器ごとに番組情報と時刻情報を蓄積する」場合の番組出力装置の動作としては、『家庭内にある位置を示す数字を用いて、番組蓄積部に蓄積される番組を対応付ける段階』があるといえる。 (エ)以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) (a)番組のMPEGデータを蓄積する番組蓄積部を備えた番組出力装置によって実行される方法であって、 (b)ディスプレイごとに、時刻情報と番組情報とを対応付けて番組視聴予約する段階と、 (c)番組を番組蓄積部に蓄積する段階と、 (d)家庭内にある位置を示す数字を用いて、番組蓄積部に蓄積される番組を対応付ける段階と、 (e)前記時刻情報が示す時刻に、当該ディスプレイに当該番組を出力する段階と、 (f)を含む、方法。 なお、(a)?(f)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。 (5)対比 ア 補正後発明と引用発明との対比 補正後発明と引用発明とを対比する。 (ア)構成要件Aと構成aとを対比する。 引用発明の「番組出力装置」は「番組のMPEGデータを蓄積する」から、補正後発明の「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)」に相当する。 したがって、補正後発明と引用発明とは、「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法」として一致する。 (イ)構成要件Bと構成dとを対比する。 引用発明の「番組蓄積部に蓄積される番組」は、構成eのように「ディスプレイに」「出力」されるから、補正後発明の「前記DVRを通じて利用可能な番組」に相当する。 引用発明の「数字」は、補正後発明の「タグ」に対応し、「情報」として共通するといえるものの、「情報」が、補正後発明においては「タグ」であるのに対し、引用発明においては「数字」である点で相違する。 したがって、補正後発明と引用発明とは、「家庭内のある位置を示す情報を用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組を対応付ける段階」を含む点で共通する。 しかしながら、「情報」が、補正後発明においては、「タグ」であるのに対し、引用発明においては、「数字」である点で相違し、この相違に伴い、「対応付ける」が、補正後発明においては、「タグ付けする」のに対し、引用発明が「タグ付けする」ものでない点で相違する。 (ウ)構成要件Cについて 引用発明は「タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置に表示するための一覧であって前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階」を含んでおらず、補正後発明と相違する。 (エ)構成要件Dと構成fとを対比する。 上記(ア)のとおり、補正後発明と引用発明とは「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法」として一致し、上記(イ)のとおり、「家庭内のある位置を示す情報を用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組を対応付ける段階」を含む点で共通するから、「を含む、方法。」として、一致する。 イ 一致点、相違点 以上より、補正後発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法であって: 家庭内のある位置を示す情報を用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組を対応付ける段階 を含む方法。 (相違点1) 「家庭内のある位置を示す情報を用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組を対応付ける段階」における「情報」が、補正後発明においては「タグ」であるのに対し、引用発明においては「数字」である点で相違し、この相違に伴い、当該段階における「対応付ける」が、補正後発明においては「タグ付けする」のに対し、引用発明においては「タグ付けする」ものではない点 (相違点2) 補正後発明においては、「タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置に表示するための一覧であって前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階」を含むのに対し、引用発明においては、当該段階を含まない点 (6)相違点の判断等 ア 「タグ」について(相違点1) タグを用いてタグ付けし、情報を識別することはよく知られていることであり、家庭内のある位置を示す情報を用いて番組を対応付けるにあたり「数字」を用いることに代えて、タグを用いてダグ付けすることは当業者が容易に想到し得ることである。 イ 「番組の一覧」について(相違点2) 引用発明の「番組出力装置」は、ディスプレイごとに視聴予約した番組を出力するものであり、ここでディスプレイのユーザが、視聴予約された番組を確認するために当該番組の一覧を当該ディスプレイにおいて表示しようとすることは普通に想定される。 そのために、当該ディスプレイを用いるユーザは、番組出力装置に対し、視聴予約された番組の一覧を出力する指示を与え、番組出力装置が、当該ディスプレイに出力する視聴予約した番組の一覧を作成することは当業者が容易に着想することである。 そのように為せば、引用発明において、「タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置に表示するための一覧であって前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階」を含むようになる。 ウ 効果 そして、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。 エ まとめ したがって、補正後発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反する。 3 まとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成28年12月26日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年9月12日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載した事項により特定される、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。 「デジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)によって実行される方法であって: 家庭内のある位置を示すタグを用いて、前記DVRを通じて利用可能な番組をタグ付けする段階と; タグ付けされた番組を、前記家庭内の前記位置にあると指示されている表示装置のための前記DVRを通じて利用可能な番組の一覧に選択的に含める段階とを含む、 方法。」 2 判断 補正後発明は、本願発明をさらに限定したものと認められ、補正後発明が引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであることは、上記第2のとおりであるから、同じ理由で、本願発明は引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものと認められる。 3 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-01-25 |
結審通知日 | 2017-01-31 |
審決日 | 2017-02-13 |
出願番号 | 特願2013-511129(P2013-511129) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
P 1 8・ 121- WZ (H04N) P 1 8・ 575- WZ (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松元 伸次 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 冨田 高史 |
発明の名称 | ビデオ・レコーダーまたはセットトップボックスSTBを通じて利用可能な放送番組のタグ付けされたリストの選択的表示 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |