• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01G
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H01G
管理番号 1331004
審判番号 不服2016-15654  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-20 
確定日 2017-08-29 
事件の表示 特願2013-213499「積層セラミックキャパシタ及びその実装基板」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月29日出願公開、特開2015- 19037、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年10月11日(パリ条約に基づく優先権主張 平成25年7月9日 韓国(KR))の出願であって、平成27年1月21日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年5月19日付けで手続補正がなされ、同年12月9日付け拒絶理由通知に対する応答時、平成28年3月15日付けで手続補正がなされたが、同年6月15日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対して、同年10月20日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(平成28年6月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

・本願請求項1、7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・本願請求項2-6、8-10に係る発明は、以下の引用文献1-7に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.実願昭61-24921号(実開昭62-135426号)のマイクロフィルム
2.実願平3-50564号(実開平5-4451号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)(なお、下線を付した記載部分は、正しくは「CD-ROM」である。)
3.特開2000-235931号公報
4.特開2000-82636号公報
5.特開2011-139021号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2010-177370号公報
7.特開平11-251186号公報

第3 審判請求時の補正について

審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正は、
(a)請求項1、請求項6(補正前の請求項7)にそれぞれ記載された発明を特定するために必要な事項である、垂直部と上面及び下面水平部とを含む「第1及び第2端子フレーム」について、「前記上面水平部に前記第1及び第2外部電極とそれぞれ局部的に接触されるように下向突起が形成され、前記下面水平部に前記セラミック本体の下面とそれぞれ局部的に接触されるように上向突起が形成され」ている旨の限定を付加するとともに、垂直部が「前記セラミック本体並びに前記第1及び第2外部電極と離隔され」ている旨の限定を付加し、
(b)同じく請求項1、請求項6(補正前の請求項7)にそれぞれ記載された発明を特定するために必要な事項である、点状に形成されている「接着層」について、上面水平部の「下向突起」が接触される旨の限定を付加し、
(c)補正前の請求項2、8を削除するものである。
よって、当該補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、及び第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、上記(a)(b)の限定事項は、当初明細書等(例えば段落【0058】、図5)に記載された事項であり、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし8に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明

本願請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、平成28年10月20日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
複数の誘電体層を幅方向に積層して形成されたセラミック本体と、
このセラミック本体内において前記誘電体層を介して対向するように配置され、前記セラミック本体の上面を通じて露出するリード部をそれぞれ有する複数の第1及び第2内部電極と、
前記セラミック本体の上面に形成され、前記リード部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、
前記セラミック本体の端面に対向する垂直部及び上下面にそれぞれ対向する上面及び下面水平部を含み、前記上面水平部に前記第1及び第2外部電極とそれぞれ局部的に接触されるように下向突起が形成され、前記下面水平部に前記セラミック本体の下面とそれぞれ局部的に接触されるように上向突起が形成された第1及び第2端子フレームと、を含み、
前記第1及び第2端子フレームの前記上面水平部の下向突起は、前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続され、
前記上面水平部と前記第1及び第2外部電極との間には接着層がそれぞれ備えられ、
前記第1及び第2端子フレームは、前記上面水平部のみが実装反対面において前記第1及び第2外部電極と接続され、前記第1及び第2端子フレームの前記垂直部及び前記下面水平部は前記第1及び第2外部電極と接続されず、
前記第1及び第2端子フレームの垂直部は、前記セラミック本体並びに前記第1及び第2外部電極と離隔され、
前記接着層は、前記上面水平部の下向突起が接触されるように点状に形成されている、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1及び第2外部電極上に形成された第1及び第2めっき層をさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1及び第2めっき層は、
前記第1及び第2外部電極上に形成されたニッケル(Ni)めっき層と、
前記ニッケルめっき層上に形成されたすず(Sn)めっき層と、を含む、請求項2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第1及び第2端子フレームは、
前記垂直部と前記水平部とを連結する上下部のうち少なくともいずれか一部分に開放部が設けられる、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1及び第2端子フレームは、
前記垂直部が前記水平部の幅より狭い幅を有する、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
上部に第1及び第2電極パッドを有する回路基板と、
前記回路基板上に設置された少なくとも一つの積層セラミックキャパシタと、を含み、
前記積層セラミックキャパシタは、複数の誘電体層を幅方向に積層して形成されたセラミック本体と、このセラミック本体内において前記誘電体層を介して対向するように配置され、前記セラミック本体の上面を通じて露出するリード部をそれぞれ有する複数の第1及び第2内部電極と、前記セラミック本体の上面に形成され、前記リード部とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、前記セラミック本体の端面に対向する垂直部及び上下面にそれぞれ対向する上面及び下面水平部を含み、前記上面水平部に前記第1及び第2外部電極とそれぞれ局部的に接触されるように下向突起が形成され、前記下面水平部に前記セラミック本体の下面とそれぞれ局部的に接触されるように上向突起が形成された第1及び第2端子フレームと、を含み、前記第1及び第2端子フレームの前記上面水平部の下向突起は前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続され、前記上面水平部と前記第1及び第2外部電極との間には接着層をそれぞれ備え、前記下面水平部と前記第1及び第2電極パッドがはんだで連結され、前記第1及び第2端子フレームは、前記上面水平部のみが実装反対面において前記第1及び第2外部電極と接続され、前記第1及び第2端子フレームの前記垂直部及び前記下面水平部は前記第1及び第2外部電極と接続されず、前記第1及び第2端子フレームの垂直部は、前記セラミック本体並びに前記第1及び第2外部電極と離隔され、前記接着層は、前記上面水平部の下向突起が接触されるように点状に形成されている、積層セラミックキャパシタの実装基板。
【請求項7】
前記第1及び第2外部電極上に形成された第1及び第2めっき層をさらに含む、請求項5に記載の積層セラミックキャパシタの実装基板。
【請求項8】
前記第1及び第2めっき層は、
前記第1及び第2外部電極上に形成されたニッケルめっき層と、このニッケルめっき層上に形成されたすずめっき層と、を含む、請求項7に記載の積層セラミックキャパシタの実装基板。」

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、「積層セラミックコンデンサ」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「2.実用新案登録請求の範囲
複数の内部電極が層をなして内部に形成されたセラミックの積層体の外表面上の互いに異なる複数の位置に、それぞれ、外部電極が形成されてなる、コンデンサチップを備える、積層セラミックコンデンサにおいて、
前記外部電極に端子が接続され、当該端子の先端部は、当該積層セラミックコンデンサが実装されるべき実装面に対して平行またはほぼ平行に向けられたことを特徴とする、積層セラミックコンデンサ。」(1頁4?14行)

イ.「この考案に係る積層セラミックコンデンサを実装するときには、端子の先端部を所望の実装面上に置き、この端子の先端部と実装面との間ではんだ付けが達成される。」(5頁1?4行)

ウ.「第1図は、この考案の一実施例を斜視図で示したもので、第2図は、第1図の積層セラミックコンデンサ1を実装状態で示す正面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、セラミックの積層体2を備え、この積層体2の外表面上の互いに異なる複数の位置、すなわち、この実施例では、積層体2の各端部に、それぞれ外部電極3,4が形成されている。これら積層体2および外部電極3,4によって、コンデンサチップ5が構成される。なお、図示しないが、積層体2の内部には、複数の内部電極が層をなして形成されており、これらの内部電極は、外部電極3,4のいずれか一方に接続される。
上述した外部電極3,4には、この考案の特徴となる端子6,7がそれぞれはんだ付け等により接続される。・・・・それぞれの先端部は、コンデンサチップ5の下方に位置される。」(6頁11行?7頁11行)

エ.「なお、第2図に示した実装状態において、コンデンサチップ5と実装面9との間には、所定の隙間が形成されている。・・」(8頁2?4行)

オ.「以上述べた2つの実施例では、外部電極3,4の各々に対して、2つのストリップ状の端子6,7または11,12を接続していた。・・・・が、たとえば第5図に示すように、比較的幅の広い端子13,14をそれぞれ1つずつ用いてもよい。・・」(9頁4?10行)

・上記引用文献1に記載の「積層セラミックコンデンサ」は、上記「ア.」、「ウ.」「オ.」の記載事項、及び第1図、第2図、第5図によれば、複数の内部電極が層をなして内部に形成されたセラミックの積層体2の各端部に、それぞれ外部電極3,4が形成されてなるコンデンサチップ5を備える、積層セラミックコンデンサ1であって、前記外部電極3,4にそれぞれ端子6,7または13,14がはんだ付け等により接続された積層セラミックコンデンサである。
・上記「ウ.」の記載事項によれば、複数の内部電極は、外部電極3,4のいずれか一方に接続されてなるものである。
・上記「ア.」?「ウ.」の記載事項、及び第1図、第2図、第5図によれば、外部電極3,4にそれぞれ接続される端子6,7または13,14は、略逆コの字または略コの字の形状であり、積層体2の端面に対向する垂直部と、積層体2の上下面にそれぞれ対向し、当該積層セラミックコンデンサが実装されるべき実装面に対して平行またはほぼ平行に向けられた先端部を含む。そして、上記「エ.」の記載事項、及び第1図、第2図、第5図によれば、各垂直部と積層体12の上面に対向する各先端部は、外部電極3,4と接触しており、積層体12の下面に対向する各先端部は、外部電極3,4との間に隙間が形成され離隔している。

したがって、特に第5図に示されるものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「複数の内部電極が層をなして内部に形成されたセラミックの積層体の各端部に、それぞれ外部電極が形成されてなり、前記複数の内部電極が前記外部電極のいずれか一方に接続されてなるコンデンサチップを備える、積層セラミックコンデンサであって、
前記外部電極にそれぞれ端子がはんだ付けにより接続され、
一対の前記端子は、略逆コの字または略コの字の形状であり、それぞれ、前記積層体の端面に対向する垂直部と、前記積層体の上下面にそれぞれ対向し、当該積層セラミックコンデンサが実装されるべき実装面に対して平行またはほぼ平行に向けられた先端部とを含み、各垂直部と前記積層体の上面に対向する各先端部は、前記外部電極と接触しており、前記積層体の下面に対向する各先端部は、前記外部電極との間に隙間が形成され離隔している、積層セラミックコンデンサ。」

2.引用文献2について
同じく原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、「積層コンデンサ」について、図面とともに以下の記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【0022】
図7に示す積層コンデンサ31では、直方体状の誘電体チップ32内に、複数の内部電極33a?33jが誘電体層を介して重なり合うように配置されている。ここまでは、図1に示した積層コンデンサ21と同様である。異なる点は、複数の内部電極33a?33jのうち、内部電極33a,33c,33e,33g,33iが、図8(b)に内部電極33eを代表して示すように、誘電体チップ32の上面32aの側面32c側に偏らされた領域に引出されており、他方、内部電極33b,33d,33f,33h,33jが上面32aの他方の側面32d側の領域に引出されていることにあり、第1の外部電極34が内部電極33a,33c,33e,33g,33iに電気的に接続されるように、誘電体チップ32の上面32a上に形成されている。同様に、第2の外部電極35も、誘電体チップ32の上面32a上に形成されており、内部電極33b,33d,33f,33h,33jに電気的に接続されるように形成されている。」

したがって、図7?9に示されるものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、上記引用文献2には、次の技術事項が記載されている。
「直方体状の誘電体チップ内に、複数の内部電極が誘電体層を介して重なり合うように配置されている積層コンデンサにおいて、
前記複数の内部電極を前記誘電体チップの上面に引出し、これら複数の内部電極と接続される第1及び第2の外部電極を前記誘電体チップの上面上に形成したこと。」

3.引用文献3について
同じく原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、「積層セラミックコンデンサ」について、図面とともに以下の記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】 相対向する端部にそれぞれ外部電極が形成され、かつ前記外部電極の特定のものに電気的に接続されるように複数の内部電極が積層状に形成されている、チップ状のコンデンサ本体と、
前記外部電極に対して導電性接合材によって接合される、金属板からなる端子部材とを備え、
前記端子部材は、前記外部電極に対する前記導電性接合材による接合部分を前記外部電極の一部において実質的に線状に延びるようにするため、前記外部電極に向かって突出する突起を形成している、積層セラミックコンデンサ。」

イ.「【0049】図14は、この発明の第10の実施形態による積層セラミックコンデンサ1iを示す正面図である。図14において、図1に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】図14に示した積層セラミックコンデンサ1iは、図15に単独で示すような端子部材6iを備えている。図15は、端子部材6iの、外部電極2側に向く面を示している。端子部材6iは、実質的に線状に分布する複数の突起7を備えている。これら突起7は、たとえば、端子部材6iを成形するとき、プレスによって深絞りすることによって形成することができる。
【0051】この実施形態のように、実質的に線状に分布する複数の突起7を備えている場合にも、外部電極2に対する半田5による接合部分8を外部電極2の一部において実質的に線状に延びるようにすることができる。」

したがって、図14及び15に示されるものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、上記引用文献3には、次の技術事項が記載されている。
「相対向する端部にそれぞれ外部電極が形成され、かつ前記外部電極の特定のものに電気的に接続されるように複数の内部電極が積層状に形成されているチップ状のコンデンサ本体と、前記外部電極に対して導電性接合材(半田)によって接合される、金属板からなる端子部材とを備える積層セラミックコンデンサにおいて、
前記端子部材における、コンデンサ本体の端部と対向する面(垂直部)に、前記外部電極に対する前記導電性接合材(半田)による接合部分が前記外部電極の一部において実質的に線状に延びるようにするため、前記外部電極に向かって突出し、実質的に線状に分布する複数の突起を形成したこと。」

4.引用文献4について
同じく原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、「セラミック電子部品」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】 相対向する2つの端面および前記2つの端面間を連結する側面を有し、かつ各前記端面上に端子電極が形成された、チップ状のセラミック電子部品本体と、
金属板をもって構成され、かつその基部が各前記端子電極に接続されるとともに、前記基部から張り出す部分が、前記セラミック電子部品本体の前記側面に対向する方向へ前記基部に対して折り曲げられて配線基板への接続のための接続端子部を与える、端子部材とを備え、
前記接続端子部には、前記金属板を加工することによって形成されたものであって、前記セラミック電子部品本体の前記側面に向かって突出する凸部が設けられている、セラミック電子部品。
・・・・・(中 略)・・・・・
【請求項4】 前記凸部は、前記セラミック電子部品本体の前記側面に接触している、請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミック電子部品。」

イ.「【0026】端子部材19は、金属板をもって構成される。端子部材19は、その基部20において、たとえば半田または導電性接着剤のような導電性接合材21によって、各端子電極13に取り付けられている。導電性接合材21として半田が用いられる場合、端子部材19を取り付けるため、半田浸漬法や半田リフロー法等を採用することができる。
【0027】端子部材19の、基部20から張り出す部分は、下の電子部品本体12の下方に向く側面16に対向する方向へ基部20に対して折り曲げられて、配線基板(図示せず。)への接続のための接続端子部22を与えている。この接続端子部22には、端子部材19を構成する金属板をたとえばプレス金型等を用いて膨出加工することによって形成された凸部23が設けられている。これら凸部23は、下の電子部品本体12の下方に向く側面16に向かって突出している。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0029】また、図1に示すように、端子電極13は、電子部品本体12の側面14?17の一部にまで延びる側面延長部13aを有している。この実施形態では、凸部23は、端子電極13の側面延長部13aには接触せず、下の電子部品本体12の側面16に接触している。このように、凸部23が電子部品本体12の側面16に接触するようにされると、端子部材19と電子部品本体12との間での位置合わせを、より容易に、より確実に、かつ、ばらつきなく、行なうことができる。」

ウ.「【0052】たとえば、図示のセラミック電子部品11または11aは、2つの電子部品本体12を備えていたが、電子部品本体の数は任意に変更でき、3つ以上であっても、単に1つであってもよい。」

したがって、特に図1?3に示されるものに着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、上記引用文献4には、次の技術事項が記載されている。
「相対向する2つの端面および前記2つの端面間を連結する側面を有し、かつ各前記端面上に端子電極が形成されたチップ状のセラミック電子部品本体と、金属板をもって構成され、かつその基部(垂直部)が各前記端子電極に接続されたるとともに、前記基部(垂直部)から張り出す部分が、前記セラミック電子部品本体の前記側面のうちの下面に対向する方向へ前記基部(垂直部)に対して折り曲げられて配線基板への接続のための接続端子部(下面水平部)を与える端子部材とを備えた、セラミック電子部品において、
前記端子部材の接続端子部(下面水平部)に、前記セラミック電子部品本体の前記下面に向かって突出し、当該下面に接触する凸部を設けたこと。」

第6 対比・判断

1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「複数の内部電極が層をなして内部に形成されたセラミックの積層体の各端部に、それぞれ外部電極が形成されてなり、前記複数の内部電極が前記外部電極のいずれか一方に接続されてなるコンデンサチップを備える、積層セラミックコンデンサであって」によれば、
引用発明における、セラミックの「積層体」、複数の「内部電極」、積層体の各端部にそれぞれ形成されてなる「外部電極」は、それぞれ本願発明1でいう「セラミック体」、複数の「第1及び第2内部電極」、「第1及び第2外部電極」に相当し、
引用発明においても、セラミックの「積層体」が、複数の誘電体層を積層して形成されてなるものであることや、複数の「内部電極」は、外部電極との接続のため、積層体のいずれかの面を通じて露出する部分を有することは自明なことであるから、
本願発明1と引用発明とは、「複数の誘電体層を積層して形成されたセラミック本体と、このセラミック本体内において前記誘電体層を介して対向するように配置され、前記セラミック本体の所定の面を通じて露出する部分をそれぞれ有する複数の第1及び第2内部電極と、前記セラミック本体の所定の面に形成され、前記露出する部分とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と」を含むものである点で共通するといえる。
ただし、本願発明1では、複数の誘電体層が「幅方向」に積層され、複数の第1及び第2内部電極はそれぞれセラミック本体の「上」面を通じて露出する「リード部」を有し、当該「リード部」とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極がセラミック本体の「上」面に形成されてなる旨特定するのに対し、引用発明では、外部電極がセラミックの積層体の各端部(上面の一部を含む)に形成されているものの、複数の誘電体層がどの方向に積層され、複数の内部電極がどの面を通じてどのように露出するのかといった特定がない点で相違している。

イ.引用発明における「前記外部電極にそれぞれ端子がはんだ付けにより接続され、一対の前記端子は、略逆コの字または略コの字の形状であり、それぞれ、前記積層体の端面に対向する垂直部と、前記積層体の上下面にそれぞれ対向し、当該積層セラミックコンデンサが実装されるべき実装面に対して平行またはほぼ平行に向けられた先端部とを含み、各垂直部と前記積層体の上面に対向する各先端部は、前記外部電極と接触しており、前記積層体の下面に対向する各先端部は、前記外部電極との間に隙間が形成され離隔している」によれば、
引用発明における、外部電極にそれぞれ接続される「端子」は、本願発明1でいう「第1及び第2端子フレーム」に相当し、
また、引用発明の「端子」が含む「垂直部」、積層体の上面に対向し、実装面に対して平行またはほぼ平行に向けられた「先端部」、積層体の下面に対向し、実装面に対して平行またはほぼ平行に向けられた「先端部」が、それぞれ本願発明1でいう「垂直部」、「上面水平部」、「下面水平部」に対応するといえ、
さらに、引用発明における、外部電極と端子とをそれぞれ接続する「はんだ」は、本願発明1でいう「接着層」に相当するとみることができる。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「前記セラミック本体の端面に対向する垂直部及び上下面にそれぞれ対向する上面及び下面水平部を含む第1及び第2端子フレームと」を含み、「前記第1及び第2端子フレームの前記上面水平部は、前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続され、前記第1及び第2端子フレームの所定の部分と前記第1及び第2外部電極との間には接着層がそれぞれ備えられている」点で共通するということができる。
ただし、本願発明1では、「前記上面水平部に前記第1及び第2外部電極とそれぞれ局部的に接触(接続)されるように下向突起が形成され、前記下面水平部に前記セラミック本体の下面とそれぞれ局部的に接触されるように上向突起が形成され」、「前記上面水平部のみが実装反対面において前記第1及び第2外部電極と接続され、前記第1及び第2端子フレームの前記垂直部及び前記下面水平部は前記第1及び第2外部電極と接続されず、前記第1及び第2端子フレームの垂直部は、前記セラミック本体並びに前記第1及び第2外部電極と離隔され」てなる旨特定するのに対し、引用発明では、下向突起や上向突起は形成されておらず、セラミックの積層体の上面に対向する先端部のみでなく垂直部についても外部電極と接触(接続)している点で相違し、
さらに、接着層について、本願発明1では、これを備える第1及び第2端子フレームの所定の部分が「上面水平部」であり、「前記上面水平部の下向突起が接触されるように点状に形成されている」旨特定するのに対し、引用発明では、端子のどの部分と外部電極とがどのようにはんだ付けされるのか明確な特定がない点で相違している。

ウ.そして、引用発明における「積層セラミックコンデンサ」は、本願発明1における「積層セラミックキャパシタ」に相当するものである。

したがって、本願発明1と引用発明とは、
「複数の誘電体層を積層して形成されたセラミック本体と、
このセラミック本体内において前記誘電体層を介して対向するように配置され、前記セラミック本体の所定の面を通じて露出する部分をそれぞれ有する複数の第1及び第2内部電極と、
前記セラミック本体の所定の面に形成され、前記露出する部分とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、
前記セラミック本体の端面に対向する垂直部及び上下面にそれぞれ対向する上面及び下面水平部を含む第1及び第2端子フレームと、を含み、
前記第1及び第2端子フレームの前記上面水平部は、前記第1及び第2外部電極とそれぞれ接続され、
前記第1及び第2端子フレームの所定の部分と前記第1及び第2外部電極との間には接着層がそれぞれ備えられている、積層セラミックキャパシタ。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明1では、複数の誘電体層が「幅方向」に積層され、複数の第1及び第2内部電極はそれぞれセラミック本体の「上」面を通じて露出する「リード部」を有し、当該「リード部」とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極がセラミック本体の「上」面に形成されてなる旨特定するのに対し、引用発明では、外部電極がセラミックの積層体の各端部(上面の一部を含む)に形成されているものの、複数の誘電体層がどの方向に積層され、複数の内部電極がどの面を通じてどのように露出するのか特定がない点。

[相違点2]
第1及び第2端子フレームについて、本願発明1では、「前記上面水平部に前記第1及び第2外部電極とそれぞれ局部的に接触(接続)されるように下向突起が形成され、前記下面水平部に前記セラミック本体の下面とそれぞれ局部的に接触されるように上向突起が形成され」、「前記上面水平部のみが実装反対面において前記第1及び第2外部電極と接続され、前記第1及び第2端子フレームの前記垂直部及び前記下面水平部は前記第1及び第2外部電極と接続されず、前記第1及び第2端子フレームの垂直部は、前記セラミック本体並びに前記第1及び第2外部電極と離隔され」てなる旨特定するのに対し、引用発明では、下向突起や上向突起は形成されておらず、セラミックの積層体の上面に対向する先端部のみでなく垂直部についても外部電極と接触(接続)している点。

[相違点3]
接着層について、本願発明1では、これを備える第1及び第2端子フレームの所定の部分が「上面水平部」であり、「前記上面水平部の下向突起が接触されるように点状に形成されている」旨特定するのに対し、引用発明では、端子のどの部分と外部電極とがどのようにはんだ付けされるのか明確な特定がない点。

(2)相違点についての判断
まず、上記[相違点2]について検討する。
引用文献3には、端子部材におけるコンデンサ本体の端部と対向する面(垂直部)に、外部電極に向かって突出し、実質的に線状に分布する複数の突起を形成してなるものが記載(上記「第5 3.」を参照)され、引用文献4には、端子部材の接続端子部(下面水平部)に、セラミック電子部品本体の下面に向かって突出し、当該下面に接触する凸部を設けてなるものが記載(上記「第5 4.」を参照)されているが、このような突起や凸部を、本願発明1でいう「上面水平部」に形成することについては記載も示唆もない。また、引用発明の端子、引用文献3、4の端子部材のいずれにあっても、本願発明1でいう「下面水平部」は外部電極と接続されていないものの、本願発明1でいう「垂直部」は外部電極と接触しており、「上面水平部のみ」が外部電極と接続されるものでもない。なお、引用文献2(上記「第5 2.」を参照)には、そもそも外部電極に端子部材を接続することすら記載も示唆もない。
したがって、少なくとも本願発明1における、「前記上面水平部に前記第1及び第2外部電極とそれぞれ局部的に接触(接続)されるように下向突起が形成され」、「前記上面水平部のみが実装反対面において前記第1及び第2外部電極と接続され、前記第1及び第2端子フレームの前記垂直部及び前記下面水平部は前記第1及び第2外部電極と接続されず、前記第1及び第2端子フレームの垂直部は、前記セラミック本体並びに前記第1及び第2外部電極と離隔され」てなる発明特定事項(以下、「発明特定事項A」という。)については引用発明及び引用文献2?4に記載の技術事項から導き出すことはできない。

また、以上のことから、上記[相違点3]について、「接着層は、前記上面水平部の下向突起が接触されるように点状に形成されている」という発明特定事項(以下、「発明特定事項B」という。)についても、引用発明及び引用文献2?4に記載の技術事項から導き出すことはできない。

なお、これらの発明特定事項については、原査定の拒絶の理由に引用された他の文献(引用文献5?7)にも記載も示唆もされていない。

したがって、上記[相違点1]について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2、3について
請求項2、3は、請求項1に従属する請求項であり、請求項2、3に係る本願発明2、3も、本願発明1における上記発明特定事項A及びBを備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2、3は引用発明及び引用文献2?5に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3.本願発明4について
請求項4は、請求項1に従属する請求項であり、請求項4に係る本願発明4も、本願発明1における上記発明特定事項A及びBを備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明4は引用発明及び引用文献2?4、6に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

4.本願発明5について
請求項5は、請求項1に従属する請求項であり、請求項5に係る本願発明5も、本願発明1における上記発明特定事項A及びBを備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明5は引用発明及び引用文献2?4、7に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

5.本願発明6について
本願発明6は、「積層セラミックキャパシタの実装基板」に係る発明であり、「積層セラミックキャパシタ」に係る本願発明1における上記発明特定事項A及びBと同じ発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2?4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

6.本願発明7、8について
請求項7、8は、請求項6に従属する請求項であり、請求項7、8に係る本願発明7、8も、本願発明6における上記発明特定事項A及びBを備えるものであるから、本願発明6と同じ理由により、引用発明及び引用文献2?5に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第7 原査定について

上記「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」で検討したとおり、本願発明1ないし8は、拒絶査定において引用された上記引用文献1?7に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-15 
出願番号 特願2013-213499(P2013-213499)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01G)
P 1 8・ 575- WY (H01G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐久 聖子柴垣 俊男  
特許庁審判長 森川 幸俊
特許庁審判官 井上 信一
関谷 隆一
発明の名称 積層セラミックキャパシタ及びその実装基板  
代理人 加藤 公延  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ