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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1331019 |
審判番号 | 不服2016-14289 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-09-26 |
確定日 | 2017-08-09 |
事件の表示 | 特願2015- 73843号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月17日出願公開、特開2016-193012号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年3月31日に特許出願されたものであって、平成28年2月8日付けで拒絶理由通知がされ、これに対し平成28年4月12日付けで手続補正がなされたが、平成28年6月16日付け(発送日:6月24日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成28年9月26日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであり、請求項1の記載は補正前の、 「 【請求項1】 遊技盤の前面において作動する可動役物を備えた遊技機であって、 前記可動役物とともに移動する回路基板と、 フレキシブルフラットケーブルから成り、前記回路基板から延出する配線と、 前記配線が折れ曲がることを防止するために、前記回路基板における接続点の近傍で、平板状の弾性体を用いて、前記フレキシブルフラットケーブルの平面側を当該弾性体の弾性力で固定位置に押し付けて固定する固定手段と、 を備えたことを特徴とする遊技機。」から、 補正後の 「【請求項1】 遊技盤の前面において作動する可動役物を備えた遊技機であって、 前記可動役物とともに移動する回路基板と、 フレキシブルフラットケーブルから成り、前記回路基板から延出する配線と、 前記配線が折れ曲がることを防止するために、前記回路基板における接続点の近傍で、平板状の弾性体を用いて、前記フレキシブルフラットケーブルの平面側を当該弾性体の弾性力で固定位置に押し付けて固定する固定手段と、 を備え、前記フレキシブルフラットケーブルから成る配線は、前記固定手段の近傍から円弧を描くように湾曲可能とされていることを特徴とする遊技機。」 へ補正された(下線部は補正箇所を示すため当審で付与した。)。 2.補正の適否 本件補正により請求項1の記載は、「フレキシブルフラットケーブルから成」「る配線」について、「前記固定手段の近傍から円弧を描くように湾曲可能とされている」という構成を付加することで、限定している。 そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 そして、本件補正は、明細書の段落[0478]?[0480]、図74(b)等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A?Eについては、発明特定事項を分説するため当審で付与した。)。 「A 遊技盤の前面において作動する可動役物を備えた遊技機であって、 B 前記可動役物とともに移動する回路基板と、 C フレキシブルフラットケーブルから成り、前記回路基板から延出する配線と、 D 前記配線が折れ曲がることを防止するために、前記回路基板における接続点の近傍で、平板状の弾性体を用いて、前記フレキシブルフラットケーブルの平面側を当該弾性体の弾性力で固定位置に押し付けて固定する固定手段と、 E を備え、前記フレキシブルフラットケーブルから成る配線は、前記固定手段の近傍から円弧を描くように湾曲可能とされていることを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2009-207539号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 この発明は、遊技領域に配設した装飾部材に、上下方向に移動する可動体を備える可動演出装置を配設した遊技機に関するものである。」 (イ)「【0015】 前記遊技盤10は、その前面側に、略円形状に湾曲形成したレール11により前記遊技領域12が画成されて、該遊技領域12の上方位置に、遊技盤10の裏側に配設される図柄表示装置13が臨む大型の装飾部材(所謂センター役物)14が配設されている。この装飾部材14は、前記遊技領域12の左右幅方向の大部分を占める横長の枠状本体15に、所要の意匠を施した装飾部品や発光体等を配設して構成され、遊技盤10に開設した装着孔(図示せず)に枠状本体15を前側から挿入したもとでネジ止めされる。そして、前記枠状本体15の略中央位置に開設した開口部15aを介して、前記図柄表示装置13の表示部13aが遊技盤10の前側に臨むようになっている。 ・・・」 (ウ)「【0017】 前記可動演出装置23は、図3および図4に示すように、前記枠状本体15の上辺部20に位置決めされるケース体24と、ケース体24の前側に臨み、該ケース体24に回動自在に枢支された回動軸25を中心として上下方向へ揺動可能な前記可動体22と、該可動体22を動作させる駆動手段としてのモータ26とから基本的に構成される。そして、可動演出装置23は、前記ケース体24が第1収容部20aの後方に臨む状態で上辺部20に配設固定され、この状態で前記可動体22が第1収容部20a内に完全に収容された状態および一部が下方に突出した状態に移動可能になっている。」 (エ)「【0021】 前記可動体22は、図5に示す如く、前方に開放する箱状の容器30と、該容器30に収容された可動体用基板31と、該可動体用基板31の前側に位置して容器30の前部を覆う第2装飾板部材32とを備え、正面視において略矩形状に形成されている。可動体用基板31には、前方へ光を照射可能な第1発光手段としての可動体用LED33が複数実装されており、該可動体用LED33はパチンコ機の裏側に配設された図示しない発光制御手段からの制御信号に基づいて発光するよう構成される。第2装飾板部材32は、光透過性の材料から形成された複数(実施例では3枚)の板部材32a,32b,32cから構成され、可動体用LED33から照射された光が各板部材32a,32b,32cを透過して前方に照射されるようになっている。なお、各板部材32a,32b,32cとして、パチンコ機のモチーフに関連する文字や図形が描かれた部分のみを光透過性のある材料から形成し、可動体用LED33が発光した際に該当する文字や図形部分のみが明輝するよう構成してもよい。また、各板部材32a,32b,32cに、各種の光拡散処理を施し、可動体用LED33の発光時に光を拡散し得るようにすることが好適である。」 (オ)「【0032】 前記容器30の内側には、ケーブル46における可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍を該基板31との間で押さえる第1ケーブル押え49が配設され、ケーブル46が移動する際にコネクタ31aとの接続部に負荷が加わるのを該第1ケーブル押え49によって防止するよう構成される。また容器30の裏面には、後方に延出するケーブル46の上方に臨む位置に第2ケーブル押え53が配設され、第2ケーブル押え53は、ケーブル46の浮き上がりを防止するべく機能する。更に、前記ケース体24の裏面には、ケーブル46における第2基板44にコネクタ接続される端部近傍を該基板44との間で押える第3ケーブル押え54が配設され、ケーブル46が移動する際にコネクタ44aとの接続部に負荷が加わるのを該第3ケーブル押え54によって防止するよう構成される。」 (カ)「【0043】 前記可動体22の可動体用基板31に一端がコネクタ接続されたケーブル46は、前記軸収容部28の下側に臨む第1装飾板部材27およびケース体24の挿通口47a,48a,24aに挿通されて裏側に導出され、該ケーブル46の他端が、前記軸収容部28の上側に臨む第2基板44にコネクタ接続されている。すなわち、ケース体24の裏側において、基板42,44より後方に突出してる軸収容部28を跨いでケーブル46が引き回されるから、該ケーブル46に十分な遊びを持たせて配線することができる。従って、可動体22の上下動によってケーブル46が引張られて、可動体用基板31や第2基板44のコネクタ31a,44aから外れるのを防止し得る。また、ケース体24の挿通口24aから裏側に導出されたケーブル46は、前記第1基板42の切欠部42aおよび軸収容部28の溝28aで左右方向の移動が規制された状態で案内されるようになっている。すなわち、可動体22の上下動に伴ってケーブル46が長手方向に移動する際に、該ケーブル46が左右方向(幅方向)に移動するのは切欠部42aおよび溝28aで規制されるから、該ケーブル46が左右方向に移動して他の部材に引掛かることはなく、可動体22の円滑な移動が達成される。」 (キ)【図6】は、装飾部材を縦断した要部概略斜視図であり、可動体用基板31に設けたコネクタ31aに一端が接続されたケーブル46が開示されている。そして、ケーブル46は幅を有しているからフラットケーブルであることがわかる。 (ク)【図8】は、可動演出装置を縦断した概略側面図であり、可動体用基板31に設けたコネクタ31aに一端が接続されたケーブル46はケーブル押さえ49から略円弧状に湾曲していることが図示されている。 上記記載事項、図示内容から、以下の事項がいえる。 (a)上記(ア)には「遊技領域に配設した装飾部材に、上下方向に移動する可動体を備える可動演出装置を配設した遊技機」と記載され、また、上記(イ)には、「前記遊技盤10は、その前面側に?前記遊技領域12が画成され」と記載されている。 したがって、刊行物1には、遊技盤の前面側の遊技領域において上下方向に移動する可動体を備える(可動演出装置を配設した)遊技機が記載されているといえる。 (b)上記(エ)には、「前記可動体22は、図5に示す如く、前方に開放する箱状の容器30と、該容器30に収容された可動体用基板31と、該可動体用基板31の前側に位置して容器30の前部を覆う第2装飾板部材32とを備え、」と記載され、可動体22は可動体基板31を備えているから、ともに移動することは明らかである。 したがって、刊行物1には、可動体とともに移動する可動体基板31が記載されているといえる。 (c)上記(カ)には、「可動体用基板31に一端がコネクタ接続されたケーブル46」と記載され、また、上記(オ)には、「ケーブル46の浮き上がりを防止する」、上記(カ)の「十分な遊びを持たせて」との記載から、ケーブル46はフレキシブルであることは明らかである。そして、上記(キ)によれば、ケーブルはフラットケーブルである。 したがって、刊行物1には、フレキシブルフラットケーブルから成り、可動体用基板31に一端がコネクタ接続されたケーブル46(配線)が記載されているといえる。 (d)上記(オ)には、「ケーブル46における可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍を該基板31との間で押さえる第1ケーブル押え49が配設され、ケーブル46が移動する際にコネクタ31aとの接続部に負荷が加わるのを該第1ケーブル押え49によって防止するよう構成される。」と記載され、この第1ケーブル押え49はケーブルがフラットケーブルであることから、平板状の部材であることは明らかである。 したがって、刊行物1には、ケーブル46が移動する際にコネクタ31aとの接続部に負荷が加わるのを防止するため、可動体用基板31のコネクタ接続される端部近傍で、フレキシブルフラットケーブルを該基板31との間で押さえる平板状の第1ケーブル押え49が記載されているといえる。 (e)上記(c)より、フレキシブルフラットケーブルは、フレキシブルであるから湾曲可能であることは明らかである。そして、上記(オ)の「ケーブル46における可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍」からも湾曲可能であることは明らかである。 したがって、刊行物1には、フレキシブルフラットケーブルは、可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍から湾曲可能とされた遊技機が記載されているといえる。 以上、上記(ア)?(キ)の記載事項等及び上記(a)?(e)の認定事項を総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?eは発明の構成を分説するため当審で付与した。)。 「a 遊技盤の前面側の遊技領域において上下方向に移動する可動体を備える遊技機であって、 b 可動体とともに移動する可動体基板31と、 c フレキシブルフラットケーブルから成り、可動体用基板31に一端がコネクタ接続されたケーブル46と、 d ケーブル46が移動する際にコネクタ31aとの接続部に負荷が加わるのを防止するため、可動体用基板31のコネクタ接続される端部近傍で、フレキシブルフラットケーブルを該基板31との間で押さえる平板状の第1ケーブル押え49と、 e フレキシブルフラットケーブルは、可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍から湾曲可能とされた遊技機。 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(e)とし、本願補正発明、引用発明の分説に対応させている。 (a)引用発明の「上下方向に移動する可動体」は、本願補正発明の「作動する可動役物」に相当するから、引用発明の「遊技盤の前面側の遊技領域において上下方向に移動する可動体を備える遊技機」は、本願補正発明の「遊技盤の前面において作動する可動役物を備えた遊技機」に相当する。 (b)引用発明の「可動体基板31」は、本願補正発明の「回路基板」に相当するから、引用発明の「可動体とともに移動する可動体基板31」は、本願補正発明の「可動役物とともに移動する回路基板」に相当する。 (c)引用発明の「可動体用基板31に一端がコネクタ接続されたケーブル46」は、可動体用基板31から延出された配線ということができる。 したがって、引用発明の「フレキシブルフラットケーブルから成り、可動体用基板31に一端がコネクタ接続されたケーブル46」は、本願補正発明の「フレキシブルフラットケーブルから成り、前記回路基板から延出する配線」に相当する。 (d)引用発明の「ケーブル46が移動する際にコネクタ31aとの接続部に負荷が加わるのを防止する」ことは、過度の負荷は折れ曲がりにつながるから、「配線が折れ曲がることを防止する」ことと技術的に同等の意味を持つ。そして、引用発明の「可動体用基板31のコネクタ接続される端部近傍」は、本願補正発明の「回路基板における接続点の近傍」に相当する。また、引用発明の「第1ケーブル押え49」はケーブルを押さえて固定することは明らかであるから、本願補正発明の「固定位置に押し付けて固定する固定手段」に相当する。 したがって、引用発明の「ケーブル46が移動する際にコネクタ31aとの接続部に負荷が加わるのを防止するため、可動体用基板31のコネクタ接続される端部近傍で、フレキシブルフラットケーブルを該基板31との間で押さえる平板状の第1ケーブル押え49」と、本願補正発明の「前記配線が折れ曲がることを防止するために、前記回路基板における接続点の近傍で、平板状の弾性体を用いて、前記フレキシブルフラットケーブルの平面側を当該弾性体の弾性力で固定位置に押し付けて固定する固定手段」とは、 「前記配線が折れ曲がることを防止するために、前記回路基板における接続点の近傍で、平板状の部材を用いて、前記フレキシブルフラットケーブルの平面側を固定位置に押し付けて固定する固定手段」である点で共通する。 (e)引用発明の「フレキシブルフラットケーブルは、可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍」は、上記(d)における固定手段の近傍であることは明らかである。 したがって、引用発明の「フレキシブルフラットケーブルは、可動体用基板31にコネクタ接続される端部近傍から湾曲可能とされた」ことと、本願補正の「フレキシブルフラットケーブルから成る配線は、前記固定手段の近傍から円弧を描くように湾曲可能とされている」ことは、 「フレキシブルフラットケーブルから成る配線は、前記固定手段の近傍から湾曲可能とされている」ことにおいて共通する。 以上、(a)?(e)の対比より、両者は 「A 遊技盤の前面において作動する可動役物を備えた遊技機であって、 B 前記可動役物とともに移動する回路基板と、 C フレキシブルフラットケーブルから成り、前記回路基板から延出する配線と、 D’ 前記配線が折れ曲がることを防止するために、前記回路基板における接続点の近傍で、平板状の部材を用いて、前記フレキシブルフラットケーブルの平面側を固定位置に押し付けて固定する固定手段と、 E’ を備え、前記フレキシブルフラットケーブルから成る配線は、前記固定手段の近傍から湾曲可能とされている遊技機。」 である点で一致しており、次の点で相違する。 (相違点1) フレキシブルフラットケーブルの固定に関し、本願補正発明は、平板状の弾性体を用いて、弾性体の弾性力で固定しているが、引用発明は、平板状の第1ケーブル押え手段が弾性体であるとは特定されていない点。 (相違点2) 湾曲可能なフレキシブルフラットケーブルについて、本願補正発明は円弧を描くようにされているが、引用発明はそのような特定がない点。 (4)判断 まず、相違点1について検討する。 原査定の拒絶の理由に提示した特開平4-319465号公報には、キャリッジ9の外周面に接離する方向に弾性変形可能とされ、弾性力でキャリッジ9の外周との間にフラットケーブル6を挾持しているケーブル押え片10e、10f(段落0021、図5)が記載されている。また、同拒絶に理由に提示した特開昭60-164984号公報には、信号ケーブル7は弾性体9を介して、折込み部61と固定金具10と止めネジ11によって固定されている(2頁左上欄第16-18行目、第1図)ことが記載されている。 このように、フラットケーブルを構造体に固定する際に、平板状の弾性部材を用いて、フラットケーブルの平面側を固定することは、特定の技術分野に限らず広く知られた周知の技術である。 したがって、このような周知技術を引用発明のフラットケーブルの固定に用いることに何ら阻害要因はなく、引用発明に上記周知技術を適用して、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。 次に相違点2について検討する。 上記(2)(ク)に示したように、刊行物1には、可動体用基板31に設けたコネクタ31aに一端が接続されたケーブル46はケーブル押さえ49から略円弧状に湾曲していることが図示されている。 引用発明においては、フレキシブルフラットケーブルは湾曲可能とまでしか認定していないが、略円弧状に湾曲した例が刊行物1にある以上、円弧を描くように湾曲可能とすることは、引用発明、刊行物1の図示内容に基づいて当業者が容易に想到し得るものである。 また、仮に刊行物1において、略円弧状に湾曲しているという認定に無理があったとしても、そもそもケーブル46が湾曲する際に過度の負荷を生じさせないためには円弧状にすることが理想的であることは、例えば釣り竿等で広く知られている。 そして、ケーブル46の湾曲が、円弧を描くか否かは、可動体22と、ケーブル46の他端側のケース体24との位置関係及びケーブルの材質等に応じて決まるものであり、当業者が適宜設計できる事項である。 以上より、引用発明及び刊行物1の図示内容から、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書第5、6頁において、本願補正発明の効果を主張している。 しかしながら、上記(4)で検討したとおりであり、ケーブルに過度の負荷(応力)を生じさせないためには円弧状にすることが理想的であることは、広く知られていることであり、本願補正発明の効果は引用発明、刊行物1、周知技術からみて格別なものであるとはいえない。 (6)小括 よって、本願補正発明は引用発明、刊行物1、周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成28年4月12日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1.に補正前として記載されたとおりのものである。 1.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項、引用発明は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。 2.対比、判断 本願発明は本願補正発明の下線部で特定された「、前記フレキシブルフラットケーブルから成る配線は、前記固定手段の近傍から円弧を描くように湾曲可能とされている」という構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2に記載したとおり、引用発明、周知技術等に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明(引用発明と対比すると相違点は1のみ)も、同様に、引用発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項である請求項2について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-06-01 |
結審通知日 | 2017-06-05 |
審決日 | 2017-06-19 |
出願番号 | 特願2015-73843(P2015-73843) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 保、河本 明彦、小泉 早苗 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
本郷 徹 青木 洋平 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 越川 隆夫 |