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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1329884
審判番号 不服2016-10767  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-15 
確定日 2017-07-25 
事件の表示 特願2014-541533「接触制御をアンロックするための接触制御端末、方法及びデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日国際公開、WO2013/166894、平成27年 1月19日国内公表、特表2015-501980、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年4月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年5月8日、中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月21日付けで拒絶理由通知がされ、同年10月28日付けで手続補正がされ、平成28年3月10日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年7月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年1月31日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年5月12日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年3月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1-17に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献A-Cに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A.米国特許出願公開第2010/0257490号明細書
B.特表2009-521753号公報
C.特開2009-123208号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2)本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記(引用例は、末尾の「引用文献等一覧」参照)

理由1について

請求項1?17について引用例1?4

理由2について
本願の特許請求の範囲請求項1には、「前記少なくとも一つのアンロック対象は、複数のアンロック対象を含み」と記載されているが、当該記載では、「アンロック対象」が一つの場合を含むのか否か不明瞭である。
請求項1を引用する請求項2-12についても同様のことが言える。
よって、請求項1-12に係る発明は明確でない。

引 用 文 献 等 一 覧

引用例1:特表2009-521753号公報(拒絶査定時の引用文献B)
引用例2:特開2008-191879号公報(当審において新たに引用した文献)
引用例3:特開2004-118601号公報(当審において新たに引用した文献)
引用例4:米国特許出願公開第2010/0257490号明細書(拒絶査定時の引用文献A)

第4 本願発明
本願請求項1-17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明17」という。)は、平成29年5月12日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1及び本願発明13はそれぞれ以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
接触制御端末により行われる接触制御をアンロックする方法であって、
前記接触制御端末は、複数のアンロック対象と、前記複数のアンロック対象に対応するロック区域が定義された接触感知表面を有し、前記方法は、
前記複数のアンロック対象のいずれかが選択されたか否かを検出するステップと、
前記選択されたアンロック対象を追跡し、選択されなかったアンロック対象を非表示、又は非動作にするステップと、
前記選択されたアンロック対象を幾何学的な中心として、前記選択されたアンロック対象に対応するロック区域を表示するステップと、
前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の外側にある複数のアンロック位置のいずれかに位置するとき、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするステップと、
を有し、
それぞれのアンロック対象は、前記接触制御端末の特定の機能に対応し、少なくとも前記特定の機能のための接触制御をアンロックすることが操作可能である方法。」
「【請求項13】
接触制御端末の接触制御をアンロックするためのデバイスであって、
アンロックしようとする機能に対応する複数のアンロック対象、及びアンロック対象にそれぞれ対応し前記アンロック対象を幾何学的な中心とするロック区域を認識するために配置される対応認識ユニットと、
前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の間の位置関係を確定し、前記位置関係は、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の縁の内側に位置する第1の関係、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の前記縁に位置する第2の関係、前記対応するアンロック対象が前記ロック区域の前記縁の外側に位置する第3の関係のうちの一つである位置相関ユニットと、
前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の前記位置関係が第3の関係を満たす場合に、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするために配置される接触制御アンロックユニットと、
前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、選択されなかったアンロック対象を非表示又は非作動にする状態設定ユニットと
を有するデバイス。」

そして、本願発明2-12は、本願発明1を直接又は間接的に引用する発明であり、本願発明14-16は、本願発明13を直接又は間接的に引用する発明であり、本願発明17は、本願発明13-16のデバイスを有する接触制御端末である。

第5 引用例、引用発明等
1.引用例1について
平成29年1月31日付けの拒絶の理由に引用された引用例1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「【0009】
いくつかの実施形態では、タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法は、機器がユーザインタフェースロック状態にある間にタッチセンシティブディスプレイ上に画像を表示するステップと、タッチセンシティブディスプレイとの接触を感知するステップと、感知した接触が、タッチセンシティブディスプレイ上の所定の位置に画像を動かすことに対応する場合は、機器をユーザインタフェースアンロック状態へ移行させるステップと、感知した接触が、所定の位置に画像を動かすことに対応しない場合は、機器をユーザインタフェースロック状態に保持するステップとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法は、機器がユーザインタフェースロック状態にある間にタッチセンシティブディスプレイ上に画像を表示するステップと、タッチセンシティブディスプレイとの接触を感知するステップと、感知した接触が、タッチセンシティブディスプレイ上の所定の経路に従ってタッチセンシティブディスプレイ上の画像を動かすことに対応する場合は、機器をユーザインタフェースアンロック状態へ移行させるステップと、感知した接触が、所定の経路に従って画像を動かすことに対応しない場合は、機器をユーザインタフェースロック状態に保持するステップとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法は、機器がユーザインタフェースロック状態にある間にタッチセンシティブディスプレイ上に第1及び第2の画像を表示するステップと、タッチセンシティブディスプレイとの接触を感知するステップと、感知した接触が、第1の画像に対する所定のジェスチャに対応する場合は、機器を第1の画像に対応する第1のアクティブ状態へ移行させるステップと、感知した接触が、第2の画像に対する所定のジェスチャに対応する場合は、機器を第1のアクティブ状態とは異なる第2のアクティブ状態へ移行させるステップとを含む。
【0012】
上述の方法は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)と、1又はそれ以上のプロセッサと、メモリ及び1又はそれ以上のモジュールと、これらの方法を実行するためにメモリに記憶されたプログラム又は命令のセットを備えたタッチセンシティブディスプレイとを有する携帯用電子機器によって実行することができる。いくつかの実施形態では、この携帯用電子機器は、無線通信を含む複数の機能を提供する。」(【0009】?【0012】の記載。下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「【0023】
タッチスクリーン126は、機器とユーザとの間に出力インタフェースと入力インタフェースとの両方を提供する。タッチスクリーンコントローラ122は、タッチスクリーン126との間で電気信号を送受信する。タッチスクリーン126は、視覚的な出力をユーザに表示する。この視覚的な出力は、テキスト、グラフィック、ビデオ、及びこれらの任意の組合せを含むことができる。視覚的な出力のいくつか又は全ては、ユーザインタフェースオブジェクトに対応することができ、これについてのさらなる詳細を以下に説明する。
【0024】
タッチスクリーン126はまた、触覚及び/又は触感のある接触に基づいてユーザからの入力も受け入れる。タッチスクリーン126は、ユーザ入力を受け入れるタッチセンシティブな表面を形成する。」(【0023】?【0024】の記載。)

c)「【0044】
いくつかの実施形態では、ロックされた機器は、ユーザが機器をアンロックするために実行できるアンロックアクションについての1又はそれ以上の視覚的な合図をタッチスクリーン上に表示する(204)。この(単複の)視覚的な合図は、ユーザにアンロックアクションについてのヒント又は助言を提供するものである。この視覚的な合図は、テキスト、グラフィック、又はこれらの任意の組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、機器がロックされている間の特定イベントの発生時にこの視覚的な合図が表示される。視覚的な合図の表示をトリガするこの特定イベントは、着呼、着信メッセージ、又はユーザの対応を要する何らかの他のイベントを含むことができる。いくつかの実施形態では、この視覚的な合図はまた、ユーザがメニューボタンを用いて交信したり、ユーザがロックされたタッチスクリーンに触れたり、及び/又はユーザが任意の他の入力/制御装置を用いて交信したりしたときなどの特定のユーザ入力時に表示される。視覚的な合図を表示していないとき、ロックされた機器は、タッチスクリーンの電源を切る(電力の節約になる)か、或いはスクリーンセーバ又は(電池の充電残量、日付及び時間、ネットワーク強度などの)ユーザにとって関心のある情報などの他のオブジェクトをタッチスクリーン上に表示することができる。
【0045】
アンロックアクションにはタッチスクリーンとの接触が含まれる。いくつかの実施形態では、アンロックアクションは、タッチスクリーン上で行われる所定のジェスチャとなる。本明細書で使用されるジェスチャとは、タッチスクリーンに接触するオブジェクト/付属物の動きのことである。例えばこの所定のジェスチャは、(ジェスチャを初期化するための)タッチスクリーンの左端における接触、タッチスクリーンとの持続的な接触を維持しながら接触ポイントを反対側の端へ水平方向に動かす動き、及び(ジェスチャを終わらせるための)反対側の端における接触の中断を含むことができる。」(【0044】?【0045】の記載。)

d)「【0052】
機器がロックされている間、機器は、上述のようにアンロックアクションについての1又はそれ以上の視覚的な合図を表示することができる。いくつかの実施形態では、機器はまた、視覚的な合図と共にアンロック画像を表示することができる。アンロック画像とは、ユーザが機器をアンロックするために交信するグラフィカルでインタラクティブなユーザインタフェースオブジェクトのことである。換言すれば、アンロックアクションはアンロック画像に対して行われる。いくつかの実施形態では、画像に対してアンロックアクションを行うステップは、アンロック画像を所定の方法でドラッグし、タッチスクリーンを横切ってこのアンロック画像を動かすステップを含む。いくつかの実施形態では、アンロックアクションが完了していない場合、GUIディスプレイは、アンロック画像をロックされた状態の位置に徐々に戻すことにより、ロックされた状態に向けて逆に進行していることを示すことができる。

中略

【0055】
機器は、動作202(図2)の場合と同様に、ロック条件を満たした時にロックされる(302)。アンロック画像及びこのアンロック画像を用いたアンロックアクションについての視覚的な合図が表示される(304)。動作304は、動作304では視覚的な合図に加えてアンロック画像が表示されるという点を除き、動作204(図2)と同じである。
【0056】
上述のように、アンロックアクションにはアンロック画像との交信が含まれる。いくつかの実施形態では、アンロックアクションは、ユーザがアンロック画像に対して所定のジェスチャを行うステップを含む。いくつかの実施形態では、このジェスチャは、1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置にアンロック画像をドラッグするステップを含む。換言すれば、ユーザは、アンロック画像に対応する位置でタッチスクリーンに接触し、次にタッチスクリーンとの持続的な接触を維持しながら所定のジェスチャを行い、所定のアンロック基準を満たす位置に画像をドラッグすることになる。いくつかの実施形態では、このアンロックアクションは、所定のジェスチャの完了時にタッチスクリーンとの接触を中断する(従ってアンロック画像を放す)ことにより完了する。
【0057】
1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たす位置とは、単に、機器をアンロックするためにアンロック画像がドラッグされる位置として事前に定めたタッチスクリーン上のある位置のことである。この(単複の)位置は、狭く又は広く定めることができ、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の特定の位置、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の領域、或いはこれらの任意の組合せとすることができる。例えばこの位置は、特定のマーク付けされた位置、タッチスクリーンの4つの角の各々におけるエリア、或いはタッチスクリーンの1象限等として定めることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、上記交信は、アンロック画像をタッチスクリーン上の所定の位置にドラッグするステップを含む。例えば、アンロックアクションは、タッチスクリーンの1つの角からタッチスクリーンの別の角にアンロック画像をドラッグするステップを含むことができる。別の例として、アンロックアクションは、タッチスクリーンの1つの端からその反対側の端にアンロック画像をドラッグするステップを含むことができる。ここでの重点は、アンロック画像の(及び指の)最終目的地に置かれている。従ってユーザは、任意の望ましい経路に沿ってアンロック画像をその初期位置からドラッグすることができる。アンロック画像が所定の位置に達し、その位置で放されさえすれば、機器はアンロックされる。この所定の位置は、前述の通り狭く又は広く定めることができ、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の特定の位置、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の領域、或いはこれらの任意の組合せとすることができることを理解されたい。
【0059】
いくつかの別の実施形態では、このアンロックアクションは、所定の経路に沿ってアンロック画像をドラッグするステップを含む。例えば、このアンロックアクションは、角の1つからタッチスクリーンの周囲(タッチスクリーンの周囲に存在する経路)に沿ってアンロック画像を時計周りに元の位置へドラッグするステップを含むことができる。別の例として、このアンロックアクションは、タッチスクリーンの1つの端からその反対側の端に直線経路でアンロック画像をドラッグするステップを含むことができる。ここでの重点は、アンロック画像(及び指)が沿って動く経路に置かれている。重点が経路に置かれるため、アンロック画像が動かされる最終的な位置を広く定めることができる。例えば、このアンロックアクションは、その初期位置から所定の経路に沿ってタッチスクリーン上の所定の領域内の任意のスポットへアンロック画像をドラッグすることとすることができる。この所定の経路は、1又はそれ以上の直線、或いは曲がりくねった線を含むことができる。」(【0052】?【0059】の記載。)

e)「【0069】
いくつかの実施形態では、ロック/アンロック機能を機器400全体に適用するのではなく、機器400で実行されている特定のアプリケーションに適用することができる。いくつかの実施形態では、アンロックジェスチャは、1つのアプリケーションから他のアプリケーションへ、例えば電話アプリケーションから音楽プレイヤへ、或いはその逆へと移行する。ロック/アンロック機能は、ホールド機能又はポーズ機能を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザが第1のアプリケーションから第2のアプリケーションへ移行する場合、第2のアプリケーション用のユーザインタフェースがフェードインし(すなわち強度が増加し)、第1のアプリケーション用のユーザインタフェースがフェードアウトする(すなわち強度が減少する)ようにすることができる。このフェードイン及びフェードアウトは、0.2秒、1秒、又は2秒などの所定の時間間隔に渡ってスムーズに行うことができる。この所定の時間間隔は、ユーザがジェスチャを行うのにかかる時間などのアンロックジェスチャに従うものとすることができる。」(【0069】の記載。)

f)「【0089】
イベント又はアプリケーションに対応するユーザインタフェースアクティブ状態
図9は、本発明のいくつかの実施形態による複数のアンロック画像のうちの1つに対応するユーザインタフェースアクティブ状態に機器を移行させるための処理900を示すフロー図である。いくつかの実施形態では、機器がロックされたとき、機器は1又はそれ以上のアクティブなアプリケーションを実行させることができる。さらに、ロックされている間、機器は、着呼、メッセージ、ボイスメール通知などのイベントを受信し続けることができる。機器は、各々がアクティブなアプリケーション又は着信イベントに対応する複数のアンロック画像をタッチスクリーン上に表示することができる。複数のアンロック画像のうちの1つを用いてアンロックアクションを行うことで、機器をアンロックし、このアンロック画像に対応するアプリケーション及び/又はイベントを表示する。本明細書で使用されるユーザインタフェースアクティブ状態とは、機器がアンロックされ、対応するアプリケーション又はイベントがタッチスクリーン上でユーザに対して表示されている状態を意味する。以下に説明する処理フロー900は、特定の順序で行われるように見える多くの動作を含んでいるが、これらの処理はそれより多くの数の又はそれより少ない数の動作を含むことができ、それらの動作を連続して或いは並行して(例えば並行プロセッサ又はマルチスレッドな環境を使用して)実行できることは明らかである。
【0090】
機器は、所定のロック条件を満たした時にロックされる(902)。機器は、ロックされている時に、アクティブなアプリケーションを実行させることができ、機器がロックされている間、このアクティブなアプリケーションを実行し続けることができる。さらに、機器がロックされている間、この機器は、着呼、メッセージ、及びボイスメール通知などのイベントを受信することができる。
【0091】
機器がロックされている間、この機器は、各々が実行中のアクティブなアプリケーション又は受信したイベントに対応する複数のアンロック画像を表示する(904)。いくつかの実施形態では、機器はまた、個々のアンロック画像に対するアンロックアクションについての視覚的な合図も表示する。機器は、追加のイベントを受信したときに、追加のアンロック画像及び視覚的な合図を表示することができる。ユーザがタッチスクリーンに触れる(906)。機器が接触ジェスチャを感知する(908)。感知した接触ジェスチャが、(例えば、この接触が、アンロックアクションを行うための試行ではないか、或いは失敗/中止したアンロックアクションであるという理由で)表示されたアンロック画像のうちの任意の1つに対する正常なアンロックアクションの動作に対応しない場合(910-いいえ)、機器はロックされたままとなる(912)。感知した接触ジェスチャが、表示されたアンロック画像のうちの1つに対する正常なアンロックアクションの動作に対応する場合(910-はい)、タッチスクリーンはアンロックされ、このアンロック画像のうちの1つに対応する実行中のアプリケーション又はイベントがタッチスクリーンに表示される(914)。換言すれば、感知した接触が第1の画像に対する所定のジェスチャに対応する場合、機器は第1の画像に対応する第1のアクティブ状態へ移行し、感知した接触が、第2の画像に対する所定のジェスチャに対応する場合、機器は、第1のアクティブ状態とは異なる第2の画像に対応する第2のアクティブ状態へ移行することになる。
【0092】
特定のアンロック画像に対するアンロックアクションの動作時に、機器はアンロック状態となり、対応するイベント又はアプリケーションをユーザに見えるようにし、アクティブにし、或いはバックグラウンドで実行するのではなくフォアグラウンドで実行するようにする。機器がアンロックされることに加え、ユーザインタフェースアクティブ状態は、ユーザが交信した特定のアンロック画像に対応する実行中のアプリケーション又は着信イベントをタッチスクリーン上に目立つように表示するステップを含む。従って、(複数のアンロック画像が表示される場合)第1のアンロック画像を用いたアンロッキングは、機器を第1のユーザインタフェースアクティブ状態へ移行させ、この状態では機器がアンロックされ、第1のアンロック画像に対応するアプリケーション/イベントが目立つように表示されるようになる。第2の画像を用いたアンロッキングは、機器を第2のユーザインタフェースアクティブ状態へ移行させ、この状態では機器がアンロックされ、第2のアンロック画像に対応するアプリケーション/イベントが目立つように表示されるようになる。」(【0089】?【0092】の記載。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用例1には、タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法は、機器がユーザインタフェースロック状態にある間にタッチセンシティブディスプレイ上に画像を表示するステップと、タッチセンシティブディスプレイとの接触を感知するステップと、感知した接触が、タッチセンシティブディスプレイ上の所定の位置に画像を動かすことに対応する場合は、機器をユーザインタフェースアンロック状態へ移行させるステップとを含むものであり、
機器がユーザインタフェースロック状態にある間にタッチセンシティブディスプレイ上に第1及び第2の画像を表示するステップと、タッチセンシティブディスプレイとの接触を感知するステップと、感知した接触が、第1の画像に対する所定のジェスチャに対応する場合は、機器を第1の画像に対応する第1のアクティブ状態へ移行させるステップと、感知した接触が、第2の画像に対する所定のジェスチャに対応する場合は、機器を第1のアクティブ状態とは異なる第2のアクティブ状態へ移行させるステップとを含み、
タッチスクリーン126は、機器とユーザとの間に出力インタフェースと入力インタフェースとの両方を提供し、タッチスクリーン126は、視覚的な出力をユーザに表示し、タッチスクリーン126はまた、触覚及び/又は触感のある接触に基づいてユーザからの入力も受け入れ、タッチスクリーン126は、ユーザ入力を受け入れるタッチセンシティブな表面を形成するものであり、
ロックされた機器は、ユーザが機器をアンロックするために実行できるアンロックアクションについての1又はそれ以上の視覚的な合図をタッチスクリーン上に表示し、この(単複の)視覚的な合図は、ユーザにアンロックアクションについてのヒント又は助言を提供するものであり、機器がロックされている間の特定イベントの発生時にこの視覚的な合図が表示され、
アンロックアクションは、タッチスクリーン上で行われる所定のジェスチャであり、ジェスチャとは、タッチスクリーンに接触するオブジェクト/付属物の動きのことであり、
また、視覚的な合図と共にアンロック画像を表示することができ、アンロック画像とは、ユーザが機器をアンロックするために交信するグラフィカルでインタラクティブなユーザインタフェースオブジェクトのことであり、アンロックアクションはアンロック画像に対して行われ、
アンロックアクションは、ユーザがアンロック画像に対して所定のジェスチャを行うステップを含み、このジェスチャは、1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置にアンロック画像をドラッグするステップを含み、換言すれば、ユーザは、アンロック画像に対応する位置でタッチスクリーンに接触し、次にタッチスクリーンとの持続的な接触を維持しながら所定のジェスチャを行い、所定のアンロック基準を満たす位置に画像をドラッグすることになり、このアンロックアクションは、所定のジェスチャの完了時にタッチスクリーンとの接触を中断する(従ってアンロック画像を放す)ことにより完了し、
1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たす位置とは、単に、機器をアンロックするためにアンロック画像がドラッグされる位置として事前に定めたタッチスクリーン上のある位置のことであり、この(単複の)位置は、狭く又は広く定めることができ、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の特定の位置、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の領域、或いはこれらの任意の組合せとすることができ、
ユーザは、任意の望ましい経路に沿ってアンロック画像をその初期位置からドラッグすることができ、アンロック画像が所定の位置に達し、その位置で放されさえすれば、機器はアンロックされるものであり、
ロック/アンロック機能を機器400全体に適用するのではなく、機器400で実行されている特定のアプリケーションに適用することができ、
いくつかの実施形態では、機器がロックされたとき、機器は1又はそれ以上のアクティブなアプリケーションを実行させることができ、
機器は、各々がアクティブなアプリケーションに対応する複数のアンロック画像をタッチスクリーン上に表示することができ、複数のアンロック画像のうちの1つを用いてアンロックアクションを行うことで、機器をアンロックし、このアンロック画像に対応するアプリケーションを表示するものであり、
第1のアンロック画像を用いたアンロッキングは、機器を第1のユーザインタフェースアクティブ状態へ移行させ、この状態では機器がアンロックされ、第1のアンロック画像に対応するアプリケーションが目立つように表示されるようになり、
第2の画像を用いたアンロッキングは、機器を第2のユーザインタフェースアクティブ状態へ移行させ、この状態では機器がアンロックされ、第2のアンロック画像に対応するアプリケーションが目立つように表示されるようになるものである
タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法。」

また、引用例1の【0012】の記載によれば、引用例1には、「『引用発明』を実行する、タッチセンシティブディスプレイを有する携帯用電子機器」の発明(以下、「引用発明2」という。)も記載されている。

2.引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「【0211】
すなわち、ユーザは、画面401aを見ればすぐに、取得したホームページにおいて、コンテンツ、プログラム、およびマニュアルが入手可能であることが直感的にわかる。
【0212】
また、図3(b)は、図3(a)の画面401aから1ステップ進んだ画面401bを示す。詳細には、図3(a)の画面401aを見た(すなわち、このホームページを訪れた)ユーザが、情報表示装置100に備えられた入力装置104などを用いてコンテンツのアイコン402aを選択することにより、コンテンツのアイコン402b以外のプログラムのアイコン403bおよびマニュアルのアイコン404bが、非選択状態に切り替わった場合を示す。
【0213】
この場合、情報表示装置100は、非選択状態を示すために、プログラムのアイコン403bとマニュアルのアイコン404bの背景色をグレーで表示している。また、この他にも非選択状態を示す表示例として、非選択アイコンを消してしまう、非選択アイコンを後ろの画面に透過させて(目立たなくして)表示する、または、選択アイコンを大きく表示し、かつ、非選択アイコンを小さく表示する、などが考えられる。」(【0211】?【0213】の記載。)

3.引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例3には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「【0024】
次に、前記の手順でリモコン20の選択確定操作がなされると、ホームサーバ1はその項目選択信号をリモコン受光部15で受信し、次の2つの手順を並行して実行する。
先ず、フォトアルバムの項目アイコン33が選択されたとすると、ウインドウR0内のそれ以外の項目アイコン31,32,34を消去する(S13,S14)。
そして、項目アイコン33を視認可能な時間をかけて画面の右上隅へ移動させる(S14→S15)。
即ち、図5に示すように、項目アイコン31,32,34が消去されたウインドウR0内で、項目アイコン33をその初期位置Asから位置A1,A2を経て右上隅の最終位置Afへ除々に移動させる。」(【0024】の記載。)

4.引用例4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用例4には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a)「[0056]In one embodiment, an indicator is displayed to inform the user that device 400 is locked. For example, in FIG. 4A , a padlock icon is shown as part of movable user interface object 403 . In the example, movable object 403 is shown at an initial location referred to herein as its "origin". In various embodiments, movable object 403 can take any form and can include an icon, text, image, or any combination thereof, and can be of any desired shape or size.
[0057]One skilled in the art will recognize that any type of indicator can be used, including one or more icons, text, status indicators (such as LED indicators), or the like. In some embodiments, audio and/or tactile indicators can also be used to inform the user that device 400 is locked; for example, device 400 may emit a distinctive beep or other sound when the user attempts to interact with device 400 while it is locked.
[0058]In one embodiment, movable object 403 responds to the user's touch, so that the user can drag object 403 in any desired direction on screen 401 . Such functionality can be implemented, for example, using known techniques for touchscreen operation. Alternatively, object 403 may move in response to the user's input via other input means, such as a touchpad, trackball, or the like.
[0059]In one embodiment, device 400 is unlocked when object 403 moves a sufficient distance away from its origin. In one embodiment, the particular direction of movement is irrelevant. In another embodiment, the direction of movement of object 403 is constrained, for example by the edge of screen 401 ; thus, device 400 is unlocked when object 403 moves a sufficient distance away from its origin in a direction that falls within a defined range of directions.
[0060]In yet another embodiment, device 400 is unlocked when object 403 moves far enough from its origin to touch or cross a threshold boundary. The threshold boundary may or not be explicitly shown on device 400 . In one embodiment, the threshold boundary is shown on-screen in response to user contact with screen 401 or in response to detection of user input moving object 403, and the threshold boundary is not shown on-screen when the user releases object 403 by ending contact with screen 401 .
[0061]In various embodiments, the threshold boundary may be defined as a circle surrounding the origin, or an arc defining a portion of a circle surrounding the origin, or a straight line. Alternatively, the threshold boundary may be defined by any other arbitrary means.
[0062]Referring now to FIGS. 4B and 4C , there is shown an example of an unlocking mechanism according to one embodiment of the present invention, wherein a threshold boundary 404 is defined as an arc partially surrounding the origin point of movable object 403 . FIG. 4B depicts an example of screen 401 when the user initiates contact or movement of object 403 ; FIG. 4C depicts an example of screen 401 after the user has begun to drag object 403 upward toward threshold boundary 404 .
[0063]As depicted in FIGS. 4B and 4C , in one embodiment threshold boundary 404 becomes visible when the user starts to drag object 403 ; if the user releases object 403 before completing the unlock operation, threshold boundary 404 disappears from screen 401 and object 403 returns to its origin. Alternatively, threshold boundary 404 may be visible at all times. Alternatively, threshold boundary 404 may not be visible at all.」([0056]?[0063]の記載。)
(当審訳:[0056]一実施形態では、装置400がロックされていることをユーザに知らせるために、インジケータが表示される。例えば、図4Aにおいては、移動可能なユーザインターフェースオブジェクト403の一部として、南京錠アイコンが示される。例としては、移動可能なオブジェクト403は、本明細書では、その「原点」として言及される初期位置に示される。様々な実施形態では、移動可能なオブジェクト403は、任意の形態をとることができ、また、アイコン、テキスト、画像、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができ、また、あらゆる所望の形状又は寸法とすることができる。
[0057]当業者は、1つまたは複数のアイコン、テキスト、状態インジケータ(LED表示器のような)、またはそのようなものを含む、任意のタイプのインジケータを使用することができることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、音声及び/又は触覚的インジケータがまた、装置400がロックされていることをユーザに知らせるために用いることができ、例えば、それがロックされている間に、ユーザが装置400と対話しようと試みる場合に、装置400は、特徴的なビープ音または他の音を発することができる。
[0058]一実施形態では、ユーザが、画面401上の任意の所望の方向にオブジェクト403をドラッグすることができるように、移動可能なオブジェクト403は、ユーザのタッチに応答する。そのような機能は、例えば、タッチパネル操作のための既知の技術を用いて実行することができる。あるいは、タッチパッド、トラックボール等のような他の入力手段を介するユーザの入力に応答して、オブジェクト403は移動することができる。
[0059]一実施形態では、オブジェクト403がその原点から十分な距離を移動すると、装置400のロックは解除される。一実施形態では、移動の特定の方向は無関係である。別の実施形態では、例えば画面401の縁によって、オブジェクト403の移動方向は制約されているので、オブジェクト403が、規定される範囲の方向内に収まる方向に、原点から十分な距離を移動したとき、装置400のロックが解除される。
[0060]さらに別の実施形態では、オブジェクト403が、閾値境界に接触又は交差するまで、その原点から十分遠くに移動すると、装置400のロックが解除される。閾値境界は、装置400に明示的に示すことができ、または、示されない。一実施形態では、スクリーン401とのユーザの接触に応答して、または、オブジェクト403を移動させるユーザの入力の検出に応答して、閾値境界は画面上に示されており、そして、スクリーン401との接触を終了することによって、ユーザがオブジェクト403を離すと、閾値境界は画面上に示されない。
[0061]様々な実施形態において、閾値境界は、原点を囲む円、または、原点を囲む円の一部を規定する円弧、または、直線として定義することができる。あるいは、閾値境界は、任意の他の任意の手段によって定義することができる。
[0062]図4Bおよび図4Cを参照して、本発明の一実施形態に係るロック解除機構の例が示され、そこで、移動可能なオブジェクト403の原点を部分的に囲む円弧として、閾値境界404は定義されている。
図4Bは、ユーザがオブジェクト403への接触や移動を開始するときの画面401の一例を示す。図4Cは、ユーザがオブジェクト403を閾値境界404に向かって上方にドラッグを開始した後の画面401の一例を示す。
[0063]図4Bおよび図4Cに示されるように、一実施形態では、ユーザがオブジェクト403をドラッグすることを開始すると、閾値境界404が見えるようになる。もし、ユーザがアンロック操作を完了する前にオブジェクト403を離すと、閾値境界404は画面401から消え、また、オブジェクト403はその原点に戻る。あるいは、閾値境界404は、常に、見ることができる。あるいは、閾値境界404は全く見えなくてもよい。)

b)「[0067]In one embodiment, once object 403 crosses threshold boundary 404, or otherwise moves a sufficient distance from the origin, device 400 is unlocked and the user is given access to various features and/or functions of device 400. In one embodiment, distinctive visual, auditory, and/or tactile feedback is provided to inform the user that device 400 has been unlocked. In one embodiment, device 400 is unlocked in response to any part of object 403 touching threshold boundary 404 ; in another embodiment, device 400 is unlocked when object 403 fully crosses threshold boundary 404 ; in yet another embodiment, device 400 is unlocked when object 403 substantially crosses threshold boundary 404.
[0068]In one embodiment, if the user releases movable object 403 before crossing threshold boundary 404, or before moving object 403 a sufficient distance from the origin, device 400 remains in its locked state. In one embodiment, object 403 returns to its origin. In one embodiment, distinctive visual, auditory, and/or tactile feedback is provided to inform the user that device 400 is still locked.」([0067]?[0068]の記載。)
(当審訳:[0067]一実施形態では、オブジェクト403が閾値境界404と交差する時点か、そうでなければ、原点から十分な距離を移動する時点で、装置400がロック解除され、そして、ユーザは、装置400の様々な特徴および/または機能へのアクセス権が与えられる。一実施形態では、区別可能な視覚、聴覚および/または触覚フィードバックが、装置400のロックが解除されたことをユーザに通知するために設けられる。一実施形態において、オブジェクト403のいずれかの部分が閾値境界404に接触することに応答して、装置400は、ロック解除され、別の実施形態では、オブジェクト403が閾値境界404と完全に交差する時に、装置400は、ロック解除され、さらに別の実施形態において、オブジェクト403が閾値境界404と実質的に交差する時に、装置400は、ロック解除される。
[0068]一実施形態において、もし、ユーザが、閾値境界404と交差する前に、または、原点から十分な距離をオブジェクト403が移動する前に、移動可能なオブジェクト403を離すと、装置400は、ロック状態のままとなる。一実施形態では、オブジェクト403は、その原点に戻る。一実施形態では、区別可能な視覚、聴覚および/または触覚フィードバックは、装置400がまだロックされていることをユーザに通知するために設けられる。)

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用例4には、「装置400がロックされていることをユーザに知らせるために、インジケータが、例えば、移動可能なユーザインターフェースオブジェクト403の一部として、南京錠アイコンが示され、
移動可能なオブジェクト403は、その「原点」として言及される初期位置に示され、
ユーザが、画面401上の任意の所望の方向にオブジェクト403をドラッグすることができるように、移動可能なオブジェクト403は、ユーザのタッチに応答し、
スクリーン401とのユーザの接触に応答して、または、オブジェクト403を移動させるユーザの入力の検出に応答して、閾値境界は画面上に示され、
移動可能なオブジェクト403の原点を部分的に囲む円弧として、閾値境界404は定義され、
オブジェクト403が閾値境界404と完全に交差する時に、装置400は、ロック解除される」技術(以下、「引用例4記載の技術」という。)が記載されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明の「タッチセンシティブディスプレイを備えた機器を制御する方法」は、「機器をユーザインタフェースアンロック状態へ移行させるステップとを含む」ものであるから、本願発明1の「接触制御端末により行われる接触制御をアンロックする方法」に相当する。

イ.引用発明の「アンロック画像」は、「ユーザが機器をアンロックするために交信するグラフィカルでインタラクティブなユーザインタフェースオブジェクト」であるから、本願発明1の「アンロック対象」に相当する。
そして、引用発明は、「各々がアクティブなアプリケーションに対応する複数のアンロック画像をタッチスクリーン上に表示することができ」るものであるから、引用発明の「タッチスクリーン」を備えた「タッチセンシティブディスプレイを備えた機器」は、本願発明1の「接触制御端末」と、「前記接触制御端末は、複数のアンロック対象」「が定義された接触感知表面を有」する点で一致するといえる。
また、引用発明は、「アンロックアクションは、ユーザがアンロック画像に対して所定のジェスチャを行うステップを含み、このジェスチャは、1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置にアンロック画像をドラッグするステップ」を含むものであり、「1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たす位置とは、単に、機器をアンロックするためにアンロック画像がドラッグされる位置として事前に定めたタッチスクリーン上のある位置のことであり、この(単複の)位置は、狭く又は広く定めることができ、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の特定の位置、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の領域」であるから、引用発明の「タッチスクリーン」には、「アンロック画像」をドラッグすることによりアンロックを行う領域が定義されているといえる。
ここで、「アンロック画像」をドラッグすることによりアンロックを行う領域以外の領域は、「アンロック画像」をドラッグしてもロックされたままの領域であるから、引用発明の「タッチスクリーン」には、「アンロック画像」をドラッグしてもロックされたままの領域が定義されているともいい得、引用発明は、「各々がアクティブなアプリケーションに対応する複数のアンロック画像をタッチスクリーン上に表示することができ」るものであることを考慮すれば、当該ロックされたままの領域は、複数のアンロック画像に対応して定義されているといえる。
そして、引用発明の当該ロックされたままの領域は、本願発明1の「アンロック対象に対応するロック区域」に相当し、引用発明の「タッチスクリーン」を備えた「タッチセンシティブディスプレイを備えた機器」は、本願発明1の「接触制御端末」と、「前記接触制御端末は、」「前記複数のアンロック対象に対応するロック区域が定義された接触感知表面を有」する点で一致するといえる。
したがって、引用発明の「タッチスクリーン」を備えた「タッチセンシティブディスプレイを備えた機器」は、本願発明1の「接触制御端末」と、「前記接触制御端末は、複数のアンロック対象と、前記複数のアンロック対象に対応するロック区域が定義された接触感知表面を有」する点で一致するといえる。

ウ.引用発明は「各々がアクティブなアプリケーションに対応する複数のアンロック画像をタッチスクリーン上に表示することができ、複数のアンロック画像のうちの1つを用いてアンロックアクションを行うことで、機器をアンロックし、このアンロック画像に対応するアプリケーションを表示するもの」であるから、いずれの「アンロック画像」が選択されたのかを検出していることは明らかであり、本願発明1の「前記複数のアンロック対象のいずれかが選択されたか否かを検出するステップ」に相当する構成を有しているといえる。

エ.引用発明は「アンロック画像をその初期位置からドラッグすることができ、アンロック画像が所定の位置に達し、その位置で放されさえすれば、機器はアンロックされるもの」であるから、ドラッグされる「アンロック画像」を追跡しているのは明らかであり、引用発明は、本願発明1の「前記選択されたアンロック対象を追跡し、選択されなかったアンロック対象を非表示、又は非動作にするステップ」を有する構成と「前記選択されたアンロック対象を追跡するステップ」を有する構成である点では共通する構成を有するといえる。

オ.引用発明の「アンロックアクション」は「ユーザが機器をアンロックするために実行」するものであり、また、引用発明は、「アンロックアクションは、ユーザがアンロック画像に対して所定のジェスチャを行うステップを含み、このジェスチャは、1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置にアンロック画像をドラッグするステップ」を有し、「複数のアンロック画像のうちの1つを用いてアンロックアクションを行うことで、機器をアンロックし、このアンロック画像に対応するアプリケーションを表示する」ものである。
そして、引用発明の「アンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置」は、上記イ.の「アンロック画像」をドラッグしてもロックされたままの領域、すなわち、ロック区域ともいい得る領域の外にあることは明らかであるから、引用発明は、本願発明1の「前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の外側にある複数のアンロック位置のいずれかに位置するとき、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするステップ」を有する構成と「前記選択されたアンロック対象が対応するロック区域の外側にある複数のアンロック位置のいずれかに位置するとき、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするステップ」を有する構成である点では共通する構成を有するといえる。

カ.引用発明は「第1のアンロック画像を用いたアンロッキングは、機器を第1のユーザインタフェースアクティブ状態へ移行させ、この状態では機器がアンロックされ、第1のアンロック画像に対応するアプリケーションが目立つように表示されるようになり、
第2の画像を用いたアンロッキングは、機器を第2のユーザインタフェースアクティブ状態へ移行させ、この状態では機器がアンロックされ、第2のアンロック画像に対応するアプリケーションが目立つように表示されるようになるもの」であることは、本願発明1の「それぞれのアンロック対象は、前記接触制御端末の特定の機能に対応し、少なくとも前記特定の機能のための接触制御をアンロックすることが操作可能」であることに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点と相違点があるといえる。

〈一致点〉
「接触制御端末により行われる接触制御をアンロックする方法であって、
前記接触制御端末は、複数のアンロック対象と、前記複数のアンロック対象に対応するロック区域が定義された接触感知表面を有し、前記方法は、
前記複数のアンロック対象のいずれかが選択されたか否かを検出するステップと、
前記選択されたアンロック対象を追跡するステップと、
前記選択されたアンロック対象が対応するロック区域の外側にある複数のアンロック位置のいずれかに位置するとき、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするステップと、
を有し、
それぞれのアンロック対象は、前記接触制御端末の特定の機能に対応し、少なくとも前記特定の機能のための接触制御をアンロックすることが操作可能である方法。」

〈相違点1〉
本願発明1は、「前記選択されたアンロック対象を追跡し、選択されなかったアンロック対象を非表示、又は非動作にするステップ」を有するものであるのに対し、引用発明は、ドラッグされる「アンロック画像」を追跡しているものの、その他のドラッグされない「アンロック画像」を非表示、又は非動作にするものではない点。

〈相違点2〉
本願発明1は、「選択されたアンロック対象を幾何学的な中心として、前記選択されたアンロック対象に対応するロック区域を表示するステップ」を有するものであるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するものではない点。

〈相違点3〉
本願発明1は、「選択されたアンロック対象を幾何学的な中心として、」「表示」されたものである「対応するロック区域」の外側にある複数のアンロック位置のいずれかに「選択されたアンロック対象」が位置するときに接触制御をアンロックするものであるのに対し、引用発明は、「アンロック画像」を「1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置」にドラッグしたときにアンロックするものである点。

(2)相違点1についての判断
引用例2に「コンテンツのアイコンを選択することにより、コンテンツのアイコン以外のプログラムのアイコンおよびマニュアルのアイコンを消してしまう」ことが、引用例3に「項目アイコン33が選択されたとすると、それ以外の項目アイコン31,32,34を消去する」ことが記載されるように、選択されたオブジェクト以外のオブジェクトを消去することは、本願の優先日前周知技術であったものと認められる。
しかしながら、引用例2、引用例3には、選択されたアイコンをドラッグする(本願発明1の「追跡」に相当する)場合に選択されなかったアイコンを消去することは記載されておらず、当該事項が本願の優先日前周知技術であったとはいえない。
したがって、相違点1に係る本願発明1の「前記選択されたアンロック対象を追跡し、選択されなかったアンロック対象を非表示、又は非動作にするステップ」の構成は、当業者であっても引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

以上のとおりであるから、相違点2,3を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用例4記載の技術事項および上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.請求項2-12について
本願発明2-12は、本願発明1を直接又は間接的に引用する発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の「前記選択されたアンロック対象を追跡し、選択されなかったアンロック対象を非表示、又は非動作にするステップ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用例4記載の技術および上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.請求項13について
(1)対比
本願発明13と引用発明2とを対比する。

ア.引用発明2の「タッチセンシティブディスプレイを有する携帯用電子機器」は「接触制御端末」といい得るものであり、引用発明2は「任意の望ましい経路に沿ってアンロック画像をその初期位置からドラッグすることができ、アンロック画像が所定の位置に達し、その位置で放されさえすれば、機器はアンロックされるもの」であるから、引用発明2が「接触制御をアンロックするためのデバイス」といい得る構成を有するのは明らかであり、引用発明2の当該構成は、本願発明13の「接触制御端末の接触制御をアンロックするためのデバイス」に相当する。

イ.引用発明2は、「各々がアクティブなアプリケーションに対応する複数のアンロック画像をタッチスクリーン上に表示することができ」、「アンロックアクションは、ユーザがアンロック画像に対して所定のジェスチャを行うステップを含み、このジェスチャは、1又はそれ以上の所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置にアンロック画像をドラッグするステップ」を含むものであり、「この(単複の)位置は、狭く又は広く定めることができ、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の特定の位置、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の領域」であるから、引用発明2は、「複数のアンロック画像」及び「アンロック画像」にそれぞれ対応し当該「アンロック画像」をドラッグすることによりアンロックを行う領域を認識する構成を有するといえる。
ここで、「アンロック画像」をドラッグすることによりアンロックを行う領域以外の領域は、「アンロック画像」をドラッグしてもロックされたままの領域であるから、引用発明2は、「複数のアンロック画像」及び「アンロック画像」にそれぞれ対応し当該「アンロック画像」をドラッグしてもロックされたままの領域を認識する構成を有するともいい得る。
そして、引用発明2の「アンロック画像」は、「ユーザが機器をアンロックするために交信するグラフィカルでインタラクティブなユーザインタフェースオブジェクト」であり、引用発明2は、「各々がアクティブなアプリケーションに対応する複数のアンロック画像」を有するものであるから、引用発明2の「複数のアンロック画像」は、本願発明13の「アンロックしようとする機能に対応する複数のアンロック対象」に相当し、引用発明2の当該ロックされたままの領域は、本願発明13の「アンロック対象を幾何学的な中心とするロック区域」と「ロック区域」である点では一致する。
したがって、引用発明2の「複数のアンロック画像」及び「アンロック画像」にそれぞれ対応し当該「アンロック画像」をドラッグしてもロックされたままの領域を認識する構成は、本願発明2の「アンロックしようとする機能に対応する複数のアンロック対象、及びアンロック対象にそれぞれ対応し前記アンロック対象を幾何学的な中心とするロック区域を認識するために配置される対応認識ユニット」と、「アンロックしようとする機能に対応する複数のアンロック対象、及びアンロック対象にそれぞれ対応するロック区域を認識するために配置される対応認識ユニット」である点で一致するといえる。

ウ.引用発明2は、「任意の望ましい経路に沿ってアンロック画像をその初期位置からドラッグすることができ、アンロック画像が所定の位置に達し、その位置で放されさえすれば、機器はアンロックされるもの」であり、上記所定の位置は「所定のアンロック基準を満たすタッチスクリーン上の位置」であり「狭く又は広く定めることができ、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の特定の位置、タッチスクリーン上の1又はそれ以上の領域」であるから、引用発明2は、ドラッグされるアンロック画像が、所定のアンロック基準を満たす領域の内側に位置するか否かを確定し、アンロック画像が、所定のアンロック基準を満たす領域の内側に位置する場合にアンロックする構成を有するといえる。
そして、「ドラッグされるアンロック画像」とは、複数の中からユーザにより選択され移動されるアンロック画像であり、上記イ.で述べたことと同様に、「アンロック画像が、所定のアンロック基準を満たす領域の内側に位置するか否か」は、「アンロック画像が、アンロック画像をドラッグしてもロックされたままの領域の外側に位置するか否か」ともいい得るものであるから、引用発明2の上記「ユーザが所定のジェスチャを行ったアンロック画像が、所定のアンロック基準を満たす領域の内側に位置するか否かを確定し、アンロック画像が、所定のアンロック基準を満たす領域の内側に位置する場合にアンロックする構成」は、本願発明13の「前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の間の位置関係を確定し、前記位置関係は、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の縁の内側に位置する第1の関係、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の前記縁に位置する第2の関係、前記対応するアンロック対象が前記ロック区域の前記縁の外側に位置する第3の関係のうちの一つである位置相関ユニット」及び「前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の前記位置関係が第3の関係を満たす場合に、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするために配置される接触制御アンロックユニット」と、「前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の間の位置関係を確定し、前記位置関係は、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の外側に位置していない第3の関係以外の関係、前記対応するアンロック対象が前記ロック区域の外側に位置する第3の関係のうちの一つである位置相関ユニット」及び「前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の前記位置関係が第3の関係を満たす場合に、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするために配置される接触制御アンロックユニット」である点では共通するといえる。

したがって、両者は以下の一致点と相違点を有する。

〈一致点〉
「接触制御端末の接触制御をアンロックするためのデバイスであって、
アンロックしようとする機能に対応する複数のアンロック対象、及びアンロック対象にそれぞれ対応し前記アンロック対象のロック区域を認識するために配置される対応認識ユニットと、
前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の間の位置関係を確定し、前記位置関係は、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の外側に位置していない第3の関係以外の関係、前記対応するアンロック対象が前記ロック区域の外側に位置する第3の関係のうちの一つである位置相関ユニットと、
前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の前記位置関係が第3の関係を満たす場合に、前記選択されたアンロック対象に対応する機能のための前記接触制御をアンロックするために配置される接触制御アンロックユニットと
を有するデバイス。」

〈相違点1〉
「対応認識ユニット」が認識する「ロック区域」が、本願発明13は、アンロック対象にそれぞれ対応し、「アンロック対象を幾何学的な中心とする」ものであるのに対し、引用発明2は、アンロック対象にそれぞれ対応しているものの、そのようなロック区域ではない点。

〈相違点2〉
本願発明13は、「前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、前記選択されたアンロック対象と前記対応するロック区域の間の位置関係を確定し、前記位置関係は、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の縁の内側に位置する第1の関係、前記選択されたアンロック対象が前記対応するロック区域の前記縁に位置する第2の関係、前記対応するアンロック対象が前記ロック区域の前記縁の外側に位置する第3の関係のうちの一つ」であり、「前記複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合、選択されなかったアンロック対象を非表示又は非作動にする」ものであるのに対し、引用発明2は、「ユーザが所定のジェスチャを行ったアンロック画像が、所定のアンロック基準を満たす領域の内側に位置するか否か」に確定するものであり、上記「ユーザが所定のジェスチャを行ったアンロック画像」以外のアンロック画像を非表示又は非動作にするものではない点。

(2)相違点2についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
本願発明13は、「アンロック対象のいずれかが選択された場合」、「アンロック対象」と「対応するロック区域」との位置関係を確定するものであり、当該位置関係が「ロック区域の縁の内側」、「ロック区域の縁の位置」、「ロック区域の縁の外側」であり得ることを考慮すれば、本願発明13において、「アンロック対象のいずれかが選択された場合」とは、「アンロック対象のいずれかが選択され(ドラッグされることにより)ロック区域との位置関係が変化する場合」を指すことと認められる。
そして、引用例2,引用例3に記載されるように、選択されたオブジェクト以外のオブジェクトを消去することは、本願の優先日前周知技術であったものと認められるものの、引用例2、引用例3に記載された技術はいずれも、選択されたアイコンと所定の領域との位置関係が変化するものではなく、選択されたアイコンと所定の領域との変化する位置関係を確定する場合である、「複数のアンロック対象のいずれかが選択された場合」に選択されなかったアイコンを消去することが、本願の優先日前周知技術であったとはいえない。
したがって、相違点2に係る本願発明13の構成は、当業者であっても引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4.請求項14-17について
本願発明14-16は、本願発明13を直接又は間接的に引用する発明であり、本願発明17は、本願発明13-16のデバイスを有する接触制御端末であるから、本願発明13と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用例4記載の技術および上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
上記「第6 対比・判断」の「1.本願発明1について」で検討したように、原査定で引用された引用文献A(引用例4)、引用文献B(引用例1)に基づいて、本願発明1は、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、引用文献Cにも、本願発明1の上記相違点1および上記相違点2に係る構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものではなく、原査定を維持することはできない。
また、本願発明2-12も、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
上記「第6 対比・判断」の「3.本願発明13について」で検討したように、原査定で引用された引用文献A(引用例4)、引用文献B(引用例1)に基づいて、本願発明13は、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、引用文献Cにも、本願発明13の上記相違点2に係る構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、本願発明13は、当業者であっても、引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものではなく、原査定を維持することはできない。
また、本願発明14-17は、相違点2に係る本願発明13と同一の構成を備えるものであるから、本願発明13と同じ理由により、当業者であっても、引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-07-10 
出願番号 特願2014-541533(P2014-541533)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 匡  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 稲葉 和生
山田 正文
発明の名称 接触制御をアンロックするための接触制御端末、方法及びデバイス  
代理人 伊藤 正和  
代理人 三好 秀和  
代理人 原 裕子  

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