• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B64D
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B64D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B64D
管理番号 1331202
異議申立番号 異議2016-700452  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-18 
確定日 2017-07-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5818876号発明「航空機内部のラバトリー」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5818876号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、4〕、2、〔5?11〕、〔12、17〕、〔13、15〕、14、16、〔18?20〕について訂正することを認める。 特許第5818876号の請求項1?20に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5818876号の請求項1?20に係る特許についての出願は、2011年4月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年4月18日(US)アメリカ合衆国 2010年5月20日(US)アメリカ合衆国 2010年4月20日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成27年10月9日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人奥村一正(以下、「特許異議申立人」という。)により請求項1?20に対して特許異議の申立てがされ、平成28年8月23日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年11月28日に意見書の提出及び訂正請求があり、同年12月16日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、その訂正請求に対して平成29年1月20日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年3月9日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年5月2日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成28年11月28日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の(1)?(12)のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「垂直面内で実質的に平坦でない後部」とあるのを、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部」に、特許請求の範囲の請求項1に「垂直面内で実質的に平坦でない形状の外側後面を持つ後部」とあるのを、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部」に、それぞれ訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている」とあるのを、
「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に「前記航空機客室乗客席は前記ラバトリー区画ユニットの直前に設置され、前記ラバトリー区画ユニットの前記前壁部が前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のラバトリー。」とあるのを、
「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のラバトリーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有するラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、ラバトリー区画ユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成され、
前記航空機客室乗客席は前記ラバトリー区画ユニットの直前に設置され、前記ラバトリー区画ユニットの前記前壁部が前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とするラバトリー。」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「垂直面内で実質的に平坦でない後部」とあるのを、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部」に、特許請求の範囲の請求項5に「垂直面内で実質的に平坦でない形状の外側後面を持つ後部」とあるのを、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部」に、それぞれ訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項12に「垂直面内で実質的に平坦でない形状の外側後面を持つ後部」とあるのを、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項12に「前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、を備えるアセンブリ。」とあるのを、
「前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成することを特徴とするアセンブリ。」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項13に「前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置されることを特徴とする請求項12に記載のアセンブリ。」とあるのを、
「航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置され、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成されていることを特徴とするアセンブリ。」に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項14に「前記エンクロージャーユニットの前記前壁部が、前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。」とあるのを、
「航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置され、
前記エンクロージャーユニットの前記前壁部が、前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とするアセンブリ。」に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項16に「前記エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含むことを特徴とする請求項12に記載のアセンブリ。」とあるのを、
「航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含み、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成され、
前記脚部は、前記前壁部の最前部よりも後方まで延びていることを特徴とすることを特徴とするアセンブリ。」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項18に「垂直面内で実質的に平坦でない形状の外側後面を持つ後部」とあるのを、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部」に訂正する。

(11)訂正事項11
発明の詳細な説明の段落【0009】の「したがって、一つの好適な態様では、本発明は、垂直面内で実質的に平坦でない後部を有する構造を備える航空機の客室用のエンクロージャーユニットを提供する。エンクロージャーユニットは、例えば、ラバトリー、航空機用クローゼット、または航空機用ギャレーであってもよい。一つの好適な態様では、エンクロージャーユニットは、隣接する航空機客室構造よりも背が高い一つ以上の壁を備える。一つ以上の壁は内部エンクロージャー空間を画成し、前壁部を有する。前壁部は、航空機客室構造の外側後面のすぐ後に隣接してまたは当接して配置されるように構成される。前壁部は、航空機客室構造の外側後面の形状に実質的に適合するように形成される。」という記載を、「したがって、一つの好適な態様では、本発明は、垂直面内で実質的に平坦でない後部を有する構造を備える航空機の客室用のエンクロージャーユニットを提供する。エンクロージャーユニットは、例えば、ラバトリー、航空機用クローゼット、または航空機用ギャレーであってもよい。一つの好適な態様では、エンクロージャーユニットは、隣接する航空機客室構造よりも背が高い一つ以上の壁を備える。一つ以上の壁は内部エンクロージャー空間を画成し、前壁部を有する。前壁部は、航空機客室構造の外側後面のすぐ後に隣接してまたは当接して配置されるように構成される。前壁部は、航空機客室構造の外側後面の形状に実質的に適合するように形成される。一つの好適な態様において、前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する。」に訂正する。

(12)訂正事項12
発明の詳細な説明の段落【0012】の「別の好適な態様では、航空客室構造がラバトリー区画ユニットの直前に設置される乗客席であり、ラバトリー区画ユニットの前壁部が乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。別の好適な態様では、前壁部が、ラバトリー区画ユニットの直前に隣接する乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備える。別の好適な態様では、前壁部が、前壁部の最後部の前方の領域内の内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成する。補助空間は、前壁部の最後部の前方の領域内に、ラバトリー区画ユニット内部のアメニティー収納空間を提供してもよいし、前壁部の最後部の前方の領域内のラバトリー内部に、視覚空間を提供する設計要素を備えてもよい。」という記載を、「別の好適な態様では、航空客室構造がラバトリー区画ユニットの直前に設置される乗客席であり、ラバトリー区画ユニットの前壁部が乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。別の好適な態様では、前壁部が、ラバトリー区画ユニットの直前に隣接する乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備える。別の好適な態様では、前壁部が、前壁部の最後部の前方の領域内の内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成する。補助空間は、前壁部の最後部の前方の領域内に、ラバトリー区画ユニット内部のアメニティー収納空間を提供してもよいし、前壁部の最後部の前方の領域内のラバトリー内部に、視覚空間を提供する設計要素を備えてもよい。一つの好適な態様において、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する。別の一つの好適な態様において、前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成される。さらに別の一つの好適な態様において、前記脚部は、前記前壁部の最前部よりも後方まで延びている。」に訂正する。

2 訂正の適否
2-1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載の「垂直面」は、願書に添付した明細書(以下、「明細書」という。)の段落【0018】の「垂直面22」及び図2から、図2における符号「22」が示す部分を意味しているといえるところ、外国語書面の「in a vertical plane」という記載の和訳及び技術常識に鑑みれば、明らかに「水平面に垂直な或る面」を意味しているといえる。
訂正事項1に係る訂正は、上記の意味を踏まえ、また、「内」及び「実質的に」という明瞭でない記載を用いないようにして、「垂直面内で実質的に平坦でない」とあるのを「水平面に垂直な或る面に対して」に訂正することで、「後部」及び「外側後面」の構造を明らかにする訂正であり、当該訂正は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項3の「前記航空機客室乗客席の前記シートバック」という記載、明細書の段落【0018】の「垂直面22内で実質的に平坦でない外側後面20」という記載、並びに、図2の外側後面20の形状及びシートバック44を根拠として、請求項1の「前壁部」の構造に関して、「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている」ことを、「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され」ていることに限定し、さらに、請求項1の「前壁部」の構造に関して、明細書の段落【0018】の「前壁部は、垂直面内で実質的に平坦ではない形状を有している。前壁部が航空機の客室構造の外側後面の形状と実質的に適合するような凹部34を備えた形状であることが好ましい。」という記載、及び、図2の前壁部28の下端となる位置の形状を根拠として、「前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する」ことに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項2における請求項1の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるとともに、訂正事項1と同じ訂正をするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号及び第4号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、請求項5において、訂正事項1と同じ訂正をするものであるから、上記(1)と同様に、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、請求項12において、訂正事項1が含む訂正と同じ訂正をするものであるから、上記(1)と同様に、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6について
訂正事項6は、請求項12において、訂正事項2と実質的に同じ訂正をするものであるから、上記(2)と同様に、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項13における請求項12の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるとともに、訂正事項5及び訂正事項6と同じ訂正をするものであるところ、さらに、図2等を根拠として、前壁部の第2の凹部について、「前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成されている」と限定するものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、「明瞭でない記載の釈明」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(8)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項14における請求項13(請求項13は請求項12を引用する)の引用関係を全て解消し、独立形式請求項に改めるとともに、訂正事項5と同じ訂正をするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号及び第4号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(9)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正前の請求項16における請求項12の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるとともに、訂正事項5及び訂正事項6と同じ訂正をするものであるところ、さらに、図2等を根拠として、前壁部の第2の凹部に係る脚部について、「前記脚部は、前記前壁部の最前部よりも後方まで延びている」と限定するものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項9に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号及び第4号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、「明瞭でない記載の釈明」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(10)訂正事項10について
訂正事項10は、請求項18において、訂正事項1が含む訂正と同じ訂正をするものであるから、上記(1)と同様に、訂正事項10に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(11)訂正事項11について
訂正事項11は、訂正事項2、6、7及び9に係る特許請求の範囲の訂正に合わせて、明細書の記載を整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないからから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、訂正前の明細書の段落【0009】には、請求項1、12、13、16に対応する内容が記載されているから、訂正事項11による明細書の訂正に係る請求項は請求項1、12、13、16である。よって、これらを含む一群の請求項、すなわち訂正前の請求項1?4及び請求項12?17(後述する2-2(1)及び(3)参照)の全てが訂正事項11の対象となり、それ以外の請求項については対象とならない。したがって、訂正事項11は、特許法120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。

(12)訂正事項12について
訂正事項12は、訂正事項7及び9に係る特許請求の範囲の訂正に合わせて、明細書の記載を整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないからから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
また、訂正前の明細書の段落【0012】(段落【0007】?【0009】も併せて参照)には、請求項13及び請求項16に対応する内容が記載されているから、訂正事項12による明細書の訂正に係る請求項は13及び請求項16である。よって、これらを含む一群の請求項、すなわち訂正前の請求項12?17(後述する2-2(3)参照)の全てが訂正事項12の対象となり、それ以外の請求項については対象とならない。したがって、訂正事項12は、特許法120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。

2-2 一群の請求項
(1)
訂正事項1?3に係る訂正前の請求項1?4について、請求項2?4は、直接又は間接的に請求項1を引用しているものであって、訂正事項1及び2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?4に対する訂正後の請求項1?4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)
訂正事項4に係る訂正前の請求項5?11について、請求項6?11は、直接又は間接的に請求項5を引用しているものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項5?11に対する訂正後の請求項5?11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(3)
訂正事項5?9に係る訂正前の請求項12?17について、請求項13?17は、直接又は間接的に請求項12を引用しているものであって、訂正事項5及び6によって記載が訂正される請求項12に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項12?17に対する訂正後の請求項12?17は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(4)
訂正事項10に係る訂正前の請求項18?20について、請求項19?20は、請求項18を引用しているものであって、訂正事項10によって記載が訂正される請求項18に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項18?20に対する訂正後の請求項18?20は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1、3及び4号に規定された事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、3、4〕、2、〔5?11〕、〔12、17〕、〔13、15〕、14、16、〔18?20〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?20に係る発明(以下、「本件発明1?20」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のラバトリーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有するラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、ラバトリー区画ユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成することを特徴とするラバトリー。
【請求項2】
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のラバトリーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有するラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、ラバトリー区画ユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成され、
前記航空機客室乗客席は前記ラバトリー区画ユニットの直前に設置され、前記ラバトリー区画ユニットの前記前壁部が前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とするラバトリー。
【請求項3】
前記航空機客室乗客席の前記後部はシートバックを備え、前記前壁部は、前記ラバトリー区画ユニットの直前にある前記航空機客室乗客席の前記シートバックの後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のラバトリー。
【請求項4】
前記前壁部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックの上方で、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に補助空間を画成することを特徴とする請求項3に記載のラバトリー。
【請求項5】
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のエンクロージャーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する、前記乗客席よりも背が高いエンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する前記乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、エンクロージャーユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記エンクロージャーユニットの前記前壁部は、前記乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることによって前記前壁部における前記後ろに延びる凹部が前記乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されていることを特徴とする航空機用エンクロージャー。
【請求項6】
前記乗客席は前記エンクロージャーユニットの直前に設置されることを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項7】
前記乗客席の前記後部はシートバックを備え、前記前壁部は、前記エンクロージャーユニットの直前にある前記乗客席の前記シートバックの後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項8】
前記エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含むことを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項9】
前記ラバトリー区画の前記前壁部は、前記乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とする請求項8に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項10】
前記前壁部が、前記ラバトリー区画の直前にある乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項8に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項11】
前記前壁部は、前記乗客席のシートバックの上方で、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に補助空間を画成することを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項12】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成することを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置され、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置され、
前記エンクロージャーユニットの前記前壁部が、前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
前記前壁部が、前記航空機客室乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項16】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含み、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成され、
前記脚部は、前記前壁部の最前部よりも後方まで延びていることを特徴とすることを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
前記前壁部が、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成することを特徴とする請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項18】
航空機用ラバトリーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用ラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記航空機客室乗客席は前記航空機用ラバトリー区画ユニットの直前に設置され、前記航空機用ラバトリー区画ユニットの前記前壁部が前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることによって、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている、航空機用ラバトリー区画ユニットと、
を備えるアセンブリ。
【請求項19】
前記前壁部は、前記航空機客室乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記前壁部が、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成することを特徴とする請求項18に記載のアセンブリ。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?20に係る特許に対して平成28年8月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由1]
本件特許の請求項1、3、4、12、13及び15?17に係る発明は、その優先日前に日本国内または外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
刊行物
(1)米国特許第3738497号明細書(以下、「刊行物1」という。)
(2)米国特許第6079669号明細書(以下、「刊行物2」という。)
なお、上記の刊行物1及び2は、平成28年5月18日差出の特許異議申立人による特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)の甲第1及び2号証である。
[取消理由2]
本件特許は、特許請求の範囲(請求項1?20に係る発明)の記載が明確でなく、請求項1?20に係る発明に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。

3 当審の判断
3-1 取消理由1(特許法第29条第2項)について
(1)刊行物に記載された事項及び発明
ア 刊行物1に記載された事項
刊行物1には、図とともに、以下の事項が記載されている。
(1a)
「There are a number of ways to elevate a coat rack so that it will be out of the way and provide more room for passengers in an aircraft or other vehicle.」(1欄4?6行)
和訳:「航空機やその他の車両において、邪魔にならないように、また、乗客にもっと多くの部屋を提供するために、コートラックを持ち上げる多くの方法がある。」
(1b)
「Reference is now made to FIG. 1 wherein there is shown a passenger seat 10 of the type having a tiltable backrest 12 for the comfort of the occupant. This represents the last seat in the row so that the coat closet 14 also serves as a compartment divider. The coat closet 14 has luggage storage space 16 along the floor and an overhead coat compartment 18 adapted to store 48 coats overhead, in one configuration.」(2欄6?13行)
和訳:「図1を参照すると、乗員の快適さのための傾動可能な背もたれ12を持つ型式の乗客席10が示されている。これは、コートクローゼット14がコンパートメント(区画)の仕切として機能するように、列の最後尾の座席を意味している。1つの形態では、コートクローゼット14は、床に沿って配置された荷物保管スペース16と、48着のコートを頭上に収容するのに適した頭上コートコンパートメント18を有している。」
(1c)
「The lower portion 30 of the coat compartment 18 slants rearwardly to provide a space for seatback 12 to be tilted rearwardly as desired by the occupant. The top 32 of storage space 16 also slants rearwardly so as not to interfere with seatback 12 when tilted.」(2欄18?23行)
和訳:「コートコンパートメント18の下部30は、乗客が切望するように後方に傾けられた背もたれ12のための空間を供給するために、後方に傾斜している。保管スペース16の天板32もまた、傾けられた際に背もたれ12に干渉しないように、後方に傾斜している。」
(1d)
「the front wall 40 of closet」(2欄44?45行)
和訳:「クローゼット14の前壁40」

イ 刊行物1に記載された発明
(ア)
「乗客席(a passenger seat)10」の「傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12」に関して、次のことがいえる。
Fig.1から、乗客席(a passenger seat)10の傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12が傾けられた際に、傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12の外側後面が、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の態様をとることが看取ができる。
(イ)
「前壁(the front wall )40」に関して、次のことがいえる。
上記ア(1b)?(1d)を踏まえると、Fig.1から、前壁(the front wall )40は、コートコンパートメント(the coat compartment)18の下部(The lower portion)30及び保管スペース(luggage storage space)16の天板(The top)32により形成される後ろに延びる凹部を有する前壁(the front wall )40であり、コートコンパートメント(the coat compartment)18と保管スペース(luggage storage space)16とを備えるコートクローゼット(the coat closet)14の壁の一部を構成し、コートクローゼット(the coat closet)14空間を画成し、乗客席(a passenger seat)10のすぐ後に隣接して配置されるように構成されこと、及び、上記の後ろに延びる凹部は、乗客席(a passenger seat)10の傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を中に受け入れるように構成されていることが看取できる。
(ウ)
上記(ア)及び(イ)、上記ア(1a)?(1d)、並びに、Fig.1及び3から、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「傾けられた際に水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を有する乗客席(a passenger seat)10を備える航空機の客室用のコートクローゼット(the coat closet)14であって、
前壁(the front wall )40が一部を構成する壁を有するコートクローゼット(the coat closet)14であって、前記前壁(the front wall )40がコートクローゼット(the coat closet)14空間を画成し、傾けられた際に水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を有する乗客席(a passenger seat)10のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁(the front wall )40が構成される、コートクローゼット(the coat closet)14を備え、
前記前壁(the front wall )40における後ろに延びる凹部は、乗客席(a passenger seat)10の傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を中にに受け入れるように構成されているコートクローゼット(the coat closet)14。」

ウ 刊行物2に記載された事項
刊行物2には、図とともに、以下の事項が記載されている。
(2a)
「As shown in FIGS. 1 and 2, the present expandable lavatory 10 is shown disposed proximate the exit door 111 of an airplane (not shown).」(3欄9?11行)
和訳:「図1及び2に示されるように、本願の拡張可能なラバトリー10は、航空機(図示せず)の出口のドア111に近接して配置されて示されている。」

(2)対比・判断
(2-1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
(ア)
引用発明の「乗客席(a passenger seat)10」は、本件発明1の「乗客席」又は「航空機客室乗客席」に相当する。
(イ)
引用発明の「傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12」は、本件発明1の乗客席の「後部」又は「シートバック」に相当する。
(ウ)
引用発明の「コートクローゼット(the coat closet)14」と、本件発明1の「ラバトリー」は、いずれも空間を構成しているものであり、「特定の用途に用いる空間」であるという限りで共通する。
(エ)
上記(ア)?(ウ)を踏まえると、引用発明の「傾けられた際に水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を有する乗客席(a passenger seat)10を備える航空機の客室用のコートクローゼット(the coat closet)14」と、本件発明1の「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のラバトリー」とは、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用の特定の用途に用いる空間」であるという限りで共通する。
(オ)
引用発明の「前壁(the front wall )40」と、本件発明1の「前壁部」とは、「前壁部」であるという限りで共通する。
(カ)
引用発明の「コートクローゼット(the coat closet)14」は、航空機の客室において「区画ユニット」を形成していることが明らかである。
(キ)
上記(ウ)、(オ)及び(カ)を踏まえると、引用発明の「前壁(the front wall )40が一部を構成する壁を有するコートクローゼット(the coat closet)14」と、本件発明1の「前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有するラバトリー区画ユニット」とは、「前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する特定の用途に用いる空間区画ユニット」であるという限りで共通する。
(ク)
本件発明1の「少なくとも一つの壁」は、「前壁部を持つ」ものであるから、本件発明1の「少なくとも一つの壁」は、「前壁部」自体で構成されていてもよいといえる。
(ケ)
上記(ウ)、(オ)及び(ク)を踏まえると、引用発明の「前記前壁(the front wall )40がコートクローゼット(the coat closet)14空間を画成」することと、本件発明1の「前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成」することとは、「前記少なくとも一つの壁が特定の用途に用いる空間の内部空間を画成」することという限りで共通する。
(コ)
上記(ア)?(カ)を踏まえると、引用発明の「傾けられた際に水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を有する乗客席(a passenger seat)10のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁(the front wall )40が構成される、コートクローゼット(the coat closet)14」と、本件発明1の「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、ラバトリー区画ユニット」とは、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、特定の用途に用いる空間区画ユニット」であるという限りで共通する。
(サ)
上記(ア)、(イ)及び(オ)を踏まえると、引用発明の「前記前壁(the front wall )40における後ろに延びる凹部は、乗客席(a passenger seat)10の傾動可能な背もたれ(a tiltable backrest)12を中に受け入れるように構成されている」ことと、本件発明1の「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され」ていることとは、「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有し、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席のシートバックを中に受け入れるように構成され」ていることの限りで共通する。

以上より、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用の特定の用途に用いる空間であって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する特定の用途に用いる空間区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が特定の用途に用いる空間の内部空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、特定の用途に用いる空間区画ユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有し、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席のシートバックを中に受け入れるように構成されている特定の用途に用いる空間。」
<相違点1>
本件発明1では、「前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され」るのに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本件発明1では、「前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する」のに対して、引用発明では、そのように特定されていない点。
<相違点3>
「特定の用途に用いる空間」が、本件発明1では、「ラバトリー」であるのに対して、引用発明では、「コートクローゼット」である点。

イ 判断
事案に鑑み相違点2について検討する。
<相違点2について>
(ア)
上記相違点2に係る本件発明1の構成(第2の凹部に係る構成)は、刊行物2に記載されておらず、また、当該取消理由で、特定の用途に用いる空間に関する周知技術の例として引用した米国特許出願公開第2009/0278429号明細書にも記載されておらず、また、他に当該構成が周知であるという証拠もない。
(イ)
したがって、引用発明に刊行物2に記載の技術事項を適用したとしても、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、容易想到であるとはいえない。
また、他に、引用発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成が容易想到であるといえる根拠も無い。
(ウ)
よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明、刊行物2に記載された技術事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2-2)本件発明3及び4について
本件発明3及び4は、本件発明1を減縮した発明であるところ、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、上記(2-1)イで述べたとおり、引用発明、刊行物2に記載された技術事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2-3)本件発明12、13及び15?17について
本件発明12は、本件発明1の「ラバトリー」に代えて「エンクロージャーユニット」とし、その「エンクロージャーユニット」と「航空機客室乗客席」とからからなる「アセンブリ」としたものであり、実質的に本件発明1の発明特定事項を全て備えるもの(第2 2 2-1(5)及び(6)参照)である。
また、本件発明13及び16は、独立形式で記載されているが本件発明12をさらに限定したものであり(第2 2 2-1(7)及び(9)参照)、本件発明12の発明特定事項を全て備えるものである。
そして、本件発明15は本件発明13を減縮した発明であり、本件発明17は本件発明12を減縮した発明であるから、本件発明15及び本件発明17は、いずれも、本件発明12の発明特定事項を全て備えるものである。
したがって、本件発明12、13及び15?17は、実質的に本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、上記(2-1)イで述べたとおり、引用発明、刊行物2に記載された技術事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)小括
よって、本件発明1、3、4、12、13及び15?17は、引用発明、刊行物2に記載された技術事項、及び、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、取消理由1(特許法第29条第2項)は解消した。

3-2 取消理由2(特許法第36条第6項第2号)について
(1)
本件における「垂直面」は、図2における「垂直面22」を意味しているといえるところ、技術常識等に鑑みると、「水平面に垂直な或る面」を意味していることが明らかである(第2 2 2-1(1)参照。)。
(2)
そして、特許請求の範囲の「垂直面内で実質的に平坦でない後部」及び「垂直面内で実質的に平坦でない形状の外側後面を持つ後部」という発明特定事項は、それぞれ、「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部」及び「水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部」と訂正されたから(第2 2 2-1参照)、「垂直面」、「内」及び「実質的に」に関して明確でなかった訂正前の発明特定事項は明確になり、特許請求の範囲(本件発明1?20)の記載は明確となった。
(3)
以上から、訂正された特許請求の範囲(本件発明1?20)の記載は、明確であり、取消理由2(特許法第36条第6項第2号)は解消した。

3-3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由
(1)本件発明2、5?11、14及び18?20対する特許法第29条第2項について
本件発明2、5?11、14及び18?20は、記載不備を解消した点以外では、取消理由1を通知していない本件訂正前の請求項2、5?11、14及び18?20に係る発明と、それぞれ、実質的に同じ発明であり(第2 2 2-1(3)、(4)、(8)及び(10)、並びに、第2 2 2-2(2)及び(4)参照)、いずれも、「ユニット」の「前記前壁部」が「前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成される」という構成を備えるものであり、当該構成が、公知ないし周知であるという証拠は無く、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)特許法第36条第4項第1号について

特許異議申立人は、特許異議申立書において、「本件特許明細書の【発明を実施するための形態】には、『好適な態様では、ラバトリー区画ユニットの前壁部は、乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。』(段落【0018】」と記載されているのみであり、かかる記載によっては、当業者といえども、『乗客席からの荷重を引き受ける』ような『構成』を具体的に想定することは不可能であり、また、かかる『構成』が周知のものということもできないから、特許発明に係る技術的開示が不十分であるといわざるを得ない。したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者がその実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものとは言えない。」と主張している。

しかしながら、本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0018】の「客室構造は、例えば、エンクロージャーの直前に据え付けられ、垂直面22内で実質的に平坦でない外側後面20を持つ後部18を有する乗客席16であってもよい。ラバトリーは、前壁部28を持つ一つ以上の壁26を有するラバトリー区画ユニット24を備える。一つ以上の壁が内部ラバトリー空間30を画成する。前壁部は、航空機客室構造の外側後面のすぐ後ろに隣接するかこれに当接して配置されるように構成される。前壁部は、垂直面内で実質的に平坦ではない形状を有している。前壁部が航空機の客室構造の外側後面の形状と実質的に適合するような凹部34を備えた形状であることが好ましい。好適な態様では、ラバトリー区画ユニットの前壁部は、乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。」という記載と図2とを併せて参照すれば、当業者であれば、その「荷重を引き受ける」ことに係る具体的な構成(例えば、乗客席16の後方下部を凹部34で支持する構成)は充分に想定し得るものであり、上記主張は採用できない。

したがって、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(特許法第36条第4項第1号)は、理由がない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
航空機内部のラバトリー
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2010年4月20日に出願された米国仮特許出願第61/326,198号、および2010年5月20日に出願された第61/346,835号に基づいており、これらの優先権を主張する。仮特許出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に航空機のエンクロージャー(筐体)に関し、より詳細には、例えば、垂直面内で実質的に平坦でない実質的に垂直方向に延びる外側後面を持つ後部を有する航空機客室構造を含む、ラバトリー(化粧室)、航空機用クローゼット、または航空機用ギャレーなどの航空機客室のエンクロージャーに関する。
【背景技術】
【0003】
航空機のラバトリー、クローゼット、および他のフルハイト(full height)エンクロージャーは、垂直面内で平坦である前壁を通常は有している。このような航空機のラバトリー、クローゼット、および同様のフルハイトのエンクロージャーの前方に設置される乗客席などの構造は、垂直面に輪郭のある形状を有していることが多い。これらの平坦な壁のエンクロージャーと輪郭のある構造とを並置すると、平坦な壁のラバトリーまたはエンクロージャーの機能と、輪郭のある座席または他の構造の機能の両方にとって使用に適さないかなりの容積になる。加えて、構造的荷重を分担しないため、従来の航空機のラバトリーは、ラバトリーのエンクロージャーと隣接する構造との間に隙間が必要であり、その結果、空間の使用がさらに非効率的になる。
【0004】
典型的には客室面積または乗客サービスのクラスを分割する航空機の隔壁がよく使用されている。隔壁は通常、隔壁の直前にあるプレミアムシートの下方に乗客の脚を多少伸ばせるように、隔壁の後に乗客を座らせることができる輪郭を有している。これらは、隔壁の背後に着席する乗客に快適な利益を与えるが、隔壁の前後の座席をより近接させて配置することができないという点で、空間使用の観点で効率を高めることはない。通常は乗客席の座席クッションよりも高くない、背が低く床に取り付けられる収納ボックスが、現在のラバトリーまたは他のエンクロージャーの平坦壁と乗客席との間に配置されることが多い。これらは、ラバトリーまたは他のエンクロージャーの実用性または空間効率を何ら改善していない。様々なアイテムの有用な収納場所を提供するものの、乗客席により多くの空間を提供する十分な追加収納にはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラバトリーのエンクロージャーと隣接構造との間に従来必要である隙間および空間容積を削減または排除して、ラバトリーまたは他のエンクロージャーの前方に設置される乗客席などの隣接構造をさらに後方に取り付けられるようにして、従来技術で可能であったよりも、ラバトリーまたはエンクロージャーの前方のより多くの空間を乗客席または他の構造に提供する、航空機用ラバトリーまたは他のエンクロージャーを提供することが望ましい。
代替的に、本発明は、隣接する座席または他の構造を前方に移動させる必要なしに、より広々としたラバトリーまたは他のエンクロージャーを提供することができる。
【0006】
隣接する乗客席または他の構造からの荷重を負担する壁を有する航空機用ラバトリーまたは他のエンクロージャーを提供し、ラバトリーまたは他のエンクロージャーと隣接する乗客席または他の構造との間に必要な隙間を排除して、より多くの空間を他の用途で利用できるようにすることが望ましい。加えて、ラバトリーまたは他のエンクロージャーが隣接構造からの荷重を負担できるようにすることで、ラバトリーまたは他のエンクロージャーと隣接構造を足した重量を削減することができる。
【0007】
ラバトリーのエンクロージャーと隣接構造との間に従来必要であった隙間および空間容積を削減または排除して、設置する乗客席数を増加し航空機の価値を高めることができる航空機用ラバトリーまたは他のエンクロージャーを提供することが望ましい。本発明は、これらの要望および他の要望を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡潔かつ一般的に述べると、本発明は、例えば、垂直面内で実質的に平坦でない実質的に垂直方向に延びる外側後面を持つ後部を持つ構造を含む航空機の客室向けの、ラバトリー、航空機用クローゼット、または航空機用ギャレーなどのエンクロージャーを提供する。このエンクロージャー構造により、航空機内の空間を大きく節約し、より多くの座席を据え付けるか座席当たりの提供空間を大きくして航空機の価値を高めることができる、構造とエンクロージャーの組み合わせが可能になる。
【0009】
したがって、一つの好適な態様では、本発明は、垂直面内で実質的に平坦でない後部を有する構造を備える航空機の客室用のエンクロージャーユニットを提供する。エンクロージャーユニットは、例えば、ラバトリー、航空機用クローゼット、または航空機用ギャレーであってもよい。一つの好適な態様では、エンクロージャーユニットは、隣接する航空機客室構造よりも背が高い一つ以上の壁を備える。一つ以上の壁は内部エンクロージャー空間を画成し、前壁部を有する。前壁部は、航空機客室構造の外側後面のすぐ後に隣接してまたは当接して配置されるように構成される。前壁部は、航空機客室構造の外側後面の形状に実質的に適合するように形成される。一つの好適な態様において、前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する。
【0010】
別の好適な態様では、エンクロージャーユニットはエンクロージャー区画ユニットを含む。航空機客室構造は、エンクロージャー区画ユニットの直前に設置される乗客席である。別の好適な態様では、エンクロージャーユニットの前壁部が、乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。別の好適な態様では、前壁部が、エンクロージャー区画ユニットの直前に隣接する乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備える。
【0011】
別の好適な態様では、エンクロージャーがラバトリーであり、前壁部を持つ一つ以上の壁を有するラバトリー区画ユニットを含む。一つ以上の壁が内部ラバトリー空間を画成し、垂直面内で実質的に平坦でない形状を持つ外側後面を有する航空機客室構造のすぐ後に隣接してまたは当接して配置されるように前壁部が構成される。
【0012】
別の好適な態様では、航空客室構造がラバトリー区画ユニットの直前に設置される乗客席であり、ラバトリー区画ユニットの前壁部が乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。別の好適な態様では、前壁部が、ラバトリー区画ユニットの直前に隣接する乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備える。別の好適な態様では、前壁部が、前壁部の最後部の前方の領域内の内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成する。補助空間は、前壁部の最後部の前方の領域内に、ラバトリー区画ユニット内部のアメニティー収納空間を提供してもよいし、前壁部の最後部の前方の領域内のラバトリー内部に、視覚空間を提供する設計要素を備えてもよい。一つの好適な態様において、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成する。別の一つの好適な態様において、前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成される。さらに別の一つの好適な態様において、前記脚部は、前記前壁部の最前部よりも後方まで延びている。
【0013】
別の好適な態様では、本発明は、航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室構造と、からなるアセンブリを提供する。組み合わされたアセンブリは、垂直面内で実質的に平坦でない形状を有する外側後面を有する航空機客室構造と、前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットと、を備える。一つ以上の壁が内部エンクロージャー空間を画成し、航空機客室構造のすぐ後に隣接して前壁部が配置され、航空機客室構造の外側後面の形状に実質的に適合するように前壁部が形成される。別の好適な態様では、航空客室構造がエンクロージャーユニットの直前に設置される乗客席である。別の好適な態様では、前壁部が乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。別の好適な態様では、前壁部が、航空機用エンクロージャーユニットの直前に隣接する乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備える。
【0014】
別の好適な態様では、航空機用エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含み、一つ以上の壁が内部ラバトリー空間を画成する。別の好適な態様では、前壁部が、前壁部の最後部の前方の領域内の内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成する。
【0015】
別の好適な態様では、本発明は、航空機用ラバトリーユニットと、航空機客室用の航空機客室構造と、からなるアセンブリを提供する。組み合わされたアセンブリは、垂直面内で実質的に平坦でない形状を有する外側後面を有する航空機客室構造と、前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用ラバトリー区画ユニットと、を備える。別の好適な態様では、一つ以上の壁が内部ラバトリー空間を画成し、航空機客室構造のすぐ後に隣接して前壁部が配置され、航空機客室構造の外側後面の形状に実質的に適合するように前壁部が形成される。別の好適な態様では、航空客室構造が、ラバトリー区画ユニットの直前に設置される乗客席であり、ラバトリー区画ユニットの前壁部が乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。別の好適な態様では、前壁部が、ラバトリー区画ユニットの直前に隣接する乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備える。別の好適な態様では、前壁部が、前壁部の最後部の前方の領域内の内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成する。
【0016】
本発明のこれらのおよび他の態様および利点は、以下の詳細な説明と、本発明の特徴を例として図解する添付の図面とから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】航空機の乗客席のすぐ後に隣接するラバトリーの従来技術による設置の模式図である。
【図2】航空機客室の乗客席のすぐ後に隣接するかこれと当接する本発明のラバトリーの設置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例として提供するが限定を目的としない図を参照すると、本発明は、航空機(図示せず)の客室12用ラバトリーなどのエンクロージャー10を提供する。しかし、エンクロージャーは、例えば航空機用クローゼット、航空機用ギャレー、または同様の閉鎖されるか構造的に画成された空間であってもよい。図2に示すように、客室は構造14を備える。エンクロージャーはこの客室構造よりも高くてもよい。客室構造は、例えば、エンクロージャーの直前に据え付けられ、垂直面22内で実質的に平坦でない外側後面20を持つ後部18を有する乗客席16であってもよい。ラバトリーは、前壁部28を持つ一つ以上の壁26を有するラバトリー区画ユニット24を備える。一つ以上の壁が内部ラバトリー空間30を画成する。前壁部は、航空機客室構造の外側後面のすぐ後ろに隣接するかこれに当接して配置されるように構成される。前壁部は、垂直面内で実質的に平坦ではない形状を有している。前壁部が航空機の客室構造の外側後面の形状と実質的に適合するような凹部34を備えた形状であることが好ましい。好適な態様では、ラバトリー区画ユニットの前壁部は、乗客席からの荷重を引き受けるように構成される。
【0019】
別の好適な態様では、前壁部は、前壁部の最後部40の前方の領域38内の内部ラバトリー空間内に、補助空間36を画成する。前壁部は、ラバトリー区画ユニットの直前に隣接するシートバック44の後部上方に突出するように構成された前方突出部42を備える。補助空間は、前壁部の最後部の前方の領域内に、ラバトリー区画ユニット内部のアメニティー収納空間46を含んでもよい。補助空間は、前壁部の最後部の前方の領域内のラバトリー内部に、空間の視覚認識などの視覚空間を提供する設計要素を備えてもよい。
【0020】
本発明の特定の形態について図解し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正をなし得ることは、上記から明らかだろう。したがって、添付の請求項によるものを除き、本発明を限定することは意図されていない。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のラバトリーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有するラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、ラバトリー区画ユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成され、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成することを特徴とするラバトリー。
【請求項2】
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のラバトリーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有するラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、ラバトリー区画ユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成され、
前記航空機客室乗客席は前記ラバトリー区画ユニットの直前に設置され、前記ラバトリー区画ユニットの前記前壁部が前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とするラバトリー。
【請求項3】
前記航空機客室乗客席の前記後部はシートバックを備え、前記前壁部は、前記ラバトリー区画ユニットの直前にある前記航空機客室乗客席の前記シートバックの後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のラバトリー。
【請求項4】
前記前壁部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックの上方で、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に補助空間を画成することを特徴とする請求項3に記載のラバトリー。
【請求項5】
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない後部を有する乗客席を備える航空機の客室用のエンクロージャーであって、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する、前記乗客席よりも背が高いエンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する前記乗客席のすぐ後に隣接して配置されるように前記前壁部が構成される、エンクロージャーユニットを備え、
前記前壁部は、後ろに延びる凹部を有することによって前記乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように形成され、前記エンクロージャーユニットの前記前壁部は、前記乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることによって前記前壁部における前記後ろに延びる凹部が前記乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されていることを特徴とする航空機用エンクロージャー。
【請求項6】
前記乗客席は前記エンクロージャーユニットの直前に設置されることを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項7】
前記乗客席の前記後部はシートバックを備え、前記前壁部は、前記エンクロージャーユニットの直前にある前記乗客席の前記シートバックの後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項8】
前記エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含むことを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項9】
前記ラバトリー区画の前記前壁部は、前記乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とする請求項8に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項10】
前記前壁部が、前記ラバトリー区画の直前にある乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項8に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項11】
前記前壁部は、前記乗客席のシートバックの上方で、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に補助空間を画成することを特徴とする請求項5に記載の航空機用エンクロージャー。
【請求項12】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成することを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置され、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記航空機客室乗客席が、前記エンクロージャーユニットの直前に設置され、
前記エンクロージャーユニットの前記前壁部が、前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
前記前壁部が、前記航空機客室乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項16】
航空機用エンクロージャーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用エンクロージャーユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席のシートバックの外側後面の平坦でない形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記シートバックを中に受け入れるように構成されている、航空機用エンクロージャーユニットと、
を備え、
前記エンクロージャーユニットがラバトリー区画を含み、
前記前壁部は、当該前壁部の下端となる位置であって且つ前記凹部から離間した位置に、後ろに延びる第2の凹部を形成し、
前記第2の凹部は、前記航空機客室乗客席の脚部を中に受け入れるように構成され、
前記脚部は、前記前壁部の最前部よりも後方まで延びていることを特徴とすることを特徴とするアセンブリ。
【請求項17】
前記前壁部が、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成することを特徴とする請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項18】
航空機用ラバトリーユニットと、航空機客室用の航空機客室乗客席と、からなるアセンブリであって、組み合わされたアセンブリが、
水平面に垂直な或る面に対して平坦でない形状の外側後面を持つ後部を有する航空機客室乗客席と、
前壁部を持つ少なくとも一つの壁を有する航空機用ラバトリー区画ユニットであって、前記少なくとも一つの壁が内部ラバトリー空間を画成し、前記航空機客室乗客席のすぐ後に隣接して前記前壁部が配置され、後ろに延びる凹部を前記前壁部が有することによって前記航空機客室乗客席の前記後部の外側後面の形状に実質的に適合するように前記前壁部が形成され、前記航空機客室乗客席は前記航空機用ラバトリー区画ユニットの直前に設置され、前記航空機用ラバトリー区画ユニットの前記前壁部が前記航空機客室乗客席からの荷重を引き受けるように構成されることによって、前記前壁部における前記後ろに延びる凹部は、前記航空機客室乗客席の前記後部を中に受け入れるように構成されている、航空機用ラバトリー区画ユニットと、
を備えるアセンブリ。
【請求項19】
前記前壁部は、前記航空機客室乗客席の後部上方に突出するように構成された前方突出部を備えることを特徴とする請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記前壁部が、該前壁部の最後部の前方の領域内の前記内部ラバトリー空間内に、補助空間を画成することを特徴とする請求項18に記載のアセンブリ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-26 
出願番号 特願2013-506240(P2013-506240)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (B64D)
P 1 651・ 121- YAA (B64D)
P 1 651・ 537- YAA (B64D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 黒田 暁子  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 氏原 康宏
出口 昌哉
登録日 2015-10-09 
登録番号 特許第5818876号(P5818876)
権利者 ビーイー・インテレクチュアル・プロパティー・インコーポレイテッド
発明の名称 航空機内部のラバトリー  
代理人 朝倉 悟  
代理人 川崎 康  
復代理人 青木 武司  
復代理人 村田 雄祐  
代理人 永井 浩之  
代理人 宮嶋 学  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 森下 賢樹  
代理人 宮嶋 学  
代理人 堀田 幸裕  
復代理人 青木 武司  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 森下 賢樹  
代理人 永井 浩之  
代理人 中村 行孝  
代理人 中村 行孝  
代理人 関根 毅  
代理人 朝倉 悟  
代理人 堀田 幸裕  
復代理人 村田 雄祐  
代理人 関根 毅  
代理人 川崎 康  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ