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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1331126
審判番号 不服2016-12333  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-16 
確定日 2017-08-10 
事件の表示 特願2013-138408「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月19日出願公開、特開2015- 9064〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成25年7月1日に特許出願されたものであって、平成27年6月25日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対して同年8月26日付けで手続補正書が提出され、これに対して同年10月13日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対して同年12月18日付けで手続補正書が提出されたが、平成28年5月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月16日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?2に係る発明は、平成27年12月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?2に係る発明であるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明と」いう。)は次の事項により特定されるものと認める。

「 【請求項1】
A 遊技者が選択動作を行うことを可能とする選択期間を生じさせる選択期間設定手段と、
B 受光部における受光結果に基づき遊技機前方に存在する監視範囲の状態情報を導出可能な情報導出手段と、
C 前記状態情報に基づき前記選択動作の態様を特定し、前記選択期間において特典発生態様となる選択動作が行われた後に特典が遊技者に付与されるようにするための付与手段と、
D 前記選択動作の態様に対応した画像データを予め記憶するデータ記憶手段と、
E 前記選択期間において確定した遊技者の選択動作の態様に対応した画像データを前記データ記憶手段から読み出すデータ読み出し手段と、
F 当該データ読み出し手段が読み出した画像データに対応した画像を表示手段に表示させる画像表示実行手段と、
G 前記特典発生態様となる前記選択動作の態様を遊技者に認識可能とさせる報知が、前記選択期間が終了する前に行われ得るようにする手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。」
(A?Gは、本願発明を分説するために当審で付与した。)

3 拒絶理由の概要
平成27年10月13日付けの拒絶理由の概要は次のとおりである。
(1)本願の請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)本願の請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1:特開2010-172418号公報

4 刊行物1に記載された発明

平成27年10月13日付けの拒絶理由で引用した特開2010-172418号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(ア)「【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

(イ)「【0045】
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、画像表示装置5の上部)には、パチンコ遊技機1の前方(前面側)における所定範囲(撮影範囲)を撮影するカメラ33が設けられている。カメラ33は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサといった固体撮像素子を用いて構成され、撮影対象物(単に「対象物」ともいう)からの入射光を電気信号に変換することなどにより、撮影画像データを生成する。なお、カメラ33は、撮影対象物にて反射した自然光が入射されるパッシブセンサ方式を用いたものであってもよいし、所定の発光部材(発信器)から出力される赤外線や紫外線あるいは可視光などを撮影対象物に照射し、その反射光が入射されるアクティブセンサ方式を用いたものであってもよい。また、カメラ33は、例えばエックス線を照射する場合のように、撮影対象物の一部又は全部を透過したものが入射されるものであってもよい。カメラ33は、単一の撮影装置として構成されたものであってもよいし、例えばパチンコ遊技機1の表面(前面)あるいは周辺における所定位置に配置された複数の撮影装置として構成されたものであってもよい。カメラ33に代えて、あるいは、カメラ33とともに、例えばUWB(Ultra-WideBand)パルスレーダといった、電磁波の送受信により対象物の表面形状等を観測できる装置を用いてもよい。さらに、赤外線や紫外線あるいは可視光などの電磁波を入射信号として検出するカメラ33に代えて、あるいは、こうしたカメラ33とともに、例えば超音波センサといった電磁波以外を入射信号として検出できる装置を用いてもよい。」

(ウ)「【0078】
パチンコ遊技機1における遊技の進行中などには、予め設けられた所定条件が成立したときに、カメラ33の撮影により生成された撮影画像データに基づく特別演出が実行されることがある。ここで、特別演出が実行されるための所定条件としては、例えばスーパーリーチA?スーパーリーチDといったスーパーリーチのリーチ演出が開始されたこと、大当り遊技状態において大当り中演出が開始されたこと、所定の予告演出が開始されたこと、大当り遊技状態の開始後に実行されたラウンド遊技の回数が所定回数に達したこと、電源投入後や大当り遊技状態の終了後に実行された特図ゲームの回数が所定回数に達したこと、再抽選演出や大当り中昇格演出もしくはエンディング昇格演出といった確変状態に制御するか否かの報知演出が開始されたこと、「擬似連」や「滑り」といった可変表示演出を実行する変動パターンに基づく飾り図柄の可変表示が開始されてからの経過時間が所定時間に達したこと、あるいは、これらの一部又は全部の場合など、パチンコ遊技機1における遊技の進行に関して予め設定可能なものであればよい。」

(エ)「【0081】
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11及び演出制御基板12といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板13なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。」

(オ)「【0165】
図13に示す表示制御部122(当審注:「122」は「121」の誤記と認められる。)には、画像処理プロセッサ141と、画像データメモリ142と、VRAM(Video RAM)143とが含まれている。画像処理プロセッサ141は、例えばVDP(Video Display Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)、GCL(Graphics Controller LSI)、あるいは、より一般的にDSP(Digital Signal Processor)と称されるマイクロプロセッサを用いて構成され、画像表示装置5の表示領域に各種画像を表示させるための高速描画機能や動画像デコード機能といった画像データ処理機能を有し、演出制御用マイクロコンピュータ120からの表示制御指令に従った画像データ処理を実行する。また、この実施の形態では、カメラ33から伝送された撮影画像データに基づいて、遊技者や可動式マーカといった検知対象物の動作態様を検知する画像データ処理の一部又は全部が、画像処理プロセッサ141により実行される。なお、検知対象物の動作態様を検知する画像データ処理は、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131と表示制御部121の画像処理プロセッサ141とが協働して実行されるものであってもよい。画像処理プロセッサ141は、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131とは独立して表示制御部121に設けられて演出制御用マイクロコンピュータ120に外付けされるものであってもよいし、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵されるものであってもよい。画像処理プロセッサ141が演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵される場合には、カメラ33からの撮影画像データを伝送する配線が、演出制御用マイクロコンピュータ120の入出力ポート136に接続されるようにすればよい。
【0166】
画像データメモリ142は、例えばフラッシュメモリなどの半導体メモリや磁気メモリ、光学メモリといった不揮発性の記録媒体を用いて構成され、画像表示装置5の表示領域に各種画像を表示するために使用される画像データを予め複数種類記憶する。例えば、画像データメモリ142が記憶する画像データには、画像表示装置5において可変表示される複数種類の飾り図柄などといった、複数種類の演出画像に対応した複数種類の画像データが含まれている。VRAM143は、画像処理プロセッサ141により作成される画像の表示用データなどを一時記憶するフレームバッファメモリである。VRAM143に記憶される表示用データは、例えばポイント、ライン、ポリゴンなどのベクトルデータ(ベクタデータ)等に基づいて画像処理プロセッサ141が作成したピクセルデータ(ラスタデータ)などであればよい。」

(カ)「【0231】
また、演出制御基板12の側では、予め設定された所定条件が成立したときに、特別演出となる演出動作を実行するために、例えば演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131と表示制御部121の画像処理プロセッサ141とが協働することなどにより、図27のフローチャートに示すような特別演出制御処理が実行される。一例として、特別演出制御処理の一部又は全部は、図26に示すステップS525の処理による演出動作制御の一部として実行されてもよい。加えて、図24に示すステップS164の大当り制御中演出処理やステップS165の小当り制御中演出処理、ステップS166のエンディング演出処理において、使用パターンに選択された当り時演出制御パターンなどに基づいて図26に示すステップS525と同様の演出動作制御が行われることがある。そこで、他の一例として、特別演出制御処理の一部又は全部は、こうした大当り制御中演出処理などにおける演出動作制御の一部として実行されてもよい。」

(キ)「【0248】
図29(B)に示す第2演出画像合成処理では、まず、ステップS671の処理と同様にして、演出動作状態に対応する演出画像データを画像データメモリ142から読み出す(ステップS681)。また、撮影画像データを用いて対象物の動作態様を検知した結果に基づき、その動作態様に対応する演出画像データを画像データメモリ142から読み出す(ステップS682)。そして、ステップS671とステップS672にて読み出された演出画像データに示される仮想画像どうしを合成する(ステップS683)。こうして生成された合成画像は、ステップS674の処理と同様にして、画像表示装置5の表示領域に表示される(ステップS675)。なお、ステップS681やステップS682にて読み出される演出画像データの一方又は双方は、予め撮影などにより作成された実写画像を示す画像データであってもよい。この場合には、撮影画像データに示される対象物の実写画像は演出画像の合成に使用されないが、画像データメモリ142から読み出された演出画像データに対応して、仮想画像と実写画像、あるいは、実写画像どうしを合成して、演出画像を生成することができる。」

(ク)「【0250】
ステップS613における演出動作制御が実行された後には、例えば演出制御プロセスタイマ値や特定演出パターンにおける演出動作状態の設定などに基づいて、特別演出を終了するタイミングとなったか否かが判定される(ステップS614)。このとき、特別演出を終了するタイミングであると判定されれば(ステップS614;Yes)、例えば画像表示装置5の表示領域において特別演出に対応した演出画像の表示を消去するための設定といった、特別演出を終了する設定が行われる(ステップS615)。また、ステップS615における終了設定により、カメラ33の撮影動作を停止させ、撮影画像データの生成が停止されるようにしてもよい。
【0251】
次に、特別演出となる演出動作を実行するための具体的な制御の一例について説明する。パチンコ遊技機1では、例えばスーパーリーチA?スーパーリーチDといったスーパーリーチのリーチ演出が開始されたことや、大当り遊技状態において大当り中演出が開始されたことなどにより、所定条件が成立したときに、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131が図27に示すステップS604の処理を実行することなどにより、特別演出となる演出動作が開始される。このときには、カメラ33による撮影が開始され、例えば図30にて鎖線で示されるような所定の撮影範囲に含まれる撮影対象物が撮影される。この撮影対象物には、例えばパチンコ遊技機1における遊技機用枠3の上皿に予め形成(塗装など)されたマーカ表示部34Aが含まれ、撮影画像におけるマーカ表示部34Aの所在位置に基づいて、他の撮影対象物における動作態様が検知されればよい。この制御例では、図30に示すような遊技者PPの左手LHが動作態様の検知対象物とされる。」

(ケ)「【0259】
図32は、特別演出となる演出動作の他の一例として、スーパーリーチBのリーチ演出における演出画像の表示動作などを示している。スーパーリーチBのリーチ演出が開始されると、例えば図32(A)に示すような演出画像が画像表示装置5の表示領域に表示される。図32(A)に示す演出画像には、例えば「じゃんけんバトル!」といった遊技者PPが達成すべき動作(じゃんけんに勝つこと)を報知するメッセージが含まれており、この報知内容に基づいて遊技者PPが左手LHを動作させることになる。図32(A)に示す演出画像には、スーパーリーチBの演出内容に対応して、じゃんけんを行う相手となる所定のキャラクタ画像CH2が含まれていればよい。ここで、図31(A)などに示したキャラクタ画像CH1の表示態様と同様に、所定の遊技価値を付与するか否かの決定結果に応じて、キャラクタ画像CH2の表示態様を異ならせてもよいし、その表示態様が異なる決定割合で複数種類のいずれかに決定されるようにしてもよい。
【0260】
その後、例えば図32(B1)に示すように画像表示装置5の表示領域に「じゃん・けん・!」といったメッセージを示す演出画像が表示されるとともに、キャラクタ画像CH2がじゃんけん動作を開始し、さらに、スピーカ8L、8Rから演出画像の変化に伴った音声が出力されることなどにより、じゃんけん動作の開始を報知する。この報知内容に基づいて、遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには、例えば図32(B2)に示すような左手LHの形状などに対応して、図32(B1)に示すような左手を示す演出画像VG2を表示させる。この演出画像VG2を表示させるときには、図27に示すステップS613の演出動作制御において、例えば図29(B)に示すような第2演出画像合成処理が実行されることにより、左手LHを検知対象物とする動作態様の検知結果に対応して、画像データメモリ142から読み出された演出画像データに示される仮想画像又は実写画像が合成されてもよい。あるいは、例えば図29(A)に示すような第1演出画像合成処理が実行されることにより、撮影画像データから切り出された左手LHの対象物画像を用いた実写画像が合成されてもよい。
【0261】
続いて、例えば図32(C1)に示すように画像表示装置5の表示領域に「ぽん!」といったメッセージを示す演出画像が表示されるとともに、キャラクタ画像CH2がじゃんけん動作を行い、さらに、スピーカ8L、8Rから演出画像の変化に伴った音声が出力されることなどにより、じゃんけん動作の実行タイミングを報知する。この報知内容に基づいて、遊技者PPがじゃんけん動作を行ったときには、例えば図32(C2)に示すような左手LHの形状変化などに対応して、図32(C1)に示すように左手を示す演出画像VG2の形状を変化させる。図32(C2)に示す例では、遊技者PPが左手LHの人差し指と中指を広げ、他の指を閉じることで、現在では一般的な「チョキ」の形状に変化させている。このような左手LHの形状変化に対応して、演出画像VG2の形状を図32(C1)に示すような「チョキ」の形状に変化させることで、じゃんけん動作の実行に応じた演出画像の表示が行われる。このときには、例えば遊技者PPが左手LHの親指と人差し指を広げ、他の指を閉じることで「チョキ」の形状に変化させた場合に対応して、演出画像VG2の形状も親指と人差し指を広げ、他の指を閉じた形状に変化させてもよい。そして、例えば動作検知パターンにおける設定などにより、左手LHの親指と人差し指を広げた場合でも、人差し指と中指を広げた場合と同様に、「チョキ」の形状に変化したことを検知すればよい。
・・・
【0263】
じゃんけん動作を実行する所定タイミングにて遊技者PPの左手LHにおける形状変化を適切に検知することができず、その形状が「グー」及び「チョキ」及び「パー」のいずれにも特定できなかった場合には、遊技者PPがじゃんけん動作に勝てなかったものとして、演出動作状態を遷移させるようにすればよい。また、所定タイミングよりも後に遊技者PPの左手LHにおける形状変化が検知された場合には、例えば「後出しだよ!」といったメッセージを報知するとともに、遊技者PPがじゃんけん動作に勝てなかったものとして、演出動作状態を遷移させるようにしてもよい。可変表示結果が「大当り」である場合には、遊技者PPが勝てるまで、じゃんけん動作を繰り返し実行するようにしてもよい。この場合、遊技者PPが勝てずに所定時間が経過して特別演出の終了タイミングとなったときには、じゃんけん動作を終了させてもよい。
【0264】
例えば図32(C1)に示すように遊技者PPがじゃんけん動作で勝ったような演出画像が表示された後、可変表示結果を「大当り」とする決定(事前決定)がなされている場合には、図32(D)に示すように「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアで同一となる「7」の数字を示す飾り図柄が停止表示されることなどにより、大当り組合せの確定飾り図柄が導出表示される。これに対して、可変表示結果を「ハズレ」とする決定がなされている場合には、遊技者PPがじゃんけん動作に勝っても、例えば「7」の数字を示す飾り図柄以外の演出画像が表示されることにより、「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアと「中」の飾り図柄表示エリアとで異なる確定飾り図柄が導出表示されてリーチ組合せ(ハズレ)となることが報知されればよい。」

(コ)「【0289】
以上説明したように、上記実施の形態におけるパチンコ遊技機1では、例えば遊技者PPの左手LHや可動式マーカ34Bといった、検知対象物をカメラ33により撮影して生成された撮影画像データに基づいて、図27に示すステップS610の処理などにより、検知対象物の動作態様が検知される。そして、例えば図25に示すステップS225における特図表示結果を「大当り」とするか否かの決定結果といった、所定の遊技価値を付与するか否かの決定結果と、動作態様の検知結果とに応じて、異なる演出画像が合成されて画像表示装置5の表示領域に表示させることにより、特別演出が実行される。これにより、例えば遊技者PPの左手LHによる操作といった、検知対象物の動作との関連性を直感的に理解できる演出内容を多様化して、遊技の興趣を向上させることができる。」

(サ)【図2】には、符号「12」で示された「演出制御基板」が「符号121」で示された「表示制御部」を含むことが図示されている。

(シ)【図27】には「S604」の「特別演出初期設定」の処理と、「S609」の「撮像画像データを解析」する処理と、「S610」の「対象物の動作態様を検知」する処理と、「S613」の「演出制御データに従った演出動作制御」の処理と、「特別演出終了?」で「YES」となるかが選択される「S614」の処理と、「S614」の処理の後に行われる「特別演出終了設定」を行う「S615」の処理とが行われるフローチャートが記載されている。

(ス)【図32】の(C1)には、「ぽん!」という文字とともに表示されるキャラクタの手の形状「パー」が図示されている。

上記記載事項(ア)?(ス)より、以下の事項が導かれる。

(セ)上記(カ)の段落【0231】には、「演出制御基板12の側では、予め設定された所定条件が成立したときに、特別演出となる演出動作を実行するために、例えば演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131と表示制御部121の画像処理プロセッサ141とが協働することなどにより、図27のフローチャートに示すような特別演出制御処理が実行される。」と記載されている。
よって、上記(カ)の段落【0231】の記載事項及び上記(シ)の記載事項により、図27には、演出制御基板12により実行される、特別演出となる演出動作を実行する特別演出制御処理である、「S609」の「撮像画像データを解析」する処理と、「S610」の「対象物の動作態様を検知」する処理と、「S613」の「演出制御データに従った演出動作制御」の処理と、「特別演出終了?」で「YES」となるかが選択される「S614」の処理と、「S614」の処理の後に行われる「S615」の「特別演出終了設定」の処理が示されているといえる。
よって、刊行物1には、演出制御基板12が、「S604」の「特別演出初期設定」の処理と、「S609」の「撮像画像データを解析」する処理と、「S610」の「対象物の動作態様を検知」する処理と、「S613」の「演出制御データに従った演出動作制御」の処理と、「特別演出終了?」で「YES」となるかが選択される「S614」の処理と、「S615」の「特別演出終了設定」の処理からなる特別演出の制御処理を行うことについて記載されているといえる。

(ソ)上記(ウ)の段落【0078】には、「パチンコ遊技機1における遊技の進行中などには、予め設けられた所定条件が成立したときに、カメラ33の撮影により生成された撮影画像データに基づく特別演出が実行されることがある。ここで、特別演出が実行されるための所定条件としては、・・・パチンコ遊技機1における遊技の進行に関して予め設定可能なものであればよい。」と記載され、上記(ク)の段落【0251】には、「ステップS604の処理を実行することなどにより、特別演出となる演出動作が開始される。このときには、カメラ33による撮影が開始され、・・・遊技者PPの左手LHが動作態様の検知対象物とされる。」と記載されている。
また、上記(ク)の段落【0250】には、「特別演出を終了するタイミングとなったか否かが判定される(ステップS614)。このとき、特別演出を終了するタイミングであると判定されれば(ステップS614;Yes)、例えば画像表示装置5の表示領域において特別演出に対応した演出画像の表示を消去するための設定といった、特別演出を終了する設定が行われる(ステップS615)。また、ステップS615における終了設定により、カメラ33の撮影動作を停止させ、撮影画像データの生成が停止されるようにしてもよい。」と記載されているから、上記(ク)の段落【0250】の記載事項によれば、「S614」で特別演出が終了するタイミングと判断されると「S615」でカメラ33の撮影が停止されるといえる。また、上記(シ)の記載事項により「S614」の処理の後に「S615」が行われるといえる。
また、上記(セ)の認定事項により、「S604」、「S614」、「S615」を含む特別演出の制御処理は演出制御基板12により実行されるから、上記(セ)の認定事項及び上記(ク)の段落【0250】?【0250】記載事項により撮影の開始及び停止は演出制御基板12により行われるといえる。
よって、上記(ウ)、(ク)、(シ)の記載事項及び上記(セ)の認定事項により、演出制御基板12は、カメラ33による遊技者PPの左手LHの撮影期間を、パチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて実行される撮影画像データに基づく特別演出が開始する(「S604」)と開始させ、特別演出の終了判定(「S614;Yes」)後に終了する(「S615」)といえる。
また、上記(ケ)の段落【0260】には「遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには」と記載され、上記(ケ)の段落【0263】には「じゃんけん動作を実行する所定タイミングにて遊技者PPの左手LHにおける形状変化を適切に検知することができず、その形状が「グー」及び「チョキ」及び「パー」のいずれにも特定できなかった場合には」と記載されているから、上記(ケ)の段落【0260】、【0263】により、遊技者PPは、左手LHの形状を「グー」、「チョキ」又は「パー」から選択するじゃんけん動作をするといえる。
よって、上記(ウ)、上記(ク)、上記(ケ)の段落【0260】、【0263】、上記(シ)の記載事項及び上記(セ)の認定事項により、演出制御基板12は、パチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて実行される撮影画像データに基づく特別演出が開始されると開始され、特別演出の終了判定後に終了する期間である、遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間を生じさせることは明らかである。
そして、上記(エ)の段落【0081】には、「パチンコ遊技機1には、・・・演出制御基板12といった、各種の制御基板が搭載されている。」と記載されている。
よって、上記(ウ)、上記(エ)、上記(ク)の段落【0250】?【0251】、上記(ケ)の段落【0260】、【0263】、上記(シ)の記載事項及び上記(セ)の認定事項により、パチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて実行される撮影画像データに基づく特別演出が開始されると開始され、特別演出の終了判定後に終了する期間である、遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間を生じさせる演出制御基板12を、パチンコ遊技機1が有する点について記載されているといえる。

(タ)上記(ア)の段落【0028】には、「パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。」と記載され、上記(イ)の段落【0045】には、「遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、画像表示装置5の上部)には、パチンコ遊技機1の前方(前面側)における所定範囲(撮影範囲)を撮影するカメラ33が設けられている。カメラ33は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサといった固体撮像素子を用いて構成され、撮影対象物(単に「対象物」ともいう)からの入射光を電気信号に変換することなどにより、撮影画像データを生成する。」と記載されている。
よって、上記(ア)?(イ)の記載事項により、刊行物1には、パチンコ遊技機1が、固体撮像素子に入射する入射光を変換した電気信号により、パチンコ遊技機1の前方に存在する撮影範囲の撮影画像データを生成するカメラ33を有する点が記載されているといえる。

(チ)上記(コ)の段落【0289】には、「パチンコ遊技機1では、例えば遊技者PPの左手LHや可動式マーカ34Bといった、検知対象物をカメラ33により撮影して生成された撮影画像データに基づいて、図27に示すステップS610の処理などにより、検知対象物の動作態様が検知される。」と記載され、上記(ケ)の段落【0260】には、「遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには、・・・左手LHを検知対象物とする動作態様」と記載されている、また、上記認定事項(セ)により、対象物の動作態様が検知されるステップS610の処理は、演出制御基板12が実行するものである。
したがって、上記(コ)、上記(ケ)の段落【0260】の記載事項及び上記認定事項(セ)により、演出制御基板12は、撮影画像データに基づいて遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様を検知するものであるといえる。
また、上記(ク)の段落【0251】には、「特別演出となる演出動作が開始される。このときには、カメラ33による撮影が開始され、・・・遊技者PPの左手LHが動作態様の検知対象物とされる。」と記載され、上記(ケ)の段落【0261】には「遊技者PPが・・・「チョキ」の形状に変化させている。このような左手LHの形状変化に対応して、演出画像VG2の形状を図32(C1)に示すような「チョキ」の形状に変化させることで、じゃんけん動作に応じた演出画像の表示が行われる。」と記載されている。よって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の段落【0261】の記載事項により、特別演出となる演出動作が開始されると遊技者PPのじゃんけん動作の撮影が開始され、遊技者PPがじゃんけん動作をしたときにはじゃんけん動作に応じた演出画像の表示が行われるといえる。
また、上記(ソ)の認定事項により、特別演出が開始されてから、少なくとも特別演出が終わるまでは遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間であることは明らかであるから、特別演出となる演出動作が開始されて遊技者PPのじゃんけん動作の撮影が開始され、遊技者PPがじゃんけん動作をし、じゃんけん動作に応じた演出画像の表示が行われるときは、じゃんけん動作を撮影する期間内であるといえる。
よって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の【0261】の記載事項及び上記(ソ)の認定事項より、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間におけるじゃんけん動作に応じた演出画像の表示が行われることは明らかである。
また、上記(ケ)の段落【0264】には「図32(C1)に示すように遊技者PPがじゃんけん動作で勝ったような演出画像が表示された後、・・・大当り組合せの確定飾り図柄が導出表示される。」と記載され、上記(コ)の段落【0289】には「特図表示結果を「大当り」とするか否かの決定結果といった、所定の遊技価値を付与するか否かの決定結果と、動作態様の検知結果とに応じて、異なる演出画像が合成されて画像表示装置5の表示領域に表示させる」と記載されている。
したがって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の段落【0261】、【0264】、上記(コ)の【0289】の記載事項、及び上記(ソ)の認定事項により、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間における、遊技者PPがキャラクタに対して遊技者PPが勝利するじゃんけん動作に応じた表示の後に「大当り」の付与を表示する、すなわち、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間において遊技者PPが勝利するじゃんけん動作が行われた後に「大当り」の付与を表示することは明らかである。
また、上記(ケ)の段落【0259】には、「図32は、特別演出となる演出動作の他の一例として、スーパーリーチBのリーチ演出における演出画像の表示動作などを示している。」と記載され、上記認定事項(セ)により特別演出の演出動作の制御処理は演出制御基板12により行われるといえるから、上記(ケ)の段落【0259】及び上記(セ)の認定事項により、演出画像の表示動作の制御処理は演出制御基板12により行われることは明らかである。
したがって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の段落【0259】?【0261】、【0264】、上記(コ)の段落【0289】の記載事項及び上記(セ)、(ソ)の認定事項により、刊行物1には、撮影画像データに基づいて遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様を検知し、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間において遊技者PPが勝利するじゃんけん動作が行われた後、「大当り」の付与を表示する手段(演出制御基板12)について記載されているといえる。

(ツ)上記(オ)の段落【0166】には、「画像データメモリ142は、・・・、画像表示装置5の表示領域に各種画像を表示するために使用される画像データを予め複数種類記憶する。」と記載され、上記(ケ)の段落【0260】には、「遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには、例えば図32(B2)に示すような左手LHの形状などに対応して、図32(B1)に示すような左手を示す演出画像VG2を表示させる。この演出画像VG2を表示させるときには、図27に示すステップS613の演出動作制御において、例えば図29(B)に示すような第2演出画像合成処理が実行されることにより、左手LHを検知対象物とする動作態様の検知結果に対応して、画像データメモリ142から読み出された演出画像データに示される仮想画像又は実写画像が合成されてもよい。」と記載されている。そして、上記(オ)の段落【0166】に記載された「予め複数種類記憶」された「画像データ」には、上記(ケ)の段落【0260】に記載の「演出画像データ」が含まれていることは明らかである。
よって、上記(オ)の段落【0166】、上記(ケ)の【0260】の記載事項により、画像データメモリ142は遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応した演出画像データを予め記憶することは明らかである。
また、上記(オ)の段落【0165】には「図13に示す表示制御部122には、画像処理プロセッサ141と、画像データメモリ142と、VRAM(Video RAM)143とが含まれている。」と記載され(当審注:「122」は「121」の誤記と認められる)、上記記載事項(サ)により、演出制御基板12は表示制御部121を含むといえる。また、上記(エ)の段落【0081】には、「パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11及び演出制御基板12といった、各種の制御基板が搭載されている。と記載されている。よって、上記(エ)、上記(オ)の段落【0165】及び上記(サ)の記載事項により、パチンコ遊技機1が、画像データメモリ142を含む表示制御部を含む演出制御基板12を搭載すること、すなわち、パチンコ遊技機1は画像データメモリ142を有することは明らかである。
よって、上記(ウ)、上記(オ)、上記(エ)、上記(ケ)の段落【0260】及び上記(サ)の記載事項により、刊行物1には、パチンコ遊技機1が遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応した演出画像データを予め記憶する画像データメモリ142を有する点が記載されているといえる。

(テ)上記(ク)の段落【0251】には、「特別演出となる演出動作が開始される。このときには、カメラ33による撮影が開始され、・・・遊技者PPの左手LHが動作態様の検知対象物とされる。」と記載され、上記(ケ)の段落【0260】には遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには、例えば図32(B2)に示すような左手LHの形状などに対応して、図32(B1)に示すような左手を示す演出画像VG2を表示させる。この演出画像VG2を表示させるときには、図27に示すステップS613の演出動作制御において、例えば図29(B)に示すような第2演出画像合成処理が実行されることにより、左手LHを検知対象物とする動作態様の検知結果に対応して、画像データメモリ142から読み出された演出画像データに示される仮想画像又は実写画像が合成されてもよい。」と記載されている。よって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の段落【0260】の記載事項により、特別演出となる演出動作が開始されて遊技者PPがじゃんけん動作の撮影が開始されると、遊技者PPがじゃんけん動作の動作態様の検知結果に対応して、画像データメモリ142から演出画像データが読み出されるといえる。
また、上記(ソ)の認定事項により、特別演出が開始されてから、少なくとも特別演出が終わるまでは遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間であるといえる。
よって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の段落【0260】の記載事項及び上記(ソ)の認定事項により、特別演出となる演出動作が開始されて遊技者PPがじゃんけん動作の撮影が開始され、遊技者PPがじゃんけん動作の動作態様の検知結果が得られるのは、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間中であるといえる。
また、上記(セ)の認定事項により、上記(ケ)の段落【0260】に記載の「演出画像データ」を「読み出」すステップS613の演出動作制御は演出制御基板12により行われるといえる。
よって、上記(ク)の段落【0251】、上記(ケ)の段落【0260】の記載事項及び上記(セ)、(ソ)の認定事項により、刊行物1には、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間中に検知された遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応する演出画像データを画像データメモリ142から読み出す手段(演出制御基板12)について記載されているといえる。

(ト)上記(ケ)の段落【0259】には、「図32は、特別演出となる演出動作の他の一例として、スーパーリーチBのリーチ演出における演出画像の表示動作などを示している。」と記載され、上記(キ)の段落【0248】には、「画像データメモリ142から読み出された演出画像データに対応して、仮想画像と実写画像、あるいは、実写画像どうしを合成して、演出画像を生成することができる。」と記載され、上記(ケ)の段落【0261】には、「図32(C1)に示すように画像表示装置5の表示領域に・・・演出画像が表示される」と記載されている。
そして、上記認定事項(セ)により特別演出の制御処理は演出制御基板12が実行するから、上記(ケ)の段落【0259】に記載の特別演出の演出画像の表示動作の制御処理は、演出制御基板12が実行するものである。
したがって、上記(キ)、上記(ケ)の段落【0259】、【0261】の記載事項及び上記認定事項(セ)により、刊行物1には画像データメモリ142から読み出された演出画像データに対応する演出画像を画像表示装置5に表示させる手段(演出制御基板12)について記載されているといえる。

(ナ)上記(ケ)の段落【0259】には、「図32は、特別演出となる演出動作の他の一例として、スーパーリーチBのリーチ演出における演出画像の表示動作などを示している。」と記載され、上記(ケ)の段落【0261】には、「図32(C1)に示すように画像表示装置5の表示領域に「ぽん!」といったメッセージを示す演出画像が表示されるとともに、キャラクタ画像CH2がじゃんけん動作を行い、さらに、スピーカ8L、8Rから演出画像の変化に伴った音声が出力されることなどにより、じゃんけん動作の実行タイミングを報知する。」と記載され、上記(ス)の記載事項により「ぽん!」という文字とともにキャラクタの手の形状が表示されるといえる。また、上記(セ)の認定事項により、特別演出の制御処理は演出制御基板12が実行するから、上記(ケ)の段落【0259】に記載の特別演出の演出画像の表示動作の制御処理は、演出制御基板12により行われるといえる。
よって、上記(ケ)の段落【0259】、【0261】、上記(ス)の記載事項及び上記(セ)の認定事項により、演出制御基板12は、特別演出でのじゃんけん動作の実行タイミングで、キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上で表示がなされるように制御処理を行う手段であることは明らかである。
また、上記(ク)の段落【0250】には、「特別演出を終了するタイミングとなったか否かが判定される(ステップS614)。このとき、特別演出を終了するタイミングであると判定されれば(ステップS614;Yes)、例えば画像表示装置5の表示領域において特別演出に対応した演出画像の表示を消去するための設定といった、特別演出を終了する設定が行われる(ステップS615)。また、ステップS615における終了設定により、カメラ33の撮影動作を停止させ、撮影画像データの生成が停止されるようにしてもよい。」と記載され、上記(ク)の段落【0251】には、「カメラ33による撮影が開始され、・・・遊技者PPの左手LHが動作態様の検知対象物とされる。」と記載され、上記(ケ)の段落【0260】には「遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには」と記載され、上記(シ)の記載事項により「S614」の処理の後に「S615」の処理が行われるといえる。よって、上記(ク)の段落【0250】?【0251】、上記(ケ)の段落【0260】、上記(シ)の記載事項により、特別演出の終了判定(「S614;Yes」)は、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間が終了する(「S615」)前であることが明らかである。
したがって、上記(ク)の段落【0250】?【0251】、上記(ケ)の段落【0259】?【0261】、上記(シ)?(ス)の記載事項及び上記(セ)の認定事項により、特別演出でのじゃんけん動作の実行タイミングで、演出制御基板12が、キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上で表示がなされるようにする制御処理を行うのは、特別演出中であり、特別演出の終了判定(「S614;Yes」)前である以上、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間が終了する(「S615」)前であることが明らかである。
そして、上記(ソ)の認定事項により演出制御基板12はパチンコ遊技機1が備えるものである。
したがって、上記(ク)の段落【0250】?【0251】、上記(ケ)の段落【0259】?【0261】、上記(シ)?(ス)の記載事項及び上記(セ)?(ソ)の認定事項により、刊行物1には、キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上の表示が、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間が終了する前になされるようにする手段(演出制御基板12)を備えるパチンコ遊技機1について記載されているといえる。

上記(ア)?(ス)の記載事項及び(セ)?(ナ)の認定事項から、刊行物1には、以下の発明(「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「a パチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて実行される撮影画像データに基づく特別演出が開始されると開始され、特別演出の終了判定後に終了する期間である、遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間を生じさせる演出制御基板12と(上記認定事項(ソ))、

b 固体撮像素子に入射する入射光を変換した電気信号により、パチンコ遊技機1の前方に存在する撮影範囲の撮影画像データを生成するカメラ33と(上記認定事項(タ))、

c 撮影画像データに基づいて遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様を検知し、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間において遊技者PPが勝利するじゃんけん動作が行われた後、「大当り」の付与を表示する手段(演出制御基板12)と(上記認定事項(チ))、

d 遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応した演出画像データを予め記憶する画像データメモリ142と(上記認定事項(ツ))、

e 遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間中に検知された遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応する演出画像データを画像データメモリ142から読み出す手段(演出制御基板12)(演出制御基板12)と(上記認定事項(テ))、

f 画像データメモリ142から読み出された演出画像データに対応する演出画像を画像表示装置5に表示させる手段(演出制御基板12)と(上記認定事項(ト))、

g キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上の表示が、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間が終了する前になされるようにする手段(演出制御基板12)と、を備えるパチンコ遊技機1(上記認定事項(ナ))」

5 対比・判断
本願発明と刊行物1発明とを対比する。なお、本願発明の構成A?G及び刊行物1発明の構成a?gに対応して見出し(a)?(g)を付した。

(a) 刊行物1発明の「じゃんけん動作」は「遊技者PPが手の形状を選択する」動作であるから、本願発明の「選択動作」に相当する。そして、刊行物1発明の「パチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて実行される撮影画像データに基づく特別演出が開始されると開始され、特別演出の終了判定後に終了する期間である、遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間」は、選択動作としてのじゃんけん動作が撮影される期間である以上、本願発明の「遊技者が選択動作を行うことを可能とする選択期間」に相当するといえる。
よって、刊行物1発明の「パチンコ遊技機1における遊技の進行に応じて実行される撮影画像データに基づく特別演出が開始されると開始され、特別演出の終了判定後に終了する期間である、遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間を生じさせる演出制御基板12」は、本願発明の「遊技者が選択動作を行うことを可能とする選択期間を生じさせる選択期間設定手段」に相当する。

(b) 刊行物1発明の「固体撮像素子」は、本願発明の「受光部」に相当するから、刊行物1発明の「固体撮像素子に入射する入射光を変換した電気信号」は、本願発明の「受光部における受光結果」に相当する。また、刊行物1発明の「パチンコ遊技機1」、「撮影範囲」及び「撮影画像データ」は、それぞれ、本願発明の「遊技機」、「監視範囲」及び「状態情報」に相当し、刊行物1発明の「撮影画像データを生成する」ことは、本願発明の「状態情報を導出可能な」ことを意味している。
したがって、刊行物1発明の「固体撮像素子に入射する入射光を変換した電気信号により、パチンコ遊技機1の前方に存在する撮影範囲の撮影画像データを生成するカメラ33」は、本願発明の「受光部における受光結果に基づき遊技機前方に存在する監視範囲の状態情報を導出可能な情報導出手段」に相当する。

(c) 上記(b)で検討したように、刊行物1発明の「撮影画像データ」は本願発明の「状態情報」に相当する。また、刊行物1発明の「じゃんけん動作の動作態様」は、本願発明「前記選択動作の態様」に相当する。
また、上記(a)で検討したように刊行物1発明の「遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間」は、本願発明の「選択期間」に相当するものであり、刊行物1発明の「遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間」は、刊行物1発明の構成(a)の「遊技者PPが手の形状を選択するじゃんけん動作を撮影する期間」のことであるから、本願発明の「選択期間」に相当する。
また、刊行物1発明の「大当り」は、本願発明の「遊技者に付与される」「特典」に相当し、刊行物1発明の「遊技者PPが勝利するじゃんけん動作」は、その後に「大当り」の付与を表示するじゃんけん動作であるから、本願発明の「特典発生態様となる選択動作」に相当する。
そして、刊行物1発明の「「大当り」の付与を表示する」ことは、本願発明の「特典が遊技者に付与されるようにする」機能を有する。
したがって、刊行物1発明の「撮影画像データに基づいて遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様を検知し、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間において遊技者PPが勝利するじゃんけん動作が行われた後、「大当り」の付与を表示する手段(演出制御基板12)」は、本願発明の「前記状態情報に基づき前記選択動作の態様を特定し、前記選択期間において特典発生態様となる選択動作が行われた後に特典が遊技者に付与されるようにするための付与手段」に相当する。

(d) 上記(a)で検討したように、刊行物1発明の「じゃんけん動作」は、本願発明の「選択動作」に相当する。よって、刊行物1発明の「じゃんけん動作の動作態様」は本願発明の「前記選択動作の態様」に相当する。また、刊行物1発明の「演出画像データ」は、本願発明の「画像データ」に相当する。
よって、刊行物1発明の「遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応した演出画像データを予め記憶する画像データメモリ142」は、本願発明の「前記選択動作の態様に対応した画像データを予め記憶するデータ記憶手段」に相当する。

(e) 上記(c)で検討したように、刊行物1発明の「遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間」は、本願発明の「選択期間」に相当する。また、上記(d)で検討したように、刊行物1発明の「じゃんけん動作の動作態様」及び「演出画像データ」は、それぞれ、本願発明の「選択動作の態様」及び「画像データ」に相当する。
そして、刊行物1発明の、「演出画像データ」を「じゃんけん動作の動作態様」に対応した読み出すための「検知」は、「じゃんけん動作の動作態様」を確定する機能を有する。
よって、刊行物1発明の「遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間中に検知された遊技者PPのじゃんけん動作の動作態様に対応する演出画像データを画像データメモリ142から読み出す手段(演出制御基板12)」は本願発明の「前記選択期間において確定した遊技者の選択動作の態様に対応した画像データを前記データ記憶手段から読み出すデータ読み出し手段」に相当する。

(f) 刊行物1発明の「画像データメモリ142から読み出された演出画像データ」は、刊行物1発明の構成(e)の「演出画像データを画像データメモリ142から読み出す手段」が読み出した「演出画像データ」であるから、本願発明の「当該データ読み出し手段が読み出した画像データ」に相当する。また、刊行物1発明の「演出画像」及び「画像表示装置5」は、それぞれ、本願発明の「画像」及び「表示手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「画像データメモリ142から読み出された演出画像データに対応する演出画像を画像表示装置5に表示させる手段(演出制御基板12)」は、本願発明の「当該データ読み出し手段が読み出した画像データに対応した画像を表示手段に表示させる画像表示実行手段」に相当する。

(g) 刊行物1発明の「キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上での表示」は、これを遊技者が見ることにより、遊技者が勝利するじゃんけん動作を遊技者に認識可能とさせるものであることは明らかである。そして、上記(c)で検討したように、刊行物1発明の「遊技者PPが勝利するじゃんけん動作」は、本願発明の「特典発生態様となる選択動作」に相当する。よって、刊行物1発明の「遊技者PPが勝利するじゃんけん動作」を認識可能とさせることは、本願発明の「前記特典発生態様となる前記選択動作の態様を遊技者に認識可能とさせる」ことを意味する。
よって、刊行物1発明の「キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上での表示」は、本願発明の「前記特典発生態様となる前記選択動作の態様を遊技者に認識可能とさせる報知」に相当する。
また、上記(c)で検討したように、刊行物1発明の「遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間」は、本願発明の「選択期間」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上の表示が、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間が終了する前になされるようにする手段(演出制御基板12)」は、本願発明の「前記特典発生態様となる前記選択動作の態様を遊技者に認識可能とさせる報知が、前記選択期間が終了する前に行われ得るようにする手段」に相当する。
また、刊行物1発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。
よって、刊行物1発明の構成gは、本願発明の構成Gに相当する。

上記(a)?(g)の対比により、本願発明と刊行物1発明とは、

[一致点]
「A 遊技者が選択動作を行うことを可能とする選択期間を生じさせる選択期間設定手段と、
B 受光部における受光結果に基づき遊技機前方に存在する監視範囲の状態情報を導出可能な情報導出手段と、
C 前記状態情報に基づき前記選択動作の態様を特定し、前記選択期間において特典発生態様となる選択動作が行われた後に特典が遊技者に付与されるようにするための付与手段と、
D 前記選択動作の態様に対応した画像データを予め記憶するデータ記憶手段と、
E 前記選択期間において確定した遊技者の選択動作の態様に対応した画像データを前記データ記憶手段から読み出すデータ読み出し手段と、
F 当該データ読み出し手段が読み出した画像データに対応した画像を表示手段に表示させる画像表示実行手段と、
G 前記特典発生態様となる前記選択動作の態様を遊技者に認識可能とさせる報知が、前記選択期間が終了する前に行われ得るようにする手段と、
を備えていることを特徴とする遊技機。」

で一致し、両者の間に差異はない。
したがって、本願発明は、刊行物1発明と同一であり、刊行物1に記載された発明であり、仮に本願発明が刊行物1発明と同一でないとしても、刊行物1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

そして、本願発明の作用効果も、刊行物1発明から当業者が予測できる範囲のものである。

なお、請求人は、平成28年8月16日付け審判請求書において、

「引用文献1の段落0263欄には『また、所定タイミングよりも後に遊技者PPの左手LHにおける形状変化が検知された場合には、例えば「後出しだよ!」といったメッセージを報知するとともに、遊技者PPがじゃんけん動作に勝てなかったものとして、演出動作状態を遷移させるようにしてもよい。』と記載されている。この記載からすると、画像表示装置5におけるキャラクタ画像CH2のじゃんけん動作の結果の報知が、遊技者のじゃんけん動作の選択期間が終了する前に行われる構成ではないと解釈するのが普通である。そうすると、引用文献1には、特典発生態様となる選択動作の態様を選択期間の終了前に報知するという構成に対する着目は一切存在していないと言える。」
と、主張する(下線は当審で付与した。)。

請求人のこの主張について検討する。
刊行物1の段落【0259】には、「図32は、特別演出となる演出動作の他の一例として・・・演出画像の表示動作などを示している。」と記載され、段落【0261】には、「図32(C1)に示すように画像表示装置5の表示領域に「ぽん!」といったメッセージを示す演出画像が表示されるとともに、キャラクタ画像CH2がじゃんけん動作を行い」と記載され、また、刊行物1の図32(C1)には「ぽん!」という文字とともに表示されるキャラクターの手の形状「パー」が図示されているから、上記段落【0259】、【0261】の記載事項及び図32(C1)の図示内容により、特別演出でのじゃんけん動作の実行タイミングで、キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上で表示がなされるといえる。
また、刊行物1の段落【0250】の「特別演出を終了するタイミングとなったか否かが判定される(ステップS614)。このとき、特別演出を終了するタイミングであると判定されれば(ステップS614;Yes)・・・特別演出を終了する設定が行われる(ステップS615)。また、ステップS615における終了設定により、カメラ33の撮影動作を停止させ・・・てもよい。」との記載事項により、「S614」で特別演出の終了判定をし、「S615」でカメラ33の撮影が停止するといえる。また、刊行物1の図27には、「特別演出終了?」で「YES」となるかが選択される「S614」の処理と、「S614」の処理の後に行われる「特別演出終了設定」を行う「S615」の処理とが行われるフローチャートが記載され、段落【0251】には、「カメラ33による撮影が開始され、・・・遊技者PPの左手LHが動作態様の検知対象物とされる。」と記載され、段落【0260】には「遊技者PPがじゃんけん動作のために左手LHを動作させたときには」と記載されている。したがって、段落【0250】?【0251】、【0260】の記載事項及び図27の図示内容により、特別演出の終了判定(「S614;Yes」)は、遊技者PPのじゃんけん動作の撮影が終了(「S615」)する前、すなわち、遊技者のじゃんけん動作の選択期間が終了する前であるといえる。
よって、キャラクタのじゃんけん動作を表す手の画像の画面上で表示(画像表示装置5におけるキャラクタ画像CH2のじゃんけん動作の結果の報知)は、特別演出でのじゃんけん動作の実行タイミングでなされる、特別演出中の演出画像の表示動作である以上、遊技者PPのじゃんけん動作を撮影する期間(遊技者のじゃんけん動作の選択期間)が終了する前であることは明らかである。
以上のことから、請求人の、刊行物1の段落【0263】の記載事項からすると「画像表示装置5におけるキャラクタ画像CH2のじゃんけん動作の結果の報知が、遊技者のじゃんけん動作の選択期間が終了する前に行われる構成ではないと解釈するのが普通である」旨の主張は、採用できない。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、又は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-07 
結審通知日 2017-06-13 
審決日 2017-06-28 
出願番号 特願2013-138408(P2013-138408)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 下井 功介齋藤 智也貝沼 憲司  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 藤田 年彦
金田 理香
発明の名称 遊技機  
代理人 安藤 悟  

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