• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06T
管理番号 1330561
審判番号 不服2016-10749  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-15 
確定日 2017-08-14 
事件の表示 特願2014-503246「画像処理システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月11日国際公開、WO2012/137113、平成26年 5月22日国内公表、特表2014-512607、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年4月8日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成27年2月25日付けで手続補正がされ、平成27年11月17日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月15日付けで手続補正がされたが、平成28年3月14日付けで、拒絶査定(原査定)がされたものである。
これに対し、平成28年7月15日付けで拒絶査定不服審判が請求され、請求と同時に、手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年3月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1?15に係る発明は、以下の引用文献1?6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2006-146440号公報
2.特開平9-81786号公報
3.特開2005-107972号公報
4.特開2002-351309号公報
5.特開2003-319157号公報
6.特開2007-44508号公報

第3 本願発明
本願請求項1?14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明14」という。)は、平成28年7月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
画像データのビューを表示することによって、ユーザが少なくとも3空間次元を有する画像データをナビゲートすることを可能にする画像処理システムであって、
画像データのビューを表示するディスプレイ、及び基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供する方向センサ、を有する該画像装置と、
画像データの回転中心を決定する手段と、
現在ビューを決定するために、(i)前記方向センサから前記回転データを受け取り、(ii)前記装置回転に関連してビュー回転を決定し、(iii)基準ビューに対し、前記ビュー回転に依存して前記回転中心を中心に回った現在ビューを決定することによって、前記装置回転に関連して画像データのビューを決定する画像プロセッサとを有し、
前記回転中心を決定する手段は、前記画像データ内の関心領域を自動的に検出する関心領域検出器を有し、前記関心領域を前記回転中心として決定する、画像処理システム。
【請求項2】
前記画像処理システムは更に、ユーザから選択データを受け取るユーザ入力部を有し、前記回転中心を決定する手段は、前記回転中心が決定される態様に前記ユーザが影響を与えることを可能にするよう、前記選択データに依存して前記回転中心を決定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記ユーザ入力部は、ユーザからナビゲーションデータを受け取り、前記画像プロセッサは、前記ナビゲーションデータに依存して画像データのビューを決定する、請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記ナビゲーションデータは、パン及び/又はズームナビゲーションコマンドを含む、請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記画像データは、ボリュメトリック画像データを含み、前記画像プロセッサは、現在ビューを生成するために、マルチプラナーリフォーマット、ボリュームレンダリング及び表面レンダリングのグループの中の少なくとも1つを使用することによって、現在ビューを決定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記画像データは、3次元グラフィックデータを含み、前記画像プロセッサは、現在ビューを生成するために、グラフィクスレンダリングを使用することによって、現在ビューを決定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
現在ビューを決定することが、
(i)ビュー回転及び回転中心に依存して4x4変換行列を決定し、
(ii)4x4変換行列を使用して現在ビューを生成する、
ことを含む、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記画像プロセッサは、直接マッピング、ゲイン、オフセット、閾値及び非線形関数のグループの中の少なくとも1つを前記装置回転に適用して、前記装置回転を得ることによって、前記装置回転に関連して前記ビュー回転を決定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項9】
前記画像処理システムは、ユーザから、基準方向及び/又は基準ビューをリセットするためのリセットコマンドを受け取る、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記画像処理システムは、前記装置回転に関連して画像データのビューを決定することを中断するための休止コマンドをユーザから受け取る、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項11】
請求項1に記載の画像処理システムを有するハンドヘルド装置。
【請求項12】
請求項1に記載の画像処理システムを有するワークステーション又はイメージング装置。
【請求項13】
画像装置のディスプレイに画像データのビューを表示することによって、ユーザが少なくとも3空間次元を有する画像データをナビゲートすることを可能にする方法であって、
基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供するステップと、
画像データ内の回転中心を決定するステップと、
現在ビューを決定するために、(i)方向センサから前記回転データを受け取り、(ii)前記装置回転に関連してビュー回転を決定し、(iii)基準ビューに対し、前記ビュー回転に依存して前記回転中心を中心に回った現在ビューを決定することによって、前記装置回転に関連して画像データのビューを決定するステップとを有し、
前記画像データ内の回転中心を決定するステップが、前記画像データ内の関心領域を自動的に検出するステップと、前記関心領域を前記回転中心として決定するステップとを含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法をプロセッサシステムに実施させるための命令を含むコンピュータプログラム。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0022】
電子機器1は、本体2と、撮像部3と、スピーカ4、マイク5、表示部6、操作部7を備え、音楽コンテンツ、映像コンテンツ等のコンテンツを再生する機能を備えた携帯型情報処理端末である。」

「【0029】
次に、電子機器1に設けられる角速度センサ及び加速度センサについて図面を参照して説明する。図3は、角速度センサ26において検出される電子機器1の動きを示している。人間の腕の動きは、肘や肩を中心とした球面上での動きに近似することができる。図3に示すように、ユーザが電子機器1を移動させたとき、例えば、肘31を支点とした球面に沿ったα方向のような動きになる。
【0030】
角速度センサ26は、電子機器1の回転方向の角速度を検知し、電圧として出力する素子であり、1方向の回転の角速度のみを検知するものであるため、2以上の回転方向、例えば、α方向及びβ方向の2方向の動きを検知する場合には、図4に示すように、角速度センサ26は、それぞれの回転軸に応じて設置する。このとき、角速度センサ26におけるセンサ検出結果は、ローパスフィルタ25を通してCPU12に供給される。CPU12は、数値積分法によって時間積分し、電子機器1のそれぞれ回転軸方向の変位成分を算出する。」

「【0041】
図5は、電子機器1が表示部6に表示される対象物体の表示のしかたと電子機器1自身の移動とを連動して表示する処理、及び表示された画面に含まれる3次元仮想物体を選択する処理のための電子機器1におけるCPU12の機能ブロックを表している。電子機器1は、CPU12の機能ブロックとして、仮想空間情報処理ブロック51と、表示処理ブロック52と、情報選択処理ブロック53とを有している。
【0042】
仮想空間情報処理ブロック51は、フラッシュメモリ14に格納された3次元仮想空間データから3次元仮想空間を構築して、更に3次元仮想物体データから構築される3次元仮想物体(以下、オブジェクトという。)に対して、このオブジェクトに関連するコンテンツ又は該コンテンツの格納場所を示す情報をリンクして表示画面を構成する。
【0043】
表示処理ブロック52は、角速度センサ26及び加速度センサ27からのセンサデータに応じて表示部6に表示される3次元仮想空間を変更する処理を行う。表示処理には、水平方向又は垂直方向へのスクロール、拡大縮小、ロール(横転方向)、パン(水平方向首振り)、チルト(垂直方向首振り)といったアングル変更の処理等が含まれる。」

「【0066】
アングル変更モードは、電子機器1が回転移動された場合に角速度センサ26で検知された結果に基づいて表示画像のアングルを変更する機能である。人間の感覚では、例えば空をみる場合には視点を上に向けてみる。また、地面をみる場合には視点を下に向けてみる。そこで、表示部6にある部屋の画像が表示されている場合、この部屋の天井を表示させたいときには、空に視点を向けるように電子機器1を上に向ける。このとき、人間が視点を上に向けて空をみるように、表示部6に表示される画像のアングルが変わって天井が表示される。また、この部屋の例えば床を表示させたいときには、地面に視点を向けるように電子機器1を下に向ける。このとき、人間が視点を下に向けて地面をみるように、表示部6に表示される画像のアングルが変わって床が表示される。この2つのモードを組み合わせることにより、人間の直感に近い操作が可能となる。
【0067】
位置Oに固定された状態から、図12に示されるBの位置に向けて電子機器1を徐々に移動させると、表示部6に表示される3次元仮想空間のアングルが電子機器1の動きに連動して、表示されたオブジェクトに対して回り込むようにして徐々に変わっていく。電子機器1がBの位置で固定されると、表示される3次元仮想空間は、図15に示される画像のアングルで表示される。更に、この状態から電子機器1を元の位置Oに向けて徐々に移動させると、表示部6に示される3次元仮想空間のアングルが徐々に変更される。電子機器1が位置Oで固定されると、3次元仮想空間は、図13に示す元のアングルで表示される。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「3次元仮想空間を表示し、3次元仮想空間のアングルを変更することを可能にする電子機器であって、
表示部と、電子機器の回転方向の角速度を検知して、センサデータをCPUに供給する角速度センサを設け、
角速度センサからのセンサデータに応じて表示部に表示される3次元仮想空間を変更する処理を行う表示処理ブロックを有するCPUを有し、
電子機器が回転移動された場合に、角速度センサで検知された結果に基づいて、表示部に表示される3次元仮想空間のアングルが電子機器の動きに連動して変更される電子機器。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献2の段落0005、0009、0015、0016の記載からみて、当該引用文献2には、「3次元空間上に注目点を設定し、注目点を中心とする関心領域を設定し、表示方向を回転させた場合に、回転後の注目点の位置を計算し、注目点を中心とする関心領域を自動的に計算して設定する」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献3の段落0015、0097、0098の記載からみて、当該引用文献3には、「複合現実空間において、仮想物体を回転させた場合に、回転成分を、4×4の座標変換行列に変換する」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献4の段落0023の記載からみて、当該引用文献4には、「2次元地図表示画面において、現在位置を地図の中心とするように表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用文献5について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献5の段落0029、0030、0032の記載からみて、当該引用文献5には、「画像データを表示する表示部において、キャンセルキーにより、画像回転処理の操作を終了させる」という技術的事項が記載されていると認められる。

6.引用文献6について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献6の段落0002の記載からみて、当該引用文献6には、「医用画像データにおいて、診断上関連する注目点を自動的に検出する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明の「3次元仮想空間を表示し、3次元仮想空間のアングルを変更することを可能にする電子機器」は、3次元仮想空間のうちの一部を表示し、ユーザが、表示されている3次元仮想空間の部分を変更していくものといえる。
そして、このように機能する電子機器は、画像処理システムであるといえる。

ここで、本願発明の「ビュー」は、本願明細書の段落0012の「ビューは、画像データの少なくとも一部の表現である。」という記載から、画像データの一部の表現である。

そうすると、引用発明の「3次元仮想空間を表示し、3次元仮想空間のアングルを変更することを可能にする電子機器」は、本願発明1の「画像データのビューを表示することによって、ユーザが少なくとも3空間次元を有する画像データをナビゲートすることを可能にする画像処理システム」に相当する。

(イ)引用発明の「表示部」は、本願発明1の「画像データのビューを表示するディスプレイ」に相当する。

引用発明の「電子機器の回転方向の角速度を検知して、センサデータをCPUに供給する角速度センサ」は、「回転に関するデータを測定し、提供するセンサ」という点で、本願発明1の「基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供する方向センサ」と共通する。

ここで、本願発明1は、ディスプレイと方向センサを有するものを画像装置としているが、引用発明の表示部と角速度センサを合わせたものも、同様に、「画像装置」といえる。

したがって、引用発明の『表示部』と、『電子機器の回転方向の角速度を検知して、センサデータをCPUに供給する角速度センサ』を合わせたものと、本願発明1の「画像データのビューを表示するディスプレイ、及び基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供する方向センサ、を有する該画像装置」は、「画像データのビューを表示するディスプレイ、及び回転に関するデータを測定して、提供するセンサ、を有する画像装置」という点で共通する。
しかし、「回転に関するデータを測定し、提供するセンサ」に関して、引用発明は、「電子機器の回転方向の角速度を検知して、センサデータをCPUに供給する角速度センサ」であるのに対し、本願発明1は、「基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供する方向センサ」である点で相違する。

(ウ)本願発明1は、「画像データの回転中心を決定する手段」を有し、「前記回転中心を決定する手段は、前記画像データ内の関心領域を自動的に検出する関心領域検出器を有し、前記関心領域を前記回転中心として決定する」構成であるが、引用発明は、そのような構成を有していない点で、本願発明1と相違する。

(エ)引用発明の「CPU」は、表示部に表示される3次元仮想空間を変更する処理、すなわち、画像に関する処理を行っているものであるから、本願発明1の「画像プロセッサ」に相当する。
また、引用発明のCPUは、角速度センサからのセンサデータに応じて表示部に表示される3次元仮想空間を変更する処理を行い、その結果、電子機器が回転移動された場合に、角速度センサで検知された結果に基づいて、表示部に表示される3次元仮想空間のアングルが電子機器の動きに連動して変更されるものである。
すなわち、引用発明のCPUは、最終的に表示される3次元仮想空間を決定するために、角速度センサからセンサデータを受け取り、電子機器の回転に関連して表示部に表示される3次元仮想空間の回転を決定し、最初に表示されている3次元仮想空間から、決定された3次元仮想空間の回転に基づいて最終的に表示される3次元仮想空間を決定することによって、電子機器の回転に関連して最終的に表示される3次元仮想空間を決定するものといえる。
ここで、引用発明の「最終的に表示される3次元仮想空間」、「表示部に表示される3次元仮想空間の回転を決定」、「最初に表示されている3次元仮想空間」は、それぞれ、本願発明1の「現在ビュー」、「ビュー回転を決定」、「基準ビュー」に相当する。

したがって、引用発明の「CPU」と本願発明1の「画像プロセッサ」は、「現在ビューを決定するために、(i)前記センサから前記回転に関するデータを受け取り、(ii)前記回転に関連してビュー回転を決定し、(iii)基準ビューに対し、前記ビュー回転に依存して現在ビューを決定することによって、前記回転に関連して画像データのビューを決定する」という点で共通する。

しかし、上記(イ)で論じたように、「回転に関するデータを測定し、提供するセンサ」に関して、引用発明は、「電子機器の回転方向の角速度を検知して、センサデータをCPUに供給する角速度センサ」であるのに対し、本願発明1は、「基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供する方向センサ」である点で相違することに起因して、「前記センサから前記回転に関するデータを受け取」ることに関して、引用発明は、角速度センサから角速度のデータを受け取るのに対し、本願発明1は、「前記方向センサから前記回転データを受け取」る点で相違する。

また、「前記回転に関連して」ビュー回転を決定し、画像データのビューを決定することにおける「前記回転」に関して、引用発明は、本願発明1の画像処理システムに相当する電子機器の回転であるのに対し、本願発明1は、「前記装置回転」すなわちディスプレイと方向センサを有する画像装置の回転である点で相違する。

さらに、上記(ウ)で論じたように、引用発明は、本願発明1のように、「画像データの回転中心を決定する手段」を有し、「前記回転中心を決定する手段は、前記画像データ内の関心領域を自動的に検出する関心領域検出器を有し、前記関心領域を前記回転中心として決定する」構成を有していないことに起因して、「現在ビューを決定すること」に関して、引用発明は、本願発明1のように、「前記回転中心を中心に回った現在ビューを決定する」構成でない点で相違する。

(オ)一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「画像データのビューを表示することによって、ユーザが少なくとも3空間次元を有する画像データをナビゲートすることを可能にする画像処理システムであって、
画像データのビューを表示するディスプレイ、及び回転に関するデータを測定し、提供するセンサ、を有する画像装置と、
現在ビューを決定するために、(i)前記センサから前記回転に関するデータを受け取り、(ii)前記回転に関連してビュー回転を決定し、(iii)基準ビューに対し、前記ビュー回転に依存して現在ビューを決定することによって、前記回転に関連して画像データのビューを決定する画像プロセッサとを有する、画像処理システム。」

(相違点)
(相違点1)
「回転に関するデータを測定し、提供するセンサ」に関して、本願発明1は、「基準方向に対する画像装置の方向を測定して、画像装置の装置回転を表す回転データを提供する方向センサ」であるのに対し、引用発明は、「電子機器の回転方向の角速度を検知して、センサデータをCPUに供給する角速度センサ」である点。

(相違点2)
本願発明1は、「画像データの回転中心を決定する手段」を有し、「前記回転中心を決定する手段は、前記画像データ内の関心領域を自動的に検出する関心領域検出器を有し、前記関心領域を前記回転中心として決定する」構成を有しているのに対し、引用発明は、そのような構成を有していない点。

(相違点3)
相違点1に起因して、「前記センサから前記回転に関するデータを受け取」ることに関して、本願発明1は、「前記方向センサから前記回転データを受け取」るのに対し、引用発明は、角速度センサから角速度のデータを受け取る点。

(相違点4)
「前記回転に関連して」ビュー回転を決定し、画像データのビューを決定することにおける「前記回転」に関して、本願発明1は、「前記装置回転」すなわちディスプレイと方向センサを有する画像装置の回転であるのに対し、引用発明は、本願発明1の画像処理システムに相当する電子機器の回転である点。

(相違点5)
相違点2に起因して、「現在ビューを決定すること」に関して、本願発明1は、「前記回転中心を中心に回った現在ビューを決定する」構成であるのに対し、引用発明は、そのような構成でない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
上記第4の2.及び6.に記載のとおり、引用文献2には、「3次元空間上に注目点を設定し、注目点を中心とする関心領域を設定し、表示方向を回転させた場合に、回転後の注目点の位置を計算し、注目点を中心とする関心領域を自動的に計算して設定する」という技術的事項が記載され、引用文献6には、「医用画像データにおいて、診断上関連する注目点を自動的に検出する」という技術的事項が記載されている。

しかしながら、引用文献2、6のいずれにおいても、「前記関心領域を前記回転中心として決定する」ことについて、記載も示唆も無く、引用文献3?5についても、同様に、記載も示唆も無い。
そして、当業者といえども、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項から、相違点2に係る本願発明1の『前記関心領域を前記回転中心として決定する』構成を容易に想到することはできない。

したがって、上記相違点1、3、4、5について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

2.本願発明2?12について
本願発明2?12は、本願発明1を直接的もしくは間接的に引用する発明であり、本願発明1の上記相違点2に係る「前記関心領域を前記回転中心として決定する」構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

3.本願発明13、14について
本願発明13は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明14は、本願発明13の方法の発明に関するプログラムの発明であり、本願発明1の上記相違点2に係る「前記関心領域を前記回転中心として決定する」構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1?14は、「前記関心領域を前記回転中心として決定する」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?6に基づいて、容易に発明することができたものであるとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-01 
出願番号 特願2014-503246(P2014-503246)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06T)
最終処分 成立  
前審関与審査官 千葉 久博  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 篠原 功一
渡辺 努
発明の名称 画像処理システム及び方法  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 五十嵐 貴裕  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ