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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A61B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61B |
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管理番号 | 1330051 |
異議申立番号 | 異議2016-700354 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-04-26 |
確定日 | 2017-05-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5801670号発明「医療用テレメータシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5801670号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2〕、3について訂正することを認める。 特許第5801670号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第5801670号の請求項2及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第5801670号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成27年9月4日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所より請求項1?3に対して特許異議の申立てがされ、平成28年6月30日付けで取消理由が通知され、同年9月2日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年10月13日に特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所から意見書が提出され、同年11月10日付けで取消理由<決定の予告>が通知され、平成29年1月13日に意見書の提出及び訂正請求がされ、その後、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所からは意見書が提出されなかったものである。 2.訂正の適否(下線部は訂正箇所を示す。) (1)訂正の内容 特許権者は、以下の訂正事項1?8により特定されるとおり訂正することを請求する。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記通知部は、前記送信周波数情報を表示部に表示することによって通知し、」と記載されているのを、「前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、」に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 エ 訂正事項4 明細書の【発明の名称】、及び、段落【0001】、【0007】にそれぞれ「医療用テレメータシステム、および受信機」と記載されているのを、「医療用テレメータシステム」に訂正する。 オ 訂正事項5 明細書の段落【0008】に「前記通知部は、前記送信周波数情報を表示部に表示することによって通知し、」と記載されているのを、「前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、」に訂正する。 カ 訂正事項6 明細書の段落【0010】を削除する。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項1に「所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部とを有する受信機とを備え」と記載されているのを、「患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、 前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え」に訂正する。 ク 訂正事項8 明細書の段落【0008】に「本発明に係る医療用テレメータシステムは、所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部とを有する受信機とを備え」と記載されているのを、「本発明に係る医療用テレメータシステムは、 患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、 前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1は、「前記通知部は、前記送信周波数情報を表示部に表示することによって通知し、」と記載されているのを、「前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、」、と、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、「通知部」が「送信周波数情報を、表示部に表示する」タイミングと表示部の設けられている場所を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、明細書の【0037】に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2及び3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項4は、上記訂正事項1?3に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 訂正事項5は、上記訂正事項1に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ 訂正事項6は、上記訂正事項3に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ 訂正事項7の検討 上記訂正事項7を便宜上以下のように、訂正事項7-1?訂正事項7-4と分割して検討する。 (ア)訂正事項7-1:「患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、」を付加する。 (イ)訂正事項7-2:「所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部と、」を「前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、」に訂正する。 (ウ)訂正事項7-3:「前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部とを有する送信機と、」を「前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、」に訂正する。 (エ)訂正事項7-4:「被通知部とを有する受信機」を「被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機」に訂正する。 検討 (ア-1)訂正事項7-1は、「医療用テレメータシステム」の発明である訂正前の請求項1に係る発明を「患者の生体情報の遠隔監視に使用される」「医療用テレメータシステム」の発明と特定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、明細書の【0002】に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (イ-1)訂正事項7-2は、訂正前の「無線送信する」「患者の生体情報」について、「前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部」を備え、その「生体情報検出部」で「検出された前記生体情報」であると特定するもので、「無線送信する」「患者の生体情報」を減縮し、また、訂正前の「無線送信する送信部」について、「生体情報モニタ装置に」「無線送信する送信部」であると「無線送信する送信部」を特定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、明細書の【0020】?【0022】、図1に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (ウ-1)訂正事項7-3は、「前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部」について、「通知部」が「前記送信周波数を示す送信周波数情報を通知する」通知先を「前記生体情報モニタ装置」と特定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、明細書の【0021】に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (エ-1)訂正事項7-4は、「被通知部とを有する受信機」について、「、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部と」を備えており、「前記生体情報モニタ装置である」と明確にしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、明細書の【0002】、【0022】、図1に記載されており新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 キ 訂正事項8は、上記訂正事項1?3、7に係る訂正により訂正された特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ク また、訂正前の請求項2は請求項1を引用しているから、請求項1、2は一群の請求項である。したがって、訂正事項1?3、7は一群の請求項ごとにされたものである。 (3)小括 したがって、上記訂正請求による訂正事項1?8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕、3について訂正を認める。 (4)本件特許発明 本件訂正は認められることとなったから、請求項1?3に係る発明(以下、それぞれの発明を「本件特許発明1?3」という。)は、次の事項により特定される発明であると認める(下線は訂正箇所を示す。)。 【請求項1】 患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、 前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え、 前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、 前記被通知部は、前記通知部により表示された前記送信周波数情報を読みとることによって通知を受ける、 ことを特徴とする医療用テレメータシステム。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) 3.特許異議申立について (1)取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由について 平成28年9月2日付け訂正後の請求項1に係る特許に対して平成28年11月10日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨は、次のとおりである。 ア 請求項1に係る特許は、甲第1号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)取消理由通知に記載した取消理由について 訂正前の請求項1?3に係る特許に対して平成28年6月30日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア 請求項1?3に係る特許は、甲第1号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものである。 (3)甲第1号証の記載 取消理由通知<決定の予告>及び取消理由通知において引用した甲第1号証(特開2001-353124号公報 )には、段落【0157】の記載事項から「無線送信機」と「表示部」を備えた「内視鏡」と、「内視鏡」の外部に設けられる、「情報読みとり装置」と「無線受信機」と「受信周波数設定器」と「画像表示装置」からなる「内視鏡外部部分」とを含む総合システム的な内視鏡装置であることが読み取れること、さらに、該内視鏡装置は、「内視鏡」と「内視鏡外部部分」間で無線による電送があるから「内視鏡」が「無線送信機」を備えていることは自明なことから、それらを補い段落【0157】に記載の事項を整理すると、以下の発明が記載されていると認められる。 「体腔内に挿入される挿入部に観察部位を撮像するための撮像装置を有する内視鏡と、 前記内視鏡内の画像情報信号伝送路中に設けられ前記画像情報信号を無線送信する前記内視鏡に設けられた無線送信機と、 前記無線送信機の送信周波数を表示するために前記内視鏡に設けられた表示部と、 前記表示部の表示情報を読みとる情報読みとり装置と、 前記無線送信機から送信された前記画像情報信号を受信する無線受信機と、 前記情報読みとり装置が読みとる情報によって前記無線受信機の受信周波数を前記無線送信機の送信する画像情報信号の送信周波数に同調させる受信周波数設定器と、 前記無線受信機が受信した前記画像情報信号を処理して画像表示する画像表示装置と、 前記情報読みとり装置と前記無線受信機と前記受信周波数設定器と前記画像表示装置とからなる内視鏡外部部分と、 を含む内視鏡装置。」(以下、「甲1発明」という。) (4)対比・判断 ア 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由について 本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明は、少なくとも「患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知する」構成(以下、「相違点」という。)を備えていない点で本件特許発明1と相違する。 そして、上記「相違点」は甲第1号証に示唆もされていないし、周知の技術事項であるともいえない。 したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び周知の技術事項から当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 イ 取消理由通知に記載した取消理由について 上記ア に記載した理由と同様の理由により、本件特許発明1は、甲1発明及び周知の技術事項から当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 ウ 取消理由通知<決定の予告>及び取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 請求項2及び3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 そして、特許異議申立人は、特許異議申立書において、 (ア)本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、請求項1に係る特許は、取り消されるべきものであると主張している。 しかしながら、本件特許発明1と甲第1号証との間には、アで検討したとおり上記「相違点」が有るので本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえないから、かかる主張は理由がない。 4.むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項2及び3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して、特許異議申立人 特許業務法人 アイザック国際特許商標事務所がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 医療用テレメータシステム 【技術分野】 【0001】 本発明は、医療用テレメータシステムに関し、例えば、患者の生体情報を送信機から受信機に無線送信する医療用テレメータシステムに用いて好適なものである。 【背景技術】 【0002】 従来、病院のICU(Intensive Care Unit)、CCU(Coronary Care Unit)等において、患者の生体監視に使用される医療用テレメータシステムが存在する(例えば、特許文献1を参照)。医療用テレメータシステムは、患者から検出された生体情報(例えば、心電図や心拍数、SpO2(酸素飽和度)など)を無線送信する送信機と、送信機から無線送信された生体情報を受信する受信機とを含んで構成されている。 【0003】 個々の送信機には専用のチャネル(送信周波数)が予め割り当てられている。多数の送信機を使用する病院の管理者は、各送信機に割り当てられたチャネルや、現在使用中のチャネル、病院内の各エリア(例えば病棟、フロア等)で使用可能なチャネル等を管理する。 【0004】 送信機は、割り当てられたチャネルを用いて、患者から検出した生体情報の無線送信を行うことができる。受信機は、送信機から受信した無線信号のチャネルに基づいて、無線信号に重畳された生体情報がどの送信機から送信されたか(すなわち、どの患者に関連するものか)を判断することができる。そのために、管理者は患者の生体監視を開始する前に、送信機のチャネルをあらかじめ受信機に設定しておく必要がある。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開平05-161611号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、従来、管理者は、送信機のチャネルを受信機に設定する際、送信機の表面にラベル等により表示されたチャネル情報を参照した後、受信機側に設けられた操作キー(例えば、数字キー)を介して1つ1つ手入力によりチャネルを設定していた。つまり、送信機のチャネルを受信機に設定する作業が管理者の手作業に依存していたため、チャネルの設定に間違いが生じる場合があるという問題があった。この場合、受信機側における送信機の管理(すなわち、患者の管理)に支障が生じ、適正なシステム運用が困難となる。 【0007】 本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、送信機に割り当てられたチャネルの設定間違いを確実に防止することが可能な医療用テレメータシステムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明に係る医療用テレメータシステムは、 患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、 前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え、 前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、 前記被通知部は、前記通知部により表示された前記送信周波数情報を読みとることによって通知を受ける、 ことを特徴とする。 【0010】(削除) 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、ユーザ(例えば、管理者)が送信機の表面を見ながら送信機のチャネル(送信周波数)に関する入力を行わなくても、送信機のチャネルが自動的に受信機に通知される。そのため、受信機は、ユーザの受信周波数入力の手作業を全く介さずに送信機のチャネルを正しく設定することができる。よって、送信機に割り当てられたチャネルの設定間違いを確実に防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1】本実施の形態における通知システムの構成例を示すブロック図である。 【図2】本実施の形態における通知システムの動作例を示すフローチャートである。 【発明を実施するための形態】 【0013】 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態における通知システム100(本発明の「医療用テレメータシステム」に対応)の構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、通知システム100は、患者の生体監視に使用される医療用テレメータシステムである。 【0014】 図1に示すように、通知システム100は、患者から検出した生体情報(例えば、心電図や心拍数、SpO2(酸素飽和度)など)を無線送信する送信機120と、送信機120から無線送信された生体情報を受信する受信機140とを備えて構成されている。 【0015】 次に、送信機120の構成について説明する。図1に示すように、送信機120は、電源制御部200、送信周波数情報記憶部220、通知部240、生体情報検出部260および送信部280を備えて構成されている。 【0016】 電源制御部200は、送信機120の電源を制御する。具体的には、電源制御部200は、送信機120に設けられた電源スイッチ(図示せず)が押下されたか否かについて判定する。もし電源スイッチが押下されたと判定した場合、電源制御部200は、送信機120内の各ブロック(送信周波数情報記憶部220、通知部240、生体情報検出部260および送信部280)にそれぞれ所要の電源電圧を供給するとともに、電源が投入された旨を通知部240に通知する。一方、電源スイッチが押下されていないと判定した場合、電源制御部200は、電源スイッチが押下されるまで待機する。 【0017】 送信機120には、電源が投入されたことを表示するための可視光発光ダイオードが設けられている。電源制御部200は、電源スイッチが押下されたと判定した場合、可視光発光ダイオードを所定時間(例えば、10秒程度)だけ点灯させる。 【0018】 送信周波数情報記憶部220は、送信機120に予め割り当てられた専用の送信周波数(チャネル)を示す送信周波数情報を記憶する。 【0019】 通知部240は、電源が投入された旨の通知を電源制御部200から受けた場合、送信周波数情報記憶部220から送信周波数情報を取り出して受信機140に通知する。本実施の形態では、通知部240は、電源制御部200により可視光発光ダイオードが点灯させられた場合、その可視光発光ダイオードにより発光された可視光線を用いて(可視光線信号に重畳させて)送信周波数情報を送信することによって当該送信周波数情報を通知する。 【0020】 生体情報検出部260は、患者に接続されたセンサから当該患者の生体情報(例えば、心電図や心拍数、SpO2(酸素飽和度)など)を検出する。そして、生体情報検出部260は、検出した生体情報を送信部280に出力する。 【0021】 送信部280は、生体情報検出部260から生体情報が出力された場合、送信周波数情報記憶部220に記憶されている送信周波数情報により示される送信周波数を用いて(無線信号に重畳させて)、受信機140に対して当該生体情報を無線送信する。 【0022】 次に、受信機140の構成について説明する。図1に示すように、受信機140は、被通知部300、受信周波数記憶部320、受信部340および生体情報表示部360を備えて構成されている。 【0023】 被通知部300は、送信機120の通知部240から送信された送信周波数情報を受信することによって、当該送信周波数情報の通知を受ける。そして、被通知部300は、通知を受けた送信周波数情報を受信周波数記憶部320に出力する。 【0024】 受信周波数記憶部320は、被通知部300から送信周波数情報が出力された場合、その送信周波数情報により示される送信周波数を、送信機120用の受信チャネル(受信周波数)として記憶し、且つ、受信部340に当該周波数を受信するよう指示する(設定する)。この設定により、受信機140は、送信機120から受信した無線信号の送信周波数に基づいて、無線信号に重畳された生体情報が送信機120から送信されたものであることを判断することができる。 【0025】 受信部340は、送信機120の送信部280から送信された生体情報を受信して生体情報表示部360に表示させる。 【0026】 次に、本実施の形態における通知システム100の動作について説明する。図2は、本実施の形態における通知システム100の動作例を示すフローチャートである。 【0027】 まず、電源制御部200は、送信機120に設けられた電源スイッチが押下されたか否かについて判定する(ステップS100)。もし、電源スイッチが押下されていないと電源制御部200にて判定した場合(ステップS100にてNO)、処理はステップS100に遷移する。 【0028】 一方、電源スイッチが押下されたと電源制御部200にて判定した場合(ステップS100にてYES)、電源制御部200は、送信機120内の各ブロック(送信周波数情報記憶部220、通知部240、生体情報検出部260および送信部280)にそれぞれ所要の電源電圧を供給するとともに、電源が投入された旨を通知部240に通知する。さらに、電源制御部200は、電源が投入されたことを表示するための可視光発光ダイオードを所定時間(例えば、10秒程度1分)だけ点灯させる。 【0029】 次に、通知部240は、電源が投入された旨の通知を電源制御部200から受け、電源制御部200により点灯させられた可視光発光ダイオードにより発光された可視光線を用いて(可視光線信号に重畳させて)送信周波数情報を送信することによって、当該送信周波数情報を受信機140に通知する(ステップS120)。 【0030】 次に、受信機140の被通知部300は、送信機120の通知部240から送信された送信周波数情報を受信することによって当該送信周波数情報の通知を受ける(ステップS140)。そして、被通知部300は、通知を受けた送信周波数情報を受信周波数記憶部320に出力する。 【0031】 次に、受信周波数記憶部320は、被通知部300から出力された送信周波数情報により示される送信周波数を、送信機120用の受信チャネル(受信周波数)として設定する(ステップS160)。 【0032】 次に、生体情報検出部260は、患者に接続されたセンサから当該患者の生体情報(例えば、心電図や心拍数、SpO2(酸素飽和度)など)を検出したか否かについて判定する(ステップS180)。もし、生体情報を検出していないと生体情報検出部260にて判定した場合(ステップS180にてNO)、処理はステップS180に遷移する。 【0033】 一方、生体情報を検出したと生体情報検出部260にて判定した場合(ステップS180にてYES)、生体情報検出部260は、検出した生体情報を送信部280に出力する。次に、送信部280は、送信周波数情報記憶部220に記憶されている送信周波数情報により示される送信周波数を用いて(無線信号に重畳させて)、生体情報検出部260から出力された生体情報を受信機140に無線送信する(ステップS200)。その後、送信機120における処理はステップS180に遷移する。 【0034】 最後に、受信部340は、送信機120の送信部280から送信された生体情報を受信して生体情報表示部360に表示させる(ステップS220)。その後、受信機140における処理はステップS220に遷移する。 【0035】 以上詳しく説明したように、本実施の形態の通知システム100は、所定の送信周波数を用いて患者の生体情報を無線送信する送信部280と、送信周波数を示す送信周波数情報を通知する通知部240とを有する送信機120と、送信部280から無線送信された生体情報を受信する受信部340と、通知部240から送信周波数情報の通知を受ける被通知部300とを有する受信機140とを備えるようにしている。 【0036】 このように構成した本実施の形態によれば、ユーザ(例えば、管理者)が送信機120の表面を見ながら送信機120のチャネル(送信周波数)に関する入力を行わなくても、送信機120のチャネルが自動的に受信機140に通知される。そのため、受信機140は、ユーザの受信周波数入力の手作業を全く介さずに送信機120のチャネルを正しく設定することができる。よって、送信機120に割り当てられたチャネルの設定間違いを確実に防止することができる。 【0037】 また、本実施の形態では、送信機120の電源が投入された直後の一定時間(例えば、10秒程度)の場合に限り、送信周波数情報を受信機140に通知するようにしている。これにより、送信機120が電池で動作する場合、送信機120の電源が投入された後、送信周波数情報を通知するために可視光発光ダイオードが常時点灯することがなく、当該発光ダイオードの常時点灯による電池の消耗を抑えることができる。 【0038】 また、本実施の形態では、可視光発光ダイオードにより発光された可視光線を用いて送信周波数情報を送信するようにしている。これによれば、送信機120に予め設けられている(電源が投入されたことを表示するための)可視光発光ダイオードをそのまま用いて送信周波数情報を送信することができ、新たな発光ダイオードを設けることが不要となる分、コストを抑えることができる。 【0039】 以上に説明した実施の形態による送信機120および受信機140の機能は、ソフトウェアによって実現される。実際には、送信機120および受信機140がCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。なお、本実施の形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD-ROMまたはSDメモリカードのような記録媒体に記録し、送信機120および受信機140に読み込ませることによって実現することも可能である。 【0040】 なお、上記実施の形態では、通知システム100が、患者の生体監視に使用される医療用テレメータシステムである例について説明したが、本発明はこれに限らない。要は、通知システム100は、患者の生体情報を送信機120から受信機140に無線送信するシステムであれば何でも良い。 【0041】 また、上記実施の形態では、可視光線を用いて送信周波数情報を送信する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、可視光発光ダイオードの代わりに、送信機120に設けられた赤外発光ダイオードにより発光された赤外線を用いて送信周波数情報を送信するようにしても良い。この場合、電源が投入されたことを表示するための可視光発光ダイオードを送信機120に別途設けても良い。つまり、電源が投入されたことを表示するために可視光発光ダイオードを用いる一方、送信周波数情報を送信するために赤外発光ダイオードを用いても良い。 【0042】 また、上記実施の形態では、可視光線を用いて送信周波数情報を送信することによって当該送信周波数情報を通知する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、通知部240は、送信機120に設けられた表示部(図示せず)に送信周波数情報を表示することによって通知しても良い。この場合、被通知部300は、通知部240により表示された送信周波数情報を読みとる(例えば、画像認識を行う)ことによって通知を受ける。なお、送信周波数情報の表示形式については、例えばバーコード表示や数値表示等を採用しても良い。 【0043】 その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。 【符号の説明】 【0044】 100 通知システム 120 送信機 140 受信機 200 電源制御部 220 送信周波数情報記憶部 240 通知部 260 生体情報検出部 280 送信部 300 被通知部 320 受信周波数記憶部 340 受信部 360 生体情報表示部 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 患者の生体情報の遠隔監視に使用される医療用テレメータシステムであって、 前記患者に接続されたセンサから前記生体情報を検出する生体情報検出部と、検出された前記生体情報を、所定の送信周波数を用いて生体情報モニタ装置に無線送信する送信部と、前記送信周波数を示す送信周波数情報を、前記生体情報モニタ装置に通知する通知部とを有する送信機と、 前記送信部から無線送信された前記生体情報を受信する受信部と、前記通知部から前記送信周波数情報の通知を受ける被通知部と、受信した前記生体情報を表示する生体情報表示部とを有する、前記生体情報モニタ装置である受信機とを備え、 前記通知部は、前記送信機の電源が投入された場合に、前記送信周波数情報を、前記送信機に設けられた表示部に表示することによって通知し、 前記被通知部は、前記通知部により表示された前記送信周波数情報を読みとることによって通知を受ける、 ことを特徴とする医療用テレメータシステム。 【請求項2】(削除) 【請求項3】(削除) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-05-08 |
出願番号 | 特願2011-210626(P2011-210626) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(A61B)
P 1 651・ 113- YAA (A61B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 伊知地 和之 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
松岡 智也 信田 昌男 |
登録日 | 2015-09-04 |
登録番号 | 特許第5801670号(P5801670) |
権利者 | フクダ電子株式会社 |
発明の名称 | 医療用テレメータシステム |
代理人 | 鷲田 公一 |
代理人 | 鷲田 公一 |