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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1331175
異議申立番号 異議2015-700360  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-12-28 
確定日 2017-06-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5740990号発明「レトルト包装用透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5740990号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、〔4-7〕について、訂正することを認める。 特許第5740990号の請求項1、3、4?7に係る特許を維持する。 特許第5740990号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下をする。 
理由 1.手続の経緯
特許第5740990号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成23年1月12日に特許出願され、平成27年5月15日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1?7に係る特許について、特許異議申立人池田豊輝(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成28年3月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年5月31日に意見書の提出及び訂正の請求がなされ、平成28年7月13日に申立人から意見書が提出され、平成28年8月29日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成28年9月30日に意見書及び手続補正書が提出された。
その後、平成28年12月14日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年2月13日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」」という。)がなされ、本件訂正請求に対して平成29年4月10日に申立人から意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のア.?キ.のとおりである。
ア.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であることを特徴とする、レトルト包装用透明ガスバリア性フィルム。」とあるのを
「熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下の透明ガスバリア性フィルムであって、前記イオン架橋重合体膜が、前記α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であることを特徴とする、レトルト包装用透明ガスバリア性フィルム。」に訂正する。(下線部が訂正箇所を示す。以下同じ)
イ.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「請求項1に記載のレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムの製造方法。」とあるのを
「α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であるレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムの製造方法。」に訂正する。
エ.訂正事項4
明細書の段落【0007】に
「α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分のレトルト処理後の30℃、80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であることを特徴とする」とあるのを
「α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃、80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下の透明ガスバリア性フィルムであって、前記イオン架橋重合体膜が、前記α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であることを特徴とする」に訂正する。
オ.訂正事項5
明細書の段落【0001】、【0004】、【0006】、【0034】、【0036】及び【0040】において「レトルト」とあるのを、それぞれ「熱水レトルト」に訂正する。
カ.訂正事項6
明細書の段落【0030】の全体を
「【0030】
本発明に従い、上記のようにして透明フィルム基材上に形成された水系重合性単量体組成物の湿潤状態の塗膜に、特に乾燥等の前処理を行なうことなく、電子線を照射して、イオン架橋重合体膜に転換する。」に訂正する。
キ.訂正事項7
明細書の段落【0046】、【0056】の【表1】及び【0057】の「実施例2」を「参考例2」に訂正し、段落【0045】の「下記実施例、比較例」を「下記実施例、参考例、比較例」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項1について
訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0040】の「・・・ガスバリア性フィルム試料を、貯塔式(予め温度、圧力を上げた熱水を貯めてからレトルト釜に移し変える方式)のレトルト釜を用い、120℃、30分間の条件でレトルト処理し、レトルト処理後に測定した酸素透過度(30℃・80%RH)を、上記1.と同様に測定した。」の記載に基づき、請求項1の「レトルト処理」を「熱水レトルト処理」に限定し、訂正前の請求項2の記載に基づき、レトルト包装用透明ガスバリア性フィルムについて「前記α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜である」と限定するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
イ.訂正事項2について
訂正事項2は、請求項2を削除するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
ウ.訂正事項3について
訂正事項3は、請求項4を請求項1を引用する記載から、請求項間の引用関係を解消して独立形式の請求項に改めるもので、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
エ.訂正事項4について
訂正事項4は、明細書の段落【0007】の記載を、訂正事項1の請求項1の訂正に伴い、整合させるためのもので、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
オ.訂正事項5について
訂正事項5は、明細書の段落【0001】、【0004】、【0006】、【0034】、【0036】及び【0040】の「レトルト」を「熱水レトルト」とするもので、訂正事項1の請求項1の訂正に伴い、記載を整合させるためのもので、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
カ.訂正事項6について
訂正事項6は、明細書の段落【0030】の記載を、訂正事項1の請求項1の訂正に伴い、整合させるためのもので、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
キ.訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項1の請求項1の訂正に伴い、発明の実施例でなくなった実施例2を、参考例とするもので、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)一群の請求項について
本件訂正請求は、訂正前の請求項1と、請求項1を直接あるいは間接に引用する請求項2?7とを対象とするものであるから、請求項1?7について、一群の請求項ごとに請求されたものである。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合し、かつ、申立人は請求項4及び請求項4を引用する請求項5?7については請求項1との引用関係の解消を求め、請求項1とは別途訂正することを求めているから、訂正後の請求項〔1?3〕、〔4?7〕について訂正を認める。

3.本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?7に係る発明(以下、「本件訂正発明1?7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?7に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認める。
「【請求項1】
α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下の透明ガスバリア性フィルムであって、前記イオン架橋重合体膜が、前記α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であることを特徴とする、レトルト包装用透明ガスバリア性フィルム。
【請求項2】 (削除)
【請求項3】
前記イオン架橋重合体膜が、一対の透明フィルム基材間に挟持されている請求項1または2に記載の透明ガスバリア性フィルム。
【請求項4】
透明フィルム基材上に、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解してなる重合性単量体組成物を塗布して、湿潤状態の塗膜を形成し、該塗膜に電子線を照射して、α,β-不飽和カルボン酸を重合するとともに生成重合体をイオン架橋して、イオン架橋重合体膜を形成することを特徴とする、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であるレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記重合性単量体組成物が重合開始剤を含まない組成物である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記重合性単量体組成物が、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属化合物とを水媒体中で反応させてなる請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記重合性単量体組成物が、α,β-不飽和カルボン酸の水溶液に、α,β-不飽和カルボン酸の多価金属塩を添加してなる、同α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水溶液である請求項4?6のいずれかに記載の方法。」

4.取消理由の概要
訂正前の請求項1?7に係る特許に対して、平成28年3月30日付けで特許権者に通知した取消理由及び平成28年12月14日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由は、すべて通知した。

1)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2)本件特許の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

甲第1号証:特開2007-31459号公報
甲第2号証:国際公開第2006/059773号
甲第3号証:特開2007-8148号公報
甲第4号証:国際公開第2006/104257号
甲第5号証:国際公開第03/091317号

(1)(理由1)及び(理由2)
ア.甲第1号証に基づく理由
・本件発明1?4、6について
本件発明1?4、6は、甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)であるか、甲1発明及び周知技術(甲第2号証?甲第5号証)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本件発明5について
本件発明5は、甲1発明及び甲第2号証記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本件発明7について
本件発明7は、甲1発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ.甲第2号証に基づく理由
・本件発明1、3に係る発明について
本件発明1、3は、甲第2号証に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)であるか、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本件発明2、4?6について
本件発明2、4?6は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本件発明7について
本件発明7は、甲2発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ.甲第3号証に基づく理由
・本件発明1、3について
本件発明1、3は、甲第3号証に記載された発明(以下、「甲3発明」という。)であるか、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

・本件発明2について
本件発明2は、甲3発明及び甲第3号証記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)(理由3)
請求項2は、「透明ガスバリア性フィルム」という物の発明であるが、請求項2の「水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜」の記載は、製造に関して経時的な要素の記載がある場合又は製造に関して技術的な特徴や条件が付与された記載がある場合に該当するため、当該請求項にはその物の製造方法が記載されているといえる。
ここで、物の発明に係る特許請求の範囲にその物を製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情(以下「不可能・非実際的事情」という)が存在するときに限られると解するのが相当である(最高裁第二小法廷平成27年6月5日 平成24年(受)第1204号、平成24年(受)第2658号)。

しかしながら、本願明細書等には不可能・非実際的事情について何ら記載がなく、当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであるとも言えない。
したがって、請求項2に係る発明、請求項2を引用する請求項3に係る発明は明確でない。

5.刊行物の記載
(1)甲第1号証(以下、「甲1」という。)(特開2007-31459号公報)
甲1には、甲1の記載事項、特に、段落【0026】、【0027】及び【0028】の表1の実施例4、実施例5によれば、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「(a)基材上に形成したアクリル酸Zn溶液の塗布膜に、溶媒の存在下で電子線照射してなる重合体膜であって、赤外線吸収スペクトルにおける1700cm^(-1)付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A_(0)と1520cm^(-1)付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A_(0)/A)が0.007、又は0.09であり、
(b)基材は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、又は二軸延伸ポリアミドフィルムであり、
(c)ヘイズ値が1.5%、又は4.0%であり、
(d)酸素透過度が1.0ml/(m^(2)・day・MPa)、又は1.2ml/(m^(2)・day・MPa)であり、
(e)食品包装材料を始め、医療用途、工業用途等さまざまな包装材料としてとしても好適に使用し得るガスバリア性積層フィルム。」

(2)甲第2号証(以下、「甲2」という。)(国際公開第2006/059773号)
甲2には、甲2の記載事項、特に、表5の実施例39、表9の実施例77、表10の実施例86によれば、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
「(a)イタコン酸と、ジアクリル酸亜鉛(金属イオンの化学当量0.92)との塩を含む含水量66%の組成物の塗装膜を湿潤状態でUV照射してなるイオン架橋ポリカルボン酸重合体膜を、
(b)未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP#60)上に形成してなり、
(d)30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が11×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)であり、
(e)加熱殺菌用包装材料として利用することができる積層フィルム。」

(3)甲第3号証(以下、「甲3」という。)(特開2007-8148号公報)
甲3には、甲3の記載事項、特に、段落【0112】?【0114】の実施例3によれば、以下の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「(a)ポリアクリル酸と、ポリアクリル酸のカルボキシル基の95モル%を中和するカルシウムイオンを含むガスバリア層を
(b)延伸PETフィルム上に形成してなり、
(c)透明で内容物の状態を確認することができ、
(d)130℃、30分間のレトルト処理後、85%RH/100%RH、20℃での酸素透過度3.3cm^(3)/m^(2)・day・atm(=3.82×10-5cm^(3)/m^(2)・s・atm)である
(e)レトルト処理後もガスバリア性に優れたガスバリア性積層体。」

(4)甲第4号証(以下、「甲4」という。)(国際公開第2006/104257号)
甲4には、以下の事項が記載されている。
「要約:本発明のガスバリア材は、酸価580mgKOH/g以上の量に相当するカルボキシル基を有する樹脂の少なくとも酸価330mgKOH/gの量に相当するカルボキシル基がイオン架橋されて成るものであり、高湿度条件下におけるガスバリア性、耐レトルト性、可撓性に優れ、塗膜を低温短時間で硬化することができ、生産性にも優れたガスバリア材を提供することが可能となる。」

(5)甲第5号証(以下、「甲5」という。)(国際公開第03/091317号)
甲5には、以下の事項が記載されている。
「要約:本発明は、ポリカルボン酸系重合体と多価金属化合物とからなり、酸素等のガスバリア性に優れ、中性の水、及び高温水蒸気や熱水の影響で外観、形状、及び ガスバリア性が損なわれることがない耐性を有する、フィルム、積層体、その工業的に簡便で安価な製造方法に関する。本発明のフィルム、及びその積層体によれば、 酸素等の影響により、劣化を受けやすい、食品、飲料、薬品、医薬品、電子部品等の精密金属部品の包装体、包装容器や真空断熱材料として適し、さらに長期にわたり安定したガスバリア性能が必要で、かつボイル、レトルト殺菌等の高温熱水条件下での処理を必要とする物品の包装材料に好適な包装材料を提供することができる。」

6.判断
(1)理由3(第36条第6項第2号)について
事案に鑑み、平成28年3月30日付けの取消理由通知の理由3をまず検討する。
ここで、取消理由で通知した、訂正前の請求項2の「水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜」の記載は、訂正後の請求項1に同様の記載があるので、訂正後の請求項1の「水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜」の記載について、改めて検討する。
特許権者は、平成28年5月31日付け意見書で、「電離放射線として代表的に用いられる紫外線に対する、電子線の優位性が本件特許発明の基礎であり、その特性を示すのに、レトルト処理後の酸素透過度とヘイズ値との組み合わせのみでは、適切に規定されない点、また、透明フィルム基材上に形成した、水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であるから、フィルム基材との必要な密着性が確保されるものであり、再現性良く測定値として記載することが極めて困難であり、水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜以外の表現で規定することは非実際的である」旨主張している。
その点を検討するに、本件特許明細書の段落【0056】の【表1】によれば、「水湿潤塗膜の紫外線照射による硬化膜」を有する参考例2との比較で、「水湿潤塗膜の線照射による硬化膜」を有する実施例は有利な効果を奏するものであり、それを「水湿潤塗膜の線照射による硬化膜」の表現に代えて、種々の測定値で表現するには、非実際的であると認める。
よって、特許権者の非実際的である旨の主張は理由があるので、訂正後の請求項1の「水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜」の記載は明確でないとはいえない。
請求項1を引用する、請求項3についても同様である。

(2)理由1(第29条第1項第3号)について
ア.本件訂正発明1の「α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩」の「中和する量」について
「中和度」あるいは「中和する量」について、争いがあるので、本件訂正発明1において確認しておく。
本件訂正発明1の「α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩」の「多価金属」の「α,β-不飽和カルボン酸を中和する量」については、「水系重合性単量体組成物を形成するための原料である、α,β-不飽和カルボン酸の多価金属との塩を構成する、α,β-不飽和カルボン酸と多価金属との化学当量比」を意味するものと解するのが妥当である。この解釈によれば、100%を超える場合があるが、これは、本件特許明細書の段落【0056】の【表1】に比較例4の中和度が105%、比較例5の中和度が100%と記載されてことからも、裏付けられている。また、甲2の第32頁の表3の「金属イオンの化学当量」と同じ意味であることは、甲2を従来技術として挙げ、その問題点を解決している本件特許明細書の記載(例えば、段落【0009】)から、当業者は理解できる。

イ.甲1に基づく理由1
(ア)本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「アクリル酸」、「Zn」は、本件訂正発明1の「α,β-不飽和カルボン酸」、「多価金属」にそれぞれ相当する。

両者は、少なくとも以下の相違点1及び相違点2で相違する。
〈相違点1〉本件訂正発明1では、イオン架橋重合体膜の多価金属が、α,β-不飽和カルボン酸の91?95%を中和する量であるのに対して、甲1発明では、赤外線吸収スペクトルにおける1700cm^(-1)付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A_(0)と1520cm^(-1)付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A_(0)/A)が0.007、又は0.09である点。
〈相違点2〉本件訂正発明1では、透明ガスバリア性フィルムの、120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であるのに対して、甲1発明では、ガスバリア性積層フィルムの酸素透過度が1.0ml/(m^(2)・day・MPa)、又は1.2ml/(m^(2)・day・MPa)であるが、レトルト処理後の酸化透過度は不明である点。

相違点1を検討する。
甲1には、段落【0012】に「ガスバリア性膜の製造方法
本発明のガスバリア性膜の製造方法は、基材層に重合度が20未満の不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩溶液を塗工した後、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩に溶媒の存在下で電子線を照射することを特徴とするガスバリア性膜の製造方法である。・・・
本発明のガスバリア性膜の製造方法として、直接溶媒に前記不飽和カルボン酸化合物と前記多価金属化合物を溶かす場合、即ち、前記不飽和カルボン酸化合物と前記多価金属化合物とを含む溶液を用いる場合は、前記不飽和カルボン酸化合物に対して、0.3化学当量を越える量の前記多価金属化合物を添加することが好ましい。・・・また、多価金属化合物の添加量の上限はとくに限定はされないが、多価金属化合物の添加量が1化学当量を越えると未反応の多価金属化合物が多くなるので、通常、5化学当量以下、好ましくは2化学当量以下で十分である。・・・」と、「多価金属化合物の添加量の化学当量」に関する記載がある。
この甲1の「多価金属化合物の添加量の化学当量」は、本件訂正発明1の「多価金属」の「α,β-不飽和カルボン酸を中和する量」、すなわち上記「(2)ア.」で確認した「水系重合性単量体組成物を形成するための原料である、α,β-不飽和カルボン酸の多価金属との塩を構成する、α,β-不飽和カルボン酸と多価金属との化学当量比」に相当するものである。しかし、甲1の実施例4、5の「多価金属化合物の添加量の化学当量」は不明であり、「赤外線吸収スペクトルにおける1700cm^(-1)付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A_(0)と1520cm^(-1)付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A_(0)/A)が0.007、又は0.09である」から、「イオン架橋重合体膜の多価金属が、α,β-不飽和カルボン酸の91?95%を中和する量である」を導くことはできない。
よって、相違点1は実質的な相違点であるので、相違点2を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明ではない。

(イ)本件訂正発明3
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明3は、甲1発明ではない。

(ウ)本件訂正発明4
本件訂正発明4と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記相違点1及び相違点2(上記(2)イ.(ア))で相違する。
上記(2)イ.(ア)で述べたように、相違点1は実質的相違点であるので、相違点2を検討するまでもなく、本件訂正発明4は、甲1発明ではない。

(エ)本件訂正発明6
本件訂正発明6は、本件訂正発明4の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明4と同様の理由により、本件訂正発明6は、甲1発明ではない。

ウ.甲2に基づく理由1
(ア)本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明の「イタコン酸」、「ジアクリル酸亜鉛」は、本件訂正発明1の「α,β-不飽和カルボン酸」、「多価金属」にそれぞれ相当する。

両者は、少なくとも以下の相違点3?5で相違する。
〈相違点3〉本件訂正発明1では、水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であるのに対して、甲2発明では、塗装膜を湿潤状態でUV照射してなるイオン架橋ポリカルボン酸重合体膜である点。
〈相違点4〉本件発明1では、透明ガスバリア性フィルムのヘイズ値が5%以下であるのに対して、甲2発明では、積層フィルムのヘイズ値は不明である点。
〈相違点5〉本件訂正発明1では、透明ガスバリア性フィルムの、120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であるのに対して、甲2発明では、積層フィルムの酸素透過度が30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が11×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)であるが、レトルト処理後の酸化透過度は不明である点。

相違点3を検討する。
甲2の実施例86は、中和度(化学当量)が92%であるが、紫外線照射(UV照射)により重合処理されたものである。ここで、甲2には、「電離放射線としては、紫外線、電子線 (ベータ線)、ガンマ線、アルファ線が好ましく、紫外線及び電子線がより好ましい。・・・」(17頁17行?18行)と、紫外線と電子線とを区別して記載されているように、紫外線照射による処理と、電子線照射による処理は、必ずしも同じではない。この点、本件特許明細書の段落【0030】においても、紫外線照射と電子線照射とは区別して記載されている。
すると、紫外線照射による硬化膜と、電子線照射による硬化膜は、必ずしも同じとはいえない。
よって、相違点3は実質的な相違点であるので、相違点4、5を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2発明ではない。

(イ)本件訂正発明3
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明3は、甲2発明ではない。

エ.甲3に基づく理由1
(ア)本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明の「ポリアクリル酸」、「カルシウム」は、本件訂正発明1の「α,β-不飽和カルボン酸」、「多価金属」にそれぞれ相当する。

両者は、少なくとも以下の相違点6及び相違点7で相違する。
〈相違点6〉本件訂正発明1では、イオン架橋重合体膜の多価金属が、α,β-不飽和カルボン酸の91?95%を中和する量であるのに対して、甲3発明では、ガスバリア層のカルシウムイオンがポリアクリル酸のカルボキシル基の95モル%を中和する点。
〈相違点7〉本件訂正発明1では、透明ガスバリア性フィルムのヘイズ値が5%以下であるのに対して、甲3発明では、ガスバリア性積層体のヘイズ値は不明である点。

相違点6を検討する。
甲3の段落【0102】に「(2)イオンによるカルボキシル基の中和度(イオン化度)
実施例1?2で得られた積層体(B-1)について、フーリエ変換赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、8200PC)を用いて、ATR(全反射測定)のモードで、ガスバリア層に含まれるC=O伸縮振動のピークを観察した。イオン化前のカルボン酸含有重合体のカルボキシル基のC=O伸縮振動に帰属されるピークは1600cm^(-1)?1850cm^(-1)の範囲に観察され、イオン化された後のカルボキシル基のC=O伸縮振動は1500cm^(-1)?1600cm^(-1)の範囲に観察された。そして、それぞれの範囲における最大の吸光度からその比を算出し、その比と予め下記の方法で作成した検量線とを用いてイオン化度を求めた。」と記載されているように、甲3の中和度は、イオン化前のカルボン酸含有重合体のカルボキシル基のC=O伸縮振動に帰属されるピークとイオン化された後のカルボキシル基のC=O伸縮振動の吸光度の比によって求られた、ガスバリア性積層体のポリアクリル酸のカルボキシル基とカルシウム(多価金属)との結合割合の指標を示すものであり、本件訂正発明1の「多価金属」の「α,β-不飽和カルボン酸を中和する量」とは、上記「(2)ア.」で確認したように「水系重合性単量体組成物を形成するための原料である、α,β-不飽和カルボン酸の多価金属との塩を構成する、α,β-不飽和カルボン酸と多価金属との化学当量比」であり、両者は同じものとはいえない。
よって、相違点6は実質的な相違点であるので、相違点7を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲3発明ではない。

(イ)本件訂正発明3
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明3は、甲3発明ではない。

(3)理由2(第29条第2項)について
ア.甲1に基づく理由2
(ア)本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記相違点1及び相違点2(上記(2)イ.(ア))で相違する。
相違点1については、上記「(2)イ.(ア)」で述べたとおり、甲1発明の「赤外線吸収スペクトルにおける1700cm^(-1)付近のカルボン酸基のνC=Oに基づく吸光度A_(0)と1520cm^(-1)付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Aとの比(A_(0)/A)が0.007、又は0.09である」から、「イオン架橋重合体膜の多価金属が、α,β-不飽和カルボン酸の91?95%を中和する量である」を導くことはできない。
そして、このことは、甲2?甲5の技術常識からも導けない。
また、相違点2についても、甲2?甲5の技術常識から導けない。
本件訂正発明1は、相違点1及び相違点2に係る発明特定事項を有することにより、「透明性が良好に維持され、且つレトルト処理後もきわめて良好なガスバリア性を維持する、イオン架橋重合体膜が形成可能である」(本件特許明細書段落【0009】)との作用効果を奏するものである。
よって、本件訂正発明1は、甲1発明及び技術常識(甲2?甲5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件訂正発明3
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明3は、甲1発明及び技術常識(甲2?甲5)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)本件訂正発明4
本件訂正発明4と甲1発明とを対比すると、少なくとも上記相違点3?5(上記(2)イ.(ア))で相違する。
よって、本件訂正発明4は、本件訂正発明1と同様の理由により、甲1発明及び技術常識(甲2?甲5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(エ)本件訂正発明5
本件訂正発明5は、本件訂正発明4の発明特定事項をすべてを含むものであり、甲2には、少なくとも相違点2について記載も示唆もないから、本件訂正発明4と同様の理由により、本件訂正発明5は、甲1発明及び甲2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(オ)本件訂正発明6、7
本件訂正発明6、7は、本件訂正発明4の発明特定事項をすべてを含むものでり、本件訂正発明4と同様の理由により、本件訂正発明7は、甲1発明及び技術常識(甲2?甲5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ.甲2に基づく理由2
(ア)本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、少なくとも上記相違点3?5((2)ウ.(ア))で相違する。
相違点3については、上記「(2)ウ.(ア)」で述べたように、甲2及び本件特許明細書において、紫外線照射と電子線照射とは区別して記載されている。本件訂正発明1の中和度(化学当量)の91?95%を満たす、甲2発明の唯一の実施例である、甲2の実施例86は、中和度(化学当量)が92%であるが、紫外線照射(UV照射)により重合処理されるものである。
そして、「水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜である」こと(相違点3)、かつ「透明ガスバリア性フィルムのヘイズ値が5%以下である」(相違点4)こと、「透明ガスバリア性フィルムの、120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下である」(相違点5)ことをすべて満たすものは、甲1?甲5には、記載されていない。
そして、本件訂正発明1は、相違点3?5に係る発明特定事項を有することにより、「透明性が良好に維持され、且つレトルト処理後もきわめて良好なガスバリア性を維持する、イオン架橋重合体膜が形成可能である」(本件特許明細書段落【0009】)との作用効果を奏するものである。
よって、本件訂正発明1は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件訂正発明3
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明3は、甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(ウ)本件訂正発明4
本件訂正発明4と甲2発明とを対比すると、少なくとも上記相違点3?5(上記(2)ウ.(ア))で相違する。
よって、本件訂正発明4は、本件訂正発明1と同様の理由により、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(エ)本件訂正発明6
本件訂正発明6は、本件訂正発明4の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明4と同様の理由により、本件訂正発明6は、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(エ)本件訂正発明7
本件訂正発明7は、本件訂正発明4の発明特定事項をすべてを含むものでり、技術常識を示す甲4及び甲5にも、相違点3?5についての記載も示唆もないから、本件訂正発明4と同様の理由により、本件訂正発明7は、甲2発明及び技術常識(甲4、甲5)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ.甲3に基づく理由2
(ア)本件訂正発明1
本件訂正発明1と甲3発明とを対比すると、少なくとも上記相違点6及び相違点7((2)エ.(ア))で相違する。
上記「(2)エ.(ア)」で述べたように、甲3発明の「ガスバリア層のカルシウムイオンがポリアクリル酸のカルボキシル基の95モル%を中和する」と、本件訂正発明1の「イオン架橋重合体膜の多価金属が、α,β-不飽和カルボン酸の91?95%を中和する量である」とのは、同じものではない。
そして、「イオン架橋重合体膜の多価金属が、α,β-不飽和カルボン酸の91?95%を中和する量である」こと(相違点6)、かつ「透明ガスバリア性フィルムのヘイズ値が5%以下である」(相違点7)ことを両方とも満たすものは、甲1?甲5には、記載されていない。
そして、本件訂正発明1は、相違点6及び相違点7に係る発明特定事項を有することにより、「透明性が良好に維持され、且つレトルト処理後もきわめて良好なガスバリア性を維持する、イオン架橋重合体膜が形成可能である」(本件特許明細書段落【0009】)との作用効果を奏するものである。
よって、本件訂正発明1は、甲3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)本件訂正発明3
本件訂正発明3は、本件訂正発明1の発明特定事項をすべてを含むものであるから、本件訂正発明1と同様の理由により、本件訂正発明3は、甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

7.申立人の意見について
平成29年4月10日付け申立人の意見書3(2-2)「甲3号証に基づく理由」において、申立人は甲3の段落【0103】を根拠に、甲3では検量線を用いてカルボキシル基の中和度を中和度を決定しており、検量線を用いずに中和度を求めた甲1における中和度とは測定方法が異なると主張している。
この点を検討するに、甲3の段落【0102】に「(2)イオンによるカルボキシル基の中和度(イオン化度)
実施例1?2で得られた積層体(B-1)について、フーリエ変換赤外分光光度計(株式会社島津製作所製、8200PC)を用いて、ATR(全反射測定)のモードで、ガスバリア層に含まれるC=O伸縮振動のピークを観察した。イオン化前のカルボン酸含有重合体のカルボキシル基のC=O伸縮振動に帰属されるピークは1600cm^(-1)?1850cm^(-1)の範囲に観察され、イオン化された後のカルボキシル基のC=O伸縮振動は1500cm^(-1)?1600cm^(-1)の範囲に観察された。そして、それぞれの範囲における最大の吸光度からその比を算出し、その比と予め下記の方法で作成した検量線とを用いてイオン化度を求めた。」と記載されているように、中和度を求める原理は、甲1と同様に、イオン化前のカルボン酸含有重合体のカルボキシル基のC=O伸縮振動に帰属されるピークとイオン化された後のカルボキシル基のC=O伸縮振動の吸光度の比によって求めるものであるから、申立人の主張は採用できない。

8.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載された取消理由をすべて含む、上記取消理由によっては、本件訂正発明1、3?7に係る特許を取り消すことはできず、他に取り消すべき理由も発見しない。
また、請求項2は、本件訂正請求により削除された。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
レトルト包装用透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の熱水レトルト包装に適した透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカルボン酸と金属との間にイオン結合を導入することにより、ガスバリア性、耐熱水性、耐水蒸気性を改善したフィルムを製造する方法について、本出願人は、既に幾つかの提案を行っている。例えば、特許文献1では、ポリカルボン酸重合体層と多価金属化合物を含有する層とを隣接して配置した多層フィルムを形成し、そして、該多層フィルムを相対湿度20%以上の雰囲気下に置くことにより、多価金属化合物含有層からポリカルボン酸重合体層へ多価金属イオンを移行させて、ポリカルボン酸重合体のカルボキシル基と多価金属化合物との反応によるポリカルボン酸多価金属塩を生成させる方法を提案している。しかし、特許文献1に記載の方法では、(メタ)アクリル酸などのα、β-不飽和カルボン酸重合体を重合してポリカルボン酸重合体を合成する工程、ポリカルボン酸重合体を含有する塗工液を塗布する工程、及び多価金属化合物を含有する塗工液を塗布する工程が必要であり、操作が煩雑である。これに加えて、該方法では、多価金属化合物含有層からポリカルボン酸重合体層へ多価金属イオンを移行させるために、多層フィルムを長時間にわたって高湿雰囲気下に置く必要があり、連続的操作が困難である。
【0003】
上記特許文献1の積層ガスバリア膜の形成法の問題点を解決するために、特許文献2は、α,β-不飽和カルボン酸単量体と該α,β-不飽和カルボン酸単量体のカルボキシル基の10?90%を中和する量の多価金属イオンとが、組成物全量基準で20?85重量%の水に、溶解または分散して含有されている水系重合性単量体組成物を用い、これを塗工液として、基材上に塗工して得た湿潤状態の塗膜に、紫外線、あるいは電子線等の電離放射線の照射及び/または加熱処理を施して重合・硬化することにより、ゲルの析出やフィルムの白化などの問題を生ずることなく、酸素ガスバリア性に優れたイオン架橋ポリカルボン酸重合体フィルムを形成する方法を提案している。この方法は、従来のポリカルボン酸重合体フィルムをイオン架橋(イオン結合)する方法とは異なり、α,β-不飽和カルボン酸単量体を多価金属イオンの存在下に重合することにより、ポリカルボン酸重合体の生成と多価金属イオンによるイオン架橋とを同時に行う方法であり、フィルムの製造工程が大幅に簡略化される上、連続的生産に適している。得られた重合体フィルムは、透明で、且つ30℃・80%相対湿度というような高温高湿雰囲気下でも優れたガスバリア性を示し、食品をはじめとする各種内容物の包装材料として適している。
【0004】
しかしながら、本発明者の研究によれば、上記特許文献2のフィルムにも一つの問題点が見出された。それは、食品等の内容物についてしばしば要求される殺菌処理、特に簡便な殺菌処理としての熱水レトルト処理を行うと、ガスバリア性が低下することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4373797号公報
【特許文献2】WO2006/059773
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の事情に鑑み、本発明の主要な目的は、透明で且つ熱水レトルト処理後においても優れたガスバリア性を有するフィルム材料およびその効率的な製造方法を確立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムは、上述の目的を達成するために開発されたものであり、より詳しくは、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下の透明ガスバリア性フィルムであって、前記イオン架橋重合体膜が、前記α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムの製造方法は、透明基材上に、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解してなる重合性単量体組成物を塗布して、湿潤状態の塗膜を形成し、該塗膜に電子線を照射して、α,β-不飽和カルボン酸を重合するとともに生成重合体をイオン架橋して、イオン架橋重合体膜を形成することを特徴とするものである。
【0009】
ここで、本発明者が、上記特許文献2の技術から出発して、本発明に到達した経緯について付言する。上記特許文献2の技術において、α,β-不飽和カルボン酸とその10?90%を中和する量の多価金属との塩を用いた理由は、より多量の多価金属を用いた中和度(イオン化度)が90%を超えるα,β-不飽和カルボン酸塩を用いた場合には、得られる重合体フィルムの透明性が著しく低下する事実を知見していたからである。しかしながら、本発明者の更なる研究によれば、使用するα,β-不飽和カルボン酸の酸性をわずかに残す範囲で中和度を91?95%とより高め、且つ厳密に水分量を制御して調製した重合性単量体組成物を透明フィルム基材に塗布した状態で、重合活性の大なる電子線を照射すれば、透明性が良好に維持され、且つレトルト処理後もきわめて良好なガスバリア性を維持する、イオン架橋重合体膜が形成可能であることを知見し、本発明に到達したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、その好適な実施形態に即して、詳細に説明する。
【0011】
1.α,β-不飽和カルボン酸単量体:
本発明で使用するα,β-不飽和カルボン酸単量体は、特許文献2で用いるものと同様であり、重合性単量体として機能する。その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、セネシオ酸、チグリン酸、ソルビン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、及びこれらの酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸化合物が含まれる。中でも、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がもっとも好ましい。
【0012】
2.多価金属:
上記α,β-不飽和カルボン酸との組み合わせで多価金属塩を形成する多価金属は、水中で価数が2以上のイオンを生じ得る金属元素であり、その具体例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどの周期表2A族の金属;チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属;アルミニウムを挙げることができる。中でも、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、アルミニウム、及び鉄が好ましく、水への溶解性が良好なα,β-不飽和カルボン酸金属塩を与える亜鉛及びカルシウムが特に好ましい。
【0013】
α,β-不飽和カルボン酸との組み合わせで多価金属塩を形成するための多価金属源、すなわち多価金属の供給形態は、特に限定されるものではなく、多価金属の単体を用いることができるほか、多価金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩等の化合物が任意に用いられるが、水溶性の良好なものが好ましく、またバリア性を劣化させるカウンターイオンを含まないという点で、多価金属の酸化物、あるいはα,β-不飽和カルボン酸の多価金属塩自体が好ましく用いられる。多価金属源は2種以上併用することもできる。
【0014】
3.水系重合性単量体組成物:
本発明のレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムを製造するためには、上記したα,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の上記した多価金属との塩を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解してなる重合性単量体組成物を形成する。
【0015】
多価金属は、α,β-不飽和カルボン酸単量体に対して、そのカルボキシル基の91?95%を中和する極めて限定的な量で用いられる。この中和度91%未満であると、本発明の主要な効果である、レトルト処理後のガスバリア性の低減防止効果が乏しくなる。逆に中和度が95%を超えると、製品ガスバリア性フィルムの透明性が低下し、高温・高湿下でのガスバリア性の低下ならびにそのレトルト処理後のガスバリア性が低下する傾向になる。この傾向は、重合性単量体組成物中の水分量を増大することにより緩和可能であるが、水分量を増大すると、重合促進効果の高い電子線照射を行うとしても、重合活性が低下する。
【0016】
水系重合性単量体組成物は、上記したα,β-不飽和カルボン酸と多価金属との塩(部分中和塩)を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解した溶液として形成される。水の含有量が少なすぎると、透明な溶液が形成しがたくなり、製品ガスバリア性フィルムの透明性が低下し、高温・高湿下でのガスバリア性の低下ならびにそのレトルト処理後のガスバリア性が低下する。逆に、水の含有量が高すぎると、湿潤状態の塗膜を重合させる工程でゲルを析出してフィルムの外観を低下させたり、重合後の水分除去が困難になったりする。
【0017】
上述の理由により、水の含有量は、組成物全量基準で、35?85重量%とし、使用する多価金属化合物の水に対する溶解性にもよるが、好ましくは35?75重量%、更に好ましくは40?65重量%である。この水含有量は、α,β-不飽和カルボン酸と多価金属源との反応により生成し得る中和水も含めて考慮する必要がある。
【0018】
本発明で使用する水系重合性単量体組成物は、上記したα,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の上記した多価金属との塩を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解してなるものであるが、最終的にこの溶液状態が形成される限り、その形成の過程は問わない。すなわち、水性媒体中で、α,β-不飽和カルボン酸と、多価金属(源)とを反応させて、それらの部分中和塩を形成することは一般には簡便であるが、少量のα,β-不飽和カルボン酸を含むその水溶液にα,β-不飽和カルボン酸の多価金属塩を溶解すること、α,β-不飽和カルボン酸の多価金属塩の水溶液あるいは分散液にα,β-不飽和カルボン酸(の水溶液)を添加して反応させること、など任意の形態が可能である。
【0019】
4.その他の成分:
本発明で使用する水系重合性単量体組成物は、上述したα,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の上記した多価金属との塩を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解してなる(最終的な水分含有量が35?85重量%である)溶液状態を形成する、という組成物要件を満たす限りで、必要に応じてその他の成分を含むことができる。
【0020】
例えば、本発明の水系重合性単量体組成物には、溶液としての均一性を損なわない範囲において、ナトリウム及びカリウムなどの一価の金属イオンを含有させることができる。また、溶媒として水を使用するが、各成分の均一な溶解または分散を阻害せず、かつ、重合反応を阻害しない範囲内で、少量の有機溶媒(例えば、アルコール類)を添加してもよい。
【0021】
本発明の水系重合性単量体組成物には、α,β-不飽和カルボン酸単量体の重合と多価金属イオンによるイオン架橋反応を阻害しない範囲内において、必要に応じて、他の重合体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサンなど)、グリセリン、増粘剤、無機層状化合物、分散剤、界面活性剤、柔軟剤、熱安定剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、着色剤、アンチブロッキング剤、多官能モノマーなどを含有させることができる。
【0022】
特に、バリア性に悪影響を与えることなく組成物の塗工粘度を調整するために好ましい添加成分として、重合度が100?5000でケン化度が85%以上100%未満のポリビニルアルコールのOH基の0.001?50モル%を、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、スチリル基、地オール基、シリル基、アセトアセリル基、エポキシ基などの官能基で変性した変性ポリビニルアルコール(変性PVA)が挙げられる。これら変性PVAは、水系重合性単量体組成物中に0.01?20重量%の割合で含ませることが好ましい。
【0023】
また製品ガスバリア性フィルム中のイオン架橋重合体膜の架橋密度を調整するために、多官能アクリレートを含ませることも好ましい。その具体例としては、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートなどのジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート類;トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリメチロールプロパンポリアクリレートなどの四官能以上のアクリレート類;などが挙げられる。多官能アクリレートは、α,β-不飽和カルボン酸単量体100重量部に対して、0.01?10重量部の割合で使用することが好ましい。
【0024】
またイオン架橋重合体膜の架橋度を調整するために、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレートなどの単官能のアクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類を少量の割合で添加することもできる。また、水系重合性単量体組成物の粘度を調整するために、光重合性プレポリマーを少量の割合で添加してもよい。
【0025】
水系重合性単量体組成物には、紫外線照射時の重合速度の向上のために、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、チオキサントン類等の光重合開始剤;あるいはアゾ系または過酸化物系熱重合開始剤を含めることもできる。しかしながら、これら開始剤は、重合後の残渣として残ることにより、衛生上好ましくない傾向にあるので、本発明の目的のためには好ましくなく、むしろ電子線照射の高い重合促進効果のみを最大限に利用して開始剤を使用せず、外観の良好なフィルムを形成することが好ましい。また、開始剤なしで、塗膜の良好な重合性を確保するために、重合性単量体組成物中の水分量を厳密に制御することが好ましい。
【0026】
5.ガスバリア性フィルムの製造
上記した水系重合性単量体組成物を、透明フィルム基材上に塗布して形成した湿潤状態の塗膜に、電子線を照射することによりα,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩を重合させるとともに生成重合体をイオンして、イオン架橋重合体膜を形成することにより、本発明のレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムを製造する。
【0027】
透明フィルム基材としては、広範な透明樹脂の、厚さが例えば0.1?1000μm、特に5?300μmの未延伸または延伸フィルムが好ましく用いられ、その樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチルペンテン、環状ポリオレフィンなどのオレフィン重合体類及びその酸変性物;ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコールなどの酢酸ビニル重合体類及びその変性物;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレートなどの脂肪族ポリエステル類;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/12共重合体、メタキシレンアジパミド・ナイロン6共重合体などのポリアミド類;ポリエチレングリコール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシドなどのポリエーテル類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどのハロゲン化重合体類;ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル重合体類;ポリイミド樹脂;その他、塗料用に用いるアルキド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂;セルロース、澱粉、プルラン、キチン、キトサン、グルコマンナン、アガロース、ゼラチンなどの天然高分子化合物;などを挙げることができる。フィルム基材には、必要に応じて、エッチング、コロナ放電、プラズマ処理、電子線照射などの前処理を施したり、接着剤を予め塗布したりすることができる。
【0028】
水系重合性単量体組成物を基材上に塗布するには、該基材の片面または両面に、スプレー法、ディッピング法、コーターを用いた塗布法、印刷機による印刷法など任意の塗工法を利用することができる。
【0029】
湿潤状態の塗膜の厚みは、生成するイオン架橋重合体フィルムの厚みが、好ましくは0.01?100μm、より好ましくは0.1?10μmの範囲となるように調整することが好ましい。水系重合性単量体組成物の塗布量は、水の含有量または固形分濃度にもよるが、好ましくは0.1?100g/m^(2)、より好ましくは1?80g/m^(2)である。
【0030】
本発明に従い、上記のようにして透明フィルム基材上に形成された水系重合性単量体組成物の湿潤状態の塗膜に、特に乾燥等の前処理を行なうことなく、電子線を照射して、イオン架橋重合体膜に転換する。
【0031】
電子線としては、0.1?2000kV,好ましくは1?300kV,の加速電圧で加速された電子線を、1?300kGy、好ましくは5?200kGyの線量で照射する、とよい。照射は、一般に電子線源とフィル基材上の塗膜とを相対移動させながら行われるが、フィルム基材上の特定部位における塗膜への電子線の照射時間は、数秒程度である。上記した程度の加速電圧で照射された電子線は、上記した程度の厚さの透明フィルム基材を透過しても、それほどエネルギーを減殺されることがない。従って、塗膜を形成した透明フィルム基材の下側から、透明フィルム基材を透過して照射することにより塗膜を硬化させることも可能であり、また透明フィルム基材上に形成した湿潤状態の塗膜を更に同様な(但し別種でもよい)透明フィルム基材で更に覆った後に、透明フィルム基材を透過して、電子線を照射することにより塗膜を硬化させることも可能である。このような、一対の透明フィルム基材で挟持した湿潤状態の水系重合性単量体組成物の塗膜を電子線照射により硬化させることは、照射を安定に行なうことができ、また塗膜の硬化後にラミネートする工程を省くことができ、生産性を高める点で、本発明において特に好ましく用いられる。
【0032】
上記のようにして電子線照射により硬化したイオン架橋重合体膜については、更に加熱することも好ましい。これにより、塗膜の水分を揮発させて、バリア性を向上することができる。この加熱は、加熱ヒータによる加熱、加熱炉の通過等により、例えば40?180℃の温度で、1秒?30分間行うことが好ましい。
【0033】
上記のようにして得られた本発明の透明ガスバリア性フィルムは、高温・高湿条件下においても優れた酸素ガスバリア性を示すものであり、例えば、温度30℃、相対湿度80%の高湿条件下で測定した酸素透過度が、通常50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下、好ましくは30×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下、より好ましくは20×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下、特に好ましくは10×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下である。
【0034】
特に、本発明の透明ガスバリア性フィルムは、例えば120℃、30分の熱水レトルト処理後においても、同じく温度30℃、相対湿度80%の高湿条件下で測定した酸素透過度が、50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下、好ましくは30×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下、を維持しており、レトルト包装用にきわめて優れた適性を示すことが最大の特徴である。
【0035】
また、本発明の透明ガスバリア性フィルムは、透明性もきわめて優れており、ヘイズメーターで測定したヘイズ値として、通常5%以下、好ましくは3%以下の値を示すことがもう一つの特徴である。
【0036】
6.用途
上述したように、本発明の透明ガスバリア性フィルムは優れた耐レトルト性を有し、特に熱水レトルト殺菌適性が要求されルことの多い、食品包装材料として優れた適性を有するものであるが、これ以外にも酸素によって変質を受け易い食品、飲料、薬品、医薬品、電子部品、精密金属部品などの包装材料として特に好適である。また、本発明のガスバリア性フィルムを用いて形成する包装体の具体的な形状としては、例えば、平パウチ、スタンディングパウチ、ノズル付きパウチ、ピロー袋、ガゼット袋、砲弾型包装袋などが挙げられる。多層ガスバリア性フィルムの層構成(基材の種類)を選択することにより、包装体に、易開封性、易引裂性、収縮性、電子レンジ適性、紫外線遮蔽性、酸素吸収性、意匠性などを付与することができる。
【実施例】
【0037】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、以下の実施例も含めて、本明細書に記載する特性値は、以下の方法による測定値に基づくものである。
【0038】
1.酸素透過度
ガスバリア製フィルム試料の酸素透過度は、モダンコントロール(Modern Control)社製の酸素透過度試験器Oxtran(登録商標)2/20を用いて、温度30℃及び相対湿度80%の条件下で測定した。測定方法は、ASTM D 3985-81(JIS K 7126のB法に相当)に従い、且つ非対称(片側基材)のときは、基材面側を検知器対向面として測定を行った。
測定値の単位は、cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)である。「STP」は、酸素の体積を規定するための標準条件(0℃、1気圧)を意味する。
【0039】
酸素透過度の測定は、多層フィルム(基材付き)の状態で行ったが、基材として使用するフィルムの酸素透過度は十分に大きいため、測定値は、イオン架橋重合体層の酸素透過度と実質的に一致していると評価することができる。
【0040】
2.熱水レトルト処理後酸素透過度
ガスバリア性フィルム試料を、貯塔式(予め温度、圧力を上げた熱水を貯めてからレトルト釜に移し変える方式)のレトルト釜を用い、120℃、30分間の条件でレトルト処理し、レトルト処理後に測定した酸素透過度(30℃・80%RH)を、上記1.と同様に測定した。
【0041】
3.ヘイズ
ガスバリア性フィルム試料のヘイズ値は、JIS K7361に従い、日本電色社製Haze Meter NDH2000を用いて測定した。
【0042】
4.アクリル酸量
ガスバリア性フィルム試料の1gを、50℃のアセトン5g中に24時間浸漬し、液クロマトグラフィー((株)島津製作所製装置を使用)でアクリル酸量を定量した。
【0043】
(実施例1)
アクリル酸(和光純薬製)2.55gと酸化亜鉛(ZnO)(和光純薬製)1.3gを蒸留水3.4gで溶解し、重合性単量体組成物を得た。アクリル酸のカルボキシル基の亜鉛による中和度は91%、水の含有量は51重量%であった。
【0044】
上記の通り調製した重合性単量体組成物を、卓上コーターを用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラーP60」)上に、湿潤状態での塗工量が24g/m^(2)のバーコータで塗工した。塗工後、速やかにトレー搬送コンベア方式のEB照射装置(岩崎電気(株)製「CB250/15/180L」)を用いて、加速電圧100kV、搬送速度10m/分、照射線量50kGyの条件で電子線(EB)を照射し、硬化した組成物からなるガスバリア性膜を有するガスバリア性積層フィルムを得た。このガスバリア性フィルムの酸素透過度(温度30℃、相対湿度80%)は0.5×10^(-3)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)、レトルト処理後の酸素透過度(30℃・80%RH)は、1.5×10^(-3)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)、ヘイズ値は3.2%、アクリル酸は検出されなかった。
【0045】
上記実施例1の概要および得られたガスバリア性フィルムの評価結果を、下記実施例、参考例、比較例とともにまとめて、後記表1に示す。
【0046】
(参考例2)
後記表1に示すようにアクリル酸量を2.62g、酸化亜鉛量を1.4gおよび蒸留水量を3.5g、にそれぞれ変更して得られた重合性単量体組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、湿潤状態の塗膜を形成した後、速やかに、内面をコロナ処理した厚さ12μm2軸延伸6ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製「エムブレムONy#15」)を塗膜表面に被せて、「基材/湿潤状態の塗膜/基材」の層構成を持つ多層構造体を得た。次いで、基材(ONy#15)の上から、UV照射装置((株)GSYUASA製「CompactUVConveyorCSOT・40」)を用いて、ランプ出力120W/cm、搬送速度5m/min、ランプ高さ24cmの条件で紫外線を照射し、ガスバリア性膜を中間層に有するガスバリア性積層フィルムを得て、実施例1と同様に評価を行った。
【0047】
(実施例3)
後記表1に示すようにアクリル酸量を2.3g、酸化亜鉛量を1.2gおよび蒸留水量を3.2g、にそれぞれ変更し、更に架橋成分として、シリル基変性PVA(ポリビニルアルコール)((株)クラレ製「R-1130」;平均重合度1700、ケン化度98%のPVAのOH基をシリル基で変性したもの)を0.2gを加えて形成した重合性単量体組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0048】
(実施例4)
後記表1に示すようにアクリル酸量を2.1g、酸化亜鉛量を1.1gおよび蒸留水量を3g、にそれぞれ変更し、更に架橋成分として、ニ官能アクリレートである2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート(新中村化学工業(株)製「701A」)0.15gを加えて形成した重合性単量体組成物を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0049】
(比較例1)
後記表1に示すようにアクリル酸量を4gおよび蒸留水量を2gにそれぞれ変更し、酸化亜鉛を除いて形成した重合性単量体組成物(中和度:0%)を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0050】
(比較例2)
後記表1に示すようにアクリル酸量を3g、酸化亜鉛量を1.1gおよび蒸留水量を2g、にそれぞれ変更して形成した重合性単量体組成物(中和度:64%)を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0051】
(比較例3)
後記表1に示すようにアクリル酸5gのみからなる重合性単量体組成物(中和度:0%、水分量0%)を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0052】
(比較例4)
後記表1に示すようにアクリル酸量を2.5g、酸化亜鉛量を1.5gおよび蒸留水量を1g、にそれぞれ変更して形成した重合性単量体組成物(中和度:105%、水分量27%)を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0053】
(比較例5)
後記表1に示すようにアクリル酸および酸化亜鉛の代わりにジアクリル酸亜鉛(Aldrich社製)2.5gに変更し、蒸留水4gとともに形成した重合性単量体組成物(中和度:100%、水分量63%)を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0054】
(比較例6)
後記表1に示すようにアクリル酸量を2.5g、酸化亜鉛量を1.2gおよび蒸留水量を25g、にそれぞれ変更して形成した重合性単量体組成物(中和度:84%、水分量88%)を用いる以外は実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムを得て、評価した。
【0055】
上記実施例、参考例及び比較例の概要および得られたガスバリア性フィルムの評価結果を、まとめて、下記表1に示す。
【0056】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0057】
上記表1の結果に示されるように、本発明に従う実施例により得られたガスバリア性フィルムは、いずれもヘイズ値が5%以下で良好な透明性を有するほか、30℃、相対湿度80%の高湿度雰囲気下での酸素透過度が10×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下と極めて高いガスバリア性を有するほか、120℃、30分のレトルト処理後においても、その酸素透過度が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下に抑制されており、優れたレトルト包装材料であることが分る。但し、紫外線照射を行なった参考例2においては、残留モノマー(アクリル酸)量が、0.1mg/1gと若干多かった。
【0058】
これに対し、多価金属(亜鉛)を含まない重合性単量体組成物を用いて得られた比較例1及び3のガスバリア性フィルム酸素透過度が、500×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)程度ときわめて劣悪である。
【0059】
他方、多価金属による中和度が64%である比較例2のガスバリア性フィルムは、レトルト処理前における酸素透過度が、2×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)と良好であるが、レトルト処理後における酸素透過度は、82×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)と著しく増大し、耐レトルト性包装材料としては不満である。また、中和度を84%に高めても水分量が88%と高い重合性単量体組成物を用いて得られたガスバリア性フィルムは、酸素透過度がレトルト処理前においても500×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)と増大し、ガスバリア性包装材料としては不満である。
【0060】
また中和度が100%以上の重合性単量体組成物を用いて得られたガスバリア性フィルムは、ヘイズ値が18?19%と高く、またレトルト処理前の酸素透過度が40×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)であり、レトルト処理後においては、50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)を超え、耐レトルト性透明ガスバリア性包装材料としては未だ不満足である。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下の透明ガスバリア性フィルムであって、前記イオン架橋重合体膜が、前記α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水湿潤塗膜の電子線照射による硬化膜であることを特徴とする、レトルト包装用透明ガスバリア性フィルム。
【請求項2】 (削除)
【請求項3】
前記イオン架橋重合体膜が、一対の透明フィルム基材間に挟持されている請求項1に記載の透明ガスバリア性フィルム。
【請求項4】
透明フィルム基材上に、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩を、組成物全量基準で35?85重量%の水に溶解してなる重合性単量体組成物を塗布して、湿潤状態の塗膜を形成し、該塗膜に電子線を照射して、α,β-不飽和カルボン酸を重合するとともに生成重合体をイオン架橋して、イオン架橋重合体膜を形成することを特徴とする、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属との塩のイオン架橋重合体膜を、透明フィルム基材上に形成してなり、ヘイズ値が5%以下、且つ120℃、30分の熱水レトルト処理後の30℃・80%相対湿度雰囲気下での酸素透過係数が50×10^(-4)cm^(3)(STP)/(m^(2)・s・MPa)以下であるレトルト包装用透明ガスバリア性フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記重合性単量体組成物が重合開始剤を含まない組成物である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記重合性単量体組成物が、α,β-不飽和カルボン酸とその91?95%を中和する量の多価金属化合物とを水媒体中で反応させてなる請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記重合性単量体組成物が、α,β-不飽和カルボン酸の水溶液に、α,β-不飽和カルボン酸の多価金属塩を添加してなる、同α,β-不飽和カルボン酸の多価金属による部分中和塩の水溶液である請求項4?6のいずれかに記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-14 
出願番号 特願2011-4272(P2011-4272)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (B32B)
P 1 651・ 537- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 家城 雅美  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 井上 茂夫
蓮井 雅之
登録日 2015-05-15 
登録番号 特許第5740990号(P5740990)
権利者 凸版印刷株式会社
発明の名称 レトルト包装用透明ガスバリア性フィルムおよびその製造方法  
代理人 関口 俊三  
代理人 加藤 秀隆  
代理人 加藤 秀隆  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  
代理人 猿渡 章雄  
代理人 波多野 久  
代理人 波多野 久  
代理人 関口 俊三  
代理人 河村 修  
代理人 特許業務法人東京国際特許事務所  
代理人 猿渡 章雄  
代理人 河村 修  
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