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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1330861
審判番号 不服2016-11029  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-21 
確定日 2017-08-28 
事件の表示 特願2014-558992「現在の通信シナリオに基づくチャネル品質インジケータ(CQI)の適応的生成」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 3日国際公開、WO2013/148514、平成27年 4月16日国内公表、特表2015-511475、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯及び本願発明

1 手続の経緯
本願は,2013年(平成25年)3月22日(優先権主張 2012年(平成24年)3月28日 米国,同年9月4日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成27年8月3日付けで拒絶理由が通知され,同年10月14日付けで意見書が提出され,平成28年3月22日付けで拒絶査定されたところ,同年7月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1から9に係る発明は,平成28年7月21日付けで手続補正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
以下においては,請求項に係る発明を,請求項の番号に従って,「本願第1発明」などといい,「本願第1発明」から「本願第9発明」を併せて「本願発明」という。
なお,附された下線は省略した。

【請求項1】
ユーザ機器(UE)デバイスであって、
基地局との無線通信を実行するためのアンテナと、
複数のUE通信シナリオのそれぞれのための複数の通信シナリオ情報のセットを記憶するメモリであって、それぞれの通信シナリオ情報のセットは、それぞれの通信シナリオに関するチャネル品質インジケータを生成するために使用可能であり、前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、前記UEの受信器形式、前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式、及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量に基づいている当該メモリと、
プロセッサであって、
前記UEの動作中に前記UEデバイスの現在の通信シナリオを決定することであって、前記決定が、前記UEの受信器形式、前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式、及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量を決定することを含み、
前記UEデバイスの前記決定された現在の通信シナリオに基づいて前記複数の通信シナリオ情報のセットから第1の通信シナリオ情報のセットを選択し、
前記選択された第1の通信シナリオ情報のセットに基づいて
少なくとも1つのチャネル品質インジケータを生成するように構成される当該プロセッサと、
を備え、
前記チャネル品質インジケータを基地局へ伝送するように構成されるUEデバイス。
【請求項2】
前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、スペクトル効率を前記チャネル品質インジケータにマッピングするための1つ以上のマッピングテーブルを含む、請求項1に記載のUEデバイス。
【請求項3】
前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、1)信号対雑音比をスペクトル効率にマッピングするための第1のマッピングテーブル、及び2)スペクトル効率を前記チャネル品質インジケータにマッピングするための第2のマッピングテーブルを少なくとも含む、請求項1に記載のUEデバイス。
【請求項4】
無線ユーザ機器(UE)によって実行される方法であって、
前記UEの動作中に前記UEの現在の通信シナリオを決定するステップであって、前記決定が、前記UEの受信器形式、前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式、及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量を決定することを含み、
前記UEの前記決定された現在の通信シナリオに基づいて第1の通信シナリオ情報のセットを選択するステップであって、前記第1の通信シナリオ情報のセットは、記憶された複数の通信シナリオ情報のセットから選択され、それぞれの通信シナリオ情報のセットは各々のUE通信シナリオに対応する、第1の通信シナリオ情報のセットを選択し、前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、前記UEの受信器形式、前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式、及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量に基づいている当該ステップと、
前記選択された第1の通信シナリオ情報のセットに基づいて少なくとも1つのチャネル品質インジケータを生成するステップと、
前記チャネル品質インジケータを基地局へ伝送するステップと、
を含む方法。
【請求項5】
前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、スペクトル効率を前記チャネル品質インジケータにマッピングするための1つ以上のマッピングテーブルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、1)信号対雑音比をスペクトル効率にマッピングするための第1のマッピングテーブル、及び2)スペクトル効率を前記チャネル品質インジケータにマッピングするための第2のマッピングテーブルを少なくとも含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
無線ユーザ機器(UE)の操作方法であって、
複数のUE通信シナリオのそれぞれのための複数の通信シナリオ情報のセットを記憶するステップであって、それぞれの通信シナリオ情報のセットは、それぞれの通信シナリオに関するチャネル品質インジケータを生成するために使用可能であり、前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、前記UEの受信器形式、前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式、及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量に基づいている当該ステップと、
前記UEの動作中に前記UEの現在の通信シナリオを決定するステップであって、前記決定が、前記UEの受信器形式、前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式、及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量を決定すること
を含む当該ステップと、
前記UEの前記決定された現在の通信シナリオに基づいて前記複数の通信シナリオ情報のセットから第1の通信シナリオ情報のセットを選択するステップと、
前記選択された第1の通信シナリオ情報のセットに基づいて少なくとも1つのチャネル品質インジケータを生成するステップと、
前記チャネル品質インジケータを基地局に提供するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、スペクトル効率を前記チャネル品質インジケータにマッピングするための1つ以上のマッピングテーブルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、1)信号対雑音比をスペクトル効率にマッピングするための第1のマッピングテーブル、及び2)スペクトル効率を前記チャネル品質インジケータにマッピングするための第2のマッピングテーブルを少なくとも含む、請求項7に記載の方法。


第2 原査定の概要

原査定(平成28年3月22日付け拒絶査定)は,本願を,平成27年8月3日付け拒絶理由通知書に記載した理由1,2によって,拒絶すべきものとするところ,その理由1,2の概要は次のとおりである。

1.(新規性) この出願の請求項1,7,及び12に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
2.(進歩性) この出願の請求項1から16に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については,引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)について
・請求項1,7,及び12に関しては,引用文献等1又は2
●理由2(進歩性)について
・請求項1,7,及び12に関しては,引用文献等1又は2
・請求項2-6,8-11,及び13-16に関しては,引用文献等1又は2,及び3
<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2009/0245408号明細書
2.特表2009-510804号公報
3.米国特許出願公開第2011/0189997号明細書


第3 引用文献及び文献記載発明

A 文献1記載発明について
原査定の理由において「引用文献1」として引用された「米国特許出願公開第2009/0245408号明細書」(2009年(平成21年)10月1日米国公開)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

1 記載事項1
TECHNICAL FIELD
[0002] The present invention relates generally to wireless communication systems, and more particularly, to a channel quality indicator table for wireless MIMO networks.

BACKGROUND
[0003] Multiple input multiple output (MIMO) is a radio communication technique in which both a transmitter and a receiver use multiple antennas to wirelessly communicate with one another. By using multiple antennas at the transmitter and receiver, the spatial dimension may be taken advantage of in a manner that improves overall performance of the wireless link.
[0004] MIMO may be performed as either an open loop or a closed loop technique. In open loop MIMO, a transmitter has no specific knowledge of the condition of the channel before signals are transmitted to a receiver. In closed loop MIMO, on the other hand, channel-related information is fed back from the receiver to the transmitter to allow the transmitter to precondition transmit signals before they are transmitted to better match the present channel state. However, under many conditions, for example, at high vehicular speeds of the user end device, the channel ages very fast, imposing significant challenges on the wireless communication system.
[0005] Hence, there is a general need for strategies to improve transmission in MIMO systems by adapting the link between the transmitter and the receiver.

SUMMARY OF THE INVENTION
[0006] These and other problems are generally solved or circumvented, and technical advantages are generally achieved, by preferred embodiments of the present invention.
[0007] Embodiments of the present invention include channel quality indicator table for open loop MIMO transmission. In accordance with a preferred embodiment of the present invention, a method of generating a table for channel quality indicator (CQI) for an open loop MIMO transmission comprises calculating the performance of a link between a transmitter and a user end unit for each MIMO transmission mode over a range of average signal-to-noise ratio, and selecting the MIMO transmission mode that maximizes performance for each subset of the range of average signal-to-noise ratio. The method further includes storing the selected MIMO transmission mode and the corresponding subset of the range of average signal-to-noise ratio in a CQI table, the CQI table being stored in an user end unit and a base transceiver station of the open loop MIMO network.
[0008] The foregoing has outlined, rather broadly, the features of an embodiment of the present invention in order that the detailed description of the invention that follows may be better understood. Additional features and advantages of embodiments of the invention will be described hereinafter, which form the subject of the claims of the invention. It should be appreciated by those skilled in the art that the conception and specific embodiments disclosed may be readily utilized as a basis for modifying or designing other structures or processes for carrying out the same purposes of the present invention. It should also be realized by those skilled in the art that such equivalent constructions do not depart from the spirit and scope of the invention as set forth in the appended claims.
(当審訳
技術分野
[0002] 本発明は,一般に無線通信システムに関し,より詳細には,無線MIMOネットワークのためのチャネル品質インジケータテーブルに関する。

背景
[0003] 多入力多出力(MIMO)は,送信機と受信機の両方が複数のアンテナを使用して相互に無線通信する無線通信技術である。送信機と受信機で複数のアンテナを使用することにより,空間次元を,無線リンクの全体的な性能を向上させるように利用することができる。
[0004] MIMOは,開ループ技法又は閉ループ技法のいずれかとして実行することができる。開ループMIMOでは,信号が受信機に送信される前に,送信機は,チャネルの状態の特定の知識を有さない。閉ループMIMOにおいては,一方で,現在のチャネル情報をより良く一致させるために送信信号(transmit signals)を送信する前に,送信機が送信信号を前もって調整できるようにするために,受信機から送信機に,チャネル関連情報がフィードバックされる。しかし,多くの条件下では,例えば,高速車のユーザエンド装置で,チャネルは非常に早く劣化し,無線通信システムに重大な課題を課す。
[0005] したがって,送信機と受信機との間のリンクを適応させることによって,MIMOシステムにおける送信を改善するための戦略のための一般的なニーズがある。

発明の概要
[0006] 本発明の好ましい実施形態により,これら及びその他の問題は,一般的に解決されるか,又は回避され,かつ,技術的な利点が一般に達成される。
[0007] 本発明の実施形態は,開ループMIMO送信のためのチャネル品質インジケータテーブルを含む。本発明の好ましい実施形態によれば,オープンループMIMO伝送のためのチャネル品質インジケータ(CQI)のためのテーブルを生成する方法は,平均信号対雑音比の範囲にわたって各MIMO送信モードに対する送信機とユーザエンドユニットとの間のリンクの性能を計算するステップと,平均信号対雑音比の範囲の各サブセットについて性能を最大化するMIMO送信モードを選択するステップとを含む。この方法は,選択されたMIMO送信モードと対応するサブセットの平均信号対雑音比の範囲とをCQIテーブルに格納するステップを含み,CQIテーブルは開ループMIMOネットワークのユーザ端末装置及び基地局装置内に格納されている。
[0008] 以上は,以下の本発明の詳細な説明をより良く理解するため,実施形態の特徴を,むしろ幅広く,概説したものである。本発明の実施形態の追加の特徴及び利点を,以下に説明する,それは本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。開示された概念及び特定の実施形態は,本発明の同じ目的を実行するための他の構造又はプロセスを修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが,当業者には理解されるべきである。また,そのような等価な構造は,添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱するものではないことを,当業者は理解するべきである。)

2 記載事項2
[0021] A wireless communication system using a MIMO based wireless system is first described using FIG. 1, in accordance with an embodiment of the present invention. An embodiment of the invention using the adaptation is illustrated in FIG. 3. Embodiments of the invention for generating the channel quality indicator table for open loop MIMO are next described using FIGS. 4 and 5.
[0022] FIG. 1 is a block diagram illustrating a wireless communication system using a MIMO based wireless system, in accordance with an embodiment of the invention. A compressed digital source in the form of a binary data stream 2 is fed to a simplified transmitting block 5, encompassing the functions of error control coding and (possibly joined with) mapping to complex modulation symbols. The simplified transmitting block 5 produces several separate symbol streams which range from independent to partially redundant or fully redundant. Each of the symbol streams is mapped to one of the multiple transmitter antennas 12-1m. Mapping may include linear spatial weighting of the antenna elements or linear antenna space-time precoding. After upward frequency conversion, filtering and amplification, the transmitting signals 6 are launched into the wireless channel by the multiple transmitters 12-1m. At the receiver 20, the signals are captured by possibly multiple antennas. For example, in one embodiment, a 4×2 MIMO comprised of four transmitters and two receivers is used.
[0023] Subsequently, demodulation and demapping operations are performed in a receiver unit 25 to recover the message. The level of intelligence, complexity, and a priori channel knowledge used in selecting the coding and antenna mapping algorithms is adapted by the receiver unit 25 during the link 1, depending on the application and the nature of the transmission.
[0024] The wireless transmitter 10 communicates with the wireless receiver 20 via the wireless channel 21. In one embodiment, the transmitter 10 comprises “m” transmit antennas 12, 14, 16, . . . , and 1m and the receiver 20 comprises “n” receive antennas 22, 24, 26, . . . , and 2n. In other embodiments, any number of transmit antennas and any number of receive antennas are used to form a MIMO channel. The wireless link 1 utilizes either closed loop or open loop MIMO techniques. The transmitter 10 dynamically tailors the transmit signals 6 to the channel in a manner that improves channel throughput, or minimizes bit error rate, or both. For example, a transmitted signal 6 is transmitted simultaneously through all four transmit antennas 12, 14, 16, and 1m, by decomposition into independent 1/4 rate bit sequence. If the transmit signals 6 from each of the transmitters 12, 14, 16 and 1m into the channel are different from each other, there will be a 4-fold increase in the channel capacity.
[0025] In various embodiments, the receiver 20 transmits channel-related feedback information to the transmitter 10 for use by the signal processing block 5 in developing transmit signals 6. The receiver 20 generates the feedback information by, for example, appropriately processing reference information received from the transmitter 10.
[0026] This feedback of the instantaneous channel quality conditions calculated by the receiver 20 is referred to as Channel Quality Indicators (CQIs). CQI values may correspond to any suitable channel parameter including Signal-to-Noise Ratio (SNR), Signal-to-Interference and Noise Ratio (SINR), power of received signal, supportable data rates, supportable modulation and/or coding rates, and supportable throughput as examples.
[0027] The receiver 20 transmits this feedback information (CQI) to the transmitter 10 such as a base station, e.g., via physical layer signaling. CQI information may be used to determine transmission scheduling among multiple receivers, select suitable transmission schemes (e.g., the number of transmit antennas to activate), determine bandwidth allocation, select spreading codes, determine modulation and coding rates, etc.
[0028] CQI information in 3GPP LTE is transmitted in the form of a CQI message. The receiver 20 generates the CQI messages by first measuring channel quality, e.g., SNR or SINR. The receiver 20 then accesses a standardized CQI table where the table contains ranges of uniquely indexed CQI values. The range in which the measured channel quality falls is identified by selecting the corresponding index value. The selected index value is mapped to a sequence of channel quality information bits, e.g., using a (20, 5) block coding technique where 5 bits are encoded into a 20 bit-codeword for error protection. The encoded channel quality information bits are then mapped onto a physical channel and transmitted as a message.
(当審訳
[0021] 本発明の実施形態にしたがって,まず,図1を用いて,MIMOに基づく無線システムを用いた無線通信システムについて説明する。適応(アダプテーション)を使用する本発明の実施形態を図3に示す。図4及び図5を用いて,開ループMIMOのためのチャネル品質インジケータテーブルを生成するための本発明の実施形態を次に説明する。
[0022] 本発明の実施形態にしたがって,図1は,MIMOに基づく無線システムを用いた無線通信システムを示すブロック図である。バイナリデータストリーム2の形式の圧縮デジタルソースは,単純化された送信ブロック5に供給され,エラー制御符号化及び(おそらく一緒になって)複素変調シンボルにマッピングする機能を包含する。単純化された送信ブロック5は,いくつかの別個のシンボルストリームを生成し,そのストリームは独立したものから,部分的に冗長なもの又は完全に冗長なものに及ぶ。シンボルストリームの各々は,複数の送信機アンテナ12-1mの1つにマッピングされる。マッピングは,線形アンテナ時空間プリコーディング又はアンテナ素子の線形空間重み付けを含むことができる。周波数アップコンバージョン,フィルタリング及び増幅の後,送信信号6は,複数の送信機12-1mによって無線チャネルに送出される。受信機20で,信号はおそらく複数のアンテナによって捕捉される。例えば,一実施形態では,4つの送信機と2つの受信機とからなる4×2MIMOが使用される。
[0023] その後,受信機ユニット25において,メッセージを回復するために復調及びデマッピング動作が実行される。送信の適応と性質に依存して,符号化及びアンテナマッピングアルゴリズムを選択する際に使用されるインテリジェンス,複雑さ,及び先験的なチャネル知識のレベルは,リンク1の間に受信機ユニット25によって適合される。
[0024] 無線送信機10は,無線チャネル21を介して無線受信機20と通信する。一実施形態では,送信機10は“m”個の送信アンテナ12,14,16,...,及び1mを備え,そして,受信機20は“n”個の受信アンテナ22,24,26,...,及び2n を備える。他の実施形態では,任意の数の送信アンテナ及び任意の数の受信アンテナを,MIMOチャネルを形成するために使用する。無線リンク1は,閉ループ又は開ループMIMO技術のいずれかを利用する。送信機10は,チャネルのスループットを向上させる方法か,又はビット誤り率を最小化する方法か又は両方でチャネルに,送信信号6を動的に適合させる。例えば,送信信号6が,独立した1/4レートビット列に分解することによって,すべての4つの送信アンテナ12,14,16及び1mを通して,同時に送信される。チャネルへの送信機12,14,16及び1mの各々からの送信信号6が互いに異なる場合,チャネル容量が4倍に増加する。
[0025] 様々な実施形態において,受信機20は,送信信号6を発生する信号処理ブロック5による使用のため,チャネル関連のフィードバック情報を送信機10に送信する。受信機20は,例えば,送信機10から受信した基準情報を適切に処理することによってフィードバック情報を生成する。
[0026] 受信機20によって計算された瞬時チャネル品質条件のこのフィードバックは,チャネル品質インジケータ(CQI)と呼ばれる。CQI値は,例として,信号対雑音比(SNR),信号対干渉及びノイズ比(SINR),受信信号の電力,サポート可能なデータレート,サポート可能な変調及び/又は符号化レート,及びサポート可能なスループットを含む適切なチャネルパラメータに対応することができる。
[0027] 受信機20は,例えば,物理層シグナリングを介して,基地局などの送信機10にこのフィードバック情報(CQI)を送信する。CQI情報を,複数の受信機の間の送信スケジューリングを決定するために,適切な伝送方式(例えば,アクティブにする送信アンテナの数)を選択するために,帯域幅割当てを決定するために,拡散符号を選択するために,変調率と符号化率などを決定するために使用することができる。
[0028] 3GPP LTEにおけるCQI情報は,CQIメッセージの形で送信される。受信機20は,最初にチャネル品質,例えばSNR又はSINRを測定することによってCQIメッセージを生成する。受信機20は,標準化されたCQIテーブルにその後アクセスし,そのテーブルは範囲を有する一意のインデックスされたCQI値を備える。測定されたチャネル品質が低下する範囲は,対応するインデックス値を選択することによって識別される。選択されたインデックス値は,例えば,(20,5)ブロック符号化技術を使用して,チャネル品質情報ビットのシーケンスにマッピングされ,その符号化技術では,エラー保護のために5ビットが20ビットコードワードに符号化される。符号化されたチャネル品質情報ビットは,その後,物理チャネル上にマッピングされ,メッセージとして送信される。)

3 記載事項3
[0034] In various embodiments, instead of handling each MIMO mode separately in generating channel feedback information, an integrated feedback is selected. The integrated feedback is generated by selecting a CQI index from a CQI table comprising all MIMO modes
[0035] A schematic of the link adaptation process using a hybrid CQI table is illustrated in FIG. 3, in accordance with an embodiment of the present invention. FIG. 3a illustrates the wireless communication system comprising a transmitter and a receiver, whereas FIG. 3b illustrates the generation of CQI feedback within the receiver, in accordance with an embodiment of the invention. FIG. 3 illustrates an embodiment wherein user end (UE) procedures support link adaptation in 3GPP-LTE.
[0036] Referring to FIG. 3a, a base station (Node B) 110 communicates with user equipment or user unit receiver 120, which may be a mobile telephone, computer, laptop, hand held device, or other such device. As illustrated in FIG. 3, the Node B 110 sends reference information 101 to the user unit receiver 120. The user unit receiver 120 estimates the channel information through the reference information 101 sent by Node B 110. The user unit receiver 120 generates a feedback information 103, for example, by appropriately processing the received reference information 102 in combination with a channel quality indicator table. The feedback information 103 comprises a CQI index that defines transmission parameters such as modulation and coding scheme, rank.
[0037] After receiving the received reference information 102, the user unit receiver 120 calculates an average signal to interference and noise ratio (SINR) 130. The average signal to interference and noise ratio is calculated in open loop MIMO as a result of the invalidity of the instantaneous SINR due to, for example, fast channel ageing. The average SNR is computed based on the average of the channel gains across both time and frequency.
[0038] Subsequently as illustrated in FIG. 3b, the user unit receiver 120 uses this calculated average signal to interference and noise ratio (SINR) 130 along with the other information such as type of receiver, channel statistics, resource allocation etc, to select transmission parameters that maximize performance, for example, spectral efficiency, throughput. Using a table look (comparing to a CQI table stored in a memory region of the user end receiver 120), an appropriate CQI index is generated. A feedback information 103 comprising the CQI index is generated.
[0039] In various embodiments, the feedback information 103 is selected from a CQI table by matching the generated channel condition, e.g. SNR. For example, for a given range of SNR, a CQI index is selected from the CQI table. In various embodiments, the CQI table includes modulation and coding schemes best suited for transmission over the existing channel 21. Examples of modulation schemes include quaternary PSK (QPSK), 16-quadrature amplitude modulation (16QAM), 64-quadrature amplitude modulation (64QAM), binary phase shift keying (BPSK) etc. In some embodiments, the multiple CQI tables are generated based on, for example, the receiver type. Hence, different user end receivers may select different indices of the CQI table.
[0040] In various embodiments, the calculation of the signal to interference and noise ratio (SINR) 130, the CQI index, and the feedback information 103 are added as additional code or by modifying existing code, for example, by suitable modification of the firmware (software) of the user unit receiver 120. In one embodiment, the CQI table is stored in the receiver in a separate hardware, or as part of the other circuitry. In some embodiments, some or all of the functionality require separate hardware inside the user unit receiver 120.
[0041] FIG. 4 illustrates a method for generating a hybrid CQI index, in accordance with an embodiment of the invention. In FIG. 4, a channel characteristic, for example, average signal-to-noise ratio is plotted against an output characteristic. In one embodiment, the user end receiver selects to maximize the spectral efficiency. Hence, in one embodiment, the average signal-to-noise ratio is plotted against the spectral efficiency for all MIMO modes. In FIG. 4, curve 1 refers to a first MIMO mode and curve 2 refers to a second MIMO mode. Although not shown, in various embodiments if more MIMO modes are allowed in the wireless network protocol, more curves should be plotted in generating the hybrid table. As illustrated in FIG. 4, curve 2 performs better at low signal-to-noise ratio whereas curve 1 outperforms curve 1 at higher signal-to-noise ratio. However, instead of forming different CQI tables for each curve, a single “effective” table is generated that includes the optimum for both curves. Hence, the new table includes a curve that selects curve 1 at higher signal-to-noise ratio and curve 2 at lower signal-to-noise ratio. Further, in some embodiments, for the intermediate transition region, either one can be selected.
[0042] Table 1 illustrates a sample CQI table, e.g., obtained from following the embodiment described in FIG. 4, in accordance with an embodiment of the invention. As illustrated in Table 1, the sample CQI table lists entries for a CQI index, MIMO mode, modulation scheme and coding rate. The MCS indices 1, 4, 7, 9, 10, and 15 correspond to MCS values already defined in the closed loop CQI table. The MCS indices corresponding to 2, 3, 5, 6, 8, and 11-14 are added to the closed loop MIMO table. Thus, a hybrid table is generated from the closed loop CQI table. The hybrid table thus adapted minimizes data transfer from the user end unit to the receiver, even under open loop transmission. Hence, in various embodiments, the present invention leverages CQI tables that help to reduce transmission bandwidth even for open loop MIMO.
[0043] FIG. 5 illustrates a simulated spectral efficiency and 10% frame error rate (FER) signal-to-noise ratio validating the approach described with respect to FIG. 4, in accordance with an embodiment. Table II illustrates the simulation parameters used in generating FIG. 5. A Fast Fourier Transform (“FFT”) based module is used for the simulations. Although the closed loop CQI table is generated based on an additive white Gaussian noise (AWGN) channel, there is no additive white Gaussian noise (AWGN) channel in open loop MIMO transmission. Hence, a flat fading channel is used. The receiver or user end unit is assumed to be a Linear-Minimum-Mean-Square-Error (LMMSE). Further, being an open MIMO mode, only an average SNR is computed based on the average of the channel gains across both time and frequency. The spectral efficiency of the MIMO modes used in open loop transmission, rank-1 SFBC-FSTD and rank-2 WcDU, are simulated over a range of signal-to-noise ratios while using the closed mode CQI table. The relative performance of the two MIMO modes (rank-1 and rank-2 modes) at low SNR is examined by plotting the log of the spectral efficiency.
(当審訳
[0034] 様々な実施形態において,チャネルフィードバック情報を生成する際に各MIMOモードを別々に取り扱う代わりに,統合されたフィードバックを選択する。統合フィードバックは,すべてのMIMOモードを含むCQIテーブルからCQIインデックスを選択することによって生成される。
[0035] 本発明の実施形態に従って,ハイブリッドCQIテーブルを使用するリンク適応プロセスの概略を図3に示す。本発明の実施形態に従って,図3aは送信機及び受信機を含む無線通信システムを示し,一方,図3bは受信機内でのCQIフィードバックの生成を示す。図3は実施形態を示し,その実施形態では,ユーザエンド(UE)手順は,3GPP-LTEにおけるリンク適応(アダプテーション)をサポートする。
[0036] 図3aを参照すると,基地局(ノードB)110は,ユーザ機器又はユーザユニット受信機120と通信し,その受信機は,携帯電話,コンピュータ,ラップトップ,ハンドヘルドデバイス,又は他のそのようなデバイスにできる。図3に示すように,ノードB110は,参照情報101をユーザユニット受信機120に送信する。ユーザユニット受信機120は,ノードB110によって送信された参照情報101を介してチャネル情報を推定する。ユーザユニット受信部120は,例えば,受信した参照情報102をチャネル品質インジケータテーブルと組み合わせて適切に処理することによって,フィードバック情報103を生成する。フィードバック情報103は,CQIインデックスを含み,そのインデックスは,変調及び符号化方式,ランクなどの送信パラメータを定義する。
[0037] 受信した参照情報102を受信した後,ユーザユニット受信機120は平均信号対干渉雑音比(SINR)130を計算する。平均信号対干渉雑音比は,例えば,高速チャネルの劣化による瞬間的なSINRの無効の結果として,開ループMIMOで計算される。平均SNRは,時間と周波数の両方にわたるチャネル利得の平均に基づいて計算される。
[0038] 続いて,図3bに示すように,ユーザユニット受信機120は,性能,例えばスペクトル効率,スループットを最大にする伝送パラメータを選択するために,受信機のタイプ,チャネル統計,資源割り当てなどのような他の情報と一緒に,この計算された平均信号対干渉雑音比(SINR)130を使用する。テーブルルックを使用して(ユーザエンド受信機120のメモリ領域に記憶されたCQIテーブルと比較して),適切なCQIインデックスを生成する。CQIインデックスを含むフィードバック情報103を生成する。
[0039] 様々な実施形態において,生成されたチャネル条件,例えばSNRを照合することにより,フィードバック情報103を,CQIテーブルから選択する。例えば,与えられた範囲のSNRに対して,CQIテーブルからCQIインデックスを選択する。様々な実施形態において,既存のチャネル21を介した送信のため,CQIテーブルは,最も適した変調及び符号化方式を含む。変調方式の例は,4値PSK(QPSK),16値直交振幅変調(16QAM),64値直交振幅変調(64QAM),バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)などを含む。いくつかの実施形態では,例えば,受信機のタイプに基づいて,複数のCQIテーブルを生成する。したがって,異なるユーザエンド受信機は,CQIテーブルの異なるインデックスを選択することができる。
[0040] 様々な実施形態において,追加のコードとして,あるいは既存のコードを修正することにより,例えば,ユーザユニット受信機120のファームウェア(ソフトウェア)を適切に修正することによって,信号対干渉雑音比(SINR)130の計算結果,CQIインデックス,フィードバック情報103を追加する。一実施形態では,CQIテーブルが別個のハードウェアの受信機に,又は他の回路の一部として記憶される。いくつかの実施形態では,機能の一部又はすべてには,ユーザユニット受信機120の内部にある別個のハードウェアが必要である。
[0041] 本発明の実施形態に従って,図4は,ハイブリッドCQIインデックスを生成する方法を示す。図4において,チャネル特性,例えば平均信号対雑音比が出力特性に対してプロットされる。一実施形態では,ユーザエンド受信機は,スペクトル効率を最大にするように選択する。したがって,一実施形態では,すべてのMIMOモード用のスペクトル効率に対して,平均信号対雑音比をプロットする。図4において,曲線1は第1のMIMOモードを示し,曲線2は第2のMIMOモードを示す。図示していないが,様々な実施形態においてより多くのMIMOモードが無線ネットワークプロトコルで許可される場合,ハイブリッドテーブルを生成する際,より多くの曲線をプロットする必要がある。図4に示すように,曲線2は低い信号対雑音比で良好に機能し,一方,曲線1は高い信号対雑音比で曲線1より性能が優れている。しかしながら,各曲線に対して異なるCQIテーブルを形成する代わりに,両方の曲線に最適なものを含む,単一の「効果的な」テーブルを生成する。したがって,新しいテーブルは,高い信号対雑音比で曲線1を,低い信号対雑音比で曲線2を選択する曲線を含む。さらに,いくつかの実施形態では,中間の変化領域のため,いずれかを選択することができる。
[0042] 本発明の実施形態に従って,テーブル1は,例えば図4に記載された実施形態に基づいて得られた例示的CQIテーブルを示す。テーブル1に示すように,例示的CQIテーブルは,CQIインデックス,MIMOモード,変調方式,及び符号化率のための入力を記録する。MCS値に対応するMCSインデックス‘1,4,7,9,10及び15’は,閉ループCQIテーブルに既に定義されている。‘2,3,5,6,8,及び11?14’に対応するMCSインデックスは,閉ループMIMOテーブルに追加される。このように,ハイブリッドテーブルが閉ループCQIテーブルから生成される。オープンループ伝送であっても,このように適応したハイブリッドテーブルは,ユーザエンドユニットから受信機へのデータ転送を最小限に抑える。したがって,様々な実施形態において,本発明は,オープンループMIMOでも,伝送帯域幅を縮小するのに役立つCQIテーブルに影響を与える。
[0043] 実施形態に従って,図5は,図4に関して説明したアプローチを確認するシミュレートされたスペクトル効率及び10%フレーム誤り率(FER)信号対雑音比を示す。テーブルIIは,図5を生成する際,使用したシミュレーションパラメータを示す。高速フーリエ変換(「FFT」)ベースのモジュールを,シミュレーションに使用する。閉ループCQIテーブルは,付加的な白色ガウス雑音(AWGN)チャネルに基づいて生成されるが,開ループMIMO伝送には付加的な白色ガウス雑音(AWGN)チャネルは存在しない。したがって,フラットフェージングチャネルが使用される。受信機又はユーザエンドユニットを,線形最小平均二乗誤差(LMMSE)であると仮定する。さらに,オープンMIMOモードであり,時間と周波数の両方にわたるチャネル利得の平均に基づいて,ただ一つの平均SNRを計算する。閉モードのCQIテーブルを使用している間,開ループ送信,ランク1のSFBC-FSTD及びランク2のWcDUで使用されるMIMOモードのスペクトル効率を,ある範囲の信号対雑音比にわたってシミュレートする。低SNRにおける2つのMIMOモード(ランク1及びランク2モード)の相対的な性能を,スペクトル効率の対数をプロットすることによって検査する。)

4 図面記載事項
図3b(Figure 3b)として次の記載がある。

5 文献1記載発明
以上によれば,引用文献1には次の発明(以下「文献1記載発明」という。)が記載されているということができる。

ノードB(110)によって送信された参照情報(101)を介してチャネル情報を推定し,ユーザユニット受信機(120)は,受信した参照情報(102)をチャネル品質インジケータテーブルと組み合わせて適切に処理することによって,フィードバック情報(103)を生成し,フィードバック情報(103)は,CQIインデックスを含み,そのインデックスは,変調及び符号化方式,ランクなどの送信パラメータを定義するユーザユニット受信機(120)であって,
参照情報(102)を受信した後,ユーザユニット受信機(120)は平均信号対干渉雑音比(SINR)(130)を計算し,
ユーザユニット受信機(120)は,性能,例えばスペクトル効率,スループットを最大にする伝送パラメータを選択するために,受信機のタイプ,チャネル統計,資源割り当てなどのような他の情報と一緒に,この計算された平均信号対干渉雑音比(SINR)(130)を使用し,ユーザユニット受信機(120)のメモリ領域に記憶されたCQIテーブルと比較して,適切なCQIインデックスを生成し,CQIインデックスを含むフィードバック情報(103)を生成し,
生成されたチャネル条件,SNRを照合することにより,フィードバック情報(103)を,CQIテーブルから選択し,与えられた範囲のSNRに対して,CQIテーブルからCQIインデックスを選択し,
受信機のタイプに基づいて,複数のCQIテーブルを生成することで,異なるユーザエンド受信機は,CQIテーブルの異なるインデックスを選択することができる
ユーザユニット受信機(120)。

B 文献2記載発明について
原査定の理由で「引用文献2」として引用された「特表2009-510804号公報」(平成21年3月12日国内公表)には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

1 記載事項1
【0002】
本記載は一般的には無線通信に、そしてより特定的には無線通信システムにおけるチャンネル品質情報(CQI;channel quality information)のフィードバックに関する。
【背景技術】
【0003】
直交周波数分割多元接続(OFDMA;orthogonal frequency division multiple access)システムは、直交周波数分割多重(OFDM;orthogonal frequency division multiplexing)を利用する。OFDMは、全体のシステム帯域幅を多数の(N個の)直交周波数サブキャリアに分割する多数キャリア変調技術である。これらのサブキャリアはまた、トーン(tone)、ビン(bin)および、周波数チャネル(frequency channel)と呼ぶことができる。各サブキャリアはデータにより変調されることができるそれぞれのサブキャリアと関連する。Nまでの変調シンボルはN個の全サブキャリア上で各OFDMシンボル期間中に送信されることができる。これらの変調シンボルは、N時間領域(N time-domain)のチップまたはサンプルを含む変換されたシンボルを発生するために、N-ポイント(N-point)逆高速フーリア変換(IFFT;inverse fast Fourier transform)を用いて時間領域(time-domain)に変換される。
【0004】
周波数ホッピング通信システム(frequency hopping communication system)においては、データは異なった時間期間中、異なった周波数サブキャリア上で送信され、そしてそれは“ホップ期間(hop period)”として参照することができる。これらの周波数サブキャリアは、直交周波数分割多重、他のマルチキャリア変調技術、あるいは若干の他の構成によって提供することができる。周波数ホッピングを用いて、データ伝送はサブキャリアからサブキャリアへと擬似ランダム方法によってホップする。このホッピングは周波数ダイバーシティを与え、データ伝送が狭帯域干渉、ジャミング(jamming)、フェージィング(fading)等の有害な経路効果により耐えるデータ伝送を可能にする。
【0005】
チャンネル品質インジケータ(CQI;Channel Quality Indicator)のフィードバック、例えばMIMOシステム内のチャンネル情報は、一般的にSISOシステムに関するCQIフィードバックよりも一般的にさらにチャレンジ的である。SISOユーザに関して、CQIはアクセス端末(AT;access terminal)において専用の制御あるいはシグナリングチャンネル(FL-CTRL)またはデータチャンネル(FL-data)を通って送信されるパイロットを使用して計算される。CQIは、逆方向リンクシグナリングあるいは制御チャンネル(RL-CTRL)の専用のリソース(dedicated resource)を使用するフィードバックである。
【0006】
現在のCQIフィードバック方式は、量子化されたCQI値と、ATによってサポートされることが可能なパッケトホォーマット間の決定論的(deterministic)なマッピング方式を有するCQIテーブルを仮定する。しかしながら将来の無線システムは異なった能力(ラップトップ、低コストセル電話機、PC,PDA等)を有するATをサポートするであろう。このことは、広範囲のCQI量子化の可能性を与え、そして、その結果必要とされるフィードバックの複雑性を増加する。さらに次の世代の無線システムの展開はホットスポット(hot-spot)、部分的に負荷されたシステム、完全に負荷されたシステム等を変更することが可能である。さらに異なったアクセスポイントはSISOに関して構成されたものからMINO動作に変化するかもしれない。このシナリオの各々は一般的にCQI量子化の異なった推移を必要とし、そしてこのことはさらにCQIフィードバックの複雑性を増加する。
【0007】
このように、異なったシナリオをサポートする可能性を維持すると同時に異なったシナリオに対するCQIフィードバックを最適化するためのシステムおよび/あるいは方法論に関し技術的なニーズがある。

2 記載事項2
【0037】
図3によると、このテーブルは順方向リンク(FL;Forward Link)パケットフォーマットおよび順方向リンク物理フレーム(Forward Link Physical Frame)の数についてのCQIマッピング(CQI mapping)を示す。図3は4-ビットCQI値(CQI value)の使用および5-ビットCQI値の使用を示す。1つの観点において、4-ビットCQI値は単ー-入力-複数-出力(SIMO;Single-Input-Multiple-Output)に関して使用され、そして5-ビットCQI値は複数-入力-複数-出力(MIMO;Multiple-Input-Multiple-Output)について使用される。ATは順方向リンク(FL)のチャンネル質を測定し、そして信号対雑音比、例えば、E_(S)/N_(O)値を決定する。ATは続いて信号対雑音比を表すCQI値を量子化するためにルックアップ(lookup)を行う。ATはアクセスポイント(AP;Access Point)にCQI値を送信し、そしてAPはE_(S)/N_(O)を得るためにテーブルルックアップ(table lookup)を行う。今、ATはFLチャンネル品質を知り、そしてFLチャンネル品質に基づき、APはどのパケットフォーマットが次の送信またはいくつかの送信のために支持されているかを知る。
【0038】
ひとつの実施例において、APは10CQIテーブルを維持することができ、そしてATはAPとどのCQIテーブルを使用するかについて折衝することができる。例えば、4パケットフォーマッを支持するATの場合、2-ビットCQI値を使用することが最も効率的であるかもしれない。このシナリオでは、2-ビットCQI値を使用することのできるATにおいては符号化することそして復号化することの複雑さが低減され、そして逆方向リンク(RL;Reverse Link)の容量は増加する。1つの実施例において、RL制御チャンネル容量基準(RL control channel capacity metric)はRL容量を示すために使用することができる。また1つの実施例において、AP復号化複雑性基準(AP decode complexity metric)はAPについての符号化および復号化の複雑性を示すために使用されることができる。他方において、64パケットフォーマットを支持するATは、より高い解像度のCQI値、例えば6-ビットCQI値、を要求することができる。より高いパケットフォーマットは高いデータレートを支持し、そして時間周波数リソース(time frequency resource)のようなより小さいリソースを使用するユーザから利益を得る。

3 図面記載事項
図3として次の記載がある。

4 文献2記載発明
以上によれば,引用文献2には,次の発明(以下「文献2記載発明」という。)が記載されているといえる。

SIMOでは4-ビットCQI値を使用し,MIMOでは5-ビットCQI値を使用し,
アクセス端末は順方向リンクのチャンネル質を測定し、そして信号対雑音比を決定し,
アクセス端末は続いて信号対雑音比を表すCQI値を量子化するためにルックアップ(lookup)を行い,アクセス端末はアクセスポイントにCQI値を送信する
無線通信システムにおけるチャンネル品質情報(CQI)をフィードバックするアクセス端末。


第4 当審の判断

1 本願第1発明について
(1) 対比
本願第1発明と文献1記載発明を比較すると次のことがいえる。
ア 文献1記載発明における「ユーザユニット受信機(120)」,「ノードB」,「受信機のタイプ」は,本願第1発明における「ユーザ機器(UE)デバイス」,「基地局」,「受信器形式」にそれぞれ相当する。
また,文献1記載発明における「ユーザエンド受信機」が,「基地局(ノードB)」との通信のため,「アンテナ」を備えることは当然である。

イ 文献1記載発明における「CQIインデックス」が,「メモリ領域」つまり「メモリ」に記憶された「CQIテーブル」を基にし,「受信機のタイプ」を決定することにより生成されているということができる。
このことから,文献1記載発明における「受信機のタイプ」は,本願第1発明における「通信シナリオ」に含まれるものである。
そうしてみると,文献1記載発明は,本願発明と同様に,「UEの動作中にUEデバイスの現在の通信シナリオ」を「決定」する構成と,該「決定」が「UEの受信器形式を決定することを含む」構成とを有しているということができる。

ウ 文献1記載発明は,「受信機のタイプに基づいて,複数のCQIテーブルを生成することで,異なるユーザエンド受信機は,CQIテーブルの異なるインデックスを選択することができる」ものであるから,「受信機のタイプ」が「複数」あり,それぞれに「CQIインデックス」が対応していることは明らかである。
このことから,文献1記載発明においては,複数の「受信機のタイプ」とそれぞれに対応する「CQIインデックス」とのセットとして「CQIテーブル」が複数構成され,該複数の「CQIテーブル」が,文献1記載発明における「メモリ領域」つまり「メモリ」に記憶されているということができる。

エ ここで,引用文献1における図3bの記載(「CQI Table 1」・・・「CQI Table N」,「Receiver type」(「受信機のタイプ」)),及び引用文献1における記載(例えば[0038]参照。)によれば,文献1記載発明は,既に述べたとおり,「受信機のタイプ」を決定することにより「CQIインデックス」を生成するものであるところ,このことに加えて,「受信機のタイプ」の決定により複数の「CQIテーブル」から,「CQIインデックス」を生成するための「CQIテーブル」を選択することも,文献1記載発明は含んでいるということができる。

これらのことと,上記イに述べたことも併せてみると,文献1記載発明における「CQIテーブル」は,既に述べたとおり,「受信機のタイプ」とこれに対応する「CQIインデックス」のセットとして構成されるものであるから,該セットは,本願第1発明における「通信シナリオ情報のセット」に相当するということができ,更に,選択された「CQIテーブル」については,本願第1発明における「第1の通信シナリオ情報のセット」に相当するということができる。

オ そうすると,上記ウに述べたことを踏まえれば,文献1記載発明は,本願第1発明と同様に,「複数のUE通信シナリオのそれぞれのための複数の通信シナリオ情報のセットを記憶するメモリ」を有しているということができ,加えて,文献1記載発明は,「それぞれの通信シナリオ情報のセットが、それぞれの通信シナリオに関するチャネル品質インジケータを生成するために使用可能」である構成と,「記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが、UEの受信器形式に基づいている」構成とを有しているということができることは明らかである。
これらのことから,文献1記載発明は,本願第1発明と同様に,「UEデバイスの決定された現在の通信シナリオに基づいて複数の通信シナリオ情報のセットから第1の通信シナリオ情報のセットを選択し、選択された第1の通信シナリオ情報のセットに基づいて,少なくとも1つのチャネル品質インジケータを生成する」構成を有しているということができる。

カ 上記アからオに述べたことから,本願第1発明と文献1記載発明は,次の点で一致し,相違するということができる。

[一致点]
ユーザ機器(UE)デバイスであって,
基地局との無線通信を実行するためのアンテナと、
複数のUE通信シナリオのそれぞれのための複数の通信シナリオ情報のセットを記憶するメモリであって,それぞれの通信シナリオ情報のセットは,それぞれの通信シナリオに関するチャネル品質インジケータを生成するために使用可能であり,前記記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれが,前記UEの受信器形式に基づいている当該メモリと,
を備え,
前記UEの動作中に前記UEデバイスの現在の通信シナリオを決定することであって,前記決定が,前記UEの受信器形式を決定することを含み,
前記UEデバイスの前記決定された現在の通信シナリオに基づいて前記複数の通信シナリオ情報のセットから第1の通信シナリオ情報のセットを選択し,
前記選択された第1の通信シナリオ情報のセットに基づいて
少なくとも1つのチャネル品質インジケータを生成するように構成され,
前記チャネル品質インジケータを基地局へ伝送するように構成されるUEデバイス。

[相違点]
<1> 本願第1発明においては,「記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれ」が,「UEの受信器形式,前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式,及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量に基づいている」との特定があるのに対し,文献1記載発明においては,「記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれ」が,「UEの受信器形式」に基づくとの特定があるといえるが,加えて「基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式」及び「UEによって経験されているドップラーシフトの量」にも基づくとの特定がない点で相違する。(相違点1)
そして,この相違によって,
本願第1発明においては,「UEの動作中に前記UEデバイスの現在の通信シナリオ」の「決定」が,「UEの受信器形式,前記基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式,及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量を決定すること」を含むとの特定事項があるのに対し,文献1記載発明においては,「決定」が「UEの受信器形式」を決定することを含むとの特定があるといえるが,加えて「基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式,及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量」を決定することを含むとの特定がない点でも相違する。(相違点2)

<2> 本願第1発明においては,「少なくとも1つのチャネル品質インジケータを生成する」ように構成される「プロセッサ」を発明特定事項として備えているのに対し,文献1記載発明にはそのような「プロセッサ」を備えることの特定事項がない点。(相違点3)

(2) 検討
ア 相違点1について検討するに,本願第1発明のように,「記憶された複数の通信シナリオ情報のセットのそれぞれ」が,「UEの受信器形式,基地局によって用いられている多入力多出力(MIMO)方式,及び前記UEによって経験されているドップラーシフトの量に基づいている」ように構成することが,文献1記載発明を基に,当業者が容易に想到し得たとする理由を発見しない。
また,原査定の理由で引用された「米国特許出願公開第2011/0189997号明細書」(引用文献3)における記載をみても,引用文献3に記載された発明を,文献1記載発明に適用し,相違点1のように構成することを,当業者が容易に想到し得たということはできない。

(3) 本願第1発明と文献2記載発明について
文献2記載発明と本願第1発明とを比較した場合においても,上記相違点1が存在し,文献2記載発明を基に,当業者が,上記相違点1のように構成することを容易に想到し得たとする理由を発見しない。
また,引用文献3に記載された発明を,文献2記載発明に適用し,上記相違点1のように構成することを,当業者が容易に想到し得たということはできない。

(4) 本願第1発明についてのまとめ
したがって,他の相違について検討するまでもなく,本願第1発明を,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

2 本願第2発明及び本願第3発明について
本願第2発明及び本願第3発明は,本願第1発明を引用するものである。
そうすると,本願第2発明及び本願第3発明についても,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないことは明らかである。

3 本願第4発明について
本願第4発明と文献1記載発明についても,上記「本願第1発明について」で検討したのと同様の相違が有る。
そうすると,本願第4発明についても,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができないことは明らかである。

4 本願第5発明及び本願第6発明について
本願第5発明及び本願第6発明は,本願第4発明を引用するものである。
そうすると,本願第5発明及び本願第6発明についても,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができないことは明らかである。

5 本願第7発明について
本願第7発明と文献1記載発明についても,上記「本願第1発明について」で検討したのと同様の相違が有る。
そうすると,本願第7発明についても,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないことは明らかである。

6 本願第8発明及び本願第9発明について
本願第8発明及び本願第9発明は,本願第7発明を引用するものである。
そうすると,本願第8発明及び本願第9発明についても,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができないことは明らかである。

7 本願発明についてまとめ
以上から,本願発明を,文献1記載発明又は文献2記載発明,及び引用文献3に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,原査定の理由によって,本願を拒絶すべきものであるということはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由も発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-14 
出願番号 特願2014-558992(P2014-558992)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 廣川 浩  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 近藤 聡
川口 貴裕
発明の名称 現在の通信シナリオに基づくチャネル品質インジケータ(CQI)の適応的生成  
代理人 西島 孝喜  
代理人 越柴 絵里  
代理人 弟子丸 健  
代理人 大塚 文昭  
代理人 田中 伸一郎  

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