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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B29C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B29C
管理番号 1329871
審判番号 不服2016-11115  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-22 
確定日 2017-07-25 
事件の表示 特願2012- 18599「ブロー成形装置及び容器の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月15日出願公開、特開2013-154603、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年1月31日の出願であって、平成27年5月21日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月10日に手続補正書と意見書が提出され、同年7月24日付けで刊行物等提出書が提出され、同年10月13日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月15日に手続補正書と意見書が提出され、平成28年1月15日付けで刊行物等提出書が提出され、同年4月22日付け(発送日:同年4月26日)で拒絶査定がされた。これに対し、同年7月22日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたが、同年9月26日に前置報告書が作成され、同年11月8日に上申書が提出されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、要するに、
「2.(新規性)この出願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
3.(進歩性)この出願の請求項1ないし5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:国際公開第2011/076167号」
というものを含むものである。
(原査定においては、「平成27年10月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由1,2によって、・・・●理由1(特許法第29条第1項),理由2(特許法第29条第2項)について」と記載されるが、「平成27年10月13日付け拒絶理由通知書に記載した理由2,3によって、・・・●理由2(特許法第29条第1項),理由3(特許法第29条第2項)について」の誤記である。)

第3 審判請求時の補正(以下、「本件補正」という)について
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を
「上端に口筒部(32)を起立設した有底筒状のプリフォーム(31)のブロー成形装置であって、ブロー成形用の金型(1)と、前記プリフォーム(31)を金型(1)に装着した状態で前記口筒部(32)に密に連通するブローノズル(4)を有し、
前記ブローノズル(4)に挿通するようにロッド(8)を配設し、前記ロッド(8)の先端部を前記プリフォーム(31)内に挿入させた状態で、前記ブローノズル(4)と前記ロッド(8)で形成される筒状の導入路(Fi)を介して前記プリフォーム(31)内に供給される加圧液体(L)により前記金型(1)のキャビティに沿って膨張状に容器(41)を賦形する構成とし、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給が停止された状態で前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する構成とし、前記ロッド(8)の先端部の形状及び挿入位置により液体(L)を充填した状態で成形された前記容器(41)におけるヘッドスペース(Hs)を所定の量に制御する構成とし、
前記ブローノズル(4)の周壁に、該ブローノズル(4)の外部と内部を連通するための通気孔(6b)を開閉可能に配設し、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際に、前記通気孔(6b)を開状態として前記ブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する構成としたブロー成形装置。」
とし、請求項4を
「請求項1、2または3記載のブロー成形装置を使用した合成樹脂製容器の製造方法であって、
有底筒状のプリフォーム(31)の口筒部(32)を外部に突出させた状態でブロー成形用の金型(1)に装着し、
前記ロッド(8)の先端部を前記プリフォーム(31)内に挿入し、
加圧液体(L)を、前記導入路(Fi)を介して前記口筒部(32)から前記プリフォーム(31)内に供給し、該加圧液体(L)により前記金型(1)のキャビティ(2)の形状に沿って容器(41)を膨張状に賦形し、
前記容器(41)が賦形された後、加圧液体(L)の供給を停止し、
前記ロッド(8)の先端部を前記容器(41)内から脱挿入し、
液体(L)を充填した状態で成形された前記容器(41)におけるヘッドスペース(Hs)を所定の量に制御するとともに、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際、前記通気孔(6b)を開状態として前記ブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する構成としたことを特徴とする合成樹脂製容器の製造方法。」
とするものを含むものである。(下線は合議体が付与。)

2 補正の適否
本件補正の補正事項は、請求項1、4に記載された発明を特定するために必要な事項である「容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際に、前記通気孔(6b)を開状態として前記ブローノズル(4)の外部と内部を連通状態」とすることについて「前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和」するとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1、4に記載された発明と補正後の請求項1、4に記載される発明の産業上の技術分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
そして、「第4 本願発明」から「第5 当審の判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし5に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
よって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第4 本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、平成28年7月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下のものである。

「 【請求項1】
上端に口筒部(32)を起立設した有底筒状のプリフォーム(31)のブロー成形装置であって、ブロー成形用の金型(1)と、前記プリフォーム(31)を金型(1)に装着した状態で前記口筒部(32)に密に連通するブローノズル(4)を有し、
前記ブローノズル(4)に挿通するようにロッド(8)を配設し、前記ロッド(8)の先端部を前記プリフォーム(31)内に挿入させた状態で、前記ブローノズル(4)と前記ロッド(8)で形成される筒状の導入路(Fi)を介して前記プリフォーム(31)内に供給される加圧液体(L)により前記金型(1)のキャビティに沿って膨張状に容器(41)を賦形する構成とし、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給が停止された状態で前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する構成とし、前記ロッド(8)の先端部の形状及び挿入位置により液体(L)を充填した状態で成形された前記容器(41)におけるヘッドスペース(Hs)を所定の量に制御する構成とし、
前記ブローノズル(4)の周壁に、該ブローノズル(4)の外部と内部を連通するための通気孔(6b)を開閉可能に配設し、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際に、前記通気孔(6b)を開状態として前記ブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する構成としたブロー成形装置。
【請求項2】
前記ブローノズル(4)の先端に前記プリフォーム(31)の口筒部(32)に嵌入する嵌入筒片(5)を配設し、該嵌入筒片(5)の外周壁に先端に向かって縮径する周段部(5a)を周設し、該周段部(5a)と前記口筒部(32)の上端面のシール部材(7a)を介した当接により、前記ブローノズル(4)を口筒部(32)に密に連通する構成とした請求項1記載のブロー成形装置。
【請求項3】
前記プリフォーム(31)を縦延伸するための延伸ロッド(8a)を、前記ロッド(8)とした請求項1または2記載のブロー成形装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のブロー成形装置を使用した合成樹脂製容器の製造方法であって、
有底筒状のプリフォーム(31)の口筒部(32)を外部に突出させた状態でブロー成形用の金型(1)に装着し、
前記ロッド(8)の先端部を前記プリフォーム(31)内に挿入し、
加圧液体(L)を、前記導入路(Fi)を介して前記口筒部(32)から前記プリフォーム(31)内に供給し、該加圧液体(L)により前記金型(1)のキャビティ(2)の形状に沿って容器(41)を膨張状に賦形し、
前記容器(41)が賦形された後、加圧液体(L)の供給を停止し、
前記ロッド(8)の先端部を前記容器(41)内から脱挿入し、
液体(L)を充填した状態で成形された前記容器(41)におけるヘッドスペース(Hs)を所定の量に制御するとともに、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際、前記通気孔(6b)を開状態として前記ブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する構成としたことを特徴とする合成樹脂製容器の製造方法。
【請求項5】
縦延伸するための延伸ロッド(8a)を前記ロッド(8)とし、該延伸ロッド(8a)で前記プリフォーム(31)を縦方向に延伸すると共に、加圧液体(L)を前記導入路(Fi)を介して前記口筒部(32)から前記プリフォーム(31)内に供給し、該加圧液体(L)により前記金型(1)のキャビティ(2)の形状に沿って前記容器(41)を膨張状に賦形する構成とした請求項4記載の合成樹脂製容器の製造方法。」

第5 当審の判断
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、ウムラウト等の独語特有の表記は適宜アルファベットに置き換えており、また、記載について括弧書きで合議体訳を付した。

ア「Der prinzipielle Aufbau einer kombinierten Form- und
Fulleinrichtung ist in Figur 1 dargestellt. Von einer Zufuhreinrichtung (1) werden schematisch dargestellte Vorformlinge (2) unter Verwendung eines Ubergaberades (3) einer Heizeinrichtung (4) zugefuhrt.Im Bereich der Heizeinrichtung (4) konnen die Vorformlinge (1) anwendungsabh#ngig beispielsweise mit ihren M#ndungsabschnitten (5) in lotrechter Richtung nach oben oder in lotrechter Richtung nach unten transportiert werden.・・・
Nach einer ausreichenden Temperierung werden die beheizten Vorformlinge (2) von einem Ubergaberad (8) zu einem rotationsfahig angeordneten Prozessrad (9) ubergeben. Das Prozessrad (9) ist mit einer Mehrzahl von Formstationen (19) ausgestattet, in deren Bereich sowohl eine Umformung der Vorformlinge (2) in schematisch dargestellte Behalter (11) als auch eine Befallung der Behalter (11) mit einem vorgesehenen Fullmedium erfolgt. ・・・
Nach einer Formung und Befulung werden die Behalter (11) von einem Entnahmerad (12) vom Prozessrad (9) wegtransportiert und einer Ausgabestrecke (13) zugefuhrt.」
(組み合わされた成形および充填装置の主な構成が図1に示されている。供給装置(1)によって供給される概略的に示されたプリフォーム(2)は、移送ホイール(3)を用いて加熱装置(4)を介して供給される。加熱装置(4)の領域では、例えば開口部(5)を鉛直上向きまたは鉛直下向きにして、用途に応じてプリフォーム(2)を搬送することができる・・・
十分な熱調整の後、加熱されたプリフォームは、移送ホイール(8)によって、回転可能に配置されたプロセスホイール(9)に移送される。プロセスホイールには複数の成形ステーション(19)が設けられ、その領域には、プリフォーム(2)を概略的に図示された容器(11)に再成形し、容器(11)に意図された充填媒体を充填することが行われる。・・・
成形および充填の後、容器(11)は、除去ホイール(12)によってプロセスホイール(9)から搬送され、出口セクション(13)に供給される。)
(第8頁下から13行?第9頁第15行)

イ「Eine Entluftung des Vorformlings (2) kann unter Verwendung eines Entluftungventils (26) erfolgen. Das Entluftungsventil (26) ist mit einer Ausstromoffnung (27) verbunden, die im Bereich eines den Vorformlings (1) beaufschlagenden Anschlusselementes (28) angeordnet ist. Durch das Anschlusselement (28) hindurch ist die Reckstange (17) positionierbar. Der Vorformling (2) wird gegenuber dem Anschlusselement (28) von einer Dichtung (29) abgedichtet, die beispielsweise als ein O-Ring ausgebildet sein kann. Ein Innenraum (30) des Vorformlings (2) kann uber einen Ringspalt (31) mit der Ausstromoffnung (27) verbunden sein. Der Ringspalt (31) umschliesst hierbei bereichsweise die Reckstange (17).」
(プリフォーム(2)の通気は通気弁(26)を用いて実行できる。通気弁(26)は、プリフォーム(1)と接触している結合手段(28)の流出口(27)の領域に設けられる。延伸ロッド(17)は、結合手段(28)を通して伸びるように配設されても良い。プリフォーム(2)は、結合手段(28)に対して、例えばO-リングにより構成できるシール(29)によりシールされる。プリフォーム(2)の内部(30)は、環状隙間(31)を経由して流出口(27)と接続できる。環状隙間(31)は延伸ロッド(17)の一部の領域上を取り囲む。)
(第11頁第14行?第25行)

ウ「Gemass der Ausfuhrungsform in Figur 4 wird eine massive Reckstange (17) verwendet. Eine Zufuhrung des Fullmediums (21) erfolgt entlang mindestens eines Stromungskanals an der Reckstange (17) vorbei. Vorzugsweise wird hierzu der Ringspalt (31) verwendet. Auch bei dieser Ausfuhrungsform ist es moglich, ein gezieltes Entluften durchzufuhren.」
(図4にかかる実施形態では、中空でない延伸ロッド(17)が用いられる。充填物(21)は、少なくとも、延伸ロッド(17)に沿った流路を経由して供給される。環状隙間(31)はこの目的に好適である。またこの実施形態では、選択的な通気を実行できる。)
(第12頁第12行?第17行)

エ「Figur 6 zeigt eine Ausfuhrungsform, bei der wiederum eine massive Reckstange (17) verwendet wird. Durch an der Reckstange (17) vorbeilaufende Stromungskanale, inbesondere durch den Ringspalt (31) hindurch, ist sowohl das Dosierventil (22) fur das Fullmedium (21) als auch das Entluftungsventil (26) mit dem Innenraum (30) des Vorformlings (2) bzw. des Behalters (11) verbunden. Beim dargestellten Ausfuhrungsbeispiel ist die Ausstromoffnung (27) in einer radialen Richtung des Anschlusselementes (28) gegenuberliegend zu einer Zufuhroffnung (36) angeordnet, die mit dem Dosierventil (22) verbunden ist.」
(図6では再び、中空でない延伸ロッド(17)が用いられる実施形態を示す。充填物(21)の絞り弁(22)、および通気弁(26)は、プリフォーム(2)の内部(30)または容器(11)と、延伸ロッド(17)を越えて延びる流路、特に環状隙間(31)により接続されている。図示された実施形態では流出口(27)は、結合手段(28)の放射方向において、絞り弁(22)と接続された供給口(36)の反対側に設けられている。)
(第13頁第4行?第14行)

オ「Vor einer Einleitung des Fullmediums (21) ist es moglich, innerhalb des Vorformlings (1) befindliche Luft abzusaugen und/oder durch ein Inertgas zu ersetzen. Dies empfiehlt sich insbesondere bei oxidationsempfindlichen Fullmedien (21).」
(充填物(21)を導入する前に、プリフォーム(1)内に存在する空気を抜き出し、および/または、不活性ガスで置換することが可能である。これは、特に、酸化されやすい充填物(21)の場合に推奨される。)
(第14頁第23行?第27行)

カ「Als Fullmedium (21) konnen entweder reine Flussigkeiten oder mit Zusatzen versehene Flussigkeiten verwendet werden. Insbesondere ist an eine Zufuhrung von carbonisierten Fullmedien gedacht. Da das Fullmedium (21) dem Vorformling (1) bzw. dem Behalter (2) unter Druck zugefuhrt wird, beispielsweise mit einem Druck von 10 bar, erweist es sich als zweckmassig, samtliche Stromungswege fur das Fullmedium (21) derart zu gestalten, dass lokale Dekompressionen durch die Stromungsvorgange vermieden werden. Eine lokale oder zeitweilige Dekompression konnte ansonsten zu einem Ausgasen von Kohlendioxid fuhren.」
(純粋な液体または添加物を含む液体を充填物(21)として使用できる。特に、炭酸を含む充填物の供給が想定される。充填物(21)はプリフォーム(1)または容器(2)に、例えば、10バールの圧力で供給されるので、充填物(21)の全ての流路を、流れる過程における局所的な減圧を避けるように構成することは有効だと考えられる。局所的または一時的な減圧は、炭酸ガスが抜けることにつながる恐れもある。)
(第14頁下から4行?第15頁第7行)

キ「Bei der Abfullung von Behaltern (11) mit dem Fullmedium (21) ist es haufig erwunscht, nach einem Verschliessen des Behalters (11) einen gasgefullten Kopfraum bereitzustellen.Dieser freie Kopfraum kann durch die VolumenVerminderung generiert werden, die aus dem Zuruckziehen der Reckstange (17) resultiert.」
(容器(11)に充填物(21)が充填されるとき、容器(11)を閉鎖した後に気体で満たされているヘッドスペースの形成がしばしば予期される。このフリーヘッドスペースは、延伸ロッド(17)の引き戻しに起因する容積の縮小により作成され得る。)
(第16頁第8行?第13行)

ク「Nachfolgend wird beispielhaft ein konkreter Prozessablauf beschrieben. Vor oder nach dem Einsetzen des Vorformlings (2) in die Form (37) erfolgt zunachst ein Gasaustausch im Innenraum des Vorformlings, um insbesondere Sauerstoff zu verdrangen oder den Anteil von Sauerstoff zu vermindern. Ein Vorgang des Spulens und/oder Evakuierens dauert typischerweise hochstens 0,1 Sekunde. Das Recken des Vorformlings (2) unter Verwendung der Reckstange (17) dauert typischerweise etwa 0,2 Sekunden. Ebenfalls ist fur das Fullen und die hieraus resultierende Umformung des Vorformlings (2) in den Behalter (11) ein Zeitraum von etwa 0,2 Sekunden vorgesehen. Fur das anschliessende Schaffen eines Kopfraumes wird typischerweise maximal ein Zeitraum von 0,2 Sekunden benotigt. Der Vorgang des Beruhigens und Entlastens des abgefullten Behalters erfolgt bei stillen Getranken ausserst schnell, bei kohlensaurehaltigen Getranken kann dieser Vorgang einen Zeitraum bis zu 5 Sekunden in Anspruch nehmen.

Eine Behandlung des Kopfraumes kann anschliessend beispielsweise unter Verwendung einer Hochdruckaufschaumung oder einer zudosierung von Stickstoff erfolgen. Das anschliessende Zufuhren einer Verschlusskappe kann bei carbonisierten Getranken einen Zeitraum bis zu 1,5 Sekunden in Anspruch nehmen. Ebenfalls nimmt der Vorgang des Verschliessens bzw. Aufschraubens beispielsweise einen Zeitraum von 1,5 Sekunden in Anspruch.」
(以下では、具体的な処理手順を一例として説明する。プリフォーム(2)を金型(37)に配置する前または後に、特に酸素を置換するためまたは酸素の含有量を減少させるために、最初にプリフォームの内部でガス交換が行われる。すすぎおよび/または排気プロセスは、典型的には、最大で0.1秒かかる。延伸ロッド(17)の使用によるプリフォーム(2)の延伸は、典型的には、約0.2秒続く。さらに、充填とその結果として生じるプリフォーム(2)の容器(11)への変形のために、約0.2秒の時間が提供される。その後のヘッドスペースの提供のために、典型的には0.2秒の最大時間が必要である。充填された容器を落ち着かせ降ろしたりするプロセスは、非炭酸飲料で迅速に行われる。炭酸飲料では、この手順は5秒までの時間がかかることがある。
ヘッドスペースの処理は、引き続いて、例えば、高圧気泡または計量添加された窒素の使用を用いて行うことができる。その後の閉鎖キャップの供給は、炭酸飲料では、最大1.5秒の時間で行うことができる。また、閉鎖またはねじ締めのプロセスは、例えば、最大1.5秒の時間を要する可能性がある。)
(第16頁下から1行?第17頁第24行)

ケ「


(図2)

コ「


(図6)

2 引用発明
引用文献1には、上記記載事項、特に図6に示される実施形態から、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「プリフォーム(2)を金型(37)に配置する前または後に、特に酸素を置換するためまたは酸素の含有量を減少させるために、最初にプリフォームの内部でガス交換が行われ、延伸ロッド(17)の使用によるプリフォーム(2)の延伸が行われ、さらに、充填とその結果として生じるプリフォーム(2)の容器(11)への変形が行われ、その後のヘッドスペースの提供が行われる成形および充填装置であって、
プリフォーム(2)が開口部(5)を有し、
プリフォーム(2)の通気は通気弁(26)を用いて実行でき、通気弁(26)は、プリフォーム(1)と接触している結合手段(28)の流出口(27)の領域に設けられ、延伸ロッド(17)は、結合手段(28)を通して伸びるように配設され、プリフォーム(2)は、結合手段(28)に対して、シール(29)によりシールされ、プリフォーム(2)の内部(30)は、環状隙間(31)を経由して流出口(27)と接続でき、環状隙間(31)は延伸ロッド(17)の一部の領域上を取り囲み、
充填物(21)の絞り弁(22)、および通気弁(26)が、プリフォーム(2)の内部(30)または容器(11)と、延伸ロッド(17)を越えて延びる流路、特に環状隙間(31)により接続され、流出口(27)が、結合手段(28)の放射方向において、絞り弁(22)と接続された供給口(36)の反対側に設けられており、
ヘッドスペースは、延伸ロッド(17)の引き戻しに起因する容積の縮小により作成される、成形および充填装置。」

3 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 本願発明1と引用発明との対比
引用発明の「プリフォーム(2)」は、一端に開口部(5)を有し、また容器への変形のためにも他端が閉鎖していることが明らかであるから、本願発明1の「上端に口筒部(32)を起立設した有底筒状のプリフォーム(31)」に相当する。
引用発明の「金型(37)」は、その中で容器への変形が行われるから、本願発明1の「ブロー成形用の金型(1)」に相当する。
引用発明の「結合手段(28)」は、本願発明1の「ブローノズル(4)」に相当し、引用発明の「プリフォーム(2)は、結合手段(28)に対して、シール(29)によりシールされ」ることは、本願発明1の「プリフォーム(31)を金型(1)に装着した状態で前記口筒部(32)に密に連通するブローノズル(4)を有し」ていることに相当する。
引用発明の「延伸ロッド(17)」は、本願発明1の「ロッド(8)」に相当し、引用発明の「延伸ロッド(17)は、結合手段(28)を通して伸びるように配設され」ることが、本願発明1の「ブローノズル(4)に挿通するようにロッド(8)を配設」することに相当する。
引用発明の「環状隙間(31)は延伸ロッド(17)の一部の領域上を取り囲」むことは、本願発明1の「ブローノズル(4)とロッド(8)で形成される筒状の導入路(Fi)」であることに相当する。
引用発明の「充填物(21)」は、プリフォームを金型に対応した形状の容器に変形する媒体であるから、本願発明1の「加圧液体(L)」に相当する。
引用発明の「延伸ロッド(17)の使用によるプリフォーム(2)の延伸が行われ、さらに、充填とその結果として生じるプリフォーム(2)の容器(11)への変形が行われ」、「充填物(21)の絞り弁(22)が、プリフォーム(2)の内部(30)または容器(11)と、延伸ロッド(17)を越えて延びる流路、特に環状隙間(31)により接続され」ることは、本願発明1の「ロッド(8)の先端部をプリフォーム(31)内に挿入させた状態で、ブローノズル(4)とロッド(8)で形成される筒状の導入路(Fi)を介してプリフォーム(31)内に供給される加圧液体(L)により金型(1)のキャビティに沿って膨張状に容器(41)を賦形する」ことに相当する。
引用発明の「ヘッドスペース」は、本願発明1の「ヘッドスペース(Hs)」に相当し、引用発明の「充填とその結果として生じるプリフォーム(2)の容器(11)への変形が行われ、その後のヘッドスペースの提供が行われ」、「ヘッドスペースは、延伸ロッド(17)の引き戻しに起因する容積の縮小により作成される」ことは、本願発明1の「容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給が停止された状態で前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する構成とし、前記ロッド(8)の先端部の形状及び挿入位置により液体(L)を充填した状態で成形された前記容器(41)におけるヘッドスペース(Hs)を所定の量に制御する」ことに相当する。
引用発明の「流出口(27)」は、結合手段に設けられ、プリフォームの通気を行う通気弁と接続しているから、本願発明1の「ブローノズル(4)の周壁に、」「開閉可能に配設」された「ブローノズル(4)の外部と内部を連通するための通気孔(6b)」に相当する。
引用発明の「成形および充填装置」は、該装置においてプリフォームへの充填物の充填による容器への変形が行われているから、本願発明1の「ブロー成形装置」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、

[一致点]
「上端に口筒部(32)を起立設した有底筒状のプリフォーム(31)のブロー成形装置であって、ブロー成形用の金型(1)と、前記プリフォーム(31)を金型(1)に装着した状態で前記口筒部(32)に密に連通するブローノズル(4)を有し、
前記ブローノズル(4)に挿通するようにロッド(8)を配設し、前記ロッド(8)の先端部を前記プリフォーム(31)内に挿入させた状態で、前記ブローノズル(4)と前記ロッド(8)で形成される筒状の導入路(Fi)を介して前記プリフォーム(31)内に供給される加圧液体(L)により前記金型(1)のキャビティに沿って膨張状に容器(41)を賦形する構成とし、
前記容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給が停止された状態で前記ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する構成とし、前記ロッド(8)の先端部の形状及び挿入位置により液体(L)を充填した状態で成形された前記容器(41)におけるヘッドスペース(Hs)を所定の量に制御する構成とし、
前記ブローノズル(4)の周壁に、該ブローノズル(4)の外部と内部を連通するための通気孔(6b)を開閉可能に配設する、構成としたブロー成形装置。」
である点で一致し、

次の点で相違する。

[相違点]
通気孔の機能について、本願発明は「容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際に、通気孔(6b)を開状態としてブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する」と特定するのに対して、引用発明ではそのような特定がない点。

イ 相違点について
引用文献1には、上記摘示第5 1コに、流出口(27)が接続する通気弁(26)が2ポート単動弁であって、その流れ方向は容器内から外部へ向かう方向とされることが記載されており、該通気弁(26)においては外部から容器内へ空気や液体を供給することはできないから、引用発明の「流出口」は、その名のとおり、気体を「流出」させるための口であって、外部から容器内へ気体等を供給して容器内の減圧状態を緩和するものとはいえない。
そして、引用文献1には、上記流出口を、ヘッドスペースの提供時、すなわち、延伸ロッドの引き戻し時に開かれるものとして、容器内の減圧を緩和するようにする記載および示唆はなく、上記流出口を延伸ロッドの引き戻し時に開かれるものとする動機付けは見いだせない。

一方、引用発明は、「プリフォーム(2)を金型(37)に配置する・・・後に、特に酸素を置換するためまたは酸素の含有量を減少させるために、最初にプリフォームの内部でガス交換が行われ」るものであって、引用文献1には、上記摘示第5 1オに、充填物(21)を導入する前に、プリフォーム(1)内に存在する空気を不活性ガスで置換することが記載され、上記摘示第5 1クに充填、変形の後、ヘッドスペースの提供がなされ、ヘッドスペースの処理は、引き続いて、例えば、高圧気泡または計量添加された窒素の使用を用いて行うことができることが記載されているから、引用発明において、ガス交換のために不活性ガスを供給する供給機構、ヘッドスペースに窒素等を供給する供給機構を、流出口(27)、供給口(36)と同様に、結合手段(28)に設けることまでは示されているといえる。
しかしながら、ガス交換のために不活性ガスを供給する供給機構は、ガス交換に必要な場合にのみ開閉されるとするのが自然であり、ガス交換終了後に閉じられると解されるものであって、該機構は延伸ロッドの引き戻し時に再び開かれるものとはいえず、また、ヘッドスペースに窒素等を供給する供給機構においては、ヘッドスペースの処理は、ヘッドスペースの提供に「引き続いて」行われるものであるから、直前のヘッドスペースの提供時、すなわち、延伸ロッドの引き戻し時に窒素等を供給するために開かれるものとはいえない。
そして、引用文献1には、ガス交換のために不活性ガスを供給する供給機構、ヘッドスペースに窒素等を供給する供給機構のいずれかを、ヘッドスペースの提供時、すなわち、延伸ロッドの引き戻し時に開かれるものとして、容器内の減圧を緩和するようにする記載および示唆はなく、上記2つの供給機構のいずれかを延伸ロッドの引き戻し時に開かれるものとする動機付けは見いだせない。

ウ まとめ
よって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本願発明2ないし5について
本願発明1を直接または間接的に引用する本願発明2ないし5は、本願発明1をさらに限定した発明であるから、本願発明1と同様に、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 原査定について
1 理由2(特許法第29条第1項)について
審判請求時の補正により、第5 3(1)および(2)のとおり、本願発明1ないし5は、少なくとも「容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際に、通気孔(6b)を開状態としてブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する」という事項を有する点で、引用文献1に記載された発明と相違するから、拒絶査定において引用された引用文献1に記載された発明とはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。

2 理由3(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし5は「容器(41)が賦形され、加圧液体(L)の供給を停止した後、ロッド(8)を前記容器(41)内から脱挿入する際に、通気孔(6b)を開状態としてブローノズル(4)の外部と内部を連通状態として、前記ロッド(8)の脱挿入に起因する前記容器(41)内の減圧状態を緩和する」という事項を有するものとなっており、第5 3(1)および(2)のとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1に基いて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由3を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-07-11 
出願番号 特願2012-18599(P2012-18599)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (B29C)
P 1 8・ 121- WY (B29C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大塚 徹▲高▼橋 理絵阿川 寛樹今井 拓也  
特許庁審判長 小柳 健悟
特許庁審判官 守安 智
上坊寺 宏枝
発明の名称 ブロー成形装置及び容器の製造方法  
代理人 杉村 憲司  
代理人 片岡 憲一郎  
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