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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 D06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 D06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 D06F
管理番号 1331637
審判番号 不服2016-7355  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-19 
確定日 2017-08-17 
事件の表示 特願2014-257589号「洗濯機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月26日出願公開、特開2015- 57156号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年8月10日に出願した特願2007-210007号の一部を平成23年9月9日に新たな特許出願とした特願2011-197169号の一部を平成25年4月30日に新たな特許出願とした特願2013-95525号について、更にその一部を平成26年12月19日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月17日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成28年5月19日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。
また、請求人より、平成28年10月3日付けで、上申書が提出されている。

第2 平成28年5月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲についての補正を含むものであって、請求項1について本件補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(本件補正前の請求項1)
筐体内部に配置され洗濯水が供給される水槽と、内部に衣類が収納される回転槽と、前記回転槽に供給する水を蒸気化するスチーム発生器とを備え、
前記スチーム発生器は、給水源から蒸気化させる水が供給される加熱室と、前記加熱室を区画する壁面を介して前記加熱室に供給された水を加熱するヒーターとを備え、前記ヒーターによって加熱される前記壁面へ給水源からの水を供給し、
前記ヒーターによって加熱される前記壁面が、前記加熱室の下面を広がった面で区画することを特徴とする洗濯機。

(本件補正後の請求項1)
筐体内部に配置され洗濯水が供給される水槽と、内部に衣類が収納される回転槽と、前記回転槽に供給する水を蒸気化するスチーム発生器とを備え、
前記スチーム発生器は、給水源から蒸気化させる水が供給される加熱室と、前記加熱室を区画する壁面を介して前記加熱室に供給された水を加熱するヒーターとを備え、前記ヒーターによって加熱される前記壁面へ給水源からの水を供給し、
前記ヒーターによって加熱される前記壁面が、前記加熱室の下面を水平かつ平坦な面で区画し、前記ヒータに対して平行であることを特徴とする洗濯機。

2 補正の適否
「加熱室の下面」について、本件補正前の請求項1では「広がった面で区画する」としていたものを、本件補正後の請求項1においては、「水平かつ平坦な面で区画」するとしている。
ここで、上記「広がった」が意味する内容は、「広がる」の「1.幅・面積・空間が大きくなる。ひろくなる。増して広い場所を占める。2.事物の行き渡る範囲が大きくなる。3.規模が大きくなる。」(広辞苑第六版)、「広い」の「1.面積が大きい。場所のゆとりがある。2.ひろがって多い。頻繁である。3.物事の範囲が大きい。すみずみまで行きわたっている。4.ゆるやかである。おおようである。」(広辞苑第六版)の意味内容からみて、「下面」の面積が大きいことを意味するものと解される。
一方、「水平かつ平坦な」とは、日本語の一般的な意味として、「水平」が「1.静かな水面のように平らなこと。上がり下がりがないこと。傾きのないさま。2.地球の重力と直角に交わる方向。」(広辞苑第六版)という意味であること、及び「平坦」が「土地の平らかなこと。また、そのようなさま。」(広辞苑第六版)という意味であることからみて、「下面」の配置が単に、地球の重力と直角に交わる方向に配置され、平らな面であることを意味していると認められる。
そうすると、本件補正前には、「下面」の面積が大きいことを意味していた構成が削除され、本件補正により、「下面」が地球の重力と直角に交わる方向に配置され、平らな面であるという、概念を異にする構成を新たに加入するものであるから、係る補正は、本件補正前の請求項1を限定的に減縮することを目的としたものとはいえず、特許法第17条の2第5項第2号に該当しない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明であるとも認められない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれにも該当しない。
また、請求人は、本件補正の根拠について、平成28年5月19日付け審判請求書で、「『ヒーターによって加熱される前記壁面が、前記加熱室の下面を水平かつ平坦な面で区画し、前記ヒータに対して平行である』と補正しました。この補正の根拠は、例えば、出願当初の図3にヒーターによって加熱される壁面が平坦な面であってヒータに対して平行である点が開示され、出願当初の図8にヒーターによって加熱される壁面が水平となるように図3に示すスチーム発生装置を配置する点が開示されています。」と主張している。
しかしながら、明細書の発明の詳細な説明には、「加熱室(30)の下部
には、給水された水を加熱して蒸気化させるヒーター(32)を埋設しており、ヒーター(32)が加熱室(30)の下面を区画する下壁面(30b)を介して加熱室(30)に供給された水を加熱する。」(【0025】)と記載されるのみで、加熱室の下面について、どのような形態の面であるか、また、下面の配置の状態についての記載はない。そして、願書に添付された図3は、本願発明の課題である「発生させた蒸気における水粒子を静電霧化により微細化させて回転槽内の洗濯物に供給することで、良好な布濡らし効果とともに洗濯物の温度上昇とその膨潤作用によって洗浄効果を向上させることができる洗濯乾燥機を提供する」(【0008】)ための手段として、スチーム発生装置の縦断面図(【0010】)として示されたものであって、スチーム発生器(28)が内部に加熱室(30)を備えていることは理解できるものの、図面は発明の理解のために示される参考図であって、その性質上、図の形状、寸法等は正確に描かれたものではないところ、上記発明の詳細な説明記載を踏まえれば、加熱室の形状、配置、向き等は様々な態様を取り得る中で、当該図3に加熱室の下面の形態や配置の状態が「水平かつ平坦な面」であるという特定の技術思想が開示されていたとはいえないし、また、加熱室の下面の形態や配置の状態について「水平かつ平坦な面」であるという特定の技術思想が明細書及び図面に記載した事項から自明であるとも認められない。
よって、「水平かつ平坦な面」という構成は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項から導かれる事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、願書に最初に添付した明細書等に記載した範囲内でしたものではない。
したがって、本件補正後の請求項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえず、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 独立特許要件
請求人は、平成28年5月19日付け審判請求書において、「請求項1の上記補正は、補正前の請求項に記載されたヒーターによって加熱される壁面をより詳細に限定するものであり、また、洗濯機において、加熱室に供給された水がヒーターによって加熱された壁面の広い範囲に拡散しやすくなり、効率よく大量のスチームを発生させることを課題とする点で、補正前の発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一です。そのため、上記請求項1の補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものです。」と主張している。
そこで、上記請求人の主張を踏まえ、仮に本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用文献
原査定の拒絶理由に引用された国際公開第2006/101336号(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1a) 「Claims
[1] A steam generator comprising:
a steam generation unit having a water inlet port formed at one side thereof, an outlet port formed at the other side thereof, and a flow channel connected between the water inlet port and the outlet port; and
a heater for heating water being supplied through the water inlet port to generate stearn.
[2] The steam generator according to claim 1, wherein only the steam is discharged through the outlet port.
[3] The steam generator according to claim 1, wherein the steam generation unit is constructed such that the cutlet port is disposed above trie water inlet port on the basis of a horizontal line.
[4] The steam generator according to claim 1, wherein the steam generation unit is constructed such that the sectional area of the flow channel is greater than that of the water inlet port and that of the cutlet port.
[5] The steam generator according to claim 1, wherein the steam generation unit is constructed such that the sectional area of the cutlet port is less than that of the water inlet port.
[6] The steam generator according to claim 1, wherein the steam generation unit is made of a metal material having high thermal conductivity and low specific gravity.
[7] The steam generator according to claim 1, wherein the steam generation unit is manufactured by die casting.
[8] The steam generator according to claim 1, wherein the heater is buried in the steam generation unit.
[9] The steam generator according to claim 8, wherein the heater is buried in an insert molding manner.
[10] The steam generator according to claim 1, wherein the heater is a sheath heater extending in the longitudinal direction of the flow channel.
[11] The steam generator according to claim 1 , further comprising: a water supply pipe for supplying water to the flow channel of the steam generation unit.
[12] The steam generator according to claim 1, further comprising: a discharge pipe for discharging the steam generated in the flow channel of the steam generation unit.
[13] The steam generator according to claim 1, further comprising: a temperature sensor for sensing the temperature of the steam generation unit.
[14] The steam generator according to claim 1, further comprising: an overflow pipe for discharging water overflowing from the flow channel when the water flowing through the flow channel overflows.
[15] , A laundry machine comprising: a machine case forming the external appearance thereof; a drum rotatably mounted in the machine case; and a steam generator including a steam generation unit having a flow channel connected between a water inlet port formed at one side thereof and an outlet port formed at the other side thereof, and a heater for heating water being supplied through the water inlet port to generate steam.
[16] The laundry machine according to claim 15, wherein the steam generator is fixed to the machine case by means of separate brackets.」
(和訳:(当審注:和訳は、引用文献1の対応する国内出願である特願2008-502902号の公表特許公報:特表2008-534047号公報に基づいた。和訳文中の段落番号は、公表特許公報の段落を意味する。また、下線は当審が付与したものである。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に形成された給水口、他側に形成された吐出口、及び前記給水口と吐出口との間を連結する流動空間を有するスチーム発生部と、
前記給水口から給水されている水を加熱してスチームを生成するヒータと、
を備えることを特徴とする、
スチーム発生装置。
【請求項2】
前記吐出口は、前記スチームのみが吐出されるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項3】
前記スチーム発生部は、水平線を基準に前記吐出口が前記給水口よりも高く位置するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項4】
前記スチーム発生部は、前記流動空間の断面積が前記給水口の断面積及び前記吐出口の断面積よりも大きく形成されることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項5】
前記スチーム発生部は、前記吐出口の断面積が前記給水口の断面積よりも小さく形成されることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項6】
前記スチーム発生部は、熱伝導性が大きく、比重の小さい金属材質からなることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項7】
前記スチーム発生部は、ダイキャスティング方式で製造されることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項8】
前記ヒータは、前記スチーム発生部に埋設されることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項9】
前記ヒータは、インサートモルディング方式で埋設されることを特徴とする、請求項8に記載のスチーム発生装置。
【請求項10】
前記ヒータは、前記流動空間の長さ方向に長く設けられるシースヒータであることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項11】
前記スチーム発生部の流動空間に水を供給する給水管をさらに備えてなることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項12】
前記スチーム発生部の流動空間で生成されたスチームが吐出される吐出管をさらに備えてなることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項13】
前記スチーム発生部の温度を感知する温度センサをさらに備えてなることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項14】
前記流動空間を流動する水がオーバーフローされるとき、オーバーフローされる水を排出させるオーバーフロー管をさらに備えてなることを特徴とする、請求項1に記載のスチーム発生装置。
【請求項15】
外観を形成する本体と、
前記本体の内部に回転可能に設置されるドラムと、
一側に形成された給水口と他側に形成された吐出口との間を連結する流動空間を有するスチーム発生部、及び前記給水口から給水されている水を加熱してスチームを生成するヒータを有するスチーム発生装置と、
を備えてなることを特徴とする、洗濯装置。
【請求項16】
前記スチーム発生装置は、前記本体に別のブラケットを介して設置されることを特徴とする、請求項15に記載の洗濯装置。)

(1b) 「Technical Field
[1] The present invention relates to a laundry machine, and more particularly, to a new type laundry machine that is capable of more rapidly and efficiently washing or drying laundry and, furthermore, accomplishing the wrinkle removal and sterilization of the laundry.」
(和訳:【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯装置に係り、洗濯物をより迅速で効果的に洗濯または乾燥することができ、さらには洗濯物のシワ除去及び殺菌効果も得られる新しい形態の洗濯装置に関する。)

(1c) 「Technical Problem
[13] Therefore, the present invention has been made in view of the above problems, and it is an object of the present invention to provide a new type laundry machine that is capable of more rapidly and efficiently washing or drying laundry and, fiirthermore, accomplishing the wrinkle removal and sterilization of the laundry.」
(和訳:【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためのもので、その目的は、洗濯物をより迅速で効果的に洗濯または乾燥することができ、さらには洗濯物のシワ除去及び殺菌効果も得られる、新しい形態の洗濯装置を提供することにある。)

(1c) 「Technical Solution
[14] The object of the present invention can be achieved by providing a steam generator comprising: a steam generation unit having a water inlet port formed at one side thereof, an outlet port formed at the other side thereof, and a flow channel connected between the water inlet port and the outlet port; and a heater for heating water being supplied through the water inlet port to generate steam.
[15] The outlet port may be constructed such that only the steam can be discharged through the outlet port. The steam generation unit may be constructed such that the outlet port is disposed above the water inlet port on the basis of a horizontal line. The steam generation unit may be constructed such that the sectional area of the flow channel is greater than that of the water inlet port and that of the outlet port. The steam generation unit may be constructed such that the sectional area of the outlet port is less than that of the water inlet port. The steam generation unit may be made of a metal material having high thermal conductivity and low specific gravity. The steam generation unit may be manufactured by die casting.
[16] The heater may be buried in the steam generation unit. In this case, the heater may be buried in an insert molding manner. The heater may be a sheath heater extending in the longitudinal direction of the flow channel.
[17] The steam generator may further comprise: a water supply pipe for supplying water to the flow channel of the steam generation unit. The steam generator may ftrther comprise: a discharge pipe for discharging the steam generated in the flow channel of the steam generation unit. The steam generator may farther comprise: a temperature sensor for sensing the temperature of the steam generation unit. The steam generator may farther comprise: an overflow pipe for discharging water overflowing from the flow channel when the water flowing through the flow channel overflows.」
(和訳:【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成する本発明の一形態では、一側に形成された給水口、他側に形成された吐出口、及び給水口と吐出口との間を連結する流動空間を有するスチーム発生部と、 給水口から給水されている水を加熱してスチームを生成するヒータと、を備えてなるスチーム発生装置を提供する。
【0015】
吐出口は、スチームのみが吐出されるように構成されることができる。スチーム発生部は、水平線を基準に吐出口が給水口よりも高く位置するように構成されることができ、流動空間の断面積が給水口の断面積及び吐出口の断面積よりも大きく形成されることができ、吐出口の断面積が給水口の断面積よりも小さく形成されることができる。なお、スチーム発生部は、熱伝導性が大きく、比重の小さい金属材質からなることができ、ダイキャスティング(die casting)方式で製造されることができる。
【0016】
ヒータは、スチーム発生部に埋設されるものの、インサートモルディング(insert molding)方式で埋設されることができ、流動空間の長さ方向に長く設けられるシースヒータ(sheath heater)とすることができる。
【0017】
スチーム発生装置は、スチーム発生部の流動空間に水を供給する給水管をさらに備えてなる、スチーム発生部の流動空間で生成されたスチームが吐出される吐出管をさらに備えてなる、スチーム発生部の温度を感知する温度センサをさらに備えてなる、または、流動空間を流動する水がオーバーフロー(overflow)されるとき、オーバーフローされる水を排出させるオーバーフロー管をさらに備えてなることができる。)

(1d) 「[40] As shown in FIGs. 3 to 6, the steam generator 600 includes a steam generation unit 610, a water supply pipe 620, a discharge pipe 630, and a heater 640.
[41] The steam generation unit 610 is provided at one side thereof, with a water inlet port 612, through which water is supplied, and is provided at the other side thereof with an outlet port 613, through which steam is discharged. Between the water inlet port 612 and the cutlet port 613 is formed a flow channel 611. The water supply pipe 620 is disposed between the water supply valve 200 and the water inlet port 612 of the steam generation unit 610. The discharge pipe 630 is disposed between the outlet port 612 of the steam generation unit 610 and the tub 300. The heater 640 heats water being supplied through the water inlet port 612 to generate steam.
[42] In addition, the steam generator 600 further includes a temperature sensor (not shown) mounted in the steam generation unit 610 for sensing the temperature of steam generated in the flow channel 611 or the interior temperature of the flow channel 611, and an overflow pipe 660 for discharging water overflowing from the flow channel 611 of the steam generation unit 610.
[43] Here, the temperature sensor is provided to control the heater 640 depending upon the steam temperature of the steam generation unit 610 or the interior temperature of the flow channel 611, and it is preferable to use a thermofuse, which is broken, when the current temperature exceeds a predetermined level, to interrupt the current supplied to the heater 640, and therefore, to prevent overheating of the heater 640.」
(和訳:【0029】
ここで、図3乃至図6に示すように、スチーム発生装置600は、大きく、スチーム発生部610と、給水管620、吐出管630、及びヒータ640を備えてなる。
【0030】
スチーム発生部610は、一側に水が給水される給水口612が形成され、他側にスチームのみが吐出される吐出口613が形成され、給水口612と吐出口613との間には流動空間611が形成される。給水管620は、給水弁200とスチーム発生部610の給水口612との間に備えられ、吐出管620は、スチーム発生部610の給水口612とタブ300との間に備えられる。ヒータ640は、給水口612から給水されている水を加熱してスチームを生成する。
【0031】
なお、スチーム発生装置600は、スチーム発生部610に備えられ、流動空間611の内部に生成されるスチームの温度または流動空間611の内部の温度を検出する温度センサ(図示せず)と、スチーム発生部610の流動空間611からオーバーフローされる水を排出するオーバーフロー管660とをさらに備えてなる。
【0032】
ここで、温度センサは、スチーム発生部610のスチーム温度または流動空間611の内部温度に基づいてヒータ640を制御するためのもので、設定された温度以上では切れてヒータ640への電流を遮断するサーモヒューズなどを用い、ヒータ640が過熱されるのを事前に防ぐように構成されることが好ましい。)

(1e) 「[57] At this time, the flow channel 611 of the steam generation unit 610 is formed such that the sectional area of the flow channel 611 is greater than that of the water supply pipe 620 and that of the discharge pipe 630. Consequently, the supply of water to the flow channel 611 of the steam generation unit 610 and the discharge of steam from flow channel 611 of the steam generation unit 610 are more smoothly accomplished.
[58] Specifically, since the sectional area of the flow channel 611 is greater than that of the water supply pipe 620, the flow speed of water supplied from the water supply pipe 620 is decreased in the flow channel 611. Consequently, the water flowing through the flow channel 611 can be evaporated by the heater 640 during a sufficiently extended period of time.
[59] Also, since the sectional area of the discharge pipe 630 is less than that of the flow channel 611, the flow speed of steam generated in the flow channel 611 is increased when the generated steam is introduced into the discharge pipe 630. Consequently, the steam is rapidly supplied into the drum through the discharge pipe 630.
[60] Meanwhile, it is preferable that the steam generation unit 610 be made of a metal material having high thermal conductivity and low specific gravity, such as aluminum, and be manufactured by die casting.」
(和訳:【0046】
この場合、スチーム発生部610の流動空間611の断面積は、給水流路620の断面積及び吐出流路630の断面積よりも大きく形成し、スチーム発生部610の流動空間611への水の供給及び流動空間611からのスチーム吐出がより円滑になされるようにする。
【0047】
すなわち、流動空間611の断面積が給水流路620の断面積よりも大きいため、給水流路620から供給される水が流動空間611において速度が緩和され、よって、流動空間611を流動する水がヒータ640によって蒸気化する時間を充分に提供できる。
【0048】
また、吐出流路630の断面積が流動空間611の断面積よりも小さいため、流動空間611で生成されたスチームが吐出流路630に進入しながら速度が増加し、よって、スチームが吐出流路630を通じて迅速にドラム400の内部に供給されることができる。
【0049】
一方、スチーム発生部610は、アルミニウムのように熱伝導性が大きく、比重の小さい金属材質からなり、ダイキャスティング法で加工されることが好ましい。)

(1f) 「[63] When the steam generation unit 610 is manufactured by the die casting method, on the other hand, it is preferable to manufacture the steam generation unit in an insert molding manner such that the heater 640 is inserted into the steel mold provided for manufacturing the steam generation unit 610, and the heater 640 is buried in the steam generation unit 610 (specifically, below the flow channel 611).
[64] Consequently, the heater 640 is not mounted in the flow channel 611 of the steam generation unit 610. The heater 640 is buried in the steam generation unit 610 at the , position adjacent to the flow channel 611 outside the flow channel 611 such that water flowing through the flow channel 611 of the steam generation unit 610 can be .indirectly heated by the heater 640.
[65] The water supply pipe 620 includes the water feeding pipe 621, which is connected to the water supply valve 200 (see FIG. 3), and a water inlet port connection pipe 622 connected between the water feeding pipe 621 and the water inlet port 612 of the steam generation unit 610.」
(和訳:【0052】
一方、スチーム発生部610をダイキャスティング法で製作する場合、スチーム発生部610を製作するための鋼製金型にヒータ640を挿入し、このヒータ640がスチーム発生部610の内部(すなわち、流動空間611の下部)に埋設されるようにインサートモルディング方式を適用して製作することが好ましい。
【0053】
すなわち、ヒータ640は、スチーム発生部610の流動空間611に設置されるのではなく、スチーム発生部610の流動空間611を流動する水を間接的に加熱するために、流動空間611の外側において流動空間611と近接するようにしてスチーム発生部610の内部に埋設する。
【0054】
そして、給水管620は、給水弁200(図3参照)に連結される水供給管621と、水供給管621とスチーム発生部610の給水口612との間に連結される給水口連結管622とからなっている。)

(1g)「



(1h)「



(1i)「



以上より、スチーム発生部に備える洗濯機として整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「外観を形成する本体と、
前記本体の内部に回転可能に設置されるドラムと、
一側に形成された給水口と他側に形成された吐出口との間を連結する流動空間を有するスチーム発生部、及び前記給水口から給水されている水を加熱してスチームを生成するヒータを有するスチーム発生装置と、
を備え、
前記ヒータは、前記スチーム発生部に埋設され、前記流動空間の長さ方向に長く設けられるシースヒータであり、
前記スチーム発生部の流動空間に水を供給する給水管をさらに備えてなり、
前記スチーム発生部は、前記流動空間の断面積が前記給水口の断面積及び前記吐出口の断面積よりも大きく形成される、
洗濯装置。」

(2) 対比
引用発明の「本体」、「ドラム」、「スチーム発生部」及び「流動空間」、「スチーム発生装置」、「ヒータ」及び「シースヒータ」並びに「洗濯装置」は、その作用・機能からみて、それぞれ本願補正発明の「筐体」、「回転槽」、「加熱室」、「スチーム発生器」、「ヒーター」及び「洗濯機」に相当する。
また、引用発明の「スチーム発生部」及び「流動空間」は、当該部分を区画する壁面を有することは明らかであり、「シースヒータ」と「スチーム発生部」との配置関係(引用文献1の図5、図6(上記記載事項(1h)、(1i))参照。)から、「流動空間」の下方に位置する当該壁面が「シースヒータ」により加熱されとともに、加熱される当該壁面が「シースヒータ」に対して平行に配置されて「流動空間」の下面をなすものと認められる。
さらに、引用発明の「スチーム発生部の流動空間に水を供給する給水管をさらに備えて」いることは、本願補正発明の「壁面へ給水源からの水を供給し」ていることに相当する。また、引用発明の「回転可能に設置されるドラム」は、その「本体内部」に配置され、洗濯水が供給される水槽を備えることは、技術的に明らかである。
そうすると、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
筐体内部に配置され洗濯水が供給される水槽と、内部に衣類が収納される回転槽と、前記回転槽に供給する水を蒸気化するスチーム発生器とを備え、
前記スチーム発生器は、給水源から蒸気化させる水が供給される加熱室と、前記加熱室を区画する壁面を介して前記加熱室に供給された水を加熱するヒーターとを備え、前記ヒーターによって加熱される前記壁面へ給水源からの水を供給し、
前記ヒーターによって加熱される前記壁面が、前記加熱室の下面であり、前記ヒータに対して平行である、
洗濯機。

[相違点1]
加熱室の下面について、本願補正発明は、「水平かつ平坦な面」と特定されているのに対して、引用発明は、そのような特定はなされていない点。

(3) 判断
引用文献1の図6(上記記載事項(1g)?(1i))参照。)には、加熱室となるスチーム発生部の形状として、断面が円形であるものが示されているものの、一般に、スチーム発生装置において、加熱室の形状は、種々のものが想定されており(例えば、原査定において、加熱室の壁面についての周知の技術として示した特開昭51-117205号公報の円形や多角形のもの(公報第5ページ左下欄?右下欄)、同じく米国特許第6299076号明細書の蒸気発生器(10)の噴霧装置(34)から滴下される、加熱された底面がフラット形状のもの(第3欄36?42行、FIG.1)、同じく米国特許第4578563号明細書の加熱室の下面(10a)がフラット形状のもの(第3欄21?27行、FIG.2)参照。)、その選択は当業者が適宜なし得るものであるから、引用発明においても、加熱室の形状を底面が平坦な形状とすることは当業者が容易になし得たことである。
そして、加熱室の形状を底面が平坦な形状とした際に、スチーム発生器の配置を適宜調節して、加熱室の下面が水平をなすような配置とする程度のことも、当業者にとって困難なことではない。
そうすると、引用発明において、加熱室の下面の壁面について、「水平かつ平坦な面」とすることは、当業者が容易になし得る設計事項といえる。
よって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易になし得たものである。
また、本願補正発明の効果も、引用発明及び周知の技術から予測できる範囲内のものであって格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項の規定に違反し、あるいは、同法第17条の2第5項第2号に該当するとしても、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年10月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(第2[理由]1 補正の内容の概要 (補正前の請求項1)参照。)。

2 原査定の理由
拒絶査定における拒絶理由(平成27年8月21日付けの「理由2」)の概要は、
この出願の発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である上記引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用刊行物の記載事項及び記載された発明
上記拒絶理由で引用された刊行物である引用文献1の記載事項及び記載された発明は上記の「第2 3 (1)」に記載されたとおりである。

4 対比・判断
(1) 対比
本願発明は、本願補正発明が「前記加熱室の下面を水平かつ平坦な面で区画し、前記ヒータに対して平行である」としていたものを、「前記加熱室の下面を広がった面で区画する」とするものである。
そして、引用発明の「スチーム発生部」及び「流動空間」は、当該部分を区画する壁面を有することは明らかであるところ、当該部分の下方に位置する上記壁面は、本願発明の「加熱室」を「面で区画」するものに相当するといえる。
そうすると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、上記「第2 3 (2)」で検討した事項も踏まえると、以下のとおりである。

[一致点]
筐体内部に配置され洗濯水が供給される水槽と、内部に衣類が収納される回転槽と、前記回転槽に供給する水を蒸気化するスチーム発生器とを備え、
前記スチーム発生器は、給水源から蒸気化させる水が供給される加熱室と、前記加熱室を区画する壁面を介して前記加熱室に供給された水を加熱するヒーターとを備え、前記ヒーターによって加熱される前記壁面へ給水源からの水を供給し、
前記ヒーターによって加熱される前記壁面が、前記加熱室を面で区画する、
洗濯機。

[相違点2]
加熱室の下面について、本願発明は、「広がった面」と特定されているのに対して、引用発明は、そのような特定はなされていない点。

(2) 判断
本願発明の「加熱室の下面を広がった面で区画する」とは、本願明細書、図面及び「広がる」の一般的な意味(幅・面積・空間が大きくなる。ひろくなる。)を参酌するに、「加熱室の下面」が、当該「加熱室」に至る前の区画である「給水口(31)」の断面積と比較して大きくされている態様を意味するものと解するのが自然である。
一方、引用発明も「スチーム発生部は、前記流動空間の断面積が前記給水口の断面積及び前記吐出口の断面積よりも大きく形成される」ものであり、また、スチーム発生装置において、加熱室の下面を広がった面で区画することは周知の技術である(例えば、原査定において、加熱室の下面が広がった面で区画することが周知の技術であるとして示した特開昭51-117205号公報の蒸発室(4)を区画している面(公報図1、2)、同じく米国特許第6299076号明細書の蒸気発生器(10)の噴霧装置(34)から滴下される、加熱されたフラット形状のもの(第3欄36?42行)、同じく米国特許第4578563号明細書の加熱室の下面(10a)のフラット形状のもの参照。)。
そうすると、引用発明において、加熱室の下面を「広がった面」で区画することは、当業者であれば容易になし得たといえる。
よって、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易になし得たものである。
そして、本願発明の効果も、引用発明及び周知の技術から予測できる範囲内のものであって格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

なお、請求人は、平成28年10月3日付けの上申書において、「現在請求項1における『前記加熱室を区画する壁面を介して前記加熱室に供給された水を加熱するヒーター』及び『前記ヒーターによって加熱される前記壁面』との記載からヒーターと当該壁面との位置関係が不明確であると合議体殿がお考えでしたら、ヒーターが加熱室の下面に設けられ加熱室の下面を下方から加熱することを明確にする補正を行います」(上申書「3.本願発明と引用文献に記載された発明との対比」の項)と主張しているが、言及している請求項1に記載された発明は、上記「第2 2」で検討したとおり、審判請求時の補正の要件を満たさないものであって、係る請求項の記載を前提とする上記請求人の主張は採用できない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-15 
結審通知日 2017-06-20 
審決日 2017-07-03 
出願番号 特願2014-257589(P2014-257589)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (D06F)
P 1 8・ 121- Z (D06F)
P 1 8・ 575- Z (D06F)
P 1 8・ 572- Z (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 根本 徳子武井 健浩  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 莊司 英史
山崎 勝司
発明の名称 洗濯機  
代理人 蔦田 正人  
代理人 富田 克幸  
代理人 中村 哲士  
代理人 蔦田 璋子  
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