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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 A62C 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A62C 審判 全部申し立て 特174条1項 A62C |
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管理番号 | 1330053 |
異議申立番号 | 異議2016-700748 |
総通号数 | 212 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-08-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-08-16 |
確定日 | 2017-05-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5864640号発明「消火ガス噴射装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5864640号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1,2及び4〕について訂正することを認める。 特許第5864640号の請求項2ないし4に係る特許を維持する。 特許第5864640号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5864640号の請求項1ないし4についての出願は、平成22年7月15日(優先権主張、平成21年10月23日、平成22年2月4日、平成22年4月2日)に出願された特願2010-161096号の一部を新たな特許出願とした特願2011-267400号の一部を、新たな特許出願とした特願2013-210605号の一部をさらに平成26年2月26日に新たな出願としたものであって、平成28年1月8日に特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成28年8月16日に特許異議申立人 株式会社コーアツ(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年12月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年2月6日に特許権者エア・ウォーター防災株式会社より意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、その訂正の請求に対して平成29年3月31日に申立人より意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は次の(1)ないし(3)のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出されるとともに、前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出される、請求項1に記載の消火ガス噴射装置。」とあるところ、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「高圧の消火ガス供給源に接続される枝管に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する多孔質金属からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、前記ノズル部にはノズル孔が設けられており、前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記ノズル孔の開口と対面する他方端面とを有し、前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ、前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部を含み、前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記枝管側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められており、前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出されるとともに、前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出される、消火ガス噴射装置。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4に「前記吸音材は、多孔質金属のみからなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の消火ガス噴射装置。」とあるところ、請求項1を引用する部分を削除して「前記吸音材は、多孔質金属のみからなる、請求項2または3に記載の消火ガス噴射装置。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は請求項1を削除する訂正であるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、さらに実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2において、請求項1を引用するものについて、独立形式に改める訂正であるから、特許法第120条の5第2項第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、さらに実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正事項1に伴い、本件訂正前には請求項1又は2を引用していたものを、本件訂正後には請求項2を引用するようにしたものであるから、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項に該当せず、さらに実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)一群の請求項について 訂正事項1ないし3の、請求項1,2及び4に係る訂正は、訂正後の請求項〔1,2及び4〕の一群の請求項に対して請求されたものである。 3 小括 したがって、本件訂正請求による訂正事項1ないし3は、特許法第120条の5第2項第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法代126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1,2及び4〕について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 請求項3に係る発明及び本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項2及び4に係る発明(以下、順に「本件特許発明3」、「本件特許発明2」及び「本件特許発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項3、2及び4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 (1)本件特許発明2 「高圧の消火ガス供給源に接続される枝管に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する多孔質金属からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、 前記ノズル部にはノズル孔が設けられており、 前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記ノズル孔の開口と対面する他方端面とを有し、前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ、 前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部を含み、 前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記枝管側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められており、前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出されるとともに、前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出される、消火ガス噴射装置。」 (2)本件特許発明3 「高圧の消火ガス供給源に接続される枝管に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する多孔質金属からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、 前記ノズル部にはノズル孔が設けられており、 前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記ノズル孔の開口と対面する他方端面とを有し、前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ、 前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部を含み、 前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記枝管側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、 前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出されるとともに、前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出され、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められている、消火ガス噴射装置。」 (3)本件特許発明4 「前記吸音材は、多孔質金属のみからなる、請求項2または3に記載の消火ガス噴射装置。」 2 取消理由の概要 訂正前の請求項4に係る特許に対して平成28年12月22日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 (1)特許法第29条の2の適用 ア 優先権の主張、出願日及び公開日 (ア) 甲第4号証 甲第4号証に係る出願(特願2009-263295号)は、甲第3号証(特開2011-125673号公報)に係る特許出願(特願2010-105342号)の優先権の主張の基礎とされた先の出願である。 したがって、特許法第41条第3項の規定により、甲第3号証に係る特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明(以下、「甲第3号証の当初明細書等」という。)(また、以下、各出願の「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」のことを「当初明細書等」という。)のうち、甲第4号証に係る出願の当初明細書等(以下、「甲第4号証の当初明細書等」という。)に記載された発明は、甲第3号証に係る特許出願について出願公開された時に、甲第4号証に係る出願について出願公開されたものとみなして特許法第29条の2本文の規定を適用するものである。 よって、甲第4号証に係る出願は、平成21年11月18日にされ、甲第3号証の公開日である平成23年6月30日に出願公開されたものとみなして特許法第29条の2本文の規定を適用する。 (イ) 本件特許発明4 本件特許出願は、特願2013-210605号の一部を適法に新たな特許出願としたものであるところ、特願2013-210605号は、特願2011-267400号の一部を適法に新たな特許出願としたものであり、特願2011-267400号は特願2010-161096号の一部を適法に新たな特許出願としたものであり、さらに特願2010-161096号は、特願2009-244986号、特願2010-23575号及び特願2010-86586号を優先権の主張の基礎とした優先権の主張を伴う特許出願である。 したがって、特許法第44条第2項及び同法第41条第2項の規定により、本件特許出願に係る発明のうち、特願2009-244986号の当初明細書等、特願2010-23575号の当初明細書等又は特願2010-86586号の当初明細書等に記載された発明は、第29条の2本文の適用については、各先の出願のときにされたものとみなすものである。 ここで、本件特許発明4に係る発明特定事項について検討すると、「多孔質金属」という発明特定事項は、特願2010-86586号の当初明細書等に記載された事項であり、特願2009-244986号の当初明細書等及び特願2010-23575号の当初明細書等に記載された事項ではない。 そうすると、本件特許発明4に係る本件特許出願は、特許法第44条第2項及び同法第41条第2項の規定により、特許法第29条の2本文の適用については、特願2010-86586号の出願のときにされたものとみなすものである。 よって、本件特許発明4に係る本件特許出願は、特許法第29条の2の適用については、特願2010-86586号の出願日である平成22年4月2日にされたものとみなす。 イ 出願人及び発明者 本件特許出願の出願人が甲第4号証に係る出願の出願人と同一でなく、かつ、本件特許出願の発明者が甲第4号証に係る出願の発明者と同一ではないことは明らかである。 ウ まとめ 以上のとおりであるから、甲第4号証に係る出願は、本件特許発明4に対して、特許法第29条の2本文でいう「他の出願」に該当し、発明29条の2本文の規定を適用する。 (2)本件請求項4に係る発明は、甲第4号証に記載された発明と実質的に同一であり、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、請求項4に係る特許は、取り消すべきものである。 3 甲号証の記載等 (1)甲第4号証(特願2009-263295号(特開2011-125673号公報)) ア 甲第4号証の記載 (ア)「【0002】 二酸化炭素、窒素、フッ素化合物等の消火剤ガスを使用するガス系消火設備において、消火の際にガス系消火設備が作動すると、約1分間以内(フッ素化合物の消火剤ガスの場合は10秒)で消火対象区画の消火剤ガス濃度が消火濃度に達するように、消火剤ガスが放出される。 【0003】 このとき、消火剤ガスは、消火対象区画に消火剤ガスを放出するために天井や壁面等に設置される噴射ヘッドから放出されるが、ガス系消火設備用噴射ヘッドは、図8(a)に示すような、消火剤ガスが供給される配管4に接続された噴射ヘッド10Aの出口部にオリフィス2を備え、オリフィス2から消火剤ガスを直接消火対象区画に放出するようにしたものや、図8(b)に示すような、消火剤ガスが供給される配管4に接続された噴射ヘッド10Bの出口部にオリフィス2及び円錐形状のデフレクタ(偏向部材)5を備え、オリフィス2から放出された消火剤ガスをデフレクタ(偏向部材)5により偏向させて消火対象区画に放出するようにしたもの、さらには、図8(c)に示すような、噴射ヘッド10Cの出口部にオリフィス(図示省略)及び円錐筒形状のホーン(拡散部材)6を備え、オリフィスから放出された消火剤ガスをホーン(拡散部材)6により拡散させて消火対象区画に放出するようにしたもの等が従来から汎用されてきた。 【0004】 このように、上記従来のガス系消火設備用噴射ヘッド10A、10B、10Cは、消火対象区画に通常複数個設置される各々の噴射ヘッドから同じ量の消火剤ガスが放出されるようにするために、噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量をオリフィス2によって制限するようにしているが、このため、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に、高レベルの騒音(具体的には、120db以上の騒音)が発生することが知られていた。 (中略)) 【0005】 ところで、ガス系消火設備の作動時には、消火対象区画内に人が存在しないことが前提となっているため、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音に対しては、従来全く問題視されず、何の対策も取られていなかった。」(段落【0002】ないし【0005】[対応する箇所として、甲第3号証の段落【0002】ないし【0005】。以下同じ。]) (イ)「【0012】 本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドによれば、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために設置される噴射ヘッドに消音手段を備えることにより、消火剤ガスが放出される際に発生する騒音を低減でき、ガス系消火設備の作動時に消火対象区画内に逃げ遅れた人がいた場合でも、消火剤ガスが放出される際に発生する騒音によってパニックを起こしたり、避難を促す放送が聞こえにくくなることを防止することができ、さらには、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音が周囲のいる人に悪影響を及ぼすことなどを防止することができる。 【0013】 また、前記消音手段を、噴射ヘッドに配設した消音器で構成することにより、消音手段を簡易に配設することができるとともに、必要とされる消音の程度、設置状態等に合わせて消音器を設計することができることから、必要な消音性能を確実に得ることができる。 【0014】 また、前記消音手段を、オリフィスの形状によるものとすることにより、消音手段を簡易な構造とし、噴射ヘッドをコンパクトに構成でき、既存の設備にもそのまま適用することができる。 【0015】 また、前記消音手段を、オリフィスの出口部に配設した気体が流通可能な繊維状又は多孔性材料で構成することにより、消音手段を簡易な構造とし、噴射ヘッドをコンパクトに構成でき、既存の設備にもそのまま適用することができる。」(段落【0012】ないし【0015】[段落【0013】ないし【0016】]) (ウ)「【0029】 この場合において、充填材39aには、グラスウール、ロックウール、スチールウール等の金属製ウール、合成繊維や天然繊維の不織布、無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)からなる多孔体(焼結体や粒状体を含む。)、合成樹脂発泡体、ハニカム構造の整流器等の気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を用いることができる。(後略)」(段落【0029】[段落【0031】]) (エ)「【0031】 ところで、上記第3実施例のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1Dの充填材39a等の配置形態は、同実施例に記載したものに限定されず、以下に記載するような種々の形態を採用することができる。」(段落【0031】[段落【0033】]) (オ)「【0047】 また、同様に、第3実施例の第2変形実施例を示す、オリフィス2の出口部に気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料を配設する構造のみ(筒状の筐体38を省略。)によって消音効果を得るようにすることもできる。 この場合、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料は、オリフィス2の出口部に、気流の乱れを生じさせる空隙を生じることがないように、できるだけ近接して配設することが好ましい。 【0048】 具体的には、図7に示すように、噴射ヘッド1I、1Jのオリフィス2の出口部に気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7を配設することにより、オリフィス2を通過した消火剤ガスが、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7を通過する間に徐々に膨張することによって、大気中に放出される際に急激に膨張することを緩和し、消火剤ガスが膨張することによって生じる衝撃波を弱めて、消火剤ガスが放出される際に発生する騒音を低減することができる。 ここで、図7(a)に示す噴射ヘッド1Iは、複数個(本実施例においては、6個)のオリフィス2を備え、その出口に円板形状(又は図8(b)に示すような円錐形状)のデフレクタ(偏向部材)5を設けて横方向に偏向させた開口を備えたものであり、図7(b)に示す噴射ヘッド1Jは、1個のオリフィス2に連なる下方向の開口を備えたものであるが、噴射ヘッドやオリフィスの形式は、本実施例のものに限定されるものではない。 【0049】 この場合において、気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7には、特に、グラスウール、ロックウール、スチールウール等の金属製ウールや形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物を含む。)の焼結体からなる多孔体を、その材質等に応じて、必要に応じて、パンチングメタル、エキスパンドメタル、焼結金属製の板材、ハニカム構造の整流器等からなるカバー部材を併用することによって、好適に用いることができる。 【0050】 このように、消音手段を、オリフィス2の出口部に配設した気体が流通可能な繊維状又は多孔性の気流の乱れをなくす材料7で構成することにより、消音手段を簡易な構造とし、噴射ヘッドをコンパクトに構成でき、既存の設備にもそのまま適用することができる。 【0051】 本実施例のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1I、1Jのその他の作用は、上記第3実施例の第2変形実施例のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1C2と同様である。」(段落【0047】ないし【0051】[段落【0049】ないし【0053】]) (カ)甲第4号証の図7(b)において、金属の多孔体の気流の乱れをなくす材料7は消火ガスを放出する一方側の端面及びオリフィス2の開口と対面する他方側の端面を有すること、金属の多孔性の気流の乱れをなくす材料7の一方側の端面には当該端面を抑えるリング状の部位を備えた部材が配置されるとともに当該部材が螺合によりオリフィス2の形成された側の部材と固定されていること、金属の多孔性の気流の乱れをなくす材料7の一方側の端面においてリング状の部位と接する部位以外は大気に開放されていること、オリフィス2の形成された部材と面接触していること及び金属の多孔性の気流の乱れをなくす材料7は噴射ヘッドの一方側端面から他方側の端面まで隙間なく配設されていることが看取できる。 イ 甲4発明 上記ア(ア)ないし(カ)及び図7の記載から、甲第4号証には次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認める。 <甲4発明> 「消火ガスが供給される配管4に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する金属の多孔体の気流の乱れをなくす材料7からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドとリング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、 前記ノズル部にはオリフィス2が設けられており、 前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記オリフィス2の開口と対面する他方端面とを有し、前記オリフィス2から放出される消火ガスを前記金属多孔性の気流を乱れをなくす材料7内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材へ流入させ、 前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合可能な螺合部を含み、 前記一方端面は、前記前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記配管4側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められている、消火ガス噴射装置。」 (2) 甲第5号証 欧州特許出願公開第1151800号明細書 甲第5号証の、段落[0022]、[0037]、[0040]、[0041]、[0043]、[0048]及び図1ないし8の記載からみて、甲第5号証には、次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されていると認める。 <甲5技術> 「分配管からの消火ガスが、開口207を通って円筒状部材内部の部屋208内に広がり、フィルタ部材4によって空気の変動が減じられ、穴9から上方向、穴230から横方向、穴21から下方向へ放出される消火ガス放出用ノズル。」 4 判断 (1) 取消理由通知に記載した取消理由について ア 特許法第29条の2について (ア)本件特許発明2 a 本件特許発明2との対比 本件特許発明2と甲4発明とを対比すると、甲4発明における「消火ガス」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件特許発明2における「消火ガス」に相当し、以下同様に、「ノズル部を有する噴射ヘッド」は「ノズル部を有する噴射ヘッド」に「金属の多孔体の気流の乱れをなくす材料7からなる吸音材」は「多孔質金属からなる吸音材」に、「前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材」は「前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材」に、「前記噴射ヘッドとリング部材とを接続する接続部材」は「前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材」に、「オリフィス2」は「ノズル孔」に、「消火ガスを放出する一方端面」は「消火ガスを放出する一方端面」に、「前記オリフィス2の開口と対面する他方端面」は「前記ノズル孔の開口と対面する他方端面」に、「前記噴射ヘッドに螺合可能な螺合部」は「前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部」に、相当する。 また、甲4発明において「前記オリフィス2から放出される消火ガスを前記金属多孔性の気流を乱れをなくす材料7内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材へ流入させ」ることは、本件特許発明2において「前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ」ることに相当する。 そして、甲4発明において「前記一方端面は、前記前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記配管4側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められている」ことは、本件特許発明2において「前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記枝管側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められて」いることに相当する。 さらに、「消火ガスが供給される配管に接続され」るという限りにおいて、甲4発明において「消火ガスが供給される配管4に接続され」ることは、本件特許発明4において「高圧の消火ガス供給源に接続される枝管に接続され」ることに相当する。 してみれば、本件特許発明2と甲4発明とは、 「消火ガスが供給される配管に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する多孔質金属からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、 前記ノズル部にはノズル孔が設けられており、 前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記ノズル孔の開口と対面する他方端面とを有し、前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ、 前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部を含み、 前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記配管には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められており、前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出される消火ガス噴射装置。」という点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 本件特許発明2においては、ノズル部を有する噴射ヘッドが「高圧の消火ガス供給源に接続される枝管」に接続されるものであるのに対し、甲4発明においては、「消火ガスが供給される配管」に接続されるものであるところ、甲4発明における当該「配管」が、高圧の消火ガス供給源に接続される枝管であるか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。 <相違点2> 本件特許発明2は、「前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出される」のに対し、甲4発明においては吸音材の周面から消火ガスが大気へ放出されない点(以下、「相違点2」という。)。 b 相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点2が、実質的な相違点であるか否か検討する。 甲5技術はフィルタ部材を通った消火ガスを横方向から放出する技術を開示する。 しかし、甲5技術は本件特許に係る出願の優先日前に公知の技術ではあるものの、甲5技術が直ちに周知ないし慣用技術であるとまでいうことはできない。したがって、相違点2は、単なる周知又は慣用技術の付加であって新たな効果を奏するものでもないとまではいうことができないから、相違点2は実質的な相違点である。 してみると、本件特許発明2と甲4発明とは実質的に同一ということはできない。 仮に、甲5技術が周知ないし慣用技術であったとしても、甲5技術は、消火ガスが穴230から横方向に放出すると同時に穴9から上方向に放出するものであるのに対し、甲4発明は「前記配管4側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、」との構成を備えるものであるから、相違点2が、単に甲4発明に甲5技術を周知又は慣用技術として付加したものであるということはできない。 そうすると、相違点2は実質的な相違点である。 してみると、本件特許発明2は、甲4発明と実質的に同一ということはできない。 (イ)本件特許発明3及び本件特許発明4 a本件特許発明3との対比及び相違点についての判断 本件特許発明3と甲4発明とを対比すると、(ア)aにおける<相違点1>及び<相違点2>で相違し、その余の点で一致する。 そうすると、上記(ア)bにおける検討のとおり、相違点2は実質的な相違点といえるから、本件特許発明3は、甲4発明と実質的に同一ということはできない。 b本件特許発明4との対比及び相違点についての判断 本件特許発明4は、本件特許発明2又は本件特許発明3の発明特定事項を全て含むものである。 そうすると、上記(ア)b及び(イ)aにおける検討のとおり、本件特許発明2及び本件特許発明3は、甲4発明と実質的に同一ということはできないから、本件特許発明4は、甲4発明と実質的に同一ということはできない。 5 申立人の意見 (1)意見の内容 申立人は、平成29年3月31日提出の意見書において、概ね次の意見を述べている。 (1-1) 平成29年2月6日付け訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項2に記載された「リング部材」及び「接続部材」(請求項3にも同様の記載がある)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない。「端壁122」は「リング部材」と同一の概念のものとは認められず、「ケーシング129」は「接続部材」と同一の概念のものとは認められない。 (1-2) 本件特許出願人は他の案件における上記1-1と同趣旨の拒絶理由通知について反論していない。 (2-1) 平成29年2月6日付け訂正請求書により訂正された特許請求の範囲の請求項2に記載された「リング部材」は、発明の詳細な説明には実質的に具体的には何ら記載されていないため、本件の請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 (2)意見に対する検討 ア (1)の(1-1)についての検討 (ア)「リング部材」について リングとは「輪」または「環」を意味する用語(必要であれば、「リング」との用語について、広辞苑第6版「リング【ring】輪。環。」参照。) であるから、リング部材とは環をなす部材を意味する用語といえる。一方、本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)における「端壁122」は、「環状の端壁122」(例えば、段落【0056】を参照。)と記載されているように、環をなす部材であるといえる。 してみると、本件特許発明2ないし4における「リング部材」とは、本件明細書における「端壁122」についていいかえたものといえるから、本件訂正請求は、本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 (イ)「接続部材」について 当初明細書等の図13において、筒状の「周壁121」、「端壁122」、「取付け部123」からなる「ケーシング129」は、「噴射ヘッド13」に「取付部123」によって接続する部材であることが看取できる。 そうすると、「ケーシング129」は、「ケーシング129」自身の「周壁121」及び/又は「端壁122」を「噴射ヘッド13」に接続する部材であるといえる。 してみると、本件特許発明2ないし4における「接続部材」とは、本件明細書における「ケーシング129」についていいかえたものといえるから、本件訂正請求は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 イ (1)の(1-2)についての検討 他の出願における手続は、本件特許に係る出願における手続ではないから、申立人の当該意見は、採用できない。 なお、上記(ア)及び(イ)において検討したとおり、本件特許発明2ないし4における「リング部材」及び「接続部材」とは、本件明細書における「端壁122」及び「ケーシング129」についていいかえたものといえるから、本件訂正請求は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 ウ (1)の(2-1)についての検討 上記アにおいて検討したとおり、本件特許発明2ないし4における「リング部材」又は「接続部材」との用語は、「端壁122」又は「ケーシング129」をいいかえたものといえるから、発明の詳細な説明に記載されたものである。 6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立て理由について (1)具体的理由1について 申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1ないし4に記載の「リング部材」及び「接続部材」に係る補正当初明細書等の範囲内でしたものではない旨主張している(特許異議申立書第6ページ(5)具体的理由1)。しかし、上記5(2)において検討したとおり、本件特許発明2ないし4における「リング部材」及び「接続部材」は、いずれも当初明細書等に記載した事項であるから、かかる主張は理由がない。 (2)具体的理由2について 申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1ないし4に記載の「リング部材」及び「接続部材」は発明の詳細な説明に記載したものではない旨主張している(特許異議申立書第7ページ(6)具体的理由2)。しかし、上記5(2)において検討したとおり、「リング部材」及び「接続部材」は、いずれも発明の詳細な説明に記載したものであるから、かかる主張は理由がない。 (3)訂正前の請求項2及び3に係る発明に係る具体的理由3について 申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項2及び3に係る発明は、甲第4号証に記載された発明と同一である旨主張している。 しかし、上記3及び4において検討したとおり、本件特許発明2及び3はいずれも甲4発明と実質的に同一とはいえないから、かかる主張は理由がない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項2ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項1に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項1に対して申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 高圧の消火ガス供給源に接続される枝管に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する多孔質金属からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、 前記ノズル部にはノズル孔が設けられており、 前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記ノズル孔の開口と対面する他方端面とを有し、前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ、 前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部を含み、 前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記枝管側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、前記他方端面は前記噴射ヘッドに面接触しており、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められており、 前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出されるとともに、前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出される、消火ガス噴射装置。 【請求項3】 高圧の消火ガス供給源に接続される枝管に接続され、ノズル部を有する噴射ヘッドと、前記ノズル部から放出される消火ガスが流入する多孔質金属からなる吸音材と、前記吸音材に接触して前記吸音材を固定するリング部材と、前記噴射ヘッドと前記リング部材とを接続する接続部材とを備えたガス噴射装置であって、 前記ノズル部にはノズル孔が設けられており、 前記吸音材は消火ガスを放出する一方端面と、前記ノズル孔の開口と対面する他方端面とを有し、前記ノズル孔から放出される消火ガスを前記多孔質金属内へ前記他方端面から直接流入させることができ、消火ガスが前記ノズル孔から放出直後に過膨張して衝撃波を発生させる前に前記吸音材に流入させ、 前記接続部材は、前記噴射ヘッドに螺合することが可能な螺合部を含み、 前記一方端面は、前記リング部材に接する部分を除いて大気開放されており、前記枝管側には消火ガスが前記噴射ヘッドから放出されず、 前記吸音材の一方端面から消火ガスが大気へ放出されるとともに、前記吸音材の周面からも消火ガスが大気へ放出され、前記他方端面から前記一方端面まで前記吸音材は隙間なく詰められている、消火ガス噴射装置。 【請求項4】 前記吸音材は、多孔質金属のみからなる、請求項2または3に記載の消火ガス噴射装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-05-08 |
出願番号 | 特願2014-35425(P2014-35425) |
審決分類 |
P
1
651・
55-
YAA
(A62C)
P 1 651・ 161- YAA (A62C) P 1 651・ 537- YAA (A62C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 三宅 龍平、杉▲崎▼ 覚 |
特許庁審判長 |
中村 達之 |
特許庁審判官 |
三島木 英宏 松下 聡 |
登録日 | 2016-01-08 |
登録番号 | 特許第5864640号(P5864640) |
権利者 | エア・ウォーター防災株式会社 |
発明の名称 | 消火ガス噴射装置 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |
代理人 | 森 治 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |