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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61M 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61M |
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管理番号 | 1331055 |
審判番号 | 不服2016-11609 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-03 |
確定日 | 2017-08-08 |
事件の表示 | 特願2014-158783号「配置カテーテル」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月18日出願公開、特開2014-237023号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、2010年(平成22年)4月6日(パリ条約に基づく優先権主張 2009年4月10日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2012-504789号の一部を平成26年8月4日に新たな特許出願としたものであって、平成27年7月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月12日に意見書とともに手続補正書が提出され特許請求の範囲及び明細書について補正がなされたが、平成28年3月25日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。 これに対し、平成28年8月3日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、特許請求の範囲についてさらに補正がなされたものである。 第2 平成28年8月3日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成28年8月3日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容の概要 平成28年8月3日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成27年11月12日付けで補正された特許請求の範囲をさらに補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1に関する以下の補正を含んでいる。なお、下線部は補正箇所を示す。 (1)<補正前> 「【請求項1】 医療デバイスの配置のための配置カテーテルであって、該配置カテーテルは、 近位端および遠位端を備えたカテーテルシャフトであって、該カテーテルシャフトを通じて管腔が延びているカテーテルシャフトと、 医療デバイスを受けるように構成された前記カテーテルシャフトの遠位部分の内部の第1の空洞であって、前記医療デバイスがバルブである第1の空洞と、 前記カテーテルシャフト内の前記第1の空洞の遠位端に配設された硬質先端であって、該硬質先端は、そこに装填される前記医療デバイスの少なくとも一部分を収容することが可能な硬質先端と、 前記カテーテルシャフトの管腔を通じて延びた安定化ワイヤであって、該安定化ワイヤは該安定化ワイヤの遠位端に配置された第2の空洞を具備し、該第2の空洞は前記医療デバイスの少なくとも一部を受けるように構成されており、前記カテーテルシャフトは前記医療デバイスの配置の際に前記安定化ワイヤに対して後退する、安定化ワイヤと、 を具備していることを特徴とする配置カテーテル。」 (2)<補正後> 「【請求項1】 医療デバイスの配置のための配置カテーテルであって、該配置カテーテルは、 近位端および遠位端を備えたカテーテルシャフトであって、該カテーテルシャフトを通じて管腔が延びているカテーテルシャフトと、 医療デバイスを受けるように構成された前記カテーテルシャフトの遠位部分の内部の第1の空洞であって、前記医療デバイスがバルブである第1の空洞と、 前記カテーテルシャフト内の前記第1の空洞の遠位端に取り付けられた硬質先端であって、該硬質先端は、そこに装填される前記医療デバイスの少なくとも一部分を収容することが可能な硬質先端と、 前記カテーテルシャフトの管腔を通じて延びた安定化ワイヤであって、該安定化ワイヤは該安定化ワイヤの遠位端に配置された第2の空洞を具備し、該第2の空洞は前記医療デバイスの少なくとも一部を受けるように構成されており、前記カテーテルシャフトは前記医療デバイスの配置の際に前記安定化ワイヤに対して後退する、安定化ワイヤと、 を具備していることを特徴とする配置カテーテル。」 2 補正の適否 本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1の「第1の空洞の遠位端に配設された硬質先端」を「第1の空洞の遠位端に取り付けられた硬質先端」と補正しようとするものであって、特許請求の範囲の限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号)を目的とするものに該当する。そして、本件補正は、同法同条第3項及び第4項の規定に違反するものではない。 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件に適合するか否かについて検討する。 (1)補正発明 補正発明は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記1(2)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「配置カテーテル」であると認める。 (2)刊行物 (2-1)刊行物1 これに対して、原審の平成27年7月14日付け拒絶の理由に引用された、本件の優先日前に頒布された刊行物である特表2006-519665号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の発明が記載されていると認める。 ア 刊行物1に記載された事項 刊行物1には、「気管支内デバイスを送達するための装置、方法及びアセンブリ」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線部は当審で付したものである。 (ア)特許請求の範囲 「【請求項1】 気管支内デバイスを、拘束されていない径方向に拡張された保存形状から、径方向に圧縮された送達形状に圧縮して供給するための装着ツールであって、 前記気管支内デバイスを保存形状状態で運ぶように構成された互いに平行な側壁を備えた保存空洞と、 前記気管支内デバイスを送達形状状態で展開用カテーテルの内腔に装着するための送達部と、 前記保存空洞と前記送達部との間に連結された長手方向形状変化部であって、前記気管支内デバイスが前記保存空洞から前記送達部まで移動する際に、前記気管支内デバイスを前記保存形状から前記送達形状へと圧縮するように構成された形状変化部と、 前記気管支内デバイスを前記保存空洞から前記送達部まで押すように構成された押し付け部材と、 を備えていることを特徴とする装着ツール。 ・・・ 【請求項6】 前記気管支内デバイスが一方向バルブであって、呼気及び/又は流体が前記バルブを通過可能とされている際に、吸気の前記バルブの通過を阻止するために気道内に埋め込まれるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装着ツール。 ・・・ 【請求項32】 気道内に気管支内デバイスを送達するためのアセンブリであって、前記気管支内デバイスを送達形状状態で受容するように構成され、且つ、前記気管支内デバイスに関して相対的に展開用内腔の遠位端部を引き込むことによって前記気管支内デバイスを展開するために、気管内を下降されると共に前記気管支内デバイスを展開するための気道内の位置まで前進されるように構成された遠位端部を有する展開用内腔を備えている送達用カテーテルと、 前記展開用内腔の前記遠位端部と連結された請求項1から31のいずれか一項に記載の装着ツールと、拡張された保存形状状態にて前記装着ツール内で運ばれる気管支内デバイスと、 を備えていることを特徴とするアセンブリ。 【請求項33】 前記展開用内腔が、前記送達用カテーテル内に設けられている展開用カテーテルの一部であることを特徴とする請求項32に記載のアセンブリ。 ・・・ 【請求項35】 前記展開用内腔の中で運ばれると共に、前記展開用カテーテルの前記遠位端部を引き込んでいる際に、前記気道に関して相対的に静止位置で前記気管支内デバイスを安定化するように構成される安定化部材を備えていることを特徴とする請求項32から34のいずれか一項に記載のアセンブリ。 【請求項36】 前記展開用カテーテルと前記安定化部材とが、該安定化部材に関して相対的に前記展開用カテーテルを引き込むことによって、前記気管支内デバイスを前記展開用内腔から解除すべく長手方向に互いに相対的に移動するように構成されていることを特徴とする請求項32から35のいずれか一項に記載のアセンブリ。」 (イ)「【0031】 図2?図5は関連する図である。 図2は、本発明の一実施例による、送達用カテーテル110を備え、気道内へ気管支内デバイスを送達するためのアセンブリ100を示している。 このアセンブリ100は、送達用カテーテル110と、気管支デバイス供給(若しくは装着)ツール200とを備えている。 図3は、本発明の一実施例による、図2の送達用カテーテル110の横断面図を示すものである。 図4は、本発明の一実施例による、気管支内デバイスを受容可能な構成とした送達用カテーテル110の遠位部の縦断面図を示すものである。・・・」 (ウ)「【0032】 送達用カテーテル110は、展開用カテーテル120と、安定化部材150と、アクチュエータ180と、好適には歪み除去カテーテル170とを備えている。・・・」 (エ)「【0034】 展開用カテーテル120は、内腔172内で部分的に運ばれると共に気道内で操舵可能な構造とされた展開用内腔122を備えている。 展開用内腔122の遠位端部130は、送達形状状態で気管支内デバイスを受容する・・・」 (オ)「【0037】 次に図4を参照すると、送達用カテーテル110は、遠位端部130と遠位先端132とを有する展開用カテーテル120と、その遠位端部に気管支内デバイスの安定化シートを有する安定化部材150とを備えている。 また、送達用カテーテル110の遠位部分は、遠位先端132と安定化シート152との間で遠位シース134を形成している展開用内腔122の一部を含んでいる。・・・」 (カ)「【0038】 展開用内腔122は、比較的硬い及び/若しくは滑らかな表面を有する材料を含んでおり、これにより、アンカー若しくは気管支内デバイスの他の部材が、展開用内腔122と係合して展開の際に干渉することを防止している。 以下に記述するように、このような材料としては、医療用のカテーテルグレードのナイロン12とすることができる。 安定化シート152は、展開用カテーテル内腔の遠位端部内で受容された気管支内デバイスを安定化するように設けられている。」 (キ)「【0041】 安定化部材150は、中心「コア」周りにコイル状に巻かれ、テフロン(登録商標)コーティングされたステンレス鋼ワイヤから作製されており ・・・その遠位端部上に担持された安定化シート152を備えている。・・・安定化シート152は・・・その先端面には、気管支内デバイスの近位端部と接触するように設けられた凹部を備えている。」 (ク)「【0057】 ・・・図10は、本発明の実施例による、患者の気管28内に経口的に設けられた気管支鏡300と、この気管支鏡の作動管腔内に導入された送達用カテーテル110を示す図である。 図11は、本発明の実施例による、気管支鏡300の遠位端部310と、気管支内デバイス250を展開するために気道内の位置まで前進された展開用カテーテル120の遠位端部130の部分断面を示す図である。」 (ケ)「【0060】 図12?図14は、本発明の実施例による、気管支内デバイス250を展開するための気道内の位置まで前進された展開用カテーテル120の遠位端部130及びデバイス250の部分縦断面を示す図である。・・・」 イ 刊行物1発明 (コ)展開用カテーテル120は、技術常識に照らせば、遠位先端132のほかに近位先端を備えており、展開用カテーテル120を通じて内腔が延びているものであると認める。 (サ)展開用カテーテル120は遠位端部130を有する(上記記載事項(オ))とともに、展開用内腔122の遠位端部130は気管支内デバイス250を受容する(上記記載事項(エ))のであるから、展開用内腔122は、展開用カテーテル120の遠位端部130の内部に位置するということができる。 (シ)安定化部材150は、ステンレス鋼ワイヤから作製され(上記記載事項(キ))、図2ないし4に、展開用カテーテル120の内腔(又は展開用内腔122)に位置する点が図示されていることから、展開用カテーテル120の内腔を通じて延びたものであると認める。 (セ)気管支内デバイス250を展開する過程を図示した図11ないし14によれば、展開用カテーテル120は気管支内デバイス250の配置の際に安定化部材150に対して後退するものと認める。 そして、上記記載事項(ア)ないし(ケ)及び上記認定事項(コ)ないし(セ)を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえ補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認める。(以下「刊行物1発明」という。) 「気道内に気管支内デバイス250を送達するためのアセンブリ100の送達用カテーテル110であって、該送達用カテーテル110は、 近位先端および遠位先端132を備えた展開用カテーテル120であって、該展開用カテーテル120を通じて内腔が延びている展開用カテーテル120と、 気管支内デバイス250を受容するように構成された前記展開用カテーテル120の遠位端部130の内部の展開用内腔122であって、前記気管支内デバイス250が一方向バルブである展開用内腔122と、 前記展開用カテーテル120内の前記展開用内腔122が、比較的硬い及び滑らかな表面を有する材料を含んでおり、かつ、前記気管支内デバイス250を受容することが可能であり、 前記展開用カテーテル120の内腔を通じて延びた安定化部材150であって、該安定化部材150は、その遠位端部上に担持された安定化シート152を備え、該安定化シート152の先端面には、気管支内デバイス250の近位端部と接触するように設けられた凹部を具備し、前記展開用カテーテル120は前記気管支内デバイス250の配置の際に前記安定化部材150に対して後退する、安定化部材150と、 を具備している送達用カテーテル110。」 (2-2)刊行物2 また、本件の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-143314号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されていると認める。 ア 刊行物2に記載された事項 刊行物2には、「拡張カテーテル」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線部は当審で付したものである。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は拡張操作を目的とする手術に使用される拡張カテーテルに関するものである。」 (イ)「【0002】 【従来の技術】拡張カテーテルは主に狭窄、又は閉塞した体内通路に対して体内通路形成治療に用いられている。一般に拡張カテーテルは、内部に複数のルーメンを有するチューブ状のカテーテルシャフトと・・・を有する構造の物であり・・・ガイドワイヤーを通過させるための管状部材には摩擦抵抗を低く押さえるために低摩擦性、高摺動性であることが、それぞれ求められている。・・・」 (ウ)「【0025】 また、ガイドワイヤー通過用管状部材の内面については特に制限はなく、最低限のガイドワイヤーとの摺動性が確保できれば拡張体と溶着される部分と同じ材料、単層の管状部材であっても構わないが、一般にショア硬度、曲げ弾性率、融点が低い材料は摺動性に劣るため、内面は拡張体と溶着される部分と異なる、摺動性に優れた材料を配置する方が好ましく・・・本構造により、ガイドワイヤー通過用管状部材に対し溶着性とガイドワイヤーとの高摺動性を両立することが可能となる。その場合、拡張体と溶着される部分と最内面の間には該管状部材に好ましい機械的性質を与えるための材料層や、バインダー層が存在しても良く、それらの数、種類、厚さの比には特に制限はない。・・・最内面に接着性を有する材質を配置する・・・」 イ 刊行物2事項 上記記載事項(ア)ないし(ウ)、及び技術常識を踏まえると、刊行物2には以下の事項が記載されていると認める。(以下「刊行物2事項」という。) 「チューブ状のカテーテルシャフトたる、ガイドワイヤー通過用管状部材にガイドワイヤーとの高摺動性を与えるために、該管状部材の内面についての制限は特になく、該管状部材の内面の一態様として、ショア硬度の高い摺動性に優れた材料を接着して配置すること。」 (3)対比 補正発明と刊行物1発明とを対比すると以下のとおりである。 まず、刊行物1発明の「気管支内デバイス250」及び「一方向バルブ」はそれぞれ補正発明の「医療デバイス」及び「バルブ」に相当し、刊行物1発明の「気道内に気管支内デバイス250を送達するためのアセンブリ100の送達用カテーテル110」は、その目的、構成及び機能に照らせば、補正発明の「医療デバイスの配置のための配置カテーテル」に相当するといえる。 次に、それぞれの構成及び機能を踏まえれば、刊行物1発明の「展開用カテーテル120」は補正発明の「カテーテルシャフト」に相当し、以下同様に、「近位先端」は「近位端」に、「遠位先端132」は「遠位端」に、「内腔」は「管腔」に、「遠位端部130」は「遠位部分」に、「展開用内腔122」は「第1の空洞」に、「安定化部材150」は「安定化ワイヤ」に相当することも明らかである。 また、技術常識を踏まえれば、刊行物1発明の「気管支内デバイス250を受容するように構成された」は補正発明の「医療デバイスを受けるように構成された」に相当し、以下同様に、「前記気管支内デバイス250を受容することが可能であり」は「そこに装填される前記医療デバイスの少なくとも一部分を収容することが可能な」に相当することも明らかである。 さらに、刊行物1発明の「(安定化部材150)の遠位端部上に担持された安定化シート152」は、その先端面に「気管支内デバイス250の近位端部と接触するように設けられた凹部を具備」し、しかも、「展開用カテーテル内腔の遠位端部内で受容された気管支内デバイスを安定化する」(上記記載事項(カ))ものである。そうすると、刊行物1発明の「(安定化シート152の先端面にある)気管支内デバイス250の近位端部と接触するように設けられた凹部」は、補正発明の「安定化ワイヤの遠位端に配置された第2の空洞」であって「前記医療デバイスの少なくとも一部を受けるように構成され」たものに相当することも明らかである。 次に、刊行物1発明の「展開用内腔122が、比較的硬い及び滑らかな表面を有する材料を含んでおり」は、補正発明の「第1の空洞の遠位端に取り付けられた硬質先端」と“第1の空洞の遠位端にある硬質先端”である限りにおいて共通するということができる。 すなわち、刊行物1発明の「比較的硬い及び滑らかな表面を有する材料」について、気管支内デバイス250のアンカー等の部材が展開の際に展開用内腔122と干渉することを防止する点(上記記載事項(カ))に照らせば、当該材料が含まれる場所は、展開用内腔122のうち、展開の際にアンカー等が接触する可能性がある、遠位端部130側の部分(展開用カテーテル120の遠位端部130のうち内腔に対面する部分)であるといえる。 そうすると、当該材料が含まれる「遠位端部130側の部分」は、展開用内腔122の「硬質先端」であるということができる。 さらに、刊行物1発明の「硬質先端」は、展開用内腔122の構成及び機能からみて「気管支内デバイス250を受容することが可能」なものということができる。 そうすると、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。 <一致点> 「医療デバイスの配置のための配置カテーテルであって、該配置カテーテルは、 近位端および遠位端を備えたカテーテルシャフトであって、該カテーテルシャフトを通じて管腔が延びているカテーテルシャフトと、 医療デバイスを受けるように構成された前記カテーテルシャフトの遠位部分の内部の第1の空洞であって、前記医療デバイスがバルブである第1の空洞と、 前記カテーテルシャフト内の前記第1の空洞の遠位端にある硬質先端であって、該硬質先端は、そこに装填される前記医療デバイスの少なくとも一部分を収容することが可能な硬質先端と、 前記カテーテルシャフトの管腔を通じて延びた安定化ワイヤであって、該安定化ワイヤは該安定化ワイヤの遠位端に配置された第2の空洞を具備し、該第2の空洞は前記医療デバイスの少なくとも一部を受けるように構成されており、前記カテーテルシャフトは前記医療デバイスの配置の際に前記安定化ワイヤに対して後退する、安定化ワイヤと、 を具備している配置カテーテル。」 そして、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で相違している。 <相違点A> “第1の空洞の遠位端にある硬質先端”に関し、 補正発明は、第1の空洞の遠位端に取り付けられた硬質先端であるのに対し、 刊行物1発明は、比較的硬い及び滑らかな表面を有する材料が含まれる、展開用内腔122の遠位端部130側の部分である点。 (4)相違点の検討 一般に、カテーテルにおいて、管腔を通過するガイドワイヤーとの高摺動性を確保するため、その内面に摺動性に優れた高硬度材料の部材を接着して配置することは、刊行物2事項で例示されるとおり、従来周知の技術事項である。 そして、刊行物1発明における、比較的硬い及び滑らかな表面を有する材料が含まれる、展開用内腔122の遠位端部130側の部分は、上記のとおり、気管支内デバイス250のアンカー等の部材が展開の際に展開用内腔122と干渉することを防止するもの(上記記載事項(カ))であり、気管支内デバイス250の部材との摺動性を確保することを課題とする。 そうすると、刊行物1発明の当該部分に上記従来周知の技術事項を適用することは、当業者において十分に動機付けがあるといえる。 してみると、刊行物1発明に、上記従来周知の技術事項を適用して、展開用内腔122の遠位端部130側の部分に、摺動性に優れた高硬度材料の部材を接着して配置し、もって、相違点Aに係る補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到し得たものである。 (5)小括 したがって、補正発明は、刊行物1発明及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたところ、本件出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、平成27年11月12日付けの手続補正書により補正された上記第2の1(1)に示す特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの「配置カテーテル」であると認める。 2 刊行物 これに対して、原審の拒絶の理由に引用された刊行物は、上記第2の2(2)に示した刊行物1であり、その記載事項は上記第2の2(2)のとおりである。 3 対比・検討 本願発明は、上記第2の2で検討した補正発明の「第1の空洞の遠位端に取り付けられた硬質先端」を「第1の空洞の遠位端に配設された硬質先端」としたものである。 そうすると、本願発明と刊行物1発明とは、上記第2の2(2)に示した<一致点>で一致し、以下の点で一応相違している。 <相違点B> “第1の空洞の遠位端にある硬質先端”に関し、 本願発明は、第1の空洞の遠位端に配設された硬質先端であるのに対し、 刊行物1発明は、比較的硬い及び滑らかな表面を有する材料が含まれる、展開用内腔122の遠位端部130側の部分である点。 相違点Bについて検討するに、本願発明の「配設された」は、カテーテルシャフトとは別部材たる硬質先端を接着により取り付けた態様のほか、カテーテルシャフトの内面に硬質材料を層状に被覆した態様や、カテーテルシャフトの母材に硬質材料を混合・成形して硬質構造とした態様等が含まれる表現である。 そうすると、かかる相違点は形式的なものにすぎず、本願発明と刊行物1発明とは、実質的に、すべての点において一致するということができる。 したがって、本願発明は、刊行物1発明である。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないから、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-02-27 |
結審通知日 | 2017-03-06 |
審決日 | 2017-03-27 |
出願番号 | 特願2014-158783(P2014-158783) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A61M)
P 1 8・ 113- Z (A61M) P 1 8・ 575- Z (A61M) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 和田 将彦、藤田 和英 |
特許庁審判長 |
長屋 陽二郎 |
特許庁審判官 |
平瀬 知明 関谷 一夫 |
発明の名称 | 配置カテーテル |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 村山 靖彦 |