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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
管理番号 1330084
異議申立番号 異議2016-700269  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-31 
確定日 2017-06-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5843417号発明「歯周疾患治療用組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5843417号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 特許第5843417号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5843417号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成21年6月4日に特許出願され、平成27年11月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成28年3月31日に特許異議申立人 野田澄子により特許異議の申立てがなされたものである。
これ以降の経緯は次のとおりである。
平成28年 9月30日 取消理由通知書
平成28年10月20日 訂正請求書、意見書提出(特許権者)
平成28年12月 7日 意見書、上申書、甲第5?8号証提出
(特許異議申立人)
平成28年12月21日 取消理由通知書
平成29年 2月21日 訂正請求書、意見書提出(特許権者)
平成29年 3月30日 意見書、上申書提出(特許異議申立人)

第2 訂正請求
平成28年10月20日付け訂正請求書による訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
平成29年2月21日付け訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正」という。)の趣旨及び訂正の内容は、それぞれ以下のとおりのものである。

1 請求の趣旨
特許第5843417号の特許請求の範囲を本請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?3について訂正することを求める。

2 訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)炭素数2?4の一価又は二価のアルコールを1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?30質量%
含有し、かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。」
とあるのを、
「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、
(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有されるか、
又は
(ii)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?1質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?10質量%含有され、
かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「塩化セチルピリジニウムを0.1?0.3質量%含有する、請求項1に記載の歯周疾患治療用組成物。」とあるのを、
「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.3質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?10質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の歯周疾患治療用組成物。」とあるのを、
「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、
エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?5質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?5質量%含有され、
かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。」
に訂正する。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の実質的な拡張又は変更の存否について
ア 訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された
(D)成分のグリセリンについて、その含有量を「5?30質量%」から「5?20質量%」と限定し、
(B)成分について、「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールを1?15質量%」から
「エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%」であって「(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有されるか、又は(ii)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?1質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?10質量%含有され」るものと限定するものである。
このため、訂正事項1は、特許法120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。

また、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」ともいう。)には、(D)成分であるグリセリンの含有量について、段落【0020】に「さらに好ましくは5?20質量%である。」と記載され、段落【0052】の表5でも、実施例として、グリセリンを20質量%含有する組成物が実施例として記載されている。
さらに、本件特許明細書には、(B)成分について、段落【0010】に「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である」と記載され、段落【0019】に「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールであれば特に制限されないが、なかでもプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エタノールが好ましい。なお、炭素数2?4の一価又は二価のアルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて配合できる。」と記載されているし、
段落【0052】の表5には、実施例として、
エタノール15質量%、プロピレングリコール0質量%、1,3-ブチレングリコール0質量%を含有する組成物(実施例5?7、21)、
エタノール0質量%、プロピレングリコール1または10質量%、1,3-ブチレングリコール0質量%を含有する組成物(実施例8、11、12、22、23、25)、
エタノール0質量%、プロピレングリコール0質量%、1,3-ブチレングリコール1または10質量%を含有する組成物(実施例13、16、17、26、27、29)
が具体的に記載されており、これら組成物のエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールの含有量は、訂正後の請求項1で特定するエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールの含有量の上限値、下限値に相当する。
したがって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合する。

イ 訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項2において、「塩化セチルピリジニウムを0.1?0.3質量%含有する、請求項1に記載の歯周疾患治療用組成物。」を、訂正前の請求項1を引用せずに書き下し、
さらに、
(D)成分のグリセリンについて、その含有量を「5?30質量%」から「5?20質量%」と限定し、
(B)成分について、「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールを1?15質量%」から「エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?10質量%」と限定するものである。
このため、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同法同条同項ただし書第4号に掲げる引用関係の解消を目的とする訂正である。

また、本件特許明細書には、(D)成分であるグリセリンの含有量について、段落【0020】に「さらに好ましくは5?20質量%である。」と記載され、段落【0052】の表5でも、実施例として、グリセリンを20質量%含有する組成物が実施例として記載されている。
さらに、本件特許明細書には、(B)成分について、段落【0010】に「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である」と記載され、段落【0052】の表5には、実施例として、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールのいずれかを10質量%含有する組成物(実施例4、11、12、16、17、20、25、29)が具体的に記載されており、当該組成物のエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールの含有量は、訂正後の請求項2で特定するエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールの含有量の上限値に相当する。
したがって、訂正事項2は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合する。

ウ 訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の請求項3において、「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の歯周疾患治療用組成物。」とあるのを、訂正前の請求項1を引用せずに書き下し、
さらに、
(D)成分のグリセリンについて、その含有量を「5?30質量%」から「5?20質量%」と限定し、
(B)成分の含有量について、「エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?5質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?5質量%含有され」るという条件をさらに設けて、限定をするものである。
このため、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮、及び、同法同条同項ただし書第4号に掲げる引用関係の解消を目的とする訂正である。

また、本件特許明細書には、(D)成分であるグリセリンの含有量について、段落【0020】に「さらに好ましくは5?20質量%である。」と記載され、段落【0052】の表5でも、実施例として、グリセリンを20質量%含有する組成物が実施例として記載されている。
さらに、本件特許明細書には、(B)成分について、段落【0019】に「炭素数2?4の一価又は二価のアルコールであれば特に制限されないが、なかでもプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エタノールが好ましい。なお、炭素数2?4の一価又は二価のアルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて配合できる。」と記載され、
段落【0052】の表5には、実施例として、
エタノール15質量%、プロピレングリコール0質量%、1,3-ブチレングリコール0質量%を含有する組成物(実施例5?7、21、)、
エタノール0質量%、プロピレングリコール5質量%、1,3-ブチレングリコール0質量%を含有する組成物(実施例10、24)、
エタノール0質量%、プロピレングリコール0質量%、1,3-ブチレングリコール5質量%を含有する組成物(実施例15、28)
が具体的に記載されており、これら組成物のエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールの含有量は、訂正後の請求項3で特定するエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールの含有量の上限値、下限値に相当する。
したがって、訂正事項3は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないので、特許法120条の5第9項で準用する同法第126条第5、6項の規定に適合する。

(2)一群の請求項について
訂正前の請求項1?3は、請求項2及び3が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。

4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項で準用する同法第126条第4?6項に規定する要件に適合するものであるので、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。
訂正後の請求項2に係る訂正事項2、訂正後の請求項3に係る訂正事項3は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項2、3について訂正が認められるときは請求項1とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項1、2、3について請求項ごとに訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件訂正発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明は、平成29年2月21日付け訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める(以下、それぞれ「本件訂正発明1」、「本件訂正発明2」、「本件訂正発明3」という。)。

「【請求項1】
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、
(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有されるか、
又は
(ii)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?1質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?10質量%含有され、
かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。

【請求項2】
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.3質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?10質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。

【請求項3】
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、
エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?5質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?5質量%含有され、
かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。」

2 取消理由通知に記載した取消理由(サポート要件)について
(1) 取消理由の概要
訂正前の請求項1?3に係る特許に対して、平成28年9月30日付け、平成28年12月21日付けで通知した取消理由の要旨は、次のア、イのとおりであって、いずれも、本件特許は特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、取り消されるべきであるというものである。

ア 平成28年9月30日付け取消理由通知書
「本件特許の請求項1?3に係る発明の課題は、本件特許明細書【0008】【0009】の記載から、「一般用歯周病薬(歯槽膿漏薬)として配合前例のあるクロルヘキシジン塩酸塩0.1質量%と同等以上の歯垢形成抑制効果を示す0.1質量%以上の塩化セチルピリジニウムを含有し、油溶性香料が可溶化されて外観性状も好適で、かつ口腔適用時の苦み・刺激感・灼熱感が低減され使用感にも優れた、歯周疾患治療用組成物を提供すること」であると認められる。
一方、本件特許明細書の実施例の表5では、本件特許の請求項1?3に係る発明に包含される比較例6、10の組成物は、苦み、灼熱感に関する評価が「+」(強く感じられる、気になる)、総合評価が「×」であり、また、比較例2、5、9、12、14、16の組成物も、本件特許の請求項1?3に係る発明に包含されるにも関わらず、灼熱感に関する評価が「+」、総合評価は「×」であることが記載されている。すなわち、当該記載は、本件特許の請求項1?3に係る発明に包含される比較例2、5、6、9、10、12、14、16の組成物が、口腔適用時の苦み、灼熱感を低減できておらず、使用感に優れていないことを示すものであるから、本件特許明細書において、本件特許の請求項1?3に係る発明が上記課題を解決できていないことが示されているといえる。
したがって、本件特許の請求項1?3に係る発明は、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を越えていると認められる。
よって、本件特許の請求項1?3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。」

イ 平成28年12月21日付け取消理由通知書
「本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、(B)成分が、プロピレングリコール15質量%、または、1,3-ブチレングリコール15 質量%である組成物が、口腔適用時の苦みを低減できると認識できない。したがって、本件発明1?3は、「発明の課題を解決できることを認識できるように記載された範囲」を越えている。
よって、本件発明1?3は、発明の詳細な説明に記載したものでない。」

(2) 本件特許明細書の記載
「【0008】
そこで、以上の知見を参考にしつつ、一般用歯周病薬(歯槽膿漏薬)として配合前例のあるクロルヘキシジン塩酸塩0.1質量%と同等以上の歯垢形成抑制効果を示す濃度(0.1質量%以上)の塩化セチルピリジニウムを含有し、油溶性香料が可溶化されて外観性状も好適で、かつ口腔適用時の苦み・刺激感が低減され使用感にも優れた、歯周疾患治療用組成物を提供することを目的に、研究を進めた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上述のような歯周疾患治療用組成物の製造を鋭意検討し、驚くべき事に、
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)炭素数2?4の一価又は二価のアルコールを1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?50質量%
含有することを特徴とする、歯周疾患治療用組成物であれば、クロルヘキシジン塩酸塩0.1質量%と同等以上の歯垢形成抑制効果を示す濃度(0.1質量%以上)の塩化セチルピリジニウムを含有し、油溶性香料が可溶化されて外観性状も好適で、かつ口腔適用時の苦み・刺激感・灼熱感が低減されて使用感にも優れた、歯周疾患治療用組成物を提供できることを見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。

「【表5】




(3) 判断
本件訂正発明1?3の課題は、上記「ア 平成28年9月30日付け取消理由通知書」でも述べたとおり、本件特許明細書段落【0008】【0009】の記載から、「一般用歯周病薬(歯槽膿漏薬)として配合前例のあるクロルヘキシジン塩酸塩0.1質量%と同等以上の歯垢形成抑制効果を示す0.1質量%以上の塩化セチルピリジニウムを含有し、油溶性香料が可溶化されて外観性状も好適で、かつ口腔適用時の苦み・刺激感・灼熱感が低減され使用感にも優れた、歯周疾患治療用組成物を提供すること」であると認められる。

一方、本件特許明細書の実施例の表5では、本件訂正発明1?3に相当する組成物である実施例1?29において、いずれも、苦み、刺激感、灼熱感に関する評価が「-」(ほとんど感じられない、気にならない程度)、総合評価が「○」であって、上記課題を解決できることが記載されている。これら実施例は、(A)成分の塩化セチルピリジニウムが0.1、0.3質量%、(C)成分のl-メントールが0.1質量%、(D)成分のグリセリンが5、10、15、20質量%であって、(B)成分については、エタノールが1、3、5、10、15質量%、プロピレングリコールまたは1,3-ブチレングリコールが1、3、5、10質量%である組成物であるところ、本件訂正発明1?3で特定する各成分の含有量は、これら実施例の各成分の含有量の近傍にあるから、上記課題を解決できることが記載されている実施例1?29と同様の評価となる蓋然性が高い。
そして、本件訂正発明1?3は、平成28年9月30日付け取消理由通知書において、口腔適用時の苦み、灼熱感を低減できていないと指摘した、当該表5の比較例2、5、9、12、14、16の組成物、及び、平成28年12月21日付け取消理由通知書において、発明の詳細な説明の記載から口腔適用時の苦みを低減できると認識できないと指摘した、(B)成分がプロピレングリコール15質量%または1,3-ブチレングリコール15 質量%である組成物を包含していない。
したがって、本件訂正発明1?3は、発明の詳細な説明の記載により当業者が上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。

なお、特許異議申立人は、平成29年3月30日付け意見書において、「これに対して、本件特許明細書には、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールを単独で使用した実施例しか示されておらず、これらの内2種又は3種を組み合わせて使用した場合の実施例は皆無である。そうすると、訂正後の本件特許発明1?3において、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールを2種以上組み合わせた実施態様については、「口腔適用時の苦味・刺激感が低減され使用感にも優れた、歯周病疾患治療用組成物」を提供するという課題が解決できるとは、到底認識できるものではない。」と主張する。
しかしながら、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールは、いずれも周知の基剤成分であって、口腔用組成物においてしばしば併用されるものである(必要であれば、甲第1、2号証も参照)。そして、特許異議申立人は、併用したことによって、苦味、刺激感、灼熱感が増強されるというような証拠を示してはいないし、そのような技術常識が出願時に存在したともいいがたい。このため、エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールを併用した実施例が記載されていないことのみを根拠に、本件訂正発明1?3が、当該発明の課題を解決できないとの特許異議申立人の主張は、理由がない。

したがって、訂正後の本件特許は特許請求の範囲の記載が上記取消理由によっては特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとされるものではない。

3 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由(特許異議申立書に記載の「取消理由2?4(または理由II?IV)」)について
(1) 実施可能要件(特許異議申立書に記載の「取消理由2(または理由II)」)について
特許異議申立人は、訂正前の請求項1?3に係る発明は、本件特許明細書の表5に記載された比較例2、5、6、9、10、12、14、16の組成物を包含し、口腔適用時の苦み、灼熱感を低減できていないことが実証されているから、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、当業者が訂正前の請求項1?3に係る発明について所期の効果を奏するものとして実施できる程度に明確且つ十分に記載されたものとはいえず、訂正前の請求項1?3に係る発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであると主張する。(特許異議申立書第5頁下から第5行?第7頁第21行)
しかしながら、本件訂正発明1?3は、本件特許明細書の表5に記載のこれら比較例を包含しないものとなっているから、当該主張は理由がない。

(2) 新規性(特許異議申立書に記載の「取消理由3(または理由III)」)について
ア 特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、甲第1号証(特開2000-178151号公報)の実施例8に記載された口腔用組成物を引用発明1とし、訂正前の請求項1?3に係る発明は、引用発明1であると主張する。(特許異議申立書第7頁第22行?第25頁最下行)

イ 甲第1号証の記載
本件特許の出願の日前に頒布された刊行物である甲第1号証には、次の事項が記載されている。

(1a)「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩類含有口腔用組成物に対して、特定のセルロース系高分子を配合した組成物を用いるときには、その塩類に起因する後味の悪さがすみやかに解消することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムの中から選ばれる1種又はそれ以上の塩を配合した口腔用組成物において、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びエチルヒドロキシエチルセルロースの中から選ばれる少なくとも1種のセルロース系高分子を配合することを特徴とする口腔用組成物が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の口腔用組成物は、塩類を含有する組成物であり、このようなものには、口腔内に適用される各種の製品が包含される。このような製品には、洗口剤、歯周ポケット用製剤等の液体製剤、練歯磨、液状歯磨、口中清涼剤、洗浄剤、口腔用水性ゲル基剤等が挙げられる。本発明組成物に配合する塩類は、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウムの中から選ばれる少なくとも1種の塩である。これらの塩は、組成物中に溶解状態でも、未溶解状態で存在してもよいが、その配合量は、塩類合計量で、0.5?30重量%、好ましくは1?10重量%である。その配合量が前記範囲より少ないと、塩類の十分な添加効果が発現されず、一方、前記範囲を超えると、組成物の安定性に悪影響が出る場合がある。
」【0004】【0005】

(1b)「【0013】着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。また、有効成分としては、クロルヘキシジン、ベンゼトニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、デカニウムクロライドなどの陽イオン性殺菌剤、トリクロサン、ヒノキチオール、ビオゾールなどのフェノール性化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチームアミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、スーパーオキシドジスムターゼ等の酵素、ビタミンE、ビタミンC等のビタミン類、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カルムなどのアルカリ金属モノフルオロリン酸塩、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズなどの不可物フッ化物、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、ビサボロール、グリセロフォスフェート、クロロフィル、水溶性無機リン酸化合物などの公知の有効成分を1種又は2種以上配合しうる。」

(1c)「【0019】実施例7?20
表2及び表3に示す成分組成(重量%)の液体製剤を調製し、その塩味評価を行った。その結果を表2及び表3に示す。
【0020】
【表2】

」【0019】【0020】

(1d)「【0022】表2及び表3の有効成分としては、表3に示した各成分を表4に示した配合量で用いた。
【0023】
【表4】

」【0022】【0023】

(1e)「【0031】次に、香料の成分組成(重量%)例を表5に示す。本発明においては、それらの香料A?Gはいずれも使用することができる。
【0032】
【表7】

」【0031】【0032】

ウ 判断
特許異議申立人が引用発明1とする、甲第1号証の実施例8に記載された口腔用組成物について検討する。

当該実施例8に記載の「有効成分」は、記載事項(1d)から、表4に記載された有効成分および配合量で用いることを意味し、「香料」は、記載事項(1e)の記載から、表7に記載された香料A?Gを意味すると理解できる。
このため、実施例8には、
「Na_(2)SO_(4) 4重量%
HEtMe-CEL 5重量%
エタノール 5重量%
ポリエチレングリコール 3重量%
プロピレングリコール 3重量%
グリセリン(85%) 15重量%
ソルビトール(70%) 3重量%
キサンタンガム 1.2重量%
安息香酸Na 0.3重量%
メチルパラベン 0.01重量%
ブチルパラベン 0.01重量%
サッカリンNa 0.01重量%
表4に記載された有効成分および配合量のいずれか
表7に記載された香料A?Gのいずれか 1.3重量%
を含有する口腔用組成物」(以下、「実施例8発明」という。)が記載されていると認められる。
次に、実施例8発明と本件訂正発明1とを対比する。
実施例8発明における「重量%」は、本件訂正発明1における「質量%」と実質的に同じ単位を意味すると理解できる。
そして、実施例8発明における「エタノール 5重量%」「プロピレングリコール 3重量%」は、本件訂正発明1における「(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%」および「(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有される」に包含される。
また、実施例8発明における「グリセリン(85%) 15重量%」は、本件訂正発明1における「D)グリセリンを5?20質量%」に包含されるし、実施例8発明は、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しないことも明らかである。

したがって、本件訂正発明1と実施例8発明とは、「(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量% (D)グリセリンを5?20質量%含有し、 (i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有され、かつ アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、口腔用組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
有効成分について、本件訂正発明1は、塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%と特定するのに対して、実施例8発明は、表4に記載された有効成分および配合量のいずれかである点

(相違点2)
香料について、本件訂正発明1は、l-メントールを0.05?0.2質量%と特定するのに対して、実施例8発明は、表7に記載された香料A?Gのいずれかを1.3重量%とする点

(相違点3)
口腔用組成物の用途について、本件訂正発明1は、歯周疾患治療用であるのに対して、実施例8発明は、歯周疾患治療用とは特定していない点

したがって、本件訂正発明1は、実施例8発明ではない。

また、本件訂正発明2、3と実施例8発明とを対比すると、本件訂正発明1と同様、
(相違点1)有効成分について、本件訂正発明2は、塩化セチルピリジニウムを0.1?0.3質量%、本件訂正発明3は、塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%と特定するのに対して、実施例8発明は、表4に記載された有効成分および配合量のいずれかである点、
(相違点2)香料について、本件訂正発明2、3は、l-メントールを0.05?0.2質量%と特定するのに対して、実施例8発明は、表7に記載された香料A?Gのいずれかを1.3重量%とする点、
(相違点3)口腔用組成物の用途について、本件訂正発明2、3は、歯周疾患治療用であるのに対して、実施例8発明は、歯周疾患治療用とは特定していない点で相違する。
したがって、本件訂正発明2、3は、実施例8発明ではない。

よって、新規性についての特許異議申立人の主張は、理由がない。

(3) 甲第1号証に記載された発明に基づく進歩性(特許異議申立書に記載の「取消理由4(または理由IV)」)について
ア 特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、訂正前の請求項1?3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。(特許異議申立書第7頁第22行?第25頁最下行)

イ 判断
上記(2)ウで述べた相違点1、3について検討する。
甲第1号証の段落【0005】には、「本発明の口腔用組成物は、塩類を含有する組成物であり、このようなものには、口腔内に適用される各種の製品が包含される。このような製品には、洗口剤、歯周ポケット用製剤等の液体製剤、練歯磨、液状歯磨、口中清涼剤、洗浄剤、口腔用水性ゲル基剤等が挙げられる。」(記載事項(1a))と記載され、実施例8発明の有効成分を記載する表4でも(記載事項(1d))、歯周疾患治療を目的とした成分でないことが明らかなフッ化ナトリウムやビタミンE等が列挙されている。そして、実施例8では、塩味(後味)の評価しか記載されていない(記載事項(1c))ことも勘案すると、実施例8発明は、歯周疾患治療用のみならず、洗口剤用、液状歯磨用、口中清涼剤用、洗浄剤用等をも包含する口腔用組成物と理解できる。
さらに、当該表4に記載の有効成分の一つである、CPC(塩化セチルピリジニウム)は、殺菌剤であることが段落【0013】に記載されているものの(記載事項(1b))、塩化セチルピリジニウムの歯周疾患治療効果に着目した記載はない。また、殺菌剤は洗口剤用、液状歯磨用、口中清涼剤用、洗浄剤用にも使用される成分であるから、CPCが歯周疾患治療のみに使用される有効成分ともいえない。すなわち、口腔用組成物の有効成分を塩化セチルピリジニウムに特定することによって、自ずと歯周疾患治療用に特定されるものではない。
したがって、実施例8発明の有効成分を列挙する表4の中に、塩化セチルピリジニウムが存在するとしても、塩化セチルピリジニウムを選択した上で、さらに当該成分において考え得るいくつかの用途の中から、歯周疾患治療用と特定するための動機付けを見出せない。

なお、異議申立人は、甲第1号証の段落【0005】に列挙されている用途の一つである「歯周ポケット用」が、「歯周疾患の治療用途に対して使用できることは、当業者であれば当然に把握できる事項である」点を根拠に、実施例8発明を「歯周疾患治療用とすることに何の技術的困難を伴うものではない」と主張する。(特許異議申立書第22頁第10行?第23頁第6行)
しかしながら、実施例8発明の有効成分を列挙する表4には、歯周疾患治療を目的としない成分が列挙されているだけでなく、歯周疾患治療が目的となり得る成分として、塩化セチルピリジニウム以外にも塩酸クロルヘキシジン等複数記載されている。すなわち、甲第1号証の記載から、歯周疾患治療に使用する有効成分は、塩化セチルピリジニウムしかあり得ないとまでは理解できない。
このため、実施例8発明の用途の一つとして、歯周疾患治療用を把握できたとしても、歯周疾患治療用とした上で、さらに、その有効成分を塩化セチルピリジニウムと特定するための動機付けを見出せない。

また、仮に、有効成分及び用途を特定するための動機付けが存在するとしても、そもそも甲第1号証では、塩化セチルピリジニウムを含有させたことによる口腔時の苦味・刺激感、界面活性剤を使用したことによる塩化セチルピリジニウムの殺菌効果及び歯垢形成抑制効果の低下、油溶性香料の安定性について記載も示唆もされていない。
このため、0.1質量%以上の塩化セチルピリジニウムを含有しても使用感に優れ、界面活性剤を含有しなくてもl-メントールを可溶化でき、界面活性剤を含有しないことによって塩化セチルピリジニウムの殺菌効果及び歯垢形成抑制効果を増強できるという、本件訂正発明1?3の効果は、甲第1号証から予測し得ない有利な効果であるといえる。

したがって、本件訂正発明1?3は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、甲第1号証に記載された発明に基づく進歩性についての特許異議申立人の主張は理由がない。

(4) 甲第2号証に記載された発明に基づく進歩性(特許異議申立書に記載の「取消理由4(または理由IV)」)について
ア 特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、甲第2号証(特開2006-306768号公報)の【0029】に記載された「のどスプレー」を引用発明2A、【0029】に記載された「マウススプレー」を引用発明2Bとし、訂正前の請求項1?3に係る発明は、引用発明2Aまたは引用発明2Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する(特許異議申立書第26頁第1行?第36頁最下行)。

イ 甲第2号証の記載
本件出願の日前に頒布された刊行物である甲第2号証には、次の事項が記載されている。

(2a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレハロース、エリスリトール及びパラチニットからなる群から選択される少なくとも1種とカチオン性抗菌剤を含有する口腔又は咽喉用殺菌組成物。
【請求項2】
カチオン性抗菌剤が塩化セチルピリジニウムである請求項1に記載の口腔又は咽喉用殺菌組成物。
【請求項3】
組成物全体に対する塩化セチルピリジニウムの配合量が0.2?0.6重量%である請求項2に記載の口腔又は咽喉用殺菌組成物。
【請求項4】
さらに、ステビア系甘味料を含有する請求項1?3のいずれかに記載の口腔又は咽喉用殺菌組成物。
【請求項5】
液体又は液状である請求項1?4のいずれかに記載の口腔又は咽喉用殺菌組成物。
【請求項6】
液体歯磨用、液状歯磨用、洗口剤用、マウススプレー用、のどスプレー用、含嗽剤用のいずれかである請求項5に記載の口腔又は咽喉用殺菌組成物。
【請求項7】
スプレー用である請求項5に記載の口腔又は咽喉用殺菌組成物。」【特許請求の範囲】

(2b)「【0005】
したがって、本発明は、カチオン性抗菌剤が高濃度に配合された場合であっても、その独特の苦味がマスキングされた呈味の良い、またカチオン性抗菌剤の抗菌活性を損なうことのない、口腔又は咽喉用殺菌組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、トレハロース、エリスリトール、パラチニットのいずれかを配合した口腔又は咽喉用殺菌組成物が、カチオン性抗菌剤独特の苦味がマスキングされた呈味の良い、またカチオン性抗菌剤の抗菌活性を損なうことのないものであることを見出し本発明を完成させた。」【0005】【0006】

(2c)「【0013】
なお、本発明の口腔又は咽喉用殺菌組成物には、界面活性剤を配合することも可能であるが、アニオン性界面活性剤はカチオン性抗菌剤の抗菌性を低下させることがあるため、アニオン性界面活性剤は配合しても少量とし、配合しないことが好ましい。界面活性剤の配合量は組成物全体に対して通常0?2.0重量%、好ましくは0?0.5重量%である。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステルアルキルグリコシド(例えばアルキル鎖:C8?C16程度)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば脂肪酸部分の炭素数が8?16程度)、ショ糖脂肪酸エステル(例えば脂肪酸部分の炭素数が8?16程度)等の非イオン性界面活性剤;N-アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルベタイン、イミダゾニウムベタインなどの両性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを例示することができ、これらは1種単独でも2種以上併用しても用いることができる。
【0014】
本発明の口腔又は咽喉用殺菌組成物には本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を配合できる。例えば、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセリロン酸カルシウムなどのカルシウム塩、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネール、α-テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油などの香料、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、ρ-メトキシシンナミックアルデヒド、キシリトール、ラクチトール、マルチトールなどの甘味剤、ソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3?ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの湿潤剤、酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類、ドデシルジアミノエチルグリシンなどの両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールなどの非イオン性殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、
モノフルオロリン酸カリウムなどのアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫などのフッ素化合物、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ビーガム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム等の結合剤、第2リン酸カルシウム、第1リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、シリカ、不溶性メタリン酸ナトリウムなどの研磨剤、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン塩類、グリチルレチン酸、ヒノキチオール、グリセロフォスフェート、クロロフィル、アズレン、ポリリン酸塩、塩化ナトリウム、カロペプタイド、水溶性無機リン酸化合物などが挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上併用して配合することができる。」【0013】【0014】


(2d)「【0029】
<のどスプレー>
グリセリン 35.0
ソルビット液 10.0
プロピレングリコール 5.0
エタノール 2.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
トレハロース 10.0
ステビアエキス 0.1
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
l-メントール 0.2
香料 0.1
水 残部
合計 100

<練歯磨>
リン酸水素カルシウム 30.0
無水ケイ酸 5.0
ソルビット液 10.0
プロピレングリコール 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 2.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
酢酸トコフェロール 0.05
トレハロース 15.0
ステビアエキス 0.1
アルキルグルコシド 0.5
香料 1.0
水 残部
合計 100

<液状歯磨>
無水ケイ酸 5.0
グリセリン 25.0
プロピレングリコール 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
グルコン酸クロルヘキシジン 0.2
トレハロース 10.0
ステビアエキス 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
香料 1.0
水 残部
合計 100

<液体歯磨>
グリセリン 20.0
塩化ベンゼトニウム 0.3
トリクロサン 0.05
トレハロース 15.0
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
ステビアエキス 0.02
香料 1.0
ポリオオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1
水 残部
合計 100

<液体歯磨>
グリセリン 15.0
エタノール 5.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
トラネキサム酸 0.05
トレハロース 10.0
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
ステビアエキス 0.02
香料 1.0
水 残部
合計 100

<洗口剤>
グリセリン 20.0
プロピレングリコール 5.0
塩化セチルピリジニウム 0.2
トレハロース 5.0
ステビアエキス 0.05
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2
香料 1.0
水 残部
合計 100

<洗口剤>
グリセリン 15.0
エタノール 5.0
プロピレングリコール 5.0
塩化セチルピリジニウム 0.2
トレハロース 10.0
ステビアエキス 0.05
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
香料 1.0
水 残部
合計 100

<マウススプレー>
グリセリン 15.0
エタノール 10.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
トレハロース 5.0
ステビアエキス 0.10
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
l-メントール 2.0
香料 0.1
水 残部
合計 100

<チューインガム>
ガムベース 25.0
炭酸カルシウム 2.5
水飴 10.0
粉糖 50.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
トレハロース 10.0
ステビアエキス 0.1
アネトール 0.1
l-メントール 2.0
合計 100

<ドロップ>
水アメ 65.0
トレハロース 30.0
銅クロロフィリンナトリウム 0.01
塩化セチルピリジニウム 0.3
レバウディオサイド 0.1
l-メントール 0.1
クエン酸ナトリウム 0.1
水 残部
合計 100

<含嗽剤(希釈タイプ)>
エタノール 50.0
トレハロース 5.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
l-メントール 2.0
ステビオサイド 0.05
チョウジ油 0.05
水 残部
合計 100

<口腔用パスタ>
グリセリン 10.0
トレハロース 5.0
ヒドロキシエチルセルロース 5.0
塩化セチルピリジニウム 0.3
酢酸トコフェロール 0.05
セタノール 5.0
白色ワセリン 0.5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
グリセリンモノステアレート 10.0
ステビアエキス 0.1
香料 0.5
水 残部
合計 100 」【0029】

ウ 判断
ア) 甲第2号証の【0029】に記載の「のどスプレー」、「マウススプレー」について検討する。
甲第2号証の【0029】には、
「グリセリン35.0質量%、ソルビット液10.0質量%、プロピレングリコール5.0 質量%、エタノール2.0 質量%、塩化セチルピリジニウム0.3質量%、トレハロース10.0 質量%、ステビアエキス0.1 質量%、l-メントール0.2質量%、香料0.1質量%、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水を含有する、のどスプレー」(以下、「甲2発明A」という。)、
「グリセリン15.0 質量%、エタノール10.0 質量%、塩化セチルピリジニウム0.3質量%、トレハロース5.0 質量%、ステビアエキス0.10 質量%、l-メントール2.0 質量%、香料0.1質量%、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水を含有する、マウススプレー」(以下、「甲2発明B」という。)
が記載されていると認められる。

イ) そこで、本件訂正発明1と甲2発明Aとを対比する。
甲2発明Aにおける「塩化セチルピリジニウム0.3質量%」は、本件訂正発明1における「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%」に包含される。
甲2発明Aにおける「プロピレングリコール5.0 質量%、エタノール2.0 質量%」は、本件訂正発明1における「(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%」および「(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有される」に包含される。
甲2発明Aにおける「l-メントール0.2質量%」は、本件訂正発明1における「(C)l-メントールを0.05?0.2質量%」に包含される。
そして、甲2発明Aは、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しないことは明らかである。

したがって、本件訂正発明1と甲2発明Aとは、「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量% (B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量% (C)l-メントールを0.05?0.2質量% (D)グリセリンを含有し、(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有され、かつ アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、組成物。」である点で一致し、
以下の点で相違する。

(相違点A-1)
グリセリンの含有量について、本件訂正発明1は、「5?20質量%」と特定するのに対して、甲2発明Aは、「35質量%」である点

(相違点A-2)
組成物の用途について、本件訂正発明1は、「歯周疾患治療用組成物」であるのに、甲2発明Aは、「のどスプレー」である点

また、本件訂正発明2、3と甲2発明Aとを対比すると、本件訂正発明1と同様に、
(相違点A-1)グリセリンの含有量について、本件訂正発明2、3は、「5?20質量%」と特定するのに対して、甲2発明Aは、「35質量%」である点、
(相違点A-2)組成物について、本件訂正発明2、3は、「歯周疾患治療用組成物」であるのに、甲2発明Aは、「のどスプレー」である点
で相違する。

ウ) 次に、本件訂正発明1と甲2発明Bとを対比する。
甲2発明Bにおける「塩化セチルピリジニウム0.3質量%」は、本件訂正発明1における「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%」に包含される。
甲2発明Bにおける「エタノー10.0 質量%」は、本件訂正発明1における「(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%」および「(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有されるか、又は(ii)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?1質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?10質量%含有され、」に包含される。
甲2発明Bにおける「グリセリン15質量%」は、本件訂正発明1における「(D)グリセリンを5?20質量%」に包含される。
そして、甲2発明Bは、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しないことは明らかである。

したがって、本件訂正発明1と甲2発明Bとは、「(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量% (B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量% (C)l-メントール (D)グリセリンを5?20質量%含有し、(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有されるか、又は(ii)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?1質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?10質量%含有され、かつ アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点B-1)
l-メントールの含有量について、本件訂正発明1は、「0.05?0.2質量%」と特定するのに対して、甲2発明Bは、「2.0 質量%」である点

(相違点B-2)
組成物の用途について、本件訂正発明1は、「歯周疾患治療用組成物」であるのに対して、甲2発明Bは、「マウススプレー」である点

また、本件訂正発明2、3と甲2発明Bと対比すると、本件訂正発明1と同様に、
(相違点B-1)l-メントールの含有量について、本件訂正発明2、3は、「0.05?0.2質量%」と特定するのに対して、甲2発明Bは、「2.0 質量%」である点、
(相違点B-2)組成物について、本件訂正発明2、3は、「歯周疾患治療用組成物」であるのに対して、甲2発明Bは、「マウススプレー」である点
で相違する。

エ) そこで、相違点A-1、B-1について、検討する。
甲第2号証の特許請求の範囲には、トレハロース、エリスリトール、パラチニットのいずれか1種を必須の成分とすることが記載されているところ(記載事項(2a))、段落【0005】【0006】では、カチオン性抗菌剤独特の苦味をマスキングし、カチオン性抗菌剤の抗菌活性を損なうことのない組成物を提供することを目的とし、当該目的のためにトレハロース、エリスリトール、パラチニットのいずれかを配合することが記載されている(記載事項(2b))。
そして、グリセリン、l-メントールについて、甲第2号証では、任意の成分であるとしか記載されおらず(記載事項(2c))、これらが、カチオン性抗菌剤独特の苦味をマスキングするという、上述の目的に関係するとは記載されていないし、示唆もされていない。
そうすると、甲第2号証の記載に接した当業者が、本件訂正発明1?3を考えつくためには、甲2発明Aにおける成分の中からグリセリンの含有量のみを変更することを、同様に、甲2発明Bにおける成分の中からl-メントールの含有量のみを変更することを、まず着想しなければならないところ、甲第2号証からは、グリセリン、l-メントールは、苦味のマスキングという目的に関係ない任意の成分の一つとしか理解できないから、甲第2号証においてグリセリンの含有量について特に制限が設けられていないとしても、また、口腔用組成物において、l-メントールの含有量が適宜設定できる事項であるとしても、上述のように着想するための動機付けを見出せない。

そして、仮に、本件訂正発明1?3を考えつくための動機付けが存在するとしても、甲第2号証では、界面活性剤を配合してもよいことが記載されていて(記載事項(2c))、界面活性剤が存在する処方例が甲2発明A、Bと並んで記載されていることからみて(記載事項(2d))、界面活性剤を含有しなくてもl-メントールを可溶化でき、アニオン界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しないことによって塩化セチルピリジニウムの殺菌効果及び歯垢形成抑制効果を増強できるという、本件訂正発明1?3の効果は、甲第2号証から予測し得ないものである。

したがって、相違点A-2、B-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1?3は、甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、甲第2号証に記載された発明に基づく進歩性についての特許異議申立人の主張は理由がない。

第4 むすび
したがって、取消理由通知書に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載した申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、
(i)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?10質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?1質量%含有されるか、又は
(ii)エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?1質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?10質量%含有され、
かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。
【請求項2】
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.3質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?10質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。
【請求項3】
(A)塩化セチルピリジニウムを0.1?0.5質量%
(B)エタノール、プロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を1?15質量%
(C)l-メントールを0.05?0.2質量%
(D)グリセリンを5?20質量%
含有し、
エタノールは0?15質量%含有され、プロピレングリコールは0?5質量%含有され、1,3-ブチレングリコールは0?5質量%含有され、
かつ
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を含有しない、歯周疾患治療用組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-05-23 
出願番号 特願2009-135367(P2009-135367)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A61K)
P 1 651・ 121- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
P 1 651・ 113- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 亜希  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 穴吹 智子
松澤 優子
登録日 2015-11-27 
登録番号 特許第5843417号(P5843417)
権利者 サンスター株式会社
発明の名称 歯周疾患治療用組成物  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  

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