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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1329869
審判番号 不服2016-17381  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-21 
確定日 2017-07-25 
事件の表示 特願2014- 98830「装置、プログラム、および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月15日出願公開、特開2015- 7967、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年5月12日(パリ条約による優先権主張2013年6月3日,米国)の出願であって,平成27年6月1日付けで拒絶理由が通知され,平成27年9月3日に意見書と手続補正書が提出され,平成28年1月7日付けで拒絶理由(最後)が通知され,平成28年4月12日に意見書が提出され,平成28年7月15日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成28年11月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年11月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者という。」)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-21
・引用文献等 1-4

<引用文献等一覧>
1.特開2010-258549号公報
2.特開2010-103890号公報
3.国際公開第2009/044546号
4.特開2003-304653号公報(周知技術を示す文献)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は,特許法第17条の2第3項から第5項までの要件に違反しているものとはいえない。
なお,「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように,補正後の請求項1-18に係る発明は,独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-18に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明18」という。)は,平成28年11月21日に提出された手続補正書による手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ネットワークで使用される少なくとも1つのノードと関連付けて使用される装置であって,
以下のサブパラグラフ(a)およびサブパラグラフ(b),すなわち,
(a)前記少なくとも1つのノードのネットワーク・インターフェース・コントローラ回路による通信のために,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の相対的に低い電力消費状態から相対的に高い電力消費状態への遷移を要求する少なくとも1つのパケットを,前記少なくとも1つのノードの少なくとも1つの電力供給線を介して少なくとも一部受信すること,および
(b)前記少なくとも1つの電力供給線を介して,前記少なくとも1つのパケットを少なくとも一部発行すること,
のうちの少なくとも1つを行う回路を備え,
前記回路は,少なくとも1つの他のノードに対し,前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況を少なくとも一部示すものであり,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合されるものであり,
前記可用性状況が,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路が前記相対的に低い電力消費状態にあることを示す場合,前記少なくとも1つの他のノードは,前記少なくとも1つの電力供給線を少なくとも一部介して,前記少なくとも1つのノードと通信するものである,
装置。
【請求項2】
前記回路は,
複数のサーバノードに通信可能に結合される少なくとも1つのスイッチノードであって,前記少なくとも1つの電力供給線と少なくとも1つのネットワーク通信リンクの両方を介して前記複数のサーバノードのうちの少なくとも1つに通信可能に結合される前記少なくとも1つのスイッチノード,および
前記複数のサーバノードのうちの前記少なくとも1つ
のうちの少なくとも1つに少なくとも一部備わるものであり,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つのネットワーク通信リンクを介して前記少なくとも1つのスイッチノードに通信可能に結合される,
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回路は,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の前記相対的に高い電力消費状態から前記相対的に低い電力消費状態への少なくとも一部の遷移であって,前記相対的に低い電力消費状態は前記相対的に高い電力消費状態に対するものである,前記相対的に低い電力消費状態への遷移を要求する少なくとも1つのパケットを,前記少なくとも1つの電力供給線を介して受信または発行し,
前記回路は,少なくとも1つの電力供給部,および少なくとも1つの電源コネクタのうちの少なくとも1つに少なくとも一部備わる,
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記回路は,前記少なくとも1つのノードに少なくとも一部備わる少なくとも1つの管理コントローラを含み,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つのパケットの前記少なくとも1つの管理コントローラによる受信の前に電源切断されるものであり,
前記少なくとも1つの管理コントローラは,前記少なくとも1つのパケットの前記受信に少なくとも一部応答して,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の電源投入を少なくとも一部開始するものであり,
前記少なくとも1つのパケットは,
前記少なくとも1つの管理コントローラに少なくとも一部アドレス指定された少なくとも1つのWake-on-LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)パケット,および
前記少なくとも1つの管理コントローラにアドレス指定された少なくとも1つのIPMI(インテリジェントプラットフォーム管理インターフェース)-over-LANパケット
のうちの少なくとも1つを少なくとも一部含む,
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電力供給線は,ユニバーサル・シリアル・バス・インターフェースに少なくとも一部備わり,
前記回路は,前記少なくとも1つのノードのチップセットに少なくとも一部備わり,
前記少なくとも1つのノードは,少なくとも1つのスイッチノードに通信可能に結合されるものである複数のラックサーバのうちの少なくとも1つを含む,
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記チップセットは,少なくとも1つのコントローラと少なくとも1つの他のコントローラとを含み,
前記少なくとも1つのパケットに少なくとも一部応答して,前記少なくとも1つのコントローラは,前記少なくとも1つの他のコントローラの少なくとも一部の電源投入を少なくとも一部開始するものであり,
前記少なくとも1つの他のコントローラの少なくとも一部の前記電源投入の後に,前記少なくとも1つの他のコントローラは,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の電源投入を少なくとも一部開始するものである,
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
コンピュータに,以下のサブパラグラフ(a)およびサブパラグラフ(b),すなわち,
(a)ネットワークで使用されるものである少なくとも1つのノードのネットワーク・インターフェース・コントローラ回路による通信のために,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の相対的に低い電力消費状態から相対的に高い電力消費状態への遷移を要求する少なくとも1つのパケットを,前記少なくとも1つのノードの少なくとも1つの電力供給線を介して少なくとも一部受信する動作,および
(b)前記少なくとも1つの電力供給線を介して,前記少なくとも1つのパケットを少なくとも一部発行する動作,
のうちの少なくとも1つに含まれる動作を実行させ,
前記動作は,回路によって少なくとも一部行われ,
前記回路は,少なくとも1つの他のノードに対し,前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況を少なくとも一部示すものであり,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合されるものであり,
前記可用性状況が,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路が前記相対的に低い電力消費状態にあることを示す場合,前記少なくとも1つの他のノードは,前記少なくとも1つの電力供給線を少なくとも一部介して,前記少なくとも1つのノードと通信するものである,
プログラム。
【請求項8】
前記動作は,
複数のサーバノードに通信可能に結合される少なくとも1つのスイッチノードであって,前記少なくとも1つの電力供給線と少なくとも1つのネットワーク通信リンクの両方を介して前記複数のサーバノードのうちの少なくとも1つに通信可能に結合される前記少なくとも1つのスイッチノード,および
前記複数のサーバノードのうちの前記少なくとも1つ
のうちの少なくとも1つに少なくとも一部備わるものである回路によって,少なくとも一部行われ,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つのネットワーク通信リンクを介して前記少なくとも1つのスイッチノードに通信可能に結合される,
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の前記相対的に高い電力消費状態から前記相対的に低い電力消費状態への少なくとも一部の遷移であって,前記相対的に低い電力消費状態は前記相対的に高い電力消費状態に対するものである,前記相対的に低い電力消費状態への遷移を要求する少なくとも1つのパケットを,前記少なくとも1つの電力供給線を介して受信または発行する動作を前記コンピュータに実行させ,
前記動作は,回路によって少なくとも一部行われ,
前記回路は,少なくとも1つの電力供給部,および少なくとも1つの電源コネクタのうちの少なくとも1つに少なくとも一部備わる,
請求項7または8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記動作は,回路によって少なくとも一部行われ,
前記回路は,前記少なくとも1つのノードに少なくとも一部備わる少なくとも1つの管理コントローラを含み,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つのパケットの前記少なくとも1つの管理コントローラによる受信の前に電源切断されるものであり,
前記少なくとも1つの管理コントローラは,前記少なくとも1つのパケットの前記受信に少なくとも一部応答して,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の電源投入を少なくとも一部開始するものであり,
前記少なくとも1つのパケットは,
前記少なくとも1つの管理コントローラに少なくとも一部アドレス指定された少なくとも1つのWake-on-LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)パケット,および
前記少なくとも1つの管理コントローラにアドレス指定された少なくとも1つのIPMI(インテリジェントプラットフォーム管理インターフェース)-over-LANパケット
のうちの少なくとも1つを少なくとも一部含む,
請求項7から9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記動作は,回路によって少なくとも一部行われ,
前記少なくとも1つの電力供給線は,ユニバーサル・シリアル・バス・インターフェースに少なくとも一部備わり,
前記回路は,前記少なくとも1つのノードのチップセットに少なくとも一部備わり,
前記少なくとも1つのノードは,少なくとも1つのスイッチノードに通信可能に結合されるものである複数のラックサーバのうちの少なくとも1つを備える,
請求項7から10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記チップセットは,少なくとも1つのコントローラと少なくとも1つの他のコントローラとを含み,
前記少なくとも1つのパケットに少なくとも一部応答して,前記少なくとも1つのコントローラは,前記少なくとも1つの他のコントローラの少なくとも一部の電源投入を少なくとも一部開始するものであり,
前記少なくとも1つの他のコントローラの少なくとも一部の前記電源投入の後に,前記少なくとも1つの他のコントローラは,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の電源投入を少なくとも一部開始するものである,
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
ネットワークで使用されるものである少なくとも1つのノードと関連付けて使用される回路によって少なくとも一部実装される方法であって,以下のサブパラグラフ(a)およびサブパラグラフ(b),すなわち,
(a)前記少なくとも1つのノードのネットワーク・インターフェース・コントローラ回路による通信のために,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の相対的に低い電力消費状態から相対的に高い電力消費状態への遷移を要求する少なくとも1つのパケットを,前記少なくとも1つのノードの少なくとも1つの電力供給線を介して少なくとも一部受信するステップ,および
(b)前記少なくとも1つの電力供給線を介して,前記少なくとも1つのパケットを少なくとも一部発行するステップ,
のうちの少なくとも1つを含み,
前記回路は,少なくとも1つの他のノードに対し,前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況を少なくとも一部示すものであり,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合されるものであり,
前記可用性状況が,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路が前記相対的に低い電力消費状態にあることを示す場合,前記少なくとも1つの他のノードは,前記少なくとも1つの電力供給線を少なくとも一部介して,前記少なくとも1つのノードと通信するものである,
方法。
【請求項14】
前記回路は,
複数のサーバノードに通信可能に結合される少なくとも1つのスイッチノードであって,前記少なくとも1つの電力供給線と少なくとも1つのネットワーク通信リンクの両方を介して前記複数のサーバノードのうちの少なくとも1つに通信可能に結合される前記少なくとも1つのスイッチノード,および
前記複数のサーバノードのうちの前記少なくとも1つ
のうちの少なくとも1つに少なくとも一部備わるものであり,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つのネットワーク通信リンクを介して前記少なくとも1つのスイッチノードに通信可能に結合される,
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の前記相対的に高い電力消費状態から前記相対的に低い電力消費状態への少なくとも一部の遷移であって,前記相対的に低い電力消費状態は前記相対的に高い電力消費状態に対するものである,前記相対的に低い電力消費状態への遷移を要求する少なくとも1つのパケットを,前記少なくとも1つの電力供給線を介して受信または発行するステップを含み,
前記回路は,少なくとも1つの電力供給部,および少なくとも1つの電源コネクタのうちの少なくとも1つに少なくとも一部備わる,
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記回路は,前記少なくとも1つのノードに少なくとも一部備わる少なくとも1つの管理コントローラを含み,
前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つのパケットの前記少なくとも1つの管理コントローラによる受信の前に電源切断されるものであり,
前記少なくとも1つの管理コントローラは,前記少なくとも1つのパケットの前記受信に少なくとも一部応答して,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の電源投入を少なくとも一部開始するものであり,
前記少なくとも1つのパケットは,
前記少なくとも1つの管理コントローラに少なくとも一部アドレス指定された少なくとも1つのWake-on-LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)パケット,および
前記少なくとも1つの管理コントローラにアドレス指定された少なくとも1つのIPMI(インテリジェントプラットフォーム管理インターフェース)-over-LANパケット
のうちの少なくとも1つを少なくとも一部含む,
請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの電力供給線は,ユニバーサル・シリアル・バス・インターフェースに少なくとも一部備わり,
前記回路は,前記少なくとも1つのノードのチップセットに少なくとも一部備わり,
前記少なくとも1つのノードは,少なくとも1つのスイッチノードに通信可能に結合されるものである複数のラックサーバのうちの少なくとも1つを含む,
請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記チップセットは,少なくとも1つのコントローラと少なくとも1つの他のコントローラとを含み,
前記少なくとも1つのパケットに少なくとも一部応答して,前記少なくとも1つのコントローラは,前記少なくとも1つの他のコントローラの少なくとも一部の電源投入を少なくとも一部開始するものであり,
前記少なくとも1つの他のコントローラの少なくとも一部の前記電源投入の後に,前記少なくとも1つの他のコントローラは,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の電源投入を少なくとも一部開始するものである,
請求項17に記載の方法。」

第5 引用発明,引用文献等
1.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は重要箇所に対して当審が付した。以下,同様。)。

「【0033】
図5は,本発明の実施の形態になる電源管理システムの一基本構成を示す。電源管理システムは,電力線4によって接続する複数の機器(機器A,B・・・)2が電力線通信網を形成し,その電力線通信網内の少なくとも一つの機器2(本例では,機器A)とLAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)3を介して一台の電源管理装置5が接続する構成となっている。
【0034】
各機器2は,電力線4の電力線通信により,ある周期でパケットを他の機器と送受信し,該パケットのデータをメモリ23に格納するなどの制御を行う制御部21と,他機器とのパケットの送受信を行う送受信部22とから構成されている。
【0035】
また,電源管理装置5は,LAN3を介して接続する機器2に対し,電力線通信網内の情報を取得するためのコマンドを発行し,機器2へのコマンドの送受信を制御する制御部51,発行コマンドを送受信する送受信部52,取得した機器2の接続情報を格納しておくメモリ53を備えている。
【0036】
なお,機器2および電源管理装置5は,CPU(制御部),メモリを有するコンピュータであり,機器2のメモリ23には,各機器2間でパケットを送受信し,接続関係テーブルを作成する共通のプログラムが内蔵され,また,電源管理装置5のメモリ53には,LAN3を介して発行コマンドを送信したり,応答結果を受信するプログラムが内蔵されている。
【0037】
また,これらプログラムは,ハードディスク,コンパクトディスク,フレキシブルディスク,光磁気ディスクなどの媒体に記録され,機器2や電源管理装置5に備わる媒体のドライブ機構(図に示していない)によって電源投入時に読み込まれ,それぞれのメモリに展開されて,CPU(制御部)によって処理される構成としてもよい。
【0038】
図6は,本発明の実施の形態になる各機器の電源部を管理する電源管理システムの具体的な構成例を示す。
【0039】
電源制御システムは,Outlet(コンセント1),第一の分配器A(機器2a),第二の分配器B(機器2b)及び分配器C(機器2c),ハブ(機器2d),サーバB(機器2e),これら機器の電源部10を接続する電力線4,および各分配器A,B,Cに挿入されたNIC(Network Interface Card:ネットワーク・インタフェース・カード)20とLAN(Local Area Network)3を介して接続する電源制御装置5とから構成されている。
【0040】
電源制御装置5からLAN3を介して指示を受け取った機器(ここでは,分配器Aを想定)は,接続する全機器へ指示(コマンド)パケットを送信する。電力線4を利用した電力線通信により指示パケットを受け取った他の機器は,それ以外の電力線4に接続されている機器に対してもパケットを送信する。これにより,ツリー状(木構造)に接続する全ての機器への指示が送信されることになる。
【0041】
指示を受け取った機器は,その指示を実行して得た結果を指示結果パケットとして格納し,指示を受け取った電力線4に接続されている機器へ送信する。それ以外の電力線4から指示結果パケットを受け取った場合には,パケットの送信先アドレスと接続関係テーブルから該当する機器へパケットを送信する。。これにより,指示を出した機器に全ての機器からの接続情報の結果が集まる。
【0042】
なお,図中の下部には,分配器Aで収集した機器の接続情報から作成された接続関係テーブルを示している。
【0043】
図7は,本発明の実施の形態になる電源機器の接続を管理する全体フローを示す。本例では,図6の接続構成における電源管理システムの動作フローを示す。
【0044】
まず,ステップS11において,利用者によって複数の機器の電源部が電力線で接続されると,ステップS12において,各機器は,接続する他の機器に対し,電源線通信を使用して自身の接続情報を送信する。
【0045】
さらに,ステップS13において,接続する他の全機器から接続情報を受信し,各機器から収集した接続情報をもとに,図6に示すような,全ての機器の接続構成を表す接続関係テーブルが作成される。なお,この接続関係テーブルは,各機器のメモリに共通のものが作成され格納されることとなる。
【0046】
なお,ステップS12および13の処理は,一定の周期で繰り返し行われ,接続関係テーブルは次回以降の変更部分が更新される。
【0047】
そして,ステップS14において,電源制御装置5は,LAN3で接続する機器のNICを介して全ての機器の接続情報(接続関係テーブル)を取得する。」

上記引用文献1の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると,以下の技術事項が読み取れる。
a 分配器Aと分配器Bは同じ電力線通信網内の機器であり,電力線4を介して直接接続している。
b 分配器Bはパケット送受信部22を備えている。
c 分配器Aは「接続する全機器へ指示(コマンド)パケットを送信」し,「指示を受け取った機器」である分配器Bは,「その指示を実行して得た結果を指示結果パケットとして格納し,指示を受け取った電力線4に接続されている機器へ送信」し,「これにより,指示を出した機器に全ての機器からの接続情報の結果が集まる」のであるから(【0040】-【0041】参照),「分配器Bの送受信部22が送信した指示結果パケットは,分配器Aに対し,前記分配器Bに接続する機器の接続情報を示すものである」といえる。

そうすると,引用文献1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「 電力線通信網内の分配器Bであって,
電力線4を介して指示結果パケットを送信する送受信部22を備え,
前記分配器Bの送受信部22が送信した指示結果パケットは,分配器Aに対し前記分配器Bに接続する機器の接続情報を示すものである,分配器B。」

2.引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

「【0023】
図5は,ネットワーク側電力線通信媒介装置の端末停止応答部の構成を示すブロック図である。端末停止応答部12は,停止検出手段121及び周期指示手段122を有する。
停止検出手段121は,図5に示すように,監視信号をユーザ端末4に送信し,その応答信号に基づいてユーザ端末4が停止状態にあるか否かを検出可能となっている。送信対象のユーザ端末4は,ユーザ端末アドレスDB15に残っているMACアドレスで特定されるものである。
【0024】
停止検出手段121は,ユーザ端末4が停止したことを検出したとき,対応するMACアドレスをユーザ端末アドレスDB15から消去する。停止検出手段121は,全端末停止状態を検出したとき,停止要求を状態切替処理部13(以下に説明する停休止制御手段132)に出力可能となっている。
【0025】
周期指示手段122は,例えば1分周期等で停止検出手段121に所定の信号(以下,トリガ信号という。)を出力し,停止検出手段121にユーザ端末4への監視信号を送信させるようになっている。このトリガ信号は,NW側媒介装置1が休止状態にあるときは生成されない。」

したがって,上記引用文献2には,「ネットワーク側電力線通信媒介装置の端末停止応答部は,監視信号をユーザ端末4に送信し,その応答信号に基づいてユーザ端末4が停止状態にあるか否かを検出可能であること」という技術的事項が記載されていると認められる。

3 引用文献3,4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3の特に段落0049,図1及び図2には,「USB制御部43は,USBコネクタ53,54に接続され,USB通信制御を実現すること」という技術的事項が記載されていると認められる。
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4の特に,段落0026及び図1-3には,「不要な電力消費を減少させるために,電力線通信を用いて,電源装置からON/OFFすることにより,一定領域への電源供給を一度に操作することを可能とし,接続されている各装置のコンセントへの電源供給のON/OFFを一元管理すること」という技術的事項が記載されていると認められる。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

a 引用発明の「電力線通信網」は,本願発明1の「ネットワーク」に含まれる。
b 引用発明の「分配器B」,「分配器A」はいずれも電力線通信網内の「ノード」といえ,それぞれ本願発明1の「少なくとも1つのノード」,「少なくとも1つの他のノード」に相当する。また,「分配器B」自体が「装置」であることは自明であって,「ノードと関連付けて使用される装置」であるといえる。
c 引用発明の「指示結果パケット」及び該パケットを送信する「送受信部22」は,ぞれぞれ,本願発明の「パケット」及び該パケットを「発行する」「回路」に相当する。
d 引用発明の「前記分配器Bに接続する機器の接続情報」は,「分配器Bの状況」といい得るものであって,本願発明の「前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況」とは,「前記少なくとも1つのノードの状況」の点で共通する。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「 ネットワークで使用される少なくとも1つのノードと関連付けて使用される装置であって,
少なくとも1つの電力供給線を介して,少なくとも1つのパケットを少なくとも一部発行すること,
を行う回路を備え,
前記回路は,少なくとも1つの他のノードに対し,前記少なくとも1つのノードの状況を少なくとも一部示すものである,
装置。」

(相違点)
一致点の「前記少なくとも1つのノードの状況」が,
本願発明1では「前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況」であり,また,「前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合されるものであり,前記可用性状況が,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路が前記相対的に低い電力消費状態にあることを示す場合,前記少なくとも1つの他のノードは,前記少なくとも1つの電力供給線を少なくとも一部介して,前記少なくとも1つのノードと通信するものである」のに対し,
引用発明では「前記分配器Bに接続する機器の接続情報」である点。

(2)相違点についての判断
引用発明の「分配器B」も「NIC20」を備えることが引用文献1に記載されてはいるが,該「NIC20」に関して,引用文献1に「電源制御装置5は,LAN3で接続する機器のNICを介して全ての機器の接続情報(接続関係テーブル)を取得する。」(【0047】)と記載されているように,「電源制御装置5」とのLAN3を介した通信に用いるためのものであるところ,このようなNIC20についてその「可用性状況」を引用発明の「前記分配器Bに接続する機器の接続情報」に代えて「分配器A」に送信する合理的理由はない。
また,引用文献1に「各機器2は,電力線4の電力線通信により,ある周期でパケットを他の機器と送受信し,該パケットのデータをメモリ23に格納するなどの制御を行う制御部21と,他機器とのパケットの送受信を行う送受信部22とから構成されている。」(【0034】)と記載されているように,「分配器B」と「分配器A」との間の通信は常に「電力線4」を介して行われているのであって,「NIC20」の「可用性状況」に依存して「電力線通信」を行うよう構成する合理的理由もない。

また,引用文献2には,上述したとおり,「ネットワーク側電力線通信媒介装置の端末停止応答部は,監視信号をユーザ端末4に送信し,その応答信号に基づいてユーザ端末4が停止状態にあるか否かを検出可能であること」という技術的事項が記載されているが,ここで「ユーザ端末4が停止状態にあるか否か」は「電力線通信」に関する「ユーザ端末4の可用性状況」であって,本願発明1の「前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合され」た「前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況」ではない。さらに,上記のとおり引用発明において,「分配器B」と「分配器A」との間の通信は常に「電力線4」を介して行われているのであって,「NIC20」の「可用性状況」に依存する必然性はないから,引用文献2の「ユーザ端末4の可用性状況」を本願発明1のように『「前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況」であり,また,「前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合されるものであり,前記可用性状況が,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路が前記相対的に低い電力消費状態にあることを示す場合,前記少なくとも1つの他のノードは,前記少なくとも1つの電力供給線を少なくとも一部介して,前記少なくとも1つのノードと通信するものである」』のように変更することも,引用文献2から容易に想到し得たものではない。

さらに,上述したとおり,引用文献3には「USB制御部43は,USBコネクタ53,54に接続され,USB通信制御を実現すること」という技術的事項が,引用文献4には「不要な電力消費を減少させるために,電力線通信を用いて,電源装置からON/OFFすることにより,一定領域への電源供給を一度に操作することを可能とし,接続されている各装置のコンセントへの電源供給のON/OFFを一元管理すること」という技術的事項がそれぞれ記載されているが,いずれも上記相違点に係る本願発明1の構成を示唆するものではない。

したがって,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-18について
本願発明2-18も,本願発明1の「前記回路は,少なくとも1つの他のノードに対し,前記少なくとも1つのノードの前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路の可用性状況を少なくとも一部示すものであり,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路は,前記少なくとも1つの他のノードの少なくとも1つのポートに通信可能に結合されるものであり,前記可用性状況が,前記ネットワーク・インターフェース・コントローラ回路が前記相対的に低い電力消費状態にあることを示す場合,前記少なくとも1つの他のノードは,前記少なくとも1つの電力供給線を少なくとも一部介して,前記少なくとも1つのノードと通信するものである」と同一の構成を備えるものである。
したがって,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-07-10 
出願番号 特願2014-98830(P2014-98830)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田川 泰宏佐賀野 秀一  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 新川 圭二
千葉 輝久
発明の名称 装置、プログラム、および方法  
代理人 龍華国際特許業務法人  

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