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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1330365
審判番号 不服2016-17144  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-16 
確定日 2017-08-01 
事件の表示 特願2012-102934「濃度測定装置及び脱硝装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日出願公開、特開2013-231638、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月27日の出願であって、平成27年12月25日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月8日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)され、同年11月16日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし4、7及び8に係る発明は、以下の引用文献1ないし2及び4に基づいて、本願請求項5及び6に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に基づいて、本願請求項9に係る発明は、以下の引用文献1ないし6に基づいて、本願請求項10に係る発明は、以下の引用文献1ないし7に基づいて、それぞれ、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2005/0087027号明細書
2.実願昭62-141465号(実開昭64-46744号)のマイクロフィルム
3.特開2007-33049号公報
4.特開2003-279466号公報
5.特開2003-42915号公報
6.独国特許出願公開第4430378号明細書
7.特開2003-290630号公報


第3 本願発明
本願請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、平成28年11月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
測定対象が含まれるガスが流通する機器の内部空間に仮想的に設定された複数の測定点における前記測定対象の濃度を測定する濃度測定装置であって、
前記機器の壁面に貫通して設置され、前記測定点にそれぞれ位置するように形成された開口部を有する複数の筒状部材と、
前記機器の外部に設置される、一端部が前記複数の筒状部材の前記開口部の反対側の端部と接続された1本の測定管と、
前記測定管の他端部と接続され、前記筒状部材内部と前記測定管内部の前記ガスを吸引可能な吸引手段と、
前記複数の筒状部材に設置され、前記測定管への前記ガスの流通を制御する開閉弁と、を備え、
前記測定管は、前記吸引手段によって前記筒状部材を介して前記測定管内に導入された前記ガスに対してレーザ光を照射する送光手段と、該レーザ光を受光する受光手段とを有し、前記レーザ光の強度情報に基づいて前記測定管内に導入された前記ガスに含まれる前記測定対象の濃度を測定し、
前記測定管の端部に前記送光手段又は前記受光手段が設置され、
前記送光手段又は前記受光手段の近傍からシールエアが吹き出され、
前記測定管の端部よりも中央側には、前記測定管の端部から中央へシールエアを通過させ、かつ、前記レーザ光が通過する貫通孔が中央部に形成された板状のスリット板が設置され、
前記スリット板よりも前記測定管の長手方向中央側に、前記シールエアを整流する整流板、又は、前記シールエアを拡散して噴出する第2のスリット板が設置されている濃度測定装置。」


第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(日本語訳は当審が作成した。また、下線は当審による。)。

(引1a)「[0002] The present invention relates to a method and system of obtaining a spatially representative sample of fluid flowing in a duct, and particularly relates to a method and system of obtaining a spatially representative sample of fluid utilizing multiple sampling probes.」

(日本語訳)「[0002] 本発明は、ダクト内を流れる流体の空間的に代表的なサンプルを取得する方法及びシステムに関し、特に、複数のサンプリングプローブによって流体の空間的に代表的なサンプルを取得する方法及びシステムに関連する。」

(引1b)「[0011] Other systems utilize a sampling grid having multiple sampling probes spatially distributed across the flow field. In these systems, the flow is typically drawn through a common pump and is sequenced to get point-to-point sample concentrations rather than average sample concentrations. 」

(日本語訳)「[0011] 他のシステムは、流れ場を横切って空間的に分散している複数のサンプリングプローブを有するサンプリンググリッドを用いる。このシステムにおいて、流れは、典型的には一般的なポンプによって吸引され、平均サンプル濃度よりむしろ位置毎のサンプル濃度を得るために順序づけられる。」

(引1c)「[0017] FIG. 1 illustrates an exemplary embodiment of a fluid sampling and monitoring system for obtaining a continuous and spatially representative sample of fluid flowing through duct 40 . The fluid flowing through duct 40 may be, for example, exhaust gas containing pollutants from a gas turbine. Duct 40 may be, for example, an outlet exhaust stack of the gas turbine.」

(日本語訳)
「[0017]図1は、ダクト40を通って流れる流体の連続的に且つ空間的に代表的なサンプルを取得する流体サンプリング及び監視システムの例示的な実施例を示している。ダクト40を通って流れる流体は、例えば、ガスタービンからの汚染物質を含む排出ガスであり得る。ダクト40は、例えば、ガスタービンの排気スタックであり得る。」

(引1d)「[0023] Flow controllers 51 - 53 control the flow rate of fluid, and hence the flow rate of the amount of component gas species within the fluid, received by sample probes 21 - 23 , respectively. Flow controllers 51 - 53 each may comprise a valve and a flow rate sensor. If any one the flow controller valves is closed, then no fluid is received by that sample probe 21 - 23 which is connected to that closed flow controller valve. The degree to which flow controller valves are opened controls the flow rate of fluid (and hence component gas species) received by a connected sample probe. A computerized control system 70 controls the degree of opening of each flow control valve. Alternatively, flow control valves can be opened and closed manually. Each of the flow control valves 51 - 53 , when opened, communicates received fluid from sample probes 21 - 23 , respectively, to sample stream passageway 31 . Sample pump 32 draws the received fluid from passageway 31 to analyzer 33 . Analyzer 33 performs an analysis on the received sample such as an identification of component gases.」

(日本語訳)「[0023] 流れコントローラ51-53は、流体の流量、すなわち、サンプリングプローブ21-23それぞれにおいて受け取られた流体内の成分ガス種の流量を制御する。それぞれの流れコントローラ51-53は、弁と流量計で構成されている。1つの流れ制御弁が閉じられると、閉じられた流れ制御弁に接続されているサンプルプローブ21-23は流体を受け取らない。流れ制御弁が開かれる程度によって、接続されたサンプルプローブが受け取る流体(すなわち成分ガス種)の流量を制御できる。コンピュータ制御システム70は、それぞれの流れ制御弁の開度を制御する。代替的に、流れ制御弁は、手動で開閉することもできる。流れ制御弁のいずれかが開かれると、サンプリングプローブ21-23それぞれから受け取った流体は、サンプル流路31に伝えられる。サンプルポンプ32は、受け取った流体を通路31から吸引し分析器33に流す。分析器33は、成分ガスの特定のような受け取ったガスの分析を実行する。」

(引1e)図1は、以下のようなものである。



したがって、図1を中心に、(引1a)ないし(引1d)の下線部の記載を整理すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「成分ガス種が含まれる流体が流通するダクト40を通って流れる流体の連続的に且つ空間的に代表的なサンプルを取得する流体サンプリング及び監視システムであって、
形成された流れ場を横切って空間的に分散している複数のサンプリングプローブを有するサンプリンググリッドを用いて、サンプリングプローブの位置毎のサンプル濃度を得るものであり、
ダクト40を貫通して設置される複数のサンプリングプローブ21ないし23と、
ダクト40の外部に設置され、サンプリングプローブからサンプルを受け取る分析器33と、
分析器33とサンプリングプローブ21ないし23との間の流路に接続され、サンプル流路31を介してサンプリングプローブ21ないし23から流体を吸引し分析器33に流すサンプルポンプ32と、
サンプリングプローブ21ないし23のそれぞれに設置された流れ制御弁であって、1つの流れ制御弁が閉じられると、閉じられた流れ制御弁に接続されているサンプルプローブ21ないし23は流体を受け取らず、流れ制御弁が開かれる程度によって、接続されたサンプルプローブが受け取る流体(すなわち成分ガス種)の流量を制御できる流れ制御弁と
を備える流体サンプリング及び監視システム。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の明細書第3頁11行目ないし第4頁10行目及び第4図の記載からみて、当該引用文献2には、「煙道1の途中に複数個のサンプリング点2a、2b、2c…を設定し、各サンプリング点2a、2b、2c…に接続したサンプリング管3a、3b、3c…に、計算機4からの指令により開閉する電磁弁5a、5b、5c…を各々取り付け、上記各サンプリングサンプリング管3a、3b、3c…は、サンプリングガス吸引ポンプ6のサクションライン7にまとめて接続して、該サクションラインに、ガス前処理装置8と、該ガス前処理装置8で処理されたガスを赤外線吸収スペクトル方式でリアルタイムで分析してガス濃度を測定するガス濃度測定器9とを設け、サンプリングガス吸引ポンプ6はガス濃度測定器9より下流側に設置されているガス濃度測定装置」という技術的事項が記載されていると認められる。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の【0008】ないし【0013】段落及び図9の記載からみて、当該引用文献3には、「測定対象である濃度未知のガスが充填される容器であるセンサヘッド93を複数有し、各センサヘッド93の送受信用光ファイバ94には、共通の光源84から出射したレーザ光が供給され、また、送受信用光ファイバ94を用いて各センサヘッド93の測定対象ガス雰囲気中を通過したレーザ光を共通の信号処理部83に出射され、共通の信号処理部83において各センサヘッドから受光したレーザ光の強度を検出することによって、各センサヘッド93におけるガス濃度を求めるガス濃度測定装置」という技術的事項が記載されていると認められる。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の【0021】ないし【0027】段落及び図3の記載からみて、当該引用文献4には、「試料粒子によって測定光に回折・散乱を生じさせるための空間として散乱場40が測定セル4のほぼ中央部に設けられた粒度センサー用測定セルにおいて、測定セル4には、光学窓43、44が設けられており、光学窓43、44の内側には、ほぼ糸巻き形状の通路部材47、48が配置され、通路部材47の外周側にはドーナツ状の空気室471が設けられ、この空気室471には圧縮空気の供給通路45が連通しており、外部の圧縮空気源からの圧縮空気が空気室471に供給され、通路部材47には空気室471に連通して複数の噴出口472が光学窓の外周部に沿って離散的に形成されており、通路部材47の中央部には光学窓43側と散乱場40側とを貫通する中央通路473が形成されており、通路部材48にも同様の空気室481、複数の噴出口482及び中央通路483が形成されており、空気室471内に供給された圧縮空気は、複数の噴出口472から光学窓43内面の外周部に向かって噴出され、光学窓43の内面で折り返されて中央通路473を散乱場40に向かう空気流となって進み、これは空気室481内に供給された圧縮空気も同様であり、散乱場40に供給された空気流は粉体試料とともに排出ノズル42から測定セル4の外部に排出される構成とすることによって、散乱場40に導入された粉体試料が光学窓43、44側に拡散することが防止され、粉体試料が付着して光学窓43、44の内面が汚染されることを効率的に防止できる、粒度センサー用測定セル」という技術的事項が記載されていると認められる。

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5の【0020】ないし【0024】段落及び図1の記載からみて、当該引用文献5には、「燃焼設備の煙道に接続されたガス導入管18を中空円筒部14aの一端部に接続して、中空円筒部14aの接線方向に排気ガスを導入し、吸引ポンプ13が設けられたガス排気管20を中空円筒部14aの他端部に接続して、中空円筒部14aの接線方向に排気ガスを排出することで、排気ガスが内部でスムーズに螺旋状に旋回するようにし、中空円筒部14aの軸線に沿って延びるろ過フィルタ16を介して取り出したガスを周知のガス分析装置でガス分析を行う装置」という技術的事項が記載されていると認められる。

6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6の図1ないし4及び明細書の全体の記載からみて、当該引用文献6には、「産業プラントにおける排気ダクトの粉塵の継続的な監視システムであって、光学測定ヘッド11に接続された加熱回転空洞8であって、入口管7から加熱回転空洞8の接線方向にガスが導入され、出口管9から加熱回転空洞8の接線方向にガスが排出される、監視システム」という技術的事項が記載されていると認められる。

7 引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7の【0042】段落及び図1ないし3の記載からみて、当該引用文献7には、「煙道に設置された脱硝装置において、複数本のサンプリング管8aを有する出口側センサ8を、サンプリング管8aを煙道の壁面を貫通して設置し、出口側センサ8を煙道の外側に配置し、煙道の断面における複数個所でアンモニア濃度を測定し、各測定値に基づいてアンモニア供給ノズル毎にアンモニア供給量を個別に制御することで、アンモニア濃度の濃淡により未反応のアンモニアが流出したり脱硝が不十分となるおそれを回避する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明1における「成分ガス種が含まれる流体」及び「ダクト40」は、それぞれ、本願発明1における「測定対象が含まれるガス」及び「機器」に相当する。

イ 引用発明1における「空間的に分散している複数のサンプリングプローブ」の位置は、本願発明1における「空間に仮想的に設定された複数の測定点」に相当し、引用発明1における「流体サンプリング及び監視システム」は、「成分ガス種が含まれる流体が流通するダクト40」に「形成された流れ場を横切って空間的に分散している複数のサンプリングプローブを有するサンプリンググリッド」における「サンプリングプローブの位置毎のサンプル濃度」を得るものであるから、本願発明1における「測定対象が含まれるガスが流通する機器の内部空間に仮想的に設定された複数の測定点における前記測定対象の濃度を測定する濃度測定装置」に相当する。

ウ 引用発明1における「ダクト40を貫通して設置される複数のサンプリングプローブ21ないし23」は、各々の「サンプリングプローブ21ないし23」にはダクト40内のガスを導入するための開口が設けられていることは技術常識であるから、本願発明1における「前記機器の壁面に貫通して設置され、前記測定点にそれぞれ位置するように形成された開口部を有する複数の筒状部材」に相当する。

エ 引用発明1の「分析器33」は濃度を「測定」するものであるから、引用発明1における「ダクト40の外部に設置され、サンプリングプローブからサンプルを受け取る分析器33」と、本願発明1の「前記機器の外部に設置される、一端部が前記複数の筒状部材の前記開口部の反対側の端部と接続された1本の測定管」とは、「前記機器の外部に設置される、前記複数の筒状部材の前記開口部の反対側の端部と接続された1つの測定器」である点で共通している。

オ 引用発明1における「分析器33とサンプリングプローブ21ないし23との間の流路に接続され、サンプル流路31を介してサンプリングプローブ21ないし23から流体を吸引し分析器33に流すサンプルポンプ32」と、本願発明1の「前記測定管の他端部と接続され、前記筒状部材内部と前記測定管内部の前記ガスを吸引可能な吸引手段」とは、「前記測定器と接続され、前記筒状部材内部の前記ガスを吸引可能な吸引手段」である点で共通している。

カ 引用発明1における「サンプリングプローブ21ないし23のそれぞれに設置された流れ制御弁」は、「1つの流れ制御弁が閉じられると、閉じられた流れ制御弁に接続されているサンプルプローブ21ないし23は流体を受け取らず、流れ制御弁が開かれる程度によって、接続されたサンプルプローブが受け取る流体(すなわち成分ガス種)の流量を制御できる」弁すなわち「開閉弁」であるから、本願発明1における「前記複数の筒状部材に設置され、前記測定管への前記ガスの流通を制御する開閉弁」に相当する。

キ したがって、アないしカから、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「測定対象が含まれるガスが流通する機器の内部空間に仮想的に設定された複数の測定点における前記測定対象の濃度を測定する濃度測定装置であって、
前記機器の壁面に貫通して設置され、前記測定点にそれぞれ位置するように形成された開口部を有する複数の筒状部材と、
前記機器の外部に設置される、前記複数の筒状部材の前記開口部の反対側の端部と接続された1つの測定器と、
前記測定器と接続され、前記筒状部材内部の前記ガスを吸引可能な吸引手段と、
前記複数の筒状部材に設置され、前記測定管への前記ガスの流通を制御する開閉弁と、を備える濃度測定装置。」

(相違点)
(相違点1)測定器について、本願発明1は、測定「管」であり、「前記測定管は、前記吸引手段によって前記筒状部材を介して前記測定管内に導入された前記ガスに対してレーザ光を照射する送光手段と、該レーザ光を受光する受光手段とを有し、前記レーザ光の強度情報に基づいて前記測定管内に導入された前記ガスに含まれる前記測定対象の濃度を測定し、
前記測定管の端部に前記送光手段又は前記受光手段が設置され、
前記送光手段又は前記受光手段の近傍からシールエアが吹き出され、
前記測定管の端部よりも中央側には、前記測定管の端部から中央へシールエアを通過させ、かつ、前記レーザ光が通過する貫通孔が中央部に形成された板状のスリット板が設置され、
前記スリット板よりも前記測定管の長手方向中央側に、前記シールエアを整流する整流板、又は、前記シールエアを拡散して噴出する第2のスリット板が設置されている」という構成を備えるのに対し、引用発明1の「分析器33」はそのような特定がない点。

(相違点2)「筒状部材」と「吸引手段」との「測定器」への接続について、本願発明1は測定管の「一端部」に筒状部材が接続され、「他端部」に吸引手段が接続されるのに対し、引用発明1は、「サンプルポンプ32」が「分析器33とサンプリングプローブ21ないし23との間の流路に接続され」ている点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
上記相違点1に係る本願発明1の構成のうち、「スリット板よりも前記測定管の長手方向中央側に、前記シールエアを整流する整流板、又は、前記シールエアを拡散して噴出する第2のスリット板が設置されている」構成については、引用文献2ないし7の何れにも記載も示唆もされておらず、本願出願前において周知技術であるとも、引用発明1に引用文献2ないし7に記載の技術的事項を適用する際の設計変更であるともいえない。

したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2ないし7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2ないし7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。


第6 原査定について
上記「第3 本願発明」から「第5 対比・判断」に示したとおり、本願発明1ないし9は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし7に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-07-18 
出願番号 特願2012-102934(P2012-102934)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塚本 丈二  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 渡戸 正義
松岡 智也
発明の名称 濃度測定装置及び脱硝装置  
代理人 川上 美紀  
代理人 藤田 考晴  
代理人 三苫 貴織  
代理人 長田 大輔  

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