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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1330593
審判番号 不服2016-9553  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-27 
確定日 2017-07-20 
事件の表示 特願2012- 48814「情報機器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月19日出願公開、特開2013-187587〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年3月6日の出願であって、平成27年7月14日付けで拒絶理由が通知され、同年9月19日付けで手続補正がされ、同年10月7日付けで最後の拒絶理由(以下、「原審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月11日付けで手続補正がされ、平成28年3月18日付けで、平成27年12月11日付けの手続補正の却下の決定がされるとともに同日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年6月27日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2.補正の適否
平成28年6月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項1ないし請求項4および請求項6を削除し、補正前の請求項5のうち、択一的な構成の一部である補正前の請求項1を引用する補正前の請求項2をさらに引用する補正前の請求項5に係る発明のみを独立形式に書き換えて補正後の請求項1としたものである。
したがって、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するものではなく、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。よって、本件補正は適法なものである。

第3.本願発明
本願発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)

「【請求項1】
第1の面を有するタッチパネルディスプレイと、
前記第1の面に対向する第2の面を有する、前記タッチパネルディスプレイの枠体と、
第1の素子および第2の素子の接近により省電力の待機モードを解除するスイッチとを含む情報機器において、
前記第1の面は前記第2の面に対してスライド移動可能であり、
前記第1の素子は前記第1の面の面内に位置し、
前記第2の素子は前記第2の面の面内に位置し、
前記スイッチはスライド移動した際の前記第1の素子と前記第2の素子との接近を検知して省電力の待機モードを解除することを特徴とする情報機器。」

第4.引用発明及び周知技術
1.引用発明1
原審拒絶理由に引用された特表2008-532115号公報(以下、「引用例1」という。)には、「ディスプレイアクチュエータ」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスに関する。特に、本発明は、入力機能及び出力機能の双方を有するディスプレイを備える電子デバイスに関する。」(5頁)

イ.「【0016】
また、図4A及び図4Bに示すように、可動表示部52はスライド式スイッチと同様の方法で例えばx方向及び/又はy方向にスライドするように構成されてもよい。例として、検出機構56を介して1つ以上のユーザ入力を生成するために、表示部52は第1の位置と第2の位置との間をスライドできるように構成してもよい。・・・(略)・・・。」(8頁)

ウ.「【0031】
電子デバイスは、任意の家電関係の電子製品に対応してもよい。例として、電子デバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ又はPDA等のコンピュータ、音楽プレーヤ、写真プレーヤ又は映像プレーヤ等のメディアプレーヤ、電話、携帯電話又は移動ラジオ等の通信装置、キーボード、マウス及びプリンタ等の周辺装置、スチルカメラ及びビデオカメラ等のカメラ、GPSモジュール、リモートコントローラ、カーディスプレイ、テレビ、ラジオ、ステレオ等のAV機器、並びにファックス装置及び遠隔会議モジュール等のオフィス機器等に対応してもよい。」(10?11頁)

エ.「【0054】
図15A及び図15Bは、本発明の一実施形態に従う電子デバイス220を示す図である。例えば、電子デバイス220は図14に示す電子デバイスに対応してもよい。電子デバイス220は、筐体224内にスライド可能に設置される表示装置222を含む。筐体224は、スライド可能な表示装置222及びそれに関連する制御回路網を含む電子デバイス200の電気構成要素を収納するように構成される。これらは収納されるが、通常、筐体224は表示装置222へアクセスするための開口部226を含む。一方、スライド可能な表示装置222は、表示部228及び表示部228の上に配置されるタッチスクリーン230を含む。移動中の表示装置228を支持及び保護するために、表示装置228は、表示部228の下に配置されるプラットフォーム232及びタッチスクリーン230の上に配置される透明カバー234を更に含んでもよい。
【0055】
透明なプラスチック材料から形成されてもよい透明カバー234は、タッチスクリーン230の一部であってもよく、別個の構成要素であってもよい。更に、プラスチック又は鋼等の硬質材料から形成されるプラットフォーム232は、表示部228の一部であってもよく、別個の構成要素であってもよい。プラットフォーム232は、主に、表示装置222の反り及び撓みを防止するための強固な構造の形成を助けるように構成される。いくつかの例において、表示装置222の全ての要素は、共に取り付けられて一体型の積層ユニットを形成する。他の例において、カバー234及びプラットフォーム232は、表示部228及びタッチスクリーン230を収容するように構成される。実際、このような例において、カバー234は、表示装置222に及ぶ負荷の大部分をプラットフォーム232へ分配することで、表示部228及びタッチスクリーン230を保護するように構成されてもよい。
【0056】
スライド動作を行うために、表示装置222はチャネル240内に配置される。チャネル240の幅は、一般に、表示装置222の端部を受け入れるような大きさに決定され、チャネル240の深さは、一般に、表示部222を筐体224に拘束する一方でスライドするための空間を残すような大きさに決定される。図に示すように、チャネル240は、筐体224の上壁242と筐体224の側壁246から突出する下部支持構造244とにより形成される。下部支持構造244は、横方向に筐体224の長さ全体にわたってもよいし、長さの一部のみにわたってもよい(図に示すように)。更に、下部支持構造244は、筐体224の一体構成要素であってもよいし(図に示すように)、筐体224に取り付けられる別個の構成要素であってもよい。あるいは、プラットフォームのみがチャネル内に配置されてもよい。
【0057】
スライド動作を向上し、表示装置222が表示装置222と下部支持構造244との間をスライドする場合にそれらの間で動けなくなるのを防止するために、下部支持構造244の上面は摩擦のない又は摩擦の少ない表面を含んでもよい。これに代えて、あるいは上記に加えて、表示装置222の底面も摩擦のない又は摩擦の少ない表面を含んでもよい。上記に代えてあるいはこれに加えて、チャネルの位置における表示装置の上面及び/又は上壁242の底面は、摩擦のない又は摩擦の少ない表面を含んでもよい。例として、摩擦のない又は摩擦の少ない表面は、テフロン(登録商標)等の摩擦のない又は摩擦の少ない材料から形成されてもよい。あるいは、転がり軸受が使用されてもよい。
【0058】
殆どの場合、表示装置222は1つ以上のばね要素250を介してチャネル240内に吊着(suspended)される。ばね要素250は、表示装置222の側部と筐体224の側壁との間に配置される。図示される実施形態において、ばね要素250が表示装置222の各側部に配置される。殆どの場合、各ばね要素250が表示装置222に及ぼす力が均等に平衡されるように、ばね要素250は表示装置222に対して中央に配置される。要約すると、表示装置222が上壁242内の開口部226に対して中央に配置されるように、ばね要素250は表示装置222を付勢する。表示装置222を中央位置から側部位置の1つに向かってスライドするためには、ばね要素250により提供される付勢力を克服する必要がある。
【0059】
表示装置222の動きに基づいて入力信号を生成するために、電子デバイス220は、ばね要素250の位置において表示装置222と筐体224との間に配置される力感応性抵抗(FSR)、ストレインゲージ又はロードセル等の1つ以上のセンサ252を更に含む。これらの種類のセンサ252は、表示装置222を移動することによりセンサに及ぼされる圧力を監視し、力が所定の限界に到達した場合、制御回路網は信号を生成する。例として、表示装置222をFSRセンサ252に向けてスライドすることによりFSRセンサ252は押圧され、その結果、入力信号が生成される。センサ252は筐体224に取り付けられてもよいし、表示装置222に取り付けられてもよい。図示される実施形態において、センサ252は、ばね要素250と筐体224との間で筐体224に取り付けられている。
【0060】
図16A及び図16Bを参照して、図15の一実施形態をより詳細に説明する。ボタン特徴を選択するために、ユーザは指を表示装置222の上面に置き、表示装置222を所望のボタン特徴の方向にスライドする。スライド中、指により与えられる力は、表示装置222と筐体224との間に配置されたばね要素250のばね力に対抗して働く。更に、表示装置222の一端はチャネル部240Aに深く挿入され、他端はチャネル部240Aの反対側にあるチャネル部240Bから完全にではないが取り除かれる。表示装置222がチャネル部240Aに深く挿入されるほど、より大量の力がばね要素250を介してセンサ252に加えられる。事前に設定された限界に到達すると、センサ回路はボタン信号を生成する。ボタン信号は、コマンドの開始、選択の実行又は表示部における動きの制御等の制御機能を実行するために、電子デバイス220により使用可能である。」(15?16頁)

オ.「【0074】
・・(略)・・ディスプレイアクチュエータは、デバイスをサポートするのに必要な入力装置の数を減少し、多くの場合において、ディスプレイアクチュエータ以外の入力装置を完全に除去する。その結果、ハンドヘルド電子デバイスは、ディスプレイのみを有し、入力手段を有さない(又は非常に少ない入力手段を有する)ような外観を提示する。・・(略)・・すなわち、ディスプレイはハンドヘルド装置の前面全体を実質的に覆うように形成可能である。」

カ.「



キ.「



摘記事項ア.?オ.の記載及びカ.?キ.の図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、

(ア)摘記事項ア.の【0001】の「本発明は、電子デバイスに関する。」と、摘記事項ウ.の【0031】の「電子デバイスは、任意の家電関係の電子製品に対応してもよい。例として、電子デバイスは、・・・・携帯電話又は・・(略)・・オフィス機器等に対応してもよい。」との各記載より、「電子デバイス」が記載されている。

(イ)摘記事項エ.の【0054】の「図15A及び図15Bは、・・(略)・・電子デバイス220を示す・・(略)・・電子デバイス220は図14に示す電子デバイスに対応してもよい。電子デバイス220は、筐体224内にスライド可能に設置される表示装置222を含む。筐体224は、スライド可能な表示装置222及びそれに関連する制御回路網を含む電子デバイス200の電気構成要素を収納するように構成される。・・(略)・・一方、スライド可能な表示装置222は、表示部228及び表示部228の上に配置されるタッチスクリーン230を含む。移動中の表示装置228を支持及び保護するために、表示装置228は、表示部228の下に配置されるプラットフォーム232・・(略)・・を更に含んでもよい。」と、摘記事項エ.の【0057】の「表示装置222の底面も摩擦のない又は摩擦の少ない表面を含んでもよい。」との各記載と、図15A、図15Bより、「底面を有する表示装置」といえ、「前記底面に対向する面を有する、筐体224」といえる。

(ウ)摘記事項エ.の【0060】の「表示装置222と筐体224との間に配置されたばね要素250のばね力に対抗して働く。更に、表示装置222の一端はチャネル部240Aに深く挿入され、他端はチャネル部240Aの反対側にあるチャネル部240Bから完全にではないが取り除かれる。表示装置222がチャネル部240Aに深く挿入されるほど、より大量の力がばね要素250を介してセンサ252に加えられる。事前に設定された限界に到達すると、センサ回路はボタン信号を生成する。」の記載より、「筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されることにより、決められた制御機能を実行するためのボタン信号を生成するセンサ回路とを含む」といえる。

(エ)上記(イ)と、図15A、図15Bと、摘記事項エ.の【0054】の「電子デバイス220は、筐体224内にスライド可能に設置される表示装置222を含む。」の記載より、「前記底面は前記対向する面に対してスライド移動することができ、」といえる。

(オ)上記(ウ)と摘記事項エ.の【0060】の「ボタン信号は、コマンドの開始、選択の実行又は表示部における動きの制御等の制御機能を実行するために、電子デバイス220により使用可能である。」との各記載より、「前記センサ回路はスライド移動して筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されたことを検知すると決められた制御機能を実行するためのボタン信号を生成する」といえる。

以上、(ア)?(オ)の検討を踏まえると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。

(引用発明1)
「底面を有する表示装置222と、
前記底面に対向する面を有する、筐体224と、
筐体224のチャネル部240Aに前記表示装置222が深く挿入されることにより、決められた制御機能を実行するためのボタン信号を生成するセンサ回路と、
を含む電子デバイス220において、
前記底面は前記対向する面に対してスライド移動することができ、
前記センサ回路はスライド移動して筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されたことを検知すると決められた制御機能を実行するためのボタン信号を生成する電子デバイス220。」

2.引用発明2
原審拒絶理由に引用された米国特許出願公開第2008/78590号明細書(以下、「引用例2」という。)には、「Pointing device using capacitance sensor」(発明の名称)(当審仮訳:静電容量センサーを用いたポインティングデバイス)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

カ.「[0093] FIG. 5 illustrates a pointing device 580 according to one embodiment of the present invention. The pointing device 580 includes a segmented sensor array 503 fabricated on a stationary PCB 507 . The processing device (e.g., 210 ) and corresponding PCB routing (e.g., conductive traces) 508 may be disposed on one side of the stationary PCB 507 , for example, the processing device and PCB routing 508 is disposed on the opposite side of the opposite side of the stationary PCB 507 than the segmented sensor array 503 . The pointing device 580 also includes a housing 509 coupled to the stationary PCB 507 . Within the housing 509 is disposed a movable slider (e.g., puck) 501 , which is a moveable conductive object that is configured to move in a plane that is parallel to the plane in which the segmented sensor array 503 is disposed.」(10頁右欄)
(当審仮訳;[0093]図5が本願の発明の1つの実施例に従ったポインティングデバイス580を図示する。ポインティングデバイス580はステイショナリー(固定化された)PCB507上に構成されたセグメント化されたセンサーアレイ503を含む。処理装置(例えば、210)と対応するPCB配線(例えば、導電性のトレース)508は、ステイショナリー(固定化された)PCB507の一面に配置され、例えば、PCB配線508はセグメント化されたセンサーアレイ503よりもステイショナリー(固定化された)PCB507の反対側に配置される。ポインティングデバイス580は同じくステイショナリー(固定化された)PCB507に結合された筐体509を含む。筐体509の中でセグメント化されたセンサーアレイ503がある平面に平行する平面の中を動かすように設定される可動性の導電性のムーバブルオブジェクトであるムーバブルスライダー(例えば、パック)501が配置される。)

キ.「[0101] In the zero position, the capacitance from each sensor of the sensor array 503 to the movable, conductive plate 502 is nominally equal. When pushed to one side, the movable plate 502 covers less of the sensor element on that side, reducing the capacitance from the sensor element to the plate 502 . The movable plate 502 covers more of the sensor element on the opposite side, increasing the capacitance from that sensor element to the plate 502 . It should be noted that sensor elements of the sensor array 503 that are not in the direction of the movement have relatively little change in capacitance value. The overlap of the conductive plate 502 and sensor elements at zero and at fully deflected positions 601 and 602 are illustrated and described with respect to FIGS. 6A and 6B .
[0102] Pushing the moveable slider 501 to one side puts tension on the O-ring (e.g., elastic return spring 504 ). When the moveable slider 501 is released, the tension restores the moveable slider 501 to the zero position.
[0103] FIG. 7 illustrates a simplified model showing the capacitive change on the sensors between zero deflection and full deflection, as illustrated in FIGS. 6A and 6B . The capacitance of two parallel plates (e.g., moveable conductive plate 502 and one of the sensor elements 503 ( 1 ) of the sensor array) is proportional to the co-incident area (e.g., overlapping surface area) of the conductive plates. At zero deflection, the capacitances 701 and 702 of sensor elements 503 ( 1 ) and 503 ( 2 ) of opposite sides are substantially equal. At full deflection, one capacitance value 704 doubles and the capacitance 703 on the opposite side drops nearly to zero. Fringing effects and parasitics add static capacitance to all sensor elements; however, the PCB may be designed to balance these capacitances. As illustrated in FIG. 7 , at zero deflection, the overlapping area 705 between the moveable conductive plate 502 and the sensor element 503 ( 1 ) is substantially equal to the overlapping area 706 between the conductive plate 502 and the sensor element of 503 ( 2 ). At full deflection, in this case, pushed to the left at position 602 , the overlapping area 708 between the moveable conductive plate 502 and the sensor element 503 ( 1 ) is greater than the overlapping area 707 between the conductive plate 502 and the sensor element of 503 ( 2 ). It should be noted that although the embodiments above have been described with respect to overlapping area of the sensor elements 503 ( 1 ) and 503 ( 2 ) with the moveable conductive plate 502 , the overlapping area may be applicable to other sensor elements of the sensor array 503 , such as a deflection that results in the moveable slider 501 being pushed up and to the left, to the right, or the like.」(11頁右欄?12頁左欄)
(当審仮訳;[0101]ゼロポジションで、センサーアレイ503のそれぞれのセンサーから導電性のムーバブルプレート502までの静電容量は名目上は等しい。片側に押しやられるとき、ムーバブルプレート502が、センサー要素を覆う部分が減り、センサー要素からプレート502までの静電容量を減らす。ムーバブルプレート502は、反対側では、センサー要素をより多く覆い、センサー要素からプレート502までの静電容量を増やす。動く方向にないセンサーアレイ503のセンサー要素の静電容量は比較的小さい変化しかないことは注意を要する。導電性のプレート502とずれのないゼロポジションと完全にずらされたポジションのセンサー要素601と602が、図6Aと6Bに図示および記述されている。
[0102]ムーバブルスライダー501を片側に押しやることはOリング(例えば、柔軟な戻りのバネ504)に応力をかける。ムーバブルスライダー501が解放されると、応力によってムーバブルスライダー501をゼロポジションに戻す。
[0103]図7が、図6Aと図6Bで図示されるような、かたよりがない場合(ゼロポジション)と完全なかたより(完全にずらされたポジション)の間のセンサーの静電容量の変化を示す単純化されたモデルを図示する。2つの平行したプレート(例えば、導電性のムーバブルプレート502とセンサーアレイのセンサー要素のうちの1つ503(1))の静電容量は、導電性のプレートが一致する面積(例えば、重なり合っている表面積)に比例している。かたよりがない場合(ゼロポジション)、センサーエレメント503(1)と反対側の503(2)のそれぞれのキャパシタンス701と702は十分に等しい。完全なかたよりにおいては、静電容量の値704が2倍となり、反対側の静電容量703がほとんどゼロ近くまで落ちる。フリンジング効果と寄生容量が、すべてのセンサー要素に静的な静電容量を加えるが、PCBはこれらのキャパシタンスの均衡を保つよう設計されるだろう。図7に図示されるように、かたよりがない場合、可動性の導電性のプレート502とセンサー要素の503(1)の間の重なり合っている領域705とが、導電性のプレート502とセンサー要素503(2)の間に重なり合っている領域706におおむね等しい。この場合、完全なかたよりにおいて、ポジション602から左に押しやり、導電性のムーバブルプレート502とセンサー要素503(1)の間の重なり合っている領域708が、導電性プレート502とセンサー要素503(2)の間の重なり合っている領域707より大きいという状態となる。上述した実施例は、導電性のムーバブルプレート502と重なり合っているセンサー要素のエリア503(1)と503(2)に関するものだが、重なり合う領域は、ムーバブルスライダー501が上へ、左へ、右へ、という具合に押し上げられる結果得られるかたよりと同様に、センサーアレイ503の他のセンサー要素にもあてはまることも注意しなくてはならない。)

ク.「[0107]In another embodiment, a first capacitance and a second capacitance on a first sensor element and a second element are measured, respectively, while the moveable conductive object is located in a known position relative to the first and second sensor elements. These capacitances may be baseline measurements of the first and second sensor sensor elements. Next, a third capacitance and a fourth capacitance are measured on the first and second sensor elements, respectively, while the moveable conductive object is located in a second position, such as partially-deflected or fully-deflected positions. The deflection is determined based on the first, second, third, and fourth capacitances measured on the first and second sensor elements at the respective positions.The deflection is determined based on the first, second, third, and fourth capacitances measured on the first and second sensor elements at the respective positions. For example, in one embodiment, a magnitude and direction vector that is representative of the change in capacitance on the first and second sensor elements from the known position to the second position is computed to determine the deflection. As described above, the moveable conductive object is automatically centered to the known position after the moveable conductive object is moved from the known position to the second position by the user.」(12頁右欄)
(当審仮訳:[0107]もう一つの実施例において、導電性のムーバブルオブジェクトが第1のセンサー要素と第2のセンサー要素に対して、既知のポジションに位置しているときに、第1のセンサー要素と第2のセンサー要素により第1のキャパシタンスと第2のキャパシタンスがそれぞれ測定される。これらのキャパシタンスは第1のセンサー要素と第2のセンサー要素のベースラインの測定になり得る。次に、導電性のムーバブルオブジェクトは部分的にかたよったか、あるいは完全にかたよったポジションのような、第2のポジションに位置しているときに、第1のセンサー要素と第2のセンサー要素により第3のキャパシタンスと第4のキャパシタンスが、それぞれ測定される。かたよりは、それぞれ、第1のセンサー要素と、第2のセンサー要素によって、それぞれの位置によって、測定される第1、第2、第3、第4のキャパシタンスに基づいて決定される。例えば、一つの実施例においては、既知のポジションから第2のポジションへ移動したときのキャパシタンスの変化で表される大きさと方向ベクトルは、かたよりを決定するために計算される。上述したように、導電性のムーバブルオブジェクトは、ユーザーが、既知のポジションから第2のポジションに戻る。」

ケ.「[0120]It should be noted that a large number of sensor configurations are possible, some of which may have advantages for sensitivity or linearity of deflection measurement. For example, although the embodiments described and illustrated with respect to FIGS. 5 and 8 have sensor arrays having eight sensor elements, alternatively, other numbers of sensor elements may be used to detect the deflection of the moveable object having a conductive surface. In one embodiment, two sensor elements can be used to determine the deflection direction and magnitude in one dimension. In another embodiment, four sensor elements can be used to determine the deflection direction and magnitude in two dimensions. Alternatively, three or four or more sensor elements may be used to determine the deflection direction and magnitude in one or more dimensions.」
(当審仮訳:「[0120]多くのセンサーを設けることは、かたよりの測定における感度や線形性において有利になるであろうことは特に述べておかなくてはならない。例えば、既に図5と図8で記述し図示した実施例は8つのセンサーからなるセンサーアレイを備えているが、伝導性のある表面を有するムーバブルオブジェクトのかたよりを検知するために他の個数のセンサー要素を使ってもよいだろう。1つの実施例においては、2つのセンサー要素が、1次元でのかたよりの方向と大きさを検出するために使われることができるし、別の実施例においては、4つのセンサ要素が、2次元でのかたよりの方向と大きさを検出するために使われることができる。さらにまた、3つか4つの、あるいはより多くのセンサー要素が、1次元?もっと多い次元での、かたよりの方向と大きさを検出するために使われることができる。」)(14頁左欄)

コ.「



サ.「



シ.「



そして、摘記事項キ.の「図7が、図6Aと図6Bで図示されるような、かたよりがない場合(ゼロポジション)と完全なかたより(完全にずらされたポジション)の間のセンサーの静電容量の変化を示す単純化されたモデルを図示する。2つの平行したプレート(例えば、導電性のムーバブルプレート502とセンサーアレイのセンサー要素のうちの1つ503(1))の静電容量は、導電性のプレートが一致する面積(例えば、重なり合っている表面積)に比例している。かたよりがない場合(ゼロポジション)、センサーエレメント503(1)と反対側の503(2)のそれぞれのキャパシタンス701と702は十分に等しい。完全なかたよりにおいては、静電容量の値704が2倍となり、反対側の静電容量703がほとんどゼロ近くまで落ちる。」と、Fig.7のプレート502と一方のセンサー素子503(2)の動きに注目すると、「ムーバブルスライダーの下端に設けたムーバブルプレイトとステイショナリーPCB(筐体)の上端に設けたセンサー素子との接近に基づいて、ムーバブルスライダーの完全なかたよりを検知すること」といえる。

したがって、摘記事項カ.?ケ.の記載と、コ.?シ.の図5?図7より、引用例2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。

(引用発明2)
「ユーザ操作により、ムーバブルスライダーが、ステイショナリーPCB(筐体)に対して平行移動するデバイスにおいて、ムーバブルスライダーの下面に設けたムーバブルプレートとステイショナリーPCB(筐体)の上面に設けたセンサー要素との接近に基づいて、ムーバブルスライダーの完全なかたよりを検知すること。」

3.周知技術
ア.原審拒絶理由に引用された特開2011-53930号公報(以下、「引用例3」という。)には、「情報処理装置,プログラム,およびメモリの電源制御方法」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0057】
省電力状態処理部222は、省電力状態時に、例えば、操作ボタンのキー入力,呼の着信,電子メールの受信等の復帰要因となる信号の入力を検知すると、各デバイスの復帰処理を実行する。省電力状態処理部222は、主記憶装置4の省電力状態からの復帰処理として、主記憶装置4を省電力状態移行処理の前の状態に復元する。具体的には、省電力状態処理部222は、省電力状態移行時に電源が切断された電源領域がある場合には、その領域の電源を投入する。省電力状態移行時に解放されたコピー領域がある場合には、省電力状態処理部222は、領域を解放した際に記録されたメモリ管理テーブルのエントリ等の情報を参照して、解放されたコピー領域に解放されたデータと同じデータを再度外部記憶装置3から読み出してコピーする。」(10頁)

イ.原審拒絶理由に引用された特開2011-41152号公報(以下、「引用例4」という。)には、「通信装置、通信方法、及びプログラム」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。

(イ)「【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子装置において、無操作状態が継続した場合等に最小電力状態、省エネ状態、又は省電力状態等(以下、「省電力状態」で統一する。)と称される状態へ移行し、消費電力の低減が可能とされているものがある。このような電子装置では、操作指示の入力に応じ省電力状態が解除され、通常の稼動状態(以下、「通常電力状態」という。)となる。」(3頁)

以上より、「電子デバイスにおいて、省電力の待機モードを設けるとともに、当該待機モードを解除する操作手段を設けること。」は、周知技術(以下、「周知技術」という。)である。


第5.対比・判断

本願発明と引用発明1とを対比すると、

a.引用発明1の「表示装置」に関し、引用文献1の段落【0054】に「表示装置228は、表示部228の下に配置されるプラットフォーム232及びタッチスクリーン230の上に配置される透明カバー234を更に含んでもよい。」と記載されているから、引用発明1の「表示装置222」、「筐体224」は、それぞれ、本願発明の「タッチパネルディスプレイ」、(タッチパネルディスプレイの)「枠体」に相当する。
b.引用発明1の「底面」、「前記底面に対向する面」は、それぞれ、本願発明の「第1の面」、「第2の面」に相当する。
c.上記a.b.より、引用発明1の「前記底面に対向する面を有する、筐体224」は、本願発明の「第2の面を有する、前記タッチパネルディスプレイの枠体」に相当する。
d.本願発明の「第1の素子および第2の素子の接近」は、「タッチパネルディスプレイの枠体」及び「タッチパネルディスプレイ」の「接近」と同義である。
一方、引用発明1の「筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されたこと」は、「筐体224」および「表示装置222」の「接近」といえる。そして、上記a.を参酌すると、本願発明の「第1の素子および第2の素子の接近」と、引用発明1の「筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入される」とは、「前記タッチパネルディスプレイの枠体および前記タッチパネルディスプレイの接近」で共通する。次に、本願発明の「省電力の待機モードを解除するスイッチ」と、引用発明1の「決められた制御機能を実行するためのボタン信号を生成するセンサ回路」とは、「所定の制御を実行するスイッチ部」で共通する。以上より本願発明の「第1の素子および第2の素子の接近により省電力の待機モードを解除するスイッチ」と、引用発明1の「筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されることにより、決められた制御機能を実行するためのボタン」とは、「タッチパネルディスプレイの枠体および前記タッチパネルディスプレイの接近により所定の制御を実行するスイッチ部」という点で共通する。
e.引用発明1の「電子デバイス」は、本願発明の「情報機器」に含まれる。
f.上記a.?c.を踏まえると、引用発明1の「前記底面は前記対向する面に対してスライド移動することができ、」が、本願発明の「前記第1の面は前記第2の面に対してスライド移動可能であり、」に相当する。
g.上記d.と上記f.を踏まえると、引用発明1の「前記センサ回路はスライド移動して筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されたことを検知すると決められた制御機能を実行するためのボタン信号を生成する」と、本願発明の「前記スイッチはスライド移動した際の前記第1の素子と前記第2の素子との接近を検知して省電力の待機モードを解除する」とは、「前記スイッチ部はスライド移動した際の前記タッチパネルディスプレイの枠体に対する前記タッチパネルディスプレイの接近を検知して所定の制御を実行する」点で共通する。

以上a.?f.の検討より、本願発明と引用発明1とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「第1の面を有するタッチパネルディスプレイと、
前記第1の面に対向する第2の面を有する、前記タッチパネルディスプレイの枠体と、
前記タッチパネルディスプレイの枠体および前記タッチパネルディスプレイの接近により所定の制御を実行するスイッチ部を含む情報機器において、
前記第1の面は前記第2の面に対してスライド移動可能であり、
前記スイッチ部はスライド移動した際の前記タッチパネルディスプレイの枠体および前記タッチパネルディスプレイの接近を検知して所定の制御を実行することを特徴とする情報機器。」

(相違点1)一致点の「スイッチ部」における「前記タッチパネルディスプレイの枠体および前記タッチパネルディスプレイの接近を検知」について、本願発明が、「前記第1の素子は前記第1の面の面内に位置し、前記第2の素子は前記第2の面の面内に位置」する構成とした上で、「前記第1の素子および前記第2の素子の接近を検知」するのに対して、引用発明1では、「筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されたことをセンサ252で検知」する点。

(相違点2)一致点の「スイッチ部」における「所定の制御を実行」が、本願発明では、「省電力の待機モード」の「解除」であるのに対して、引用発明1では、そのような特定がない点。

(相違点1)について検討する。
枠体に対するディスプレイの接近を検知するにあたり、引用発明2に記載されるように「ユーザ操作により、ムーバブルスライダーが、ステイショナリーPCB(筐体)に対して平行移動するデバイスにおいて、ムーバブルスライダーの下面に設けたムーバブルプレートとステイショナリーPCB(筐体)の上面に設けたセンサー要素との接近に基づいて、ムーバブルスライダーの完全なかたよりを検知すること。」は、公知の事項であり、引用発明1と引用発明2とは、ユーザ操作によるスライド移動を検知する発明である点で技術分野が共通する。そこで、引用発明1の「スライド移動」の「検知」に引用発明2を適用し、引用発明1の「底面」(即ち、「第1の面」)、「前記底面に対向する面」(即ち、「第2の面」)にそれぞれ、「ムーバブルプレート」(即ち、「第1の素子」)、「センサー要素」(即ち、「第2の素子」)を設け、両者の接近に基づいて「筐体224のチャネル部240Aに表示装置222が深く挿入されること」(即ち、「スライド移動」)を検知することは、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点2)について検討する。
電子デバイスにおいて、省電力化は一般的な課題であり、「電子デバイスにおいて、省電力の待機モードを設けるとともに、当該待機モードを解除する操作手段を設けること。」は周知技術である。
また、引用文献1の段落【0074】には、ディスプレイアクチュエータを用いて、デバイスをサポートするのに必要な入力装置の数を減少させる旨記載されている。
以上を踏まえて、引用発明1に周知技術を適用し、「電子デバイス」に「省電力の待機モード」を設けるとともに、「センサ回路」の「決められた制御機能を実行」として「省電力待機モードを解除する」よう構成することは当業者が容易に想到し得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明1および引用発明2に基づいて周知技術を参酌することにより当業者が容易に予測し得る範囲のものである。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1および引用発明2に基づいて周知技術を参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-10 
結審通知日 2017-05-16 
審決日 2017-05-31 
出願番号 特願2012-48814(P2012-48814)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 則之須藤 竜也  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 山中 実
吉田 隆之
発明の名称 情報機器  
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