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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F28F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28F
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 F28F
管理番号 1330762
審判番号 不服2016-6365  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-28 
確定日 2017-07-26 
事件の表示 特願2014-8629号「熱交換装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年7月31日出願公開,特開2014-139505号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成26年1月21日(パリ条約による優先権主張 2013年1月21日(TW)台湾)の特許出願であって,平成27年12月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成28年4月28日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされたものである。


第2 平成28年4月28日にされた手続補正の却下の決定

1 結論

平成28年4月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

2 理由

(1) 補正の内容

本件補正は,特許請求の範囲の全文を補正するものであって,下記アに示す本件補正前の特許請求の範囲を,下記イに示す特許請求の範囲へと補正するものである。(下線は補正箇所を示す。)

ア 本件補正前の特許請求の範囲

「【請求項1】
空気調和システム用熱交換装置であって、
少なくとも1つの第1入口孔、少なくとも1つの第1出口孔及び少なくとも2つの第1切欠口が設けられる少なくとも2枚の第1冷却板と、少なくとも1つの第2入口孔、少なくとも1つの第2出口孔及び少なくとも2つの第2切欠口が設けられる少なくとも2枚の第2冷却板と、少なくとも1つの第3入口孔、少なくとも1つの第3出口孔及び少なくとも2つの第3切欠口が設けられる少なくとも2枚の第3冷却板と、少なくとも1つの第4入口孔、少なくとも1つの第4出口孔及び少なくとも2つの第4切欠口が設けられる少なくとも2枚の第4冷却板と、を備え、
前記第1冷却板、第2冷却板、第3冷却板と第4冷却板は、取り付け経路に沿って配設され、相隣する第1切欠口、第2切欠口と第3切欠口は、入口切欠溝を構成し、相隣する第2切欠口、第3切欠口と第4切欠口は、出口切欠溝を構成し、高温流体が前記入口切欠溝を介して熱交換装置内に流入して、熱流流動経路に沿って流動し、前記出口切欠溝から流出し、低温流体が前記冷却板の前記入口孔を介して熱交換装置内部に流入して、冷流流動経路に沿って流動し、前記冷却板の前記出口孔から流出し、
前記第2冷却板は、前記第1冷却板と前記第3冷却板との間に位置し、前記第3冷却板は、前記第2冷却板と前記第4冷却板との間に位置し、前記第1冷却板と前記第4冷却板は、それぞれ前記第2冷却板と前記第3冷却板の両側に位置し、
前記第1冷却板は、少なくとも1つの第1流通孔と、少なくとも1つの第2流通孔と、をさらに備え、 前記第2冷却板は、少なくとも1つの第3流通孔と、少なくとも1つの第4流通孔と、をさらに備え、前記第3冷却板は、少なくとも1つの第5流通孔と、少なくとも1つの第6流通孔と、をさらに備え、前記第4冷却板は、少なくとも1つの第7流通孔と、少なくとも1つの第8流通孔と、をさらに備えており、
前記高温流体が前記熱流流動経路に沿って前記第4冷却板、前記第3冷却板、前記第2冷却板及び前記第1冷却板を順次に経由し、
前記低温流体が前記冷流流動経路に沿って前記第1冷却板、前記第2冷却板、前記第3冷却板及び前記第4冷却板を順次に経由し、
ことを特徴とする、空気調和システム用熱交換装置。
【請求項2】
上板と、下板と、をさらに備え、それぞれが前記取り付け経路に沿って、前記第1冷却板と、前記第2冷却板と、前記第3冷却板と、前記第4冷却板との組合せの両側に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1冷却板と、前記第2冷却板と、前記第3冷却板と、前記第4冷却板とは、前記取り付け経路に沿ってこの順で繰り返し配設されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記入口切欠溝は、相隣する2枚の前記第4冷却板の間に位置し、前記出口切欠溝は、相隣する2枚の前記第1冷却板の間に位置することを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第4冷却板と前記第1冷却板とは、前記取り付け経路を軸として180度回転させた鏡面対称に配設されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記第3冷却板と前記第2冷却板とは、前記取り付け経路を軸として180度回転させた鏡面対称に配設されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記第1冷却板は、少なくとも1つの第1開口をさらに備え、前記第2冷却板は、少なくとも1つの第2開口をさらに備え、前記第3冷却板は、少なくとも1つの第3開口をさらに備え、前記第4冷却板は、少なくとも1つの第4開口をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記上板は、少なくとも1つの第5入口孔と、少なくとも1つの第5出口孔と、をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記第5入口孔と、前記第1入口孔と、前記第2入口孔と、前記第3入口孔と、前記第4入口孔との投影領域が重複していることを特徴とする、請求項8に記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記第5出口孔と、前記第1出口孔と、前記第2出口孔と、前記第3出口孔と、前記第4出口孔との投影領域が重複していることを特徴とする、請求項8に記載の熱交換装置。
【請求項11】
前記第1流通孔と、前記第2流通孔と、前記第3流通孔と、前記第4流通孔との投影領域が部分的に重複しており、前記第3流通孔と、前記第4流通孔と、前記第5流通孔と、前記第6流通孔との投影領域が部分的に重複しており、前記第5流通孔と、前記第6流通孔と、前記第7流通孔と、前記第8流通孔との投影領域が部分的に重複しており、前記第7流通孔と、前記第8流通孔と、前記第1流通孔と、前記第2流通孔との投影領域が部分的に重複していることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項12】
前記第1開口と前記第2開口との投影領域が部分的に重複しており、前記第2開口と前記第3開口との投影領域が部分的に重複しており、前記第3開口と前記第4開口との投影領域が部分的に重複しており、前記第4開口と前記第1開口との投影領域が部分的に重複していることを特徴とする、請求項7に記載の熱交換装置。
【請求項13】
前記熱流流動経路と前記冷流流動経路は、相互に垂直であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項14】
前記冷流流動経路と前記取り付け経路は、相互に平行であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲

「【請求項1】
空気調和システム用熱交換装置において、、
前記熱交換装置は、相互に積み重ねた複数の冷却板の組み合わせを含み、、かつそれぞれの前記冷却板の組み合わが第1冷却板、第2冷却板、第3冷却板、第4冷却板で構成され、
前記冷却板の組み合わせにおいて、前記第1冷却板が前記第2冷却板に配置され配置され、前記第2冷却板が前記第3冷却板に配置され配置され、前記第3冷却板が前記第4冷却板に配置され配置され、前記第4冷却板が他の冷却板の組み合わせにおける前記第1冷却板に配置され配置され、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1冷却板が少なくとも1つの第1入口孔、少なくとも1つの第1出口孔、少なくとも2つの第1切欠口、少なくとも1つの第1開口を備え、前記第2冷却板が少なくとも1つの第2入口孔、少なくとも1つの第2出口孔、少なくとも2つの第2切欠口、少なくとも1つの第2開口を備え、前記第3冷却板が少なくとも1つの第3入口孔、少なくとも1つの第3出口孔、少なくとも2つの第3切欠口、少なくとも1つの第3開口を備え、前記第4冷却板が少なくとも1つの第4入口孔、少なくとも1つの第4出口孔、少なくとも2つの第4切欠口、少なくとも1つの第4開口を備え、かつ前記各第1開口と前記第1切欠口が隣接し、前記各第2開口と前記第2切欠口が隣接し、前記各第3開口と前記第3切欠口が隣接し、前記各第4開口と前記第4切欠口が隣接し、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1冷却板の第1切欠口が前記第2冷却板における投影する領域は前記第2切欠口及び前記第2冷却板の本体の一部だけと重複しかつ前記第2冷却板の前記第2開口と重複せず、前記第2冷却板の第2切欠口が前記第3冷却板における投影する領域は前記第3切欠口及び前記第3冷却板の本体の一部だけと重複しかつ前記第3冷却板の前記第3開口と重複せず、前記第3冷却板の第3切欠口が前記第4冷却板における投影する領域は前記第4切欠口及び前記第4冷却板の本体の一部だけと重複しかつ前記第4冷却板の前記第4開口と重複せず、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1切欠口は第2切欠口にしか連通しておらず、第2切開口に連通しておらず、前記第2切欠口は第3切欠口にしか連通しておらず、第3切開口に連通しておらず、、前記第3切欠口は第4切欠口にしか連通しておらず、第4切開口に連通しておらず、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1冷却板の第1切欠口、前記第2冷却板の第2切欠口、前記第3冷却板の第3切欠口が連通することで前記入口孔が構成され、前記第2冷却板の第2切欠口、前記第3冷却板の第3切欠口、前記第4冷却板の第4切欠口が連通することで前記出口孔が構成され、
前記冷却板の組み合わせにおいては、高温流体が前記入口切欠溝を介して熱交換装置内に流入して、熱流流動経路に沿って流動し、前記出口切欠溝から流出し、低温流体が前記冷却板の前記入口孔を介して熱交換装置内部に流入して、冷流流動経路に沿って流動し、前記冷却板の前記出口孔から流出し、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第2冷却板は、前記第1冷却板と前記第3冷却板との間に位置し、前記第3冷却板は、前記第2冷却板と前記第4冷却板との間に位置し、前記第1冷却板と前記第4冷却板は、それぞれ前記第2冷却板と前記第3冷却板の両側に位置し、
前記冷却板の組み合わせにおいては、 前記第1冷却板は、少なくとも1つの第1流通孔と、少なくとも1つの第2流通孔と、をさらに備え、 前記第2冷却板は、少なくとも1つの第3流通孔と、少なくとも1つの第4流通孔と、をさらに備え、前記第3冷却板は、少なくとも1つの第5流通孔と、少なくとも1つの第6流通孔と、をさらに備え、前記第4冷却板は、少なくとも1つの第7流通孔と、少なくとも1つの第8流通孔と、をさらに備えており、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記高温流体が前記熱流流動経路に沿って前記第4冷却板、前記第3冷却板、前記第2冷却板及び前記第1冷却板を順次に経由し、かつ前記高温流体が前記第4冷却板の上面、下面の何れかを経由するときに、隣接する前記第3冷却板の影響を受けておらず前記第3冷却板の上面、下面へ同時に分流することをせずせず、前記高温流体が前記第3冷却板の上面、下面の何れかを経由するときに、隣接する前記第2冷却板の影響を受けておらず前記第2冷却板の上面、下面へ分同時に分流することをせずせず、隣接する前記第1冷却板の影響を受けておらず前記第1冷却板の上面、下面へ分流することをせずせず、
前記低温流体が前記冷流流動経路に沿って前記第1冷却板、前記第2冷却板、前記第3冷却板及び前記第4冷却板を順次に経由することを特徴とする、空気調和システム用熱交換装置。
【請求項2】
上板と、下板と、をさらに備え、それぞれが前記取り付け経路に沿って、前記第1冷却板と、前記第2冷却板と、前記第3冷却板と、前記第4冷却板との組合せの両側に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記第1冷却板と、前記第2冷却板と、前記第3冷却板と、前記第4冷却板とは、前記取り付け経路に沿ってこの順で繰り返し配設されることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記入口切欠溝は、相隣する2枚の前記第4冷却板の間に位置し、前記出口切欠溝は、相隣する2枚の前記第1冷却板の間に位置することを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記第4冷却板と前記第1冷却板とは、前記取り付け経路を軸として180度回転させた鏡面対称に配設され、
前記第3冷却板と前記第2冷却板とは、前記取り付け経路を軸として180度回転させた鏡面対称に配設されることことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記上板は、少なくとも1つの第5入口孔と、少なくとも1つの第5出口孔と、をさらに備え、
前記第5入口孔と、前記第1入口孔と、前記第2入口孔と、前記第3入口孔と、前記第4入口孔との投影領域が重複しており、
前記第5出口孔と、前記第1出口孔と、前記第2出口孔と、前記第3出口孔と、前記第4出口孔との投影領域が重複している
ことを特徴とする、請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記第1流通孔と、前記第2流通孔と、前記第3流通孔と、前記第4流通孔との投影領域が部分的に重複しており、前記第3流通孔と、前記第4流通孔と、前記第5流通孔と、前記第6流通孔との投影領域が部分的に重複しており、前記第5流通孔と、前記第6流通孔と、前記第7流通孔と、前記第8流通孔との投影領域が部分的に重複しており、前記第7流通孔と、前記第8流通孔と、前記第1流通孔と、前記第2流通孔との投影領域が部分的に重複していることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第1開口と前記第2開口との投影領域が部分的に重複しており、前記第2開口と前記第3開口との投影領域が部分的に重複しており、前記第3開口と前記第4開口との投影領域が部分的に重複しており、前記第4開口と前記第1開口との投影領域が部分的に重複していることを特徴とする、請求項5に記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記熱流流動経路と前記冷流流動経路は、相互に垂直であり、前記冷流流動経路と前記取り付け経路は、相互に平行であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項10】
空気調和システム用熱交換装置において、
前記熱交換装置は、相互に積み重ねた複数の冷却板の組み合わせを含み、かつそれぞれの前記冷却板の組み合わが第1冷却板、第2冷却板、板第3冷却板、第4冷却板で構成され、
前記冷却板の組み合わせにおいて、前記第1冷却板が前記第2冷却板に配置され配置され、前記第2冷却板が前記第3冷却板に配置され配置され、前記第3冷却板が前記第4冷却板に配置され配置され、前記第4冷却板が他の冷却板の組み合わせにおける前記第1冷却板に配置され配置され、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1冷却板が少なくとも1つの第1入口孔、少なくとも1つの第1出口孔、少なくとも2つの第1切欠口、少なくとも1つの第1開口を備え、前記第2冷却板が少なくとも1つの第2入口孔、少なくとも1つの第2出口孔、少なくとも2つの第2切欠口、少なくとも1つの第2開口を備え、前記第3冷却板が少なくとも1つの第3入口孔、少なくとも1つの第3出口孔、少なくとも2つの第3切欠口、少なくとも1つの第3開口を備え、前記第4冷却板が少なくとも1つの第4入口孔、少なくとも1つの第4出口孔、少なくとも2つの第4切欠口、少なくとも1つの第4開口を備え、かつ前記各第1開口と前記第1切欠口が隣接し、前記各第2開口と前記第2切欠口が隣接し、前記各第3開口と前記第3切欠口が隣接し、前記各第4開口と前記第4切欠口が隣接し、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1冷却板の第1切欠口が前記第2冷却板における投影する領域は前記第2切欠口及び前記第2冷却板の本体の一部だけと重複しかつ前記第2冷却板の前記第2開口と重複せず、前記第2冷却板の第2切欠口が前記第3冷却板における投影する領域は前記第3切欠口及び前記第3冷却板の本体の一部だけと重複しかつ前記第3冷却板の前記第3開口と重複せず、前記第3冷却板の第3切欠口が前記第4冷却板における投影する領域は前記第4切欠口及び前記第4冷却板の本体の一部だけと重複しかつ前記第4冷却板の前記第4開口と重複せず、
前記冷却板の組み合わせにおいては、前記第1切欠口は第2切欠口にしか連通しておらず、第2切開口に連通しておらず、前記第2切欠口は第3切欠口にしか連通しておらず、第3切開口に連通しておらず、前記第3切欠口は第4切欠口にしか連通しておらず、第4切開口に連通しておらず、
前記冷却板の組み合わせにおいて、前記第1冷却板の第1切欠口、前記第2冷却板の第2切欠口、前記第3冷却板の第3切欠口が連通することで前記入口孔が構成され、前記第2冷却板の第2切欠口、前記第3冷却板の第3切欠口、前記第4冷却板の第4切欠口が連通することで前記出口孔が構成され、
前記冷却板の組み合わせにおいて、前記高温流体が前記熱流流動経路に沿って前記第4冷却板、前記第3冷却板、前記第2冷却板及び前記第1冷却板を順次に経由し、かつ前記高温流体が前記第4冷却板の上面、下面の何れかを経由するときに、隣接する前記第3冷却板の影響を受けておらず前記第3冷却板の上面、下面へ同時に分流することをせずせず、前記高温流体が前記第3冷却板の上面、下面の何れかを経由するときに、隣接する前記第2冷却板の影響を受けておらず前記第2冷却板の上面、下面へ分同時に分流することをせずせず、隣接する前記第1冷却板の影響を受けておらず前記第1冷却板の上面、下面へ分流することをしない
ことを特徴とする、空気調和システム用熱交換装置。」

(2) 補正の目的

ア 本件補正後の請求項10(以下「新請求項10」という。)に係る補正について,その目的を検討する。

イ 新請求項10に係る補正は,特許法第17条の2第5項第1号又は第3号でいう「請求項の削除」又は「誤記の訂正」を目的とするものでないことは,明らかである。

ウ 本件補正前の請求項1(以下「旧請求項1」という。)には,「前記第1冷却板は、少なくとも1つの第1流通孔と、少なくとも1つの第2流通孔と、をさらに備え、 前記第2冷却板は、少なくとも1つの第3流通孔と、少なくとも1つの第4流通孔と、をさらに備え、前記第3冷却板は、少なくとも1つの第5流通孔と、少なくとも1つの第6流通孔と、をさらに備え、前記第4冷却板は、少なくとも1つの第7流通孔と、少なくとも1つの第8流通孔と、をさらに備えており、」と記載されており,第1?4冷却板が第1?8流通孔を備える点が発明特定事項とされている。そして,本件補正前の請求項2?14(以下それぞれ「旧請求項2?14」という。)は,すべて旧請求項1の記載を引用する請求項であり,同様に第1?4冷却板が第1?8流通孔を備える点が発明特定事項とされている。
しかし,新請求項10には,第1?8流通孔についての記載はないから,新請求項10に係る補正は,旧請求項1?14に記載されていた発明特定事項の一部を削除するものであって,特許法第17条の2第5項第2号でいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものでない。

エ 本願の手続の経緯における平成27年1月28日付けの拒絶理由通知,同年12月28日付けの拒絶査定のいずれにおいても,旧請求項1の記載に関して,明瞭でない記載である旨の拒絶の理由が示されていないことは明らかである。
よって,新請求項10に係る補正は,特許法第17条の2第5項第4号でいう「明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものともいえない。

オ 上記イ?エより,本件補正は,特許法第17条の2第5項各号に掲げられる事項のいずれをも目的としない補正を含むものである。

(3)むすび

以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,本件補正前の平成27年6月3日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり,上記第2 2(1)アで摘記したとおりのものである。

2 引用例

(1)引用例1

原査定の拒絶の理由に引用され,本願優先日前に頒布された刊行物である特開平4-227482号公報(以下「引用例1」という。)には,次の事項ア?オが記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

ア「【請求項1】 透過性構造物を組み立てるためののセラミック材料ボードであって、該ボード(1)は互いに平行に延び、かつ対称軸に対して対称に配列された3列の孔を有し、これらの間にはボード端(10、11)に交わる長さの異なる穴(3、4、5)が配置され、これらの最長のもの(3)と、より短いもの(4、5)のうちの1つは同じボード端(10)で開いており、最も短いもの(5)は2番目に長いもの(4)と反対側にあり、穴(4、5)の間又は穴(3)とボード端(11)との間に残っているウェブ(6、6a)は、孔の列の方向によって決まるボード(1)の長さに対して、25%±0ないし6%の長さを有する、上記のボード。
【請求項2】 並んだ孔(2)の間及び孔の列と穴(3、4、5)との間に残っているウェブ(8、9)は1-10mm幅であり、穴(3、4、5)の幅は1-50mmである、請求項1に記載のボード。
【請求項3】 焼成セラミック材料からなり、請求項1に記載の打ち抜いた積層未処理ボードから製造された透過性構造物であって、ボード(1)は、孔の中央の列によって定められる対称軸のまわりを、これに対して垂直に回転することによって交互に積み重ねられており、積み重ねられたボードでは、孔(2)が連続した溝を形成し、穴(3、4、5)が連続した溝に対して実質的に横方向に延びた浅い溝を形成している、上記の透過性構造物。」

イ「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透過性構造物を組み立てるための、特に直交流型熱交換器を組み立てるための、セラミック材料ボードに関する。」

ウ「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、互いに平行に延びた、かつ対称軸に対して対称に配列された3列の孔を有し、これらの間にはボード端に交わる長さの異なる穴が配置され、これらの最長のものと、より短いもののうちの1つは同じボード端で開いており、最も短いものは2番目に長いものと反対側にあり、穴の間又は穴とボード端との間に残っているウェブは、孔の列の方向によって決まるボードの長さに対して、25%±0ないし6%の長さを有する、セラミック材料のボードによって達成される。」

エ「【0007】本発明の利点は基本的には、隣接した浅い溝の間の媒体交換を、ボード端と最も長い穴又は2番目に長い穴及び最も短い穴との間のウェブの長さを±6%まで変えることによって、変化させたりあるいは妨げることができることにあると見られる。さらに、浅い溝が連続したスリットを形成するので、流れ抵抗は減少する。透過性構造物はボードパターンから作ることができる。
【0008】さらに、複数の平行に流れる媒体用の構造物は、適当な設計の閉鎖ホイルにより作ることができる。孔の中心を、孔の列の共通軸から偏らせることにより、孔によって形成される溝が螺旋状に進む面となる構造物を作ることも可能である。図面を参考にして、以下に本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の1つの具体例を示すものにすぎない。
【0009】未処理のセラミック材料からなるボード1は、互いに平行に延びたかつ対称軸に対して対称に配列された(2N-1)[Nは2、3、4又は5である]列の孔を有する。孔2の相互間隔は1-10mmであり、すなわち、これらの間に残っているウェブ8の幅は1-10mmである。孔の列の間に、長さの異なる穴3、4、5が配置される。
【0010】穴の幅は1-50mmであり、孔の列から1-10mmの間隔(ウェブ9)を保っている。穴は全てボードの端から始まる。すなわち、穴はボード端と交わる。最も長い穴3と2番目に長い穴4は同じボード端10と交わる。最も短い穴5は2番目に長い穴と反対側に位置し、ボード端11と交わる。穴4と5との間及び穴3とボード端との間に残っているウェブ6、6aの長さは、孔の列方向のボードの長さの25%±0ないし±6%である。ウェブ6、6aの長さは、ボードの長さの、図1では25%であり、図2では約20%である。ウェブ6、6aを短くすると、隣接ボードの穴は重なって、浅い溝に対して垂直に連続した溝を形成し、これらを経て個々の浅い溝は互いにつながれる。これにより、特定の物質の流れの渦運動と混合が十分に確実に行われる。さらに大きな装置をこれらの構造物から組み立てる場合、ウェブ6aの領域のボード端に穴12を設けると有利であり、この長さはボードの長さの3%にすることができる。ウェブ6、6aがボードの長さの25%より長いと、これらはガイド面又は冷却リブの作用をする。
セラミック材料の未処理ボードはどのような厚さにも製造できるとは限らない。個々のボードを互いに積み重ねることによって、プレート及びブロックにすることができ、そこで多数のボードからなる厚みとなる。その後焼結することによって、積層ブロックは均一なセラミック部材となる。セラミック材料の他に、金属シート又はプラスチックホイルを打ち抜きボード用に用いることができる。
【0011】孔の溝対浅い溝の表面比率は、これらの対立する構造によって左右される。 孔の表面と孔の溝の断面は常に一定に保たれる。しかし浅い溝の表面と溝の断面は、同じ位置に複数のボードを配置することによって変えることができる。流れが通過する全断面はまた、浅い溝では常に同じに保つ。個々のボードを積み重ねることによって、最高の表面比率が得られる。例えば、流れが通過する全断面が一定でありかつ孔の比率が一定である場合、ボード1を5枚同じ位置で積み重ねると、接続ウェブ6、6aの表面は1/5に減少し、個々の溝の断面は5倍に増加する。すなわち、同じ外部寸法の熱交換器では、表面比率は簡単に変えることができ、これによって特定の要件を満たすように合わせることができる。どのような形及び数の孔2も、ボード1を回転させた状態で、常に、上及び下に位置するボードの孔2と完全に一致するように、ボード上に配置する(図4)。第2の媒体に対して構造が確実に透過性である積み重ね(図3)は4枚連なったものである。同じように配置した1枚以上のボード1は回転させて位置A、B、C及びDに持って来て、この位置及び順序で互いに積層する。すなわち、+の記号で示す特定のボードの角は、4枚の全ての積み重ねボードに連続的に位置する。従って、ボードBはボードAを対称軸のまわりに回転させることによって、ボードCはボードBを回転軸に対して垂直に回転させることによって、そしてボードDはボードCを対称軸のまわりを回転させることによって得られる(図3)。好ましいブロックの高さに達するまで、4枚のボードの積み重ねを繰り返す。ブロックは、孔の列のみを含む各カバーボードによって閉じることができる。
【0012】記載のボード1を組み立てて、縦方向にも横方向にもさらに大きい装置を作ることができる。縦方向の場合、単にこれらを次々に連続的に置くことによって得られ、横方向の場合、孔の列数は常に奇数でなければならないので、1列の孔を常に省略する。」

オ 「



カ 上記ア?オの記載事項を総合すると,引用例1には,次の発明(以下
「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「ボードから製造された透過性構造物,特に直交流型熱交換器であって,
該ボード(1)は互いに平行に延び,かつ対称軸に対して対称に配列された3列の孔を有し,これらの間にはボード端(10,11)に交わる長さの異なる穴(3,4,5)が配置され,これらの最長のもの(3)と,より短いもの(4,5)のうちの1つは同じボード端(10)で開いており,最も短いもの(5)は2番目に長いもの(4)と反対側にあり,穴(4,5)の間又は穴(3)とボード端(11)との間に残っているウェブ(6,6a)は,孔の列の方向によって決まるボード(1)の長さに対して,25%±0ないし6%の長さを有し,
ボード(1)を回転させた状態で,常に,上及び下に位置するボードの孔(2)と完全に一致するように,孔(2)をボード上に配置し,
ボード(1)は,孔の中央の列によって定められる対称軸のまわりを,これに対して垂直に回転することによって交互に積み重ねられており,積み重ねられたボードでは,孔(2)が連続した溝を形成し,穴(3,4,5)が連続した溝に対して実質的に横方向に延びた浅い溝を形成し,
ボードBはボードAを対称軸のまわりに回転させることによって,ボードCはボードBを回転軸に対して垂直に回転させることによって,そしてボードDはボードCを対称軸のまわりを回転させることによって得られ,好ましいブロックの高さに達するまで,4枚のボードの積み重ねを繰り返した,
上記の透過性構造物,特に直交流型熱交換器。」

(2)引用例2

原査定の拒絶の理由に引用され,本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許第5016707号明細書(以下「引用例2」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。(日本語訳は当審による。)

ア「In accordance with the present invention, the heat exchanger for
exchanging heat between at least a first and a second fluid may in-
clude at least one first plate means forming an inlet and outlet
manifold means for the first fluid, with at least one second plate
means forming a fluid impingement plate means for the first fluid as
well as a finned heat exchanger plate means for the second fluid. At
least one third plate means may be provided for forming an end man-
ifold, with the first plate means, second plate means, and third
plate means being stacked to form a laminated heat exchanger core.
The end manifold means may include a deflecting means or redirecting
means by which the flow of the first fluid flowing in a first direc-
tion from the inlet and outlet manifold means through the fluid im-
pingement plate means toward the end manifold means is deflected or
redirected back toward and through the fluid impingement plate means
in at least a second direction toward the inlet and outlet manifold
means, with the first and second directions being orthogonal to a
flow direction of the second fluid through the finned heat exchanger
plate means.」(4欄13-34行)
「本発明によれば,少なくとも第1及び第2の流体の間で熱交換を行なう熱交換器は,第1の流体のための入口及び出口マニホールド手段を構成する少なくとも1つの第1板部材と,第1の流体のための流体衝突板手段を構成するとともに第2の流体のためのフィン付熱交換板手段を構成する少なくとも1つの第2板部材を含む。終端マニホールドを構成する少なくとも1つの第3板部材が備えられてもよく,第1板部材,第2板部材及び第3板部材は積み重ねられて積層熱交換器コアを構成する。終端マニホールド手段は,入口及び出口マニホールド手段から流体衝突板手段を抜けて終端マニホールド手段へと第1の方向に流れる第1の流体が,それによって逆向きに流体衝突板手段へ向けて及び流体衝突板手段を抜けて少なくとも入口出口マニホールド手段に向かう第2方向へと偏向又は転向される偏向手段又は転向手段を含んでもよく,第1及び第2方向は,フィン付熱交換板手段を抜ける第2の流体の流動方向と直交している。」

イ「When the cover plate 10, inlet/outlet manifold plates 11, 12,
13, orifice plates 14, spacer plates 15, and end manifold plate 18
are stacked to form a laminated heat exchanger as shown in FIG. 4,
the first fluid flows on the first pass P_(1) through the inlet port
upper openings 11a, 12a, 13a of the inlet/outlet manifold plates 11,
12, 13, through the first group of impingement orifices 14a in the
respective orifice plates 14, openings 15a in the respective spacer
plates 15 to the blind opening 18a of the end manifold plate 18. At
the blind opening 18a, the flow of first fluid is deflected for the
second pass P_(2) through the openings 15a, second group of impingement
orifices 14a to the solid portion 12' of the inlet/outlet plate
12 where the flow of first fluid is once again deflected for the
third pass P_(3) toward the end manifold plate 18. Upon the first fluid
reaching the end manifold plate 18 during the third pass P_(3), the
first fluid is once again deflected by the lower blind opening 18a
of the end manifold plate 18 for the fourth pass P_(4) through the heat
exchanger core in a direction toward the outlet port 4.」(8欄43-63行)
「カバー板10,入口出口マニホールド板11,12,13,オリフィス板14,スペーサ板15及び終端マニホールド板18が積み重ねられ,図4に示されるように積層熱交換器を形成すると,第1の流体は,入口出口マニホールド板11,
12,13の入口ポート上部開口11a,12a,13aを抜け,対応するオリフィス板14の衝突オリフィス14aの第1群を抜け,対応するスペーサ板15の開口15aを抜けて終端マニホールド板18の盲穴18aへと至る第1流路P_(1)を流れる。盲穴18aでは,第1の流体の流れは,開口15a,衝突オリフィス14aの第2群を抜けて入口出口マニホールド板12の中実部12'へと至る第2流路P_(2)へ偏向され,該中実部12'で第1の流体は再び終端マニホールド板18へ向かう第3流路P_(3)へ偏向される。第3流路P_(3)で第1の流体が終端マニホールド板18に到達す
ると,第1の流体は,終端マニホールド板18の下部盲穴18aによって,熱交換器コアを抜けて出口ポート4の方向へ向かう第4流路P_(4)へさらに偏向される。」

3 対比・判断

(1)本願発明と引用発明との対比

ア 引用発明の「透過性構造物,特に直交流型熱交換器」は,本願発明の
「熱交換装置」に相当する。

イ 引用発明の「ボードA」?「ボードD」は,それぞれ本願発明の「第1冷却板」?「第4冷却板」に相当する。そして,引用発明は「好ましいブロックの高さに達するまで,4枚のボードの積み重ねを繰り返した」ものであるから,「ボードA」?「ボードD」は,本願発明の「第1冷却板」?「第4冷却板」と同じく,それぞれ「少なくとも2枚」を備えるものであり,かつ「取り付け経路に沿って配設され」ているといえる。
そして,引用例1の図3(上記2(1)オ)も参照すれば,引用発明において「ボードBはボードAを対称軸のまわりに回転させることによって,ボードCはボードBを回転軸に対して垂直に回転させることによって,そしてボードDはボードCを対称軸のまわりを回転させることによって得られ,」「交互に積み重ねられて」いることは,本願発明の「前記第2冷却板は、前記第1冷却板と前記第3冷却板との間に位置し、前記第3冷却板は、前記第2冷却板と前記第4冷却板との間に位置し、前記第1冷却板と前記第4冷却板は、それぞれ前記第2冷却板と前記第3冷却板の両側に位置」することと一致する。

ウ 引用発明が「直交流型熱交換器」であって,「積み重ねられたボードでは,孔(2)が連続した溝を形成し,穴(3,4,5)が連続した溝に対して実質的に横方向に延びた浅い溝を形成」することを踏まえると,引用発明の「孔(2)」が形成する「溝」,及び,「穴(3,4,5)」が形成する「浅い溝」は,それぞれ熱交換のための媒体が流れる流動経路を構成することが明らかである。
そして,該「孔(2)」が形成する「溝」を流れる媒体(以下「媒体1」という。)は本願発明の「低温流体」と,該「浅い溝」を流れる媒体(以下「媒体2」という。)は本願発明の「高温流体」と,互いに熱交換する「流体」という限りにおいてそれぞれ一致する。
また,引用例1の図3(上記2(1)オ)より,引用発明の「孔(2)」は,ボードA?ボードDのそれぞれに多数配置されているから,ボードA?ボードDに配置されたそれぞれ少なくとも2つの「孔(2)」と,本願発明の第1冷却板に設けられる「少なくとも1つの第1入口孔、少なくとも1つの第1出口孔」?第4冷却板に設けられる「少なくとも1つの第4入口孔、少なくとも1つの第4出口孔」とは,「流体が出入りする少なくとも2つの第1の孔」?「流体が出入りする少なくとも2つの第4の孔」との限りでそれぞれ一致する。

エ 引用発明のボードA?ボードDに配置された「穴(3,4,5)」は,それぞれ本願発明の第1冷却板?第4冷却板に設けられる「少なくとも2つの第1切欠口」?「少なくとも2つの第4切欠口」に相当する。
そして,引用発明は「ボード(1)は,孔の中央の列によって定められる対称軸のまわりを,これに対して垂直に回転することによって交互に積み重ねられており,積み重ねられたボードでは,」「穴(3,4,5)が連続した溝に対して実質的に横方向に延びた浅い溝を形成」するものであるから,上記ウ及び引用例1の図3(上記2(1)オ)も参照すれば,ボードAの穴(3),ボードBの穴(4)とボードCの穴(5)が,相隣しており,ボード端(10)で開く溝を構成し,ボードDの穴(3),ボードCの穴(4)とボードBの穴(5)が,相隣しており,ボード端(11)で開く溝を構成すること,及び媒体2がボード端(10)で開く溝を介して直交流型熱交換器内に流入して,浅い溝に沿って流動し,ボード端(11)で開く溝から流出することが読み取れる。よって,引用発明において「穴(3,4,5)が連続した溝に対して実質的に横方向に延びた浅い溝を形成」することは,本願発明の「相隣する第1切欠口、第2切欠口と第3切欠口は、入口切欠溝を構成し、相隣する第2切欠口、第3切欠口と第4切欠口は、出口切欠溝を構成し、高温流体が前記入口切欠溝を介して熱交換装置内に流入して、熱流流動経路に沿って流動し、前記出口切欠溝から流出」することと,「相隣する第1切欠口、第2切欠口と第3切欠口は、入口切欠溝を構成し、相隣する第2切欠口、第3切欠口と第4切欠口は、出口切欠溝を構成し、流体が前記入口切欠溝を介して熱交換装置内に流入して、流動経路に沿って流動し、前記出口切欠溝から流出」するという限りにおいて一致する。
さらに,引用例1の図3(上記2(1)オ)に図示された媒体2の経路を参照すると,引用発明における媒体2の流れは,本願発明の「前記高温流体が前記熱流流動経路に沿って前記第4冷却板、前記第3冷却板、前記第2冷却板及び前記第1冷却板を順次に経由」することと,「流体が流動経路に沿って前記第4冷却板,前記第3冷却板,前記第2冷却板及び前記第1冷却板を順次に経由」する限りにおいて一致する。

オ 引用発明の,ボードA?ボードDに配置された多数の「孔(2)」のうち,上記ウにおける少なくとも2つの「孔(2)」以外のものは,それぞれ本願発明の第1冷却板に設けられる「少なくとも1つの第1流通孔と、少なくとも1つの第2流通孔」?第4冷却板に設けられる「少なくとも1つの第7流通孔と、少なくとも1つの第8流通孔」に相当する。

(2)一致点

したがって,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致している。

「熱交換装置であって,
流体が出入りする少なくとも2つの第1の孔及び少なくとも2つの第1切欠口が設けられる少なくとも2枚の第1冷却板と,流体が出入りする少なくとも2つの第2の孔及び少なくとも2つの第2切欠口が設けられる少なくとも2枚の第2冷却板と,流体が出入りする少なくとも2つの第3の孔及び少なくとも2つの第3切欠口が設けられる少なくとも2枚の第3冷却板と,流体が出入りする少なくとも2つの第4の孔及び少なくとも2つの第4切欠口が設けられる少なくとも2枚の第4冷却板と,を備え,
前記第1冷却板,前記第2冷却板,前記第3冷却板と前記第4冷却板は,取り付け経路に沿って配設され,相隣する第1切欠口,第2切欠口と第3切欠口は,入口切欠溝を構成し,相隣する第2切欠口,第3切欠口と第4切欠口は,出口切欠溝を構成し,流体が前記入口切欠溝を介して熱交換装置内に流入して,流動経路に沿って流動し,前記出口切欠溝から流出し,
前記第2冷却板は,前記第1冷却板と前記第3冷却板との間に位置し,前記第3冷却板は,前記第2冷却板と前記第4冷却板との間に位置し,前記第1冷却板と前記第4冷却板は,それぞれ前記第2冷却板と前記第3冷却板の両側に位置し,
前記第1冷却板は,少なくとも1つの第1流通孔と,少なくとも1つの第2流通孔と,をさらに備え,前記第2冷却板は,少なくとも1つの第3流通孔と,少なくとも1つの第4流通孔と,をさらに備え,前記第3冷却板は,少なくとも1つの第5流通孔と,少なくとも1つの第6流通孔と,をさらに備え,前記第4冷却板は,少なくとも1つの第7流通孔と,少なくとも1つの第8流通孔と,をさらに備えており,
流体が流動経路に沿って前記第4冷却板,前記第3冷却板,前記第2冷却板及び前記第1冷却板を順次に経由する,熱交換装置。」

(3)相違点

そして,本願補正発明と引用発明とは,以下の点で相違している。

ア 相違点1
本願発明では,熱交換装置が空気調和システム用であるのに対し,引用発明では,そのような特定がない点

イ 相違点2
互いに熱交換する流体について,本願発明では,入口切欠溝を介して熱交換装置内に流入し,出口切欠溝から流出する流体が「高温流体」であって,その流動経路が「熱流流動経路」であり,他方の流体が「低温流体」であって,その流動経路が「冷流流動経路」であるのに対し,引用発明では,媒体2と媒体1のうち,いずれが高温でいずれが低温か特定がなく,これに伴って,引用発明における「浅い溝」と「孔(2)」が形成する「溝」のうち,いずれが本願発明における「熱流流動経路」に対応し,いずれが「冷流流動経路」に対応するか特定されていない点

ウ 相違点3
本願発明では,流体が出入りする少なくとも2つの第1の孔が,少なくとも1つの第1入口孔と,少なくとも1つの第1出口孔とに区別され,第2?4の孔についても同様に,第2?4入口孔と第2?4出口孔にそれぞれ区別されており,低温流体が各冷却板の入口孔を介して熱交換装置内部に流入して,冷流流動経路に沿って第1冷却板,第2冷却板,第3冷却板及び第4冷却板を順次に経由し,各冷却板の出口孔から流出するのに対し,引用発明では,そのような特定がない点

(4)判断

ア 相違点1について
空気調和システムにおいて,熱交換を行なうために適宜の熱交換装置を備えることは周知の技術事項であった。引用発明の熱交換器は,用途に格別の限定がないから,上記周知技術を踏まえれば,空気調和システム用とすることは,当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
よって,引用発明及び周知の技術事項から,相違点1に係る本願発明の構成を得ることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
熱交換装置において,互いに熱交換する流体を2つの流動経路のうちいずれに流すかは,当業者が適宜決めるべき設計事項である。よって,引用発明において媒体2を媒体1よりも高温とし,それに伴い「浅い溝」を「熱流流動経路」に,「孔(2)」が形成する「溝」を「冷流流動経路」にすることも,設計事項にすぎない。
したがって,引用発明から相違点2に係る本願発明の構成を得ることは,当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
冷却板を積層して構成する直交流型熱交換器において,冷却板に対して垂直に流れる流体の流動経路を蛇行させるなどして,各冷却板において,該流体が出入りする孔を,入口孔と出口孔とに区別することは,周知の技術事項であった。例えば,引用例2における「the first group of impingement
orifices 14a」及び「the first pass P_(1)」に位置する「openings 15a」は
入口孔に相当し,「the forth pass P_(4)」に位置する「impingement ori-
fices 14a」及び「openings 15a」は出口孔に相当している。そして,引用発明は,冷却板を積層して構成する直交流型熱交換器に関するものであるから,上記周知の技術事項を適用して,媒体の流動経路を決定することも,当業者にとって容易である。
そして,引用発明における媒体1の流動経路をそのように決定すれば,媒体1は第1?4冷却板の第1?4入口孔を介して熱交換器内部に流入して,第1?4冷却板の第1?4出口孔から流出することとなり,入口側と出口側で逆方向に流れるから,そのいずれかにおいて第1?4冷却板を順次に経由することとなるのは明らかである。
よって,引用発明及び上記周知の技術事項から,相違点3に係る本願発明の構成を得ることは,当業者が容易に想到し得たことである。

エ 本願発明の奏する効果について
本願発明の全体構成によって奏される作用効果についてみても,引用発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。

(5)むすび

以上のとおり,本願発明は,本願優先日前に頒布された刊行物である引用例1に記載された発明及び周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることはできない。

よって,本願は,その余の請求項に係る発明を検討するまでもなく,拒絶すべきものである。

したがって,結論のとおり審決する。
 
別掲 (附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官
を被告として,提起することができます。
 
審理終結日 2017-02-14 
結審通知日 2017-02-21 
審決日 2017-03-09 
出願番号 特願2014-8629(P2014-8629)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F28F)
P 1 8・ 56- Z (F28F)
P 1 8・ 572- Z (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 浩士横溝 顕範  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 山崎 勝司
結城 健太郎
発明の名称 熱交換装置  
代理人 SK特許業務法人  
代理人 伊藤 寛之  
代理人 奥野 彰彦  
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