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審決分類 審判 査定不服 判示事項別分類コード:131 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1331650
審判番号 不服2016-10961  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-20 
確定日 2017-09-05 
事件の表示 特願2011-128619「撮像装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月27日出願公開、特開2012-254176、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年6月8日の出願であって、平成27年6月1日付けで拒絶理由が通知され、同年7月15日に意見書が提出され、同年10月29日付けで拒絶理由が通知され、同年12月11日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年5月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)されたところ、同年7月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、その後当審において平成29年6月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年7月20日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1-2に係る発明は以下の引用文献1-2、4に基づいて、また、本願請求項3に係る発明は以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開昭63-177106号公報
2.特開2000-19427号公報
3.特開平10-33474号公報
4.特開2010-51538号公報


第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

この出願は、請求項1の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

具体的には、以下の指摘がされている。

「 請求項1には、「前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部領域上に配置し、前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域上に配置した」との記載がある。
当該記載における「上に配置」とは単に固体撮像素子の前記一面と垂直な方向から見たときのプリズム及び保持枠と、受光部領域及び回路部領域との位置関係を限定しているにすぎないと解することができ、例えば、保持枠が回路部領域上に空間を介して配置されているものも含まれている。
・・・
そして、保持枠が回路部領域上に空間を介して配置されているものは、回路部領域は保持枠によって支持されていないため、【0005】段落に記載された固体撮像素子の回路部領域と受光部領域との機械強度の差は解消しておらず、上記本願発明が解決しようとしている課題を解決することができない。
したがって、請求項1の記載は、本願の発明詳細な説明に開示された課題を解決するための手段を十分に反映したものではない。」


第4 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成29年7月20日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
一面を、撮像した被検体の光学像の撮像信号を生成する受光部を設けた受光部領域、前記受光部で生成した撮像信号の信号処理及び当該受光部を駆動する駆動信号の生成を行う回路部を設けた回路部領域、及び前記回路部と外部装置との間で信号を入出力する際に用いる複数の端子を設けた端子部領域に区分した固体撮像素子と、
被検体の光学像を結像するための対物レンズ群を備えたユニット本体および前記ユニット本体が固設される保持枠を備えて構成される対物レンズユニット、及び前記ユニット本体の光軸を折り曲げて前記対物レンズユニットを通過した光学像を前記固体撮像素子の前記受光部に導くプリズムを有する対物光学部と、備え、
前記固体撮像素子は、先端側から基端に向かって、順に前記回路部領域、前記受光部領域が設けられており、
前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部領域に固設し、前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域に固設したことを特徴とする撮像装置。」


第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開昭63-177106号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(引1a)「〔産業上の利用分野〕
この発明は、挿入部の先端部にCCD等の固体撮像素子を組込んだ内視鏡に関する。」(第1頁左下欄16-18行目)

(引1b)「〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。第1図に示すように、内視鏡の挿入部先端部1は、先端構成部材2と、この先端構成部材2に一端部が嵌着された円筒状の先端筒3から構成されている。先端筒3の他端部は、可撓管4に嵌着されている。先端構成部材2には、対物光学系5が、内視鏡の挿入部の先端部の長手方向に貫通するようにして固定され設けられている。また、先端構成部材2には、第2図に示されているライトガイド6,鉗子チャンネル7,送気送水チューブ8も貫通するようにして設けられている。対物光学系5の後端にはプリズムからなる光学素子9が接合される状態で設けられている。この光学素子9は、対物光学系5からの光軸を略直角に屈曲させるようにしている。光学素子9によって屈曲された光軸方向には固体撮像素子10が設けられている。そして、この固体撮像素子10は挿入部先端部1の長手方向と略平行に位置するように設けられている。
固体撮像素子10は、第1図及び第2図に示されるようにセラミックベース11上にCCDチップ12が接合され、その上にカバーガラス13が取付けられている。このカバーガラス13の上面は光学素子9の下面と接合するように位置されている。また、第3図は固体撮像素子10をカバーガラス13側(表面側)から見た図であり、第3図において左側が挿入部先端側であり、右側が手元側を示している。カバーガラス13の下面側には正方形状のイメージエリア14が形成され、また、このイメージエリア14の右側すなわち手元側端縁に沿って細い帯状のオプティカルブラック列15が形成されている。さらに、カバーガラス13側から見て正方形状のCCDチップ12の先端側及び手元側端縁に沿って、等間隔にCCDチップ12上にチップ側ボンディングパッド16,16,・・・が設けられている。さらに、セラミックベース11には、CCDチップ12の先端側及び手元側端縁に沿って前記チップ側ボンディングパッド16,16,・・・と並設されるようにベース側ボンディングパッド17,17,・・・が設けられている。そして、これら並設されるチップ側ボンディングパッド16,16,・・・とベース側ボンディングパッド17,17,・・・は、ボンディングワイヤ18,18,・・・により電気的に接続されている。これらボンディングパッド16,16,・・・17,17,・・・およびボンディングワイヤ18,18,・・・は、第1図に示すように封止樹脂19により樹脂封止されている。」(第2頁左上欄13行目-同頁左下欄20行目)

(引1c)「第8図はさらに他の例を示すもので、この例では、CCDチップ12の挿入部先端側にのみボンディングパッドを設けたものである。また、周辺ICチップ31及び電子回路部品25をCCDチップ12よりも先端側に設けているので、前記の例よりも先端部長を短縮することができる。さらに、ベース11の手元側にはコネクタ33が形成されており信号線ケーブル34と接続されるようになっている。CCDチップ12におけるオプティカルブラック列や水平シフトレジスタの配置は前記の例と同様に配置してあるものである。」(第4頁右下欄14行目-第5頁左上欄4行目)

(引1d)第8図は、以下のようなものである。


したがって、上記(引1a)-(引1c)の下線部の記載を総合すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
なお,引用発明の認定の根拠となった対応する摘記箇所等を付記した。

「挿入部の先端部にCCD等の固体撮像素子を組込んだ内視鏡であって(引1a)、
内視鏡の挿入部先端部1は、先端構成部材2と、この先端構成部材2に一端部が嵌着された円筒状の先端筒3から構成されており、先端構成部材2には、対物光学系5が、内視鏡の挿入部の先端部の長手方向に貫通するようにして固定され設けられており(引1b)、
対物光学系5の後端にはプリズムからなる光学素子9が接合される状態で設けられ、この光学素子9は、対物光学系5からの光軸を略直角に屈曲させるようにされ、光学素子9によって屈曲された光軸方向には固体撮像素子10が設けられており(引1b)、
固体撮像素子10は、セラミックベース11上にCCDチップ12が接合され、その上にカバーガラス13が取付けられ、このカバーガラス13の上面は光学素子9の下面と接合するように位置されており(引1b)、
周辺ICチップ31及び電子回路部品25をCCDチップ12よりも先端側に設けてあり、ベース11の手元側にはコネクタ33が形成されている(引1c)
内視鏡」

2 引用文献2-4について
(1)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2000-19427号公報)には、その【0008】段落及び図1-4の記載からみて、「撮像素子水平置きタイプ(撮像素子が内視鏡軸100に対し平行となるタイプ)の内視鏡において、対物レンズ系10は内視鏡軸(長手方向の軸)100に沿って配置されることになり、この対物レンズ系10の後端面に直角プリズム11が取り付けられ、このプリズム11の下側面に撮像素子体12が光学的に接続され、この撮像素子体12が回路基板13に接続されている」という技術的事項が記載されている。

(2)引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平10-33474号公報)には、その【0014】段落及び図1の記載からみて、「CCDパッケージ13は、外部リードを介してフレキシブル基板14にハンダ等によって接続固定され、フレキシブル基板14上にはこのCCDパッケージ13の他に、IC19、コンデンサ20等の電子部品が実装され、これらの電子部品を接続するパターンが設けられ、フレキシブル基板14は、CCDベアチップ10や各電子部品と種々の信号の送受を行う信号線21を接続するランドを有している撮像装置」という技術的事項が記載されている。

(3)引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2010-51538号公報)には、その【0016】-【0017】段落及び図1-2の記載からみて、「光電変換を行う受光部が複数個配置されてなる撮像部16が上面上に設けられた固体撮像装置1と、固体撮像装置1の撮像部16上に直接設置され、入射光の光軸を垂直に曲げて入射光を撮像部16へと導くプリズム2と、固体撮像装置1上で撮像部16から見て列方向の一方(第1の方向)に位置する複数の端子17とを備えた撮像装置であって、固体撮像装置1の上面には、垂直走査回路4と、カラムADC5、ラインメモリ6、水平走査回路7、PS変換回路10、LVDS回路9、タイミングジェネレータ8、及びDAC11が集積化されている撮像装置」という技術的事項が記載されている。

3 その他の文献について
(1)文献5について
文献5(特開2009-294540号公報)には、その【0003】段落に、「内視鏡、例えば電子内視鏡の挿入部における挿入方向先端側の先端部内には、管路内を観察するための対物光学系や、該対物光学系を保持する対物レンズ枠等から構成された対物レンズユニットや、CCD等の固体撮像素子を具備する撮像ユニット等が設けられているのが一般的である」という技術的事項が記載されている。

(2)文献6について
文献6(特開平11-32982号公報)には、その【請求項1】に、「固体撮像素子により撮影した被検体の画像を表示装置に表示する電子内視鏡装置において、前記固体撮像素子は、複数の画素を有し各画素毎に入射した光を光電変換する光電変換部と、この光電変換部から撮像信号を読み出すための転送部と、を備えるとともに、前記転送部を駆動するための駆動信号を発生させる駆動信号発生部、前記撮像信号を処理する信号処理部、前記撮像信号に基づいて搬送波を変調し無線送信する無線送信部、およびこの固体撮像素子に電力を供給する電力供給部のうちいずれか1つ、またはこれらの任意の組合せを1チップに集積化したことを特徴とする電子内視鏡装置」という技術的事項が記載されている。
なお、当該文献6に記載された技術的事項は、本願出願時において、当業者にとって周知の技術的事項であると認められる。


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「内視鏡」は、本願発明1における「撮像装置」に相当する。

イ 引用発明における「CCDチップ12」、「周辺ICチップ31及び電子回路部品25」及び「コネクタ33」は、それぞれ、本願発明1の「撮像した被検体の光学像の撮像信号を生成する受光部」、「前記受光部で生成した撮像信号の信号処理及び当該受光部を駆動する駆動信号の生成を行う回路部」及び「前記回路部と外部装置との間で信号を入出力する際に用いる複数の端子を設けた端子部」に相当する。
したがって、「CCDチップ12」、「周辺ICチップ31及び電子回路部品25」及び「コネクタ33」を「セラミックベース11上」に設けた引用発明における「固体撮像素子10」と、本願発明1における「一面を、撮像した被検体の光学像の撮像信号を生成する受光部を設けた受光部領域、前記受光部で生成した撮像信号の信号処理及び当該受光部を駆動する駆動信号の生成を行う回路部を設けた回路部領域、及び前記回路部と外部装置との間で信号を入出力する際に用いる複数の端子を設けた端子部領域に区分した固体撮像素子」とは、「撮像した被検体の光学像の撮像信号を生成する受光部、前記受光部で生成した撮像信号の信号処理及び当該受光部を駆動する駆動信号の生成を行う回路部、及び前記回路部と外部装置との間で信号を入出力する際に用いる複数の端子を設けた端子部」を有する「固体撮像素子」である点で共通する。

ウ 引用発明における「対物光学系5」及び「対物光学系5からの光軸を略直角に屈曲させるようにされ」た「プリズムからなる光学素子9」は、それぞれ、本願発明1の「被検体の光学像を結像するための対物レンズ群」及び「光軸を折り曲げて」て「光学像を前記固体撮像素子の前記受光部に導くプリズム」に相当する。
したがって、引用発明における「対物光学系5の後端にはプリズムからなる光学素子9が接合される状態で設けられ、この光学素子9は、対物光学系5からの光軸を略直角に屈曲させるようにされ、光学素子9によって屈曲された光軸方向には固体撮像素子10が設けられて」いることと、本願発明1の「被検体の光学像を結像するための対物レンズ群を備えたユニット本体および前記ユニット本体が固設される保持枠を備えて構成される対物レンズユニット、及び前記ユニット本体の光軸を折り曲げて前記対物レンズユニットを通過した光学像を前記固体撮像素子の前記受光部に導くプリズムを有する対物光学部」とは、「被検体の光学像を結像するための対物レンズ群、及び対物レンズ群の光軸を折り曲げて対物レンズ群を通過した光学像を前記固体撮像素子の前記受光部に導くプリズムを有する対物光学部」で共通する。

エ 引用発明における「周辺ICチップ31及び電子回路部品25をCCDチップ12よりも先端側に設け」ていることと、本願発明1における「前記固体撮像素子は、先端側から基端に向かって、順に前記回路部領域、前記受光部領域が設けられて」いることとは、「固体撮像素子は、先端側から基端に向かって、順に前記回路部、前記受光部が設けられて」いる点で共通する。

オ 引用発明における「固体撮像素子10は、セラミックベース11上にCCDチップ12が接合され、その上にカバーガラス13が取付けられ、このカバーガラス13の上面は光学素子9の下面と接合するように位置されて」いることと、本願発明1における「前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部領域に固設し」ていることとは、「前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部に固設し」ている点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「 撮像した被検体の光学像の撮像信号を生成する受光部、前記受光部で生成した撮像信号の信号処理及び当該受光部を駆動する駆動信号の生成を行う回路部、及び前記回路部と外部装置との間で信号を入出力する際に用いる複数の端子を設けた端子部を有する固体撮像素子と、
被検体の光学像を結像するための対物レンズ群、及び対物レンズ群の光軸を折り曲げてを通過した光学像を前記固体撮像素子の前記受光部に導くプリズムを有する対物光学部と、を備え、
固体撮像素子は、先端側から基端に向かって、順に前記回路部、前記受光部が設けられており、
前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部に固設した
撮像装置。」

(相違点)
(相違点1)固体撮像素子について、本願発明1は「一面を、」「受光部領域」、「回路部領域」及び「端子部領域に区分した」素子であるのに対し、引用発明は「セラミックベース11上に」「CCDチップ12が接合され」、「周辺ICチップ31及び電子回路部品25」が「設けてあり」、「コネクタ33が形成されている」点。

(相違点2)対物光学部について、本願発明1は「対物レンズ群を備えたユニット本体および前記ユニット本体が固設される保持枠を備えて構成される対物レンズユニット」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点3)固体撮像素子と対物光学部との関係について、本願発明1は「前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域に固設した」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。


(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、相違点3に係る本願発明1の「前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域に固設した」という構成は、上記引用文献1-6には記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。

また、引用文献1の第8図(上記第5の1に摘記した(引1d))においては、ベース11と対物光学系5との間に、符号「19」で示される部分があることが読み取れるが、上記第5の1に摘記した(引1b)の記載を参酌すればこの「19」で示される部分は「ボンディングパッド及びボンディングワイヤ」を「樹脂封止」するための「封止樹脂19」であって、ベース11と対物レンズ光学系5とを固設する機能を有するものではない。
そして、第8図を含み、引用文献1の全体を参酌しても、「対物光学系5」を、その下に配置されている「固体撮像素子10」に「固設」するとの技術思想は開示されていない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4及び文献5-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-8について
本願発明2-8も、本願発明1の「前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域に固設した」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明ならびに引用文献2-4及び文献5-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定についての判断
平成29年7月20日に提出された手続補正書による補正後の請求項1-8は、「前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域に固設した」という技術的事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。


第8 当審拒絶理由について
当審では、請求項1の「前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部領域上に配置し、前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域上に配置した」との記載では、本願の発明詳細な説明に開示された課題を解決するための手段を十分に反映したものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年7月20日になされた手続補正によって、請求項1の当該記載が「前記対物光学部の前記プリズムを前記受光部領域に固設し、前記対物光学部の前記対物レンズユニットを構成する前記保持枠を前記回路部領域に固設した」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。


第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-08-23 
出願番号 特願2011-128619(P2011-128619)
審決分類 P 1 8・ 131- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小田倉 直人  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 松岡 智也
信田 昌男
発明の名称 撮像装置  
代理人 篠浦 治  
代理人 伊藤 進  
代理人 長谷川 靖  

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