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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
管理番号 1330095
異議申立番号 異議2016-700536  
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-09 
確定日 2017-06-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5829177号発明「インプリント用硬化性組成物、パターン形成方法およびパターン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5829177号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-13〕について訂正することを認める。 特許第5829177号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5829177号の請求項1?13に係る特許についての出願は、平成24年5月16日(優先権主張平成23年7月12日)を出願日とする出願であって、平成27年10月30日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人宮林礼尚により特許異議の申立てがされ、平成28年8月25日付けで取消理由が通知され、平成28年10月21日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成28年12月8日(同年同月9日特許庁受付)に特許異議申立人宮林礼尚から意見書(以下、「申立人意見書1」という。)が提出され、平成29年1月6日付けで取消理由が通知され、平成29年3月8日(同年同月9日特許庁受付)に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成29年4月17日(同年同月18日特許庁受付)に特許異議申立人宮林礼尚から意見書(以下、「申立人意見書2」という。)が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
(1)請求項1に係る訂正事項1
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に記載の非重合性化合物(C)について、「アルキレングリコール構成単位を3?1000個有する」と特定する訂正を請求する。(請求項1の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項1」という。)

(2)請求項1に係る訂正事項2
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に記載の重合性化合物(A)について、「芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物」と特定する訂正を請求する。(請求項1の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項2」という。)

(3)請求項1に係る訂正事項3
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1において、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり」と特定する訂正を請求する。(請求項1の記載を引用する請求項3?8及び10?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項3」という。)

(4)請求項1に係る訂正事項4
特許権者は、特許請求の範囲の請求項1において、「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」と特定する訂正を請求する。(請求項1の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項4」という。)

(5)請求項2に係る訂正事項5
特許権者は、特許請求の範囲の請求項2に記載の非重合性化合物(C)について、「ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である」と特定する訂正を請求する。(請求項2の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項5」という。)

(6)請求項2に係る訂正事項6
特許権者は、特許請求の範囲の請求項2に記載の重合性化合物(A)について「芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物」と特定する訂正を請求する。(請求項2の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項6」という。)

(7)請求項2に係る訂正事項7
特許権者は、特許請求の範囲の請求項2において、訂正前請求項2が訂正前請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正を請求する。(請求項2の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項7」という。)

(8)請求項2に係る訂正事項8
特許権者は、特許請求の範囲の請求項2において、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり」と特定する訂正を請求する。(請求項2の記載を引用する請求項3?8及び10?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項8」という。)

(9)請求項2に係る訂正事項9
特許権者は、特許請求の範囲の請求項2において、「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」と特定する訂正を請求する。(請求項2の記載を引用する請求項3?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項9」という。)

(10)請求項9に係る訂正事項10
特許権者は、特許請求の範囲の請求項9において、「非重合性化合物(C)以外のポリマー成分量が組成物の溶剤を除く成分に対して2質量%以下である、」と特定する訂正を請求する。(請求項9の記載を引用する請求項10?13も同様に訂正する。)(以下、「訂正事項10」という。)

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無及び一群の請求項
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、請求項1に記載の「非重合性化合物(C)」について、「アルキレングリコール構成単位を3?1000個有する」と特定する訂正であって、「非重合性化合物(C)」を減縮するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、発明特定事項である「非重合性化合物(C)」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項1は、明細書の段落【0105】に「ポリアルキレングリコール構造としてはアルキレングリコール構成単位を3?1000個有していることが好ましく」と記載されているから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項1に記載の「重合性化合物(A)」について、「芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物」と特定する訂正であって、「重合性化合物(A)」を減縮するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、発明特定事項である「重合性化合物(A)」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項2は、明細書の段落【0037】に「本発明で用いられる重合性化合物として脂環炭化水素構造または芳香族基を有する重合性化合物が好ましい。」と記載されているから、当該訂正事項2は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3は、請求項1に記載において、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり」と特定する訂正であって、「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、発明特定事項である「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項3は、明細書の段落【0114】に「本発明の組成物をインクジェット法で基板上に適用する場合、溶剤は、実質的に含まない(例えば、3質量%以下、より好ましくは1質量%以下)ことが好ましい。」と記載されているから、当該訂正事項3は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4は、請求項1に記載において、「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」と特定する訂正であって、「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであるから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、発明特定事項である「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
明細書の段落【0118】に「本発明の硬化性組成物は溶剤を除く全成分の混合液の粘度が100mPa・s以下であることが好ましく」と記載されている。また、段落【0049】に「一般式(I)で表される重合性化合物が25℃において液体であるときの25℃における粘度としては2?500mPa・sが好ましく」と記載され、段落【0057】に「また、一般式(I-2)で表される(メタ)アクリレート化合物の25℃における粘度が50mPa・s以下であることが好ましく」と記載され、段落【0099】に「光硬化性組成物において25℃における粘度が5mPa・s未満の重合性化合物の含有量が全重合性化合物に対して50質量%以下であることが好ましく」と記載され、硬化性組成物を構成する成分である重合性化合物の粘度が25℃における粘度であることが記載されている。また、段落【0143】には、「吐出される硬化組成物の温度が25℃となるように調整した。」と記載されている。
これらの記載を踏まえると、上記段落【0118】における粘度が25℃における粘度であることは自明であるといえる。
よって、当該訂正事項4は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的の適否
訂正事項5は、請求項2に記載の「非重合性化合物(C)」について、「ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である」と特定する訂正であって、「非重合性化合物(C)」を減縮するものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、発明特定事項である「非重合性化合物(C)」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項5は、明細書の段落【0105】に「さらに、末端の置換基を除き実質的にポリアルキレングリコール構造のみで構成されていることが好ましい。ここで実質的にとは、ポリアルキレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下であることをいい、好ましくは1質量%以下であるこという。本発明では特に、非重合性化合物(C)として、実質的にポリプロピレングリコール構造のみからなる化合物を含むことが特に好ましい。」と記載されているから、当該訂正事項5は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的の適否
訂正事項6は、請求項2に記載の「重合性化合物(A)」について、「芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物」と特定する訂正であって、「非重合性化合物(C)」を減縮するものであるから、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、発明特定事項である「重合性化合物(A)」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項6は、明細書の段落【0015】に
「(1)重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有しない非重合性化合物(C)を含有するインプリント用硬化性組成物。
(2)重合性化合物(A)として(メタ)アクリレート化合物を含有する、(1)に記載のインプリント用硬化性組成物。
(3)重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する化合物を含有する、(1)または(2)に記載のインプリント用硬化性組成物。」
と記載されているから、当該訂正事項6は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7は、訂正前請求項2が訂正前請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、訂正前請求項2が訂正前請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項7は、訂正前請求項2が訂正前請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、当該訂正事項7は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的の適否
訂正事項8は、請求項2に記載において、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり」と特定する訂正であって、「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであるから、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、発明特定事項である「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項8は、明細書の段落【0114】に「本発明の組成物をインクジェット法で基板上に適用する場合、溶剤は、実質的に含まない(例えば、3質量%以下、より好ましくは1質量%以下)ことが好ましい。」と記載されているから、当該訂正事項8は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的の適否
訂正事項9は、請求項2に記載において、「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」と特定する訂正であって、「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであるから、当該訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9は、発明特定事項である「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
明細書の段落【0118】に「本発明の硬化性組成物は溶剤を除く全成分の混合液の粘度が100mPa・s以下であることが好ましく」と記載されている。また、段落【0049】に「一般式(I)で表される重合性化合物が25℃において液体であるときの25℃における粘度としては2?500mPa・sが好ましく」と記載され、段落【0057】に「また、一般式(I-2)で表される(メタ)アクリレート化合物の25℃における粘度が50mPa・s以下であることが好ましく」と記載され、段落【0099】に「光硬化性組成物において25℃における粘度が5mPa・s未満の重合性化合物の含有量が全重合性化合物に対して50質量%以下であることが好ましく」と記載され、硬化性組成物を構成する成分である重合性化合物の粘度が25℃における粘度であることが記載されている。また、段落【0143】には、「吐出される硬化組成物の温度が25℃となるように調整した。」と記載されている。
これらの記載を踏まえると、上記段落【0118】における粘度が25℃における粘度であることは自明であるといえる。
よって、当該訂正事項9は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(10)訂正事項10
ア 訂正の目的の適否
訂正事項10は、請求項9に記載において、「非重合性化合物(C)以外のポリマー成分量が組成物の溶剤を除く成分に対して2質量%以下である」と特定する訂正であって、「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであるから、当該訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項108は、発明特定事項である「インプリント用硬化性組成物」を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ 新規事項の有無
明細書の段落【0107】に「本発明の硬化性組成物は、上述の重合性化合物および光重合開始剤の他に種々の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分、顔料、染料等その他の成分を含んでいてもよい。」と記載されており、かかるその他のポリマー成分の添加量について、明細書の段落【0115】に「ポリマー成分の添加量としては組成物の溶剤を除く成分に対し、0?30質量%が好ましく、より好ましくは0?20質量%、さらに好ましくは0?10質量%、最も好ましくは2質量%以下である。」と記載されているから、当該訂正事項10は、本願明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。

(11)訂正前の請求項1ないし13については、特許異議の申立てがされているため、訂正前の請求項1ないし13に係る訂正事項1ないし10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件を要しない。

(12)一群の請求項
訂正事項1ないし10に係る訂正前の請求項1ないし13は、当該訂正事項1を含む請求項1の記載を訂正前の請求項2ないし13がそれぞれ引用しているものであるから、これらに対応する訂正後の請求項〔1ないし13〕は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

3 小括
したがって、特許第5829177号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし13〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」ないし「本件特許発明13」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、アルキレングリコール構成単位3?1000個有する非重合性化合物(C)を含有し、
重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するインプリント用硬化性組成物であって、
インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり、
溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下であるインプリント用硬化性組成物。
【請求項2】
重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)を含有し、
重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するインプリント用硬化性組成物であって、
インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり、
溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下であるインプリント用硬化性組成物。
【請求項3】
重合性化合物(A)がフッ素原子および/またはシリコン原子を有する化合物を含有する、請求項1または2に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項4】
非重合性化合物(C)が、ポリアルキレングリコールである、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項5】
非重合性化合物(C)が、ポリアルキレングリコールエーテルである、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項6】
非重合性化合物(C)が、ポリアルキレングリコールエステルである、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項7】
非重合性化合物(C)として、ポリプロピレングリコールを含む、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項8】
非重合性化合物(C)として、ジオール型ポリアルキレングリコールを含む、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項9】
非重合性化合物(C)以外のポリマー成分量が組成物の溶剤を除く成分に対して2質量%以下である、請求項1?8のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項10】
インプリント用硬化性組成物が更に界面活性剤を含有する、請求項1?9のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項11】
請求項1?10のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物を基材上または微細パターンを有するモールド上に適用し、該光硬化性組成物をモールドと基材で挟んだ状態で光照射することを含むパターン形成方法。
【請求項12】
インプリント用硬化性組成物の基材上または微細パターンを有するモールド上に適用する方法が、インクジェット法である請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし13に係る特許に対して平成29年1月6日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であり、特許法第29条第1項3号の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
または、本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

甲第1号証:特開2010-18666号公報
甲第2号証:特表2010-511914号公報
甲第3号証:特開2010-105210号公報
甲第4号証:特開2008-246864号公報
甲第5号証:特開2010-287829号公報
甲第6号証:欧州特許出願公開第1182033号明細書及び抄訳文
甲第7号証:化学大辞典第1版第1刷第2243頁、第2251頁、写し(株式会社東京化学同人、1989年10月20日発行)

(1)本件特許発明1について
本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件特許発明2について
本件特許発明2は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明2は、甲第3号証に記載された発明である。または、本件特許発明2は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明2は、甲第5号証に記載された発明である。または、本件特許発明2は、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件特許発明3について
本件特許発明3は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証、甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明3は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明3は、甲第5号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件特許発明4について
本件特許発明4は、甲第3号証に記載された発明であり、また、甲第5号証に記載された発明である。
または、本件特許発明4は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明4は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本件特許発明5について
本件特許発明5は、甲第3号証に記載された発明であり、また、甲第5号証に記載された発明である。
または、本件特許発明5は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明5は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本件特許発明6について
本件特許発明6は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明6は、、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証の記載並びに甲第5号証に記載された発明及び甲第2号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)本件特許発明7について
本件特許発明7は、甲第3号証に記載された発明であり、また、甲第5号証に記載された発明である。
または、本件特許発明7は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明7は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)本件特許発明8について
本件特許発明8は、甲第3号証に記載された発明であり、また、甲第5号証に記載された発明である。
または、本件特許発明8は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明8は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)本件特許発明9について
本件特許発明9は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証、甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明9は、甲第3号証に記載された発明及び、甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明9は、甲第5号証に記載された発明及び、甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10)本件特許発明10について
本件特許発明10は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明10は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1,2,4号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明10は、甲第5号証に記載された発明及び甲第1,2,4号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11)本件特許発明11について
本件特許発明11は、甲第3号証に記載された発明である。または、本件特許発明11は、甲第3号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明11は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証、甲第1,3号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明11は、甲第5号証に記載された発明及び、甲第1、3号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(12)本件特許発明12について
本件特許発明12は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証、甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明12は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明12は、甲第5号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(13)本件特許発明13について
本件特許発明13は、甲第3号証に記載された発明である。または、本件特許発明13は、甲第3号証に記載された発明及び甲第1号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明13は、甲第2号証に記載された発明及び甲第6号証、甲第1,3号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明13は、甲第5号証に記載された発明及び甲第1、3号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
本件特許出願の優先日(平成23年7月12日)前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開2010-18666号公報)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。以下、同様。

「【請求項1】
(A)重合性単量体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)潤滑剤と、
を含有することを特徴とするナノインプリント用組成物。
【請求項2】
前記(A)重合性単量体が芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用組成物。」
「【0047】
(C)潤滑剤
本発明のナノインプリント用組成物は潤滑剤を含有する。潤滑剤とは機械の回転部などに塗って摩擦を少なくし、摩擦熱や摩耗を防ぐ物質であり、数多くの化合物が市販されて
いる。また、潤滑剤としては液体潤滑剤(潤滑油とも言う)、半固体潤滑剤(グリース)、固体潤滑剤がある。
本発明のナノインプリント用組成物に用いられる潤滑剤としては、特に制限はないが、本発明では、液体潤滑剤が好ましい。前記液体潤滑剤の具体的な例としてはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、脂肪酸グリセライドなどの動植物油;ポリ-1-デセン、ポリブテンなどのアルキル構造を有するオレフィン系潤滑剤;アラルキル構造を有するアルキル芳香族化合物系潤滑剤;ポリアルキレングリコール系潤滑剤;ポリアルキレングリコールエーテル、パーフロロポリエーテル、ポリフェニルエーテルなどのエーテル系潤滑剤;脂肪酸エステル、脂肪酸ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、リン酸エステルなどのエステル構造を有するエステル系潤滑剤;テトラアルキルシラン、未変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーン系潤滑剤;クロロフロロカーボンなどのフッ素原子含有系潤滑剤などが挙げられるが、これらの例は本発明の潤滑剤を限定するものではない。また、これらは単独で用いても複数を混合して用いてもよい。」
「【0075】
本発明のナノインプリント用硬化性組成物において、溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sであることが好ましい。より好ましくは5?50mPa・s、さらに好ましくは7?30mPa・sである。粘度を適切な範囲とすることで、パターンの矩形性が向上し、さらに残膜を低く抑えることができる。
【0076】
(E)溶剤
本発明のナノインプリント用硬化性組成物には、種々の必要に応じて、溶剤を用いることができる。特に膜厚500nm以下のパターンを形成する際には溶剤を含有していることが好ましい。好ましい溶剤としては常圧における沸点が70?200℃の溶剤である。溶剤の種類としては組成物を溶解可能な溶剤であればいずれも用いることができる。
前記溶剤としては、例えば、エステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造を有する溶剤を挙げることができ、その中でもエステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれか1つ以上を有する溶剤を用いることが、薄膜塗布均一性の観点から好ましい。具体的に、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルから選ばれる単独あるいは混合溶剤であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤が塗布均一性の観点で最も好まし
い。
本発明の組成物中における前記溶剤の含有量は、溶剤を除く成分の粘度、塗布性、目的とする膜厚によって最適に調整されるが塗布性の観点から、全組成物中、0?99質量%が好ましく、0?97質量%がさらに好ましい。特に膜厚500nm以下のパターンを形成する際には50?99質量%が好ましく、70?97質量%がさらに好ましい。」

以上の記載から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「(A)重合性単量体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)潤滑剤と、
を含有するナノインプリント用組成物であって、
前記(C)潤滑剤は、ポリアルキレングリコール系潤滑剤;ポリアルキレングリコールエーテルなどのエーテル系潤滑剤であり、
前記(A)重合性単量体が芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物を含有し、
組成物中における溶剤の含有量は、0?99質量%であり、
溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sである
ナノインプリント用組成物。」

(2)甲第2号証
本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特表2010-511914号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
遊離基重合性成分と、
画像形成輻射線への暴露によって前記遊離基重合性成分の重合を開始させるのに十分な遊離基を生成することのできる開始剤組成物と、
疎水性主鎖と、当該疎水性主鎖に共有結合的に結合したカチオンおよび当該カチオンと塩を形成しているホウ素含有アニオンを含む塩ペンダント基とを有するポリマーバインダーと、
を含む輻射線感受性組成物。」

「【0004】
印刷版の製造のために放射感受性組成物を使用する2つの可能な方法がある。ネガ型印刷版の場合、輻射線感受性組成物の露光領域が硬化し、非露光領域が現像中に洗い落とされる。ポジ型印刷版の場合、露光領域が現像液中に溶解し、非露光領域が画像となる。」
「【0024】
輻射線感受性組成物
本発明の一態様は、好適な電磁輻射線を使用して重合可能であるコーティングに必要である限り、特にコートされ画像形成された組成物の非露光領域を除去することが望ましい場合に、いかなる有用性も有することができる輻射線感受性組成物である。当該輻射線感受性組成物は、集積回路用の印刷回路板(印刷回路板)、ペイント組成物、成形用組成物、カラーフィルター、化学増幅レジスト、インプリントリソグラフィ、マイクロエレクトロニック及びマイクロオプティカル装置、及びフォトマスクリソグラフィーとして、好ましくは以下により詳しく定義する平版印刷版前駆体及び画像形成された印刷版などの印刷された形態のものとして使用するための画像形成性要素を製造するために使用できる。
【0025】
輻射線感受性組成物において使用される遊離基重合性成分は、遊離基開始を用いて重合又は架橋させることができる1又は2個以上のエチレン性不飽和の重合性又は架橋性基を有する1又は2種以上の化合物からなる。例えば、遊離基重合性成分は、エチレン性不飽和のモノマー、オリゴマー及び架橋性ポリマー、又はかかる化合物の組み合わせであることができる。」
「【0027】
特に有用なラジカル重合性成分としては、複数のアクリレート及びメタクリレート基ならびにそれらの組み合わせなどの付加重合性エチレン性不飽和基を含む遊離基重合性モノマー又はオリゴマー、又は遊離基架橋性ポリマー、あるいはこれらの種類の材料の組み合わせが挙げられる。より一層有用な遊離基重合性化合物としては、複数の重合性基を有するウレアウレタン(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートから誘導されたものが挙げられる。例えば、非常に好ましい遊離基重合性成分は、DESMODUR(登録商標)N100、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく脂肪族ポリイソシアネート樹脂(コネチカット州ミルフォード所在のBayer Corp.)をヒドロキシアクリレート及びペンタエリトリトールトリアクリレートと反応させることにより調製できる。他の好ましい遊離基重合性化合物は、Sartomer Company,Inc.から入手可能であり、例えばSR399(ジペンタエリトリトールペンタアクリレート)、SR355(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)、SR295(ペンタエリトリトールテトラアクリレート)及び当業者であれば容易に分かる他のものがある。」
「【0029】
多くの他の遊離基重合性化合物が当業者に知られており、例えばPhotoreactive Polymers: The Science and Technology of Resists, A. Reiser, Wiley, New York, 1989, 第102-177頁に、B. M. MonroeによりRadiation Curing: Science and Technology, S.P. Pappas編,Plenum, New York, 1992の第399-440頁に、及びImaging Processes and Material J.M. Sturge他編, Van Nostrand Reinhold, New York, 1989, 第226-262頁のA.B. Cohen及びP. Walker によるPolymer Imagingなどの多数の文献に記載されている。例えば、有用な遊離基重合性成分は、欧州特許出願公開第1,182,033 A1号(上掲)の段落[0170]から記載されている。」
「【0034】
輻射線感受性組成物は、画像形成輻射線への当該組成物の暴露によって遊離基重合性成分の重合を開始させるのに十分な遊離基を生成することのできる開始剤組成物も含む。開始剤組成物は、例えば、少なくとも150nmかつ1500nm以下のスペクトル範囲に対応する紫外、可視及び/又は赤外スペクトル領域の画像形成用の電磁輻射線に対して感応性であることができる。紫外線(UV)及び可視光感度は、一般的に、少なくとも150nmかつ700nm以下であり、実施態様によっては、輻射線感受性組成物は、少なくとも250nmかつ450nm以下(好ましくは少なくとも375nmかつ450nm以下)の画像形成用又は露光用輻射線に対して感応性であり、その画像形成領域のために適切な開始剤組成物を含む。別の実施態様において、開始剤組成物は、少なくとも600nmかつ1500nmの画像形成又は露光赤外線又は近赤外線に対して、より好ましくは700nmかつ1200nmの画像形成赤外線に対して感応性であり、開始剤組成物はその画像形成範囲に対して適切であるものが使用される。」
「【0090】
輻射線感受性組成物は、ポリ(アルキレングリコール)又はそのエーテル若しくはエステルであって、200?4000(好ましくは500?2000)の分子量を有するものを含んでもよい。この添加剤は、組成物の総固形分を基準として、又は画像形成性層の総乾燥質量を基準として、2?50質量%(好ましくは5?30質量%)の量で存在することができる。このタイプの特に有用な添加剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノメタクリレートのうちの1種または2種以上が挙げられるが、これらに限定されない。SR9036(エトキシル化(30)ビスフェノールAジメタクリレート)、CD9038(エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート)及びSR494(エトキシル化(5)ペンタエリトリトールテトラアクリレート)並びに類似の化合物も有用であり、これらの全てがSartomer Company,Inc.から入手可能である。」
「【0092】
輻射線感受性組成物は、分散剤、保湿剤、殺生物剤、可塑剤、コーティング適性または他の性質のための界面活性剤、粘度上昇剤、書き込まれた画像の可視化を可能にする染料または着色剤、pH調整剤、乾燥剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤、現像助剤、レオロジー調製剤、またはこれらの組み合わせ、あるいは平版印刷分野で通常使用されている他の添加剤などの種々の添加剤を従来の量で含んでもよい。有用な粘度上昇剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びポリ(ビニルピロリドン)が挙げられる。」

以上の記載から、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。

「インプリントリソグラフィに使用でき、露光領域が硬化する組成物であって、遊離基重合性成分、開始剤組成物、ポリマーバインダー及び添加剤を含む輻射線感受性組成物であって、
前記遊離基重合性成分は、複数のアクリレート及びメタクリレート基ならびにそれらの組み合わせなどの付加重合性エチレン性不飽和基を含む遊離基重合性モノマー又はオリゴマー、又は遊離基架橋性ポリマー、あるいはこれらの種類の材料の組み合わせであり、
前記添加剤は、ポリ(アルキレングリコール)又はそのエーテル若しくはエステルであるポリプロピレングリコールであって、200?4000の分子量を有するものである
輻射線感受性組成物。」

(3)甲第3号証
本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開2010-105210号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
温度35?130℃に設定された加熱体を用いて、モールドと感光性樹脂層とを押し付けるプレス工程、感光性樹脂層を露光により硬化させる露光工程、およびモールドを外す離脱工程を含むインプリントプロセスによりパターンを形成する方法。」
「【請求項7】
前記感光性樹脂層の20℃における粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである、請求項1?6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。」
「【0026】
a)ラジカル重合型感光性樹脂組成物
ラジカル重合型の感光性樹脂組成物は、高分子化合物、エチレン性二重結合を有する光重合性化合物、及び、光重合性開始剤を含有することが柔軟な感光性樹脂層が得られる観点から好ましい。
・高分子化合物
高分子化合物としては、(メタ)アクリル系単量体を共重合したアクリル樹脂やエポキシ系モノマーを共重合したエポキシ樹脂が挙げられるが、アクリル樹脂がより好ましい。アクリル樹脂の中でも、露光前、あるいは露光によるパターニングが失敗した場合に、アルカリ性溶液でパターンの除去が可能であるという点や、基材との密着性などの点、さらにはアルカリ溶液による残渣除去の点から、側鎖にカルボキシル基を有する単量体と(メタ)アクリル系単量体とを共重合していることが好ましい。」
「【0031】
・エチレン性二重結合を有する光重合性化合物
エチレン性二重結合を有する光重合性化合物としては、メタクリル基、アクリル基もしくはビニル基を分子内に1つもしくは複数有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、フタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テレフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコ-ルのジメタクリレ-トや、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ-ルのジメタクリレ-ト(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE-500)、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコ-ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ-ルジ(メタ)アクリレート、2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロ-ルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロ-ルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエ-テルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノ-ルAジグリシジルエ-テルジ(メタ)アクリレート及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(アクリロイルキシ)プロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコ-ル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。」
「【0036】
感光性樹脂組成物には、必要に応じて可塑剤を含有させることもできる。そのような可塑剤としては、フタル酸エステル類、例えば、ジエチルフタレ-トや、p-トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコ-ル、ポリエチレングリコ-ルモノアルキルエ-テル、ポリアルキレンオキシド変性ビスフェノールA誘導体、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物やプロピレンオキシド付加物が挙げられる。可塑剤を含有する場合の含有量は1質量%以上20質量%以下が好ましい。柔軟な感光性樹脂層を得る観点から1質量%以上であり、良好なフィルムの性状を得る観点から20質量%以下である。」


以上の記載から、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。

「温度35?130℃に設定された加熱体を用いて、モールドと感光性樹脂層とを押し付けるプレス工程、感光性樹脂層を露光により硬化させる露光工程、およびモールドを外す離脱工程を含むインプリントプロセスによりパターンを形成する方法に用いられる感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物は、インプリント用硬化性組成物であって、エチレン性二重結合を有する光重合性化合物、光重合性開始剤及び可塑剤を含有し、
前記エチレン性二重結合を有する光重合性化合物は、テレフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート等であり、
前記可塑剤は、ポリプロピレングリコ-ル又はポリエチレングリコ-ルモノアルキルエ-テルであり、
前記感光性樹脂層の20℃における粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである、
感光性樹脂組成物。」

(4)甲第4号証
本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開2008-246864号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0063】
転写部18は以上のように構成される。基材シートWは、この転写部18を搬送される過程で、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rに微細凹凸パターンが連続的に転写形成される。この作用は次のとおりである。」
「【0068】
ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着された基材シートWは、そのパターンローラ30に密着された状態のまま搬送され、硬化用紫外線照射装置34から紫外線が照射される。これにより、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが硬化する。
【0069】
紫外線硬化樹脂Rが硬化した基材シートWは、剥離ローラ36を介してパターンローラ30から剥離され、次工程へと搬送される。」
「【0084】
本発明に使用可能な樹脂は、(メタ)アクロイル基、ビニル基やエポキシ基などの反応性基含有化合物と、紫外線などの紫外線照射にて該反応性基含有化合物を反応させうるラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物を含有するものが使用できる。
【0085】
特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ-)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせが好ましい。中でも(メタ)アクリレ-ト、ウレタン(メタ)アクリレ-ト、エポキシ(メタ)アクリレ-ト、ポリエステル(メタ)アクリレ-トなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。」
「【0087】
このような、(メタ)アクロイル基含有化合物としては、たとえば、(メタ)アクロイル基含有化合物を1個だけ含有する単官能モノマ-としてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0088】
更に芳香環を有する単官能モノマ-として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp-クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。」
「【0102】
更にまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を必要に応じて配合することができる。」
「【0108】
本発明の樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、溶剤の種類や、溶剤添加前の樹脂の粘度にもよるが、充分に塗布性が改善されるためには、10重量%以上、40重量%以下の範囲であり、好ましくは15重量%以上、30重量%以下の範囲である。有機溶剤の添加量があまり少量だと、粘度低減の効果や塗布量アップの効果が小さく、塗布性が充分に改良されない。」
「【0110】
本発明の樹脂液は、前記の各成分を常法により混合して製造することができ、必要に応じて加熱溶解により製造できる。このようにして調製される樹脂液の粘度は、通常10?50000mPa・s/25°Cである。」
「【0134】
さらに、放射線硬化樹脂に親水化処理剤を添加して、親水化を施すことにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。この場合、たとえば、紫外線放射樹脂の入った容器の中にプロペラ羽根のついた攪拌機を設置し、回転させながら親水化処理剤を添加する。
【0135】
なお、本発明では、親水性を付与することのできる表面活性剤を親水化処理剤というものとする。この場合、たとえば、n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤、n-ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールモノ-パラ-ノニルフェニルエーテルの如き非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、及びグリセリン等を親水化処理剤として用いることができる。」
「【0140】
また、本実施の形態では、基材シートWの表面に塗布する樹脂として、紫外線硬化樹脂を用いているが、本発明で使用可能な樹脂は、放射線を照射して硬化する樹脂であれば、
これに限定されるものではない。」

以上の記載から、甲第4号証には、以下の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。

「基材シートWは、転写部18を搬送される過程で、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rに微細凹凸パターンが連続的に転写形成され、
パターンローラ30に密着された状態のまま搬送され、硬化用紫外線照射装置34から紫外線が照射され、これにより、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが硬化し、
紫外線硬化樹脂Rが硬化した基材シートWは、剥離ローラ36を介してパターンローラ30から剥離される工程に用いられる紫外線硬化樹脂Rであって、
(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ-)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせ、
親水化処理剤、有機溶剤を添加したものであり、
反応性基含有化合物としては、(メタ)アクリレ-トが用いられ、
親水化処理剤としては、ポリエチレングリコールモノ-パラ-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール等が用いられ、
樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、10重量%以上、40重量%以下の範囲であり、
調製される樹脂液の粘度は、10?50000mPa・s/25°Cである
紫外線硬化樹脂。」

(5)甲第5号証
本件特許出願の優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証(特開2010-287829号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
基板上に積層される感光性樹脂層に微細パタンを有するモールドを押し付けて前記感光性樹脂層に微細パタンを形成する賦型工程と、前記感光性樹脂層から前記モールドを外す離型工程と、不活性ガス下、前記感光性樹脂層に活性光線を露光して前記感光性樹脂層を硬化させる露光工程と、を含む微細パタンの製造方法であって、
前記感光性樹脂層は、少なくともラジカル重合型の感光性樹脂組成物を含有し、20℃における粘度が10^(6)Pa・s?10^(11)Pa・sであることを特徴とする微細パタンの製造方法。」
「【0001】
本発明は光ナノインプリントによるパタン成形技術に関する。」
「【0050】
(感光性樹脂層)
<感光性樹脂組成物>
本発明に用いられる感光性樹脂層はネガ型の感光性樹脂組成物が好ましい。ネガ型の感光性樹脂組成物の中でも、高い露光感度が得られやすい点からラジカル重合型の感光性樹脂組成物であることが好ましい。」
「【0056】
(ラジカル重合型感光性樹脂組成物)
ラジカル重合型の感光性樹脂組成物は、高分子化合物、エチレン性二重結合を有する光重合性化合物、及び、光重合性開始剤を含有することが柔軟な感光性樹脂層が得られる観点から好ましい。」
「【0063】
・エチレン性二重結合を有する光重合性化合物
エチレン性二重結合を有する光重合性化合物としては、メタクリル基、アクリル基もしくはビニル基を分子内に1つもしくは複数有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、フタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テレフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコ-ルのジメタクリレ-トや、ビスフェノ-ルAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコ-ルのジメタクリレ-ト(新中村化学工業社製、NKエステルBPE-500)、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコ-ルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ-ルジ(メタ)アクリレート、2-ジ(p-ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロ-ルトリ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロ-ルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエ-テルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノ-ルAジグリシジルエ-テルジ(メタ)アクリレート及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(アクリロイルキシ)プロピルフタレート、フェノキシポリエチレングリコ-ル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0064】
・光重合開始剤
光重合開始剤は、紫外線若しくは可視光線に感度を有するものであれば特に制限は無い。光重合開始剤の具体例としては、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4,5-トリアリ-ルイミダゾ-ル二量体類、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾ-ル二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ビス(m-メトキシフェニル)イミダゾ-ル二量体、2-(p-メトシキフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾ-ル二量体が挙げられる。また、p-アミノフェニルケトン類、例えば、p-アミノベンゾフェノン、p-ブチルアミノフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’-ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’-ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。また、キノン類、例えば、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、芳香族ケトン類、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アクリジン化合物、例えば、9-フェニルアクリジン、トリアジン系化合物、例えば、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン、ベンジルジメチルケタ-ル、ベンジルジエチルケタ-ル、2-ベンジル-ジメチルアミノー1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2-メチル-2-モルフォリノ-1-(4-(メチルチオフェニル)-プロパン-1-オンが挙げられる。」
「【0067】
感光性樹脂組成物には、必要に応じて可塑剤を含有させることもできる。そのような可塑剤としては、フタル酸エステル類、例えば、ジエチルフタレ-トや、p-トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコ-ル、ポリエチレングリコ-ルモノアルキルエ-テル、ポリアルキレンオキシド変性ビスフェノールA誘導体、例えば、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物やプロピレンオキシド付加物が挙げられる。可塑剤を含有する場合の含有量は1質量%以上20質量%以下が好ましい。柔軟な感光性樹脂層を得る観点から1質量%以上であり、良好なフィルムの性状を得る観点から20質量%以下である。」

以上の記載から、甲第5号証には、以下の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されているものと認められる。

「光ナノインプリントによるパタン成形技術に関し、
基板上に積層される感光性樹脂層に微細パタンを有するモールドを押し付けて前記感光性樹脂層に微細パタンを形成する賦型工程と、前記感光性樹脂層から前記モールドを外す離型工程と、不活性ガス下、前記感光性樹脂層に活性光線を露光して前記感光性樹脂層を硬化させる露光工程と、を含む微細パタンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物は、高分子化合物、エチレン性二重結合を有する光重合性化合物、、光重合性開始剤及び可塑剤を含有し、
前記エチレン性二重結合を有する光重合性化合物は、テレフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート等であり、
前記可塑剤は、ポリプロピレングリコ-ル又はポリエチレングリコ-ルモノアルキルエ-テルであり、
前記感光性樹脂層は20℃における粘度が10^(6)Pa・s?10^(11)Pa・sである、
感光性樹脂組成物。」

(6)甲第6号証
甲第2号証の【0029】に引用された欧州特許出願公開第1182033号明細書(甲第6号証)の[0170]?[0172]には、1,4-シクロヘキサンジオールジアクリレート、ビス[p-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]ジメチルメタン、ビス-[p-(メタクリルオキシエトキシ)フェニル]ジメチルメタン等の芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物が記載されている。

(7)甲第7号証
甲第7号証(化学大辞典第1版第1刷第2243頁、第2251頁、株式会社東京化学同人、1989年10月20日発行)には、以下の事項が記載されている。
(ア)2243頁左下欄15行?下から11行
「ポリエチレングリコール・・・HO-(CH_(2)CH_(2)O)_(n)-H.エチレングリコールの脱水重縮合によって生成したと考えられる構造を持ち,両端末が水酸基であるポリエーテルをいう.」
(イ)2251頁左下欄下から19行?下から10行
「ポリプロピレングリコール・・・HO-(CH_(2)CH(CH_(3))O)_(n)-H.プロピレングリコールの脱水重縮合によって生成したと考えられる構造を持ち,両端末が水酸基であるポリエーテル・・・分子量1000以下のものは潤滑剤,界面活性剤に・・・使用される.」

4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明の「輻射線感受性組成物は、インプリントリソグラフィに使用でき、露光領域が硬化する組成物であ」るから、甲2発明の「輻射線感受性組成物」は、本件特許発明1の「インプリント用硬化性組成物」に相当する。

甲2発明の「遊離基重合性成分」及び「開始剤組成物」は、それぞれ本件特許発明1の「重合性化合物(A)」及び「光重合開始剤(B)」に相当する。

甲2発明の「前記添加剤は、ポリ(アルキレングリコール)又はそのエーテル若しくはエステルであるポリプロピレングリコールであって、200?4000の分子量を有するものである」ことにおいて、ポリプロピレングリコールはHO-(CH_(2)CH(CH_(3))O)_(n)-Hで表される化合物であり(甲第7号証の記載参照。)、末端に水酸基を有し、フッ素原子及びシリコン原子は実質的に含有しておらず、アルキレングリコール構成単位(CH_(2)CH(CH_(3))O)の式量が約58、HO及びHの式量の合計が約18であり、分子量200のポリプロピレングリコール中のアルキレングリコール構成単位の数nは、約3.1{=(200-18)/58}であり、分子量4000のポリプロピレングリコール中のアルキレングリコール構成単位の数nは、約68.6{=(4000-18)/58}であるから、甲2発明の「添加剤」は、本件特許発明1の「末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、アルキレングリコール構成単位3?1000個有する非重合性化合物(C)」に相当する。

以上のことから、本件特許発明1と甲2発明との一致点及び相違点は次のとおりである。(一致点)
「重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、アルキレングリコール構成単位3?1000個有する非重合性化合物(C)を含有するインプリント用硬化性組成物。」
(相違点1)
重合性化合物(A)について、本件特許発明1は、「芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する」のに対し、甲2発明の「遊離基重合性成分」がそのような化合物を含有するか不明である点。
(相違点2)
本件特許発明1は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」るのに対し、甲2発明における溶剤の含有量が不明である点。
(相違点3)
本件特許発明1は、「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」のに対し、甲2発明における粘度が不明である点。

以下、事案に鑑み、相違点2及び相違点3について先に検討する。

相違点2及び相違点3に関し、甲第1号証には、以下の甲1発明が記載されている。
「(A)重合性単量体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)潤滑剤と、
を含有するナノインプリント用組成物であって、
前記(C)潤滑剤は、ポリアルキレングリコール系潤滑剤;ポリアルキレングリコールエーテルなどのエーテル系潤滑剤であり、
前記(A)重合性単量体が芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物を含有し、
組成物中における溶剤の含有量は、0?99質量%であり、
溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sである
ナノインプリント用組成物。」
してみると、甲1発明は、相違点2に関し、「組成物中における溶剤の含有量は、0?99質量%であ」る構成を有し、また、相違点3に関し、「溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sである」構成を有している。
ここで、「溶剤の含有量は、0?99質量%」であるから、甲1発明は、溶剤を用いるか、溶剤を実質的に用いないかは特定するものではない。また、「溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sであ」り、流動性を有するものである。
ところで、甲第2号証の段落【0024】には、輻射線感受性組成物がインプリントフィソグラフィに使用できることが記載されているが記載されているが、具体的な使用例については記載がない。そこで、具体的な記載のある印刷での使用例を参酌するに、段落【0102】及び【0104】に以下の記載がある。
「【0102】
かかる製造法の例は、遊離基重合性成分、開始剤組成物、輻射線吸収性化合物、ポリマーバインダー及び輻射線感受性組成物の任意の他の成分を好適な有機溶剤[例えば、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、メタノール、エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、iso-プロピルアルコール、アセトン、γ-ブチロラクトン、n-プロパノール、テトラヒドロフラン、及び当業界で容易にわかる他のもの、並びにこれらの混合物]中で混合し、得られた溶液を基材に適用し、適切な乾燥条件下で蒸発により溶剤(1または2種以上)を除去することである。好ましいコーティング溶剤及び代表的な画像形成性層配合物は下記実施例に記載する。適切な乾燥後、画像形成層のコーティング質量は一般的には0.1?5g/m^(2) 、好ましくは0.5?3.5g/m^(2) 、より好ましくは0.5?1.5g/m^(2) である。」
【0104】
画像形成性要素は、限定されないが、印刷版前駆体、印刷胴、印刷スリ-ブ及び印刷テープ(可撓性印刷ウエブを包含する)などのいかなる有用な形態を有してもよい。画像形成性部材は、好ましくは、平版印刷版を形成するための印刷版前駆体である。印刷版前駆体は、必要な画像形成性層が適切な基材上に配置された任意の有用な大きさ及び形状(例えば正方形または長方形)を有するものであることができる。印刷胴及びスリ-ブは、円筒形の、基材及び画像形成性層を有する輪転印刷部材として知られている。中空または中実の金属コアを、印刷スリーブ用の基材として使用できる。」
つまり、輻射線感受性組成物は、有機溶剤中で混合し、得られた溶液に適用するから、溶剤の含有量が3質量%以下という、実質的に溶剤を含まないというものではない。また、乾燥条件下で蒸発により溶剤を除去した後に露光領域を硬化することから、露光前の輻射線感受性組成物は、溶剤が蒸発し除去されており、印刷版前駆体、印刷胴などの形態を有する基材上に大きさ及び形状(例えば正方形または長方形)を有するものであるから、流動性があるものとはいえない。
してみると、甲第2号証の「輻射線感受性組成物」の使用形態は、基材に適用前は有機溶剤が混合されたものであり、露光前の溶剤が蒸発し除去された状態では流動性がないものである。

以上のことから、甲2発明の「輻射線感受性組成物」に甲1発明を組合わせようと、有機溶剤が混合された「輻射線感受性組成物」の溶剤の含有量を3質量%以下と実質的に溶剤を含有させない量としたり、溶剤が蒸発し除去された状態で流動性がない「輻射線感受性組成物」の粘度を1?100mPa・sと流動性のあるものとすることは、甲2発明の「輻射線感受性組成物」の使用形態に適さないことになる。よって、甲2発明と甲1発明を組合わせることには、阻害要因があるといえる。
したがって、甲2発明に甲1発明を適用し、相違点2及び相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。
そして、甲第6号証は、芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物が記載されているものであり、相違点2及び相違点3に係る構成に関係するものではない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲2発明、甲1発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件特許発明2について
ア 本件特許発明2と甲2発明とを対比する。

甲2発明の「輻射線感受性組成物は、インプリントリソグラフィに使用でき、露光領域が硬化する組成物であ」るから、甲2発明の「輻射線感受性組成物」は、本件特許発明1の「インプリント用硬化性組成物」に相当する。

甲2発明の「遊離基重合性成分」及び「開始剤組成物」は、それぞれ本件特許発明1の「重合性化合物(A)」及び「光重合開始剤(B)」に相当する。

甲2発明の「前記添加剤は、ポリ(アルキレングリコール)又はそのエーテル若しくはエステルであるポリプロピレングリコールであって、200?4000の分子量を有するものである」ことにおいて、ポリプロピレングリコールは、HO-(CH_(2)CH(CH_(3))O)_(n)-Hで表される化合物であり(甲第7号証の記載参照。)、末端に水酸基を有し、フッ素原子及びシリコン原子は実質的に含有しておらず、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の0質量%であるであるから、甲2発明の「添加剤」は、本件特許発明2の「末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)」に相当する。

以上のことから、本件特許発明2と甲2発明との一致点及び相違点は次のとおりである。(一致点)
「重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)
を含有するインプリント用硬化性組成物。」
(相違点4)
重合性化合物(A)について、本件特許発明2は、「芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する」のに対し、甲2発明の「遊離基重合性成分」がそのような化合物を含有するか不明である点。
(相違点5)
本件特許発明2は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」るのに対し、甲2発明における溶剤の含有量が不明である点。
(相違点6)
本件特許発明2は、「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」のに対し、甲2発明における粘度が不明である点。

以下、事案に鑑み、相違点5及び相違点6について先に検討する。

相違点5及び相違点6は、上記「(1)本件特許発明1について 」で検討した相違点2及び相違点3と同じである。
そして、上記「(1)本件特許発明1について 」で検討したのと同様に、甲2発明と甲1発明を組合わせることには、阻害要因があり、甲2発明に甲1発明を適用し、相違点5及び相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものではない。
また、甲第6号証は、芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物が記載されているものであり、相違点5及び相違点6に係る構成に関係するものではない。
よって、相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲2発明、甲1発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件特許発明2と甲3発明とを対比する。
甲3発明において「感光性樹脂組成物は、インプリント用硬化性組成物であ」るから、甲3発明の「感光性樹脂組成物」は、本件特許発明1の「インプリント用硬化性組成物」に相当する。

甲3発明の「光重合性化合物」及び「光重合性開始剤」は、それぞれ本件特許発明1の「重合性化合物(A)」及び「光重合開始剤(B)」に相当する。

甲3発明の「前記可塑剤は、ポリプロピレングリコ-ル又はポリエチレングリコ-ルモノアルキルエ-テルであ」ことにおいて、ポリプロピレングリコールは、HO-(CH_(2)CH(CH_(3))O)_(n)-Hで表される化合物であり(甲第7号証の記載参照。)、末端に水酸基を有し、フッ素原子及びシリコン原子は実質的に含有しておらず、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の0質量%であるであるから、甲3発明の「可塑剤」は、本件特許発明2の「末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)」に相当する。

甲3発明の「前記エチレン性二重結合を有する光重合性化合物は、テレフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート等であ」ることは、本件特許発明2の「重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物」であることに相当する。

以上のことから、本件特許発明2と甲3発明との一致点及び相違点は次のとおりである。(一致点)
「重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)を含有し、
重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するインプリント用硬化性組成物。」
(相違点7)
本件特許発明2は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」るのに対し、甲3発明における溶剤の含有量が不明である点。
(相違点8)
本件特許発明2は、「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」のに対し、甲3発明において「前記感光性樹脂層の20℃における粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである」点。

以下、事案に鑑み、相違点8について先に検討する。
甲3発明の「感光性樹脂組成物」は、「モールドと感光性樹脂層とを押し付けるプレス工程」に用いられるものであり、「前記感光性樹脂層の20℃における粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである」。
つまり、甲3発明の「感光性樹脂組成物」は、「感光性樹脂層」として「粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである」ことを特徴とするものであるから、甲1発明の「ナノインプリント用組成物」の「溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sである」からといって、甲3発明の「感光性樹脂組成物」の「感光性樹脂層」としての粘度を液状である「1?100mPa・s」にするには、阻害要因があるといえる。
よって、相違点8に係る構成は、甲3発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、相違点7について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲3発明ではなく、また、甲3発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

ウ 本件特許発明2と甲5発明とを対比する。
甲5発明は、「光ナノインプリントによるパタン成形技術に関し、」「前記感光性樹脂層に活性光線を露光して前記感光性樹脂層を硬化させる露光工程」「を含む微細パタンの製造方法に用いられる感光性樹脂組成物」であるから、甲5発明の「感光性樹脂組成物」は、本件特許発明1の「インプリント用硬化性組成物」に相当する。

甲5発明の「光重合性化合物」及び「光重合性開始剤」は、それぞれ本件特許発明2の「重合性化合物(A)」及び「光重合開始剤(B)」に相当する。

甲5発明の「前記可塑剤は、ポリプロピレングリコ-ル又はポリエチレングリコ-ルモノアルキルエ-テルであ」ことにおいて、ポリプロピレングリコールは、HO-(CH_(2)CH(CH_(3))O)_(n)-Hで表される化合物であり(甲第7号証の記載参照。)、末端に水酸基を有し、フッ素原子及びシリコン原子は実質的に含有しておらず、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の0質量%であるであるから、甲3発明の「可塑剤」は、本件特許発明2の「末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)」に相当する。

甲5発明の「前記エチレン性二重結合を有する光重合性化合物は、テレフタル酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート等であ」ることは、本件特許発明2の「重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物」であることに相当する。

以上のことから、本件特許発明2と甲5発明との一致点及び相違点は次のとおりである。(一致点)
「重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)を含有し、
重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するインプリント用硬化性組成物。」
(相違点9)
本件特許発明2は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」るのに対し、甲3発明における溶剤の含有量が不明である点。
(相違点10)
本件特許発明2は、「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」のに対し、甲5発明において「前記感光性樹脂層の20℃における粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである」点。

以下、事案に鑑み、相違点10について先に検討する。
甲10発明の「感光性樹脂組成物」は、「基板上に積層される感光性樹脂層に微細パタンを有するモールドを押し付けて前記感光性樹脂層に微細パタンを形成する賦型工程」に用いられるものであり、「前記感光性樹脂層の20℃における粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである」。
つまり、甲5発明の「感光性樹脂組成物」は、「感光性樹脂層」として「粘度が、10^(6)?10^(11)Pa・sである」ことを特徴とするものであるから、甲1発明の「ナノインプリント用組成物」の「溶剤を除く成分の25℃における粘度は1?100mPa・sである」からといって、甲5発明の「感光性樹脂組成物」の「感光性樹脂層」としての粘度を液状である「1?100mPa・s」にするには、阻害要因があるといえる。
よって、相違点10に係る構成は、甲5発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
したがって、相違点9について検討するまでもなく、本件特許発明2は、甲5発明ではなく、また、甲5発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

(3)本件特許発明1の構成を全て含む本件特許発明3?13について
本件特許発明1の構成を全て含む本件特許発明3?13は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」る構成及び「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」構成を含むものであるから、本件特許発明1と同じ理由により、本件特許発明1の構成を全て含む本件特許発明3?13は、甲2発明、甲1発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13について
ア 甲2発明を主引例とした進歩性について
本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」る構成及び「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」構成を含むものであるから、本件特許発明2と同じ理由により、本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13は、甲2発明、甲1発明及び甲第6号証の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 甲3発明を主引例とした新規性進歩性について
本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13は、「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」構成を含むものであるから、本件特許発明2と同じ理由により、本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13は、甲3発明ではなく、また、甲3発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

ウ 甲5発明を主引例とした新規性進歩性について
本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13は、「溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下である」構成を含むものであるから、本件特許発明2と同じ理由により、本件特許発明2の構成を全て含む本件特許発明3?13は、甲5発明ではなく、また、甲5発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)甲1発明を主引例とした新規性進歩性について
少なくとも、本件特許発明1?13は、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」るのに対し、甲1発明の「組成物中における溶剤の含有量は、0?99質量%であである」点で相違する。
甲第1号証には溶剤の含有量について段落【0076】に「本発明の組成物中における前記溶剤の含有量は、溶剤を除く成分の粘度、塗布性、目的とする膜厚によって最適に調整されるが塗布性の観点から、全組成物中、0?99質量%が好ましく、0?97質量%がさらに好ましい。特に膜厚500nm以下のパターンを形成する際には50?99質量%が好ましく、70?97質量%がさらに好ましい。」と記載されており、好ましい溶剤の含有量とする範囲は、「3質量%以下」の範囲から外れるように、その範囲が絞られている。そして、この記載から、「組成物中における溶剤の含有量」について、甲1発明の「0?99質量%」である構成を、「3質量%以下」である構成に代える動機付けは見いだせない。
したがって、本件特許発明1?13は、甲1発明ではなく、また、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)甲4発明を主引例とした新規性進歩性について
少なくとも、本件特許発明1?13と甲4発明とは以下の相違点を有する。
本件特許発明1?13は「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」るのに対し、甲4発明の「樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、10重量%以上、40重量%以下の範囲であ」る点。
そして、甲1発明に「組成物中における溶剤の含有量は、0?99質量%であである」ことが記載されているからといって、甲4発明の「樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、10重量%以上、40重量%以下の範囲であ」ることを、3質量%以下と実質的に溶剤を含有させない量に変更する動機付けはない。
よって、相違点に係る構成は、甲4発明に基づいて当業者が容易に想到し得ることではない。
したがって、本件特許発明1?13は、甲4発明ではない。また、本件特許発明1?13は、甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)特許法第36条第4項第1号について
特許異議申立人宮林礼尚は、申立人意見書2において、本件特許発明1及び2に記載の「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」について、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、当業者が特許発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件特許発明1及び2の技術的意義を理解できない。よって、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、明細書の段落【0118】に「本発明の硬化性組成物は溶剤を除く全成分の混合液の粘度が100mPa・s以下であることが好ましく」と記載されている。また、段落【0049】に「一般式(I)で表される重合性化合物が25℃において液体であるときの25℃における粘度としては2?500mPa・sが好ましく」と記載され、段落【0057】に「また、一般式(I-2)で表される(メタ)アクリレート化合物の25℃における粘度が50mPa・s以下であることが好ましく」と記載され、段落【0099】に「光硬化性組成物において25℃における粘度が5mPa・s未満の重合性化合物の含有量が全重合性化合物に対して50質量%以下であることが好ましく」と記載され、硬化性組成物を構成する成分である重合性化合物の粘度が25℃における粘度であることが記載されている。また、段落【0143】には、「吐出される硬化組成物の温度が25℃となるように調整した。」と記載されている。
これらの記載を踏まえると、上記段落【0118】における粘度が25℃における粘度であることは自明であるといえる。
してみると、「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」ことが、本願の発明の詳細な説明に、当業者が特許発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないとまではいえない。
また、インプリント用硬化性組成物において、粘度は塗布性などに関連する特性であって、特に、「インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であ」る本件特許発明にとって、溶剤は実質的に含まれていないことになるから、「溶剤を除く全成分の」「粘度」が塗布時(吐出)の粘度を主に特定することになる。
してみると、「溶剤を除く全成分の混合液25℃における粘度が100mPa・sである」との構成について、本件特許発明においての技術的意義が理解できないとまではいえない。
以上のとおり、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載により、本件特許発明1及び2を実施することができないとまではいえず、また、本件特許発明1及び2の技術的意義を理解できないとまではいえないから、かかる主張は理由がない。

(4)甲第8号証ないし甲第13号証に基づいた新たな取消理由について
特許異議申立人宮林礼尚は、申立人意見書1及び2において、甲8ないし13を提出し、特に、本件発明1に対して甲8、10,12に記載された発明は同一であるとする理由を主張している。この理由は、訂正された事項によってはじめて生じた理由ではなく、訂正前においても当てはまる理由であるから、訂正に付随して生じた理由とはいえない。そして、特許異議の申立ての期間が特許掲載公報発行の日から6月以内に制限されている趣旨を踏まえ、特許異議の申立ての期間を超えて提出された甲8ないし13に基づく新たな取消理由は採用しない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリアルキレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、アルキレングリコール構成単位を3?1000個有する非重合性化合物(C)を含有し、
重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するインプリント用硬化性組成物であって、
インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり、
溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下であるインプリント用硬化性組成物。
【請求項2】
重合性化合物(A)と、
光重合開始剤(B)と、
末端に少なくとも1つ水酸基を有するか、または末端の水酸基が少なくとも1つエーテル化されたポリプロピレングリコール構造を有し、フッ素原子およびシリコン原子を実質的に含有せず、かつ、ポリプロピレングリコール構造以外の構成要素が全体の5質量%以下である非重合性化合物(C)を含有し、
重合性化合物(A)が芳香族基および/または脂環炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を含有するインプリント用硬化性組成物であって、
インプリント用硬化性組成物中の溶剤の含有量が3質量%以下であり、
溶剤を除く全成分の混合液の25℃における粘度が100mPa・s以下であるインプリント用硬化性組成物。
【請求項3】
重合性化合物(A)がフッ素原子および/またはシリコン原子を有する化合物を含有する、請求項1または2に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項4】
非重合性化合物(C)が、ポリアルキレングリコールである、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項5】
非重合性化合物(C)が、ポリアルキレングリコールエーテルである、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項6】
非重合性化合物(C)が、ポリアルキレングリコールエステルである、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項7】
非重合性化合物(C)として、ポリプロピレングリコールを含む、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項8】
非重合性化合物(C)として、ジオール型ポリアルキレングリコールを含む、請求項1?3のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項9】
非重合性化合物(C)以外のポリマー成分量が組成物の溶剤を除く成分に対して2質量%以下である、請求項1?8のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項10】
インプリント用硬化性組成物が更に界面活性剤を含有する、請求項1?9のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物。
【請求項11】
請求項1?10のいずれか1項に記載のインプリント用硬化性組成物を基材上または微細パターンを有するモールド上に適用し、該光硬化性組成物をモールドと基材で挟んだ状態で光照射することを含むパターン形成方法。
【請求項12】
インプリント用硬化性組成物の基材上または微細パターンを有するモールド上に適用する方法が、インクジェット法である請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-01 
出願番号 特願2012-112278(P2012-112278)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
P 1 651・ 113- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松岡 智也  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 森 竜介
松川 直樹
登録日 2015-10-30 
登録番号 特許第5829177号(P5829177)
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 インプリント用硬化性組成物、パターン形成方法およびパターン  
代理人 特許業務法人特許事務所サイクス  
代理人 特許業務法人特許事務所サイクス  
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