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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W |
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管理番号 | 1330018 |
審判番号 | 不服2015-17107 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-17 |
確定日 | 2017-07-04 |
事件の表示 | 特願2014-520260「低オーバーヘッドワイヤレスビーコンのタイミングのためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月17日国際公開、WO2013/009776、平成26年 9月18日国内公表、特表2014-524209〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、2012年7月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年7月10日 米国、2011年9月6日 米国、2011年10月20日 米国、2011年12月7日 米国、2011年12月20日 米国、2012年1月6日 米国、2012年1月6日 米国、2012年1月10日 米国、2012年2月7日 米国、2012年2月9日 米国、2012年3月2日 米国、2012年4月2日 米国、2012年4月5日 米国、2012年7月9日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年12月11日付けで拒絶理由が通知され、平成27年3月13日に手続補正されたが、同年5月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月17日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに同日付で手続補正され、平成28年6月14日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年11月21日に意見書が提出されるとともに、手続補正書が提出されたものである。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年11月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 (本願発明) 「 ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法であって、 アクセスポイントにおいて、複数のビーコンを送信するステップを含み、前記複数のビーコンの各ビーコンがビーコン間隔で送信され、前記複数のビーコンを送信するステップが、 完全なビーコン間隔で完全なビーコンを送信するステップであって、前記完全なビーコン間隔が、前記ビーコン間隔の第1の倍数でありかつ前記ビーコン間隔よりも長いとともに、前記完全なビーコンがフィールドのセットを含み、前記ビーコン間隔の第1の倍数が、2以上の整数である、ステップと、 前記完全なビーコン間隔に対応しない各ビーコン間隔で、圧縮されたビーコンを送信するステップとを含み、前記圧縮されたビーコンが、前記フィールドのセットのサブセットを含み、前記完全なビーコン間隔および前記ビーコン間隔が一定の間隔である、方法。」 2.引用発明 (1)引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2006/120555号(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 ア.「1. Field of Invention The present invention relates to a Wireless Local Area Network (WLAN) (e.g. defined in the IEEE 802.11 Protocol Specification) . Specifically, the present invention refers to the standardization of solutions for interworking between WLAN and other networks ・・・.」(1頁10?15行) (当審訳:1.発明の分野 本発明はワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)(例えば、IEEE 802.11プロトコル仕様により定義される)に関する。具体的には、本発明は、WLANと他のネットワークとの間の相互作用のための解決を標準化することに言及する。) イ.「1) The network uses two layers of beacons (full beacon and reduced beacon) that are sent depending on the current system load. a) The full beacon contains a complete set of information the AP needs to broadcast, and is sent at regular intervals when the system traffic load is below a certain threshold (defined by the network administrator with a mechanism that is outside the scope of this invention) . b) The reduced beacon contains a subset of the full beacon information (i.e. only relevant information for e.g. fast roaming, support for some .11k measurements etc.) and is sent when the system traffic load is above a certain threshold at the same regular intervals the full beacon was sent, in order to avoid impacting the system capacity.」(14頁14行?15頁5行) (当審訳: 1)ネットワークは、現在のシステム負荷に応じて送信されるビーコンの2つの層(「完全なビーコン」と「減少されたビーコン」)を使用する。 a)完全なビーコンは、APがブロードキャストする必要がある情報の全てのセット含んでおり、システムトラフィック負荷が一定のしきい値(ネットワーク管理者により本発明の範囲外にある仕組みによって決められる)を下回っている場合、一定間隔で送信される。 b)減少されたビーコンは、完全なビーコン情報のサブセット(すなわち、例えば高速ローミングやいくつかの11k測定の支援などに適するだけの情報)を含んでおり、システム容量への影響を避けるために、システムトラフィック負荷が一定のしきい値を超えているときに完全なビーコンが送信されたのと同じ一定間隔で送信される。) ウ.「 c) When the system traffic load is above a certain threshold, the full beacon may be sent with less frequency or not be sent at all (this should be left up to the operator to decide) . d)The frequency at which the full and reduced beacon are sent can be left up to the network administrator or specified by 802.11. 」(15頁6?12行) (当審訳: c)システムトラフィック負荷が一定のしきい値を超えている場合、完全なビーコンが少ない頻度で送信されても良いし、全く送信されなくても良い(決定はオペレータに任されるべきである)。 d)完全なビーコンと減少されたビーコンが送信される頻度は、ネットワーク管理者、または802.11の仕様に委ねられている。) a.上記摘記事項ア.によれば、引用例はワイヤレスローカルエリアネットワークに関するものである。 b.上記摘記事項ウ.の「c)」には「完全なビーコンが・・・、全く送信されなくても良い」と記載されているが、完全なビーコンが全く送信されないとしたときに、ビーコンが全くなくなってしまうと、必要な情報を送れなくなることを踏まえれば、「c)」の記載は、減少されたビーコンが送信される「b)」の構成を前提とし、これに加えて完全なビーコンも送信する構成が記載されていると考えるのが自然である。 そして、上記摘記事項ウ.の「c)」の「少ない頻度で送信」するとは、システムトラフィック負荷が一定のしきい値を下回った場合に完全なビーコンが送信される一定間隔に比べて少ない頻度で完全なビーコンを送信することと解される。 したがって、上記摘記事項の記載を総合すると、引用例には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 (引用発明) 「 ワイヤレスローカルエリアネットワークにおいて、ビーコンを送信する方法であって、 システムトラフィック負荷が一定のしきい値を超えている場合、 APが、減少されたビーコンと完全なビーコンを送信し、 完全なビーコン情報のサブセットを含む減少されたビーコンを、システムトラフィック負荷が一定のしきい値を下回った場合に送信された完全なビーコンと同じ一定間隔で送信し、 そして、システムトラフィック負荷が一定のしきい値を下回った場合に完全なビーコンが送信されたよりも少ない頻度で、完全なビーコンを送信する、方法。」 3.対比 本願発明を引用発明と対比すると、 a.引用発明は「ワイヤレスローカルエリアネットワークにおいて、ビーコンを送信する方法」であるから、本願発明と同様に「ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法」ということができる。 b.引用発明における「AP」は、本願発明における「アクセスポイント」に相当する。 c.引用発明では「APが、減少されたビーコンと完全なビーコンを送信」しており、減少されたビーコンと完全なビーコンとで複数のビーコンと言えるから、これは本願発明の「アクセスポイントにおいて、複数のビーコンを送信する」ことに相当する。 d.引用発明において、減少されたビーコンは完全なビーコン情報のサブセットを含んでいるから、引用発明における「減少されたビーコン」は、本願発明における「圧縮されたビーコン」に対応する。 e.引用発明では、完全なビーコンが「フィールドのセット」を含んでいることは明示されていないが、ビーコンでは複数の情報をフィールド毎に格納して送信されることは技術常識に照らして明らかであるから、引用発明においても完全なビーコンが「フィールドのセット」を含んでいることは自明である。 また、引用発明の減少されたビーコンは完全なビーコン情報のサブセットを含んでいることから、減少されたビーコンは完全なビーコンのフィールドのセットのサブセットを含んでいると言える。 したがって、本願発明と引用発明は以下の点で一致ないし相違するものと認める。 (一致点) 「 ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法であって、 アクセスポイントにおいて、複数のビーコンを送信するステップを含み、前記複数のビーコンを送信するステップが、 完全なビーコンを送信するステップであって、記完全なビーコンがフィールドのセットを含む、ステップと、 圧縮されたビーコンを送信するステップとを含み、前記圧縮されたビーコンが、完全なビーコンが含むフィールドのセットのサブセットを含む、方法。」 (相違点1) 本願発明では、「前記複数のビーコンの各ビーコンがビーコン間隔で送信され」るのに対して、引用発明では完全なビーコンが具体的にどのような間隔で送信されるのか明示されていないから、複数のビーコンの各ビーコンがビーコン間隔で送信されているかは明確でない点。 (相違点2) 本願発明は「完全なビーコン間隔で完全なビーコンを送信するステップ」を有し、「前記完全なビーコン間隔が、前記ビーコン間隔の第1の倍数でありかつ前記ビーコン間隔よりも長いとともに、・・・、前記ビーコン間隔の第1の倍数が、2以上の整数である」のに対して、引用発明は完全なビーコンが具体的にどのような間隔で送信されるのかが明示されていない点。 (相違点3) 本願発明においては、「圧縮されたビーコンを送信するステップ」では、送信が「前記完全なビーコン間隔に対応しない各ビーコン間隔」で行われ、さらに「前記完全なビーコン間隔および前記ビーコン間隔が一定の間隔である」のに対して、引用発明では完全なビーコンが具体的にどのような間隔で送信されるのか明示されていないから、このような構成を有するのかは明確でない点。 4.当審の判断 上記相違点1?3について合わせて検討する。 引用発明において、完全なビーコンを、システムトラフィック負荷が一定のしきい値を下回った場合に完全なビーコンが送信される一定間隔(以下、「一定間隔A」という。)よりも少ない頻度で送信するために、完全なビーコンを一定間隔Aの2以上の整数倍の間隔で送るように構成することは、一定間隔Aの整数倍のタイミングとずれたタイミングで送信した場合に他のデータと干渉することが想定されることを勘案すれば、当業者が容易に想到できた事項にすぎない。そして、完全なビーコンを一定間隔Aの整数倍の間隔で送るように構成すれば、完全なビーコンを送信するタイミングは、減少されたビーコンを送信するタイミングと重なるが、その場合には完全なビーコンには圧縮されたビーコンが有する情報を含んでいるから、完全なビーコンのみを送信すればよいことは明らかである。 そして、このように構成すると、 (1)減少されたビーコンと完全なビーコンを合わせた複数のビーコンの各ビーコンが一定間隔Aで送信されることになるから、相違点1とした構成は当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)また、完全なビーコン間隔が一定間隔Aの2以上の整数倍となるから、相違点2は当業者が容易に発明をすることができた構成にすぎない。 (3)さらに、減少されたビーコンの送信は、完全なビーコン間隔に対応しない一定間隔Aの各ビーコン間隔で行われ、さらに完全なビーコン間隔は、一定間隔Aの2以上の整数倍の一定の間隔となり、また減少されたビーコンと完全なビーコンを合わせた各ビーコンの間隔は一定間隔Aで一定となるから、相違点3の構成は当業者が容易に発明をすることができたものである。 そして、本願発明が奏する効果も、引用発明から、当業者が容易に予測できる範囲内のものである。 5.むすび 以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-02-03 |
結審通知日 | 2017-02-06 |
審決日 | 2017-02-20 |
出願番号 | 特願2014-520260(P2014-520260) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04W)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石田 紀之 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
山本 章裕 吉田 隆之 |
発明の名称 | 低オーバーヘッドワイヤレスビーコンのタイミングのためのシステムおよび方法 |
代理人 | 黒田 晋平 |
代理人 | 村山 靖彦 |