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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1330512
審判番号 不服2016-2831  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-25 
確定日 2017-07-10 
事件の表示 特願2013-514209「ジャンプ、チェックマーク、および取消し線のジェスチャー」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月15日国際公開、WO2011/156159、平成25年 7月 8日国内公表、特表2013-528304〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は,2011年5月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年6月8日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成27年4月2日付け拒絶理由通知に対して同年6月2日に意見書及び手続補正書が提出されたが平成27年11月4日付けで拒絶査定がなされ,これを不服として平成28年2月25日に審判請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年2月25日に提出された手続補正書による手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本願発明と補正後の発明
本件補正は,平成27年6月2日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項7に記載された
「 入力を,コンピューティングデバイスのディスプレイデバイスによってユーザーインターフェースに表示された項目に関連付けられる自由形式の線として書かれたチェックマークとして認識するステップと,
前記認識された入力からチェックマークジェスチャーを識別するステップであって,前記チェックマークジェスチャーが前記項目を選択するために有効である,ステップと,
前記選択に応答して,前記選択された項目に関連付けられるメニューの出力を開始するステップと
を含む方法。」
という発明(以下,「本願発明」という。)を,補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「 入力を,コンピューティングデバイスのディスプレイデバイスによってユーザーインターフェースに表示された項目に関連付けられる自由形式の線として書かれたチェックマークとして認識するステップと,
前記認識された入力から,チェックマークを書くジェスチャーであるチェックマークジェスチャーを識別するステップであって,前記チェックマークジェスチャーが前記項目を選択するために有効である,ステップと,
前記選択に応答して,前記選択された項目に関連付けられるメニューの出力を開始するステップと
を含む方法。」
という発明(以下,「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである。

2 新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件について
本件補正は,補正前の請求項1?6を削除するとともに,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲若しくは図面に記載した事項の範囲内において,補正前の特許請求の範囲の請求項7に記載された「チェックマークジェスチャー」について「チェックマークを書くジェスチャーである」点を付加してこれを限定することにより特許請求の範囲を限定的に減縮するものであって,特許法第17条の2第3項(新規事項)並びに特許法第17条の2第5項第1号及び第2号(補正の目的)の規定に適合している。
また,特許法第17条の2第4項(シフト補正)に違反するものでもない。

3 独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものを含むから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

(1)補正後の発明
上記「1 本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

(2)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-105324号公報(以下,「引用例」という。)には,「直感的なジェスチャ方式のグラフィカル・ユーザ・インタフェース」(発明の名称)に関し,以下の事項が記載されている。(当審注:下線部は当審が注目箇所に対して付したものである。以下,同様。)

ア 「【0006】図1は,電子装置上で実施される好適な実施例による直感的なジェスチャ方式のグラフィカル・ユーザ・インタフェースの図を示す。電子装置100は,好ましくは,コンピュータまたはマイクロコンピュータ方式の機器である。この図では,電子装置100は,無線電話,電子メールおよびファクシミリ機能を備えた一体型ワイヤレス通信装置として示される。ただし,電子装置100は,モデム(変調器/復調器)を装備したデスクトップ・コンピュータまたはポータブル・コンピュータ,テレビ/VCRの組み合わせ,ファクシミリ装置,フォトコピー機,パーソナル・デジタル・アシスタントなどでもよい。電子装置100は,感圧スクリーン150と,プッシュ・ボタン120とを有する。ペンまたはスタイラスなどのポインティング・デバイス190は,スクリーン150と相互に作用して,スクリーンのエリアを選択する。もちろん,マウス,ジョイスティック,タッチパッドまたは人間の指など他のポインティング・デバイスをペンまたはスタイラスの代わりに利用できる。」

イ 「【0007】図2は,好適な実施例による図1に示す電子装置のスクリーンの詳細を示す。このスクリーンは,マイクロプロセッサによって指示されるように,電子メールボックス内の受信メッセージのリストなど,一つまたはそれ以上のスクリーン・オブジェクト210,220,230を表示する。スクリーン・オブジェクトとは,データのグラフィカルな表現のことである。電子メール・ソフトウェア・プログラムがこの例で用いられるが,スクリーン・オブジェクトとしてアルファベット・インデクスを有するアドレス・ブック・プログラムや,スクリーン・オブジェクトとしてカレンダ日付を有するスケジューリング・プログラムや,スクリーン・オブジェクトとしてリスト・アイテムを有するメモまたはツー・ドゥー・リストや,スクリーン・オブジェクトとして方向ボタンを有する電子ゲームや,フォトコピーまたはファクシミリ伝送などの機能に適した電子プログラムなど,他の多くのプログラムを他の種類のスクリーン・オブジェクトで代用できる。
【0008】スクリーン・オブジェクトおよび関連機能を選択する2つの方法がある。タップまたはポイントをドローするなどの,スクリーン・オブジェクトのマニュアル選択は,マニュアル選択されたスクリーン・オブジェクトに対応する機能を示す明確な識別を有する,パレット・ボタンを備えた方向パレットを自動的に呼出す。所望のパレット・ボタンの第2タップなど,パレット・ボタンのマニュアル選択は,特定した機能の実行を指示する。一方,ジェスチャ選択は,スクリーン・オブジェクトおよび機能の両方を同時に指定することが可能である。スクリーン・オブジェクトから開始して,特定の方向に進むラインをドローするなどのジェスチャ選択は,ラインの開始点から所望のスクリーン・オブジェクトを指示し,ラインがドローされる方向から所望の機能を指示する。」

ウ 「【0009】スクリーン・オブジェクトをマニュアル選択するためには,初心者ユーザはスクリーン・オブジェクト上で直感的にタップするかあるいはポイントをドローして,電子メール・メッセージを選択する。図3は,本発明によりユーザがスクリーン・オブジェクトのマニュアル選択を行う際の,図2に示すスクリーンの詳細を示す。電子装置は,好ましくは,タップしたエリア310をハイライトすることにより,視覚的なフィードバックをユーザに与える。オプションとして,オーディオ・フィードバックをユーザに与えてもよい。シングル・タップまたはポイントをドローするなどのマニュアル選択の後,電子装置は,好ましくはタップまたはポイントが生じた同じスクリーンのエリア上にセンタリングする,方向パレットをユーザに自動的に提示する。」

エ 「【0014】さらに図5に示す方向パレットでは,第1タップの左側の「返送」パレット・ボタン上の第2タップは,返送スクリーンを呼出す。これに対応するジェスチャは,図6に示すように右から左にドローしたラインである。図6は,好適な実施例によりユーザがスクリーン・オブジェクトおよび機能のジェスチャ選択を行う際の,図2に示すスクリーンの詳細を示す。ジェスチャ,ここでは,スクリーン・オブジェクト220上の右から左にドローしたラインは,スクリーン上のライン620を利用して追跡される。返送ジェスチャがマイクロプロセッサによって認識されると,返送パレット・ボタン454が現れ,視覚的なフィードバックを与えるため点滅し,そしてユーザが方向パレットから返送パレットをマニュアル選択した場合に返送スクリーンが現れるのとまったく同じように,返送スクリーンが現れる。なお,機能をアクセスするための心理的なモデルは,初心者ユーザおよび熟練ユーザの両者にとって同じであることに留意されたい。従って,初心者ユーザ用の個別で冗長なスクリーン・ボタンはもはや必要ない。」

オ 「【0016】図7は,別の好適な実施例によりユーザが図4に示す方向パレット上でパレット・ボタンをマニュアル選択する際の,図2に示すスクリーンの詳細を示す。方向パレットは,任意の数のジェスチャおよびアクセス可能な機能を作り出すため,「スタック」してもよい。「返送」と記された西側パレット・ボタン454上をタップすると,サブパレット750が呼出される。サブパレット750は,2つのパレット・ボタン,すなわち,メッセージの送信者に返送するための北西のパレット・ボタン751と,可能な受信者のリストから選択するための南西のパレット・ボタン753のみを与える。サブパレット750は無限にスタックでき,任意の数のパレット・ボタンを収容できる。」

カ 「【0017】図8は,別の好適な実施例によりユーザがスクリーン・オブジェクトのジェスチャ選択を行う際の,図2に示すスクリーンの詳細を示す。スタックしたパレットの実施例では,ジェスチャ選択はユーザにサブパレットを呼出すか,あるいは機能を直接アクセスさせる。この実施例では,ジェスチャ・ライン620はユーザによって引かれ,サブパレット750が現れる。ただし,このジェスチャが北西方向に続くと,返送パレット・ボタン454が最初に現われて点滅し,次にパレット・ボタン751が現れて点滅し,メッセージの送信者Johnに宛てられた返送スクリーンが現在のスクリーンと入れ替わる。従って,ジェスチャを利用することにより,パレット450およびサブパレット750の両方を省略できる。」

上記摘記事項及びこの分野における技術常識を総合勘案すると,上記引用例には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「 電子装置上で実施され,ユーザがスクリーン・オブジェクトのジェスチャ選択を行う方法であって,
電子装置100は,好ましくは,コンピュータまたはマイクロコンピュータ方式の機器であり,感圧スクリーン150を有し,ペンまたはスタイラスなどのポインティング・デバイス190は,スクリーン150と相互に作用して,スクリーンのエリアを選択し,
このスクリーンは,マイクロプロセッサによって指示されるように,電子メールボックス内の受信メッセージのリストなど,一つまたはそれ以上のスクリーン・オブジェクト210,220,230を表示するが,スクリーン・オブジェクトとは,データのグラフィカルな表現のことであり,
ジェスチャ選択は,スクリーン・オブジェクトおよび機能の両方を同時に指定することが可能であって,スクリーン・オブジェクトから開始して,特定の方向に進むラインをドローするなどのジェスチャ選択は,ラインの開始点から所望のスクリーン・オブジェクトを指示し,ラインがドローされる方向から所望の機能を指示するものであり,
ユーザがスクリーン・オブジェクトおよび機能のジェスチャ選択を行う際,ジェスチャ,ここでは,スクリーン・オブジェクト220上の右から左にドローしたラインは,スクリーン上のライン620を利用して追跡され,返送ジェスチャがマイクロプロセッサによって認識されると,返送パレット・ボタン454が現れ,視覚的なフィードバックを与えるため点滅するが,スタックしたパレットの実施例ではサブパレット750が現れ,
サブパレット750は,2つのパレット・ボタン,すなわち,メッセージの送信者に返送するための北西のパレット・ボタン751と,可能な受信者のリストから選択するための南西のパレット・ボタン753である,方法。」

(3)対比
補正後の発明と引用発明とを対比する。
a 引用発明の「電子装置100」は「好ましくは,コンピュータまたはマイクロコンピュータ方式の機器」であって,補正後の発明の「コンピューティングデバイス」に含まれる。
b 引用発明の「感圧スクリーン150」は補正後の発明の「ディスプレイデバイス」に含まれる。
c 引用発明の「スクリーン」が表示する「電子メールボックス内の受信メッセージのリストなど,一つまたはそれ以上のスクリーン・オブジェクト210,220,230」は補正後の発明の「ユーザーインターフェースに表示された項目」に含まれる。
d 引用発明において「ユーザがスクリーン・オブジェクトおよび機能のジェスチャ選択を行う際,ジェスチャ,ここでは,スクリーン・オブジェクト220上の右から左にドローしたラインは,スクリーン上のライン620を利用して追跡され,返送ジェスチャがマイクロプロセッサによって認識される」が,
ここにおいて,上記「右から左にドローしたライン」が「ペンまたはスタイラスなどのポインティング・デバイス190」を用いてユーザが手書きで自由に入力した線であることは明らかであって「表示された項目に関連付けられる自由形式の線」といい得るものであり,また,該「右から左にドローしたライン」が「スクリーン上のライン620を利用して追跡され,返送ジェスチャがマイクロプロセッサによって認識される」ものである以上,引用発明では「入力を,コンピューティングデバイスのディスプレイデバイスによってユーザーインターフェースに表示された項目に関連付けられる自由形式の線として書かれたもの」と「認識」し,該「認識された入力から,ジェスチャーを識別」していることは明らかである。
さらに,引用発明では「スクリーン・オブジェクトから開始して,特定の方向に進むラインをドローするなどのジェスチャ選択は,ラインの開始点から所望のスクリーン・オブジェクトを指示」するから,該「ジェスチャ」は「前記項目を選択するために有効である」ものである。
そうすると,引用発明は「入力を,コンピューティングデバイスのディスプレイデバイスによってユーザーインターフェースに表示された項目に関連付けられる自由形式の線として書かれたものとして認識するステップと,前記認識された入力から,ジェスチャーを識別するステップであって,前記ジェスチャーが前記項目を選択するために有効である,ステップと」を備える点で補正後の発明と共通するといえる。
e 引用発明の「サブパレット750」は「2つのパレット・ボタン,すなわち,メッセージの送信者に返送するための北西のパレット・ボタン751と,可能な受信者のリストから選択するための南西のパレット・ボタン753」であって,補正後の発明の「メニュー」に含まれる。
f 引用発明では「スクリーン・オブジェクト220上の右から左にドローしたラインは,スクリーン上のライン620を利用して追跡され,返送ジェスチャがマイクロプロセッサによって認識されると,返送パレット・ボタン454が現れ,視覚的なフィードバックを与えるため点滅するが,スタックしたパレットの実施例ではサブパレット750が現れ」るから,補正後の発明の「前記選択に応答して,前記選択された項目に関連付けられるメニューの出力を開始するステップ」を含んでいる。

以上をまとめると,両発明は以下の点で一致し,また,相違する。

(一致点)
「 入力を,コンピューティングデバイスのディスプレイデバイスによってユーザーインターフェースに表示された項目に関連付けられる自由形式の線として書かれたものとして認識するステップと,
前記認識された入力から,ジェスチャーを識別するステップであって,前記ジェスチャーが前記項目を選択するために有効である,ステップと,
前記選択に応答して,前記選択された項目に関連付けられるメニューの出力を開始するステップと
を含む方法。」

(相違点1)
一致点の「自由形式の線として書かれたもの」が,
補正後の発明では「チェックマーク」であるのに対し,
引用発明では「右から左にドローしたライン」である点。
(相違点2)
一致点の「ジェスチャー」が,
補正後の発明では「チェックマークを書くジェスチャーであるチェックマークジェスチャー」であるのに対し,
引用発明では「右から左にドローしたライン」を書く「返送ジェスチャ」である点。

(4)判断
上記(相違点1),(相違点2)につきまとめて検討する。
一般に,「チェックマーク」が特定の項目を選択したことを示すために筆記入力されるマークであって,その形状として「レ点」,「○」,「×」,「/」等種々の形状のものが慣用的に用いられていることは周知の事項である(例えば,特開平10-283110号公報の【図5】,特開2008-113297号公報の段落【0030】等参照。)。
そして,引用発明の「右から左にドローしたライン」は特定の「スクリーン・オブジェクト」を「指定する」ことを示すために「ユーザ」により「ペンまたはスタイラスなどのポインティング・デバイス190」で筆記入力されたものであることは明らかであるから,該「右から左にドローしたライン」は「チェックマーク」といい得るものであり,そうすると,上記(相違点1)は実質的な相違点とすることができない。
また,このとき,引用発明の「右から左にドローしたライン」を書く「返送ジェスチャ」は「チェックマークを書くジェスチャー」といい得るところ,これを「チェックマークジェスチャー」と称することは当業者が適宜なし得ることである(相違点2)。

したがって,上記(相違点1),(相違点2)はいずれも格別の相違ということはできない。
そして,補正後の発明が奏する効果も引用発明から容易に予測できる範囲内のものである。

(5)審判請求書における請求人の主張について
平成28年2月25日に提出された審判請求書において請求人は,『「チェックマークを書くジェスチャー」は,レ点を書く(付す)ジェスチャーとも言えるもの』であり,『 本願の補正後の請求項1に係る発明における「チェックマークを書くジェスチャー」は,引用文献2に開示されている,サブパレット750を現すために受信メッセージのリストに対して行われる上記のライン620を引くジェスチャとは相違するものである』旨主張しているからこの点について以下に検討する。
仮に,請求人の主張する通り,補正後の発明の「チェックマーク」を「レ点」と限定して解釈したとしても,「レ点」自体は,上記「(4)判断」で述べたように,特定の項目を選択したことを示すために筆記入力される「チェックマーク」の形状として慣用的に用いられている形状に過ぎないものである。
そして,引用発明の「ジェスチャ選択は,スクリーン・オブジェクトおよび機能の両方を同時に指定することが可能であって,スクリーン・オブジェクトから開始して,特定の方向に進むラインをドローするなどのジェスチャ選択は,ラインの開始点から所望のスクリーン・オブジェクトを指示し,ラインがドローされる方向から所望の機能を指示するものであり」という構成によれば,引用発明では「スクリーン・オブジェクト」の「指定」に加えて「機能」の「指定」を行うために「右から左にドローしたライン」を用いてはいるが,引用例の【図3】及び段落【0008】-【0009】に「スクリーン・オブジェクトのマニュアル選択」として示された例のように「スクリーン・オブジェクト」の「指定」のみを行うようにする場合には,上記「右から左にドローしたライン」のような特定の形状の線に限定されること無く適宜の形状のチェックマークを使用可能であることは明らかであって,補正後の発明のように慣用的に用いられている「レ点」を用いることも適宜なし得ることである。
そうすると,補正後の発明において,『「チェックマークを書くジェスチャー」は,レ点を書く(付す)ジェスチャーとも言えるもの』であるとしても,補正後の発明は引用例の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
したがって,上記請求人の主張は採用することができない。

(6)まとめ
以上のとおり,補正後の発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するので,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,上記「第2 補正却下の決定 1 本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2 引用発明
引用発明は,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3 独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で認定したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は上記補正後の発明から当該本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に当該本件補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3 独立特許要件について」の項で検討したとおり,引用発明に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により,容易に発明できたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について審理するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-02-16 
結審通知日 2017-02-17 
審決日 2017-02-28 
出願番号 特願2013-514209(P2013-514209)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 岳士  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 新川 圭二
山田 正文
発明の名称 ジャンプ、チェックマーク、および取消し線のジェスチャー  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 鳥居 健一  
代理人 小林 泰  
代理人 小野 新次郎  
代理人 山本 修  

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