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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1331660 |
審判番号 | 不服2016-12279 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-12 |
確定日 | 2017-09-05 |
事件の表示 | 特願2014-260660「入金結果通知システム及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月 7日出願公開、特開2016-122265、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成26年12月24日の出願であって,平成27年12月10日付けで拒絶理由通知がされ,平成28年2月10日付けで手続補正がされ,平成28年5月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成28年8月12日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,平成29年7月4日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,平成29年7月13日付けで手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1-3に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明3」という。)は,平成29年7月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-3に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 SWIFTネットワークに接続され,仕向側の顧客の端末からの送金依頼に基づく送金電文を生成する仕向側の送金サーバと, 前記仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークに接続され,前記仕向側の送金サーバからの前記送金電文に基づいて,受取人口座に入金処理する被仕向側の送金サーバと, 前記受取人口座への入金処理が完了した際に,前記仕向側の送金サーバ及び前記被仕向側の送金サーバと,前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し,前記送金依頼に基づく前記受取人口座への入金が完了したことを示す入金処理完了通知を前記送金電文を生成した前記仕向側の送金サーバに送信するデータ連携サーバとを備え, 前記仕向側の送金サーバは,入金結果通知を行う送金であるか否かを指定するフラグが前記送金電文にセットされている場合,前記入金処理完了通知のReference番号を参照することで,該当する送金情報を抽出し,前記送金情報に前記入金処理完了通知を反映させ,顧客ごとの送金情報が登録されている送金電文DBに入金結果データを格納し,前記顧客ごとの送金情報が管理されているシステムに反映させ,前記入金結果通知を前記仕向側の顧客の端末に通知することを特徴とする入金結果通知システム。 【請求項2】 前記データ連携サーバは,複数の国又は地域の仕向側及び被仕向側の送金サーバにハブとして接続されることを特徴とする請求項1に記載の入金結果通知システム。 【請求項3】 仕向側の送金サーバと,被仕向側の送金サーバと,データ連携サーバとからなる入金結果通知システムにおける入金結果を通知する処理の方法であって, SWIFTネットワークに接続される前記仕向側の送金サーバが,顧客の仕向側の端末からの送金依頼に基づく送金電文を生成するステップと, 前記仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークに接続される前記被仕向側の送金サーバが,前記仕向側の送金サーバからの前記送金電文に基づいて,受取人口座に入金処理するステップと, 前記データ連携サーバが,前記受取人口座への入金処理が完了した際に,前記仕向側の送金サーバ及び前記被仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し,前記送金依頼に基づく前記受取人口座への入金が完了したことを示す入金処理完了通知を前記送金電文を生成した前記仕向側の送金サーバに送信するステップと, 前記仕向側の送金サーバが,入金結果通知を行う送金であるか否かを指定するフラグが前記送金電文にセットされている場合,前記入金処理完了通知のReference番号を参照することで,該当する送金情報を抽出し,前記送金情報に前記入金処理完了通知を反映させ,顧客ごとの送金情報が登録されている送金電文DBに入金結果データを格納し,前記顧客ごとの送金情報が管理されているシステムに反映させるステップと, 前記入金結果通知を前記仕向側の顧客の端末に通知するステップと, を実行することを特徴とする入金結果を通知する方法。」 第3 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2005-276012号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【0002】 各海外支店の勘定系システムは,国内の同一銀行支店の勘定系システムが単一のシステムに統合されているのと異なり,地域の事情に応じて異なるタイプの勘定系システムを採用している。そのため,同一銀行の複数の海外支店に預金口座を保有する顧客(Y社,Z社を傘下に有する国際企業グループ)が,ある海外支店(台北支店)の預金口座から別の海外支店(ロンドン支店)の預金口座へ資金を移動させようとするとき,従来の国際資金決済システムでは,次のような処理が行われていた。すなわち,図3に示すとおり,顧客の統括拠点XがGCMS(Global Cash Management Service)サーバを介して台北支店にY社口座からZ社口座への資金移動の指示を送信する。台北支店が資金移動の指示に従って台北支店勘定系システム上で同支店のY社口座から移転額を引き落とす処理をした上,SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)のネットワークを介してロンドン支店に支払指示(payment order)を送信する。ロンドン支店が支払指示に従ってロンドン支店勘定系システム上で同支店のZ社口座へ移転額を入金する処理をした上,GCMSサーバへ移転処理が完了したことを通知する。」 (2)【図3】 (3)以上の(1)及び(2)の記載によれば,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「同一銀行の複数の海外支店に預金口座を保有する顧客(Y社,Z社を傘下に有する国際企業グループ)が,ある海外支店(台北支店)の預金口座から別の海外支店(ロンドン支店)の預金口座へ資金を移動させようとするとき,従来の国際資金決済システムでは, 顧客の統括拠点XがGCMS(Global Cash Management Service)サーバを介して台北支店にY社口座からZ社口座への資金移動の指示を送信し, 台北支店が資金移動の指示に従って台北支店勘定系システム上で同支店のY社口座から移転額を引き落とす処理をした上,SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)のネットワークを介してロンドン支店に支払指示(payment order)を送信し, ロンドン支店が支払指示に従ってロンドン支店勘定系システム上で同支店のZ社口座へ移転額を入金する処理をした上,GCMSサーバへ移転処理が完了したことを通知する, 国際資金決済システム。」 2.引用文献2について また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2013-157039号公)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【0034】 <入金処理> そして,渉外担当者が上記画面から,例えば入金処理を選択すると,携帯端末301は,この入金処理に対応して,入金する金額を記入する記入欄を表示する。 この表示により,渉外担当者が通帳プリンタ302に対して通帳を挿入し,預金者から入金依頼された金額を上記記入欄に入力し,確定キーを入力することにより,携帯端末301は,上記金額の入力を受け付けるとともに,通帳プリンタ302が出力する口座番号を読み込む(ステップS8)。」 (2)「【0040】 次に,オンライン電文組立部204は,入金依頼電文が入力されると,勘定元帳サーバ100に対して入金依頼を行う形式に対応させて,入金処理依頼電文を作成し(ステップS12),入金処理電文と作成した入金処理依頼電文とを電文制御部205へ出力する。 上記入金処理電文及び入金処理依頼電文が入力されると,電文制御部205は,入金処理依頼電文に対して取引通番を付加し,入金処理依頼電文における電文通番をこの取引通番に書き換えた後,入金依頼電文と入金処理依頼電文とを対応させて,オンライン取引情報記憶部209へ書き込むとともに,入金処理依頼電文を勘定元帳サーバ100へ送信する(ステップS13)。 【0041】 入金依頼処理電文が入力されると,勘定元帳制御部101は,この入金処理依頼電文から口座番号,入金する金額,端末が所属する金融機関を識別する金融機関識別番号,端末の種類を読み出し,上記口座番号に対応させて,取引内容,取引金額,日付,取引端末種類(端末の種類),金融機関識別番号,取引金額を加算して入金を反映させた残高を,勘定元帳データベース102に書き込む(ステップS14)。 そして,勘定元帳制御部101は,入金処理が終了したことを示す入金処理終了電文を,この入金処理終了電文に対応した入金依頼電文と同一の取引通番を付加して金融アプリケーションサーバ200に対して送信する。 【0042】 入金処理終了電文が入力されると,オンライン電文読替部206は,この入金処理終了電文を,携帯通帳記帳装置300に対して送信する電文の形式である入金終了電文に変換し,取引結果管理部207に対して出力する(ステップS15)。 【0043】 次に,取引結果管理部207は,この入金終了電文から入金処理した金額及び口座番号を抽出し,オンライン取引情報記憶部209からこの口座番号に対応した入金積算額を読み出し,この入金積算額に対し,上記抽出した入金処理した金額を加算し,加算結果を口座番号に対応して書き込んで,入金積算額を更新し,処理をステップS18へ進める(ステップS16)。また,取引結果管理部207は,入金金額を更新したことと,変更した日付とを,口座番号に対応させて,取引・セキュリティログ記憶部211に書き込んで記録する。」 (3)以上の(1)及び(2)の記載によれば,上記引用文献2には以下の技術的事項が記載されていると認められる。 「入金依頼処理電文が入力されると,勘定元帳制御部101は,この入金処理依頼電文から口座番号,入金する金額,端末が所属する金融機関を識別する金融機関識別番号,端末の種類を読み出し,上記口座番号に対応させて,取引内容,取引金額,日付,取引端末種類(端末の種類),金融機関識別番号,取引金額を加算して入金を反映させた残高を,勘定元帳データベース102に書き込み, 勘定元帳制御部101は,入金処理が終了したことを示す入金処理終了電文を,この入金処理終了電文に対応した入金依頼電文と同一の取引通番を付加して金融アプリケーションサーバ200に対して送信し, 取引結果管理部207は,この入金終了電文から入金処理した金額及び口座番号を抽出し,オンライン取引情報記憶部209からこの口座番号に対応した入金積算額を読み出し,この入金積算額に対し,上記抽出した入金処理した金額を加算し,加算結果を口座番号に対応して書き込んで,入金積算額を更新し,また,取引結果管理部207は,入金金額を更新したことと,変更した日付とを,口座番号に対応させて,取引・セキュリティログ記憶部211に書き込んで記録する技術。」 第4 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 (ア)本願発明1の「SWIFTネットワークに接続され,仕向側の顧客の端末からの送金依頼に基づく送金電文を生成する仕向側の送金サーバ」について 引用発明の「顧客の統括拠点XがGCMS(Global Cash Management Service)サーバを介して台北支店にY社口座からZ社口座への資金移動の指示を送信し」との事項によれば,「顧客の統括拠点X」が「GCMS(Global Cash Management Service)サーバ」に対して「台北支店にY社口座からZ社口座への資金移動の指示」を行うものであるが,そもそも当該指示は顧客の指示による送金依頼であることは明らかであり,また,顧客は資金移動の依頼元であることから,本願発明1でいう「仕向側の顧客」であるといえる。 また,引用発明の「台北支店が資金移動の指示に従って台北支店勘定系システム上で同支店のY社口座から移転額を引き落とす処理をした上,SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)のネットワークを介してロンドン支店に支払指示(payment order)を送信し」との事項によると,「台北支店勘定系システム」は「SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)のネットワーク」に接続されており,また,資金移動の指示に従って「SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)のネットワークを介してロンドン支店に支払指示(payment order)を送信」するものであることから,当該「台北支店勘定系システム」は本願発明1の「仕向側の送金サーバ」に相当するものである。 また,上記「台北支店勘定系システム」からSWIFTネットワークを介してロンドン支店に送信される「支払指示(payment order)」は,当該SWIFTの規定する電文フォーマットに基づき生成された送金電文であることは自明である。 そうすると,本願発明1と引用発明は, 「SWIFTネットワークに接続され,仕向側の顧客からの送金依頼に基づく送金電文を生成する仕向側の送金サーバ」 を備える点で共通し,また, 送金依頼が本願発明1では「仕向側の顧客の端末」から行われる点で相違する。 (イ)本願発明1の「前記仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークに接続され,前記仕向側の送金サーバからの前記送金電文に基づいて,受取人口座に入金処理する被仕向側の送金サーバ」について 引用発明の「ロンドン支店が支払指示に従ってロンドン支店勘定系システム上で同支店のZ社口座へ移転額を入金する処理をした上,GCMSサーバへ移転処理が完了したことを通知する」との事項によると,「ロンドン支店勘定系システム」は,上記(ア)で示したように仕向側の送金サーバに相当する「台北支店勘定系システム」からSWIFTネットワークを介して送信される支払指示,つまり送金電文に従って「同支店のZ社口座へ移転額を入金する処理」を行うものであり,当該「ロンドン支店勘定系システム」もSWIFTネットワークに接続されていることは明らかであるし,また,上記送金電文に基づいて受取人口座である「同支店のZ社口座」に移転額を入金処理するものであることから,本願発明1の「被仕向側の送金サーバ」に相当するものといえる。 そうすると,本願発明1と引用発明は, 「前記仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークに接続され,前記仕向側の送金サーバからの前記送金電文に基づいて,受取人口座に入金処理する被仕向側の送金サーバ」 を備える点で共通する。 (ウ)本願発明1の「前記受取人口座への入金処理が完了した際に,前記仕向側の送金サーバ及び前記被仕向側の送金サーバと,前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し,前記送金依頼に基づく前記受取人口座への入金が完了したことを示す入金処理完了通知を前記送金電文を生成した前記仕向側の送金サーバに送信するデータ連携サーバ」について 引用発明の「ロンドン支店が支払指示に従ってロンドン支店勘定系システム上で同支店のZ社口座へ移転額を入金する処理をした上,GCMSサーバへ移転処理が完了したことを通知する」との事項によると,引用発明の「ロンドン支店勘定系システム」も「GCMSサーバ」へ「移転処理が完了したことを通知する」ものであるから,本願発明1の上記「被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し」と,被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果が送信される点で共通している。 また,SWIFTネットワークでは入金処理結果を送信する規定がないことから,引用発明の上記「GCMSサーバへ移転処理が完了したことを通知する」際には,SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続して送信するものであることは明らかである。 そうすると,本願発明1と引用発明は, 「前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果が送信される」 点で共通し,また, 本願発明1が上記「データ連携サーバ」を備える点で相違する。 (エ)上記(ウ)で示したように引用発明の「国際資金決済システム」も入金処理結果を通知していることから,「入金結果通知システム」であるといえる。 (オ)以上の(ア)から(エ)によると,本願発明1と引用発明は次の点で一致し,相違する。 <一致点> SWIFTネットワークに接続され,仕向側の顧客からの送金依頼に基づく送金電文を生成する仕向側の送金サーバと, 前記仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークに接続され,前記仕向側の送金サーバからの前記送金電文に基づいて,受取人口座に入金処理する被仕向側の送金サーバと, 前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果が送信される, 入金結果通知システム。 <相違点1> 本願発明1では送金依頼が「仕向側の顧客の端末」から行われるが,引用発明ではそのようになっていない点。 <相違点2> 本願発明1では「前記受取人口座への入金処理が完了した際に,前記仕向側の送金サーバ及び前記被仕向側の送金サーバと,前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し,前記送金依頼に基づく前記受取人口座への入金が完了したことを示す入金処理完了通知を前記送金電文を生成した前記仕向側の送金サーバに送信するデータ連携サーバ」を備えているが,引用発明では備えていない点。 <相違点3> 本願発明1では「前記仕向側の送金サーバは,入金結果通知を行う送金であるか否かを指定するフラグが前記送金電文にセットされている場合,前記入金処理完了通知のReference番号を参照することで,該当する送金情報を抽出し,前記送金情報に前記入金処理完了通知を反映させ,顧客ごとの送金情報が登録されている送金電文DBに入金結果データを格納し,前記顧客ごとの送金情報が管理されているシステムに反映させ,前記入金結果通知を前記仕向側の顧客の端末に通知すること」との処理が行われるものであるのに対し,引用発明ではそのようになっていない点。 (2)相違点についての判断 (2-1)相違点1について 一般にGCMS(Global Cash Management Service),すなわち国際キャッシュマネージメントサービスは,インターネット経由で顧客のパソコンから海外に保有する口座の残高照会や送金指図などの各種サービスを提供するサービスとしてよく知られている。 そして,引用発明ではGCMS(Global Cash Management Service)サーバに対して顧客が資金移動の指示を行うものであるから,当該指示を顧客の端末から行うものとすることは,上記よく知られたサービスを考慮すれば当業者が容易に想到し得たことである。 (2-2)相違点2及び3について 相違点2及び3については,上記引用文献2に記載の技術的事項には記載も示唆もされておらず,また,当該技術事項に基づいて当業者が容易に想到できたともいえないものである。 (2-3)まとめ したがって,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2について 本願発明2は請求項1を引用するものであり,本願発明1の上記相違点2及び3に係る構成を備えるものであるから,本願発明1と同様に当業者であっても引用発明,引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明3について 本願発明3は請求項1に係る「入金結果通知システム」における各処理ステップを「方法」の発明としたものであり,上記相違点2に対応する「前記データ連携サーバが,前記受取人口座への入金処理が完了した際に,前記仕向側の送金サーバ及び前記被仕向側の送金サーバと前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し,前記送金依頼に基づく前記受取人口座への入金が完了したことを示す入金処理完了通知を前記送金電文を生成した前記仕向側の送金サーバに送信するステップ」と,上記相違点3に対応する「前記仕向側の送金サーバが,入金結果通知を行う送金であるか否かを指定するフラグが前記送金電文にセットされている場合,前記入金処理完了通知のReference番号を参照することで,該当する送金情報を抽出し,前記送金情報に前記入金処理完了通知を反映させ,顧客ごとの送金情報が登録されている送金電文DBに入金結果データを格納し,前記顧客ごとの送金情報が管理されているシステムに反映させるステップと,前記入金結果通知を前記仕向側の顧客の端末に通知するステップ」を備えるものであるから,本願発明1と同様に当業者であっても引用発明,引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 原査定は,請求項1-4について上記引用文献1,2に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 しかしながら,平成28年8月12日付け手続補正により補正された請求項1-3(なお,補正により旧請求項3は削除されており,旧請求項4が新請求項3に対応している。)において,請求項1には,「前記受取人口座への入金処理が完了した際に,前記仕向側の送金サーバ及び前記被仕向側の送金サーバと,前記SWIFTネットワークとは別のネットワークで接続し,前記被仕向側の送金サーバから前記送金電文の入金処理結果を受信し,前記送金依頼に基づく前記受取人口座への入金が完了したことを示す入金処理完了通知を前記送金電文を生成した前記仕向側の送金サーバに送信するデータ連携サーバ」,及び,「前記仕向側の送金サーバは,入金結果通知を行う送金であるか否かを指定するフラグが前記送金電文にがセットされている場合,前記入金処理完了通知のReference番号を参照することで,該当する送金情報を抽出し,前記送金情報に前記入金処理完了通知を反映させ,顧客ごとの送金情報が登録されている送金電文DBに入金結果データを格納し,前記顧客ごとの送金情報が管理されているシステムに反映させ,前記入金結果通知を前記仕向側の顧客の端末に通知すること」という事項,また,請求項3はこれらの事項に対応する構成を有するものとなっており,上記のとおり本願発明1-3は,上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。 したがって,原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 当審では,請求項1及び3の「入金結果通知を行う送金であるか否かを指定するフラグが前記送金電文にがセットされている場合」との記載において,「フラグが前記送金電文にがセットされている場合」は「フラグが前記送金電文にセットされている場合」の誤記であると思われ,当該記載は明確でないとして特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知しているが,平成29年7月13日付け手続補正において,「フラグが前記送金電文にセットされている場合」と補正された結果,この拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明1-3は,当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-08-21 |
出願番号 | 特願2014-260660(P2014-260660) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木方 庸輔、山下 剛史、松野 広一、岸 健司 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
石川 正二 金子 幸一 |
発明の名称 | 入金結果通知システム及びその方法 |
代理人 | 坂本 智弘 |
代理人 | 坂本 智弘 |