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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1331696
審判番号 不服2016-2255  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-15 
確定日 2017-08-16 
事件の表示 特願2013-216365「動画像復号化装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月20日出願公開、特開2014- 33460〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2012年3月9日(優先権主張2011年3月9日 日本国)を国際出願日として出願した特願2013-503409号の一部を平成25年10月17日に新たな特許出願としたものであって、平成27年7月9日付けで拒絶理由が通知され、平成27年9月16日付けで手続補正がされ、平成27年10月23日付けで拒絶査定がされたものである。
本件は、上記拒絶査定を不服として、平成28年2月15日付けで請求された拒絶査定不服審判である。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成27年9月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のものと認められる。
なお、説明のためにAないしGの記号を当審において付与した。以下、「構成要件A」、「構成要件B」などと称することにする。

「A 復号化対象符号列を符号化単位で復号化する動画像復号化装置であって、
B (1)符号化された残差係数に基づく情報およびそれに対応付けられたヘッダ情報を含む第1の復号化対象符号列または(2)前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像およびそれに対応付けられたヘッダ情報を含む第2の復号化対象符号列を前記復号化対象符号列として受け付ける受付部と、
C 前記ヘッダ情報から少なくとも、前記復号化対象符号列を生成した際に利用された予測画像に関する情報である予測情報および符号化過程において直交変換および量子化をスキップしたか否かを示すフラグ情報を前記符号化単位で取得するヘッダ解析部と、
D 前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がなされた前記第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合、前記第1の復号化対象符号列を可変長復号化し残差係数を出力し、一方前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がスキップされた前記第2の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合、前記第2の復号化対象符号列を可変長復号化し前記差分画像を出力する係数符号列解析部と、
E1 前記係数符号列解析部が前記残差係数を出力する場合、前記出力される残差係数に対して、逆量子化および逆直交変換を行い、残差復号化画像を生成する予測残差復号化部と、
E2 前記ヘッダ解析部で取得された前記予測情報に基づいて、前記復号化対象符号列に対応する予測画像を生成する予測画像生成部と、
F (1)前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第1の復号化対象符号列である場合、前記予測残差復号化部で生成された前記残差復号化画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力し、(2)前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第2の復号化対象符号列である場合、前記係数符号列解析部が出力する前記差分画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力する加算器と、
G を備える動画像復号化装置。」

3.引用発明
原査定の拒絶理由に引用された「大久保 榮,インプレス標準教科書シリーズ 改訂版H.264/AVC教科書,株式会社インプレスR&D,2006年 1月 1日,pp.82-84,278-279,294-299」(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア.「


イ.「


ウ.「


エ.「2 ロスレス符号化 (当審注:「2」は黒四角に白文字で2が記載されたものである。)
ロスレス符号化は、4:4:4プロファイルでのみ使用可能な技術です。
H.264/AVCでは直交変換を行いますが、直交変換で計算誤差が発生するために、量子化パラメータQPをどれだけ小さくしても、入力画像と復号画像を完全に一致させるロスレス符号化の実現は困難です。
そこで、図11-24および図11-25に示すように、QP=0の場合は直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を実施せず、画面内予測符号化と動き補償符号化のみを行うようにしてロスレス符号化を実現しました。QPが0より大きい場合は、従来どおり、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を用いた符号化・復号を行います。なお、QP=0の場合には、デブロッキング・フィルタは動作しませんので(QPが小さい場合は符号化誤差が小さいと判断し、自動的にデブロッキング・フィルタの動作がOFFになるため)、ロスレス符号化の場合に明示的にOFFにする必要はありません。
QP=0の場合に、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行うかどうかの識別は、SPS(Sequence Parameter Set、シーケンス・パラメータ・セット)で示します。」(279頁11行?23行)

オ.「


カ.「


キ-1.「


キ-2.「



上記ア.?ウ.の図面、上記エ.の記載、上記エ.に関連する上記オ.?カ.の図面、上記キ-1.、キ-2.の表、並びにこの分野における技術常識を考慮し、以下で検討する。

(1)引用例には、上記エ.にあるように、量子化パラメータQPが0の場合、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を実施しないロスレス符号化を実現するとともに、シーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行うかどうかの識別を行い、前記QPが0より大きい場合、従来どおり、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を用いた符号化・復号を行うことが記載されている。ここで、「従来どおり」とされる符号化・復号は、上記ア.、イ.のようなH.264/AVC規格における符号化・復号であることは明らかである。

(2)上記オ.の図11-24には、上記エ.に記載されたロスレス符号化と従来どおりの符号化とを切り替えて、ビデオカメラからの入力画像からビットストリームを得るようにした「ロスレス符号化に対応したエンコーダ」のブロック図が記載され、上記カ.の図11-25には、「ロスレス符号化に対応したエンコーダ」により送信されたビットストリームを受信する「ロスレス符号化に対応したデコーダ」のブロック図が記載されている。そして、それぞれの図には、「H.264/AVC高忠実度化規格のロスレス符号化」という記載がある。
また、上記ウ.の図4-3には、MPEGで圧縮された符号化データのシンタックスは、6つの階層構成になっており、その中にマクロブロックレイヤがあることが開示されていることから、H.264/AVC規格における符号化は、マクロブロックを含むものであり、「ロスレス符号化に対応したデコーダ」が受信するビットストリームにおいても、「ロスレス符号化」が「H.264/AVC高忠実度化規格」であるから、該ビットストリームは、マクロブロックを含むものである。
すなわち、引用例には、「マクロブロックを含むビットストリームを受信するロスレス符号化に対応したデコーダ」が記載されている。

(3)上記オ.の図11-24には、以下のような構成が記載されていることがみてとれる。
(3-1)『入力画像が入力される動きベクトル検出部の出力とフレームメモリの画像とを動き補償部に入力して第1の出力を生成』
(3-2)『入力画像と第1の出力との差分出力を生成し、差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成』
(3-3)『第2の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第3の出力を生成し、第1の出力と第3の出力を加算してフレームメモリに格納』
(3-4)『第2の出力に対して可変長符号化して第1のビットストリームを生成』
(3-5)『差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化して第2のビットストリームを生成』

なお、上記(3-1)?(3-5)において、図中のブロックはそれぞれ「・・・部」と呼称し、各ブロックからの出力は区別のために「第1の出力」、「第2の出力」等と呼称する。さらに、図中のデブロッキング・フィルタ部の出力が入力され、動き補償部への出力を生成する『5枚の平行四辺形からなる図形』は、H.264/AVC規格における符号化をベースとするエンコーダであることから、フレームメモリを表現していることは明らかである。ここで、当該フレームメモリに画像が格納されることは自明である。

また、上記オ.図11-24の「H.264/AVC高忠実度化規格のロスレス符号化では、直交変換、量子化、逆量子化と逆直交変換が行われません。」、上記カ.図11-25の「H.264/AVC高忠実度化規格のロスレス符号化では、逆量子化と逆直交変換が行われません。」という記載から、H.264/AVC規格における符号化では、上記オ.の図11-24の「エンコーダ」が出力するビットストリームは、『第2の出力に対して可変長符号化し』たものであり、当該ビットストリームが上記カ.図11-25の「デコーダ」に入力され、ロスレス符号化では、上記オ.の図11-24の「エンコーダ」が出力するビットストリームは、『差分出力をそのまま可変長符号化し』たものであり、当該ビットストリームが上記カ.図11-25の「デコーダ」に入力される。
このときの「ビットストリーム」を区別するために、上記(3-4)、(3-5)では、H.264/AVC規格における符号化の「ビットストリーム」を「第1のビットストリーム」、ロスレス符号化の「ビットストリーム」を「第2のビットストリーム」と呼称する。

そして、上記キ-1.の表13-10(1)には、マクロブロック・レイヤの情報に、コード名として、mb_qp_deltaがあり、そのセマンティックスに、当該マクロブロックと、直前のマクロブロックの量子化パラメータQPの差分値を表すことが記載されている。
さらに、上記キ-2.の表13-11(1)には、マクロブロック予測の情報として、予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定することが記載されている。
ここで、マクロブロック・レイヤの情報やマクロブロック予測の情報は、ビットストリームに、マクロブロック単位で含まれていることは自明である。
すなわち、ビットストリームには、マクロブロック単位で、当該マクロブロックと直前のマクロブロックの量子化パラメータQPの差分値を表すマクロブロック・レイヤの情報や、予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定するマクロブロック予測の情報が含まれている。

以上まとめると、引用例の「デコーダ」は、
「入力画像が入力される動きベクトル検出部の出力とフレームメモリの画像とを動き補償部に入力して第1の出力を生成し、
前記入力画像と前記第1の出力との差分出力を生成し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成し、
前記第2の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第3の出力を生成し、前記第1の出力と前記第3の出力を加算してフレームメモリに格納し、
前記第2の出力に対して、可変長符号化して第1のビットストリームを生成し、
前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化して第2のビットストリームを生成するエンコーダ
からの前記第1のビットストリームまたは前記第2のビットストリームを入力し、
前記第1のビットストリーム及び前記第2のビットストリームには、マクロブロック単位で、当該マクロブロックと直前のマクロブロックの量子化パラメータQPの差分値を表すマクロブロック・レイヤの情報や、予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定するマクロブロック予測の情報が含まれている」
ものである。

(4)上記エ.には、量子化パラメータQPが0の場合、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を実施しないロスレス符号化を実現するとともに、シーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行うかどうかの識別を行い、前記QPが0より大きい場合、従来どおり、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を用いた符号化・復号を行うことが記載されている。

すなわち、引用例のデコーダは、「QP>0、もしくは、QP=0だがシーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行うという識別が示されている場合には、逆量子化・逆直交変換を用いた復号を行い、QP=0でシーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行わないという識別が示されている場合には、逆量子化・逆直交変換を実施しない復号を行う」ものである。

(5)上記カ.の図11-25には、以下のような構成が記載されていることがみてとれる。

(5-1)『ビットストリームを入力して可変長復号して第4の出力を生成するエントロピー復号部』
(5-2)『第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成する手段』
(5-3)『フレームメモリの画像を動き補償部に入力して第6の出力を生成する手段』
(5-4)『第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成し、第4の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成する加算器』

なお、上記(3)と同様に、図中のブロックはそれぞれ「・・・部」と呼称し、各ブロックからの出力は区別のために「第4の出力」、「第5の出力」等と呼称する。さらに、図中のデブロッキング・フィルタ部の出力が入力され、動き補償部への出力を生成する『5枚の平行四辺形からなる図形』は、フレームメモリを表現し、当該フレームメモリに画像が格納されることは自明である。

すなわち、引用例の「デコーダ」は、
「ビットストリームを入力して可変長復号して第4の出力を生成するエントロピー復号部、
第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成する手段、
フレームメモリの画像を動き補償部に入力して第6の出力を生成する手段、
第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成し、第4の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成する加算器」を備えるものである。

したがって、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。
なお、下記aないしgの記号は、説明のために当審にて付与してものであり、以下、「構成要件a」、「構成要件b」などと称することにする。

「a マクロブロックを含むビットストリームを受信するロスレス符号化に対応したデコーダであって、
b 入力画像が入力される動きベクトル検出部の出力とフレームメモリの画像とを動き補償部に入力して第1の出力を生成し、
前記入力画像と前記第1の出力との差分出力を生成し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成し、
前記第2の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第3の出力を生成し、前記第1の出力と前記第3の出力を加算してフレームメモリに格納し、
前記第2の出力に対して、可変長符号化して第1のビットストリームを生成し、
前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化して第2のビットストリームを生成するエンコーダ
からの前記第1のビットストリームまたは前記第2のビットストリームを入力し、
前記第1のビットストリーム及び前記第2のビットストリームには、マクロブロック単位で、当該マクロブロックと直前のマクロブロックの量子化パラメータQPの差分値を表すマクロブロック・レイヤの情報や、予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定するマクロブロック予測の情報が含まれ、
c QP>0、もしくは、QP=0だがシーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行うという識別が示されている場合には、逆量子化・逆直交変換を用いた復号を行い、QP=0でシーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行わないという識別が示されている場合には、逆量子化・逆直交変換を実施しない復号を行い、
d ビットストリームを入力して可変長復号して第4の出力を生成するエントロピー復号部、
e1 第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成する手段、
e2 フレームメモリの画像を動き補償部に入力して第6の出力を生成する手段、
f 第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成し、第4の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成する加算器
g を備えるデコーダ。」

4.対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)本願発明の構成要件Aについて
本願発明の構成要件Aと引用発明の構成要件aとを対比する。
引用発明の「マクロブロックを含むビットストリーム」は、構成要件bに記載されているように、エンコーダで可変長符号化された信号であり、構成要件dに記載されているように、デコーダで可変長復号されるものであるから、本願発明の「復号化対象符号列」に相当する。
さらに、引用発明の「マクロブロックを含むビットストリーム」は、「動画像」であるから、引用発明の「ロスレス符号化に対応したデコーダ」は、動画像を復号する装置であり、本願発明の「復号化する動画像復号化装置」に相当する。
したがって、本願発明の構成要件Aと引用発明の構成要件aは、引用発明の復号化が「符号化単位」で行われるのか否か不明である点を除いて、「復号化対象符号列を復号化する動画像復号化装置であって、」の点で共通する。

(2)本願発明の構成要件Bについて
本願発明の構成要件Bと引用発明の構成要件bとを対比する。

(2-1)構成要件Bの「符号化された残差係数に基づく情報およびそれに対応付けられたヘッダ情報を含む第1の復号化対象符号列」について
上記(1)で検討したように、引用発明の「マクロブロックを含むビットストリーム」は、本願発明の「復号化対象符号列」に相当するので、引用発明の「第1のビットストリーム」は、本願発明の「第1の復号化対象符号列」に対応する。

引用発明の「第1のビットストリーム」は、エンコーダにて、「入力画像が入力される動きベクトル検出部の出力とフレームメモリの画像とを動き補償部に入力して第1の出力を生成し、前記入力画像と前記第1の出力との差分出力を生成し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成し、前記第2の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第3の出力を生成し、前記第1の出力と前記第3の出力を加算してフレームメモリに格納し、前記第2の出力に対して、可変長符号化して」生成されたものである。また、これらの構成は、従来どおりのH.264/AVCの符号化を行う構成であり、該H.264/AVCの符号化を行う構成は当業者にとって技術常識である。
この技術常識を考慮すれば、直交変換部および量子化部を経た第2の出力は、本願発明の「残差係数」に相当するので、第2の出力に対して、可変長符号化して生成された「第1のビットストリーム」は、本願発明のように、「符号化された残差係数に基づく情報」を含むものである。

しかし、引用発明の「第1のビットストリーム」は、ヘッダ情報を含む構成であるか不明である。

したがって、本願発明の構成要件Bの「符号化された残差係数に基づく情報およびそれに対応付けられたヘッダ情報を含む第1の復号化対象符号列」と引用発明の構成要件bは、第1の復号化対象符号列が含む情報に関して、引用発明が、本願発明のように、「それ(符号化された残差係数に基づく情報)に対応付けられたヘッダ情報を含む」構成であるか不明である点で相違するものの、「符号化された残差係数に基づく情報を含む第1の復号化対象符号列」という点で共通する。

(2-2)構成要件Bの「前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像およびそれに対応付けられたヘッダ情報を含む第2の復号化対象符号列」について
上記(2-1)と同様に、引用発明の「第2のビットストリーム」は、本願発明の「第2の復号化対象符号列」に対応する。

引用発明の「第2のビットストリーム」は、エンコーダにて、「入力画像が入力される動きベクトル検出部の出力とフレームメモリの画像とを動き補償部に入力して第1の出力を生成し、前記入力画像と前記第1の出力との差分出力を生成し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成し、前記第2の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第3の出力を生成し、前記第1の出力と前記第3の出力を加算してフレームメモリに格納し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化して」生成されたものである。
ここで、「前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化して」生成された「第2のビットストリーム」は、エンコーダにて、差分出力を可変長符号化された画像であるから、本願発明の「前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像」に相当する。

したがって、本願発明の構成要件Bの「前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像およびそれに対応付けられたヘッダ情報を含む第2の復号化対象符号列」と引用発明の構成要件bは、第2の復号化対象符号列が含む情報に関して、引用発明が、本願発明のように、「それ(前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像)に対応付けられたヘッダ情報を含む」構成であるか不明である点で相違するものの、「前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像を含む第2の復号化対象符号列」という点で共通する。

(2-3)構成要件Bの「前記復号化対象符号列として受け付ける受付部」について
引用発明の構成要件bは、「エンコーダからの前記第1のビットストリームまたは前記第2のビットストリームを入力」するものであり、信号を入力する際には、信号入力部を設けることは自明である。
したがって、引用発明は、本願発明のように「前記復号化対象符号列として受け付ける受付部」を有するものである。

(2-4)構成要件Bについての小活
以上、(2-1)?(2-3)をまとめると、本願発明の構成要件Bと引用発明の構成要件bは、「(1)符号化された残差係数に基づく情報を含む第1の復号化対象符号列または(2)前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像を含む第2の復号化対象符号列を前記復号化対象符号列として受け付ける受付部」を備える点で共通する。
しかしながら、第1の復号化対象符号列が含む情報に関して、引用発明が、本願発明のように、「それ(符号化された残差係数に基づく情報)に対応付けられたヘッダ情報を含む」構成であるか不明である点、第2の復号化対象符号列が含む情報に関して、引用発明が、本願発明のように、「それ(前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像)に対応付けられたヘッダ情報を含む」構成であるか不明である点で相違する。

(3)本願発明の構成要件Cについて
上記(2-1)、(2-2)で検討したように、引用発明は、本願発明のように、「ヘッダ情報を含む」構成であるか不明であるので、本願発明の構成要件Cに相当する構成を有するのか不明である。

(4)本願発明の構成要件Dについて
本願発明の構成要件Dと引用発明の構成要件dとを対比する。
上記(3)で検討したように、引用発明は、本願発明の構成要件Cに相当する構成を有するのか不明であるため、「フラグ情報」を取得するものであるのか不明である。
したがって、引用発明は、本願発明のように「前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がなされた前記第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合」、「前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がスキップされた前記第2の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合」という前提を有するのか不明である。

引用発明の構成要件dは、「ビットストリームを入力して可変長復号して第4の出力を生成する」ものであり、ビットストリームは、構成要件bの「第1のビットストリーム」、「第2のビットストリーム」を指し、第1のビットストリームは、差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て可変長符号化したビットストリームであるから、可変長復号した信号は、本願発明の構成Dの「残差係数」に相当し、第2のビットストリームは、差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化したビットストリームであるから、可変長復号した信号は、本願発明の構成Dの「差分画像」に相当する。

そして、構成要件dの「エントロピー復号部」は、「ビットストリームを入力して可変長復号」するものであるが、可変長復号した第4の出力に対して、第4の出力が残差係数であれば、逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成し、第4の出力が差分画像であれば、逆量子化部と逆直交変換部を経ないようにすることを決定しているものであり、その際には、符号列を解析しているといえる。
したがって、構成要件dの「エントロピー復号部」は、係数符号列を解析するものであるから、本願発明の「係数符号列解析部」に相当する。

そうすると、引用発明は、本願発明のように、「前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がなされた前記第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合」、「前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がスキップされた前記第2の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合」という前提を有するのか不明である点で相違するものの、本願発明の構成要件Dと引用発明の構成要件dは、「前記第1の復号化対象符号列を可変長復号化し残差係数を出力し、一方前記第2の復号化対象符号列を可変長復号化し前記差分画像を出力する係数符号列解析部」である点で共通する。

(5)本願発明の構成要件E1について
本願発明の構成要件E1と引用発明の構成要件e1とを対比する。
引用発明の構成要件e1は、「第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成する」ものである。

そして、逆量子化・逆直交変換を実施するか否かは、エンコーダにて、直交変換・量子化を実施したか否かにより決定されるものであるから、エンコーダで直交変換・量子化を実施した場合には、デコーダで、逆量子化・逆直交変換を実施するものである。
ここで、エンコーダで直交変換・量子化を実施した場合には、引用発明は、「前記入力画像と前記第1の出力との差分出力を生成し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成し、」「前記第2の出力に対して、可変長符号化して第1のビットストリームを生成」し(構成要件b)、該第1のビットストリームを「可変長復号して第4の出力を生成」し(構成要件d)、「第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成する」(構成要件e1)ものであり、引用発明の「第4の出力」、「第5の出力」は、本願発明の「残差係数」、「残差復号化画像」に対応する。
そして、「エントロピー復号部」が「第4の出力」を出力するものであり、上記(4)で検討したように、引用発明の構成要件dの「エントロピー復号部」は、本願発明の「係数符号列解析部」に相当する。

したがって、引用発明の「第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成する手段」は、本願発明の「前記係数符号列解析部が前記残差係数を出力する場合、前記出力される残差係数に対して、逆量子化および逆直交変換を行い、残差復号化画像を生成する予測残差復号化部」に相当する。

(6)本願発明の構成要件E2について
本願発明の構成要件E2と引用発明の構成要件e2とを対比する。
上記(3)で検討したように、引用発明は、本願発明の構成要件Cに相当する構成を有するのか不明であるため、「ヘッダ解析部」を有するか不明である。

H.264/AVCの復号を行う構成における技術常識を考慮すれば、構成要件eの「フレームメモリの画像を動き補償部に入力して第6の出力を生成する」ことの「第6の出力」は、「予測画像」である。
また、引用発明の構成要件bでは、ビットストリームに、「予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定するマクロブロック予測の情報」が含まれており、これらの情報は、動き補償における予測に際して利用されることもH.264/AVCの技術常識であるから、本願発明の「予測情報」に相当する。

したがって、本願発明の構成要件E2と引用発明のe2は、引用発明が、本願発明のように、予測情報が、「ヘッダ解析部で取得された」ものであるか不明である点で相違するものの、「予測情報に基づいて、前記復号化対象符号列に対応する予測画像を生成する予測画像生成部」という点で共通する。

(7)本願発明の構成要件Fについて
本願発明の構成要件Fと引用発明の構成要件fとを対比する。
引用発明の構成要件fでは、「第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成し」ており、上記(5)、(6)で検討したように、「第5の出力」、「第6の出力」は、本願発明の「残差復号化画像」、「予測画像」に相当する。
また、第5の出力を生成するのは、逆量子化部と逆直交変換部を経た場合であり、第1のビットストリームを入力した場合である。
そして、「ディスプレイに出力する画像」は、本願発明の「再構成画像」に対応するので、引用発明の構成要件fの「第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成」は、本願発明の構成要件Fの「前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第1の復号化対象符号列である場合、前記予測残差復号化部で生成された前記残差復号化画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力」に相当する。

同様に、引用発明の構成要件fの「第4の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成」は、本願発明の構成要件Fの「前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第2の復号化対象符号列である場合、前記係数符号列解析部が出力する前記差分画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力する」に相当する。

したがって、引用発明の「第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成し、第4の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成する加算器」は、本願発明の「(1)前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第1の復号化対象符号列である場合、前記予測残差復号化部で生成された前記残差復号化画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力し、(2)前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第2の復号化対象符号列である場合、前記係数符号列解析部が出力する前記差分画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力する加算器」に相当する。

(8)本願発明の構成要件Gについて
本願発明の構成要件Gと引用発明の構成要件gとを対比する。

上記(1)で検討したように、引用発明の「デコーダ」は、動画像を復号する装置であり、本願発明の「動画像復号化装置」に相当する。

(9)一致点・相違点
したがって、上記(1)?(8)により、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違している。

(一致点)
「復号化対象符号列を復号化する動画像復号化装置であって、
(1)符号化された残差係数に基づく情報を含む第1の復号化対象符号列または(2)前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像を含む第2の復号化対象符号列を前記復号化対象符号列として受け付ける受付部と、
前記第1の復号化対象符号列を可変長復号化し残差係数を出力し、一方前記第2の復号化対象符号列を可変長復号化し前記差分画像を出力する残差係数又は差分画像出力部と、
前記残差係数又は差分画像出力部が前記残差係数を出力する場合、前記出力される残差係数に対して、逆量子化および逆直交変換を行い、残差復号化画像を生成する予測残差復号化部と、予測情報に基づいて、前記復号化対象符号列に対応する予測画像を生成する予測画像生成部と、
(1)前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第1の復号化対象符号列である場合、前記予測残差復号化部で生成された前記残差復号化画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力し、(2)前記受付部で受け付けた復号化対象符号列が前記第2の復号化対象符号列である場合、前記係数符号列解析部が出力する前記差分画像と前記予測画像生成部で生成された前記予測画像とを加算することにより、再構成画像を生成して出力する加算器と、
を備える動画像復号化装置。」

(相違点)
<相違点1> 動画像復号化装置に関し、本願発明では、「符号化単位」で復号化しているのに対し、引用発明では「符号化単位」で復号化しているのかどうか不明である点。

<相違点2> 第1の復号化対象符号列が含む情報に関して、本願発明は、「それ(符号化された残差係数に基づく情報)に対応付けられたヘッダ情報を含む」構成であるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するのか不明である点。

<相違点3> 第2の復号化対象符号列が含む情報に関して、本願発明は、「それ(前記復号化対象符号列の符号化処理過程で得られる画像であって可変長符号化された差分画像)に対応付けられたヘッダ情報を含む」構成であるのに対し、引用発明は、そのような構成を有するのか不明である点。

<相違点4> 本願発明が、「前記ヘッダ情報から少なくとも、前記復号化対象符号列を生成した際に利用された予測画像に関する情報である予測情報および符号化過程において直交変換および量子化をスキップしたか否かを示すフラグ情報を前記符号化単位で取得するヘッダ解析部」を備えるのに対し、引用発明が、そのようなヘッダ解析部を有するのか不明である点。

<相違点5> 第1の復号化対象符号列を可変長復号化し残差係数を出力するのは、本願発明が、「前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がなされた前記第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合」という前提であるのに対し、引用発明は、そのような前提を有するのか不明である点。

<相違点6> 第2の復号化対象符号列を可変長復号化し差分画像を出力するのは、本願発明が、「前記フラグ情報が符号化過程において直交変換および量子化がスキップされた前記第2の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合」という前提であるのに対し、引用発明は、そのような前提を有するのか不明である点。

<相違点7> 予測情報に関して、本願発明が、「ヘッダ解析部で取得された」情報であるのに対し、引用発明は、ヘッダ解析部を有するのか不明であるので、どこで取得されるか不明である点。

5.当審の判断
(1)相違点1について
引用発明は、「マクロブロックを含むビットストリームを受信するロスレス符号化に対応したデコーダ」であり、エンコーダにて生成された「入力画像と前記第1の出力との差分出力を生成し、前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経て第2の出力を生成し、」「前記第2の出力に対して、可変長符号化し」た「第1のビットストリーム」、「前記差分出力に対して直交変換部および量子化部を経ずにそのまま可変長符号化し」た「第2のビットストリーム」を入力し、「ビットストリームを入力して可変長復号して第4の出力を生成」し、「第4の出力に対して逆量子化部と逆直交変換部を経て第5の出力を生成」し、「第4の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成し、第5の出力と第6の出力を加算してフレームメモリに格納するとともに、ディスプレイに出力する画像を生成する」ものである。
ここで、第1のビットストリームは、従来のH.264/AVCによる符号化に対応し、第2のビットストリームは、ロスレス符号化に対応するものである。
H.264/AVCによる符号化及び復号化では、各ピクチャがマクロブロックに分割され、マクロブロック単位で符号化されることは、当業者の技術常識であり、符号化された単位毎に、データを入力して予測情報等を用いて復号化されるものであるから、復号化に際して、符号化単位で復号化するものといえる。
また、ロスレス符号化においても、H.264/AVC高忠実度化規格を利用しているものであるから、H.264/AVCによる符号化及び復号化と同様に、符号化単位で復号化すると考えるのが自然である。

したがって、相違点1については、格別のものではない。

(2)相違点2?7に関して
相違点2?7をまとめると、本願発明は、
復号化対象符号列が、符号化された残差係数に基づく情報や可変長符号化された差分画像に対応付けられたヘッダ情報を含み、
当該ヘッダ情報から、復号化対象符号列を生成した際に利用された予測画像に関する情報である予測情報および符号化過程において直交変換および量子化をスキップしたか否かを示すフラグ情報を前記符号化単位で取得するヘッダ解析部を備え、
当該フラグ情報が、直交変換及び量子化がなされた第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合かスキップされた第2の復号化対象行列を受け付けたことを示す場合かのいずれを示すかに応じて第1若しくは第2の復号化対象符号列を可変長復号化するものであるのに対し、
引用発明は、そのような構成を有するのか不明である点で相違するものである。

H.264/AVCの符号化及び復号化において、画面内符号化や画面間符号化をマクロブロック単位で行い、マクロブロック単位で行われた符号化に関する情報、例えば、符号化タイプや予測に関する情報を、符号化データに対応付けてマクロブロックのヘッダに格納し、復号化時に利用することは、当業者にとって周知技術である。(必要があれば、引用例と同じ刊行物である、大久保 榮,インプレス標準教科書シリーズ 改訂版H.264/AVC教科書,株式会社インプレスR&D,2006年 1月 1日,pp.199-200(特に、200頁図8-9の「(1)通常のスライス」の記載)の記載等を参照)
このように、H.264/AVC高忠実度化規格を利用して、マクロブロック単位で行われる制御であれば、当該制御に対応する情報を、符号化データに対応付けてマクロブロックのヘッダに格納することは、当業者にとって容易に実施し得るものであるといえる。

引用発明は、構成要件cによれば、「QP>0、もしくは、QP=0だがシーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行うという識別が示されている場合には、逆量子化・逆直交変換を用いた復号を行い、QP=0でシーケンス・パラメータ・セットにて、直交変換・量子化・逆量子化・逆直交変換を行わないという識別が示されている場合には、逆量子化・逆直交変換を実施しない復号を行」っている。
また、構成要件bによれば、「各マクロブロックに対応して、当該マクロブロックと直前のマクロブロックの量子化パラメータQPの差分値を表す情報」が含まれており、差分値が分かれば、各マクロブロックのQP値が求まることから、QP>0かQP=0かを判定するのは、各マクロブロックに対応した情報によるものといえる。
ここで、シーケンス・パラメータ・セットは、各シーケンスに対応して設けられている情報であることは当業者にとって自明である。
すなわち、引用発明は、各マクロブロックに対応した情報、各シーケンスに対応した情報から、マクロブロック単位で、逆量子化・逆直交変換を実施するか否かを決定するといえる。

そうすると、引用発明では、マクロブロック単位で、逆量子化・逆直交変換を実施するか否かを決定するものであるので、上述したとおり、各マクロブロックに対応した情報である「当該マクロブロックと直前のマクロブロックの量子化パラメータQPの差分値を表すマクロブロック・レイヤの情報」と各シーケンスに対応した情報である「シーケンス・パラメータ・セット」を用いて決定することに代えて、マクロブロックのヘッダに逆量子化・逆直交変換を実施するか否かを決定する情報、すなわち、符号化過程において直交変換および量子化をスキップしたか否かを示す情報を格納するようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。また、情報をフラグで送信することも周知慣用の技術思想である以上、直交変換および量子化をスキップしたか否かを示す情報をフラグ化することは、当業者が適宜なし得るものである。
そして、そのようなフラグ情報が格納されているのであれば、当該フラグ情報を取得することにより、直交変換及び量子化がなされた第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合であれば、第1の復号化対象符号列を可変長復号化し残差係数を出力するものであるし、直交変換及び量子化がスキップされた第2の復号化対象行列を受け付けたことを示す場合であれば、第2の復号化対象符号列を可変長復号化し差分画像を出力するものである。

また、予測に関する情報をマクロブロックのヘッダに格納し、復号化時に利用することが、当業者にとって周知技術であり、引用発明の「予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定するマクロブロック予測の情報」、すなわち、予測に関する情報は、本願発明の「前記復号化対象符号列を生成した際に利用された予測画像に関する情報である予測情報」に相当することから、引用発明の「予測モード、参照ピクチャ番号、動きベクトルデータを規定するマクロブロック予測の情報」を、マクロブロックのヘッダに格納することも、当業者が容易に想到し得るものである。

したがって、引用発明において、当業者であれば、
『復号化対象符号列が、符号化された残差係数に基づく情報や可変長符号化された差分画像に対応付けられたヘッダ情報を含み、
当該ヘッダ情報から、復号化対象符号列を生成した際に利用された予測画像に関する情報である予測情報および符号化過程において直交変換および量子化をスキップしたか否かを示すフラグ情報を前記符号化単位で取得するヘッダ解析部を備え、
当該フラグ情報が、直交変換及び量子化がなされた第1の復号化対象符号列を受け付けたことを示す場合かスキップされた第2の復号化対象行列を受け付けたことを示す場合かのいずれを示すかに応じて第1若しくは第2の復号化対象符号列を可変長復号化する構成』
とすることは容易に想到し得るものである。

したがって、相違点2?7については、格別のものではない。

そして、本願発明に関する作用・効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のとおりであるから、本願発明は引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-14 
結審通知日 2017-03-21 
審決日 2017-04-03 
出願番号 特願2013-216365(P2013-216365)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩井 健二  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 渡辺 努
藤井 浩
発明の名称 動画像復号化装置  
代理人 田中 光雄  
代理人 川端 純市  
代理人 鮫島 睦  
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