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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01C
管理番号 1331262
異議申立番号 異議2017-700467  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-15 
確定日 2017-08-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第6024366号発明「情報処置装置および処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6024366号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6024366号の請求項1ないし4に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、平成24年10月10日に出願され、平成28年10月21日に特許権の設定登録がなされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人特許業務法人にじいろ特許事務所(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6024366号の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりのものである。

「【請求項1】
車載機器及び携帯端末の位置情報を取得する取得部と、
前記車載機器を搭載する移動体の移動開始及び移動終了を検知する検知部と、
前記検知部が検知した前記移動体の移動開始から移動終了までは前記車載機器の位置情報を取得して、車載機器の区分の位置情報として記録し、前記検知部が前記移動体の移動終了を検知した後は前記携帯端末の位置情報を取得し、位置情報の送信元の切り替えの際には、前記携帯端末から取得した位置情報を前記車載機器から取得した位置情報で補正した位置情報を携帯端末の区分の位置情報として記録する処理部と、
前記検知部が前記移動体の移動開始を検知したときは、前記携帯端末に対して位置情報の出力停止指示を行う指示部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、位置情報の送信元の切り替えの際には、前記携帯端末から取得した位置情報を前記車載機器から取得した位置情報に近づくように補正した位置情報を携帯端末の区分の位置情報として記録する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記車載機器と前記携帯端末間の通信可否を検知し、
前記処理部は、前記車載機器と前記携帯端末間の通信が可能である場合は前記車載機器の位置情報を取得し、前記車載機器と前記携帯端末間の通信が不可である場合は前記携帯端末の位置情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
車載機器及び携帯端末の位置情報を取得する取得ステップと、
前記車載機器を搭載する移動体の移動開始及び移動終了を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて検知した前記移動体の移動開始から移動終了までは前記車載機器の位置情報を取得して、車載機器の区分の位置情報として記録し、前記検知ステップにおいて前記移動体の移動終了を検知した後は前記携帯端末の位置情報を取得し、位置情報の送信元の切り替えの際には、前記携帯端末から取得した位置情報を前記車載機器から取得した位置情報で補正した位置情報を携帯端末の区分の位置情報として記録する処理ステップと、
前記検知ステップにおいて前記移動体の移動開始を検知したときは、前記携帯端末に対して位置情報の出力停止指示を行う指示ステップと、
を備えることを特徴とする処理方法。」

第3 申立理由の概要
特許異議申立人の主張する申立理由の要旨は、次のとおりである。

本件発明1ないし4は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、本件発明1ないし4に係る特許を取り消すべきものである。

[証拠方法]
甲第1号証:特開2011-172151号公報
甲第2号証:特開平10-111877号公報
甲第3号証:特開2009-121885号公報

第4 甲号証の記載
1 甲第1号証について
甲第1号証(特開2011-172151号公報)には、「情報制御システム及び情報制御方法」に関し、図面(特に図1ないし図6参照)とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。

(1)「【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る情報制御システム10の構成概要図である。図1のとおり、情報制御システム10は、車載機1及び携帯端末2を備えて構成されている。情報制御システム10において、車載機1により取得する位置情報等の行動履歴は車載機1からセンター3へ送信され、携帯端末2により取得する位置情報等の行動履歴は携帯端末2からセンター3へ送信される。」
【0016】
車載機1は、車両の位置情報等の行動履歴を取得する機能を有し、車両用ナビゲーション装置、位置情報取得装置、通信装置、記憶装置、地図DB等を備える。車両用ナビゲーション装置は、車両の目的地までの経路案内を行うものであり、操作者によって操作される操作部、目的地設定や経路検索などを行う演算処理部、地図情報などを表示する画像表示部などを備え、例えば画面入出力機能を有する。
【0017】
位置情報取得装置は、車両の位置を取得するものであり、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するGPS受信機、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ、車両の走行距離を検出する距離センサなどを備えるが、それ以外ででもよい。記憶装置は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などにより構成され、各種情報を記憶する機能を有する。また、地図DBは、地図情報を記憶する機能を有する。
【0018】
通信装置は、外部との接続を可能とする通信機能を有し、例えば、無線装置を用いて自車の走行履歴情報をセンター3へ送信し、センター3から送信された各種情報を受信することができる。車載機1は、通信装置を用いて、行動履歴やアクセサリーイベントをセンター3へ送信できる(送信A)。
【0019】
携帯端末2は、保有者の位置情報等の行動履歴を取得する機能を有し、位置情報取得装置、通信装置、記憶装置等を備える。位置情報取得装置は、保有者の位置を取得するものであり、GPS衛星からの信号を受信するGPS受信機などを備える。記憶装置は、ROM及びRAMなどにより構成され、各種情報を記憶する機能を有する。
【0020】
通信装置は、外部との接続を可能とする通信機能を有し、例えば、無線装置を用いて保有者の行動履歴情報をセンター3へ送信し、センター3から送信された各種情報を受信することができる。携帯端末2は、通信装置を用いて、行動履歴をセンター3へ送信できる(送信B)。携帯端末2としては、例えば携帯電話が用いられる。
【0021】
センター3は、各種ユーザから取得した情報を管理する情報管理センターであり、センター3には、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAMなどにより各種情報を記憶する記憶装置、通信装置などから構成されたサーバを備える。センター3においては、取得した情報をフィルタリングし、判定処理する。例えば、センター3は、車載機1からの送信A及び携帯端末2からの送信Bをもとに車載機1及び携帯端末2の位置情報を判定し、後述のとおり、位置情報取得停止(開始)イベントを携帯端末2へ送信することができる(送信C)。
【0022】
図2は、本発明の実施形態における乗車時の情報制御システム10を示す構成概要図である。車両4に乗車する前は、携帯端末2により位置情報が取得されている。
【0023】
携帯端末2の保有者が車載機1を搭載する車両4に乗車し、車両4のアクセサリースイッチがオンの状態にされると、車載機1の位置情報取得機能が作動し、位置情報を取得する。また、車載機1からセンター3へアクセサリーオンのイベントが送信される(送信A_(1))。
【0024】
送信A_(1)を受信したセンター3は、携帯端末2に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、携帯端末2はセンター3へ位置情報を送信する(送信B_(1))。
【0025】
送信B_(1)を受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報を比較する。ここで、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致しているか否かは、例えば、図3のように判断することができる。
【0026】
図3は、携帯端末2により取得する位置情報と車載機1により取得する位置情報の一致する状態を示す説明図である。車載機1の位置履歴が1aの位置にあり、携帯端末2の位置履歴が2aの位置にある場合には、車載機1と携帯端末2の位置情報が一致していない。しかし、車載機1の位置履歴と携帯端末2の位置履歴が例えば車両4のアクセサリースイッチがオンになるときには、車載機1の位置履歴が1bの位置にあり、携帯端末2の位置履歴が2bの位置になり、両者の位置が重なっているので、車載機1と携帯端末2の位置情報は重複し、一致する。
【0027】
センター3が、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致していると判断した場合には、携帯端末2に位置情報取得の停止命令が送信される(送信C_(1))。停止命令を受信した携帯端末2は、位置情報の取得を停止し、位置履歴情報(行動履歴)をセンター3へ転送する(送信B_(2))。一方、車載機1は位置情報を取得する。このように、携帯端末2と車載機1の位置情報取得のシームレスな切り替えによって、携帯端末2の電力消費を抑えながら、保有者に特別な操作をさせることなく、行動履歴をシームレスに取得することができる。
【0028】
図4は、本発明の実施形態における降車時の情報制御システム10を示す構成概要図である。車両4から降車する前は、車載機1により位置情報が取得されている。また、その位置情報は携帯端末2に転送されていてもよい。
【0029】
携帯端末2の保有者が車両4から降車する際に、車両4のアクセサリースイッチがオフの状態になるときに、車両4の車載機1からセンター3へアクセサリーオフのイベントが送信される(送信A_(2))。また、このアクセサリーオフのイベントは携帯端末2に送信されてもよく、このイベントを受信した携帯端末2は位置情報を取得してもよい。
【0030】
送信A_(2)を受信したセンター3は、車載機1に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、車載機1はセンター3へ位置情報を送信する(送信A_(3))。
【0031】
送信A_(3)を受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2の位置情報を比較する。車載機1が取得した位置情報と携帯端末2の位置情報が一致しているか否かは、上述の図3のように判断すればよい。
【0032】
センター3が、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致していないと判断した場合には、携帯端末2に位置情報取得の開始命令を送信することができる(送信C_(2))。開始命令を受信した携帯端末2は、位置情報を取得する。一方、車載機1は位置履歴情報(行動履歴)をセンター3へ転送し(送信A_(4))、位置情報取得を停止する。このように、携帯端末2と車載機1の位置情報取得のシームレスな切り替えによって、携帯端末2と車載機1の位置情報が一致しなくなるときにおいても、保有者に特別な操作をさせることなく、行動履歴をシームレスに取得することができる。
【0033】
図5は、本発明の実施形態における乗車時の情報制御方法の一例を示すフローチャートである。S2は、車両4に乗車する前であり、携帯端末2で位置情報が取得されている。次にS4においては、アクセサリースイッチがオンの状態になっているか否か判定される。オンの状態と判断されるとS6へ進み、オンの状態と判断されない場合はS2へ戻り、携帯端末2で位置情報の取得を続ける。
【0034】
S6においては、車載機1から通信装置を利用してセンター3経由で携帯端末2にアクセサリーオンのイベントが送信される。あるいは、近接通信装置を介して携帯端末2に送信してもよい。S8においては、認証済みの携帯端末を探索する。認証は事前に各機器をセンター3へ登録する形でもよいし、近接通信装置を用いて車載機1と携帯端末との間でペアリングを取る形でもよい。もし携帯端末2が認証済みの携帯端末でない場合は、引き続き携帯端末2により位置情報の取得を続ける。
【0035】
携帯端末2が認証済みの携帯端末である場合、S10において車載機1と携帯端末2の位置情報が比較される。車載機1においては、アクセサリースイッチがオンの状態になると、位置情報を取得することができ、例えば、携帯端末2と車載機1の両方の位置情報が一定範囲に含まれる場合、同じ位置にあると判定される。あるいは、近接通信によって通信可能であるという判断によって同じ位置か否かを判定してもよいし、有線接続による通信可能なことを条件に判定してもよい。また、車載機1による位置情報は、前回降車時の位置情報を利用してもよいし、センター3に蓄積された履歴を利用してもよいし、短期間のみ位置情報を取得してもよい。
【0036】
車載機1と携帯端末2の位置情報が一致する場合には、S12において、携帯端末2に位置情報取得の停止命令を送信する。位置情報取得の停止命令を受け取った携帯端末2は、S14において位置情報の取得を停止し、センター3あるいは車載機1に対して行動履歴を送信する。その後、S16において車載機1が位置情報取得を開始する。また、S18において、車載機1が取得した位置情報は、位置情報取得を停止した携帯端末2に送信される。
【0037】
図6は、本発明の実施形態における降車時の情報制御方法の一例を示すフローチャートである。S20においては、車両4から降車する前であり、車載機1で位置情報が取得されている。次にS22において、アクセサリースイッチがオフの状態か否か判定される。オフの状態になると判断されるとS24へ進み、オフの状態と判断されない場合はS20へ戻り、車載機1で位置情報の取得を続ける。
【0038】
S24においては、アクセサリースイッチがオフになることによって電源がオフになる前に、車載機1から通信装置を利用してセンター3経由で携帯端末2にアクセサリーオフのイベントが送信される。あるいは、近接通信装置を介して携帯端末2に送信してもよい。
【0039】
S26においては、認証済みの携帯端末を探索する。認証は事前に各機器をセンター3へ登録する形でもよいし、近接通信装置を用いて車載機1と携帯端末との間でペアリングを取る形でもよい。もし携帯端末2が認証済みの携帯端末でない場合は、引き続き車載機1により位置情報の取得を続けることもできる。
【0040】
携帯端末2が認証済みの携帯端末である場合、S28において、携帯端末2に位置情報取得の開始命令を送信する。S30においては、車載機1は位置情報の取得を停止し、センター3に対して行動履歴を送信し、あるいは、車載機1に内蔵された行動履歴蓄積部に対して行動履歴を保存する。また、位置情報取得の開始命令を受け取った携帯端末2は、位置情報取得を開始する(S32)。」

(2)段落【0015】の「情報制御システム10において、車載機1により取得する位置情報等の行動履歴は車載機1からセンター3へ送信され、携帯端末2により取得する位置情報等の行動履歴は携帯端末2からセンター3へ送信される。」との記載から、センター3が、車載機1により取得する位置情報等の行動履歴及び携帯端末2により取得する位置情報等の行動履歴を取得する部分(以下、便宜上該部分を「第1の部分」という。)を備えることは明らかである。

(3)段落【0023】ないし段落【0025】の「携帯端末2の保有者が車載機1を搭載する車両4に乗車し、車両4のアクセサリースイッチがオンの状態にされると、車載機1の位置情報取得機能が作動し、位置情報を取得する。また、車載機1からセンター3へアクセサリーオンのイベントが送信される(送信A_(1))。送信A_(1)を受信したセンター3は、携帯端末2に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、携帯端末2はセンター3へ位置情報を送信する(送信B_(1))。送信B_(1)を受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報を比較する。」との記載、段落【0029】の「携帯端末2の保有者が車両4から降車する際に、車両4のアクセサリースイッチがオフの状態になるときに、車両4の車載機1からセンター3へアクセサリーオフのイベントが送信される(送信A_(2))。」との記載から、センター3が、車載機1を搭載する車両4のアクセサリースイッチがオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態、及びアクセサリースイッチのオフの状態を検知する部分(以下、便宜上該部分を「第2の部分」という。)を備えることは明らかである。

(4)段落【0023】ないし段落【0025】の「携帯端末2の保有者が車載機1を搭載する車両4に乗車し、車両4のアクセサリースイッチがオンの状態にされると、車載機1の位置情報取得機能が作動し、位置情報を取得する。また、車載機1からセンター3へアクセサリーオンのイベントが送信される(送信A_(1))。送信A_(1)を受信したセンター3は、携帯端末2に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、携帯端末2はセンター3へ位置情報を送信する(送信B_(1))。送信B_(1)を受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報を比較する。」との記載、段落【0027】の「センター3が、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致していると判断した場合には、携帯端末2に位置情報取得の停止命令が送信される(送信C_(1))。停止命令を受信した携帯端末2は、位置情報の取得を停止し、位置履歴情報(行動履歴)をセンター3へ転送する(送信B_(2))。一方、車載機1は位置情報を取得する。」との記載、段落【0037】ないし段落【0038】の「S20においては、車両4から降車する前であり、車載機1で位置情報が取得されている。次にS22において、アクセサリースイッチがオフの状態か否か判定される。オフの状態になると判断されるとS24へ進み、オフの状態と判断されない場合はS20へ戻り、車載機1で位置情報の取得を続ける。S24においては、アクセサリースイッチがオフになることによって電源がオフになる前に、車載機1から通信装置を利用してセンター3経由で携帯端末2にアクセサリーオフのイベントが送信される。」との記載、段落【0040】の「携帯端末2が認証済みの携帯端末である場合、S28において、携帯端末2に位置情報取得の開始命令を送信する。S30においては、車載機1は位置情報の取得を停止し、センター3に対して行動履歴を送信し、あるいは、車載機1に内蔵された行動履歴蓄積部に対して行動履歴を保存する。また、位置情報取得の開始命令を受け取った携帯端末2は、位置情報取得を開始する(S32)。」との記載から、センター3が、前記第2の部分が検知した前記車両4のアクセサリースイッチがオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態からアクセサリースイッチのオフの状態までは、前記車載機1の位置情報等の行動履歴を取得し、前記第2の部分が前記車両4のアクセサリースイッチのオフの状態を検知した後は前記携帯端末2の位置情報等の行動履歴を取得する部分(以下、便宜上該部分を「第3の部分」という。)を備えることは明らかである。

(5)段落【0023】ないし段落【0025】の「携帯端末2の保有者が車載機1を搭載する車両4に乗車し、車両4のアクセサリースイッチがオンの状態にされると、車載機1の位置情報取得機能が作動し、位置情報を取得する。また、車載機1からセンター3へアクセサリーオンのイベントが送信される(送信A_(1))。送信A_(1)を受信したセンター3は、携帯端末2に位置情報取得を要求し、その要求に基づいて、携帯端末2はセンター3へ位置情報を送信する(送信B_(1))。送信B_(1)を受信したセンター3は、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報を比較する。」との記載、段落【0027】の「センター3が、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致していると判断した場合には、携帯端末2に位置情報取得の停止命令が送信される(送信C_(1))。停止命令を受信した携帯端末2は、位置情報の取得を停止し、位置履歴情報(行動履歴)をセンター3へ転送する(送信B_(2))。」との記載から、センター3が、前記第2の部分が車両4のアクセサリースイッチのオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態を検知したときは、携帯端末2の位置情報取得の停止命令を送信する部分「以下、便宜上該部分を「第4の部分」という。)を備えることは明らかである。

上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本件発明1に則って整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

「車載機1及び携帯端末2の位置情報等の行動履歴を取得する第1の部分と、
前記車載機1を搭載する車両4のアクセサリースイッチがオンで前記車載機1が取得した位置情報と前記携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態、及び前記アクセサリースイッチのオフの状態を検知する第2の部分と、
前記第2の部分が検知した前記車両4の前記アクセサリースイッチがオンで前記車載機1が取得した位置情報と前記携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態からアクセサリースイッチのオフの状態までは、前記車載機1の位置情報等の行動履歴を取得し、前記第2の部分が前記車両4のアクセサリースイッチのオフの状態を検知した後は前記携帯端末2の位置情報等の行動履歴を取得する第3の部分と、
前記第2の部分が前記車両4のアクセサリースイッチがオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報の一致している状態を検知したときは、前記携帯端末2の位置情報取得の停止命令を送信する第4の部分と、
を備える情報制御システム10。」

2 甲第3号証について
甲第3号証(特開2009-121885号公報)には、「測位システムおよび車載装置」に関し、図面(特に図1参照)とともに以下の事項が記載されている。

「【0019】
実施例1に係る計測システム1では、各GPS機能の測位精度に基づき、車載側測位座標および携帯側測位座標から車両位置を算出することとした。具体的には、車載装置10は、車載側測位座標および車載側測位精度を含む車載側測位データを携帯端末装置20へ送信する(図1の(1)参照)。一方、携帯端末装置20は、携帯側測位座標および携帯側測位精度を含む携帯側測位データおよび受信した車載側測位データを用いて双方の測位座標を補正する(図1の(2)参照)。そして、最終的な車両位置を算出したうえで、算出した補正済座標を車載装置10へ送信し(図1の(3)参照)、車載装置10では、この補正済座標を用いて車両位置を含んだ画面表示を行う(図1の(4)参照)。」

上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本件発明1に則って整理すると、甲第3号証には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されている。

「車載装置10は、車載側測位座標および車載側測位精度を含む車載側測位データを携帯端末装置20へ送信し、携帯端末装置20は、携帯側測位データおよび車載側測位データを用いて双方の測位座標を補正する計測システム1。」

第5 対比・判断
1 本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比すると、その構成、機能又は技術的意義からみて、後者の「車載機1」は前者の「車載機器」に相当し、以下同様に、「携帯端末2」は「携帯端末」に、「位置情報等の行動履歴」は「位置情報」に、「第1の部分」は「取得部」に、「車両4」は「移動体」に、「第2の部分」は「検知部」に、「情報制御システム10」は「情報処理システム」に、それぞれ相当する。

また、引用発明1において、携帯端末2の保有者が車両4に乗車して移動開始すれば、アクセサリースイッチがオンで、車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報は一致するから、引用発明1における「アクセサリースイッチがオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態」は本件発明1における「移動開始」に、車両4の移動終了時にアクセサリースイッチはオフの状態となるから、引用発明1における「アクセサリースイッチのオフの状態」は、本件発明1における「移動終了」に、それぞれ相当する。

そして、「検知部が検知した移動体の移動開始から移動終了までは車載機器の位置情報を取得し、前記検知部が前記移動体の移動終了を検知した後は携帯端末の位置情報を取得する処理部」という限りにおいて、引用発明1における「第2の部分が検知した車両4のアクセサリースイッチがオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報が一致している状態からアクセサリースイッチのオフの状態までは、前記車載機1の位置情報等の行動履歴を取得し、前記第2の部分が前記車両4のアクセサリースイッチのオフの状態を検知した後は前記携帯端末2の位置情報等の行動履歴を取得する第3の部分」は、本件発明1における「検知部が検知した移動体の移動開始から移動終了までは車載機器の位置情報を取得して、車載機器の区分の位置情報として記録し、前記検知部が前記移動体の移動終了を検知した後は前記携帯端末の位置情報を取得し、位置情報の送信元の切り替えの際には、前記携帯端末から取得した位置情報を前記車載機器から取得した位置情報で補正した位置情報を携帯端末の区分の位置情報として記録する処理部」に相当する。

したがって、両者は、
「車載機器及び携帯端末の位置情報を取得する取得部と、
前記車載機器を搭載する移動体の移動開始及び移動終了を検知する検知部と、
前記検知部が検知した前記移動体の移動開始から移動終了までは前記車載機器の位置情報を取得し、前記検知部が前記移動体の移動終了を検知した後は前記携帯端末の位置情報を取得する処理部と、
を備える情報処理装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点1〕
「処理部」に関して、本件発明1においては、「検知部が検知した前記移動体の移動開始から移動終了までは前記車載機器の位置情報を取得して、車載機器の区分の位置情報として記録する」のに対し、引用発明1においては、車載機1から取得した位置情報等の行動履歴を車載機1の区分の位置情報として記録し、携帯端末2から取得した位置情報等の行動履歴を携帯端末2の区分の位置情報として記録するものであるかが明確ではない点。

〔相違点2〕
「処理部」に関して、本件発明1においては、「前記検知部が前記移動体の移動終了を検知した後は前記携帯端末の位置情報を取得し、位置情報の送信元の切り替えの際には、前記携帯端末から取得した位置情報を前記車載機器から取得した位置情報で補正した位置情報を携帯端末の区分の位置情報として記録する」のに対し、引用発明1においては、位置情報等の行動履歴の送信元の切り替えの際には、携帯端末2から取得した位置情報等の行動履歴を車載機1から取得した位置情報等の行動履歴で補正した位置情報を記録するものであるか不明である点。

〔相違点3〕
本件発明1においては、「検知部が前記移動体の移動開始を検知したときは、前記携帯端末に対して位置情報の出力停止指示を行う指示部」を有するのに対し、引用発明1においては、「第2の部分が前記車両4のアクセサリースイッチがオンで車載機1が取得した位置情報と携帯端末2が取得した位置情報の一致している状態を検知したときは、前記携帯端末2の位置情報取得の停止命令を送信する第4の部分」を有するものである点。

相違点1について検討する。
甲第1号証の段落【0025】及び段落【0026】(「第4 1(1)」参照)の記載においては、車載機1が取得した位置情報(位置履歴)と携帯機器2が取得した位置情報(位置履歴)を比較していることから、両者は区分されている必要がある。すなわち、車載機1が取得した位置情報(位置履歴)と、携帯機器2が取得した位置情報(位置履歴)は区分して記録されていなければ、両者が混在することになりその比較ができない。したがって、甲第1号証に明記はないが、引用発明1も、車載機1から取得した位置情報等の行動履歴を車載機1の区分の位置情報として記録し、携帯端末2から取得した位置情報等の行動履歴を携帯端末2の区分の位置情報として記録するものであることは自明である。また、仮に当該事項が自明でないとしても、両者の比較を行うために、車載機1から取得した位置情報等の行動履歴を車載機1の区分の位置情報として記録し、携帯端末2から取得した位置情報等の行動履歴を携帯端末2の区分の位置情報として記録することは、当業者には適宜なし得る設計事項である。

次に、相違点2について検討する。
引用発明3は、携帯側測位データを車載側測位データを用いて補正することを含むものではあるが、「位置情報の送信元の切り替えの際には、」携帯端末装置20から取得した携帯側測位座標を車載装置10から取得した車載側測位座標および車載側測位精度を含む車載側測位データで補正することを示唆するものではない。そうすると、たとえ引用発明1に引用発明3を適用することが容易であったとしても、相違点2に係る本件発明1の構成に至らない。
また、甲第1号証の段落【0025】ないし段落【0027】(「第4 1(1)」参照)に記載されたものは、要するに、車載機1の位置情報と携帯端末2の位置情報の一致を判定し、一致した場合に位置情報の送信元を切り替えるものである。そうすると、両者の位置情報の一致の判定が可能であること、換言すれば両者の位置情報が一致することを前提とした引用発明1において、その位置情報を補正する必要はないから、引用発明1に対し引用発明3を適用する動機付けがあるとはいえない。

また、甲第2号証にも、相違点2に係る本件発明1の構成に関する記載はない。

したがって、本件発明1は、相違点3を検討するまでもなく、引用発明1、引用発明3及び甲第2号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。


2 本件発明2ないし3について
本件発明2ないし3は、本件発明1を引用し、本件発明1にさらに限定を付加するものであるので、本件発明1と同様に、引用発明1、引用発明3及び甲第2号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1に対応する方法の発明であるから、本件発明1と同様に、引用発明1、引用発明3及び甲第2号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-08-01 
出願番号 特願2012-224796(P2012-224796)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G01C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 相羽 昌孝  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 滝谷 亮一
内田 博之
登録日 2016-10-21 
登録番号 特許第6024366号(P6024366)
権利者 株式会社JVCケンウッド
発明の名称 情報処置装置および処理方法  
代理人 森川 泰司  
代理人 毛受 隆典  
代理人 木村 満  
代理人 渡邉 幸男  

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