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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1330065
異議申立番号 異議2016-700941  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-09-30 
確定日 2017-05-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5898347号発明「発光素子の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 平成29年2月7日付け訂正請求において、特許第5898347号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2について訂正することを認める。 特許第5898347号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5898347号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成28年3月11日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人尾田哲之より請求項1に対して特許異議の申立てがされ、同年12月12日付けで取消理由が通知され、平成29年2月7日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年3月10日に特許異議申立人尾田哲之から意見書が提出され、同年3月27日に訂正拒絶理由が通知され、同年4月25日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成29年2月7日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第5898347号(以下「本件特許」という。)の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、以下の訂正事項1ないし訂正事項4からなる。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」と記載されているものを、
「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とすることによって、比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載の発光素子の製造方法であって、
前記基板が、
単結晶サファイアからなる基材と、
前記基材上にエピタキシャル形成されてなる、Al_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層と、
からなり、
前記n型層形成工程においては、前記成長下地層の上に前記成長下地層よりAlモル濃度が低い前記n型層を形成する、
ことを特徴とする発光素子の製造方法。」と記載されているものを、
「発光素子の製造方法であって、
所定の基板の上に第1のIII族窒化物からなるn型層をエピタキシャル形成するn型層形成工程と、
前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、
前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、
を備え、
前記基板が、
単結晶サファイアからなる基材と、
前記基材上にエピタキシャル形成されてなる、Al_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層と、
からなり、
前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、
前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、
前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下であり、前記成長下地層の上に前記成長下地層よりAlモル濃度が低い前記n型層を形成する、
ことを特徴とする発光素子の製造方法。」に訂正する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0008】に「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」と記載されているものを、
「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とすることによって、比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」に訂正する。

(4)訂正事項4
願書に添付した明細書の段落【0010】に「請求項2の発明は、請求項1に記載の発光素子の製造方法であって、前記基板が、単結晶サファイアからなる基材と、前記基材上にエピタキシャル形成されてなる、AlpGa1-pN(0.8≦p≦1)からなる成長下地層と、からなり、前記n型層形成工程においては、前記成長下地層の上に前記成長下地層よりAlモル濃度が低い前記n型層を形成する、ことを特徴とする。」と記載されているものを、
「請求項2の発明は、発光素子の製造方法であって、所定の基板の上に第1のIII族窒化物からなるn型層をエピタキシャル形成するn型層形成工程と、前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、を備え、前記基板が、単結晶サファイアからなる基材と、前記基材上にエピタキシャル形成されてなる、Al_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層と、からなり、前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下であり、前記成長下地層の上に前記成長下地層よりAlモル濃度が低い前記n型層を形成する、ことを特徴とする。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正後の請求項1の発明特定事項である「前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とする」について、本件特許明細書の記載を参酌し、その技術的意味を検討する。

(ア)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある(下線は、当審が付加した。以下同様。)。
a 「【0028】
n型層2の比抵抗には、作製条件によって違いが生じる。本実施の形態においては、MOCVD法を用いる場合に、成長温度を1150℃?1200℃と設定し、成長圧力を10Torr?50Torrとすることが、n型層2の低抵抗化およびキャリア濃度の増加を実現するうえで好適であることが、本発明の発明者によって確認されている。その詳細については後述する。」

b 「【0033】
<n型層の低抵抗化>
次に、上述したn型層2の低抵抗化を実現する好適な作製条件について説明する。図2、図3、図4、および図5はこれを説明するための図である。ここでは、基材1aとしてサファイアを用い、成長下地層1bとしてAlNを形成してなる基板1を用い、MOCVD法によって、種々の条件でn型層2を形成した場合について示す。原料ガスとしては、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、およびNH_(3)を用い、それぞれの毎分の供給流量比が1:1:4000となるように供給している。また、Siドープのためのシランガスは、n型層2中のSi濃度が1×10^(19)/cm^(2)となるように供給している。」

c 「【0036】
図2および図3より、成長温度が1150℃?1200℃の場合に、高いキャリア濃度が得られ、かつ、1.5Ωcm以下という顕著な低抵抗が実現されてなることが確認される。また、図4および図5より、圧力が10Torr?50Torrの範囲で、高いキャリア濃度が得られ、やはり1.0Ωcm以下という低抵抗な状態が実現されてなる。これらより、成長温度を1150℃?1200℃と設定し、成長圧力を10Torr?50Torrとすることが、n型層2の低抵抗化およびキャリア濃度の増加を実現するうえで好適であるといえる。なお、これらの低抵抗な状態のn型層2において、良好な結晶品質が実現されているのは、上述の通りである。」

d 「【0040】
これらを鑑みると、n型層2における比抵抗の大小と、不純物であるO原子とC原子についての総和不純物濃度比との間には、相関があるものと判断される。その一方で、成長条件の変化に対する不純物濃度比の変化の挙動はO原子とC原子とで異なることから、これらを個別に制御するよりもむしろ、総和不純物濃度比を制御することが、n型層2の低抵抗化には有効であるといえる。例えば、総和不純物濃度比が概ね0.8以下であれば、1.5Ωcm以下という、比抵抗が充分に小さいn型層2の形成が実現されることになる。具体的には、上述したように、成長温度が1150℃?1200℃であり、成長圧力が10Torr?50Torrである場合に、係る低比抵抗のn型層2の形成が実現される。」

以上の記載によれば、
「前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とする」は、訂正前の「n型層形成工程」に、別途、何らかの「総和不純物濃度比制御工程」を追加することを意味するのではなく、少なくとも、本件特許明細書の【0033】に記載された特定の条件において、「形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより」、自ずと、達成されることであると解される。
以下、この解釈を踏まえて検討する。

(イ)特許請求の範囲の減縮
訂正前の請求項1の「n型層形成工程」は、「形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する」ものであるから、総和不純物濃度比を0.8以下とするものである。
そうすると、本件訂正により「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とすることによって、比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」に訂正することは、特許請求の範囲を実質的に減縮するものではない。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

(ウ)誤記又は誤訳の訂正
「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものを言い、誤記の存在が必要である。
そこで検討すると、訂正前の「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」との記載は、本件特許明細書との関係で、誤りであるとはいえない。
よって、訂正前の前記記載に誤記が存在するとはいえないから、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものではない。

(エ)明瞭でない記載の釈明
「明瞭でない記載の釈明」とは、特許明細書、特許請求の範囲又は図面中のそれ自体意味の不明瞭な記載、又は、特許明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載等、明細書、特許請求の範囲又は図面に生じている記載上の不備を正し、その記載本来の意味内容を明らかにすることをいう。
そこで検討すると、訂正前の「前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、」との記載は、明瞭であるから、訂正事項1は、特許請求の範囲に生じている記載上の不備を正して、その記載本来の意味内容を明らかにするものではない。
よって、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものではない。

(オ)請求項間の引用関係の解消
訂正事項1は、請求項間の引用関係の解消を目的とするものではない。

イ よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に規定する何れの事項を目的とする訂正ではないことから、訂正事項1についての訂正は認められない。

(2)訂正事項2について
ア 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しない、独立形式に改める訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ よって、訂正後の請求項2について訂正を認める。

(3)訂正事項3について
ア 訂正事項3は、上記訂正事項1に係る訂正にともない特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるところ、上記「(1)訂正事項1について」で検討したように、訂正事項1についての訂正は認められない。
そうすると、訂正事項3は、上記整合を図るためのものではなく、単に記載を改めるものにすぎない。そして、訂正前の記載に「誤記又は誤訳」があるとも認められない。

イ よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に規定する何れの事項を目的とする訂正ではないことから、訂正事項3についての訂正は認められない。

(4)訂正事項4について
ア 訂正事項4は、上記訂正事項2に係る訂正にともない特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ よって、訂正後の明細書の段落【0010】について訂正を認める。

3 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1及び訂正事項3についての訂正は認められず、訂正事項2及び訂正事項4についての訂正を認める。

第3 取消理由
当審において、請求項1に係る特許(以下「本件発明1」という。)に対して通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

【理由1】
本件発明1は、当業者が下記の甲第1号証に記載された甲1発明及び甲第2号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである。

甲1発明は、以下のものである。
「発光素子の製造方法であって、
サファイア基板の上にSiドープのn-Al_(0.69)Ga_(0.31)Nからなるn型層をエピタキシャル成長させる工程と、
n型層の上に、Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなる単一量子井戸層をエピタキシャル成長させる工程と、
単一量子井戸層の上に、Mgドープのp-Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなるp型層をエピタキシャル成長させる工程を備え、
n型層がAl_(0.69)Ga_(0.31)Nであり、
単一量子井戸層が紫外線領域である292nmの発光波長を有するAl_(0.4)Ga_(0.6)Nであり、
n型層の形成工程においては、温度を約1100℃(1050℃ないし1175℃)とし、形成圧力を76Torrとする、発光素子の製造方法。」(なお、下線は、当審で付した。以下同様。)

【理由2】
本件発明1は、当業者が下記の甲第1号証に記載された引用発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである。

引用発明は、以下のものである。
「発光素子の製造方法であって、
サファイア基板の上にSiドープのn-Al_(0.69)Ga_(0.31)Nからなるn型層をエピタキシャル成長させる工程と、
n型層の上に、Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなる単一量子井戸層をエピタキシャル成長させる工程と、
単一量子井戸層の上に、Mgドープのp-Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなるp型層をエピタキシャル成長させる工程を備え、
n型層がAl_(0.69)Ga_(0.31)Nであり、
単一量子井戸層が紫外線領域である292nmの発光波長を有するAl_(0.4)Ga_(0.6)Nであり、
n型層の形成工程においては、温度を約1100℃とし、形成圧力を76Torrとする、発光素子の製造方法。」

甲第1号証:Amy HANLON et al.、292nm AlGaN Single-Quantum Well Light Emitting Diodes Grown on Transparent AlN Base、Jpn.J.Appl.Phys.、日本、2003.発行、Vol.42、pp.L628-L630
甲第2号証:特開2002-359390号公報
甲第3号証:K.B.Nam, J.Li, M.L.Nakarmi, J.Y.Lin, and H.X.Jiang、Achieving highly conductive AlGaN alloys with high Al contents、APPLIED PHYSICS LETTERS、その他、2002.08.05発行、VOLUME 81, NUMBER 6、pp 1038-1040
甲第4号証:M.L.Nakarmi et al.、Transport properties of highly conductive n-type Al-rich Al_(x)Ga_(1-x)N(x>0.7)、APPLIED PHYSICS LETTERS、その他、2004.発行、VOLUME85,NUMBER17、p.3769-3771

第4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証については、下記「第5 当審の判断」を参照。
(2)甲第2号証には、「n-Al_(0.6)Ga_(0.4)N層を圧力15Torr、基板温度1150℃で形成する」という技術的事項が記載されている。
(3)甲第3号証には、「n-AlGaNを圧力50Torr、基板温度1050℃で形成し、比抵抗0.45ΩcmのAl_(0.7)Ga_(0.3)Nを得る」という技術的事項が記載されている。
(4)甲第4号証には、「0.0075Ωcmのn-Al_(0.7)Ga_(0.3)N」が記載されている。

第5 当審の判断
1 取消理由【理由1】について
(1)甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「発光素子の製造方法であって、
サファイア基板の上にSiドープのn-Al_(0.69)Ga_(0.31)Nからなるn型層をエピタキシャル成長させる工程と、
n型層の上に、Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなる単一量子井戸層をエピタキシャル成長させる工程と、
単一量子井戸層の上に、Mgドープのp-Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなるp型層をエピタキシャル成長させる工程を備え、
n型層がAl_(0.69)Ga_(0.31)Nであり、
単一量子井戸層が紫外線領域である292nmの発光波長を有するAl_(0.4)Ga_(0.6)Nであり、
n型層の形成工程においては、温度を約1100℃(1050℃ないし1175℃)とし、形成圧力を76Torrとする、発光素子の製造方法。」

(2)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下の点で相違する。
<相違点>
n型層形成工程に関して、
本件発明1は、「形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ
、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する」のに対して、
甲1発明は、温度を約1100℃(1050℃ないし1175℃)とし、形成圧力を76Torrとするものであって、比抵抗が不明である点。

(3)判断
ア そもそも、甲1発明の「n型層の形成工程」における温度及び形成圧力を、他の条件に変更しなければならないという課題はないことから、甲1発明の「n型層の形成工程」における温度及び形成圧力を変更する動機付けがない。

イ 確かに、甲第2号証には、「n-Al_(0.6)Ga_(0.4)N層を圧力15Torr、基板温度1150℃で形成する」という技術的事項が記載されているものの、甲第2号証は、「転位密度を低減することにより暗電流を抑制して光検出感度を向上させた半導体受光素子」に関するものであり、圧力15Torr及び基板温度1150℃は、低転位密度の窒化物半導体層を形成するための、一つの例示にすぎず、その条件で形成された「n-Al_(0.6)Ga_(0.4)N層」の比抵抗が小さくなることは記載されていないことから、甲1発明の「n型層の形成工程」における温度及び形成圧力の条件として採用する動機付けがない。

ウ 一方、甲第3号証及び甲第4号証には、比抵抗の小さな「Al_(0.7)Ga_(0.3)N」について記載され、さらに、甲第3号証には、「圧力50Torr、基板温度1050℃」で形成することも記載されていることから、甲1発明の「n型層(Al_(0.69)Ga_(0.31)N)」を形成するために、「n型層の形成工程」における温度及び形成圧力を「圧力50Torr、基板温度1050℃」に変更することは、当業者が容易に着想し得ることであるといえる。
しかしながら、当該「n型層(Al_(0.69)Ga_(0.31)N)」を、50Torrの圧力を維持したまま、基板温度だけを「1150℃以上1200℃以下」に高めた際に、同様に、比抵抗の小さな「n型層(Al_(0.69)Ga_(0.31)N)」を形成できることを示唆する記載はなく、その動機付けがあるとまではいえない。

エ そして、甲第2号証ないし甲第4号証の記載を総合しても、比抵抗を小さくするために、本件発明1と同様の条件を導き出せるものではない。

オ したがって、本件発明1は、当業者が甲第1号証に記載された甲1発明及び甲第2号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

カ まとめ
本件発明1に係る特許は、取消理由通知に記載した【理由1】、すなわち、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。

2 取消理由【理由2】について
(1)甲第1号証には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「発光素子の製造方法であって、
サファイア基板の上にSiドープのn-Al_(0.69)Ga_(0.31)Nからなるn型層をエピタキシャル成長させる工程と、
n型層の上に、Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなる単一量子井戸層をエピタキシャル成長させる工程と、
単一量子井戸層の上に、Mgドープのp-Al_(0.4)Ga_(0.6)Nからなるp型層をエピタキシャル成長させる工程を備え、
n型層がAl_(0.69)Ga_(0.31)Nであり、
単一量子井戸層が紫外線領域である292nmの発光波長を有するAl_(0.4)Ga_(0.6)Nであり、
n型層の形成工程においては、温度を約1100℃とし、形成圧力を76Torrとする、発光素子の製造方法。」

(2)対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、以下の点で相違する。
<相違点>
n型層形成工程に関して、
本件発明1は、「形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ
、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する」のに対して、
引用発明は、温度を約1100℃とし、形成圧力を76Torrとするものであって、比抵抗が不明である点。

(3)判断
ア 甲第3号証には、「n-AlGaNを圧力50Torr、基板温度1050℃で形成し、比抵抗0.45ΩcmのAl_(0.7)Ga_(0.3)Nを得る」という技術的事項が記載されていることから、引用発明の「n型層(Al_(0.69)Ga_(0.31)N)」を形成するために、「n型層の形成工程」における温度及び形成圧力を「圧力50Torr、基板温度1050℃」に変更することは、当業者が容易に着想し得ることであるといえる。
しかしながら、当該「n型層(Al_(0.69)Ga_(0.31)N)」を、50Torrの圧力を維持したまま、基板温度だけを「1150℃以上1200℃以下」に高めた際に、同様に、比抵抗の小さな「n型層(Al_(0.69)Ga_(0.31)N)」を形成できることを示唆する記載はなく、その動機付けがあるとまではいえない。

イ したがって、本件発明1は、当業者が甲第1号証に記載された引用発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。

ウ まとめ
本件発明1に係る特許は、取消理由通知に記載した【理由2】によっては、取り消すことができない。

第6 むすび
請求項1に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由(【理由1】)及び取消理由通知に記載した取消理由(【理由2】)によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
発光素子の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外領域に発光波長を有する発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物半導体は、ワイドバンドギャップを有しバンド間遷移が直接遷移型であることから、短波長領域(青?紫?紫外)の発光波長を有する発光素子の構成材料として好適である。
【0003】
このような発光素子の一例として、III族窒化物からなるn型層にSiドーパントを3×10^(17)cm^(-3)以上5×10^(19)cm^(-3)以下の濃度範囲で添加することでキャリア濃度を制御し、該n型層において高結晶品質と充分な移動度とが実現されており、かつ発光波長が紫外光領域の200nmである発光ダイオードおよび半導体レーザーがすでに公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-273398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いわゆるPN型の半導体発光素子であって、紫外領域に発光波長を有するものは、AlリッチなAlGaNを用いてこれを構成することで実現される。その発光効率を高めるには、n型層を、高い結晶品質を維持しつつ低抵抗化することが重要である。なぜならば、n型層の比抵抗は、キャリア濃度と移動度との積に反比例する関係にあることから、AlリッチなAlGaNを用いて形成したn型層において比抵抗の低減つまりは低抵抗化が実現されていれば、少なくともキャリア濃度の増加もしくは移動度の増加が生じていることになるからである。これらキャリア濃度の増加および移動度の増加はいずれも、発光効率の向上に寄与するものである。
【0006】
特許文献1においては、Alリッチな場合にn型層が高抵抗となることについての記載はあるが、係る場合のn型層の低抵抗化を実現する技術については具体的な開示はなされていない。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、紫外領域に発光波長を有する、高発光効率の発光素子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、発光素子の製造方法であって、所定の基板の上に第1のIII族窒化物からなるn型層をエピタキシャル形成するn型層形成工程と、前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、を備え、前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とすることによって、比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、発光素子の製造方法であって、所定の基板の上に第1のIII族窒化物からなるn型層をエピタキシャル形成するn型層形成工程と、前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、を備え、前記基板が、単結晶サファイアからなる基材と、前記基材上にエピタキシャル形成されてなる、Al_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層と、からなり、前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、比抵抗が1.5Ωcm以下であり、前記成長下地層の上に前記成長下地層よりAlモル濃度が低い前記n型層を形成する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、発光素子の製造方法であって、単結晶サファイアからなる基材の上にAl_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層をエピタキシャル形成してなる基板を、少なくとも1250℃以上に加熱する熱処理工程と、前記基板の上に、前記成長下地層よりもAlモル濃度の低い第1のIII族窒化物にてエピタキシャル形成するn型層形成工程と、前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、を備え、前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし請求項3の発明によれば、n型層において低抵抗と高い結晶品質とが実現されてなる、発光効率に優れた、紫外領域に発光波長を有する発光素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】発光素子10の断面構造を模式的に示す図である。
【図2】n型層2の成長温度と比抵抗との関係を示す図である。
【図3】n型層2の成長温度とキャリア濃度との関係を示す図である。
【図4】n型層2の成長圧力と比抵抗との関係を示す図である。
【図5】n型層2の成長圧力とキャリア濃度との関係を示す図である。
【図6】n型層2の不純物濃度比と成長温度との関係を示す図である。
【図7】n型層2の不純物濃度比と成長圧力との関係を示す図である。
【図8】Si原子の活性化率と総和不純物濃度比との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<発光素子の構成概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る発光素子10の断面構造の一例を模式的に示す図である。発光素子10は、基板1の上に、n型層2と、発光層3と、p型層4とがこの順にエピタキシャル形成されてなる積層構造体である。ここで、基板1は、基材1aと、その上にエピタキシャル形成されてなる成長下地層1bとからなる、いわゆるエピタキシャル基板である(あるいはテンプレート基板とも称される)。また、発光素子10においては、p型層4の上に、Au/Niなどでp型電極5が形成されてなる。さらに、発光層3およびp型層4の一部をエッチング等にて除去することにより露出させたn型層2の上に、Al/Tiなどのn型電極6が形成されてなる。なお、図示の都合上、図1の図面における各層の厚みの比率および縦横の比率は、実際の比率を反映したものではない。
【0016】
発光素子10は、いわゆるPN型の半導体発光素子である。p型電極5とn型電極6との間の電圧印加による発光層3へのキャリア閉じ込めとその再結合によって、所定波長の光を発光するものである。発光波長は、発光層3の組成などによって定まる。本実施の形態に係る発光素子10は、紫外領域に発光波長を有するよう構成される。
【0017】
基材1aは、その上に形成する成長下地層1bの有無に関わらず、その上に形成される層を含む各層の形成手法に応じて適宜に選択される。例えば、SiC(炭化ケイ素)やサファイアなどの基板を用いる。あるいは、ZnO、LiAlO_(2)、LiGaO_(2)、MgAl_(2)O_(4)、(LaSr)(AlTa)O_(3)、NdGaO_(3)、MgOといった各種酸化物材料、Si、Ge、Cといった各種IV族単結晶、SiGeといった各種IV-IV族化合物、GaAs、AlN、GaN、AlGaNといった各種III-V族化合物およびZrB_(2)といった各種ホウ化物の単結晶から適宜選択して用いてもよい。
【0018】
ただし、紫外領域に発光波長を有することから、基材1aとしては、当該領域の波長の光に対し透明な材料を用いることが望ましい。次述する成長下地層1bを構成するIII族窒化物の結晶構造との相性から鑑みると、基材1aとしてはサファイアが最も好適である。(0001)面を主面とするIII族窒化物結晶を成長下地層1bとして得る場合には、例えば(11-20)面及び(0001)面サファイアを基材1aとして用いることができる。また、(11-20)面を主面とするIII族窒化物結晶を成長下地層1bとして得る場合には、例えば(10-12)面サファイアを基材1aとして用いることができる。基材1aの厚みには特段の材質上の制限はないが、取り扱いの便宜上、数百μm?数mmの厚みのものが好適である。
【0019】
成長下地層1bは、例えばMOCVD法、MBE法、HVPE法などの公知の成膜手法によって形成された、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜である。ここでいうIII族窒化物結晶とは、例えばAl_(p)Ga_(1-p)N(0<p≦1)である。好ましくはAl_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)である。より好ましくはAlNである。ここで、AlNは単一組成で形成できるため、組成分布等の問題がなく、最も好ましい形態であるが、Al_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)とすることにより、AlNに物性が近似し、結晶品質、物性の面からほぼ同等の効果を有する。なお、MOCVD法には、PALE法(パルス原子層エピタキシ法;Pulsed Atomic Layer Epitaxy)、プラズマアシスト法やレーザーアシスト法などが併用できる。MBE法及びHVPE法に関しても、同様の技術を併用可能である。MOCVD法、MBE法及びHVPE法といった成長方法は、製造条件を高精度に制御することができるので、高品質な結晶を成長させることに適している。これらの成長方法に関しては、以降の各層の形成についても同様である。
【0020】
成長下地層1bは、数百nm?数μm程度の厚みに形成されるのが好適な一例である。下地層1bの表面形態については、例えば、ELO成長を促進するために加工された凹凸形状を有するもの、下地層1bの形成時にテキスチャー構造を有するもの、原子レベルで平坦な面を有するものなどを得ることができるが、好適な一例として、作製条件を適宜に定めることにより、最表面の表面粗さが0.3nm以下の成長下地層1bを有する基板1を得ることができる。すなわち、原子レベルの平坦性が実現されてなる基板1が得られる。本願においては、AFM(原子間力顕微鏡)によって評価される5μm×5μmの正方形領域における算術平均粗さRaを表面粗さとしている。
【0021】
MOCVD法にて成長下地層1bを形成する場合、基材1aの加熱温度を1300℃?1400℃の範囲に設定し、反応管内の圧力は10Torr?50Torrに設定して作製するのが、好適な一例である。
【0022】
なお、成長下地層1bは、一般的には1×10^(10)/cm^(2)程度ないしはそれ以上の転位を含んでいる。III族窒化物結晶においては、らせん転位および刃状転位という二種類の転位が存在しうるが、成長下地層1bにおいては刃状転位が主に存在する。なお、本実施の形態において、転位密度は平面TEMによって評価している。また、X線ロッキングカーブ測定による(0002)面の半値幅は150秒以下であり、(10-12)面の半値幅は1500秒以下である。
【0023】
成長下地層1bの厚みは、特に限定されるものではなく、最終的に利用されるデバイス構造あるいは使用形態に最適な膜厚を選択する。例えば、数nm?数mm程度の膜厚が想定される。また、成長下地層1bの組成は、平均組成を示しており、必ずしも組成を全て均一である必要はなく、例えば、傾斜組成にしたり、異なる組成の応力緩和層を挿入したりすることも可能である。
【0024】
また、成長下地層1b内には、成長下地層1bを形成する際に不可避的に含まれてしまうH、C、O、Si、B、In、遷移金属等の不純物が存在する場合もあるし、導電率制御のために意図的に導入される、Si、Ge、Be、Mg、Zn、Cdといった不純物を含んでいてもよい。
【0025】
n型層2は、上述のような基板1の上に、例えばMOCVD法、MBE法などの公知の成膜手法によって形成された、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜である。ただし、ここでいうIII族窒化物結晶とは、具体的には、波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)である。係る要件をみたす場合、発光層3から発せられる紫外光は吸収されることなくn型層を透過するので、発光素子10において高い発光効率が実現される。少なくとも、x>0.5であればこの要件をみたすことが、本発明の発明者によって確認されている。x=0.6がその好適な一例である。
【0026】
また、n型層2には、Siがn型のドーパントとして所定の濃度でドープされてなる。MOCVD法にてn型層2を作製する場合であれば、III族窒化物形成用の原料ガスの供給に併せて、シラン(SiH_(4))ガスを所定の供給流量で流すことにより、係るドープが実現される。また、一方で、n型層2には、C原子、O原子その他の不純物も不可避的に存在する。
【0027】
n型層2は、1?5μm程度の厚みに形成されるのが好適な一例である。作製条件を適宜に定めることにより、転位密度が1×10^(10)/cm^(2)以下で、X線ロッキングカーブ測定による(0002)面の半値幅が300秒以下であり、かつ(10-12)面の半値幅が1200秒以下である、結晶品質の良いn型層2を得ることができる。これにより、その上に形成する発光層3およびp型層4においても良好な結晶品質を得ることが可能となる。
【0028】
n型層2の比抵抗には、作製条件によって違いが生じる。本実施の形態においては、MOCVD法を用いる場合に、成長温度を1150℃?1200℃と設定し、成長圧力を10Torr?50Torrとすることが、n型層2の低抵抗化およびキャリア濃度の増加を実現するうえで好適であることが、本発明の発明者によって確認されている。その詳細については後述する。
【0029】
発光層3は、n型層2の上に、例えばMOCVD法、MBE法などの公知の成膜手法によって形成された、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜である。ただし、ここでいうIII族窒化物結晶とは、具体的には、紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)である。例えば、y=0.5であれば、紫外領域に属する波長260nmの発光が実現される。発光層3は、5nm?30nm程度の厚みに形成されるのが好適な一例である。なお、発光層3はInやBを含んでいてもよく、複数周期の量子井戸構造とすることもできる。
【0030】
p型層4は、発光層3の上に、例えばMOCVD法、MBE法などの公知の成膜手法によって形成された、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜である。ここでいうIII族窒化物結晶とは、例えばAl_(z)Ga_(1-z)N(0≦z≦1)である。z=0.6がその一例である。
【0031】
また、p型層4には、Mg、Be、Mg、Sr、Zn、Cdなどがp型のドーパントとして所定の濃度でドープされてなる。p型層4は、0.1?0.3μm程度の厚みに形成されるのが好適な一例である。
【0032】
基板1上へのn型層2、発光層3、およびp型層4の形成は、その全て、あるいは一部について、同一のMOCVD装置やMBE装置などを用いて、連続的に行う態様であってもよい。また、基板1がエピタキシャル基板である場合、基材1a上への成長下地層1bの形成からp型層4の形成に至るまでを、同一装置で行う態様であってもよい。
【0033】
<n型層の低抵抗化>
次に、上述したn型層2の低抵抗化を実現する好適な作製条件について説明する。図2、図3、図4、および図5はこれを説明するための図である。ここでは、基材1aとしてサファイアを用い、成長下地層1bとしてAlNを形成してなる基板1を用い、MOCVD法によって、種々の条件でn型層2を形成した場合について示す。原料ガスとしては、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG(トリメチルガリウム)、およびNH_(3)を用い、それぞれの毎分の供給流量比が1:1:4000となるように供給している。また、Siドープのためのシランガスは、n型層2中のSi濃度が1×10^(19)/cm^(2)となるように供給している。
【0034】
図2および図3はそれぞれ、成長温度を種々に変えてn型層2を形成した場合の、成長温度と生成されたn型層2の比抵抗の関係、および成長温度とn型層2のキャリア濃度との関係を示す図である。その際の圧力は15Torrである。なお、比抵抗は、渦電流抵抗測定器によって得られた値である。キャリア濃度は、水銀プローブを用いたCV測定によって得られた値である。また、成長温度とは、基板1の加熱温度を指し示しており、MOCVD装置を用いる場合であれば、基板1を設置するトレー(例えば耐腐食性コーティング付カーボン部材(4mm厚)で構成される)に近接する熱電対により測定される。圧力とは、MOCVD装置の反応管内の圧力を指し示している。これは図4および図5の場合についても同様である。
【0035】
図4および図5はそれぞれ、同じくMOCVD法によって、種々の成長圧力を与えてn型層2を形成した場合の成長温度と生成されたn型層2の比抵抗との関係、および成長圧力とn型層2のキャリア濃度の関係を示す図である。その際の温度は1200℃である。
【0036】
図2および図3より、成長温度が1150℃?1200℃の場合に、高いキャリア濃度が得られ、かつ、1.5Ωcm以下という顕著な低抵抗が実現されてなることが確認される。また、図4および図5より、圧力が10Torr?50Torrの範囲で、高いキャリア濃度が得られ、やはり1.0Ωcm以下という低抵抗な状態が実現されてなる。これらより、成長温度を1150℃?1200℃と設定し、成長圧力を10Torr?50Torrとすることが、n型層2の低抵抗化およびキャリア濃度の増加を実現するうえで好適であるといえる。なお、これらの低抵抗な状態のn型層2において、良好な結晶品質が実現されているのは、上述の通りである。
【0037】
図2ないし図5の結果によれば、n型層2の抵抗値が成長温度および圧力に対して単調に変化せず、いずれに対してもある値のところで減少から増加に転じている。つまりは、極小の状態が存在することになる。係る結果を生じさせると考えられる因子について、以下に示す。
【0038】
図6は、n型層2に存在するSi原子の濃度に対する、該n型層2に不純物として存在するO原子とC原子の濃度の比(これらを不純物濃度比と称する)と、成長温度との関係について示す図である。また、図6には、O原子とC原子の濃度の総和についても、不純物濃度比を示している(これを特に、総和不純物濃度比と称することがある)。また、図7は同様に、不純物濃度比と圧力との関係について示す図である。なお、各原子の濃度は、SIMS(2次イオン質量分析装置)によって測定している。SIMS測定にはPhysical Electronics社製の四重極型SIMS装置を用い、一次イオン(セシウムイオン)を加速電圧5keV、入射角60°で入射して測定を行った。また、絶対値校正用標準試料としてAlNとGaNを用いた。
【0039】
図6における不純物濃度の成長温度に対する変化と、図2における比抵抗の変化とを比較すると、図6におけるO原子とC原子それぞれについての不純物濃度比の温度に対する変化は、必ずしも、図2における比抵抗の変化と一致していない。しかしながら、総和不純物濃度比の成長温度に対する変化、具体的には、成長温度が1200℃までは成長温度が高いほど総和不純物濃度比が減少するが、1200℃より高温になると増加に転じるという変化、つまりは極小が存在するという変化は、比抵抗の成長温度に対する変化とよく一致している。図7における不純物濃度比の成長圧力に対する変化と、図4における比抵抗の変化とを比較してみても、同様のことがいえる。
【0040】
これらを鑑みると、n型層2における比抵抗の大小と、不純物であるO原子とC原子についての総和不純物濃度比との間には、相関があるものと判断される。その一方で、成長条件の変化に対する不純物濃度比の変化の挙動はO原子とC原子とで異なることから、これらを個別に制御するよりもむしろ、総和不純物濃度比を制御することが、n型層2の低抵抗化には有効であるといえる。例えば、総和不純物濃度比が概ね0.8以下であれば、1.5Ωcm以下という、比抵抗が充分に小さいn型層2の形成が実現されることになる。具体的には、上述したように、成長温度が1150℃?1200℃であり、成長圧力が10Torr?50Torrである場合に、係る低比抵抗のn型層2の形成が実現される。
【0041】
図8は、こうした総和不純物濃度比と比抵抗との相関の持つ意味について補足的に説明すべく示す、発光素子10においてドナーとして作用するSi原子の活性化率と、総和不純物濃度比との関係を示す図である。図8からは、総和不純物濃度比が0.8より小さい領域では、高い活性化率が得られることが分かる。活性化率が高いほどキャリア濃度は高くなることから、上述のような低抵抗状態の実現は、つまりはキャリア濃度の増加をもたらしているものと解される。また、図8は、O原子およびC原子をそれぞれ単独に減少させようとするよりもむしろ、その総和を減少させることが、キャリア濃度の増加にとって有効であること、つまりは発光効率の向上にとって有効であることを意味している。
【0042】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、紫外領域に発光波長を有する、高発光効率の発光素子が実現される。具体的には、低抵抗かつ高結晶品質で紫外領域の光に対する吸収能を持たないn型層を有する発光素子が実現できる。特に、低抵抗に関しては、n型層におけるSi原子の濃度値に対する、酸素原子と炭素原子の濃度値の総和の比率を0.8以下とすることで、1.5Ωcm以下という、充分に小さい比抵抗が実現される。
【0043】
<変形例>
上述したような、基材1aとその上にIII族窒化物結晶膜がエピタキシャル形成されてなる成長下地層1bとから構成される基板1を用いて発光素子10を形成する場合、n型層2の形成に先立って、基板1を、所定の処理装置によって少なくとも1250℃以上に、好ましくは1500℃以上に加熱する熱処理を行ってもよい。これにより、成長下地層1bを構成するIII族窒化物結晶の結晶品質の改善が実現される。係る熱処理は、特に成長下地層1bの転位の低減や表面におけるピットの解消に対して有効である。例えば、転位密度は、おおよそ1/10以下にまで減少する。特に、刃状転位を効果的に合体消失させることができる。上述の実施の形態において述べたように、成長下地層1bにおいては1×10^(10)/cm^(2)程度ないしはそれ以上の転位を含んでいるが、n型層2の形成に先立って、熱処理を適宜に行うことにより、成長下地層1bの転位は熱処理前よりも1オーダー程度減少する。また、熱処理せずに形成したn型層2においては、1×10^(10)/cm^(2)以下という転位密度が実現されてなるが、係る熱処理後に形成したn型層2においても、やはり、熱処理しない場合よりも転位密度が1オーダー程度減少することが、本発明の発明者によって確認されている。また、n型層2における転位の進行方向を、膜厚成長方向に平行に貫通する方向から、傾きを生じせしめ、転位密度の合体消失を促進するという効果も有する。併せて、n型層2をAlNの格子定数にコヒーレントに成長させ大きな圧縮応力を生じさせることも確認されている。
【0044】
すなわち、このような熱処理を行った上でn型層2を形成することで、n型層の結晶品質をさらに良好なものとすることができる。また、このような熱処理を加えた場合、O原子・C原子の不純物の取り込みを抑制するという効果も確認されている。
【0045】
なお、加熱温度を少なくとも1250℃以上とするのは、一般に、MOCVD法などで成長下地層1bを形成する際の基板自体の温度が1250℃以下であることから、それ以上の温度で加熱を行うことで、少なくとも転位の低減という効果が得られるからである。MOCVD法などの成膜手法は、一般に非平衡反応によって成膜を行う手法であるので、形成されるエピタキシャル膜には、熱平衡状態において存在する数よりも多くの結晶欠陥(転位など)が、いわば凍結されたような状態で存在していると考えられるが、1250℃以上に加熱することで、熱平衡状態に近づき、転位が低減されるものと推察される。ただし、これは、MOCVD法による成長下地層1bの形成温度を1250℃以下に限定するものではなく、それ以上の温度で形成するものであっても良い。Alを主成分とするIII族窒化物、特にAlNの場合、MOCVD法による形成温度を1250℃以上に高くすることが想定される。もちろん、1250℃以上の基板温度で成膜した場合においても、基板温度以上の温度で加熱処理を行うことにより、転位低減の効果は得られる。
【0046】
なお、このような加熱処理による結晶品質の改善は、成長下地層1bを構成するIII族窒化物において全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上である場合に特に有効であり、なかでもAlNの場合に有効である。III族窒化物がAlNの場合、組成揺らぎ等のばらつきの問題が無いので、品質管理上はこの場合が最も望ましいが、全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上であれば、AlNの場合と同じ温度の加熱処理において、同様の結晶品質の改善効果が確認され、加熱処理前の成長下地層1bの品質もAlNの場合とほぼ同程度の品質が得られる。全III族元素におけるAlの割合が80%未満の場合、AlNの場合と同じ温度で加熱処理を行うと、他のIII族元素、例えばGa成分の蒸発によるピットの発生が問題となり、表面平坦性が損なわれる場合がある。
【0047】
熱処理中の雰囲気に関しては、III族窒化物の分解を防ぐためにも窒素元素を含有する雰囲気であるのが望ましい。例えば、窒素ガス、アンモニアガスを含む雰囲気を用いることができる。熱処理時の圧力条件に関しては、減圧から加圧までどの圧力で行っても結晶品質が改善されることが、確認されている。
【0048】
なお、係る熱処理は、単結晶である基材1aの結晶配列の規則性を利用して、その上に形成された成長下地層1bの結晶品質の改善を行うものでもある。そのため、基材1aとして用いる材料は、結晶品質の改善のために行う熱処理の温度帯で分解、融解しないもの、あるいは、成長下地層1bを形成するIII族窒化物結晶と強く反応しないものが望ましい。ただし、熱処理により基材1aと成長下地層1bとの界面において全体的にあるいは局所的に極薄の反応生成物が生成されることは、本発明からは除外されない。転位の低減等のためのバッファ層的な役割を果たすなど、こうした極薄の反応生成物が存在した方がむしろ好ましい場合もある。
【0049】
従って、熱処理は、基材1aの融点を超えない温度範囲で、あるいは、基材1aと成長下地層1bとの反応生成物の生成が顕著に起こらない温度範囲つまりは過度な反応による成長下地層1bの結晶品質の劣化が生じない温度範囲で行うことが望ましい。特に、基材1aとしてサファイアを用い、成長下地層1bをAlを含むIII族窒化物にて形成する場合には、両者の界面にγ-ALONが顕著に形成されない温度範囲で熱処理を行うことが好ましい。γ-ALONが顕著に形成されてしまうと、成長下地層1bの表面粗さが大きくなり、デバイス応用が困難となってしまうからである。
【符号の説明】
【0050】
1 基板
1a 基材
1b 成長下地層
2 n型層
3 発光層
4 p型層
5 p型電極
6 n型電極
10 発光素子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の製造方法であって、
所定の基板の上に第1のIII族窒化物からなるn型層をエピタキシャル形成するn型層形成工程と、
前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、
前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、
を備え、
前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、
前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、
前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、前記n型層に存在するSi原子の濃度に対するO原子とC原子の濃度の総和の比である総和不純物濃度比を0.8以下とすることによって、比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、
ことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項2】
発光素子の製造方法であって、
所定の基板の上に第1のIII族窒化物からなるn型層をエピタキシャル形成するn型層形成工程と、
前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、
前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、
を備え、
前記基板が、
単結晶サファイアからなる基材と、
前記基材上にエピタキシャル形成されてなる、Al_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層と、
からなり、
前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、
前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、
前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより、比抵抗が1.5Ωcm以下であり、前記成長下地層の上に前記成長下地層よりAlモル濃度が低い前記n型層を形成する、
ことを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項3】
発光素子の製造方法であって、
単結晶サファイアからなる基材の上にAl_(p)Ga_(1-p)N(0.8≦p≦1)からなる成長下地層をエピタキシャル形成してなる基板を、少なくとも1250℃以上に加熱する熱処理工程と、
前記基板の上に、前記成長下地層よりもAlモル濃度の低い第1のIII族窒化物にてエピタキシャル形成するn型層形成工程と、
前記n型層の上に、第2のIII族窒化物からなる発光層をエピタキシャル形成する発光層形成工程と、
前記発光層の上に、第3のIII族窒化物からなるp型層をエピタキシャル形成する形成するp型層形成工程と、
を備え、
前記第1のIII族窒化物が波長が300nm以下の光に対する吸収能を有さない組成範囲のAl_(x)Ga_(1-x)N(0≦x≦1)であり、
前記第2のIII族窒化物が紫外領域に発光波長を有する組成範囲のAl_(y)Ga_(1-y)N(0≦y≦1)であり、
前記n型層形成工程においては、形成温度を1150℃以上1200℃以下とし、かつ、形成圧力を10Torr以上50Torr以下とすることにより比抵抗が1.5Ωcm以下の前記n型層を形成する、
ことを特徴とする発光素子の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-17 
出願番号 特願2015-2758(P2015-2758)
審決分類 P 1 652・ 121- YAB (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 村井 友和  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 恩田 春香
星野 浩一
登録日 2016-03-11 
登録番号 特許第5898347号(P5898347)
権利者 日本碍子株式会社
発明の名称 発光素子の製造方法  
代理人 有田 貴弘  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  
代理人 吉竹 英俊  

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